スポンサード リンク
伸線巻き取り装置
スポンサード リンク
- 【要約】
【目的】 伸線をガイド管から伸線キャリアに受け渡す際に、円滑にかつ確実に受け渡すことができると共に、伸線加工を連続的に行いながら、伸線キャリアを簡単に交換することができて、伸線の巻き取り及び回収を迅速にかつ容易に行うことができる伸線巻き取り装置を提供することを目的とする。
【構成】 巻き取り筒19によって巻き取られた伸線をガイド管21に導き、このガイド管21によって下方に案内して可撓性ガイド23に沿って伸線キャリア31に受け渡す一方、伸線キャリア31の交換時には、上記ガイド管21の下端部に設けられた貯線手段40によって、上記ガイド管21からの伸線キャリア31への伸線の受渡しを中断し、その間に上記伸線キャリア31の移動に伴って可撓性ガイド23を上方に押しやって該伸線キャリア31を交換する。
スポンサード リンク
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 搬送されてきた伸線を巻き取って回収する伸線巻き取り装置において、搬送されてきた伸線を巻き取る巻き取り筒と、この巻き取り筒に設けられ、かつ上記伸線を下方に案内するガイド部材と、このガイド部材の下端部に設けられ、かつ上記伸線を一時的に貯留する貯線手段と、上記ガイド部材の下方に設けられ、かつこのガイド部材から伸線を受け渡される移動可能な伸線キャリアと、上記ガイド部材の下端から上記伸線キャリアの上端より下方にまで垂設された可撓性ガイドとを具備したことを特徴とする伸線巻き取り装置。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として、伸線機により伸線加工された銅等の金属製の線材をコイル状に巻き取って搬出する伸線巻き取り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、銅線を伸線加工する伸線機の下流側には、この伸線機により伸線加工された銅線をコイル状に巻き取るための伸線巻き取り装置が配置されている。そして、この伸線巻き取り装置としては、従来、水平方向に搬入されてきた伸線を、回転体の回転中心孔に送り込み、次いで、この回転体の回転中心に直交する方向(外方)に導くと共に、上記回転体を回転させることにより、上記回転体の半径方向外方に導かれた伸線を、上記回転体に対向配置された巻き取り筒に巻き取らせた後、この巻き取り筒に連結されたガイド部材に沿って下方に案内し、このガイド部材の下方に待機している伸線キャリアの外側に投下して、この伸線キャリアに伸線を巻き取らせて回収するものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般的に、1回の伸線加工によって上記伸線機から搬出される伸線の量は、上記1つの伸線キャリアによって巻き取られて回収される伸線の量より多いため、上記従来の伸線巻き取り装置を用いた場合には、伸線キャリアが満杯になる度に、伸線機を止めて伸線キャリアを交換する必要があった。
【0004】しかしながら、このように伸線キャリアが満杯になる度に伸線加工を中断して新しい伸線キャリアと交換するようにすると、その伸線キャリア交換時間だけ伸線機の稼働率が低下するという問題がある。そこで、本発明者等が、鋭意検討した結果、伸線キャリアの交換作業によって伸線加工を中断する必要がなく、伸線加工を連続的に行いながら、伸線キャリアを円滑にかつ確実に交換することができる新規の伸線巻き取り装置を開発した。
【0005】この伸線巻き取り装置は、搬送されてきた伸線を巻き取る巻き取り筒と、この巻き取り筒に設けられ、かつ上記伸線を下方に案内するガイド部材と、このガイド部材の下端部に設けられ、かつ上記伸線を一時的に貯留する貯線手段と、上記ガイド部材の下方に設けられ、かつこのガイド部材から伸線を受け渡される移動可能な伸線キャリアとを備えたものである。
【0006】そして、この伸線巻き取り装置にあっては、上記伸線キャリアを交換する場合を考えると、上記ガイド部材の下端と伸線キャリアの上端との間に所定の間隔をあけておいたほうが交換し易い一方、このように上記ガイド部材の下端と伸線キャリアの上端との間に間隔をあけておくと、ガイド部材から伸線キャリアに伸線を受け渡す際に、上記ガイド部材の下端と伸線キャリアの上端との間に伸線が入り込み円滑に伸線の受渡しができない場合がある。
【0007】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、伸線をガイド部材から伸線キャリアに受け渡す際に、円滑にかつ確実に受け渡すことができると共に、伸線加工を連続的に行いながら、伸線キャリアを簡単に交換することができて、伸線の巻き取り及び回収を迅速にかつ容易に行うことができる伸線巻き取り装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、搬送されてきた伸線を巻き取る巻き取り筒と、この巻き取り筒に設けられ、かつ上記伸線を下方に案内するガイド部材と、このガイド部材の下端部に設けられ、かつ上記伸線を一時的に貯留する貯線手段と、上記ガイド部材の下方に設けられ、かつこのガイド部材から伸線を受け渡される移動可能な伸線キャリアと、上記ガイド部材の下端から上記伸線キャリアの上端より下方にまで垂設された可撓性ガイドとを備えたものである。
【0009】
【作用】本発明の伸線巻き取り装置にあっては、巻き取り筒によって巻き取られた伸線をガイド部材に導き、このガイド部材によって下方に案内して可撓性ガイドに沿って伸線キャリアに受け渡す一方、伸線キャリアの交換時には、上記ガイド部材の下端部に設けられた貯線手段によって、上記ガイド部材からの伸線キャリアへの伸線の受渡しを中断し、その間に上記伸線キャリアの移動に伴って可撓性ガイドを上方に押しやって該伸線キャリアを交換する。
【0010】
【実施例】以下、図1〜図9に基づいて本発明の一実施例を説明する。
【0011】これらの図において、符号1は巻き取り装置本体であり、この巻き取り装置本体1には、その内部に伸線Wを搬入する伸線搬入機構10が設けられている。そして、上記巻き取り装置本体1内には、前後一対の軸受11を介して、回転中心孔12を有する回転体13が回転自在に設けられており、この回転体13に装着されている歯車14には、伝動機構15を介して、回転駆動機構16が連結されている。
【0012】また、上記伸線搬入機構10によって巻き取り装置本体1の内部に搬入された伸線Wは、上記回転体13の回転中心孔12を通り、該回転体13の中心部と外縁部とに多数設けられた案内輪17aを有する伸線案内機構17に導かれるようになっている。そして、上記回転体13には軸受18を介して巻き取り筒19が相対回転可能に設けられており、この巻き取り筒19は、上記回転体13を経由した支持機構20を介して上記巻き取り装置本体1に支持されている。
【0013】すなわち、上記支持機構20は、上記巻き取り装置本体1に固定されたリング状歯車20aと、このリング状歯車20aに噛み合わされた歯車20bと、この歯車20bを一端に装着し、かつ上記回転体13に軸受20cを介して回転自在に取り付けられた回転軸20dと、この回転軸20dの他端に装着された歯車20eと、この歯車20eに噛み合わされ、かつ上記巻き取り筒19に装着された歯車20fとから構成されている。
【0014】そして、上記回転体13が回転した場合に、上記リング状歯車20aに噛み合った歯車20bが、該リング状歯車20aのまわりを回転して、上記歯車20b,20eとともに回転軸20dが、軸受20cを介して、上記回転体13に対して回転することにより、上記歯車20fを介して、上記巻き取り筒19が、上記リング状歯車20aを固定した巻き取り装置本体1に対して所定姿勢を保持するようになっている。
【0015】上記巻き取り筒19の先端面には、6本のガイド管21が、互いに等間隔に配置された状態でそれぞれ固定されており、これらのガイド管21は、複数の6角形状の補強板22の6つの角部にそれぞれ固定された状態において、横向き状態から鉛直下方に湾曲して配設されている。そして、上記各ガイド管21の下端から所定の間隔をあけた下方位置には、搬送コンベア30に載置されて搬入及び搬出される伸線キャリア31が、配置されるようになっている。
【0016】この伸線キャリア31は、4本の枠体32が載置板33上に等間隔に立設、固定されており、上記各枠体32の上部は、それぞれ、上記載置板33の中心に向かって折曲しかつ互いに接合して平面視十字状に形成されている。また、上記各ガイド管21の下端には、可撓性ガイド23が、上記伸線キャリア31の上端から所定距離下方位置まで垂設されており、この可撓性ガイド23は、可撓性に優れたバネ体のまわりに可撓性樹脂からなるチューブが被覆されて、その下端部が上方に湾曲可能に形成されているものである。
【0017】上記搬送コンベア30を挟んで、上記巻き取り装置本体1に対向する位置には、支柱2が立設されており、これらの巻き取り装置本体1と支柱2の上端との間には、それぞれブラケット3,4を介して、貯線手段40が掛け渡されている。そして、この貯線手段40は、上記各ブラケット3,4に支持され、かつ内部に上記ガイド管21の下部を挿通した中空状の貯線枠41と、この貯線枠41に回動自在に設けられ、かつ貯線枠41の内方に突出可能な6つの開閉爪42と、これらの開閉爪42の基端に取り付けられたスプロケット43と、これらのスプロケット43間に掛け渡されたチェーン44と、このチェーン44に係合して張力を付与するテンショナー45と、上記チェーン44に係合してこのチェーン44を支持案内する一対の案内用スプロケット46と、上記6つの開閉爪42のうちの1つの基端に回転自在に連結された連結部材47と、この連結部材47に回転自在に連結され、かつ上記各開閉爪42を開閉させる開閉シリンダ48とから構成されている。
【0018】また、上記各開閉爪42は、上記6本のガイド管21の下端部を支持している補強板22の若干下方に配置されており、これらの開閉爪42が閉じた際には、それらの先端が上記各ガイド管21間の内側に入り込むように構成されている。そして、上記テンショナー45は、上記チェーン44に係合されたスプロケット45aと、このスプロケット45aにリンク機構45bを介して連結されたスプリング45cとからなり、このスプリング45cの付勢力により、上記リンク機構45bを介して、上記スプロケット45aが上記チェーン44に押し付けられるように構成されている。
【0019】上記支柱2には、取付部材50を介して、2本の支持軸51が互いに所定間隔をあけて連設されており、これらの支持軸51には、それぞれ、上段、中段、下段、合計3つずつの伸線用外枠52が、回転自在に設けられている。そして、上記各3つずつの伸線用外枠52が互いに開閉し得るようになっており、これらの伸線用外枠52には、それらの内側に突き出すように調整可能に取り付けられた支持板53を介して、各4本ずつ合計8本の外径規制部材54が立設されている。これらの外径規制部材54の上端部は外方に傾斜して形成されており、上記各3つずつの伸線用外枠52を閉じた場合に、上記各外径規制部材54が、上記各ガイド管21の下端、可撓性ガイド23及び伸線キャリア31のまわりを取り囲んで、伸線Wの外方への飛び出しを抑えるようになっている。
【0020】また、上記巻き取り装置本体1の上面から張り出した状態において、位置決めシリンダ60が、そのピストンロッド61を下方に向けて設置されている。そして、上記位置決めシリンダ60のピストンロッド61が下方に伸びると、上記ガイド管21の上部を補強している補強板22から若干巻き取り筒19寄りの位置において、上側の2つのガイド管21の間に挿入されて、上記巻き取り筒19に巻き取られた伸線Wの下方への移動を停止すると共に、この伸線Wの先側は、各ガイド管21の外側を回り込んで、上記貯線枠41の、上記巻き取り装置本体1側に垂れ下がるようになっている。
【0021】さらに、上記伸線キャリア31の、搬入側の3つの伸線用外枠52のうち上段及び中段の伸線用外枠52には、ヒモ装入機構70が設けられている。このヒモ装入機構70は、上記上段の伸線用外枠52の外方に張り出した状態で垂設され、かつ下方に結束用のヒモ71を送給するヒモ送給用筒体72と、このヒモ送給用筒体72から垂れ下がったヒモ71を把持して水平方向に移送する一対の開閉可能なクランプ部材73と、これらのクランプ部材73を支持し、かつ開閉するクランプ機構74と、このクランプ機構74を先端部に固定し、かつ所定角度水平方向に旋回可能な旋回アーム75と、この旋回アーム75の基端部に連結され、かつ旋回アーム75を旋回させる回転機構76と、上記ヒモ送給用筒体72の若干下方位置であって、このヒモ送給用筒体72に近接して設けられた切断刃駆動機構77と、この切断刃駆動機構77の回転軸78に取り付けられ、かつ水平旋回して上記ヒモ71を切断する切断刃79と、上記両クランプ部材73の先端部の移動経路の下方であって、上記中段の伸線用外枠52に支持棒材80を介して水平にかつ互いに平行に設けられた一対のヒモ載置棒体81,82とから構成されている。そして、上記両クランプ部材73の先端は、上記回転機構76を駆動することにより、上記ヒモ送給用筒体72の下方から、上記伸線キャリア31の各枠体32の間に入り込むようになっている。
【0022】上記のように構成された伸線巻き取り装置において、伸線機から引き出されてきた伸線Wを巻き取って、伸線キャリア31に回収する場合には、まず、支柱2に近接して立設された一対の支持軸51を中心として、各伸線用外枠52及び外径規制部材54を互いに開いて、搬送コンベア30上から退避させた後、搬送コンベア30上に沿って上記各ガイド管21の下方位置まで伸線キャリア31を搬入し、続いて、上記各支持軸51を中心として、各伸線用外枠52及び外径規制部材54を互いに閉じて、上記搬送コンベア30上に戻すことにより、上記各伸線用外枠52及び外径規制部材54によって上記伸線キャリア31のまわりを取り囲む。
【0023】この場合、上記伸線キャリア31の搬入に際して、伸線キャリア31の上部が、上記各ガイド管21の下端から垂れ下がっている可撓性ガイド23の下端部を上方に押しやることにより、上記伸線キャリア31は円滑に所定位置に搬入されて停止すると共に、一旦上方に押しやられた各可撓性ガイド23は、上記伸線キャリア31が所定位置に位置決め停止することで、この伸線キャリア31の上部との接触干渉状態を解除されて、伸線キャリア31の各枠体32の間において、該伸線キャリア31の上端から所定距離だけ下方に垂れ下がる。
【0024】一方、上記伸線巻き取り装置の巻き取り装置本体1側においては、従来同様、伸線機から引き出された伸線Wの先端を、伸線搬入機構10、回転体13の回転中心孔12、伸線案内機構17の各案内輪17aを経由して巻き取り筒19にセットする。
【0025】次いで、伸線機の運転に同期して伸線巻き取り装置の回転駆動機構16を駆動し、伝動機構15及び歯車14を介して、回転体13を回転させることにより、伸線機から引き出されてきた伸線Wを、伸線搬入機構10から回転体13の回転中心孔12内に送り込み、さらに、伸線案内機構17の各案内輪17aを介して、上記回転体13の半径方向外方に導いて、巻き取り筒19の外周に巻き付けていく。
【0026】これにより、巻き取り筒19に巻き取られた伸線Wは、巻き取り筒19から6本のガイド管21のまわりに移動していき、次いで、下方に湾曲した各ガイド管21に沿って落下して、さらに、各可撓性ガイド23に案内されることにより、伸線キャリア31に円滑に受け渡されて、この伸線キャリア31の各枠体32のまわりに沿って降下し載置板33の上に載置される。
【0027】この場合、上記伸線キャリア31に巻き取られる伸線Wは、その外側を伸線用外枠52の各外径規制部材54によって規制されているから、上記載置板33の外方に飛び出すことがない。
【0028】続いて、上記伸線キャリア31の所定高さまで伸線Wが載置されると、貯線枠41に水平配置された開閉シリンダ48のピストンロッドを操作して、連結部材47を介して、1つの開閉爪42を閉じる方向に回動する。これにより、当該開閉爪42の基端部に装着されたスプロケット43が所定角度回動することにより、チェーン44を介して、残り5つのスプロケット43が同方向に回動するから、これらのスプロケット43を基端部に装着した各開閉爪42が、上記1つの開閉爪42の動きに同期して回動する。この結果、上記6つの開閉爪42の先端が、それぞれ、各ガイド管21の間に入り込むから、これらの開閉爪42によって、各ガイド管21のまわりに沿って落下している伸線Wの落下が阻止されて、貯線枠41内に伸線Wが貯留されることとなる。
【0029】この状態において、クランプ機構74を操作して、一対のクランプ部材73を閉じることにより、ヒモ装入機構70のヒモ送給用筒体72から所定長さだけ垂れ下がっているヒモ71の該ヒモ送給用筒体72寄りの部分を、上記両クランプ部材73によって把持する。次いで、切断刃駆動機構77の回転軸78を回転して、この回転軸78を中心として切断刃79を回動することにより、上記ヒモ送給用筒体72とクランプ部材73との間のヒモ71を、上記切断刃79によって切断する。
【0030】この結果、上記クランプ部材73は、切断されたヒモ71の上端部を把持している状態となる。ここで、回転機構76により旋回アーム75を旋回させると、旋回アーム75の先端に取り付けられている上記両クランプ部材73が、水平移動し、上記伸線キャリア31の各枠体32に巻き取られている伸線Wの上方を横切って、この伸線Wの内側に達する。これにより、上記切断されたヒモ71は、上記クランプ部材73に把持された側の端部(一端部)を上記各枠体32の内方に位置させ、かつ他端部を一対のヒモ載置棒体81,82に支持させると共に、該ヒモ載置棒体82から外方に垂れ下がった状態となる。
【0031】次いで、上記クランプ機構74の作動を解除して、両クランプ部材73間を開くことにより、今まで該クランプ部材73に把持されていたヒモ71の一端部が落下して、上記伸線キャリア31の各枠体32に巻き取られている伸線Wの内側に垂れ下がる。一方、上記回転機構76を駆動して、旋回アーム75を旋回させることにより、上記両クランプ部材73をヒモ送給用筒体72の下方位置に戻しておく。
【0032】この状態において、上記開閉シリンダ48のピストンロッドを操作して、上記各開閉爪42を開くことにより、貯線枠41内に貯留されていた伸線Wを、ガイド管21及び可撓性ガイド23を介して、伸線キャリア31に確実に受け渡す。これによって、伸線キャリア31の所定高さには、この伸線キャリア31に巻き取られた伸線Wの上部を固定するためのヒモ71が装入されたことになる。
【0033】続いて、上記伸線キャリア31が満杯となると、新しい伸線キャリア31と交換するために、まず、位置決めシリンダ60のピストンロッド61を伸ばして、このピストンロッドの下端を、上記ガイド管21の上部を補強している補強板22から若干巻き取り筒19寄りの位置において、上側の2つのガイド管21の間に挿入する。これにより、上記巻き取り筒19に巻き取られた伸線Wの下方への移動が停止されると共に、この伸線Wの先側が、各ガイド管21の外側を回り込んで、上記貯線枠41の内部の、上記巻き取り装置本体1側を通って垂れ下がり、上記満杯の伸線キャリア31の上部へと連続することとなる。
【0034】この状態において、上記開閉シリンダ48によって、各開閉爪42を閉じることにより、上記伸線Wを、開閉爪42とガイド管21及びこれらのガイド管21の下端部を補強している補強板22とで仕切られた空間のうち、巻き取り装置本体1側の空間に閉じ込める。続いて、上記位置決めシリンダ60のピストンロッド61を引っ込めることにより、このピストンロッド61に係止されていた伸線Wを貯留枠41内に導くと共に、貯留枠41から下方に落下しないようにした後、上記支持軸51を中心として、各伸線用外枠52及び外径規制部材54を互いに開いて、搬送コンベア30上から退避させる。
【0035】そして、上記搬送コンベア30上に沿って、上記満杯の(1番目の)伸線キャリア30を搬出すると共に、上記各ガイド管21の下方位置まで新しい空の(2番目の)伸線キャリア31を搬入し、さらに、上記各支持軸51を中心として、各伸線用外枠52及び外径規制部材54を互いに閉じて、搬送コンベア30上に戻すことにより、各伸線用外枠52及び外径規制部材54によって上記新しい伸線キャリア31のまわりを取り囲む。
【0036】この場合、上述したように、ガイド管21と伸線キャリア31との間には可撓性ガイド23が配置されており、伸線キャリア31の搬出及び搬入の際には、この伸線キャリア31に押されて、上記可撓性ガイド23が容易に上方に湾曲するから、伸線キャリア31の搬送が支障なく行われると共に、伸線キャリア31の搬出及び搬入が完了すると、可撓性ガイド23は、元の状態に復帰して伸線キャリア31の上端から所定位置まで垂れ下がる。
【0037】また、上記伸線キャリア31の搬出及び搬入に際して、上記巻き取り装置本体1側の伸線Wは、貯留枠41内において開閉爪42により貯留されて、搬送コンベア30上に落下することがないと共に、上記位置決めシリンダ60の作用と相俟って上記貯留枠41から満杯の伸線キャリア31に垂れ下がる伸線Wの位置が、巻き取り装置本体1側に拘束されているから、搬送コンベア30上を搬出及び搬入される伸線キャリア31の移動の邪魔にならず、しかも、伸線Wが、新しい伸線キャリア31の各枠体32の上部に載ることがなくて、この新しい伸線キャリア31への伸線Wの受渡し時の障害となることがない。
【0038】この結果、上述したのと同様の手順によって、上記新しい(2番目の)伸線キャリア31への伸線Wの受渡しを円滑に行うことができる。次いで、3番目及び4番目の伸線キャリア31への伸線Wの受渡しも同様の手順を繰り返すことによって順次行うことができる。そして、これら4つの伸線キャリア31への伸線Wの受渡しが終わると、1回の伸線工程によって伸線機から引き出された全ての伸線Wが巻き取られて回収される。これによって、1回の伸線工程を中断することなく連続して行う間に、伸線キャリア31への伸線Wの巻き取り回収操作を円滑にかつ確実に実施することができる。
【0039】また、満杯になって搬出された4つの伸線キャリア31については、互いを連結している伸線Wを適宜切断して分離すると共に、各伸線キャリア31の伸線Wの上部に装入されたヒモ71を用いて、該伸線Wの上部を伸線キャリア31に結び付けて固定することにより、伸線キャリア31の搬送中の伸線Wの荷崩れを未然に防止することができる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、搬送されてきた伸線を巻き取る巻き取り筒と、この巻き取り筒に設けられ、かつ上記伸線を下方に案内するガイド部材と、このガイド部材の下端部に設けられ、かつ上記伸線を一時的に貯留する貯線手段と、上記ガイド部材の下方に設けられ、かつこのガイド部材から伸線を受け渡される移動可能な伸線キャリアと、上記ガイド部材の下端から上記伸線キャリアの上端より下方にまで垂設された可撓性ガイドとを備えたものであるから、巻き取り筒によって巻き取られた伸線をガイド部材に導き、このガイド部材によって下方に案内して可撓性ガイドに沿って伸線キャリアに受け渡す一方、伸線キャリアの交換時には、上記ガイド部材の下端部に設けられた貯線手段によって、上記ガイド部材からの伸線キャリアへの伸線の受渡しを中断し、その間に上記伸線キャリアの移動に伴って可撓性ガイドを上方に押しやって該伸線キャリアを交換することにより、伸線をガイド部材から伸線キャリアに受け渡す際に、円滑にかつ確実に受け渡すことができると共に、伸線加工を連続的に行いながら、伸線キャリアを簡単に交換することができて、伸線の巻き取り及び回収を迅速にかつ容易に行うことができる。
- 【公開番号】特開平7−68315
【公開日】平成7年(1995)3月14日
【発明の名称】伸線巻き取り装置
- 【出願番号】特願平5−216712
【出願日】平成5年(1993)8月31日
【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外2名)
- ※以下のタグをホームページ中に張り付けると便利です。
-
当サイトではIPDL(特許電子図書館)の公報のデータを著作権法32条1項に基づき公表された著作物として引用しております、
収集に関しては慎重に行っておりますが、もし掲載内容に関し異議がございましたらお問い合わせください、速やかに情報を削除させていただきます。