捕虫器
- 【要約】
【目的】 むかでやゴキブリ等の虫を直接手を触れることとなく安全容易にだれでも捕獲できる。
【構成】 柄筒(1)の後端に、引き金(5)を持つ把手(2)を取り付け、柄筒(1)の先端に引き金(5)を操作することにより開閉する左右一対がヒンジにより連結して対向的に配置されている捕虫板(11)を設け、この捕虫板(11)の外側を囲んで先端が開口している角筒部を有する外筒(13)を、先端を捕虫板(11)の先端より突出させて、柄筒(1)に摺動自在かつ先端方向に付勢して装着したもので、捕虫板(11)の内側に沿って着脱自在に係合し、捕虫板(11)に同調して開閉する捕虫カートリッジ(15)を用いる場合もある。把手(2)を持って外筒(13)の先端で虫の周りを囲み、引き金(5)を操作して捕虫板(5)または捕虫カートリッジ(15)の中に虫を捕獲する。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 柄筒の、一端に引き金を持つ把手を取り付け、他端に前記引き金により開閉する左右一対がヒンジにより連結されて対向している捕虫板を装着し、該捕虫板の周りを囲む角筒部を有する外筒を、先端の開口部を前記捕虫板の先端よりも突出させて、前記柄筒に摺動自在かつ先端方向に付勢して装着したことを特徴とする、捕虫器。
【請求項2】 前記捕虫板は先端が、平常時に開いており、前記引き金を引いたとき閉じる構造とした、請求項1の捕虫器。
【請求項3】 前記捕虫板は先端が、平常時に閉じており、前記引き金を引いたとき開く構造とした、請求項1の捕虫器。
【請求項4】 前記捕虫板の内側に沿って該捕虫板に着脱自在に係合し、かつ同調して先端を開閉し、閉時に全周を閉じる捕虫カートリッジを設けた請求項1の捕虫器。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ゴキブリ、むかで等の虫類を捕獲するための捕虫器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】屋内等でゴキブリやむかでなどが出た場合、従来は手近にある蠅叩き等の適当な物を使って叩いたり、刺されたり噛まれるおそれのない場合は手で直接叩くなどして捕獲していた。しかし、女性や子供は虫を怖がるものであり、虫を叩いて殺すことはとてもできなくて困る場合が多かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題点は、虫を叩いたりつかむなどすると、潰された虫により床などが汚れてこれを後で清掃するのに手数が掛かったり、手に汚物が付着して気持ちが悪かったり、さらに潰された虫がいかにも残酷に見えて嫌悪を感じるとともに、死骸を火箸などで摘んで捨てねばならないといった点および女性や子供は虫を捕りにくい点であり、これらの課題を解決することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、柄筒の、一端に引き金を持つ把手を取り付け、他端に前記引き金により開閉する左右一対がヒンジにより連結されて対向している捕虫板を装着し、該捕虫板の周りを囲む角筒部を有する外筒を、先端の開口部を前記捕虫板の先端よりも突出させて、前記柄筒に摺動自在かつ先端方向に付勢して装着した捕虫器である。
【0005】この捕虫器には、平常時に捕虫板の先端が開いていて、そのままで捕虫板内に虫を捕捉したのち引き金を引き捕虫板を閉じて虫を閉じ込めるものと、平常時に捕虫板の先端が閉じていて、引き金を引いて捕虫板を開き捕虫板内に虫を捕捉した後引き金を離し捕虫板を閉じて捕虫するものとがある。
【0006】また、この捕虫器の捕虫板の内側に沿ってこの捕虫板に着脱自在に係合し、かつ同調して先端を開閉し、閉時に全周を閉じる捕虫カートリッジを設ける場合がある。
【0007】
【作用】この捕虫器は、片手で把手を持ち、外筒の先端の開口部を虫のいる周囲に押し当てて外筒内に先ず虫を捕捉した後引き金を操作して捕虫板を閉じれば、捕虫板と外筒の側壁に囲まれた空間内または捕虫カートリッジ内に虫が捕捉される。これをそのまま他の場所に持ってゆき引き金を操作して捕虫板内の虫を捨て、または虫の入った捕虫カートリッジをト取り出してそのまま捨てる。虫を閉じ込めたところへ殺虫剤を小孔や隙間から噴射して殺す場合もある。
【0008】
【実施例】以下この発明を、図面に示す実施例に基づいて詳細説明する。
【実施例1】 図1〜図15は本発明の常時開いている捕虫板が引き金を引くと閉じて捕虫する構造の実施例であって、図1は平常時の中央縦断側面図、図2は捕虫時の状態を示す要部切断側面図、図3は図1のA−A断面図、図4は図1をB−B矢方向に見た図であって、(1)は柄筒で、プラスチックパイプからなり、上端に、縦に2つ割りされたほぼ四角形の枠型の下端に円筒部(2a)を持つ把手(2)が、ゴム状物質からなる可撓リング(3)を介して取り付けられる。
【0009】この取り付けは、図1に示す如く、縦に2つ割りされて柄筒(1)の上端を抱いて取り付けられている連結部材(4)の内周に形成されている環状溝と、同じく縦に2つ割りされている把手(2)の下端部内周に形成されている環状溝とに、可撓リング(3)の両端外周に形成されているフランジがそれぞれ嵌まって、柄筒(1)と把手(2)とが可撓性をもって連結される。
【0010】この把手(2)の円筒部(2a)が可撓リング(3)を抱き締めるためのねじ止め部を図1のC−C断面として図5に示し、同じく連結部材(4)が柄筒(1)と可撓リング(3)を抱き締めるためのねじ止め部を図1のD−D断面として図6に示し、連結部材(4)のねじ止め部の内部に張り出している半円筒状突起(4a)が、柄筒(1)に形成されている半円筒状突起(4a)と同一形状の凹入部に係合して抜け止めを果たしている。
【0011】(5)は引き金で、把手(2)の四角形の枠型の中に横長に位置して、両端部が把手(2)の両側辺をガイドとして上下動可能に配置され、把手(2)の両側辺の内部に嵌め込まれている引き金スプリング(6)の下端が両端部の上面に当接していて、常時下向きに付勢されている。
【0012】この引き金(5)の左右両端部に、逆山形に折り曲げられた金属線材からなる開閉杆掛け金(7)の両端が係合していて、この開閉杆掛け金(7)は把手(2)の内部にあって引き金(5)の上下動が支障なく行えるだけの空間が把手(2)に形成されている。
【0013】(8)は開閉杆で、金属線材からなり、上端に固着したリング(8a)が開閉杆掛け金(7)に係合し、下端に、後述する捕虫板に連係させるためのフック(8b)を形成して柄筒(1)内を垂下している。
【0014】(9)は捕虫板ブラケットで、図7に平面図で示した如く縦に2つ割りされて下半部をほぼ長方形の箱型部に形成され、上半部に形成されている円筒部(9a)が柄筒(1)の下端外周を抱いて、連結部材(4)の場合と同様にねじ止め部の内部に張り出している半円筒状突起(9b)が柄筒(1)に形成されている凹入部に係合して抜け止めを果たして取り付けられており、この捕虫板ブラケット(9)の下端部の縦割り面と平行する面の中心部の内側に捕虫板支持軸(10)が対向的に突出して設けられている。
【0015】(11)は捕虫板で、図8の端面図、図9の平面図、図10の図8をP矢の方向に見た図に示す如く、鈍角に折り曲げられた左右一対の板状物からなり、それぞれの上端の前後端に欠落部(11a)を持ち、この欠落部(11a)にヒンジ環(11b)が突設されているとともに、上端のほぼ中央部に開閉アーム(11c)が突出して設けてあり、さらに折り曲げの下向き辺の内側のほぼ中央に、後述する捕虫カートリッジを係合保持するための小突起(11d)が形成されている。
【0016】この捕虫板(11)は、左右一対が向かい合ってヒンジ環(11b)を捕虫板ブラケット(9)の捕虫板支持軸(10)に通し、開閉アーム(11c)の先端に一端を回動自在に連結した一対の開閉リンク(12)の先端が一致して開閉杆(8)の下端のフック(8b)に係合して組立てられ、平常時は図1に示す如く引き金スプリング(6)により下向きに押し下げられている引き金(5)、開閉杆掛け金(7)、開閉杆(8)、開閉リンク(12)を経て図1の状態に開いて上辺が捕虫板ブラケット(9)の下端に当接して開度が規制されており、この状態から引き金(5)を引き上げると、引き金スプリング(6)を圧縮しながら、開閉杆掛け金(7)、開閉杆(8)、開閉リンク(12)が引き上げられて、図2の状態に先端を閉じるものである。
【0017】(13)は外筒で、図1をB−B線方向に見た図4に示す如く、開いた状態の捕虫板の周囲に接近してこれを囲む長方形の筒体の下端を開口し、上部を漸次角錐状に縮小して上端に円筒部(13a)を形成し、この円筒部(13a)が柄筒(1)の外周に摺動自在に嵌まっていて、この円筒部(13a)と連結部材(4)との間に柄筒(1)の外周に挿嵌された外筒スプリング(14)が介在して、この外筒(13)を常時下向きに付勢している。
【0018】(15)は捕虫カートリッジで、プラスチックの如き弾力性を有する材料により薄く作られ、図13、図14、図15に示す如く端面がほぼ三角形の左右1対の箱状物の一辺が屈折自在な折り目(14a)により一体に連結されていて、材料自体の弾性により折り目(15a)を中心として左右に開く性質を備えており、外側の中央部に捕虫板(11)の小突起(11d)に係合する左右一対の係合凹部(15b)が形成され、さらに前後端面の合わせ部に閉じた状態を保持するための、図15に拡大断面で示した係合爪(15c)が設けてある。
【0019】この捕虫カートリッジ(15)は、平常時は図13の状態に下端を開いて図11に示す如く捕虫板(11)の内面に沿って係合凹部(15b)が小突起(11d)に係合して保持されており、引き金(5)を引いて図12の如く捕虫板(11)を閉じると捕虫カートリッジ(15)は折り目(15a)から折れ曲がって閉じて係合爪(15c)が係合する。
【0020】係合爪(15c)を設けない場合もあり、この場合閉じた状態を保つには図12の如く閉じたまま先端を適当な接着テープで止めるものである。
【0021】また、この捕虫カートリッジ(15)には周囲の1箇所に小さな殺虫剤注入孔(16)を設ける場合がある。
【0022】上記捕虫板(11)と、外筒(13)と、捕虫カートリッジ(15)は、内部に捕えた虫を外から確認するために、透明なプラスチックで製作するのが望ましい。
【0023】次に捕虫方法を説明すると、図1の状態で把手(2)を片手に持って捕らえようとする虫の周りにの床等に外筒(13)の先端の開口部を押し当てて虫を捕捉するが、このとき、押し当てる力の方向が床面等と非直角であっても可撓リング(3)が撓んで外筒(13)の開口部を隙間なく床等に接せしめて虫を逃がさないようになっている。
【0024】さらに、把手(2)を押し下げる力により外筒(13)はそのままでそれ以外の部分が外筒スプリング(14)を圧して下降し、開いている捕虫板(11)の先端が床面に接して下降が停止したとき引き金(5)を引くと、開閉杆掛け金(7)、開閉杆(8)、開閉リンク(12)が引き上げられることにより、捕虫板(11)の先端が床面を摺りながら閉じて図2の状態となり、虫は捕虫板(11)と外筒(13)の内壁とに囲まれた捕虫空間(S)内に捕獲されれる。
【0025】この捕獲した虫は、捕虫空間(S)内に隙間から殺虫剤を注入して殺して捨てる、あるいはそのまま屋外に放してやることもできる。捕虫カートリッジ(15)を使用する場合は、虫を閉じ込めたままごみ捨てに捨てる。
【0026】
【実施例2】図16〜図21は別の実施例を示し、平常時に閉じている捕虫板が引き金を引いたときに開く構造のものであって、実施例1と同一のものには同じ符号を付してあり、図16は平常時の中央縦断側面図、図17は捕虫板を開いた状態の要部縦断側面図で、構造上実施例1と異なる点は捕虫板(11)に突設する開閉アーム(11e)のみで、実施例1の開閉アーム(11c)は平常時の図1の状態で左右のものが交差しているのに対して、実施例2の開閉アーム(11e)は図16に示す如く非交差であって、その詳細を図18、図19に示している。
【0027】この開閉アーム(11e)の先端が引き金スプリング(6)により押し下げられると、開閉板(11)の先端が図16の状態に閉じ、引き金(5)を引くと図17の状態に開くものであって、捕虫の際は先ず引き金(5)を引いて捕虫板(11)を開いた後、上記した実施例1の場合と同様に外筒(13)内に虫を捕捉して把手(2)を押し下げ捕虫板(11)の先端を床に当ててから引き金(5)を離せば、引き金スプリング(6)の反発力により捕虫板(11)を図16の状態に閉じて虫を捕虫空間(S)内に捕獲するものである。
【0028】図20、図21はこの実施例2に実施例1とは異なる捕虫カートリッジ(17)を使用する場合を示し、この捕虫カートリッジ(17)は実施例1の場合の係合爪(15c)を持たず、内面に虫が付着して逃げないための粘着剤(15d)が塗布してあるもので、その他の構造は実施例1の捕虫カートリッジ(15)と同様である。
【0029】こうして粘着剤(15d)が塗布してあると、捕虫した場合に引き金(5)から手をはなした状態で捕虫カートリッジ(17)は閉じているため虫が逃げることなく、逃げようとして動くことにより粘着剤(17a)に付着して逃げられなくなるから、そのまま次の捕虫を繰り返すことができ、最後に捕虫カートリッジ(17)の先端を粘着テープで止めて捨てるもので、1個の捕虫カートリッジに複数匹の虫を捕獲することができて経済的であり、こうした使用法が実施例2の主目的とするところである。
【0030】この粘着剤付の捕虫カートリッジ(17)を実施例1に使用することもできるもものである。
【0031】
【発明の効果】以上説明したこの発明に係わる捕虫器を使用すれば、むかでやゴキブリ等の虫が出た場合に、叩き潰したり、直接手を触れる必要がないので、刺されたり噛まれる危険がなくて虫の嫌いな婦人や子供でも簡単に虫を捕獲することができるとともに、虫が潰された無残な状態を見て嫌悪を感じることもなく、潰されることにより床等を汚すこともなくて、清潔に虫を捕獲して捨てることができ、家庭に常備して便利重宝するものである。
- 【公開番号】特開平5−7446
【公開日】平成5年(1993)1月19日
【発明の名称】捕虫器
- 【出願番号】特願平3−189390
【出願日】平成3年(1991)7月2日
【出願人】
【識別番号】591172571
【氏名又は名称】
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 隆 (外1名)
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