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電気蚊とり器
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- 【要約】
【目的】本発明は、通電開始後一定の時間が経過して殺虫すべき蚊などがいない状態下での殺虫用薬剤の無駄な消費を抑制するようにした。
【構成】殺虫用薬剤を加熱して蒸発させる正特性サーミスタ18と、電源の投入により時間をはかる動作を開始するタイマー部45と、このタイマー部45に接続される電力制御手段、すなわち通電率制御部46およびこれによりトリガされるトライアック33とを具備して、この制御手段による通電率制御で、前記サーミスタ18への通電開始初期の所定時間の間は前記サーミスタ18の発熱温度を高くして多量に薬剤を蒸発させるとともに、前記所定時間の経過後には前記発熱温度を低くして薬剤の蒸発を少なくしたことを特徴としている。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 殺虫用薬剤を加熱して蒸発させる発熱体と、電源の投入により時間をはかる動作を開始するタイマー部と、このタイマー部に接続されて前記発熱体への通電開始初期の所定時間の間は前記発熱体の発熱温度を高くするとともに、前記所定時間の経過後には前記発熱温度を低くする電力制御手段とを具備した電気蚊とり器。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、殺虫用薬剤を発熱体で加熱して蒸発させて、部屋内に拡散させることにより、部屋内の蚊などを駆除する電気蚊とり器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、特開昭63−240738号公報に記載のように、殺虫用薬剤を加熱する発熱体をオン・オフするスイッチを備え、このスイッチの投入(オン)により発熱体に通電をする構成の電気蚊とり器が知られている。この他に、実開昭61−40884号公報に記載のように、タイマーを設けて、このタイマーにより発熱体の通電時間(すなわち動作時間)を制御する構成の電気蚊とり器が知られている。さらに、実開昭61−60684号公報に記載のように、タイマーを設けて、このタイマーにより所望の時間に発熱体への通電を開始させるとともに、その後所定時間の経過により発熱体への通電を停止させる構成の電気蚊とり器も知られている。そして、これらの電気蚊とり器は、その発熱体に商用交流電源の交流をそのまま与えて、夜間長時間にわたり連続して使用されるものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、部屋内の蚊などの駆除は、殺虫用薬剤の部屋内への蒸発が一定時間の間継続することにより実現されるものであって、数時間もの長時間を必要とするものではない。しかし、前記各従来例では、発熱体に商用交流電源の交流をそのまま与える構成である。換言すれば、通電率が一定の条件のもとで発熱体を発熱させて、長時間連続して使用される構成であるから、通電開始後一定の時間が経過して殺虫すべき蚊などがいない状態でも、それ以前と同じ加熱性能で殺虫用薬剤の蒸発が継続される。そのため、薬剤の無駄な消費が多いという問題があった。本発明の目的とするところは、薬剤の無駄な消費を少なくできるようにした電気蚊とり器を得ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明の電気蚊とり器は、殺虫用薬剤を加熱して蒸発させる発熱体と、電源の投入により時間をはかる動作を開始するタイマー部と、このタイマー部に接続されて前記発熱体への通電開始初期の所定時間の間は前記発熱体の発熱温度を高くするとともに、前記所定時間の経過後には前記発熱温度を低くする電力制御手段とを具備したものである。
【0005】
【作用】上記の構成において、発熱体の発熱は、これに与えられる電力を制御する電力制御手段で制御される。すなわち、この電力制御手段はタイマー部によりはかられる時間に基づいて動作され、通電開始初期における所定時間の間は、発熱体の発熱温度を高く保持するように発熱体への供給電力を制御し、前記所定時間の経過後には前記発熱温度を低くする保持するように発熱体への供給電力を制御する。そのため、電源の投入後前記所定時間の間は高温度となった発熱体によって、殺虫用薬剤を加熱して盛んに蒸発させて部屋内に多量に供給できる。そして、このような多量の供給により殺虫すべき蚊などがいなくなった状態に至る前記所定時間の経過後には、低温度となった発熱体によって殺虫用薬剤を加熱するから、その蒸発が抑制されるとともに、このような少量供給により蒸気化された殺虫用薬剤の部屋への充満を維持して、部屋外の蚊などが部屋内に侵入することを防止する。
【0006】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
【0007】図2〜図4において符号1は合成樹脂製の器体であって、第1器体構成部材2と第2器体構成部材3とを連結して構成されている。器体1の上部には合成樹脂製の蓋4が着脱可能に取付けられ、この蓋4はその上面中央部に開口4aを有している。第2器体構成部材3と蓋4とは図2に示すように面一に連なって円錐台状をなしている。
【0008】器体1の下部周面には図2および図3に示すように操作パネル5が装着されているとともに、これから90゜隔たった位置に透明な板を嵌めた一対の透視窓6が夫々装着されている。透視窓6は後述する薬剤の残量を外部から視認可能とするために設けられている。器体1の下部周面における操作パネル5から180゜離れた位置には電源コード7が貫通され、この貫通部分にはコードプロテクター8が設けられている。
【0009】第1器具構成部材2は図4に示すように下面が開口された薬剤収納筒11を有しており、この収納筒11の上面壁11aの略中央部には、内周面にねじ溝を有したねじ筒部12が下向に形成されている。薬剤収納筒11は前記各透視窓6に夫々対向する孔(図示しない)を有している。ねじ筒部12には薬剤収納筒11の内部に収納される薬剤タンク13が着脱可能に螺合されている。このタンク13は透明な合成樹脂製であって、その上面が開口されているとともに、内部には薬剤すなわち殺虫液が収納されている。さらに、薬剤タンク13には毛細管現象により殺虫液を吸い上げるセラミック製の薬芯14が収納され、この薬芯14の上部は薬剤タンク13の上面開口を通って上方に突出されている。
【0010】前記上面壁11aにはこれと一体に上向きのボス15が一対(図4において一つのみ示す)突設されており、これらのボス15にわたって載置された発熱装置16は、図示しないねじを介してボス15に固定されている。発熱装置16は、その平面形状が全体として円環形状をなしているとともに、前記ボス15に固定される電気絶縁性のケース17内に発熱体として正特性サーミスタ18を内蔵し、かつ、ケース17の内周面を覆って金属製の加熱円筒19を設けている。加熱円筒19は前記サーミスタ18と熱伝導的につながっているとともに、これには前記薬芯14が通されている。発熱装置16は第2器体構成部材3の上面に露出されているが、蓋4により覆い隠されているとともに、この蓋4の開口4aの真下に薬芯14の上端が配置されている。
【0011】器体1内には正特性サーミスタ18の発熱を制御する電子式制御装置21が収納されている。この制御装置21は、それが備えるプリント配線基板22の下端部を、第2器体構成部材3に設けた溝23に嵌めるとともに、前記基板22の上端部に固定板24を引掛け、この固定板24を前記上面壁11aにねじ止めすることによって固定されている。
【0012】制御装置21の構成は図1のブロック図に示されており、以下説明する。商用交流電源31には、マイクロコンピュータ用の電源回路32が接続されているとともに、正特性サーミスタ18が半導体電流制御素子としてのトライアック33の主電極間を介して接続されている。電源回路32からの電源は前記基板22に実装されたマイクロコンピュータ34に供給されている。このコンピュータ34には、波形成形回路35、操作スイッチ36、可視光センサ37、温度センサ38、および三つの表示ランプ39〜41が夫々接続されている。
【0013】波形成形回路35は、商用交流電源31に接続されており、この電源31の交流波形を時間をはかるため信号として利用できるように方形波に成形する回路である。可視光センサ37はCdSなどの光ー電気変換素子で形成されており、これは第1器体構成部材2の下部に設けた検知孔42(図2、図4参照)に対向して前記基板22に固定されている。温度センサ38は負特性サーミスタで形成されていて、可視光センサ37のそばに位置して前記基板22に固定されている。前記基板22に固定された操作スイッチ36は自動復帰型の押釦スイッチからなり、その押釦部は前記操作パネル5の表面に露出されて、器体1の外から押圧操作されるようになっている。表示ランプ39〜41は発光ダイオードからなり、これも前記基板22に固定されているとともに、操作パネル5の表面に露出されている。
【0014】マイクロコンピュータ34は、タイマー部45、通電率制御部46、手動運転制御部47、および自動運転制御部48を備えている。タイマー部45は、前記波形成形回路35から一定周期で出力される信号(方形波)を受けて、その方形波の数をカウントすることによって時間をはかるものである。なお、この回路に代えて水晶発振器をマイクロコンピュータ34に接続してもよい。
【0015】通電率制御部46は、タイマー部45につながっているとともに、その出力端は前記トライアック33のゲート電極に接続されている。この通電率制御部46は、トライアック33を介して前記サーミスタ18の通電率を変化させることによって、時間の経過にしたがい正特性サーミスタ18に与える電力を制御するものである。したがって、これら通電率制御部46とトライアック18とは、前記サーミスタ18に対する電力制御手段(本実施例では通電率制御手段)をなしている。この通電率制御部46は、電源の投入後30分の間は100%の通電率を維持し、その後は例えば60%の通電率を維持するような制御電流をトライアック33のゲート電極に加えるようになっている。
【0016】手動運転制御部47は、タイマー部45および通電率制御部46に夫々つながっている。この制御部47は通電率制御部46の動作継続時間を定めるものであって、連続通電モード、12時間通電モード、および8時間通電モードを持っている。これらの通電モードは前記操作スイッチ36を押す回数により選択される。すなわち、オフ状態にある操作スイッチ36を1回押圧操作することにより、連続通電モードが選択され、それから例えば2秒以内に更に操作スイッチ36が押圧操作されることにより、12時間通電モードが選択される、同様に、それから2秒以内に更に操作スイッチ36が再度押圧操作されることにより、8時間通電モードが選択され、また、この後に例えば操作スイッチ36が押圧操作されるとオフとなるように構成されている。また、この手動運転制御部47には前記各表示ランプ39〜41が接続されており、これらは選択された通電モードに対応して点灯表示する。すなわち、表示ランプ39は連続通電モードが選択された時に連続して点灯し、表示ランプ40は12時間通電モードが選択された時に連続して点灯し、表示ランプ41は8時間通電モードが選択された時に連続して点灯する。
【0017】自動運転制御部48は通電率制御部46につながっている。この制御部48は通電率制御部46の動作継続時間を例えば最長8時間に定めるとともに、その時間内で外的要因に応じて通電率制御部46の動作を一時停止させるものである。すなわち、外的要因として部屋の明るさと温度とが考慮されており、前記可視光センサ37と温度センサ38の各出力端は、夫々自動運転制御部46に接続されている。そのため、部屋の明るさが暗くなり、かつ室温が例えば23〜32℃となる条件が満たされた時に、この制御部48は通電率制御部46を動作させるようになっている。この自動運転制御部48は操作スイッチ36がオフ状態から押圧操作されて、そのまま2秒以上経過した時に動作されるものである。この制御部48も各表示ランプ39〜41に接続されており、これらランプ39〜40は自動運転制御部48の動作開始に基づいて、数秒の間点滅動作を繰返して、自動運転モードが選択されたことを表示し、その後は消灯するようになっている。
【0018】前記構成において、電源コード7の先端の図示しないプラグを商用交流電源31に接続して電源を投入すると、電源回路32が働くとともに、波形成形回路35が働いてタイマー部45が時間をはかる動作を開始し、かつ、可視光センサ37および温度センサ38が夫々動作する。しかし、この時点ではトライアック33は非導通状態にあるから、正特性サーミスタ18へは通電されない。
【0019】そして、操作スイッチ36が1回だけ押圧操作されて自動運転モードが選択されると、部屋の明るさが暗く、かつ室温が23〜32℃である場合に限り、自動運転制御部48を介して通電率制御部46が動作される。また、操作スイッチ36が2回以上所定時間内に押されて手動運転モードとなって、そのうちの連続通電モード、または12時間通電モード、或いは8時間通電モードのいずれかが選択されると、手動運転制御部47を介して通電率制御部46が動作される。
【0020】以上のようにして通電率制御部46が動作されることにより、正特性サーミスタ18への通電がなされて、蒸気化された薬剤が部屋内に供給されて、部屋内の蚊などを駆除できる。この駆除において、通電率制御部46はその動作開始から30分間はトライアック33のゲート電極に流すトリガ電流を連続して与えるから、この時間帯においてはトライアック33の導通時間に切れ目がない。したがって、100%の通電率をもって正特性サーミスタ18に通電できる。
【0021】このような通電により、正特性サーミスタ18は一般的に使用される発熱温度120℃よりも高温例えば130℃の温度を維持する。そのため、このサーミスタ18に熱伝導的につながった加熱円筒19による薬芯14の加熱性能が高く、薬芯14に吸い上げられた薬剤を極めて盛んに蒸発させて、部屋内に多量に供給できる。そのため、部屋内の蚊などが速やかに駆除されて、前記30分の時間帯で殺虫すべき蚊などがいない状態を得ることができる。
【0022】そして、前記30分の時間が経過すると、通電率制御部46はトライアック33のゲート電極に流すトリガ電流を間欠的に与えるから、以後自動的または手動操作により動作が停止するまでの時間帯においては、トライアック33が間欠的に導通され、60%の通電率をもって正特性サーミスタ18に通電できる。この間欠通電により、正特性サーミスタ18は一般的に使用される発熱温度120℃よりも低温例えば110℃の温度を維持するため、薬芯14に吸い上げられた薬剤の蒸発が抑制される。
【0023】このように、薬剤が多量に供給された前記30分の時間の経過により殺虫すべき蚊などがいない状態においては、薬剤の多量の蒸発が抑制されるから、薬剤の無駄な消費を少なくできる。しかも、既述のような低発熱により薬剤の部屋へ供給は継続しており、部屋には蒸発された薬剤が充満するために、部屋外から部屋内に蚊などが侵入することを防止できる。
【0024】なお、本発明は前記一実施例に制約されない。例えば、前記一実施例の構成において、自動運転制御部48は、それに可視光センサおよび温度センサを接続することに代えて、通電率制御部46の動作開始時間を任意に設定可能にし、自動運転モードが選択された場合に、設定された指定の時間に発熱体18への通電を通電率制御部46を介して発熱体への通電を開始させるとともに、自動運転制御部48に予め設定された固定の運転継続時間(例えば8時間)が経過することにより、運転を自動停止させるようにしてもよい。
【0025】また、前記一実施例では電力制御手段を、正特性サーミスタの通電回路に挿入されたトライアックと、マイクロコンピュータの通電率制御部とで形成したが、これに代えて、正特性サーミスタの通電回路に挿入されたダイオードと、これに並列接続されたスイッチと、このスイッチを機械的または電気的に開閉させるスイッチ制御部とで形成してもよい。さらに、電力制御手段として電流波形の振幅を変化させる電流波形制御手段を用いてもよい。
【0026】
【発明の効果】以上詳記したように本発明によれば、殺虫用薬剤を加熱して蒸発させる発熱体の発熱温度を、この発熱体への通電初期の所定時間の間は高くして殺虫用薬剤の蒸発を盛んにするとともに、その後は低くして殺虫用薬剤の蒸発を少なく抑制する構成であるから、通電開始後一定の時間が経過して殺虫すべき蚊などがいない状態下での殺虫用薬剤の無駄な消費を抑制できる。
- 【公開番号】特開平5−3744
【公開日】平成5年(1993)1月14日
【発明の名称】電気蚊とり器
- 【出願番号】特願平3−13618
【出願日】平成3年(1991)2月4日
【出願人】
【識別番号】000164140
【氏名又は名称】金沢工業株式会社
【識別番号】000207584
【氏名又は名称】大日本除虫菊株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦
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