田植機
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- 【要約】
【目的】 苗載置部が隣接する2条分で共用となっている田植機において、苗載置部と苗載置部の間の空きスペースを有効利用する。
【構成】 隣接する苗載置部21と苗載置部21の間に形成されるスペースに予備苗保持部30を設け、苗載置部21への苗補給を容易に行えるようにした。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 隣接する2条分に共用の苗載置部を有する田植機において、隣接する苗載置部と苗載置部の間に予備苗保持部を設けたことを特徴とする田植機。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、田植機における予備苗の搭載方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】可撓性を有する苗箱で育成した苗を苗箱ごと苗載置部に載せ、該苗箱を所定の搬送経路に沿って搬送しつつ、その搬送途中で、苗箱の底部に形成した孔から苗押出しピンを苗箱の育苗ポット内に挿入して該ポットから苗を押し出し、その押し出された苗を受け取った苗ホルダが下方へ移動し、保持している苗を左右一対の苗搬送ベルトの上に移し替え、さらに一対の苗搬送ベルトがそれぞれ外方向へ苗を搬送し、両側の植込杆の各苗取位置に苗を1株づつ供給するように構成した田植機がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記田植機は苗載置部が2条分で共用となっているため、4条植以上の多条植機の場合、苗載置部と苗載置部の間にスペースができることになるが、このスペースは従来有効に利用されていなかった。そこで本発明は、上記スペースをデッドスペースとすることなく、有効に利用することを課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は次のような構成とした。すなわち、本発明にかかる田植機は、隣接する2条分に共用の苗載置部を有する田植機において、隣接する苗載置部と苗載置部の間に予備苗保持部を設けたことを特徴としている。
【0005】
【作用】隣接する苗載置部と苗載置部の間に予備苗保持部を設けると、機上での予備苗の運搬距離が短くてすむので、苗載置部への苗補給が容易である。また、この予備苗保持部を空の苗箱の保持部として利用することもできる。
【0006】
【実施例】図1乃至図20は本発明の1実施例をあらわしている。この移植機1は、四輪走行車両である走行部2に8条植の植付部3と施肥装置4が装着されており、全体で乗用型施肥田植機として構成されている。植付部3は走行車体である本機2の後部に設けた平行リンク式の植付部装着装置5に装着され、本機2に対して昇降自在となっている。植付部装着装置5は油圧シリンダ6によって上下動させられる。
【0007】植付部3は苗箱ごと苗を装填する方式であり、植付部フレームを兼ねる伝動ケース10に、植付条数分の植付装置12と、該植付装置の苗取位置に苗を1株づつ供給するための苗供給用の各装置とが組み付けられている。苗供給用の各装置とは、苗箱送り台14、該苗箱送り台に設けた自動苗箱送り装置15、苗箱送り台14の苗押出し位置で苗箱から苗を押し出す苗押出し装置16、該苗押出し装置によって押し出された苗を下方に運ぶ苗受渡し装置17、該苗受渡し装置の補助をする苗落とし装置18、前記苗受渡し装置17から受け取った苗を植付装置12の苗取り位置へ搬送する苗搬送ベルト19等である。
【0008】使用する苗箱は図22乃至図24に示す構造をしている。すなわち、苗箱300は、上部に開口する育苗ポット301,…が縦横に整列状態で並んでおり、各ポットの底部に3本の放射状スリット302を有する苗押出し孔303が形成されている。この苗押出し孔303は水抜きも兼ねている。長手方向を縦、それと直交する方向を横とすると、縦方向についてはポット間隔が一定ピッチpであり、横方向については中央部にポットとポットの間隔が広くなった境界部306が設けられ、その両側に横1列当たり同数づつ(例えば7個づつ)ポットが等間隔で配置されている。したがって、帯状の境界部306を挟んで育苗ポットが左右2群に分けられた状態となっている。苗箱の左右縁部は案内用の耳部307となっており、該耳部にポットの縦方向のピッチpと同ピッチで平面視四角形の爪穴308が形成されている。耳部307の先端部309はほぼ直角に下向きに屈曲している。苗箱300は薄肉の合成樹脂材料で一体成形され、全体的に前後および左右方向の可撓性を有する。ポット301,…内に床土を入れて播種し、一定大きさの成苗310になるまで育成する。
【0009】以下、植付部3の各部について説明する。
【0010】苗箱送り台14は、上下2段の苗載置部21(A,B)と接続部22と苗箱搬送部23と空箱収納部25とからなる。苗載置部21(A,B)は前側が上位となるよう傾斜している。接続部22は、上下苗載置部21(A,B)の後端と苗箱搬送部23の始端とを結んでいる。苗箱搬送部23は側面視で略U字状を呈し、そのU字の後側の端部が苗箱搬送の始端で、U字の前側の端部が苗箱搬送の終端となっている。空箱収納部25は、苗載置部21(A,B)の下側に、該苗載置部と平行に設けられている。
【0011】植付作業時における苗箱の流れについて述べると、苗載置部21(A,B)に載置されている苗箱300が接続部22を通って苗箱搬送部23に供給され、その供給された苗箱300が苗箱自動送り装置15によって始端側から終端側へ1ピッチpづつ間欠的に搬送される。苗箱300は可撓性を有するので、曲線状の搬送経路に沿って搬送することが可能である。搬送途中の苗押出し位置27で、苗箱内のポット苗が苗押出し装置16によって後方に押し出される。苗を押し出された後の苗箱は、苗箱搬送部23の終端部から前方に放出され、空箱収納部25に回収される。なお、接続部22の前端部にはシャッタ28(A,B)が設けられており、該シャッタを適宜開閉させることにより、上段の苗載置部21(A)の苗箱と下段の苗載置部21(B)の苗箱を交互に苗箱搬送部23に供給するようになっている。
【0012】苗箱送り台14は2条で共用となり、並列に計4台設けられている。そして、機体の左右中心線29を挟んで左側に位置する苗箱送り台14−1,14−2の間隔部と、右側に位置する苗箱送り台14−3,14−4の間隔部で、かつ苗載置部21(A,B)および空箱収納部25と同じ高さに、予備苗保持部30−1,30−2がそれぞれ設けられている。この予備苗保持部30とその両側の空箱収納部25,25は共通の予備苗枠31で一体に構成されている。予備苗保持部30の上部30aと下部30bは開閉可能な仕切片32,32で分離され、また、予備苗保持部の下部30bと空箱収納部25,25とは互いにつながっている。予備苗保持部30の上部30aと下部30b、および空箱収納部25,25は後記苗カセット34がちょうど納まる大きさになっている。
【0013】この田植機1においては、苗箱の運搬に図20に示す苗カセット34を用いる。この苗カセット34は、前面が開口(34a)し、後面の上部に空箱挿入口34bが形成された直方体をしており、苗の入った苗箱で2個、また空の苗箱で4個を上下に重ねて収納することのできるスペースを有する。内側壁中間部には苗箱の底面を下から支える支持片35,35が設けられており、苗の入った苗箱を2個入れた場合に、上下の苗箱の間に所定の間隔があくようになっている。上記支持片35,35は空の苗箱を入れる場合には邪魔になるので、内側壁に沿うよう折りたためるようになっている。また、前面下部に運搬および出入用の取っ手36が取り付けられている。
【0014】作業を開始するに際しては、苗載置部21(A,B)に苗箱を装填するとともに、予備苗保持部30a,30bに苗箱を詰めた苗カセット34,34を入れ、また空箱収納部25に空の苗カセット34を入れる。この状態で作業を行うと、苗載置部21(A,B)の苗箱が順に苗押出し位置27へ送られ、苗が押し出された後の空箱が空箱収納部25へ戻される。この戻された空箱は空箱挿入口34bより苗カセット34内へ入る。苗載置部21(A,B)の苗が無くなったならば、予備苗保持部30a,30bにある苗カセット34,34内の苗箱を補給する。
【0015】さらに、予備苗保持部30a,30bにある苗カセット34,34内の苗箱が無くなったならば、その苗カセットを取り出し、苗箱の入った苗カセットと交換する。空箱収納部25,25の苗カセット34,34内が空箱で満杯もしくは満杯に近く、かつ予備苗保持部30a,30bの苗カセット34,34内の苗箱が無くなった場合は、空箱収納部25,25の苗カセット34,34ごと取り出し、その苗カセットを圃場外に運び出し、中の空箱を苗の入った苗箱と詰め替えて機上に持ち帰る。そして、予備苗保持部30a,30bの空の苗カセットを空箱収納部25,25に移し替え、詰め替えた苗カセットを予備苗保持部30a,30bに入れる。下の予備苗保持部30bと空箱収納部25,25とは互いにつながっているので、横にずらすだけて苗カセットを予備苗保持部30bから空箱収納部25へ移し替えることができる。また、仕切片32,32を開けば、上の予備苗保持部30aにある苗カセットが下の予備苗保持部30bへ落下する。
【0016】このように、苗カセット34を用いて苗の入った苗箱および空の苗箱を運搬すると、可撓性を有する苗箱でも容易に取り扱える。また、予備苗保持部30a,30bが苗載置部21(A,B)の近傍に位置しているので、苗補給が容易である。さらに、空箱が直接苗カセット34に入れられるので、空箱収納部25から空の苗箱を抜き出す手間が不要である。
【0017】なお、図21に示すように、空箱収納部25を正面視で斜めに傾けておくと、空箱収納部25に積み重ねられた空箱300のポット301とポット301が上下に重なることがないので、苗箱搬送部23から空箱収納部25へ空箱を排出するとき等に空箱が詰まることがない。
【0018】苗箱送り装置15は図8乃至図11に示す構成となっている。44は底板、45は押え金具で、両者44,45で苗箱の耳部307を挟んで苗箱を案内するようになっている。押え金具45の下部には、上下に長い長方形の開口部45aが形成されている。
【0019】50は第一送り杆で、押え金具45の開口部45aに挿入され苗箱の爪穴308の下部壁面に係合する爪51を有する。この第一送り杆50は、揺動アーム53の先端部に設けたローラ軸54にトルクバネ55を介して苗箱経路側に付勢された状態で取り付けられており、揺動アーム53が支軸57を中心として揺動するのにともない上下動するようになっている。第一送り杆50が下限位置にあるとき、爪51が苗押出し位置27に位置するよう設定されている。揺動アーム53は苗送りロッド58を介して駆動される。
【0020】60は制止杆で、前記開口部45aに挿入され苗箱の爪穴308の上部壁面に係合する爪61を有する。この制止杆60は、トルクバネ63によって苗箱経路側に付勢された状態で支軸62に軸支されている。制止杆60の下部の摺接部60aが前記ローラ軸54に摺動自在に当接し、揺動アーム53が上動すると制止杆60が右方へ押されて爪61が爪穴308から外れるようになっている。さらに、摺接部60aの上側に苗送り停止凹部60bが形成され、苗送りレバー64を操作して揺動アーム53を最大に上側へ回動させると、ローラ軸54がこの凹部60bに嵌合し、爪61が爪穴308に嵌入するようになっている。
【0021】65は板ばねブレーキで、フック部65aが爪穴308に係合することにより、苗箱が自重で落下するのを防止する作用をしている。
【0022】図8は揺動アーム53が下に揺動した状態をあらわし、第一送り杆50の爪51および制止杆60の爪61が開口部45aに嵌合しており、爪61によって苗箱の爪穴308の上部壁面(初期状態の場合は苗箱の下端面)が受け止められて苗箱300が静止状態に保持されている。
【0023】図9は揺動アーム53が上に揺動した状態をあらわし、第一送り杆50が上動することにより爪51が爪穴308の上部壁面に沿って摺動し爪51が爪穴308から押し出されるとともに、ローラ軸54に押されて制止杆60の下部が後方に回動して爪61も爪穴308から外れる。板ばねブレーキ65の作用によって、苗箱300はそのままの位置に保持される。
【0024】図9の状態から揺動アーム53が下向きに回動すると、図10に示すように第一送り杆50の爪51が爪穴308に嵌合する。この時点ではまだ制止杆60の爪61は爪穴308から外れている。この状態でさらに揺動アーム53が回動することにより、爪51が爪穴308の下部壁面を押し下げて苗箱300を1ピッチp分だけ搬送する。なお、上部の苗箱は自重で落下する。揺動アーム53が下死点まで回動すると、ローラ軸54による規制が解除されて爪61が爪穴308に嵌合し、図8の状態に戻る。
【0025】また、第一送り杆50よりも下流側の適所に送り爪71を有する第二送り杆70が設けられ、この第二送り杆70が取り付けられている揺動アーム73と第一送り杆50の揺動アーム53とが連結ロッド74で連結されている。第一送り杆50と第二送り杆70との距離は苗箱1枚分以内になっている。このため、最終の苗箱が苗押出し位置27を通過しても、その苗箱を第二送り杆70によって送ることができる。ただし、その場合は植付部が停止されているので、苗箱送り用の後記第三駆動軸213を手動送りレバー75を用いて回転させる。
【0026】図12に示すように、手動送りレバー75を操作して揺動アーム53を上側へ最大に回動させると、ローラ軸54が苗送り停止凹部60bに嵌合し、制止爪61が爪穴308に嵌入するようになるので、苗箱送りを停止したまま苗箱が支えられる。苗箱が送られなくなると、苗取り位置に苗が供給されなくなり、水田面に苗が植付けられない。つまり、2条単位で苗の植付けを停止させることが可能であり、自動苗箱送り装置15が畦クラッチとして機能しているのである。
【0027】さらに、押え金具45の苗押出し位置27より少し下側の部分に切欠部77,77が形成されており、図6に示す如く、この部分から苗箱を後方に抜き出すこともできる。
【0028】苗押出し装置16は、前記苗押出し位置27に位置する苗箱から苗を横1列分づつ後方に押し出す所定本数(図示例では14本)の苗押出しピン100,…を備えている。苗押出しピン100,…は共通の支持体101に支持されており、該支持体の両端部に連結した苗押出しロッド102,102を前後動させ、苗押出しピン100,…が後方へ突出する際に該苗押出しピンが苗箱の苗押出し孔303に挿入してポット301内の苗を後方へ押し出すようになっている。
【0029】苗押出しロッドの駆動機構は次のように構成されている。図12における105はギヤケースで、苗押出しロッド102の基部がこのギヤケース105内に摺動自在に支持されている。苗押出しロッド102の基部にはラック106が形成され、該ラックに噛合する扇形ピニオン107がギヤケース105内に設けられている。左右のギヤケース105,105内のピニオン107,107は共通の軸108に取り付けられ、この軸108の一方の端部に固定して取り付けた揺動アーム109と後記第二駆動軸212に取り付けた駆動アーム110とが緩衝連結体112で連結されている。緩衝連結体112は、揺動アーム109側の筒体113と駆動アーム110側のロッド114を摺動自在に嵌合させ、ロッド114の中間部に嵌着させたフランジ115と筒体113の上下壁との間にバネ116,117を介装させてある。
【0030】図の位置から駆動アーム110が矢印方向に回転すると、ロッド114を押し上げる力がバネ116を介して筒体113に伝えられ、揺動アーム109が上向きに回動し、さらにピニオン107が右回りに回動し、苗押出しピン100,…が突出する。駆動アーム110の回転が死点越えすると、圧縮されていたバネ116が反発することにより緩衝連結体112が縮み、揺動アーム109が下向きに回動し、さらにピニオン107が左回りに回動し、苗押出しピン100,…が後退する。すなわち、苗押出しピン100,…の突出は緩衝材であるバネ116を介して強制的に駆動され、苗押出しピン100,…の後退はバネ116によって急速に行われるのである。苗押出しピン100,…が所定位置まで後退すると、フランジ115が筒体113の段部113aに係合し、その以後のロッド114の下動はスプリング117に吸収されるようになり、苗押出しピン100,…のオーバーストロークを防止している。
【0031】苗受渡し装置17は、共通の支持軸121a,122aに基部が支持された左右各一対のリンク121,121,122,122と、該一対のリンクの先端部に連結軸121b,121b,122b,122bによって連結されたブラケット123,123とで平行リンク装置を構成し、左右のブラケット123,123の間に苗ホルダ125が設けられている。苗ホルダ125には、苗310の床土部分310aが嵌合する凹部125a,…が形成されている。
【0032】また、苗ホルダ125の前面部には、苗ホルダ125が苗を受け取る上位置にある時に、苗押出し位置にある苗箱の上面(苗の葉がある側の面)に当接する突起130,…が形成されている。この突起130は、凹部と凹部の隔壁125bの前面上部に該隔壁と一体に設けられている。各隔壁125bに突起130を設ける必要はなく、苗箱が苗ホルダ側に撓むのを阻止できる程度(図示例では4か所)に設けておけばよい。
【0033】苗受渡し装置17の駆動機構は、下リンク122,122の支持軸122aに取り付けた揺動アーム131と前記第二駆動軸212に取り付けた駆動アーム132を緩衝ロッド133で連結し、駆動アーム132を一定方向に回転させて揺動アーム131を揺動させるように構成されている。緩衝ロッド133は揺動アーム側のロッド133aと駆動アーム側のロッド133bからなり、両者がバネ134を介して力を伝え合うようになっている。図13(a)中の135,136はリンク132の上下回動範囲を規制するストッパである。
【0034】上記駆動機構の作用で左右各一対のリンク121,121,122,122が上下に揺動し、苗ホルダ125が図13(b)における苗受取位置(E)と苗解放位置(F−G)の間を移動する。苗ホルダ125がF−Gの中間点にある時、リンク121,122の回動支点である支持軸121a,122aの直下に連結軸121b,122bが位置するようになっているので、苗ホルダ125がF−G間をほぼ水平に前方に移動することとなる。
【0035】苗落とし装置18は、L形アーム140に取り付けられた苗落とし具141を有する。この苗落とし具141は、先端が苗ホルダ125の保持凹部126,…に挿入し得るように分岐しており、その先端部に苗床土部310aの底部を受ける苗抜き部141aと苗床土部310aの上側面に当接する苗叩き部141bが形成されている。
【0036】L形アーム140は支持軸143に回動自在に支持されている。そして、その近傍に苗落としカム144が設けられ、該カムの外周面に当接するカムローラ145がL形アーム140の適所に取り付けられている。L形アーム140はバネ146によってカム144の方向に付勢されている。カム144は図13(b)に示す形状をしており、苗ホルダ125がG点に達した時に、カムローラ145が凹部144aに落ち込み、バネ146の力で苗落とし具141が瞬間的に下動するとともに、下動後、カムローラ145が張出部144bに押し上げられ、苗落とし具141が下動前よりも上位へ上動するようになっている。なお、カム144も前記第二駆動軸212に取り付けられている。
【0037】苗ホルダ125が苗受取位置(E)にある時、前記苗押出し装置16によって苗箱から苗が押し出され、その苗が苗ホルダ125の各凹部125a,…に押し込まれる。その時、苗の床土部分310a,…と苗箱のポット301,…との摩擦によって苗押出しピン100,…の力が苗箱にも伝わり、苗箱300の苗押出し位置にある部分が上面側(後方)に撓もうとするが、苗箱300の上面には苗ホルダ125の突起130,…が当接しているため上記撓みが阻止される。よって、苗押出しピン100,…が苗押出し孔303,…の中央に位置し、常に苗押出しが良好に行われる。
【0038】次いで、苗を保持したまま苗ホルダ125が苗解放位置(F−G)まで回動する。苗ホルダ125がF点からG点に移動する時、苗落とし具141の苗抜き部141a,…が苗ホルダの凹部125a…に挿入し、該凹部に保持されている苗が相対的に後方に抜き出される。前述の如く、苗ホルダ125はF−G間をほぼ水平に前方に移動するので、苗抜き部141a,…が凹部125a,…に直線的に挿入されることとなり、苗ホルダ125からの苗抜きが良好に行われる。さらに、苗ホルダ125がG点に到達すると、苗落とし具141が下動し、その苗叩き部141b,…が凹部125,…から押し出された苗を苗搬送ベルト19,19の上に叩き落とす。苗落とし具141は、苗叩き下動した後、苗ホルダ125のレベルよりも上位まで上動するため、苗落とし具141と苗受取位置へ戻る苗ホルダ125の抵抗プレート127とが干渉せず、両者が引っ掛かる等の事故が生じない。
【0039】苗搬送ベルト19は隣接する2条(L,R)同士で1組となっており、これら一対の苗搬送ベルト19(L,R)は互いに左右対称形となっている。苗搬送ベルト19は一対のローラ150,151に張架されており、駆動ローラ150が所定方向に回転することにより、ベルトが常時矢印方向に移動するようになっている。苗受渡し装置17から受け渡される14個の苗は7個づつ左右の苗搬送ベルト19(L,R)の上面に載せられる。そして、その苗を苗搬送ベルト19(L,R)が外向きに搬送し、植付装置12の苗取り位置T1 に順次苗を1個づつ供給する。また、苗取り位置T1 の下方には、植付装置12による植付時に苗を圃場面まで案内するためのガイドプレート153が設けられている。
【0040】植付装置12は、側面視円形のロータリケース160と、該ロータリケースに設けた一対のへら状の植込杆161,161とを備えてなる。ロータリケース160の内部構造は図22および図23に示すようになっている。図において、163は伝動ケース10の後端部に支承された植付装置取付軸で、該植付装置取付軸の先端部にキー164によって固定メタル165が嵌着され、さらに該固定メタルにロータリケースハウジング166が固定されている。したがって、ロータリケース160は植付装置取付軸163と一体に回転する。植付装置取付軸163の周囲には、環状のガイド溝168aを有する植付杆作動カム168が嵌合している。このカム168は、軸受169によってハウジング166に対して回転自在であるとともに、伝動ケース10に固着した固定プレート170に爪168bによって一体化されている。カム168のガイド溝168aには一対のローラ172,172が嵌合している。これらローラ172は、支持軸173の周囲に回転自在に嵌合するアーム174に取り付けられている。また、アーム174にはギヤ175が形成されており、該ギヤ174は植付杆取付軸177に取り付けたギヤ178が噛合している。植込杆161は植込杆取付軸177にコッタピン179で固定状態に取り付けられている。
【0041】植付装置取付軸163が所定方向に回転すると、これと一体になったロータリケース160も回転し、植込杆161が閉軌跡T(図16参照)を描きながら移動する。その際、ローラ172,172が植込杆作動カム168のガイド溝168aに沿って移動することによりアーム174が揺動し、その揺動がギヤ175,178を介して植込杆取付軸177に伝えられる。このため、植込杆161は移動中、微妙にその角度を変化させる。すなわち、苗取り位置T1 を通過する時は水平状態となっており、苗搬送ベルト19によって苗取り位置T1 に供給された苗310と平行になる。そして、ロータリケース160に対してそのままの姿勢を保ったまま下に回動し、ガイドプレート153の中を通して苗を植付位置T2 に導く。植付後、植込杆161がロータリケース160に対し相対的に前方に回動するよう姿勢を変化させることにより、絶対的には植込杆160が真上に引き抜かれる如く動作するので、植込杆161と苗の分離が無理なく行われ、植え付けた苗310の姿勢が乱れない。
【0042】伝動ケース10は、並列に配した3個のミッションケース180,…、これらミッションケースの間隔部および外端部に継ぎ足した4個の継足ケース181,…、各継足ケースの背面部に固着連結した4個のチエンケース182,…の各パーツを組み合わせてなる。ミッションケース180,…の後部は左右に突出する筒状になっており、その筒状部180b,180bで継足ケース181,…に固着連結されている。中央のミッションケース180(C)には入力部183が一体に形成されている。また、中央のミッションケース180(C)の前端部には植付部装着装置5に連結するローリング軸184が回動自在に支承されており、植付部3全体が本機2に対してローリング可能に支持されている。そして、中央2個のチエンケース182(2,3)の後端部両側と左右両端のチエンケース(1,4)の後端部内側に1個づつ計6個の植付装置12,…が設けられている。
【0043】次いで、伝動ケース10の内部構造について説明する(図19参照)。なお、図19は展開断面図であり、各部の向きおよび位置関係等は実際とは異なっている。
【0044】本機2のPTO出力が入力部183内の入力軸185に入力され、該入力軸からミッションケース180,…の筒状部180b,…と継足ケース181,…内に支承された第一駆動軸186へ一対のベベルギヤ190,191によって伝動される。この伝動部は安全クラッチとして構成されている。すなわち、ギヤ190は入力軸185に回転自在に嵌合しており、入力軸185とギヤ190はクラッチ体192を介して伝動結合されている。このクラッチ体192は入力軸185に対して摺動自在で、スプリング193によってクラッチ体192をギヤ190側に押圧することにより両者の伝動爪190a,192aが咬み合うようになっている。このため、負荷が一定以上になると、スプリング193の押圧力に抗してクラッチ体192がギヤ190から外れ、伝動が停止される。スプリング193を受けている筒体195をクラッチ体192から離れる方向にシフタ196でずらすと、負荷の大きさに関係なく伝動が停止される。
【0045】第一駆動軸186には、前記ベベルギヤ191の他に、各植付装置駆動用スプロケットホイール200,…と、各苗搬送ベルト駆動用ベベルギヤ201,…と、ミッションケース本体部180a,…内の各軸へ伝動するためのギヤ202,…とが取り付けられている。なお、第一駆動軸186は2条分単位に分割された3本の軸186(L,C,R)からなり、これら各軸を中央2個のスプロケットホイール200,200で接続した構造となっている。
【0046】スプロケットホイール200,…と前記植付装置取付軸163,…に取り付けたスプロケットホイール204,…との間にチエン205,…が張設されており、第一駆動軸186の回転動力が各植付装置12,…に常時伝えられる。
【0047】ベベルギヤ201,…には苗搬送ベルト駆動ローラ軸207,…に取り付けたベベルギヤ208,…が噛合しており、第一駆動軸186から苗搬送ベルト駆動ローラ軸207,…へ直接伝動される。
【0048】ミッションケース180は植付部3の各部を駆動する駆動軸を備えた植付部駆動ケースであって、このミッションケース180内には、第一駆動軸186と平行に、カウンタ軸211、第二駆動軸212、および第三駆動軸213が設けられている。そして、第二駆動軸212の左右両端部に前記苗押出し駆動アーム110と苗受渡し駆動アーム132がそれぞれ別個に取り付けられているとともに、ケースの外側面近傍に苗落としカム144が取り付けられている。また、第三駆動軸213には先端部を前記苗送りロッド58に連結させた苗送り駆動アーム58aが取り付けられている。
【0049】第一駆動軸186からカウンタ軸211を経由して第二駆動軸212へ、2組のギヤ202,215および216,217によって減速して伝動される。また、第二駆動軸212から第三駆動軸213へはカム駆動で伝動され、第三駆動軸213は間欠駆動される。219は第二駆動軸212に取り付けたカム、220は第三駆動軸213に取り付けたアーム221に支承されているカムローラである。
【0050】ギヤ217と第二駆動軸212の伝動部には次のように構成された畦クラッチ230が設けられている。前記ギヤ217は第二駆動軸212に回転自在に嵌合し、またこれに対向してクラッチ体231を第二駆動軸212に回転不能かつ摺動自在に嵌合させ、ギヤ217の爪217aとクラッチ体231の爪231aを噛み合わせて伝動するようになっている。クラッチ体231はスプリング232でギヤ217側に付勢されているので、常時はクラッチ入の状態になっている。クラッチ体231のテーパ面231bにクラッチピン233を押し当てると、両者の爪217a,231aが外れて、クラッチ切となる。その際、クラッチ体231が所定の角度になった時点でクラッチが切れるよう設定されている。したがって、自動苗箱送り装置15、苗押出し装置16、苗受渡し装置17および苗落とし装置18は2条単位でクラッチを入り切りするようになっており、クラッチを切った場合これら各装置が定位置で停止される。
【0051】植付部3の下側には、各植付条を整地する整地用フロート250,…と、機体の左右中心に位置するセンサフロート251とが設けられている。整地用フロート250,…は前部が広く後部は狭い形状をしており、後部の左右両側部に苗移植用の溝を成形する作溝器252,…が取り付けられている。センサフロート251は、前部が拡縮リンク255によって吊られており、水田面の凹凸に応じて上下動するようになっている。このセンサフロート251の上下動に基づいて前記油圧シリンダ6制御用の油圧バルブ257のスプールが切り替わり、植付部3が水田面に対して一定高さになるよう制御する。このため、苗の植付深さが常に一定に保たれる。
【0052】施肥装置4は、肥料を貯蔵するホッパ260と、該ホッパ内の肥料を下方に繰り出す繰出器261と、該繰出器から繰り出された肥料を苗植付用の溝に導く施肥パイプ262とを備えている。
【0053】植付作業に際しては、苗載置部21(A,B)に苗の入った苗箱を装填し、植付部3を図1に示す作業位置まで下降させて本機2を発進させる。植付部3が駆動することにより、苗箱は所定の搬送経路に沿って搬送され、その搬送途中で苗押出しピン100,…によって苗箱から苗が押し出され、その押し出された苗を苗ホルダ125が保持して下方へ移送し、苗落とし具141が苗ホルダ125が保持している苗を苗搬送ベルト19の上に落とし、さらに苗搬送ベルト19がその苗を1株づつ苗取り位置T1 に供給する。そして、苗取り位置T1 に供給された苗が植込杆161によって圃場面に植え付けられてゆく。苗載置部21(A,B)の苗が無くなったならば、前記方法で苗を補給する。
【0054】
【発明の効果】以上に説明した如く、本発明にかかる田植機は、苗載置部と苗載置部との間隔部に形成されるスペースを予備苗保持部とすることにより、空きスペースを有効利用するとともに、苗補給が容易に行えるようになった。
- 【公開番号】特開平7−79625
【公開日】平成7年(1995)3月28日
【発明の名称】田植機
【発明者】
【氏名】佐伯 正文
【氏名】井関 秀夫
【氏名】加藤 哲
【氏名】福島 寿美
- 【出願番号】特願平5−254941
【出願日】平成5年(1993)9月16日
【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】菅原 弘志
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