スポンサード リンク
接線方向に巻き出しする連続したキャプスタンの間の同期化を伴うノンスリップ型直線線引き機
スポンサード リンク
- 【要約】
【目的】 連続する2つのキャプスタン間に同期化装置を内蔵するノンスリップ型直線線引き機の提供。
【構成】 接線方向に巻き出すキャプスタンを伴うノンスリップ型直線線引き機において、各キャプスタンは2つの同心同軸部分から成り、そのうち第1の部分2は原動機10により駆動され標準的なキャプスタン引張り面2aを有し、第2の部分3は、連続するキャプスタンによりこのキャプスタン上へとダイス型を通してワイヤがそこから引出されるような振れ3aを提供する自由に回転するリング33を含んでいる。個々のキャプスタンは、キャプスタンの第1の部分を駆動するシャフト5の角運動及びリングの角運動の両方を監視し、両者の間の差を検出し、それに応じてシャフトの角速度Ncを補正することのできる装置により同期化されている。
スポンサード リンク
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 接線方向に巻き出しする連続したキャプスタンの間の同期化を伴うノンスリップ型直線線引き機において、各キャプスタン(1)は、原動機(10)により駆動されかつ一定の直径(Dc)をもつキャプスタンの単一の引張り面(2a)を含む第1の部分(2)及び、この引張り面(2a)の直径よりも小さい直径(Da)の自由に回転する管状リング(33)から成り、かつ介在するダイス型(32)を通して直接連続するキャプスタンによりワイヤ(9)がそこから引出される振れ(3a)を提供しているような第2の部分(3)という2つの全く異なる同心同軸部分の形で実施されていること、及び相応するセンサー(6、7)により監視されるようにそれぞれシャフト(5)及び自由に回転するリング(33)が描く角運動(Sc、Sa)の度合の差に応えて、キャプスタンの第1の部分(2)を支持し回転駆動させるシャフト(5)の角速度(Nc)を修正するよう設計された同期化装置(50)が含まれていること、を特徴とするノンスリップ型直線線引き機。
【請求項2】 自由に回転する管状リング(33)は円筒形をしており、ワイヤ(9)の最端部のコイル(9a)を抑制するのに役立つ広がった唇状部(33a)を提供していることを特徴とする、請求項1の線引き機。
【請求項3】 自由に回転する管状リング(33)は円錐台形をしており、キャプスタンの第1の部分(2)と同じテーパーを示し、ワイヤ(9)の最端コイル(9a)を抑止するのに役立つ広がった端部唇状部(33a)を提供していることを特徴とする、請求項1の線引き機。
【請求項4】 自由に回転する管状リング(33)は、キャプスタン(1)の第1の部分(2)のシャフト(5)に対し同軸の回転可能なシャフト(4)と結びつけられており、同期化装置(50)のセンサ(6、7)は、それぞれのシャフト(4、5)の各々1つにとりつけられていることを特徴とする、請求項1の線引き機。
【請求項5】 同期化装置(50)は電動であり、センサー(6、7)はそれぞれのシャフト(4、5)にとりつけられ各シャフトの角運動(Sa、Sc)に正比例した電気出力信号を供給するよう設計された回転式符号器(66、77)であることを特徴とする、請求項4の線引き機。
【請求項6】 符号器(66、77)は同期化装置(50)の一部を成し、この装置にはさらに、符号器(66、77)からの信号の間の比率を計算するのに役立つディバイダー回路(18)、及びキャプスタン(1)の第1の部分(2)の引張り面の直径(Dc)と自由に回転するリング(33)の直径(Da)の間の比(Da/Dc)に等しくつねに1より小さい値をもつ公称キャプスタン速度同期化電気基準(Rsyn)よりもわずかに大きい値の予め設定された電気基準(Rfunz)からディバイダ回路からの信号を代数的に減算し、かくして適切に増倍された場合に単一のキャプスタンに結びつけられた従来のフィードバック速度制御ループ(17)に適用される電気基準(Vrn)を補正するのに用いられるような差信号を提供し、最終的にはキャプスタンの第1の部分(2)と自由に回転する管状リング(33)の間の交叉点(23)を、リング(33)としっかり接触しているものの連続するキャプスタンの角速度の変化に応えて締めつけ又はゆるめを受けることができるような直径をもつ複数のコイル(9)によって占有されるようにすることを目的とする比較器(12)が含まれていることを特徴とする、請求項5の線引き機。
【請求項7】 自由に回転する管状リング(33)各々のシャフト(4)にとりつけられている制動手段(8)は、センサ(6、7)の応答が即時のものとなりワイヤ(9)の最端コイル(9a)がリング(33)の表面としっかり接触した状態にとどまるような形で、連続するキャプスタン(1)の引張り速度における相応する変動によって生み出されたワイヤ(9)上のドラグの変動に応えて、リングの双方性反応及び慣性を有効化させることを特徴とする、請求項4、5又は6のいずれかの線引き機。
【請求項8】 一定の与えられたキャプスタンの回転速度を制御する上で用いられた電気基準(Vrn)は順序上次にあるキャプスタンの速度制御フィードバックループ(17)に対する入力(i)と一致し、一方このようにして制御されているキャプスタンのフィードバックループ(17)への入力(i)にて登録する値(Vrn−1)は、順序上先行するキャプスタンの制御のための電気基準を提供することを特徴とする、請求項6の線引き機。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続する2つのキャプスタン各々の間に同期化装置を内蔵する接線方向に巻き出しするキャプスタン付きのノンスリップ型直線線引き機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、線引き段階毎にワイヤの直径がその丸くなった断面積の一定の百分率だけ縮小されるような金属ワイヤ製造用多重線引き機において見られる根本的な問題点は、材料の定常な流れを確保するような形で、連続した線引きダイズ型又はプレートが間に差し込まれた収集・補助ステーションとして基本的に機能するキャプスタンの回転速度を同期化することにある。従って、線引き段階(n)1回あたりのワイヤの速度及び断面積をVn及びSnと表わすと、SnxVn=kという公式が確保されなくてはならない。
【0003】速度と断面積の積すなわち材料の流れの量は実際1つの段階と次の段階の間で一定にとどまらなくてはならない。従って、ワイヤの断面積がキャプスタンの間にある線引きダイス型又はプレートの直径により左右され、この同じ直径が製造中の摩耗を通しての予測できないしかも制御不可能な変動度を受けることになることから、ノンスリップ型の線引き機(すなわちキャプスタンが多くの単一ワイヤコイルを支持し、かくしてキャプスタンと材料の間の相対的動きを許さないようなタイプ)においてはキャプスタンの表面周速度と等しいものであるワイヤの速度を変えることによってのみ補正を行なうことが可能である。
【0004】Morgan型及びそれに類似するタイプの多重機においては、ワイヤは円筒型キャプスタン上にらせん状に巻きつけられ、キャプスタンから軸方向に巻き出される。このような機械では、同期化は必然的にキャプスタンを間欠的に作動させることによって達成され、又材料の流れがこの方法で定常にされている間結果の成功は中庸なものでしかない。このような機械の主な制約条件は、一方では間欠型作動の必要性に起因し、他方ではワイヤが望ましくない応力を受けているという事実に起因する。実際、ワイヤは、軸方向の巻き出し動作のために、キャプスタンから各々のコイルが巻き出されている状態で1回転を通してねじれを受けるのである。
【0005】さらに、これらの軸方向に巻き出しする機械は、キャプスタンに沿って位置づけされたものとキャプスタンから軸方向に持ち上げられたものという次のキャプスタンの前にある線引きダイス型に向かってかつその中へワイヤを導くのに役立つ複数の滑車を含む、1つのキャプスタンから次のキャプスタンまで走行するワイヤを移送するための装置(実際には「巻き出し装置」)を必要とする。(あらゆる場合において望ましくないことであり、炭素含有量の高い鋼材を線引きする場合には絶対に避けられなくてはならない)ワイヤのねじれを防ぐように設計されたこのタイプの機械の変形態様においては、ワイヤが軸方向にではなく接線方向に第2のキャプスタンから出ることができるようにする中間の単一移送滑車を伴い互いに重ねて位置づけされた2つのキャプスタンが用いられる。しかしながら、このような機械においては、各々の線引き段階に対する2つのキャプスタンに関し発生する多大な構造上の複雑化に加えて、間欠的運転の欠点も残っている。
【0006】直流キャプスタン駆動原動機の到来に伴い、これらの機械をより新しい技術水準に合わせて更新することが可能となった。従って、「停止/始動」タイプの間欠的運転は、「緩/速」タイプに改良することができ、又さらに特殊な手段及びトランスジューサを内蔵することにより、連続的な完全に間欠性の無い運転を達成することもできる。
【0007】同様に、可変変速装置を用いることにより、ワイヤが直接1つのキャプスタンから次のキャプスタンへと以降するような新しい直線線引き機の実施態様がもたらされた。各キャプスタンの回りを通るコイルの数は一定にとどまり、1つの段階から次の段階へのワイヤの移行においてねじれは全く発生しない。キャプスタン自体は円錐台形をしており、ワイヤが表面と完全に接触する引張り面とキャプスタンの頂部にある振れ面の間の巻取り表面に沿った秩序立ったほぼ重なり合いの無いコイルを可能にし、これに有利に作用するような穏やかなテーパを示している。従って、ワイヤをこのようなキャプスタンから接線方向に巻き出すようにすることができる。直線型の機械では、ワイヤとキャプスタン面の間には滑りが全く無く、そのためワイヤの速度はキャプスタンの表面速度と一致する。このことは自動的にキャプスタン間のワイヤのテンションを制御する必要性を発生させる。必要とされる制御は、大部分の場合において、問題となっているまさにその目的のために2つのキャプスタンの間に作られたワイヤループ内のあれゆる幾何形状変動に対し反応するような形で位置づけされた状態で、1つのキャプスタンと次のキャプスタンの間さらに厳密に言うと各キャプスタンの出口と順序上次にある線引きダイス型又はプレートの間に、ジョッキー又はダンサーを設置することによって得られる。このダンサーは、連動するキャプスタンの速度を補正するのに用いることのできる相応する出力変動をもつ制御媒体を作り出すため、ワイヤのテンションの変化により誘発される振動と共に応答が変化する適当なトランスジューサと組合わさっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】問題となっているタイプの直線型機械においては、ワイヤは一般にダンサーの軌跡(エクスカーション)に対応するのに充分なたるみ度を生成するため、次に続くキャプスタンと結びつけられた線引きダイス型に入る前に単数又は複数の滑車のまわりに誘導される必要がある。この結果、ワイヤーループ上に或る程度のドラグが生じ、このドラグの力はダンサーに加えられた機械的荷重によって左右されることになる。されにこれらの滑車は一般に、特に設置数が任意である場合、一連の交互の曲げ応力がワイヤに加わるように、キャプスタンよりもはるかに小さい直径を有する。このような影響は望ましくないばかりでなく、ワイヤが初期線引き段階中なお比較的厚みがある場合又は特に大きい公称製造径で運転している場合に特に損傷をひき起こすものである。逆くに、ダンサー機構が2つのキャプスタンの間にある単一のワイヤループを監視する単純なセンサーとなった場合、結果として得られる制御は、臨界的運転特性を生み出すほどきわめて敏感なものとなり、柔軟性が失なわれる。
【0009】従って、容易な速度制御を提供するという利点にもかかわれず、直線型の線引き機でも、重大な欠点をさらけ出してしまう。しかしながらキャプスタン速度は、速度よりもむしろトルクを監視することによって制御でき、これは、速度がドラグにより補償されるもう1つのタイプの機械において採用される方法である。これらの機械の利点は、実際、ダンサーやその他の同様な装置無く、1つのキャプスタンからもう1つのキャプスタンへ直接ワイヤを移送できるという点にある。実際的には、ワイヤは直接1つのキャプスタンからこれと次のキャプスタンとの間にある線引きダイス型へと移行する。同期化は、連動させられたキャプスタンの駆動装置が全所要線引きトルクではなくいかなる場合であれキャプスタンの回転をセットするには不充分なこのトルクのうちの一定の割合の部分だけを送り出すかぎりにおいて、自動的に達成される。残りのトルクは、不足量を補償するのに必要なドラグを生成する相互連絡ワイヤを用いてライン内の次にあるキャプスタンによって提供される。この効果はライン内の最終キャプスタンに至るまで下方へ受けつがれ、この最後のキャプスタンは速度制御されているため先行する全てのキャプスタンの速度を自動的に測定する。このような機械においては、1つのキャプスタンから次のキャプスタンへのワイヤの移送については全く問題が無いものの、補償用ドラグは有効必要条件に合致するよう精確に計測できず、従ってワイヤー破断の危険性は大幅に増大する。
【0010】さらに1つのキャプスタンと次のキャプスタンの間の速度の一致は、材料の不規則な流れによりひき起こされるキャプスタン間の速度のわずかな変動をとり込むような何らかの流量補償手段又は許容誤差の余裕が無いことからみて、著しく厳密である。最後に、実際、キャプスタン駆動原動機の最適なトルク測定は、検出可能なドラグ度を与えられた一定の出力信号に変換するような、各ダイス型に入る前の時点でワイヤと接触した状態に置かれた特殊なトランスジューサ(ひずみゲージ)を用いて得ることができる。しかしながら、この結果特に複雑で精密なシステムが出来、しかも究極的にワイヤ破断の危険性は無くならない。本発明の目的は、上述のような欠点を克服することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的は、ワイヤが1つのキャプスタンから次のキャプスタンまで、ダイズ型又はプレート以外の物に遭遇することなく直接移行し、かくしてワイヤ上の望ましくない全ての応力を除去しさらにドラグ補償式機械において標準的に発生するようなワイヤ破断の危険性をことごとく除去することになるような、上記のクレーム中で特徴づけされたとおりの直線線引き機において実現される。従って、初めて効果的な同期化の問題が適切にとり上げられ、ワイヤ上にいかなる応力も加えることなく速度を制御することによってこの問題が解決されることになる。ここで巻きつけ動作はむしろ、幾何的に制御された条件下で、同期化プロセスの任意の一瞬間においてワイヤの無欠性を保護するのに充分な許容誤差の余裕をもって実行される。
【0012】本発明の利点としては、それがダンサー速度制御式直線機械の有利な特徴とトルク制御式ドラグ補償タイプの有利な特徴を組合わせているということがある。ここで開示される機械のもう1つの利点は、その構造が特に単純であり、そのため、同期化は、特にキャプスタンの適当な構造により得ることのできる複雑でない電気機械式制御に委ねられるという点にある。ここで、添付図面を参照しながら、例を挙げて本発明について詳述する。
【0013】
【実施例】図5に示されている機械の全体図において、9はワイヤを表わしており、このワイヤは9iにおいて補給され徐々に一定の与えられた製造直径9uに至るまで断面積が減少して行き、その後巻き直し周速度が一定となるよに、コイル数ひいてはその全体的直径の増加と共に調整される回転速度でドラム21上に巻き直しされる。ここで開示されている機械において採用されたキャプスタンは基本的に円錐台形であり、引張り面2a上そしてそれに沿って頂端部にある振れに至るまでの秩序立った巻取りワイヤの分布に対し有利に作用する。さらに厳密に言うと、各々のキャプスタンは、全く異なる2つの同心同軸配置の部分2及び3(図1、3及び5)の形で実施されており、2という番号のついた部分は、動力伝達装置10bと介して当該部分2と軸方向に結びつけられた基本的に従来通りのキャプスタン駆動シャフト5に連結されたシャフト10aをもつ相対的言動機10によって駆動されている。このように駆動される部分2は基本的に、残りの部分3との関係において同軸的に配置された円錐台22として現われる。
【0014】本発明に従うと、3という番号で示されているキャプスタンの部分は、ワイヤ9のための振れ3aを提供しかつ前述のシャフト5と同軸でしかも図面に示されている実施例の場合にはこのシャフト5の内側に支持されている相対的シャフト4によって保持されているような自由に回転する管状リング33で構成されている。このリング33は、円錐台22のテーパーと合致するテーパーをもつ円錐台形のものであっても、又図示されているように円筒形であってもよい。いずれの場合でも、リング33は、繰り出すワイヤ9aの最端コイルを抑制するのに役立つ広がった唇状部33aを具備して実施されている。このようなリング33の各々は、それぞれの線引きダイス型32(図5参照)を通ってワイヤ9が移行するライン内の次のキャプスタンによって、連続的に回転状態に保たれ、かくして相対的シャフト4の一定の与えられた角速度Naが打ち立てられる。
【0015】本発明に基づく線引き機は、数学的に積分され角運動Scの度合いとして考慮された駆動シャフト5の角速度Ncと同様に積分され角運動Saの度合いとして考慮された自由に回転するリング33のシャフト4の角速度Naの間に差が発生する場合に必ず、それぞれのシャフト5及び4にとりつけられこれらの角速度と監視するのに役立つセンサー7及び6を介して、キャプスタンの円錐台形部分2の回転速度を補正するように設計された同期化装置50(図4参照)によって制御される。好ましくは、装置50は電動式であり、かくして、図4に15という番号で示されているブロックで起こるそれぞれの角速度の検知とそれに続く積分は相対的シャフト4及び5(図3参照)にとりつけられた従来の符号器66及び77を用いて有利に成し遂げられるようになっている。
【0016】同期化装置50の記述に移る前に、各々のキャプスタンが従来通り、20という番号で示されたブロックにより増幅された正又は負の信号を通して原動機10の回転速度Ncのパイロット制御に役立つ速度制御フィードバックループ17と結びつけられている、ということに言及しておくべきであろう。この信号は、原動機10のシャフトにとりつけられた速度生成装置16の出力信号と、以前に選択され キャプスタン速度制御パラメータとして採用された電気基準Vrnの比較器14により検出された差を反映している。従ってこの従来のループ17及びすでに言及した符号器66及び67に加えて、同期化装置50にはさらに、符号器からの出力信号を一定の比率まで減少するディバイダ回路18、ならびに、キャプスタン1のために選択された公称同期化値Rsynよりも大きいものの実際これに近い予め選択された電気基準値Rfunzからこの比率を減算する比較器12が含まれている。なお、減算により生成され19という番号のついたブロックにより増幅された差信号は、かくして万一同期化の欠点が発生した場合に上述の電気基準Vrnの補正を行なうために用いることができる。
【0017】運転中、順序上次にあるキャプスタンに向かってまさに引出されようとしているワイヤ9はまず、円錐台22とは機械的に独立しているためワイヤ9aのこれらの最終コイルひいては目的キャプスタンにより決定された角速度で回転するリング33のまわりに一定の与えられた回数だけ巻きつく。従って同期化が欠如していると、リング33のまわりのコイルは円錐台22を含むコイルよりもゆるいか又はきつくなる。さらに厳密に言うと、この比較的ゆるい又はきつい巻付け動作は、円錐台22からリング33への交叉部を記す23という番号で表わされた部域において発生することになる。最端コイル9aはそれらが受けている引張り力の結果としてリング33に対しきつくまといつくが、一方先行するコイルは、キャプスタンの引張り面2a上にくる材料の流れが反対側の端部3aで出ていく流れと一致しなくてはならないことから、ほぼ一定の直径にとどまる傾向をもつ。
【0018】実際、ワイヤ9の断面積がキャプスタンに沿って一定にとどまっているということはすなわち、単一のコイルの直径が同様に一定にとどまる場合に限ってあるが、その接線方向巻き出し速度も同様に一定にとどまらなくてはならない、ということを意味している。例えば、目的キャプスタンがより高速で走行している結果として最端コイル9aの上により大きい引張り力が加わった場合、自由に回転するリング33は応答してより高速に回転し、かくして交差部23でよりきついコイルを誘発し、一方円錐台22の速度は一定にとどまる(標準的には比較的定速)。
【0019】従ってDaをリング33の直径、Dcを円錐台22の広い端部(つまり引張り面2a)の直径とすると、均等な表面速度及び公称同期化は以下の式で表される:Na × Da = Nc × Dc故に、Nc/Na = Da/Dc = Rsyn< 1【0020】シャフト5及び4の速度間の比率は直径差を補償するということがわかるだろう。従って、Rsynの値と1の間の比率でリング33と円錐台22の間の電気的結びつきが打ち立てられたならば、交差部23においてコイルが容易にきつくなったりゆるんだりできることによって提供される許容誤差余裕又は流量補償の効果的な同期化媒体が得られる。従って、とりわけ、コイルが実際にはこぶになったり重なり合ったりする可能性が高いことからリング33を駆動する最終コイル9aの直径がほとんど不可変的にDaで表わされた直径と異なるということを理由として、同期的条件は一般に公称Rsyn及び1の間のRfunzの値で維持される(図2)。コイルは究極的にあまりにもゆるみすぎてリング33を実際Ncより低い角速度Naで回転させ明らかに受入れがたい結果をもたらすと思われるが、1より大きいRfunzの値での運転も同様に可能である。
【0021】有利なことに、交差部23においてコイルは問題のキャプスタンから出るコイル9aの安定性を増大させるためできるかぎりきつく保たれ(すなわちパラメータ的にRsynに近く)ることになり、このことはすなわち、相対的な締めつけ又はゆるめ動作によりひきおこされる速度のあらゆる変動に対応することができるようにするような交差部23でのコイルの直径を維持するため任意の瞬間における充分な余裕を許すもののRfunzの値がRsynの値に近づいていくことを意味している。従って、いかなる場合でもRsynの値より大きく好ましくは運転中のシステムを用いて選択されたRfunzの適当な値を採用することにより、実践的な見地からみて可能なかぎり最良の同期化が達成されることになる。
【0022】当該機械の好ましい実施態様には、順序上次にあるキャプスタン1の接線速度の相応する変動によってひき起こされるワイヤ上のドラグの変動に応えてリング33の双方向反応及び慣性を有効化するような、自由走行シャフト4と結びつけられたブレーキ8も含まれる。こうして今度は、符号器66及び67の応答は、条件の如何にかかわらず最端コイル9aがつねにリング33の表面と接触した状態にとどまっているという事実のために、即時的なものとなる。
【0023】このような装置50の実際的応用例は、図5に示されている。ここでは、一定の与えられたキャプスタンに対する電気基準信号Vrnが、順序上次にあるキャプスタンの速度制御フィードバックループ17に対する入力「i」と一致し(図4も参照のこと)、一方最初に言及したキャプスタンのフィードバックループ17への入力「i」の値Vr(n−1)は、順序上先行するキャプスタンのためのVrnを提供する、ということがわかるだろう。特に、図5の第1のキャプスタンで用いられる基準Vr1は次に続くキャプスタンにより供給され、同様に信号Vr2及びVr3は次の2つのキャプスタンに供給され、一方最後のキャプスタンに供給されたVr4は、外に出るワイヤ9uの接線速度に左右されドラム21の周速度に合致させられている、ということがわかるだろう。
- 【公開番号】特開平7−80536
【公開日】平成7年(1995)3月28日
【発明の名称】接線方向に巻き出しする連続したキャプスタンの間の同期化を伴うノンスリップ型直線線引き機
- 【出願番号】特願平3−130744
【出願日】平成3年(1991)3月20日
【出願人】
【識別番号】591118409
【氏名又は名称】エルレ.リスチアニ トラフィレリエ エ ディビジオネ ディン アウトマツィオネ インドゥストリャレ ソチエタ ノーメ コレッティーボ
【氏名又は名称原語表記】R.LISCIANI TRAFILERIE E DIVISIONE DYN AUTOMAZIONE INDUSTRIALE S.N.C
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 朗 (外4名)
- ※以下のタグをホームページ中に張り付けると便利です。
-
当サイトではIPDL(特許電子図書館)の公報のデータを著作権法32条1項に基づき公表された著作物として引用しております、
収集に関しては慎重に行っておりますが、もし掲載内容に関し異議がございましたらお問い合わせください、速やかに情報を削除させていただきます。