スポンサード リンク
運転方向回線の故障箇所検知用監視装置
スポンサード リンク
- 【要約】
【目的】 運転方向回線の故障箇所を保守区において迅速に判断でき、保守員が故障箇所へ直行して復旧作業を迅速に行える装置を提供すること。
【構成】 FR回線の電源電圧、出口電圧、およびFKR回線の電源電圧、上り運転方向表示リレーの電圧、下り運転方向表示リレーの電圧、出口電圧を測定し、これら電圧値を表示するディスプレイを有する第1電圧監視部11をA駅に設置している。FR回線の電源電圧、A駅側の入口電圧、およびFKR回線の電源電圧、上り運転方向表示リレーの電圧、下り運転方向表示リレーの電圧、A駅側の入口電圧を測定し、これら電圧値を表示するディスプレイを有する第2電圧監視部13をB駅に設置している。第1、第2電圧監視部11,13で測定した電圧値を表示するディスプレイを有する第3電圧監視部20を伝送端末機14,16を介して保守区に設置している。
スポンサード リンク
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも隣接する両駅に設置され、運転方向リレー回線と運転方向表示リレー回線からなる運転方向回線の故障箇所を検知するための監視装置であって、運転方向リレー回線の電源電圧、出口電圧、および運転方向表示リレー回線の電源電圧、上り運転方向表示リレーの電圧、下り運転方向表示リレーの電圧、出口電圧を測定し、これら電圧値を表示するディスプレイを有する第1電圧監視部を前記一方の駅に設置し、運転方向リレー回線の電源電圧、一方の駅側の入口電圧、および運転方向表示リレー回線の電源電圧、上り運転方向表示リレーの電圧、下り運転方向表示リレーの電圧、一方の駅側の入口電圧を測定し、これら電圧値を表示するディスプレイを有する第2電圧監視部を他方の駅に設置し、第1、第2電圧監視部で測定した前記電圧値を表示するディスプレイを有する第3電圧監視部を伝送端末機を介して保守区に設置したことを特徴とする運転方向回線の故障箇所検知用監視装置。
【請求項2】 両駅間に設置された中間信号機にある運転方向リレー回線の一方の駅側の入口電圧、上り運転方向リレーの電圧、下り運転方向リレーの電圧、他方の駅側の出口電圧、および運転方向表示リレー回線の一方の駅側の入口電圧、他方の駅側の出口電圧を測定し、これら電圧値を表示するディスプレイを有する第4電圧監視部を設置した請求項1記載の運転方向回線の故障箇所検知用監視装置。
【請求項3】 第1、第2電圧監視部が、測定した電圧値と予め設定して記憶した上り運転方向又は下り運転方向のときの平常状態の設定電圧値との対比から、故障箇所を判定する判定手段を有している請求項1又は2記載の運転方向回線の故障箇所検知用監視装置。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、運転方向回線の故障箇所を検知するための監視装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】単線自動閉そく区間では列車は駅間を上り下り両方向に運転される。そのため、単線自動閉そく装置には一方の駅と他方の駅にそれぞれ一対ずつの方向てこを設け、これによって列車の運転方向を決定している。また、両駅間に運転方向回線を設け、運転方向の設定とこれと反対方向の鎖錠を行っている。
【0003】図4に運転方向回線とそれに接続されるリレー並びにリレー接点を示している。単線自動閉そく装置の運転方向回線は標準としては3条で、運転方向リレー回線(FR回線)と運転方向表示リレー回線(FKR回線)を構成している。図4に示すようにA駅機器室にはFR回線用電源1、FKR回線用電源2、上り運転方向表示リレー6UFKR、下り運転方向表示リレー6DFKR、運転方向てこ保持リレー6FCRが接続されている。B駅機器室にはFR回線用電源3、FKR回線用電源4、上り運転方向表示リレー1UFKR、下り運転方向表示リレー1DFKR、運転方向てこ保持リレー1FCRが接続されている。中間信号機器具箱内には上り運転方向リレー1UFR、下り運転方向リレー1DFRが接続されている。このような接続によって、例えば上り運転方向のときは運転方向てこ保持リレー6FCR、上り運転方向リレー1UFR、上り運転方向表示リレー6UFKR、上り運転方向表示リレー1UFKRが動作する。
【0004】ところで、前記単線自動区間における運転方向回線が故障して単線自動閉そく装置が解錠不能になったときは、保守員は、まず、A駅に行って機器室内の各リレー電圧、並びに動作状況を点検し、FR回線、FKR回線の電源1,2の電圧、機器室出口端子間の電圧V1,V5を測定記録して故障機器、箇所の判断をする。次に、中間信号機器具箱のところへ行ってFRリレー電圧、軌道リレー電圧、並びに動作状況を点検し、FR回線、FKR回線の入口、出口端子間電圧V2,V6,V3,V7を測定記録して故障機器、箇所の判断をする。さらに、B駅に行って機器室内の各リレー電圧、並びに動作状況を点検し、FR回線、FKR回線の入口端子間電圧V4,V8を測定記録して故障機器、箇所の判断をする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記のように順次、点検して運転方向回線の故障箇所の判断をするために、保守員はA駅、中間信号機、B駅と順次機器の点検、運転方向回線の電圧測定をして故障箇所を判断し、復旧しなければならず、故障を復旧するのに時間がかかり、列車の運行に多大の影響を及ぼすことが多かった。そこでこの発明は、前記のような従来のものがもつ問題点を解決し、運転方向回線の故障箇所を保守区において迅速に判断でき、保守員が故障箇所へ直行して復旧作業を迅速に行える装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、この発明による運転方向回線の故障箇所検知用監視装置は、運転方向リレー回線の電源電圧、出口電圧、および運転方向表示リレー回線の電源電圧、上り運転方向表示リレーの電圧、下り運転方向表示リレーの電圧、出口電圧を測定し、これら電圧値を表示するディスプレイを有する第1電圧監視部を隣接する一方の駅に設置している。また、運転方向リレー回線の電源電圧、一方の駅側の入口電圧、および運転方向表示リレー回線の電源電圧、上り運転方向表示リレーの電圧、下り運転方向表示リレーの電圧、一方の駅側の入口電圧を測定し、これら電圧値を表示するディスプレイを有する第2電圧監視部を他方の駅に設置している。さらに、第1、第2電圧監視部で測定した前記電圧値を表示するディスプレイを有する第3電圧監視部を伝送端末機を介して保守区に設置している。両駅間に設置された中間信号機にある運転方向リレー回線の一方の駅側の入口電圧、上り運転方向リレーの電圧、下り運転方向リレーの電圧、他方の駅側の出口電圧、および運転方向表示リレー回線の一方の駅側の入口電圧、他方の駅側の出口電圧を測定し、これら電圧値を表示するディスプレイを有する第4電圧監視部を設置している。第1、第2電圧監視部に、測定した電圧値と予め設定して記憶した上り運転方向又は下り運転方向のときの平常状態の設定電圧値との対比から、故障箇所を判定する判定手段を設けてもよい。
【0007】
【作用】前記構成により、第1、第2電圧監視部で各部の電圧の有無および変化が測定されて、そのディスプレイに表示される。また、伝送端末機を介して第3電圧監視部のディスプレイにも表示される。したがって、保守員は保守区において第3電圧監視部のディスプレイに表示された測定電圧値を監視し、この測定電圧値と予め設定した上り運転方向又は下り運転方向のときの平常状態の設定電圧値とを対比することにより、運転方向回線のどの箇所が故障しているかを検知することができる。第4電圧監視部を設けた場合は、該監視部で測定された電圧値も加味して検知することができる。
【0008】
【実施例】図1はこの発明の一実施例の故障箇所検知用監視装置を示す概要図である。単線自動閉そく装置の運転方向回線の構成とそれに接続されるリレー等は図4に示した従来のものと同一であるので、同一部分には同一符号を引用して説明を省略する。
【0009】11,12,13はA駅、中間信号機、B駅に設置された電圧監視部で、これら電圧監視部はそれぞれ伝送端末機14,15,16を介して保守区の電圧監視部20に接続されている。A,B駅に設置される電圧監視部11,13は図示しない機器室内に他の機器とともに収容され、中間信号機に設置される電圧監視部12は図示しない器具箱内に他の機器とともに収容されている。
【0010】A駅の電圧監視部11にはFR回線の電源1の電圧V10、機器室出口端子間の電圧V1、およびFKR回線の電源2の電圧V11、上り運転方向表示リレー6UFKRの電圧V12、下り運転方向表示リレー6DFKRの電圧V13、機器室出口端子間の電圧V5が入力されるようになっている。
【0011】中間信号機の電圧監視部12にはFR回線のA駅側入口端子間の電圧V2、上り運転方向リレー1UFKの電圧V15、下り運転方向リレー1DFRの電圧V16、B駅側出口端子間の電圧V3、およびFKR回線のA駅側入口端子間の電圧V6、B駅側出口端子間の電圧V7が入力されるようになっている。
【0012】B駅の電圧監視部13にはFR回線の入口端子間の電圧V4、電源3の電圧V17、およびFKR回線の入口端子間の電圧V8、上り運転方向表示リレー1UFKRの電圧V18、下り運転方向表示リレー1UFKRの電圧V19が入力されるようになっている。
【0013】電圧監視部11,12,13は同一構成からなっている。図2に電圧監視部11の構成を示すように入力端子22から順次接続された絶縁トランス23、マルチプレクサ8チャンネル24、A−D変換器25、インターフェース26、CPU27、ディスプレイ28からなっており、CPU27の出力側が伝送端末機14に接続されている。入力端子22から入力されるA,B駅又は中間信号機の各部の電圧は絶縁トランス23に入力され、マルチプレクサ8チャンネル24に入力され、さらにA−D変換器25に入力される。そしてA−D変換器25でデジタル信号化された後、インターフェース26を経てCPU27に入力され、CPU27で演算処理されてディスプレイ28に各部の電圧値として表示される。ディスプレイ28に表示された電圧値は伝送端末機14を介して保守区の電圧監視部20にある図示しないディスプレイにも表示されるとともに、方向回線の各部電圧値として記憶される。
【0014】次に、一例として上り運転方向のときの平常状態と回線断線状態の各部電圧値の表を図3に示す。
【0015】平常状態、並びにFR回線のA駅機器室内における断線a、A駅機器室内と中間信号機の間における断線b、中間信号機器具箱内における断線c,d、中間信号機とB駅機器室の間における断線e,B駅機器室内における断線f,FKR回線のA駅機器室内における断線g,A駅機器室内と中間信号機の間における断線h、中間信号機器具箱内における断線i、中間信号機とB駅機器室の間における断線j,B駅機器室内における断線kの各場合について前記各部の電圧を求めると、図3の表のようになり、この表による各部の電圧値の有無および変化から逆に断線箇所を判断することができる。例えば、上り運転方向のときの断線がaのみのときはFR回線は表では全て零ボルトとなるので、測定した電圧値がこれと同様であれば、aが断線箇所と判断される。判断は保守区にいる保守員が行うが、前記の表を電圧監視部11,12,13のCPU27に記憶させておき、CPU27でこの記憶した設定電圧値と測定電圧値とを対比して断線箇所の判定を自動的に行って、表示するようにしてもよい。
【0016】
【発明の効果】請求項1の発明は前記のような構成からなり、運転方向回線に故障箇所が発生したとき、故障箇所が両駅のいずれかが保守区において第3電圧監視部のディスプレイを監視することにより迅速に判断して検知することができ、保守員が該当の駅の故障箇所へ直行して復旧作業を迅速に行なうことができる。したがって、従来のように駅から中間信号機、さらに隣接駅へと点検巡回する必要がないので、列車運転に及ぼす影響を少なくすることができる。請求項2の発明はさらに中間信号機にある運転方向回線の故障箇所も判断することができ、より詳細な検知が可能となる。請求項3の発明は判定手段によって断線箇所を自動的に判定してディスプレイに表示でき、保守員による判断がより容易となる。
- 【公開番号】特開平5−8730
【公開日】平成5年(1993)1月19日
【発明の名称】運転方向回線の故障箇所検知用監視装置
- 【出願番号】特願平3−189191
【出願日】平成3年(1991)7月3日
【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
【識別番号】000207470
【氏名又は名称】大同信号株式会社
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】佐田 守雄 (外1名)
- ※以下のタグをホームページ中に張り付けると便利です。
-
当サイトではIPDL(特許電子図書館)の公報のデータを著作権法32条1項に基づき公表された著作物として引用しております、
収集に関しては慎重に行っておりますが、もし掲載内容に関し異議がございましたらお問い合わせください、速やかに情報を削除させていただきます。