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雑草除去殺菌装置
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- 【要約】
【目的】 火花放電により田畑や芝生から雑草を除去するとともにその土壌の殺菌を行なう際において、感電事故を防止して作業の安全性を高める。
【構成】 高電圧発生装置とこの高電圧発生装置に接続された高電圧電極16とを有し、前記高電圧電極16と土壌との間にパルス状高電圧又は直流高電圧又は交流高電圧を印加して雑草を火花放電により除去するとともに雑草の根の付近の土壌を高電界強度域とすることによって土壌の殺菌を行なう雑草除去殺菌装置において、地面にアースされたアース部材22,23,24を前記高電圧電極16の周囲に設けた。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 高電圧発生装置とこの高電圧発生装置に接続された高電圧電極とを有し、前記高電圧電極と土壌との間にパルス状高電圧又は直流高電圧又は交流高電圧を印加して雑草を火花放電により除去するとともに雑草の根の付近の土壌を高電界強度域とすることによって土壌の殺菌を行なう雑草除去殺菌装置において、地面にアースされたアース部材を前記高電圧電極の周囲に設けたことを特徴とする雑草除去殺菌装置。
【請求項2】 高電圧発生装置とこの高電圧発生装置に接続された高電圧電極とを有し、前記高電圧電極と土壌との間にパルス状高電圧又は直流高電圧又は交流高電圧を印加して雑草を火花放電により除去するとともに雑草の根の付近の土壌を高電界強度域とすることによって土壌の殺菌を行なう雑草除去殺菌装置において、雑草除去殺菌作業を行なう作業者が把持する把持部を設け、作業者が前記把持部を握った場合にのみオンとなる前記高電圧発生装置の電源スイッチを設けたことを特徴とする雑草除去殺菌装置。
【請求項3】 高電圧発生装置とこの高電圧発生装置に接続された高電圧電極とを有し、前記高電圧電極と土壌との間にパルス状高電圧又は直流高電圧又は交流高電圧を印加して雑草を火花放電により除去するとともに雑草の根の付近の土壌を高電界強度域とすることによって土壌の殺菌を行なう雑草除去殺菌装置において、雑草除去殺菌作業を行なう作業者が着用する高電圧防護服を設け、前記高電圧発生装置の電源と前記高電圧電極とを接続する接続部を前記高電圧防護服に設けたことを特徴とする雑草除去殺菌装置。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、田畑や芝生から雑草を除去するとともにその土壌を殺菌する雑草除去殺菌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、芝生等から雑草を除去するためには芝生等に除草剤を散布することが一般的であり、また、土壌の殺菌のためには殺菌剤を散布することが一般的である。
【0003】しかし、除草剤や殺菌剤等の農薬の散布は、環境汚染を招くとともに人体に対して悪影響を及ぼす危険性があり、好ましいものとはいえない。一方、農薬を使用せずに雑草を除去するためには、雑草を1本ずつ抜き取ればよいが、これには多大な時間と労力とを必要とするという欠点がある。
【0004】そこで、近年では特開平3−83534号公報に開示されたように、高電圧電極と土壌との間にパルス状高電圧又は直流高電圧又は交流高電圧を印加して火花放電を生じさせ、その火花放電により雑草を枯らして除去するとともに火花放電が行なわれた雑草の根の付近の土壌を高電界強度域とすることによってその土壌の殺菌を行なうようにした雑草除去殺菌装置が開発されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平3−83534号公報等に開示された従来の雑草除去殺菌装置においては、高電圧電極の周囲に水滴等が付着していた場合、作業者が感電する危険性がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明では、高電圧発生装置とこの高電圧発生装置に接続された高電圧電極とを有し、前記高電圧電極と土壌との間にパルス状高電圧又は直流高電圧又は交流高電圧を印加して雑草を火花放電により除去するとともに雑草の根の付近の土壌を高電界強度域とすることによって土壌の殺菌を行なう雑草除去殺菌装置において、地面にアースされたアース部材を前記高電圧電極の周囲に設けた。
【0007】請求項2記載の発明では、高電圧発生装置とこの高電圧発生装置に接続された高電圧電極とを有し、前記高電圧電極と土壌との間にパルス状高電圧又は直流高電圧又は交流高電圧を印加して雑草を火花放電により除去するとともに雑草の根の付近の土壌を高電界強度域とすることによって土壌の殺菌を行なう雑草除去殺菌装置において、雑草除去殺菌作業を行なう作業者が把持する把持部を設け、作業者が前記把持部を握った場合にのみオンとなる前記高電圧発生装置の電源スイッチを設けた。
【0008】請求項3記載の発明では、高電圧発生装置とこの高電圧発生装置に接続された高電圧電極とを有し、前記高電圧電極と土壌との間にパルス状高電圧又は直流高電圧又は交流高電圧を印加して雑草を火花放電により除去するとともに雑草の根の付近の土壌を高電界強度域とすることによって土壌の殺菌を行なう雑草除去殺菌装置において、雑草除去殺菌作業を行なう作業者が着用する高電圧防護服を設け、前記高電圧発生装置の電源と前記高電圧電極とを接続する接続部を前記高電圧防護服に設けた。
【0009】
【作用】請求項1記載の発明では、高電圧電極を保持する保持部材等に水滴が付着すること等によって火花放電時の電流がその保持部材等へ流れた場合、その電流はアース部材を介して地面へ流れることとなり、作業者が感電するという事故の発生が防止される。
【0010】請求項2記載の発明では、把持部を握った場合にのみ高電圧発生装置の電源スイッチがオンとなり、高電圧電極からの火花放電が行なわれる。また、作業中に感電する恐れのある危険な状態が発生した場合には、把持部から手を放すことによって電源スイッチがオフになるとともに火花放電が中断されるため、作業時の安全性が高くなる。
【0011】請求項3記載の発明では、高電圧発生装置の電源と高電圧電極との接続が高電圧防護服に設けた接続部を介して行なわれるため、作業者は必ず高電圧防護服を着用することとなり、作業時の安全性がより一層高くなる。
【0012】
【実施例】請求項1及び2記載の発明の第一の実施例を図1乃至図4に基づいて説明する。作業者が手押しすることにより走行する台車1が設けられており、この台車1には高電圧発生装置2が搭載され、この高電圧発生装置2は、図3に示すように、交流発電機3とトランス4と高電圧パルス発生回路5とにより構成されている。そして、前記高電圧パルス発生回路5は、前記トランス4に接続されたダイオード6、ダイオード6に対して抵抗7を介して並列に接続されたコンデンサ8、コンデンサ8に対して充電端子9と回転端子10とを介して並列に接続されたコンデンサ11、コンデンサ11に対して並列に接続された放電端子12とにより構成されている。また、前記台車1には地面に対して抜き差し自在な針状アース部材13が設けられており、この針状アース部材13には前記高電圧発生装置2のアース線14が接続されている。
【0013】つぎに、塩化ビニル等の絶縁部材により形成された細長いパイプ状のスティック15が設けられており、このスティック15の内部には高電圧電極16を埋設したケーブル17が装着されている。なお、前記高電圧電極16の基部には、前記台車1と前記スティック15とを連結するケーブル18内に配設された電線19の一端が接続され、この電線19の他端は前記高電圧発生装置2に接続されている。また、前記スティック15の先端部には略円柱状の絶縁体20が固定されており、この絶縁体20の中央部に前記高電圧電極16の先端部が挿通されている。
【0014】前記スティック15の先端側外周には電流の表面漏れ距離を長くするための碍子21が一体的に形成されており、さらに、前記スティック15の外周部にはこの碍子21より先端側に位置するとともに導電部材により形成されたアース部材であるステイ22,23が固定されている。前記ステイ22,23には導電部材により形成されたアース部材である一対のロッド24が前記スティック15の軸心方向にそって摺動自在に取付けられており、これらのロッド24を前記スティック15の先端方向へ摺動する向きに付勢するスプリング25が前記ステイ23とロッド24の先端部との間に取付けられており、スプリング25が圧縮されない通常状態においては、ロッド24の先端部は前記スティック15の先端部より延出している。さらに、前記スティック15の先端側外周には前記ステイ22,23及び前記ロッド24を覆う絶縁部材により形成されたカバー26が固定されており、このカバー26の外周部にも電流の表面漏れ距離を長くするための碍子27が一体的に形成されている。また、前記スティック15及び前記ケーブル18内を挿通する電線28が設けられており、この電線28の一端は前記ステイ22に接続され、電線28の他端は前記針状アース部材13に接続されている。
【0015】前記スティック15の外周部にはこのスティック15を把持するための把持部29が設けられており、この把持部29には前記高電圧発生装置2の二個の電源スイッチ30,31が設けられている。なお、一方の電源スイッチ30は主に親指によりオン,オフ操作されるスイッチであり、他方の電源スイッチ31は把持部29を握った際に人差指によりオンされるスイッチである。さらに、前記台車1には、前記高電圧発生装置2の主電源スイッチ32が設けられている。
【0016】このような構成において、まず、高電圧電極16から火花放電が行なわれるメカニズムについて説明する。主電源スイッチ32と電源スイッチ30,31とをオンさせると、交流発電機6からの交流電圧がトランス4において高圧化され、高圧化された高電圧が高電圧パルス発生回路5のダイオード6で直流に整流され、抵抗7を介して接続されたコンデンサ8に充電される。コンデンサ8に充電された電圧が所定電圧に達すると、充電端子9と回転端子10とのギャップが短絡してコンデンサ11に充電され、コンデンサ11に充電された電圧が所定電圧に達すると回転端子10が放電端子12に対向する位置へ回転する。そして、この状態が高電圧電極16から火花放電をすることが可能になった状態であり、スティック15の先端部を地面へ近付けるとともに高電圧電極16の先端部と雑草33との間の間隔が所定寸法以下になると、コンデンサ11に充電された高電圧がパルス状高電圧として高電圧電極16と土壌との間に印加されるとともに高電圧電極16の先端部と土壌との間に雑草33を介して火花放電が生じる。なお、この火花放電による高電圧電極16と雑草33との間の電界強度は、例えば、10KV/cm以上となるように設定されており、この火花放電によって雑草33は葉や茎及び根の細胞が破壊されて枯れ、芝生から除去される。また、この火花放電により、土壌中に放電電流が拡散されるため、雑草33の根の付近が高電界強度域となって土壌の殺菌が同時に行なわれる。
【0017】つぎに、火花放電による雑草除去殺菌作業の具体的手順について説明する。台車1を作業地域へ移動させた後、針状アース部材13を地面へ突き刺すことにより高電圧発生装置2のアースを行ない、さらに、主電源スイッチ32をオンさせる。ついで、作業者がスティック15の把持部29を握るとともにスティック15の先端部に位置する高電圧電極16の先端部を雑草33に近接させる。そして、電源スイッチ31,32をオンさせることにより、上述したメカニズムによって火花放電が行なわれ、雑草33の除去と土壌の殺菌とが行なわれる。なお、台車1を停止させた状態で行なえる範囲の雑草除去殺菌作業が終了した後は、台車1を移動させるとともに同様にして雑草除去殺菌作業を繰り返す。
【0018】ここで、高電圧電極16の周囲には、地面へアースされたステイ22,23及びロッド24が設けられている。このため、スティック15の先端側に水滴が付着していた等の理由によって火花放電時の電流がスティック15へ流れても、その電流はロッド24やステイ22,23及び電線28を介して針状アース部材13から地面へ流れ、あるいは、ロッド24が接地している際にはロッド24から直接地面へ流れるため、感電事故の発生が防止される。しかも、ロッド24やステイ22,23が絶縁部材のカバー26で覆われているため、スティック15の先端部やロッド24に接触する危険性が低下し、このような接触による感電事故の発生も防止される。さらに、スティック15の外周部には碍子21が形成されるとともにカバー26の外周部にも碍子27が形成されているため、漏電した場合であってもその電流が把持部29まで至ることが防止され、把持部29を把持している作業者の感電が防止される。
【0019】また、作業中に感電する虞れのある危険な状態が発生した場合には、把持部29から手を放すことによって電源スイッチ32がオフになるとともに火花放電が中断される。従って、作業時における安全性が高くなる。
【0020】ついで、請求項1又は2記載の発明の第二の実施例を図5に基づいて説明する。なお、図1乃至図4において説明した部分と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する(以下、同様)。本実施例は、高電圧パルス発生回路5に代えて一つのコンデンサ34のみからなる高電圧パルス発生回路35を用いたものである。主電源スイッチ32及び電源スイッチ30,31をオンさせることにより交流発電機6からの交流電圧がトランス4において高圧化され、高圧化された高電圧がコンデンサ34に印加されるとともにコンデンサ34に充電される。そして、コンデンサ34に充電された電圧が所定電圧に達することによって高電圧電極16から火花放電が可能な状態となる。従って、主電源スイッチ32と電源スイッチ30,31とをオンとすることによりコンデンサ34への充電が行なわれ、さらに、高電圧電極16を雑草に対向させてその間隔を所定寸法以下とすることにより、コンデンサ34に充電された高電圧がパルス状高電圧として高電圧電極16と土壌との間に印加されるとともに高電圧電極16と土壌との間に雑草33を介して火花放電が行なわれる。
【0021】ついで、請求項3記載の発明の一実施例を図6に基づいて説明する。本実施例は、火花放電により雑草除去殺菌作業を行なう作業者が着用する高電圧防護服36を設け、この高電圧防護服36に、高電圧発生装置2の電源である交流発電機3と高電圧電極16とを接続する接続部37を設けたものである。従って、雑草除去殺菌作業を行なう場合には、高電圧防護服36を着用するとともに接続部37によって交流発電機3と高電圧電極16とを接続しなければならない。このため、作業時には高電圧防護服36を必ず着用することとなり、作業の安全性が大幅に高くなる。
【0022】
【発明の効果】請求項1記載の発明のように、火花放電を行なう高電圧電極の周囲に地面にアースされたアース部材を設けたことにより、火花放電時の電流が外部へもれた場合であっても、その電流はアース部材を介して地面へ流れることとなり、作業者が感電するという事故の発生を防止して作業の安全性を高めることができ、また、請求項2記載の発明のように、把持部を握った場合にのみオンとなる高電圧発生装置の電源スイッチを設けたことにより、作業中に感電する虞れのある危険な状態が発生した場合には、把持部から手を放すことによって電源スイッチを瞬時にオフとすることができ、よって作業時の安全性をさらに高めることができ、また、請求項3記載の発明のように、高電圧発生装置の電源と高電圧電極とを接続する接続部を備えた高電圧防護服を設けたことにより、作業時には必ず高電圧防護服を着用することとなるため、作業時の安全性をより一層高めることができる等の効果を有する。
- 【公開番号】特開平5−56741
【公開日】平成5年(1993)3月9日
【発明の名称】雑草除去殺菌装置
- 【出願番号】特願平3−222737
【出願日】平成3年(1991)9月3日
【出願人】
【識別番号】000198330
【氏名又は名称】石川島芝浦機械株式会社
【識別番号】000193531
【氏名又は名称】
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】柏木 明
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