スプリンクラーヘツドと配管の接続構造
- 【要約】
【目的】 配管施工を簡素化できるスプリンクラーヘッドと配管の接続構造を提供する。
【構成】 天井の配管から分岐する枝管20に屈曲可能な可撓管継手11を介してスプリンクラーヘッド10を接続し、天井にはスプリンクラーヘッド10を所望の位置に取り付ける固定金物4を設置し、固定金物4には、スプリンクラーヘッド10を挿通してその芯出しを行なう孔6を設け、可撓管継手11の先端部にはスプリンクラーヘッド10を孔6に挿通した状態で可撓管継手11の先端部を固定金物4に固定する上下一対のナット19a、19bを装備する。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 天井の配管から分岐する枝管に屈曲可能な可撓管継手を介してスプリンクラーヘッドが接続され、前記天井には前記スプリンクラーヘッドを所望の位置に取り付ける固定金物が設置され、当該固定金物には、前記スプリンクラーヘッドを挿通してその芯出しを行なう孔が設けられ、前記可撓管継手の先端部にはスプリンクラーヘッドを孔に挿通した状態で当該可撓管継手の先端部を固定金物に固定する上下一対のナットが装備されていることを特徴とするスプリンクラーヘッドと配管の接続構造。
【請求項2】 前記孔には当該孔に挿通したスプリンクラーヘッドを取り付け位置に案内する小孔が連通し、前記下のナットの外径は、前記孔の口径よりも小さくかつ前記小孔の口径よりも大きく設定されていることを特徴とするスプリンクラーヘッドと配管の接続構造。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スプリンクラー設備におけるスプリンクラーヘッドと配管の接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般のスプリンクラー設備の配管施工においては、天井ボードの目地や他の天井設置器具との取り合いが多いため、スプリンクラーヘッドの取り付けにはたとえば±10ミリメートル前後の比較的高い精度の芯出しが要求されている。また、天井裏の他の設備との納まり上、枝管からその末端であるスプリンクラーヘッドまでの間の巻出し配管は、障害物をかわして配管する必要がある。このため、直管の他に数個の曲管継手を用い、予め直管の寸法を測るとともに加工場で直管、曲管継手のねじ切りを行なった上で、現場配管を行なうので、非常に手間がかかる問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のような在来工法の配管方式としては、その他にもステンレス製の回転継手、フレキシブル配管等により作業軽減を図る工法が提案されているが、これらの工法では未だ上記問題点を有効に解決し得るとは言い難かった。
【0004】本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、配管施工を簡素化できるスプリンクラーヘッドと配管の接続構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明のスプリンクラーヘッドと配管の接続構造では、天井の配管から分岐する枝管に屈曲可能な可撓管継手を介してスプリンクラーヘッドを接続し、前記天井には前記スプリンクラーヘッドを所望の位置に取り付ける固定金物を設置し、当該固定金物には、前記スプリンクラーヘッドを挿通してその芯出しを行なう孔を設け、前記可撓管継手の先端部にはスプリンクラーヘッドを孔に挿通した状態で当該可撓管継手の先端部を固定金物に固定する上下一対のナットを装備することを前記課題の解決手段としている。
【0006】なお、前記孔には当該孔に挿通したスプリンクラーヘッドを固定位置に案内する小孔を連通し、前記下のナットの外径は、前記孔の口径よりも小さくかつ前記小孔の口径よりも大きく設定することが望ましい。
【0007】
【作用】本発明においては、先端にスプリンクラーヘッドを取り付けた可撓管継手の後端を枝管に接続し、可撓管継手を屈曲させて天井に取り付けた固定金物の孔にスプリンクラーヘッドを差し込み、上下一対のナットにより可撓管継手の先端部を固定金物に固定することで、スプリンクラーヘッドを所定位置に取り付けることができる。したがって、使用する曲管継手の数が減り、また、予め直管の寸法出しも不要であるため、スプリンクラーヘッドの配管施工が簡素化される。
【0008】
【実施例】以下本発明の一実施例を、図1ないし図10を参照して説明する。
【0009】図1ないし図3はスプリンクラーヘッド10の配管施工の手順を示している。以下手順にしたがい説明する。
【0010】図1に示すように、天井裏には天井下地チャンネル1が平行に架設され、この天井下地チャンネル1の上にはこれと直交する方向に支持用チャンネル2が架設され、両者は固定用金物3により固定されている。また、隣接する支持用チャンネル2、2間には天井下地チャンネル1と平行にスプリンクラーヘッド10を固定する固定用チャンネル(固定金物)4が架設され、両者は固定用金物5により固定されている。この固定用チャンネル4にはスプリンクラーヘッド10を挿入してその芯出しを行なう孔6が上下方向に貫通している。かかる固定用チャンネル4は孔6をスプリンクラーヘッド10の芯に合わせる形で取り付けるようにしている。
【0011】図2に示すように、天井裏にはスプリンクラーヘッドに水を供給する配管から分岐する枝管20が吊り下げられており、この枝管20の先端には曲管継手21が一体に設けられている。この曲管継手21のねじ部22には図2に示すように枝管20と直交する下方に可撓管継手11の一端をねじ嵌合して接続するようになっている。
【0012】この可撓管継手11は、図4に示すように、可撓性を有するチューブ15およびその表層のブレード16から成る可撓部12と、可撓部12の一端にブレード押え17を介して一体に設けられたニップル13と、可撓部12の他端にブレード押え18を介して一体に設けられたレヂューサー14とを具備して成るものである。そして、前記ニップル13の先端外周にはねじが切られており、パイプレンチ等でニップル13を曲管継手21のねじ部22にねじ嵌合して接続するようになっている。また、レヂューサー14の先端外周にはねじが切られており、スプリンクラーヘッド10をねじ嵌合して取り付けるようになっている。このレヂューサー14の基端外周にもねじが切られており、2枚のナット19a、19bが装着されている。基端側のナット19aはレヂューサー14に固定され、先端側のナット19bはフリーとされ、回転させて軸方向に移動できるようになっている。
【0013】枝管20の曲管継手21に可撓管継手11の一端を接続したら、図3に示すように、可撓管継手11を屈曲させた上で、先端のスプリンクラーヘッド10を固定用チャンネル4の孔6に上から差し込むようになっている。孔6の口径はスプリンクラーヘッド10とともに下側のナット19bが上下に通過する程度の大きさとされている。この孔6には、図5に示すように、固定用チャンネル4の長手方向に位置すると共にスプリンクラーヘッド10をその取り付け位置に案内する小孔7が連通している。この小孔7の口径はナット19a、19bの外径よりも小さく設定されている。また、孔6と小孔7との間の狭口部8の幅は、少なくともレジューサー14の基端、または、レジューサー14にネジ込まれたスプリンクラーヘッド10のネジ部の外径よりも大きく設定されている。
【0014】孔6に差し込まれた状態のスプリンクラーヘッド10を小孔7に案内して所定位置に取り付ける場合には、図5〜図10の手順で行なう。まず、図5、図6に示すように、孔6にスプリンクラーヘッド10を差し込み、下のナット19bを通過させる。そして、図7に示すように下のナット19bを緩めてスプリンクラーヘッド10の上に乗った状態とし、図8に示すようにレヂューサー14の狭小部分を利用して小孔7にずらす。この状態から、図9に示すようにレヂューサー14を上の固定ナット19aが当たるまで下方へ差し込むとともに、図10に示すように下のナット19bを締めて上の固定ナット19aと共に固定用チャンネル4を挟み込んで固定し、レヂューサー14を固定用チャンネル4に固定する。これにより、スプリンクラーヘッド10が所望の位置に取り付けられ、たとえ、長期にわたり、ナットが緩んだとしても、決して横ズレして抜ける事のない状態で維持されることとなる。
【0015】本実施例によれば、以下のような効果を奏する。
(イ)可撓管継手11を工場制作し、スプリンクラーヘッド10を先行して加工場で可撓管継手11に取り付けることにより、現場施工では枝管21の曲管継手22に可撓管継手11の一端を接続すると共に、他端のスプリンクラーヘッド10を固定用チャンネル4の孔6に差し入れて固定するだけの施工で済むから、スプリンクラーヘッド10の精密な芯出し作業が不要となるとともに、スプリンクラーヘッド10と枝管20との接続が簡単に行なえ、さらに直管の寸法出しが不要となるから、工程の省略化ならびに工期の短縮化を図ることができる。
【0016】(ロ)可撓管継手11は自由に曲げて使用できるから、管継手としてのフレキシブル性が高く、従来直管をつなぐのに要していた曲管継手の数を減らして、接続作業を省略化できるとともに、漏水の発生原因となる箇所を減らしてスプリンクラー設備としての品質の向上を図ることができる。また、補修箇所が減るので、施工後のメンテナンス費用の削減を図ることもできる。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、屈曲可能な可撓管継手を介して枝管とスプリンクラーヘッドを接続し、可撓管継手を屈曲させて天井に取り付けた固定金物の孔にスプリンクラーヘッドを差し込み、上下一対のナットにより可撓管継手の先端部を固定金物に固定することで、スプリンクラーヘッドを簡単に所定の位置に取り付けることができる。したがって、スプリンクラーヘッドの現場での配管施工が簡素化されるとともに、施工工程の省略化が図れ、工期短縮化が図れる。また、使用する曲管継手の数が減るので、漏水の原因となる箇所が減り、スプリンクラー設備の品質が向上するとともに、施工後のメンテナンスが容易となる効果がある。
- 【公開番号】特開平5−84321
【公開日】平成5年(1993)4月6日
【発明の名称】スプリンクラーヘツドと配管の接続構造
- 【出願番号】特願平3−212443
【出願日】平成3年(1991)8月23日
【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 良徳 (外3名)
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