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地上子のQRリレー試験装置
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- 【要約】
【目的】 地上子に内蔵されたQRリレーの動作状況チェックを容易に行なうことができる試験装置を提供する。
【構成】 2個のコイル14a ,14b を結合度がゼロとなるような位置に組み合わせて形成した検知コイル14と、この検知コイル14に直列接続された同調発振回路15と、これらが地上子10との共振で発振したときこの発振周波数を識別する周波数検定回路17と、この周波数検定回路17の出力側に接続された、周波数範囲に対応する複数個の発光ダイオード18〜21とを備えた地上子のQRリレー試験装置である。検知コイル14を地上子10に近付けるのみの操作で、共振周波数を識別することができることになり、QRリレーの状況が確認できる。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 2個のコイルを結合度がゼロとなるような位置に組み合わせて形成した検知コイルと、該検知コイルに直列接続された同調発振回路と、該検知コイルおよび同調発振回路が地上子との共振で発振したとき該発振周波数を識別する周波数検定回路と、該周波数検定回路の出力側に接続された、周波数範囲に対応する複数個のランプとを備えた、地上子のQRリレー試験装置。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄道線路の近傍に設置される地上子に内蔵されたQRリレーの動作状況を外部からチェックするようにした、地上子のQRリレー試験装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄道における列車運行は、常に安全でなければならない。この安全確保にもっとも大きな力を発揮するのは信号機である。この信号機は、表示切り替え作動時に、鉄道線路の2本のレールの間等に設置される地上子に信号を送るようにしている。地上子には共振周波数を切り替えるQRリレーと称されるものが接続されており、列車の通過時に地上子のQRリレーを切り替えて、列車側に信号を送るようになっている。
【0003】図3に示すものは従来における信号機システムの回路である。これを説明すると、1は信号機であって、支柱2の上部に設けられた3色のランプの点灯により列車に線路上の状況を知らせるものである。信号機1は信号線4により、QRリレー5のコイル6に接続されている。コイル6の近傍には常開接点7が接続されている。常開接点7には同調コンデンサ8が接続されるとともに、信号線9により、離れた位置にある地上子10のコンデンサ11とコイル12の並列回路に接続されている。
【0004】このような構成の従来の信号機システムにおいては、地上子10は、コンデンサ11の容量値とコイル12のインダクタンス値とによって所定の共振周波数が決定されるが、信号機1側からの信号により常開接点7が閉じると、これら並列回路に同調コンデンサ8が直列に接続されることになるので、共振周波数が変わることになる。列車側はこの変化を検出することにより、信号機の表示に自動的に対応できることになる。
【0005】QRリレー5が正しく作動しているか否かの検査を行なう場合、従来にあってはQRリレー5が地上子とは独立して設けられていたことにより、QRリレー5を目視することでこれを行なうことができた。したがって検査のための機器は不要であり、何らの準備をすることなく、任意に検査をすることができた。
【0006】しかしながら、地上子の経時変化などに対応するため、最近に至って、図4に示すように地上子の内部にQRリレーが収容されるようになった。便宜上、図3に用いたと同様の符号を付しておく。このように地上子10の内部にQRリレー5が収容されるようになると、従来のように、共振周波数を切り替えるQRリレー5の動作状況を外部より目視で観察することができなくなった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、QRリレーの動作状況が目視により観察できなくても、簡単な操作で、瞬間的に作動観察ができる装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するための手段として、2個のコイルを結合度がゼロとなるような位置に組み合わせて形成した検知コイルと、該検知コイルに直列接続された同調発振回路と、該検知コイルおよび同調発振回路が地上子との共振で発振したとき該発振周波数を識別する周波数検定回路と、該周波数検定回路の出力側に接続された、周波数範囲に対応する複数個のランプとを備えた、地上子のQRリレー試験装置を得たものである。
【0009】
【作用】このような構成とすれば、検知コイルを地上子に接近させるのみで、瞬時にQRリレーの作動観察ができることになる。すなわち、検知コイルは地上子に接近することによって、その影響を受け、QRリレーの動作状況に合った共振周波数で発振を始めるので、周波数検定回路でその周波数を検定し、その周波数に合致するランプを点灯させることになる。したがって、このランプを見れば、即座にQRリレーの作動が確認できることになる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1について説明する。13は本発明に係るQRチェッカーである。このQRチェッカー13は、検知コイル14と、同調発振回路15、波形整形回路16、周波数検定回路17および複数個の発光ダイオード18〜21等で概略構成されるものである。以下、詳しく説明する。
【0011】検知コイル14は、2個のコイル14a 、14b を、結合度が丁度ゼロとなるような位置に組み合わせて形成したものである。実際の形態としては、プリント基板上に渦巻き状のコイルパターンを作製したもので、コイル14a 、14b とも90°ずつ回転させて組み合わせることにより巻き数を増やすことができるものである。
【0012】同調発振回路15は、高周波領域まで周波数ならびに位相特性が優れた増幅器であり、検知コイル14とともに全体として同調形の発振回路を構成するものである。この回路は、通常、入力側と出力側の結合がゼロであるため、発振を起こさない状態になっている。この検知コイル14の近傍に前述した被測定地上子10がくると、当該地上子10を通じ2個のコイル間に結合を生じ、当該地上子の共振周波数で発振を始めることになる。
【0013】同調発振回路15には、波形整形回路16を介して、周波数検定回路17が接続されている。波形整形回路16は、同調発振回路15で発生した発振波形(交流)をディジタル回路でカウントし易くするために、0〜5ボルトのパルス波形に整形するものである。周波数検定回路17は波形整形回路16で波形整形された周波数をカウントし、その周波数を求めるものであり、内部にマイクロプロセッサ(以下、マイコンと略す)を搭載したものである。
【0014】この周波数検定回路17には3個の入力端子と4個の出力端子とがあり、入力端子には波形整形回路16のほか、連続スイッチ22と測定スイッチ23とが接続され、出力端子にはランプとしての4個の発光ダイオード18〜21が接続されている。
【0015】24は電池であり、9ボルトの積層電池である。この電池24には、レギュレータ25を介して電子スイッチ26が接続されており、電子スイッチ26の出力側には+5ボルトの電圧が発生するようになっている。27はインバータであり、極性反転して、−5ボルトを得るようになっている。この電源回路は、図示するように周波数検定回路17や同調発振回路15に電源を供給するが、消費電力軽減のために、通常は電子スイッチ26により、ディジタル回路の電源にのみ電圧が供給されるようになっている。
【0016】図2に示すものは、周波数検定回路17の内部構成である。この図に示すように、周波数検定回路17には周波数カウント部28と周波数判別部29とが設けられており(実際にはすべてICチップ等で構成される)、周波数カウント部28で周波数をカウントされたパルス波が、この周波数判別部29によって周波数判別されることになる。周波数判別の方法としては、基準周波数との比較により行なうようになっている。こうして周波数判別を行なった周波数判別部29は、順次点灯用カウント回路30および点滅用クロック信号回路31からの信号によって制御され、出力端子32〜35に、判別周波数に応じた、後述するような所定の点灯信号を出力することになる。
【0017】このように構成されたこの装置を用いて行なうQRリレー10の作動チェック方法を説明する。まず、地上子は電源を加えない状態では130 キロヘルツまたは123 キロヘルツに同調しており、この状態のときにはQRリレー10は動作しない。このとき信号機1は赤信号である。外部からQRリレー10を作動させると、地上子1の内部のQRリレー10が動作して同調コンデンサ8を追加して周波数を103キロヘルツ等に変化させる。
【0018】QRリレー10をチェックするときには、検知コイル14を地上子10に近ずける。これにより検知コイル14と同調発振回路15とで構成される同調形の発振回路は、2個のコイル14a 、14b が地上子10を通じて結合を生じ、地上子10の共振周波数で発振することになる。
【0019】発振によって生ずる電流は波形整形回路16によって0〜5ボルトのパルス波形に整形され、これが周波数検定回路17に供給される。周波数検定回路17は、図中の測定スイッチ23が押されるまではマイコン部分のみに電圧供給されているが、いわゆるスタンバイ状態になっており、測定スイッチ23が押された状態で周波数検定回路17からの信号(パルス電流)を受けると、すべての回路が作動して次のような検定動作を行なう。
【0020】■発振周波数が103 キロヘルツ未満のときには、発光ダイオードが21から18側に順に点灯して、その周波数が検定周波数以下であることを示す。
【0021】■発振周波数が103 ,108 ,123 ,130 キロヘルツの近くにあるときには、これらに対応した発光ダイオード18〜21が点灯して、被測定地上子に内蔵してあるQRリレーの状態を示す。
【0022】発振周波数が別の高い周波数に同調し、測定できないときには、発光ダイオードは18から21の方向に順に点灯して、その周波数が検定周波数以上であることを示す。
【0023】このような動作を3秒間続けて、マイコンは再びスタンバイ状態に入ることになる。このとき、連続スイッチ22と同時に測定スイッチ23を押すと、マイコンは連続動作となり、次に測定スイッチ23が押されるまで測定動作を続けることになる。
【0024】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成した地上子のQRリレー試験装置であるから、地上子に検知コイルの部分を近付けるのみでQRリレーの動作を容易に確認することができることになる。これにより、従来は地上子の外部端子をテスター等で電圧測定してチェックしていたところを、きわめて容易な操作にすることができることになる。そして全体が簡単な構成であることから、図1に示した部分の全体を小型のプラスチックケース内に収容するようにして、使用性向上させることができることになる。
- 【公開番号】特開平7−12875
【公開日】平成7年(1995)1月17日
【発明の名称】地上子のQRリレー試験装置
- 【出願番号】特願平5−174920
【出願日】平成5年(1993)6月22日
【出願人】
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫 (外2名)
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