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鉄道信号機用電球の断芯検知装置
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- 【要約】
【目的】 鉄道信号機のどの電球が断芯したのか、および断芯が片断芯か両断芯かを判定して検知することができること。
【構成】 複数の電球G,Y,Rを有する鉄道信号機の電球共通線1に設けられた電球電流検知用の電流トランス2と、各電球回路5,6,7と並列に設けられた電圧計4と、この電圧計と各電球回路間にそれぞれ異なる抵抗値をもって接続された抵抗R1,R2,R3と、電圧計4の指示値によりどの電球が断芯しているかを判定するとともに、各電球の電源電圧VIを電球電流Isで割算して各電球のフィラメント抵抗を求め、このフィラメント抵抗が定格値より大きく、かつ定格値より大きい値に設定された所定値より小さければ片断芯、定格値より大きく、かつ所定値より大きければ両断芯と判定する判定手段13,14,15とを具えている。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の電球を有する鉄道信号機の電球共通線に設けられた電球電流検知用の電流トランスと、各電球回路と並列に設けられた電圧計と、この電圧計と各電球回路間にそれぞれ異なる抵抗値をもって接続された抵抗と、前記電圧計の指示値によりどの電球が断芯しているかを判定するとともに、各電球の電源電圧を電球電流で割算して各電球のフィラメント抵抗を求め、このフィラメント抵抗が定格値より大きく、かつ定格値より大きい値に設定された所定値より小さければ片断芯、定格値より大きく、かつ所定値より大きければ両断芯と判定する判定手段とを具えたことを特徴とする鉄道信号機用電球の断芯検知装置。
【請求項2】 判定手段が電源電圧、電球電流、各電球電圧をメモリする記憶部と、割算演算部と、比較演算部とからなっている請求項1記載の鉄道信号機用電球の断芯検知装置。
【請求項3】 判定手段により判定される各電球の断芯の有無、および断芯していた場合にその断芯が片断芯か両断芯かを表示する表示部を設けた請求項1又は2記載の鉄道信号機用電球の断芯検知装置。
【請求項4】 両断芯の場合に自動列車停止装置用地上子制御リレーを復旧させて自動列車停止装置を動作させる断芯出力リレーを設けた請求項1,2又は3記載の鉄道信号機用電球の断芯検知装置。
【請求項5】 各電球の点灯時間を積算表示する表示部を設けた請求項1,2,3,又は4記載の鉄道信号機用電球の断芯検知装置。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鉄道信号機用電球の断芯検知装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の信号機用電球断芯検知装置を図3に示す。この検知装置は信号機の電球が片断芯又は両断芯すると、電球回路の電流が半減するか、無電流になることを利用してフィラメントの断芯を検知するようになっている。すなわち、この検知装置の検知器31を各電球G,Y,Rの共通線35,36間に直列に接続し、いずれかの電球が片断芯又は両断芯すると、検知リレーARが復旧して現示が変化しても復旧状態を継続して断芯を検知する。そして保守員が断芯した電球をさがして交換すると復帰し、押しボタン38を押すと、リレーBRが復旧してリレーARが動作し、平常状態にもどる。また、電球の交換は電球を取付けてからの経過時間により一定の決められた時間内に行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の電球断芯検知装置は信号機単位の検知であって、いずれかの信号機の電球の断芯検知であるため、現場に行って各電球を点検しないとどの電球が断芯したのか判定できない。また、片断芯か両断芯かも判定できないので、片断芯であっても重故障として現場に急行しなければならないなどの問題があった。そこでこの発明は、前記のような従来の装置のもつ問題点を排除し、信号機のどの電球が断芯したのか、および断芯が片断芯か両断芯かを判定して検知することができる断芯検知装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、この発明の断芯検知装置は、複数の電球を有する鉄道信号機の電球共通線に設けられた電球電流検知用の電流トランスと、各電球回路と並列に設けられた電圧計と、この電圧計と各電球回路間にそれぞれ異なる抵抗値をもって接続された抵抗と、前記電圧計の指示値によりどの電球が断芯しているかを判定するとともに、各電球の電源電圧を電球電流で割算して各電球のフィラメント抵抗を求め、このフィラメント抵抗が定格値より大きく、かつ定格値より大きい値に設定された所定値より小さければ片断芯、定格値より大きく、かつ所定値より大きければ両断芯と判定する判定手段とを具えている。判定手段は電源電圧、電球電流、各電球電圧をメモリする記憶部と、割算演算部と、比較演算部とからなっている。前記装置には判定手段により判定される各電球の断芯の有無、および断芯していた場合にその断芯が片断芯か両断芯かを表示する表示部を設けている。また、両断芯の場合に自動列車停止装置用地上子制御リレーを復旧させて自動列車停止装置を動作させる断芯出力リレーを設けている。さらに、各電球の点灯時間を積算表示する表示部を設けている。
【0005】
【作用】まず、判定手段により電圧計の指示値からどの電球が断芯しているかが判定される。次に、判定手段により電源電圧と電球電流の比から電球フィラメント抵抗が求められるとともに、この求めた電球フィラメント抵抗が定格値より大きく、かつ所定値より小さいと片断芯、定格値より大きく、かつ所定値より大きいと両断芯である判定される。
【0006】
【実施例】図1,2はこの発明の一実施例を示す断芯検知装置の回路構成図である。図1でG,Y,Rはそれぞれ1つの鉄道信号機に設けられた緑、橙黄、赤の色灯電球で、これら電球の共通線1には電球電流Is検知用の電流トランス2が電源3と直列に設けられている。4は電圧計で、各電球回路5,6,7と並列に接続されている。電圧計4には電球Gの端子8から抵抗R1、電球Yの端子9から抵抗R2、電球Rの端子10から抵抗R3がそれぞれ接続されている。抵抗R1〜R3はそれぞれ異なった抵抗値をもっている。TRは軌道リレー、SlRは緩放リレーである。
【0007】図2で12は断芯検知器で、電源3からの電源電圧VI、電流トランス2からの電球電流Is、電圧計4からの各電球電圧V1をメモリするCPUの記憶部13と、CPUの割算演算部14および比較演算部15と、断芯用の表示部17と、断芯出力リレー18と、積算時間用の表示部20とからなっている。断芯検知部12は信号機のある現場に設置されているが、この断芯検知部12の表示部17,20と同様な表示部が伝送部を介して保守区内の図示しない集中監視装置にも設けられ、該集中監視装置でも検知できるようになっている。CPUの割算演算部14は記憶部13からの信号を受けて電源電圧VIと電球電流Isの比を計算し、電球フィラメント抵抗RFを求めるようになっている。また、比較演算部15は割算演算部14からの信号を受けて求めた電球フィラメント抵抗が定格値より大きいか否か、及び所定値より小さいか、大きいかを計算し、定格値より大きく、かつ所定値より小さいときは片断芯、定格値より大きく、かつ所定値より大きいときは両断芯であるとわかるようになっている。この実施例では電球フィラメント抵抗の定格値が30Ω、かつ所定値が100Ωに設定されており、フィラメント抵抗が31Ω〜100Ωのときは片断芯、フィラメント抵抗が100Ω以上のときは両断芯と判定している。表示部17はLED等からなり、どの電球が断芯し、かつそれが片断芯か両断芯かを発光表示する。表示部20はLED等からなり、各電球の点灯積算時間を発光表示する。
【0008】前記において電圧計4の指示値はG電球のときはV1(G)、Y電球のときはV1(Y)、R電球のときはV1(R)となる。したがって、これら指示値をメモリするCPUの記憶部13に対してアクセスすることにより、どの電球が点灯し、どの電球が断芯しているかが判定される。また、記憶部13からの信号を受けて電源電圧VIと電球電流Isの比がCPUの割算演算部14で計算され、電球フィラメント抵抗RFが求められる。そしてこの求めた電球フィラメント抵抗が定格値としての30Ωより大きいか否か、及び所定値としての100Ωより小さいか、大きいかが比較演算部15で計算され、30Ωより大きく、かつ100Ωより小さいときは片断芯、30Ωより大きく、かつ100Ωより大きいときは両断芯であると判定されて表示部17に発光表示される。したがって、表示部17を見ればどの電球が断芯しており、かつ断芯が片断芯か両断芯かが容易にわかる。両断芯のときは断芯出力リレー18が復旧し、その接点により図示しない自動列車停止装置(ATS)の地上子制御リレーを復旧させて、自動列車停止装置を動作させる。また、記憶部13内では各電球の点灯時間が積算され、その積算時間が表示部20に発光表示される。
【0009】尚、前記の実施例では電球フィラメント抵抗の所定値を100Ωに設定したが、これは一例であって、JIS規格のほかの電球を用いれば、ほかの値に設定することも可能である。また、判定手段としてのCPU等も一例であつて、この実施例以外の設計としてもよいことは言うまでもない。
【0010】
【発明の効果】請求項1,2の発明は前記のような構成からなるので、鉄道信号機のどの電球が断芯しているか、また断芯が片断芯か両断芯かを容易に判定して検知することができる。したがって、従来のものは片断芯か両断芯か判定できなかったので、片断芯でも重故障として保守員が直ちに現場に急行して復旧しなければならなかったが、この発明は片断芯が検知できるので、その必要がなくなった。請求項3の発明は表示部に前記検知が表示されるので、復旧が容易で迅速にできる。請求項4の発明は自動列車停止装置の安全性をさらに高めることができる。請求項5の発明は各電球ごとの点灯時間積算値が表示部に表示されるので、各電球ごとの寿命予測ができる。
- 【公開番号】特開平5−8729
【公開日】平成5年(1993)1月19日
【発明の名称】鉄道信号機用電球の断芯検知装置
- 【出願番号】特願平3−189190
【出願日】平成3年(1991)7月3日
【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
【識別番号】000207470
【氏名又は名称】大同信号株式会社
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】佐田 守雄 (外1名)
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