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スパイラルルーパー
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- 【要約】
【目的】 ルーパーからの内巻コイルの自由な排出を制限可能とし、ルーパーの稼動の安定を図ること。
【構成】 スパイラルルーパー10において、内巻側ロール上に支持されてインナガイドロール13回りに巻姿を形成している内巻コイルの内面にブレーキ部材31を押圧可能としてなるもの。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 帯板ストレージ領域の外周ラインに沿う多数の竪置形アウタガイドロールと内周ラインに沿う多数の竪置形インナガイドロールとを備えるとともに、帯板ストレージ領域の床面のアウタガイドロール寄りに位置する多数の横置形外巻側ロールとインナガイドロール寄りに位置する多数の横置形内巻側ロールとを備え、帯板を内巻部分からスパイラル状に巻き回して下工程へと取出し可能としたスパイラルルーパーにおいて、内巻側ロール上に支持されてインナガイドロール回りに巻姿を形成している内巻コイルの内面にブレーキ部材を押圧可能としてなることを特徴とするスパイラルルーパー。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスパイラルルーパーに関する。
【0002】
【従来の技術】溶接鋼管製造ライン等の帯板連続処理ラインで、帯板をストレージするルーパーとして、スパイラルルーパーが知られている。このスパイラルルーパーは、帯板ストレージ領域の外周ラインに沿う多数の竪置形アウタガイドロールと内周ラインに沿う多数の竪置形インナガイドロールとを備えるとともに、帯板ストレージ領域の床面のアウタガイドロール寄りに位置する多数の横置形外巻側ロールとインナガイドロール寄りに位置する多数の横置形内巻側ロールとを備えて構成されている。
【0003】そして、このスパイラルルーパーでは、帯板をアウタガイドロールにてガイドしつつ外巻側ロール状に巻数Noの外巻をストレージし、且つその外巻に連なる帯板をインナガイドロールにてガイドしつつ内巻側ロール上に巻数Niの内巻をストレージし、この帯板を内巻部分からスパイラル状に巻き回して下工程へと取出し可能としている。
【0004】ここで、スパイラルルーパーにあっては、外巻の巻数Noと内巻の巻数Niとの合計値は常に一定とされ、外巻と内巻の周長差がストレージ量となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、従来技術では、スパイラルルーパーの出側セクション(下工程)が非常停止した場合、ルーパー内の内巻コイルがその慣性で巻き出され続ける。図7は、この状態を示す模式図であり、1は帯板、1Aは外巻コイル、1Bは内巻コイル、2は入側ゾーン、3は出側ゾーンである。そして、この場合には、内巻コイル1Bと出側ゾーン3のピンチロール4との間の帯板1が、たるみ、周辺に飛び出したり、センサ等の周辺設備に衝突して損傷を生じさせる虞れがある。
【0006】本発明は、ルーパーからの内巻コイルの自由な排出を制限可能とし、ルーパーの稼動の安定を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、帯板ストレージ領域の外周ラインに沿う多数の竪置形アウタガイドロールと内周ラインに沿う多数の竪置形インナガイドロールとを備えるとともに、帯板ストレージ領域の床面のアウタガイドロール寄りに位置する多数の横置形外巻側ロールとインナガイドロール寄りに位置する多数の横置形内巻側ロールとを備え、帯板を内巻部分からスパイラル状に巻き回して下工程へと取出し可能としたスパイラルルーパーにおいて、内巻側ロール上に支持されてインナガイドロール回りに巻姿を形成している内巻コイルの内面にブレーキ部材を押圧可能としてなるようにしたものである。
【0008】
【作用】ルーパーからの内巻コイルの排出途中で、ブレーキ部材を作動させ、このブレーキ部材を内巻コイルの内面に押圧せしめるものとすれば、内巻コイルはブレーキ部材が付与する摩擦力で制動され、慣性によるその後の自由な排出を阻止される。これにより、ルーパー出側における帯板のたるみを生ずることがなくなり、帯板が周辺に飛び出すことを防止し、センサ等の周辺設備に衝突して損傷を生じさせることを防止できるものとなる。即ち、ルーパーの稼動の安定を図り、信頼性、安全性を著しく向上できる。
【0009】
【実施例】図1は本発明が適用されるスパイラルルーパーを示す平面図、図2は図1のII-II 線に沿う断面図、図3はスパイラルルーパーによる巻姿を示す模式図、図4はスパイラルルーパーの要部を示す側面図、図5は図4の V-V線に沿う矢視図、図6は図5の VI-VI線に沿う矢視図である。
【0010】スパイラルルーパー10は、図1、図2に示す如く、帯板ストレージ領域11の外周ラインに沿う多数の竪置形アウタガイドロール12と、内周ラインに沿う多数の竪置形インナガイドロール13とを備える。そして、スパイラルルーパー10は、帯板ストレージ領域11の床面のアウタガイドロール12寄りに位置する多数の横置形外巻側ロール14と、インナガイドロール13寄りに位置する多数の横置形内巻側ロール15とを備える。外巻側ロール14はドライブロールであり、インバーター制御される駆動モータ16にて駆動される。内巻側ロール15はアイドルロールである。帯板ストレージ領域11において、外巻側ロール14と内巻側ロール15との境界部にはシュー17が配置されている。また、帯板ストレージ領域11において、隣り合う外巻側ロール14、14の間にはスキューロール18が配置されている。
【0011】尚、スパイラルルーパー10は、その入側に入側ツイストゾーン21を配置しており、水平に搬入されてくる帯板1を鉛直状とし、この鉛直状帯板1をメジャリングロール21Bにて測長しつつ、入側ピンチロール21Cの駆動により帯板ストレージ領域11内に送り込む。
【0012】また、スパイラルルーパー10は、その出側に出側ツイストゾーン22を配置しており、帯板ストレージ領域11から排出されてくる鉛直状帯板1をメジャリングロール22Bにて測長しつつ、90度ツイストさせ水平状として下工程へと搬出する。
【0013】このスパイラルルーパー10では、入側ツイストゾーン21から帯板ストレージ領域11内に送り込まれてくる帯板1をアウタガイドロール12にてガイドしつつ外巻側ロール14上に巻数Noの外巻をストレージし、且つその外巻に連なる帯板1をインナガイドロール13にてガイドしつつ内巻側ロール15上に巻数Niの内巻をストレージし、この帯板1を内巻部分からスパイラル状に巻き回して出側ツイストゾーン22の側に排出する(図3)。
【0014】ここで、スパイラルルーパー10にあっては、外巻の巻数Noと内巻の巻数Niとの合計値は常に一定とされ、外巻と内巻の周長差がストレージ量となる。
【0015】然るに、スパイラルルーパー10にあっては、内巻側ロール15上に支持されてインナガイドロール13回りに巻姿を形成している内巻コイルの内面にブレーキ部材31を押圧可能とするためのブレーキ装置30を備えている。
【0016】ブレーキ装置30は、ルーパー10内にエアシリンダ32を固定設置し、このエアシリンダ32のピストンロッド先端部にブレーキ部材31を固定し、このブレーキ部材31を、隣り合うインナガイドロール13、13の間に設置したガイド33により摺動支持可能としている。即ち、ブレーキ装置30は、エアシリンダ32の伸長動作により、ガイド33によりガイドされて前進するブレーキ部材31を内巻コイルの内面に押圧し、この内巻コイルに摩擦力に基づく制動力を付与可能とする。
【0017】尚、ブレーキ装置30は、スパイラルルーパー10の出側(下工程)における非常停止信号を受け、この非常停止に連動して上述の制動動作を行なうものとする制御手段を付帯的に備えている。
【0018】以下、本実施例の作用について説明する。ルーパー10からの内巻コイルの排出途中で、ブレーキ部材31を作動させ、このブレーキ部材31を内巻コイルの内面に押圧せしめるものとすれば、内巻コイルはブレーキ部材31が付与する摩擦力で制動され、慣性によるその後の自由な排出を阻止される。これにより、ルーパー出側における帯板1のたるみを生ずることがなくなり、帯板1が周辺に飛び出すことを防止し、センサ等の周辺設備に衝突して損傷を生じさせることを防止できるものとなる。即ち、ルーパー10の稼動の安定を図り、信頼性、安全性を著しく向上できる。
【0019】表1は鍛接ミルの入側に設けたスパイラルルーパー10の運転条件と本発明の効果を示すものである。表1によれば、ブレーキ装置30を用いて、ルーパー10の出側非常停止と同時に内巻コイルに制動作用を付与した結果、帯板1のたるみが発生しなくなることを認めた。
【0020】
【表1】【0021】以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、ブレーキ部材は、エア、油等の流体圧に限らず、電動モータ等にて駆動されるものであっても良い。
【0022】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ルーパーからの内巻コイルの自由な排出を制限可能とし、ルーパーの稼動の安定を図ることができる。
【0023】
- 【公開番号】特開平7−60350
【公開日】平成7年(1995)3月7日
【発明の名称】スパイラルルーパー
- 【出願番号】特願平5−235860
【出願日】平成5年(1993)8月30日
【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治
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