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インピーダンスボンド
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- 【要約】
【目的】 設置現場での中性点端子の接続作業を不要ならしめ、インピーダンスボンドのコンパクト化を図る。
【構成】 ケース4内に、第1トランス部5と第2トランス部6との対を組込み、各トランス部の一次コイル2をケース4の外壁に設けた一次コイル端子11に接続し、二次コイル3は、二次コイル端子10としてのコイル引出口より外部へ引出す。両トランス部5,6の中性点端子13,13は、ケース4内で直接接続する。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 一対のトランス部を同一のケースに内装したインピーダンスボンドであって、トランス部は、一次コイルと二次コイルと中性点端子とを有し、一次コイルは、電車電流用コイルであり、対をなし、各巻線に流れる帰線電流によって生ずる磁束が互いに打消すように配置して鉄芯に巻かれ、端子を有し、一次コイルの端子は、コイルの引出線を外部配線に接続するものであり、二次コイルは、信号電流用コイルであり、一次コイルの対間の鉄芯に巻かれ、端子を有し、二次コイルの端子は、コイルの引出線を外部配線に接続するものであり中性点端子は、対をなす一次コイルの導体であって、対をなすトランス部の中性点端子は、ケース内で直結されたものであることを特徴とするインピーダンスボンド。
【請求項2】 一次コイルの導体は、複数枚の導体板を重ね合わせ、この重ね合わせた導体板の外周面に耐熱性を有するテープを巻付けた積層体であり、中性点端子は、前記テープを除いて一体に固定した積層体の端末部分であり、両トランス部の中性点端子は、積層体を上下に重ねて一体に接続されたものであることを特徴とする請求項1に記載のインピーダンスボンド。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄道線路の複軌条式軌道回路の境界点に設置するインピーダンスボンドに関する。
【0002】
【従来の技術】電気運転区間では、電車の帰線電流と、信号電流とは、同一のレールを共用した電気回路となっている。このため、信号電流は一つの軌道回路のみを流れ、他の軌道回路には流れないように、また、帰線電流は変電所まで流れてゆかなければならない。インピーダンスボンドは、隣接軌道回路に信号電流は通さないが、電車の帰線電流は通すという電気的接続方法に用いるものである。
【0003】インピーダンスボンドの基本構成は、図6に示すように、鉄芯1に一次コイル2と二次コイル3とが巻かれ、一次コイル2は、2個に分かれ、中性点端子22で他のインピーダンスボンドに接続され、各巻線に流れる帰線電流によって生ずる磁束が互いに打消すように配置される。一次コイル2の導体には通常銅板が用いられ、巻数は5〜10回位である。二次コイル3は扁平形の銅線でその巻数は一次コイルと同一巻数で一次コイル2の間に挿入される。さらに三次コイルを設けてコンデンサーを接続する場合もある((株)交友社 吉村 寛ほか1名著信号 昭和41年4月15日発行参照)。
【0004】従来、一次コイル2,二次コイル3及び鉄芯1は、図4,5に示すようにケース4内に収容され、冷却及び絶縁のため、ケース4内には絶縁油を充填して密封し、ケース4の外壁に設けた一次端子21,中性点端子22に一次コイル2の銅板を接続し、二次端子23に二次コイル3の銅線を接続し、その接続は、ナット止め及びハンダ付けによって行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところでインピーダンスボンドは、各軌道回路毎に設けられるものであるため、隣接する軌道回路の境界に2基設置されるのが一般的である。したがって、各インピーダンスボンドの設置に際しては、設置現場において、対をなすインピーダンスボンドのケースの設置位置,間隔を設定し、両中性点端子22の端子板23を重ね、ボルト・ナットを用いて締付固定しなければならない。
【0006】また、中性点端子22をケース4の外壁に設けるには、構造上一次コイルの導体に端子をねじ止めし、さらに端子と端子板間を接続する引出線にはんだ付けを必要とするため、その組立て並びに保守,管理に非常に厄介な手数を必要としていた。
【0007】本発明の目的は、設置現場での中性点端子の接続作業を不要とし、しかも、中性点端子の構造を簡略化したインピーダンスボンドを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明によるインピーダンスボンドにおいては、一対のトランス部を同一のケースに内装したインピーダンスボンドであって、トランス部は、一次コイルと二次コイルと中性点端子とを有し、一次コイルは、電車電流用コイルであり、対をなし、各巻線に流れる帰線電流によって生ずる磁束が互いに打消すように配置して鉄芯に巻かれ、端子を有し、一次コイルの端子は、コイルの引出線を外部配線に接続するものであり、二次コイルは、信号電流用コイルであり、一次コイルの対間の鉄芯に巻かれ、端子を有し、二次コイルの端子は、コイルの引出線を外部配線に接続するものであり中性点端子は、対をなす一次コイルの導体であって、対をなすトランス部の中性点端子は、ケース内で直結されたものである。
【0009】また、一次コイルの導体は、複数枚の導体板を重ね合わせ、この重ね合わせた導体板の外周面に耐熱性を有するテープを巻付けた積層体であり、中性点端子は、前記テープを除いて一体に固定した積層体の端末部分であり、両トランス部の中性点端子は、積層体を上下に重ねて一体に接続されたものである。
【0010】
【作用】ケースを隣接する軌道回路の境界に設置し、インピーダンスボンドの各トランス部の一次コイルの端子を対応する軌道回路のインピーダンス導線に接続し、二次コイルの端子を、対応する軌道リレートランスの配線ケーブルに接続する。中性点端子は、予めケース内で接続されているため、現場での接続作業は不要となる。また、両中性点端子は、ケース内に納められているため、一次コイルの導体を直結するだけで済み、構造は簡略化される。
【0011】
【実施例】以下に本発明の実施例を図によって説明する。本発明は、インピーダンスボンドのトランス部の対を同一のケース内に収納したものである。本発明において、トランス部とは、従来のインピーダンスボンドの構造からケースを除いた部分を意味している。したがって、インピーダンスボンドのトランスとしての基本的な構成は、従来と同じである。図1〜図3において、鉄芯1に、対の一次コイル2が巻かれ、一次コイル2の対間には二次コイル3が巻かれている。また、三次コイル(図示略)を設けてコンデンサを接続する場合がある。各コイル2,3が巻かれた鉄芯1は、ケース4内に収容され、ケース4は密閉される。
【0012】一次コイル2は、電車電流用コイルであり、コイルの導体は、複数枚の帯状の導体板を一定厚みに重ね合わせ、この重ね合わせた導体板の外周面に耐熱性を有するガラス繊維テープを巻付けた積層体であるが、この積層体の構造は、従来公知のものである。
【0013】二次コイル3は、信号電流用コイルであり、その導体には銅線ケーブルを用いている。ケース4は、トランス部の対(以下第1トランス部5と第2トランス部6として区別する)を並置しうる大きさの直方体の箱7と、箱7の上面開口を閉止する蓋8との組合せであり、箱7には底部の両側に張り出して軌道の道床上に固定する台座9を一体に設けている。また、短辺側の対向端面(第1面A,第2面B)には、二次コイル端子10としてのコイル引出口と、該コイル引出口をはさんでその両側に一次コイルの端子11を取付けている。
【0014】コイル引出口は、二次コイルの引出線(三次コイルを用いるときには、二次コイルと三次コイルとの引出線)を挿通するスリーブであり、一次コイルの端子11は、インピーダンス導線の接続用コネクタである。
【0015】図1,2において、第1トランス部5の一次コイル2及び二次コイル3の引出線2a,3aをそれぞれ第1面Aの一次コイル端子11及び二次コイル端子10に接続し、第2トランス部6の一次コイル2及び二次コイル3の引出線2a,3aを第2面Bの一次コイル端子11及び二次コイル端子10に接続する。或いは、一次コイル2の引出線2aをそのまま箱7の外部へ引出し、隙間をシールし、引出端をコイル端子としてもよい。
【0016】一次コイル2の引出線2aは、前記積層体からガラス繊維テープを除き、各層の導体板を積層一体化して面上に小孔を開口し、その開口を一次コイル端子11のねじに挿し込んでナット12にて緊締し、二次コイル3の引出線3aは、そのままコイル引出口を通して外部へ引き出し、隙間をシールする。
【0017】各トランス部5,6の一次コイル2の対は、中性点端子13をもって互いに接続されるが、本発明において、中性点端子13は、一次コイル2の引出線2aと同様に前記コイルの積層体からガラス繊維テープを除き、各層の導体板を積層一体化し、第1トランス部5の中性点端子13と、第2トランス部6の中性点端子13とを上下に重ね合わせて箱内で接続している。
【0018】箱7は、その上面開口を蓋8で施蓋し、接合部をOーリング14又はシリコンゴムでシールしてボルト・ナット(図示略)で締付固定する。放熱フィンは、ケース4の上面のほか、下面にも設けて放熱性を高めている。
【0019】一次コイル端子11に接続されたケーブル(図示略)には、インピーダンスボンド導線(図示略)の一端を接続し、他端をレールに結線する。また、二次コイル3の引出線3aは、軌道リレートランスの配線ケーブルに接続する。
【0020】
【発明の効果】以上のように本発明は、一対のトランス部を同一のケース内に収容し、両トランス部の中性点端子をケース内で直結したものであるため、設置現場において、トランス部の中性点端子間の接続作業は不要となり、現場での据付並びに配線作業を簡略化できる。
【0021】また、ケースを水密構造とすることにより、両トランス部の中性点端子を形成する一次コイルの導体板をそのまま上下に重ねて接続すればよいため、中性点端子の構造を簡素化できる。
【0022】本発明によれば、2基のインピーダンスボンドを設置する従来例に比して設置場所に広い面積を要せず、小型化,コンパクト化を図り、信頼性を向上できる効果を有する。
- 【公開番号】特開平7−2108
【公開日】平成7年(1995)1月6日
【発明の名称】インピーダンスボンド
- 【出願番号】特願平5−144972
【出願日】平成5年(1993)6月16日
【出願人】
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 中
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