面状発熱体用殺ダニ袋
- 【要約】
【構成】面状発熱体を収納する殺ダニ袋において、該殺ダニ袋が、5〜150μmの繊維間隙で20〜150g/m2 の目付けの熱可塑性長繊維不織布からなることを特徴とする面状発熱体用殺ダニ袋およびこの殺ダニ袋の片面が透明フィルムである面状発熱体用殺ダニ袋。
【効果】面状発熱体に生息するダニ類等を、袋内の湿気を露結させることなく、効率よく加熱滅殺することができるとともに、耐久性に優れるので繰り返して使用することができる。また殺ダニ袋の片面を透明フィルムで構成した場合は、加熱時や収納時に袋の内部が観察できる利点があるほか、該フィルム面を上面にすればダニ類の加熱をより効果的に行い、その滅殺を早めることができる。また未使用時の毛布等の収納袋と使用してダニ類等の侵入を防止することができる。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 面状発熱体を収納する殺ダニ袋において、該殺ダニ袋が、5〜150μmの繊維間隙で20〜150g/m2 の目付けの熱可塑性長繊維不織布からなることを特徴とする面状発熱体用殺ダニ袋。
【請求項2】 請求項1記載の殺ダニ袋の片面が透明フィルムである面状発熱体用殺ダニ袋。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は面状発熱体用殺ダニ袋に関し、さらに詳しくは電気毛布、電気カーペット等に生息するダニ類を効率よく滅殺するのに好適な、耐久性に優れた面状発熱耐用殺ダニ袋に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、屋内の畳、カーペット等に生息するコナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、ケナガコナダニ等のダニ類は、その多空隙状弾性材料中で繁殖し、その糞や死骸などが粉体化してハウスダストとしてアトピー性皮膚塩やぜんそくなどの原因となる抗原物質になるという問題があった。最近では、家庭用暖房として電気カーペット等の面状発熱体が多く用いられるようになり、それがダニ類等の繁殖をうながす結果となっている。
【0003】実開昭63−187966号公報には、寝具類にダニ類が侵入するのを防止するための40μm以下の通気孔を有する通気性シートカバーが提案されている。しかしながら、このシートカバーでは、通常100〜70μmのダニ類の成虫の侵入は防止できるが、40μm以下のダニ類の幼虫の侵入は防ぐことはできず、またこれらの侵入した幼虫やすでに寝具類に生息しているダニ類を殺虫することが不可能であり、これらの幼虫や成虫が適度な温度と湿度により寝具類で繁殖し続けるという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、電気毛布、電気カーペット、床暖房マット等の面状発熱体に生息するダニ類を効率よく高温加熱して滅殺することができ、耐久性に優れた面状発熱体用殺ダニ袋を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、面状発熱体を収納する殺ダニ袋において、該殺ダニ袋が、5〜150μmの繊維間隙で20〜150g/m2 の目付けの熱可塑性長繊維不織布からなることを特徴とする面状発熱体用殺ダニ袋に関する。本発明の第2は、上記殺ダニ袋の片面が透明フィルムからなる面状発熱体用殺ダニ袋に関する。
【0006】本発明に用いられる熱可塑性長繊維不織布には特に制限はないが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリオレフィンなどの熱可塑性高分子化合物をスパンボンド法により製造したものが好ましく用いられる。該熱可塑性長繊維不織布の繊維間隙および目付けは、ダニ類の通過防止および通気性確保の点から、それぞれ5〜150μm、好ましくは30〜70μm、および20〜150g/m2 、好ましくは50〜100g/m2 である。また熱可塑性長繊維不織布は、その耐久性、殺ダニ性、透湿性および取扱い性(ヒートシール性)の点から、繊径は0.5〜5dが好ましく、より好ましくは1.5〜3dであり、また不織布を部分圧着する場合の圧着率は5〜50%が好ましく、10〜30%がより好ましい。
【0007】本発明の面状発熱体用殺ダニ袋は、例えば適当な幅に切断したポリエステルスパンボンド不織布をロールに巻き取り、該ロール2本から繰り出されるスパンボンド不織布2枚を重合わせてその両サイドをヒートシール、超音波ミシン溶接、熱ナイフによる溶断等の手段により溶着シールし、次いで適当な間隔で幅方向に切断し、その底部を上記と同様の手段によりシールし、残りの辺を面状発熱体が出し入れできるように開閉自在とすることにより得られる。この開閉自在の辺は加熱時には折り返して面状発熱体から這い出したダニ類が逃げないようにする。また開閉自在の辺にファスナー等の結合具を取りつけてもよい。本発明の第2においては、面状発熱体用殺ダニ袋の片面をポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムまたはこれらの複合フィルムなどの透明フィルムで構成し、袋の内部が見えるようにすることもできる。
【0008】図1は、本発明の一実施例の面状発熱体用殺ダニ袋の一部断面斜視図、図2は、本発明の面状発熱体用殺ダニ袋の使用時の断面説明図である。この面状発熱体用殺ダニ袋1は、50g/m2 のポリエステルスパンボンド不織布6と、これを2枚重あわせてその3辺をシートシールしたシール部2とからなる。面状発熱体4は、シートシールされていない開放自在の辺から殺ダニ袋1に挿入される。面状発熱体4の電源コード5を殺ダニ袋1の外に引き出して開放自在の辺を折り返して袋を密封した後、該コード5を電源に接続して加熱する。加熱温度および加熱時間は、ダニ類を殺すことができる温度および時間であれば特に制限はなく、例えば55℃で25分程度加熱すればダニ類をほとんど殺すことができる。
【0009】ダニ類等は、加熱によって面状発熱体4から這い出して殺ダニ袋1の内面に付着するが、特定の繊維間隙と目付けによりここから外部に逃げることができず、加熱によって死に至る。一方、面状発熱体用殺ダニ袋1内の湿気は、通常その径が10〜15μmであり、容易に不織布の間隙を通過できるため、湿気が面状発熱体用殺ダニ袋1の中で露結することがない。ダニ類の死骸はクリーナ等で吸い取って取り除くことができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳しく説明する。
実施例1〜2および比較例1〜2表1に示す種々のポリエステルスパンボンド不織布およびポリエチレンフィルムをそれぞれ殺ダニ袋用素材として使用した場合を模擬し、ガラス瓶中にダニを入れ、瓶の開口部を前記素材で密閉し、この瓶を加熱したときのダニの這い出し率を下記の方法で調べ、それぞれの素材の殺ダニ性として評価した。その結果を同じ表1に示す。また実施例1、2および比較例1で用いた素材の引張強力、破断伸度および引張強力を調べ、結果を表2に示した。
【0011】(1)殺ダニ性の測定ガラス瓶の中に生きたコナヒョウヒダニ約2000匹を入れた後、瓶の開口部を表1に示す素材でそれぞれ覆い、これらの周囲をテープでガラス瓶に固定した。次にガラス瓶を横にして底部をリボンヒーターで30℃で30分間加熱した後、40℃で60分間加熱し、さらに50℃で20分間加熱して素材を通過するダニ数を調べた。各素材につき2回ずつ上記実験を繰り返し、通過ダニ数を2回の試験の合計値で示した。
【0012】
【表1】【0013】*1:繊維間隙の測定法1m2 の不織布試料の粗大部(比較的目付けの薄い箇所)を目視し、該粗大部の表面状態の拡大写真を顕微鏡(倍率50)で撮影し、拡大写真から図3に示すようにフィラメント群7によって構成される多角形空隙部の対角線方向の距離dを測定した。測定は200箇所で行い、繊維間隙はその値の範囲で表した。
*2:通過ダニ数/全ダニ数で示した。
*3:JIS L 1096フラジール法により測定した(CC/cm2/sec) 。
*4:ガラス瓶中に湿気がこもり、結露した。
【0014】
【表2】【0015】表1および表2から、本発明の面状発熱体用殺ダニ袋は、加熱した時のダニの這い出しが殆どなく殺ダニ性に優れるとともに、耐久性にも優れ、かつ適度な透湿性を有するため殺ダニ袋内に湿気がこもり結露することがないことが示される。
【0016】
【発明の効果】本発明の面状発熱体用殺ダニ袋によれば、面状発熱体に生息するダニ類等を、袋内の湿気を露結させることなく、効率よく加熱滅殺することができるとともに、耐久性に優れるので繰り返して使用することができる。また殺ダニ袋の片面を透明フィルムで構成した場合は、加熱時や収納時に袋の内部が観察できる利点があるほか、該フィルム面を上面にすればダニ類の加熱をより効果的に行い、その滅殺を早めることができる。また本発明の面状発熱体用殺ダニ袋を未使用時の毛布等の収納袋として使用してダニ類の侵入を防ぐことができる。
- 【公開番号】特開平5−115236
【公開日】平成5年(1993)5月14日
【発明の名称】面状発熱体用殺ダニ袋
- 【出願番号】特願平3−134293
【出願日】平成3年(1991)6月5日
【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成工業株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 武長
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