排ガス浄化材及び排ガス浄化方法
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- 【要約】
【目的】 窒素酸化物や、一酸化炭素、水素、炭化水素等の未燃焼分に対する理論反応量以上の酸素を含有する燃焼排ガスから、効率良く窒素酸化物を除去することができる排ガス浄化材を提供する。
【構成】 多孔質の無機酸化物に活性種である銀又は銀酸化物0.2〜20重量%(元素換算値)を担持してなる第一の触媒と、多孔質の無機酸化物に活性種であるW及び/又はVの酸化物1〜50重量%(酸化物換算値)を担持してなる第二の触媒とからなる排ガス浄化材を用い、外部から排ガス中に含酸素有機化合物添加し、窒素酸化物を還元する。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 窒素酸化物と、共存する未燃焼成分に対する理論反応量より多い酸素とを含む燃焼排ガスから窒素酸化物を除去する排ガス浄化材において、多孔質の無機酸化物に活性種である銀又は銀酸化物0.2〜20重量%(元素換算値)を担持してなる第一の触媒と、多孔質の無機酸化物に活性種であるW及び/又はVの酸化物1〜50重量%(酸化物換算値)を担持してなる第二の触媒とからなることを特徴とする排ガス浄化材。
【請求項2】 請求項1に記載の排ガス浄化材において、前記浄化材の排ガス流入側に前記第一の触媒を有し、排ガス流出側に前記第二の触媒を有することを特徴とする排ガス浄化材。
【請求項3】 請求項1又は2に記載の排ガス浄化材において、前記多孔質無機酸化物が、第一の触媒ではアルミナ又はアルミナ系複合酸化物で、第二の触媒ではチタニア又はそれを含む複合酸化物であることを特徴とする排ガス浄化材。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の排ガス浄化材において、前記浄化材は前記第一及び第二の触媒をセラッミクス製又は金属製の基体の表面にコートしてなることを特徴とする排ガス浄化材。
【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の排ガス浄化材において、前記第一及び第二の触媒の多孔質無機酸化物はそれぞれペレット状又は顆粒状であることを特徴とする排ガス浄化材。
【請求項6】 窒素酸化物と、共存する未燃焼成分に対する理論反応量より多い酸素とを含む燃焼排ガスから窒素酸化物を除去する排ガス浄化方法において、請求項1〜5のいすれかに記載の排ガス浄化材を用い、前記排ガス浄化材を排ガス導管の途中に設置し、前記浄化材の上流側で炭素数2以上の含酸素有機化合物又はそれを含む燃料を添加した排ガスを、150〜650℃において前記浄化材に接触させ、もって前記排ガス中の含酸素有機化合物との反応により前記窒素酸化物を除去することを特徴とする排ガス浄化方法。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒素酸化物と過剰の酸素を含む燃焼排ガスから、窒素酸化物を効果的に除去する排ガス浄化材及びそれを用いた浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】自動車用エンジン等の内燃機関や、工場等に設置された燃焼機器、家庭用ファンヒーターなどから排出される各種の燃焼排ガス中には、過剰の酸素とともに一酸化窒素、二酸化窒素等の窒素酸化物が含まれている。ここで、「過剰の酸素を含む」とは、その排ガス中に含まれる一酸化炭素、水素、炭化水素等の未燃焼成分を燃焼するのに必要な理論酸素量より多い酸素を含むことを意味する。また、以下における窒素酸化物とは一酸化窒素及び/又は二酸化窒素を指す。
【0003】この窒素酸化物は酸性雨の原因の一つとされ、環境上の大きな問題となっている。そのため、各種燃焼機器が排出する排ガス中の窒素酸化物を除去するさまざまな方法が検討されている。
【0004】過剰の酸素を含む燃焼排ガスから窒素酸化物を除去する方法として、特に大規模な固定燃焼装置(工場等の大型燃焼機等)に対しては、アンモニアを用いる選択的接触還元法が実用化されている。
【0005】しかしながら、この方法においては、窒素酸化物の還元剤として用いるアンモニアが高価であること、またアンモニアは毒性を有すること、そのために未反応のアンモニアが排出しないように排ガス中の窒素酸化物濃度を計測しながらアンモニア注入量を制御しなければならないこと、一般に装置が大型となること等の問題点がある。
【0006】また、別な方法として、水素、一酸化炭素、炭化水素等のガスを還元剤として用い、窒素酸化物を還元する非選択的接触還元法があるが、この方法では、効果的な窒素酸化物の低減除去を実行するためには排ガス中の酸素との理論反応量以上の還元剤を添加しなければならず、還元剤を多量に消費する欠点がある。このため非選択的接触還元法は、実際上は、理論空燃比付近で燃焼した残存酸素濃度の低い排ガスに対してのみ有効となり、汎用性に乏しく実際的でない。
【0007】そこで、ゼオライト又はそれに遷移金属を担持した触媒を用いて、排ガス中の酸素との理論反応量以下の還元剤を添加して窒素酸化物を除去する方法が提案された(たとえば、特開昭63-100919 号、同63-283727 号、特開平1-130735号、及び日本化学会第59春季年会 (1990年)2A526、同第60秋季年会 (1990年)3L420、3L422 、3L423 、「触媒」vol.33 No.2 、59ページ、1991年等) 。
【0008】しかしながら、これらの方法では、窒素酸化物の除去温度領域が狭く、また、水分を含むような排ガスでは、窒素酸化物の除去率が著しく低下することがわかった。
【0009】したがって、本発明の目的は、固定燃焼装置および酸素過剰条件で燃焼するガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等からの燃焼排ガスのように、窒素酸化物や、一酸化炭素、水素、炭化水素等の未燃焼分に対する理論反応量以上の酸素を含有する燃焼排ガスから、効率良く窒素酸化物を除去することができる排ガス浄化材及び排ガス浄化方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、多孔質の無機酸化物に銀成分を担持してなる触媒上で、エタノールなどの含酸素有機化合物、酸素、及び窒素酸化物の反応の副生成物としてアンモニアが生成されていることを見出し、排ガス浄化材を上記銀系触媒と、アンモニアを還元剤として窒素酸化物を還元できるW、V系触媒とを組み合わせて形成される排ガス浄化材を用い、排ガス中に含酸素有機化合物を添加して特定の温度で上記の触媒に排ガスを接触させれば、10%の水分を含む排ガスでも、広い温度領域で窒素酸化物を効果的に除去することができることを発見し、本発明を完成した。
【0011】すなわち、窒素酸化物と、共存する未燃焼成分に対する理論反応量より多い酸素とを含む燃焼排ガスから窒素酸化物を除去する本発明の排ガス浄化材は、多孔質の無機酸化物に活性種である銀又は銀酸化物0.2〜20重量%(元素換算値)を担持してなる第一の触媒と、多孔質の無機酸化物に活性種であるW及び/又はVの酸化物1〜50重量%(酸化物換算値)を担持してなる第二の触媒とからなることを特徴とする。
【0012】また、窒素酸化物と、共存する未燃焼成分に対する理論反応量より多い酸素とを含む燃焼排ガスから窒素酸化物を除去する本発明の排ガス浄化方法は、上記排ガス浄化材を排ガス導管の途中に設置し、前記浄化材の上流側で炭素数2以上の含酸素有機化合物又はそれを含む燃料を添加した排ガスを、150〜650℃において前記浄化材に接触させ、もって前記排ガス中の含酸素有機化合物との反応により前記窒素酸化物を除去することを特徴とする。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明では、多孔質の無機酸化物に活性種である銀又は銀酸化物0.2〜20重量%(元素換算値)を担持してなる第一の触媒と、多孔質の無機酸化物に活性種であるW及び/又はVの酸化物1〜50重量%(酸化物換算値)を担持してなる第二の触媒とからなる排ガス浄化材を排ガス導管中に設置し、浄化材の設置位置より上流側で含酸素有機化合物を添加した排ガスをこの浄化材に接触させて、排ガス中の窒素酸化物を還元除去する。本発明では、第一の触媒と第二の触媒を組み合わせて用いるが、排ガス流入側に第一の触媒を、流出側に第二の触媒を配置するのが好ましい。このように配置することによって、広い排ガス温度領域で窒素酸化物を効果的に還元除去することができる。
【0014】本発明の排ガス浄化材の第一の好ましい形態は、粉末状の多孔質無機酸化物に触媒活性種を担持してなる触媒を浄化材基体にコートしてなる浄化材である。浄化材の基体を形成するセラミックス材料としては、γ−アルミナ及びその酸化物(γ−アルミナ−チタニア、γ−アルミナ−シリカ、γ−アルミナ−ジルコニア等)、ジルコニア、チタニア−ジルコニアなどの多孔質で表面積の大きい耐熱性のものが挙げられる。高耐熱性が要求される場合、コージェライト、ムライト、アルミナ及びそれらの複合物等を用いるのが好ましい。また、排ガス浄化材の基体に公知の金属材料を用いることもできる。
【0015】排ガス浄化材の基体の形状及び大きさは、目的に応じて種々変更できる。実用的には、入口部分と出口部分とからなる二つ又は二つ以上の部分からなることが好ましい。またその構造としては、ハニカム構造型、フォーム型、繊維状耐火物からなる三次元網目構造型、あるいは顆粒状、ペレット状等が挙げられる。
【0016】本発明の排ガス浄化材の第二の好ましい形態は、ペレット状又は顆粒状粉末状の多孔質無機酸化物に触媒活性種を担持してなる触媒を作成し、所望の順序で充填してなる浄化材である。
【0017】本発明の浄化材には以下の二つの触媒が形成されている。
(1)第一の触媒第一の触媒は、多孔質無機酸化物に銀成分を担持してなる。多孔質の無機酸化物としては、多孔質のアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、及びそれらの複合酸化物等を使用することができるが、好ましくはγ−アルミナ又はアルミナ系複合酸化物を用いる。γ−アルミナ又はアルミナ系複合酸化物を用いることにより、添加した含酸素有機化合物及び/又は排ガス中の残留炭化水素と排ガス中の窒素酸化物との反応が効率良く起こる。
【0018】多孔質の無機酸化物の比表面積は10m2 /g以上であるのが好ましい。比表面積が10m2 /g未満であると、排ガスと無機酸化物(及びこれに担持した銀成分)との接触面積が小さくなり、良好な窒素酸化物の除去が行えない。
【0019】上記したγ−アルミナ等の無機酸化物に活性種として担持する銀成分の担持量は、無機酸化物100重量%に対して0.2〜20重量%(元素換算値)とする。0.2重量%未満では窒素酸化物の除去率が低下する。また、20重量%を超す量の銀を担持すると含酸素有機化合物自身の燃焼が起きやすく、窒素酸化物の除去率はかえって低下する。好ましい銀成分の担持量は0.5〜15重量%である。なお、銀成分は、排ガスの温度領域では金属又は酸化物の状態にあり、相互に容易に変換し得る。
【0020】アルミナ等の無機酸化物に銀成分を担持する方法としては、公知の含浸法、沈澱法、ゾルーゲル法、粉末法等を用いることができる。含浸法を用いる際、硝酸銀水溶液等の銀成分を有する溶液に多孔質無機酸化物を浸漬し、70℃程度で乾燥後、100〜600℃で段階的に昇温して焼成するのが好ましい。また、最後に300〜650℃で酸化処理するのが好ましい。
【0021】なお、上記浄化材の第一の好ましい形態では、浄化材基体上に設ける第一の触媒の厚さは、一般に、基体材と、この触媒との熱膨張特性の違いから制限される場合が多い。浄化材基体上に設ける触媒の厚さを300μm以下とするのがよい。このような厚さとすれば、使用中に熱衝撃等で浄化材が破損することを防ぐことができる。浄化材基体の表面に触媒を形成する方法は公知のウォシュコート法、ゾルーゲル法等によって行われる。
【0022】また、浄化材基体の表面上に設ける第一触媒の量は、浄化材基体の20〜300g/lとするのが好ましい。触媒の量が20g/l未満では良好なNOx の除去が行えない。一方、触媒の量が300g/lを超えると除去特性はそれほど上がらず、圧力損失が大きくなる。より好ましくは、浄化材基体の表面上に設ける第一の触媒を浄化材基体の50〜250g/lとする。
【0023】(2)第二の触媒第二の触媒は、多孔質無機酸化物に触媒活性種を担持してなる。多孔質無機酸化物としては、チタニア及びそれを含む複合無機酸化物、ジルコニア、チタニア−ジルコニアなどの多孔質で表面積の大きい耐熱性のセラミックスが挙げられる。好ましくはチタニア及びそれを含む複合酸化物を用いる。
【0024】上記の第二触媒の活性種としては、W及び/又はVの酸化物を用いる。第二の触媒で無機酸化物に担持する活性種の合計は、上述の多孔質の無機酸化物を基準(100重量%) として1〜50重量%(酸化物換算値)とし、好ましくは2〜40重量%(酸化物換算値)とする。触媒活性種の量が前記無機酸化物に対して、50重量%を超しても効果に変化がなく、また触媒活性種の量が1重量%未満では、窒素酸化物の還元率は低下することになる。W、Vの酸化物を用いることにより、アンモニアを還元剤とする窒素酸化物の除去が可能になる。
【0025】また、本発明では、アンモニアによる窒素酸化物の還元反応を促進する触媒であれば、W、Vの酸化物に限らず用いることが可能である。
【0026】第二の触媒における活性種の担持は、公知の含浸法、沈澱法、ゾルーゲル法、粉末法等を用いることができる。含浸法を用いる際、触媒活性種元素のアンモニウム塩、しゅう酸塩等の水溶液に多孔質無機酸化物を浸漬し、70℃で乾燥後、100〜600℃で段階的に昇温して焼成することによって行われる。この焼成は空気中、酸素雰囲気下、窒素雰囲気下、又は水素ガス流下で行うが、又はなお、担持成分は金属元素として表示しているが、窒素雰囲気下又は水素ガス流下焼成したときは、最後に300〜650℃で酸化処理を行うと効果的である。通常の浄化材の使用温度条件では担持成分は金属と酸化物の状態で存在する。
【0027】なお、上記浄化材の第一の好ましい形態では、浄化材基体上に設ける第二の触媒の厚さを300μm以下とするのがよい。また、浄化材基体の表面上に設ける第二の触媒の量は、浄化材基体の20〜300g/lとするのが好ましい。また、浄化材基体がチタニアなどの多孔質無機酸化物からなるときは、それらにW及び/又はVの酸化物を所定量担持して浄化剤として用いることができる。その他にW及び/又はVの酸化物を所定量担持したチタニア等の多孔質無機酸化物をハニカム等の成形体に成形して用いることができる。
【0028】本発明においては、第一の触媒と、第二の触媒との重量比は、10:1〜1:5とするのが好ましい。比率が1:5未満である(第一の触媒が少ない)と、250〜600℃の広い温度範囲で全体的に窒素酸化物の浄化率が低下する。一方、比率が5:1を超え、第二の触媒が少ないと、第一の触媒上でできたアンモニアが反応せず、そのまま排出され、排出するガス中のアンモニア濃度が増す。より好ましい第一触媒と第二触媒の重量比は4:1〜1:4である。
【0029】上述した構成の浄化材を用いれば、150〜650℃の広い温度領域において、水分を10%程度を含む排ガスでも、良好な窒素酸化物の除去を行うことができる。また、アンモニアはより優先的に二酸化窒素と反応するため、窒素酸化物中の有害な二酸化窒素の割合を減らすことができる。
【0030】次に、本発明の方法について説明する。まず、排ガス浄化材を排ガス導管の途中に設置する。好ましくは、第一の触媒が排ガスの入口に面し、第二の触媒が排ガスの出口に面するように配置する。
【0031】排ガス中には、残留炭化水素としてエチレン、プロピレン等がある程度は含まれるが、一般に排ガス中のNOx を還元するのに十分な量ではないので、外部から含酸素有機化合物からなる還元剤を排ガス中に導入する。還元剤の導入位置は、浄化材を設置した位置より上流側である。
【0032】外部から導入する含酸素有機化合物として、炭素数2以上のエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、又それらを含む燃料を用いることができる。外部から導入する含酸素有機化合物の量は、重量比(添加する還元剤の重量/排ガス中の窒素酸化物の重量)が0.1〜5となるようにするのが好ましい。この重量比が0.1未満であると、窒素酸化物の除去率が大きくならない。一方、5を超えると、燃費悪化につながる。
【0033】また、含酸素有機化合物を含む燃料を添加する場合、燃料としてガソリン、軽油、灯油などを用いるのが好ましい。この場合、含酸素有機化合物の量は上記と同様に重量比(添加する還元剤の重量/排ガス中の窒素酸化物の重量)が0.1〜5となるように設定する。
【0034】本発明では、含酸素有機化合物等による窒素酸化物の還元除去を効率的に進行させるために、浄化材の全体見かけ空間速度は 500,000h-1以下とする。空間速度が 500,000h-1を越えると、窒素酸化物の還元反応が十分に起こらず、窒素酸化物の除去率が低下する。好ましい空間速度は 300,000h-1以下とする。
【0035】また、本発明では、含酸素有機化合物と窒素酸化物とが反応する部位である浄化材設置部位における排ガスの温度を150〜650℃に保つ。排ガスの温度が150℃未満であると還元剤と窒素酸化物との反応が進行せず、良好な窒素酸化物の除去を行うことができない。一方、650℃を超す温度とすると、含酸素有機化合物自身の燃焼が始まり、窒素酸化物の還元除去が行えない。好ましい排ガス温度は、250〜600℃である。
【0036】
【実施例】本発明を以下の具体的実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1市販のペレット状γ−アルミナ(直径1.5mm 、長さ約2〜3mm、比表面積260m2 /g)10gに、硝酸銀水溶液を用いて銀を2重量%(元素換算値)担持し、乾燥後、空気中で600℃まで段階的に焼成し、銀系浄化材を調製した。
【0037】次に、タングステン酸アンモニウムパラ五水和物1.8g、しゅう酸1.0gに水6.2mlを加え、水浴上で加熱して溶解させた後、冷却した水溶液に、チタニア(粒径0.5〜2.0mm、比表面積35m2 /g)10gを投入し、30分間浸漬した。その後、溶液からチタニア粒子を分離し、空気中で、80℃、100℃、120℃で各2時間乾燥した。続いて、酸素20%を含む窒素気流下で120℃から500℃まで5時間かけで昇温し、500℃で4時間焼成して、チタニアに対してWO3 を9.5重量%担持したW系浄化材を調製した。
【0038】浄化材を、排ガスの流入側に銀系浄化材3.13ml、流出側にW系浄化材3.13mlになるように、反応管内にセットした。次に、表1に示す組成のガス(一酸化窒素、二酸化炭素、酸素、エタノール、窒素、及び水分)を毎分2.0リットル(標準状態)の流量で流して(全体の見かけ空間速度約19,200h-1)、反応管内の排ガス温度を300〜550℃の範囲に保ち、エタノールと窒素酸化物とを反応させた。
【0039】
表1 成分 濃度 一酸化窒素 1000 ppm (乾燥ベース)
二酸化炭素 10 容量% (乾燥ベース)
酸素 10 容量% (乾燥ベース) エタノール 1250 ppm (乾燥ベース)
窒素 残部 水分 10 容量%(上記成分の総体積に対して)
【0040】反応管通過後のガスの窒素酸化物の濃度を化学発光式窒素酸化物分析計により測定し、窒素酸化物の除去率を求めた。結果を表2に示す。
【0041】実施例2粉末状γ−アルミナ(比表面積200m2 /g)に硝酸銀水溶液を用いて銀を2重量%担持させた触媒約1.0gを、市販のコージェライト製ハニカム状成形体(直径30mm、長さ約12.6mm、400セル/インチ)にコートし、乾燥後600℃まで段階的に焼成し、銀系浄化材を調製した。次に、水30mlにV2 O 5を20g懸濁させて、水浴上で約90℃に保ちながら1時間攪拌した。放冷した後、水を加えて80mlにした。この水溶液4ml取り、さらに水を2.8ml加えて6.8mlとした後、粉末チタニア10gを投入し、30分間浸漬し、スラリー状にした。上記銀系触媒と同様のハニカム状成形体にスラリーを1.0g(乾燥ベース)コートした。チタニアに対してV2 O 5の含有量は6重量%であった。実施例1のWO3 /チタニア触媒と同様の条件で乾燥、焼成を行い、V系浄化材を調製した。排ガスの流入側に銀系浄化材、流出側にV系浄化材になるように、反応管内にセットし、表1に示す組成のガスで評価した(全体の見かけ空間速度約14,800h-1)。実験結果を表2に示す。
【0042】比較例1実施例1と同様な方法で作成した銀系浄化材を3.13ml反応管にセットし、表1に示す組成のガスで評価した。実験結果を表2に示す。
【0043】比較例2実施例1と同様な方法で作成した銀系浄化材を6.26ml反応管にセットし、表1に示す組成のガスで評価した。実験結果を表2に示す。
【0044】比較例3実施例1と同様な方法で作成したW系浄化材を3.13ml反応管にセットし、表1に示す組成のガスで評価した。実験結果を表2に示す。
【0045】
表2 窒素酸化物(NOx)の除去率 反応温度 窒素酸化物の除去率(%)
(℃) 実施例1 実施例2 比較例1 比較例2 比較例3 300 74.8 75.5 70.2 91.9 0.0 350 95.2 98.7 89.8 97.6 0.0 400 97.7 97.5 92.1 96.1 0.0 450 96.7 96.5 87.4 90.3 0.0 500 87.3 87.4 73.1 77.6 0.0 550 63.4 64.0 52.4 55.0 8.1【0046】以上からわかるように、実施例1、2においては、広い排ガス温度領域で窒素酸化物の良好な除去がみられた。一方、比較例1、2の銀触媒だけでは、窒素酸化物除去の温度範囲が狭い。また、比較例1の浄化材通過後排ガスよりアンモニアが検出されたが、実施例1、2の場合ではアンモニアが検出されず、窒素酸化物の還元剤としてアンモニアが反応したことがわかる。比較例3のW系触媒だけでは、窒素酸化物は実質的に除去されなかった。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の排ガス浄化材を用いれば、広い温度領域において過剰の酸素を含む排ガス中の窒素酸化物を効率良く除去することができる。本発明の排ガス浄化材及び浄化方法は、各種燃焼機、自動車等の排ガス浄化に広く利用することができる。
─────────────────────────────────────────────────────【手続補正書】
【提出日】平成6年7月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】第二の触媒における活性種の担持は、公知の含浸法、沈澱法、ゾルーゲル法等を用いることができる。含浸法を用いる際、触媒活性種元素のアンモニウム塩、しゅう酸塩等の水溶液に多孔質無機酸化物を浸漬し、70℃で乾燥後、100〜600℃で段階的に昇温して焼成することによって行われる。この焼成は空気中、酸素雰囲気下、窒素雰囲気下で行う。通常の浄化材の使用温度条件では担持成分は酸化物の状態で存在する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】なお、上記浄化材の第一の好ましい形態では、浄化材基体上の表面に設ける第二の触媒の厚さを300μm以下とするのがよい。また、浄化材基体の表面上に設ける第二の触媒の量は、浄化材基体の20〜300g/1とするのが好ましい。また、浄化材基体がチタニアなどの多孔質無機酸化物からなるときは、それらにW及び/又はVの酸化物を所定量担持して浄化剤として用いることができる。その他にW及び/又はVの酸化物を所定量担持したチタニア等の多孔質無機酸化物をハニカム等の成形体に成形して用いることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】実施例2
粉末状γ−アルミナ(比表面積200m2/g)に硝酸銀水溶液を用いて銀を2重量%担持させた触媒約10.gを、市販のコージェライト製ハニカム状成形体(直径30mm、長さ約12.6mm、400セル/インチ)にコートし、乾燥後600℃まで段階的に焼成し、銀系浄化材を調製した。次に、水30mlにV2O5を20g懸濁させて、水浴上で約90℃に保ちながら1時間撹拌した。放冷した後、水を加えて80mlにした。この水溶液を4ml採取し、水を2.8ml加えて6.8mlとした後、粉末チタニア10gを投入し、30分間浸漬し、スラリー状にした。上記銀系触媒と同様のハニカム状成形体にスラリーを1.0g(乾燥ベース)コートした。チタニアに対してV2O5の含有量は6重量%であった。実施例1のWO3/チタニア触媒と同様の条件で乾燥、焼成を行い、V系浄化材を調製した。排ガスの流入側に銀系浄化材、流出側にV系浄化材になるように、反応管内にセットし、表1に示す組成のガスで評価した(全体の見かけ空間速度約14,800h−1)。実験結果を表2に示す。
【手続補正書】
【提出日】平成6年8月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】アルミナ等の無機酸化物に銀成分を担持する方法としては、公知の含浸法、沈澱法等を用いることができる。含浸法を用いる際、硝酸銀水溶液等の銀成分を有する溶液に多孔質無機酸化物を浸漬し、70℃程度で乾燥後、100〜600℃で段階的に昇温して焼成するのが好ましい。また、最後に300〜650℃で酸化処理するのが好ましい。
─────────────────────────────────────────────────────【手続補正書】
【提出日】平成6年8月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】第二の触媒における活性種の担持は、公知の含浸法、沈澱法等を用いることができる。含浸法を用いる際、触媒活性種元素のアンモニウム塩、しゆう酸塩等の水溶液に多孔質無機酸化物を浸漬し、70℃で乾燥後、100〜600℃で段階的に昇温して焼成することによって行われる。この焼成は空気中、酸素雰囲気下、窒素雰囲気下で行う。通常の浄化材の使用温度条件では担持成分は酸化物の状態で存在する。
─────────────────────────────────────────────────────【手続補正書】
【提出日】平成6年8月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】実施例2
粉末状γ−アルミナ(比表面積200m2/g)に硝酸銀水溶液を用いて銀を2重量%担持させた触媒約1.0gを、市販のコージェライト製ハニカム状成形体(直径30mm、長さ約12.6mm、400セル/インチ)にコートし、乾燥後600℃まで段階的に焼成し、銀系浄化材を調製した。次に、水30mlにV2O5を20g懸濁させて、水浴上で80℃に加熱し、撹拌しながら43gのシュウ酸を徐々に加えて、更に加熱して約90℃に保ちながら1時間撹拌した。放冷した後、水を加えて80mlにした。この水溶液を4ml採取し、水を2.8ml加えて6.8mlとした後、粉末チタニア10gを投入し、30分間浸漬し、スラリー状にした。上記銀系触媒と同様のハニカム状成形体にスラリーを1.0g(乾燥ベース)コートした。チタニアに対してV2O5の含有量は6重量%であった。実施例1のWO3/チタニア触媒と同様の条件で乾燥、焼成を行い、V系浄化材を調製した。排ガスの流入側に銀系浄化材、流出側にV系浄化材になるように、反応管内にセットし、表1に示す組成のガスで評価した(全体の見かけ空間速度約14,800h−1)。実験結果を表2に示す。
- 【公開番号】特開平7−60119
【公開日】平成7年(1995)3月7日
【発明の名称】排ガス浄化材及び排ガス浄化方法
【発明者】
【氏名】宮寺 達雄
【氏名】吉田 清英
- 【出願番号】特願平5−234200
【出願日】平成5年(1993)8月26日
【出願人】
【識別番号】000001144
【氏名又は名称】工業技術院長
【識別番号】000139023
【氏名又は名称】株式会社リケン
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