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ポット式石油燃焼器の構造
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- 【要約】
【目的】 燃焼量が2万Kcal/時で、火力調節幅が最大10:1程度まで可能を目標とした室内排気形のポット式石油燃焼器に関する。
【構成】 ポット5内には予熱兼点火ヒータ2と給油パイプ3をのぞませ、かつ予熱兼点火ヒータ2と給油ノズル3の上方のポット5内に円板状の助燃装置4を取付け、給油ノズル3から供給した燃料が円板状の助燃装置4の側部付近で青炎燃焼によって燃焼を完了する構造とする。一方、助燃装置4の上方には気化皿6を設け、該気化皿6に送油管7をのぞませており、ポット5の外周に設けた風路8から気化皿6の側部および気化皿6の上方に多量の空気を供給し、送油管7によって送られる燃料を拡散燃焼の黄炎によって燃焼するもので、青炎による一次燃焼と黄炎による二次燃焼とを組み合わせ、大発熱量燃焼を可能とする。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 周壁に一次燃焼空気孔1を有し、底部に予熱兼用点火ヒータ2と、給油パイプ3とをのぞませたポット5を設け、該ポット5の内部に燃焼板等の助燃装置4を取付け、最上段の助燃装置4付近で青炎燃焼をするポット式燃焼器において、助燃装置4の上に気化皿6を設け、該気化皿6に送油管7をのぞませ、ポット5周壁の外周に設けた風路8の上面に、多数の二次燃焼空気孔9を設け、二次燃焼空気孔9から気化皿6の外周および上方に向けて多量の空気を供給し、気化皿6で気化した燃料が黄炎燃焼することを特徴とするポット式石油燃焼器の構造。
【請求項2】 気化皿6は上部を気化皿天板6aでおおって気化皿6との間に気化室10を形成し、気化室10の側部もしくは気化皿天板6aに気化ガスのガス噴出孔6bを設け、二次燃焼空気孔9からガス噴出孔6bおよび気化皿天板6a上方に向けて二次燃焼空気を供給する請求項1記載のポット式石油燃焼器の構造。
【請求項3】 気化皿6の外周および上方に向けて燃焼空気を供給する二次燃焼空気孔9の開口率を、風路8から供給する全空気孔の80%以上とした請求項1記載のポット式石油燃焼器。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はポットを用いた石油燃焼器に関し、燃焼調節幅および燃焼量が大なる燃焼器とするものである。
【0002】
【従来の技術】一般的なポット式石油燃焼器は、ポットの周壁に空気孔を段階的に多数穿ち、ポット内にはドーナッツ状の燃焼リングを2段ないし3段設けたもの(実公昭43−15664号他)があり、上昇する未燃ガスの外方から燃焼空気を段階的に供給し、拡散燃焼による黄炎をあげて燃焼するものである。
【0003】また、拡散燃焼は燃焼バランスをこわした時に煤が発生するので、これを防ぐために、実公昭47−16027号では空気孔を有するポット内に空気筒を立ち上がらせ、空気筒の上に二次空気孔を穿設した拡炎体を取り付けたポット式石油燃焼器がある。
【0004】また、実公昭48−18593号では、空気孔を有するポット内に空気筒を立ち上がらせ、空気筒の外周に可燃ガス案内筒を配し、この可燃ガス案内筒はポット内上部に設けたバーナヘッド内と、ポット内下部とを連通させ、給油管を空気管内を経てバーナヘッド内にのぞませたものがあり、この種の助燃装置によって未燃ガスの上昇を抑えたものは、ポット内部で空気と気化ガスの混合が充分行なわれ、最上段の助燃装置の付近で青炎をあげて燃焼するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ポット式石油燃焼器は石油をポット内で蒸発燃焼させるもので、気化部と燃焼部とが連続しており、リング状の助燃装置を複数段設けたものは上昇する未燃ガスの周囲から多量の空気をゆっくり供給しており、未燃ガスから直接炭素を遊離してこの炭素が燃える拡散燃焼になり炎は黄炎となる。この燃焼では大燃焼量が得られる点と、空気量の変更なしに燃焼量を30%〜40%程度まで絞った燃焼が容易にできる点が長所であるが、点火・消火の時をはじめとして燃焼バランスを崩した燃焼では多量の煤を発生するものである。
【0006】この為、拡散燃焼によるポット式燃焼器は排気筒を必要としており、しかも排気筒は点火・消火時に付着した煤を取り除く作業が必要であるから、最近ではポット内部に円板状の助燃装置を取り付けて未燃ガスの上昇を抑え、ポット内で空気と気化ガスを充分混合させてから燃焼する予混合燃焼方式を取り入れた青炎で燃焼するポット式燃焼器が実用化され、点火・消火時の不完全燃焼の時には煤の代わりに不完全燃焼ガスを放出させ、排気筒に煤を付着させない燃焼を行なうものがある。
【0007】この燃焼は予混合部分の空気供給を少なくし、燃焼部分で多量の空気を供給して燃焼を完了させるものであるから、主たる燃焼部分は最上段の助燃装置付近に特定され、この部分で燃焼できない点火・消火時などの燃焼バランスを崩した時には不完全燃焼ガスを発生するものである。この為、従来の大発熱量が得られるポット式燃焼器は排気筒を用いて発生した排気ガスを屋外に排出するというものが主流で、寒冷地以外への普及が今一つ不足していた。
【0008】出願人は、10年位前より通常燃焼時は完全燃焼するポット式の燃焼器に着目し、青炎の予混合燃焼方式を用いた排気を室内へ放出してもよい燃焼器(石油ファンヒータ)の普及に努めているが、排気を室内へ放出するものである以上、点火・消火時の排気性能を向上させる必要があり、この為、点火時はポット内部を予熱して燃焼時とほぼ同じ温度に高めており、使用可能の予熱ヒータの大きさから6000Kcal/時から8000Kcal/時の発熱量以上は無理であった。また、青炎燃焼であるから完全燃焼するには燃焼炎を最上部の助燃装置付近に常に存在させねばならず、燃焼量を大きく絞って小燃焼にすることが困難で、火力調節幅が小さい(1:2位)という宿命があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明はポット式の燃焼方式で、排気ガスは室内に放出が可能であり、2万Kcal/時程度の大発熱量で、火力調節幅10:1程度まで可能とするポット式石油燃焼器を完成させたものである。
【0010】即ち、周壁に一次燃焼空気孔1を有し、底部に予熱兼用点火ヒータ2と、給油パイプ3とをのぞませたポット5を設け、該ポット5の内部に燃焼板等の助燃装置4を取付け、最上段の助燃装置4付近で青炎燃焼をするポット式燃焼器において、助燃装置4の上に気化皿6を設け、該気化皿6に送油管7をのぞませ、ポット5周壁の外周に設けた風路8の上面に、多数の二次燃焼空気孔9を設け、二次燃焼空気孔9から気化皿6の外周および上方に向けて多量の空気を供給し、気化皿6で気化した燃料が黄炎燃焼する構造としている。
【0011】また、気化皿6は上部を気化皿天板6aでおおって気化皿6との間に気化室10を形成し、気化室10の側部もしくは気化皿天板6aに気化ガスのガス噴出孔6bを設け、二次燃焼空気孔9からガス噴出孔6bおよび気化皿天板6a上方に向けて二次燃焼空気を供給することによって二次燃焼の安定化を計っている。
【0012】更に、気化皿6の外周および上方に向けて燃焼空気を供給する二次燃焼空気孔9の開口率を、風路8から供給する全空気孔の80%以上として、大幅な火力調節幅を可能にしたものである。
【0013】
【作用】この発明は以上の構成としたので、一次燃焼を形成するポット式燃焼器は室内排気形の青炎燃焼を行なうポット式燃焼器がそのまま利用出来るので、例えば1500Kcal/時から3000Kcal/時程度の小発熱量燃焼時には一次燃焼だけを行ない、従来の室内排気形の小形ポット式燃焼器と同様に不完全燃焼ガスを発生させることなく点火・消火が出来る。
【0014】また、この一次燃焼は燃焼熱で気化皿6を高温度に加熱しており、気化皿6の周囲は高温雰囲気となっている。この為、一次燃焼以上の発熱量の要求がある時は気化皿6にも燃料を送ると直ちに気化して燃焼を開始する。この二次燃焼は気化ガスと空気との混合手段を設けておらず、かつ周囲の二次空気孔9から多量の新鮮な空気を供給を受けているから、拡散燃焼となって気化ガスは高温の燃焼熱で炭素を遊離し、黄炎で燃焼を開始するものである。
【0015】従って、気化皿6で気化した燃料による二次燃焼は燃料の供給と同時に開始され、また、燃料の供給を止めれば即時に消火するものであり、拡散燃焼にもかかわらず二次燃焼の点火・消火に発煙とか不完全燃焼ガスの発生は全く認められないものである。そして、拡散燃焼によるポット式燃焼器の最大の欠点である点火時と消火時に多量の煤を発生するトラブルが克服でき、排気筒は不要となった。
【0016】更に、一次燃焼だけの燃焼と、一次燃焼と二次燃焼とを同時に行なう燃焼を連続して行なうことが出来るから、一次燃焼の単独燃焼が最小燃焼量となり、最大燃焼量は拡散燃焼方式のポット式燃焼器の最大燃焼量(従来品では最大20000Kcal/時)程度の発熱量が期待でき、大きな火力調節幅を得ることが出来た。
【0017】
【実施例】次に実施例の要部断面を示す図により構成を説明する。5はポット式石油燃焼器の気化部と燃焼部とを形成するポット、11は燃焼空気供給ファン、8は燃焼空気供給ファン11から空気が送られる風路であり、該ポット5は風路8内に取り付けられている。1はポット5の周壁に穿った一次燃焼空気孔、2はポット5の底部に設けた予熱兼用点火ヒータ、3は図示せざる油タンクからポット5内に石油を供給する給油パイプであり、点火操作によって予熱兼用点火ヒータ2に通電し、ポット5内が燃焼時の温度に近づくと、燃焼空気供給ファン11を作動し、給油パイプ3によって石油をポット5内に供給する。このポット5に送られた石油は、予熱兼用点火ヒータ2によって気化ガスとなり、予熱兼用点火ヒータ2の熱で着火する。
【0018】4はポット5の内部で気化ガスと一次燃焼空気孔1から送られた燃焼空気とが燃焼しながらスムースに混合ガスを作るように設けた助燃装置であり、実施例の助燃装置4はポット5内の中央上部に配置した円板状の青炎キャップ4aと、青炎キャップ4aの下方でポット5の周壁に取り付けたリング状の燃焼リング4bとで構成しており、該青炎キャップ4aによって混合ガスの流れが抑制され、安定した予混合ガスとなってから、青炎キャップ4aの側方で完全燃焼する。
【0019】6はポット5内で助燃装置4の上部に独立して設けた気化皿で、実施例の気化皿6は上部を気化皿天板6aで覆っており、気化皿6及び気化皿天板6aには孔・スリット溝などで構成するガス噴出口6bを有しておる。7は気化皿6の上部にのぞませた送油管で、送油管7から一次燃焼によって加熱された気化皿6に送られた石油は高温雰囲気の中で気化するので燃焼性の良いガスとなって燃焼を開始する。
【0020】この時、気化皿6に気化皿天板6aが取り付けられており、気化皿6との間で気化室10を構成する時は、送油管7が加熱されて送油管7内で石油の気化が行なわれても、この気化ガスは一旦気化室10に充満した後、ガス噴出孔6bから吹き出すようになり、送油管7から気化ガスが一方へ向かって噴出するような状態にならず、気化ガスの流れが偏らずに燃焼が安定するものである。
【0021】9はポット5周壁の外周に設けた風路8の上面もしくは気化皿6の上方のポット5の周壁に穿った二次燃焼空気孔であり、該二次燃焼空気孔9から気化皿6の外周および上方に向けて多量の空気を供給しており、気化皿6で気化した燃料が気化ガスとなって上昇する時、この空気の供給を受けて黄炎燃焼する。12はポット5の周壁の二次燃焼空気孔9に設けたフィンであり、該フィン12は二次燃焼部へ流入する燃焼空気を旋回して流入するように案内しており、ガス噴出口6bから出る気化ガスとポット5の周壁の二次燃焼空気孔9から出る燃焼空気とを効率よく混合させ、黄炎による拡散燃焼で完全燃焼するようにしたものである。
【0022】尚、予混合燃焼の一次燃焼と、拡散燃焼の二次燃焼は独立して燃料や空気を供給することがのぞましい。しかし、図に示す実施例のように同じ燃焼空気供給ファン11を使い、一次燃焼空気孔1の部分X2に対して二次燃焼空気孔9の部分X1の総開口面積の比率を2:8以下にして風路8から空気を供給すれば、二次燃焼が拡散燃焼であるから一次燃焼だけが行なわれている時は二次燃焼空気孔9から吹き出す空気を素通りさせることができ、この空気は一次燃焼の障害にならず、燃焼比率も空気量に見合って大幅に可変できるようになった。
【0023】13は図示せざる燃料ポンプを共用して一次燃焼の給油パイプ3と、二次燃焼の送油管7とへ給油する時の分岐部、14は分岐部13から気化皿6への送油管7に設けた電磁弁、15は分岐部13からポット5への給油パイプ3に設けたオリフィスであり、一次燃焼中は電磁弁14を閉ざして給油量の全量をポット5に送る。
【0024】一方、一次燃焼と二次燃焼とを併用する時は、電磁弁14を開くとオリフィス15によって一次燃焼部への燃料が減少するが二次燃焼部にも燃料が送られて燃焼を開始し、電磁ポンプの流量を可変することによって、気化皿6とポット5との燃焼量が共に変化して、一次燃焼の最大燃焼以上で普通の拡散燃焼ポット式燃焼器並みの燃焼調節ができるようになり、更に、一次燃焼だけの燃焼調節と合わせて大幅な燃焼量の調節ができるようになった。
【0025】
【発明の効果】以上のようにこの発明では一次燃焼に予混合方式のポット式燃焼器を使い、二次燃焼に拡散燃焼方式のポット式燃焼器を使い、拡散燃焼方式の欠点である点火・消火時間が長い欠点を予混合方式の燃焼によって補うから、拡散燃焼を行なうポット式燃焼器であっても即時点火・消火が可能となり、排気筒を使用せずに室内排気がはじめて可能となったものである。
【0026】更に、気化皿6は気化皿天板6aと組み合わせて気化室10を構成し、気化ガスが噴出口6bから全周に均一に吹き出すようにしたから、気化皿6付近では二次燃焼空気孔9から供給する空気と混合が良くなり、拡散燃焼は安定した背の高い黄炎が得られるようになり、燃焼状態が良好になった。
【0027】また、予混合燃焼による一次燃焼だけでも使用可能であり、一次燃焼空気孔1の開口率に対して二次燃焼空気孔9の開口率を全空気量の80%以上としたから、二次燃焼における燃焼量を大きくすることが出来、一次燃焼における最小燃焼量と比較して大きな燃焼調節幅を得ることが出来たものである。
- 【公開番号】特開平7−119930
【公開日】平成7年(1995)5月12日
【発明の名称】ポット式石油燃焼器の構造
- 【出願番号】特願平5−287810
【出願日】平成5年(1993)10月21日
【出願人】
【識別番号】000003229
【氏名又は名称】株式会社トヨトミ
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