リワインダ制御装置
- 【要約】
【目的】 作業効率を改善し、シート材の切れや巻きジワの発生という品質低下を防止するリワインダ制御装置を実現すること。
【構成】 サーフェス駆動用電動機15の他にセンター駆動用電動機16を設けるとともに、アンワインダ12の慣性モーメントを算出するアンワインダ慣性モーメント演算器6と、ベルトの速度変化と慣性モーメントとから電動機16に与えるべきトルク基準値を算出するトルク基準演算器7と、トルク基準値に従い電動機16を制御するアンワインダセンター制御装置9とを備えたことを特徴とするリワインダ制御装置。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】アンワインダ上のシート材を、ベルトを介して巻き戻すためのリワインダ制御装置において、前記ベルトを駆動する第1の電動機と、前記ベルトの速度基準を発生する速度基準発生手段と、前記ベルトの速度変化を検出する速度変化検出手段と、前記速度基準に従い前記第1の電動機を制御するアンワインダサーフェス制御手段と、前記アンワインダに含まれるスプールを介して前記アンワインダを駆動する第2の電動機と、前記シート材を含む前記アンワインダの慣性モーメントを算出するアンワインダ慣性モーメント演算手段と、前記速度変化および前記アンワインダの慣性モーメントから前記第2の電動機に与えるべきトルク基準値を算出するトルク基準演算手段と、前記トルク基準値に従い前記第2の電動機を制御するアンワインダセンター制御手段とを備えたことを特徴とするリワインダ制御装置。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アンワインダ上のシート材を、ベルトを介して巻き戻すためのリワインダ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来技術を図3及び図4を基に説明する。図3、図4は、それぞれ従来技術によるリワインダ制御装置のブロック図とアンワインダ部分の側面図を示している。なお、巻取側は図示を省略している。図3に示すように、速度基準発生器1からの速度基準vは、アンワインダサーフェス制御装置8を介して、図4に示すアンワインダサーフェス電動機15に伝えられる。このようにシート材10は、サーフェス用電動機15により駆動されるベルト13のサーフェス駆動により、アンワインダ12から巻き戻され、フリーロールであるリードインロール11を経由し、巻取側(図4のL方向)に巻取られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる構成において、リワインダ制御装置は満巻のアンワインダ12から複数のロールを巻取側に巻取るために、運転、停止すなわち加減速を繰り返す。その際、シート材10を含むアンワインダ12の径dが大きい場合には、アンワインダ12の慣性モーメントGD2 も大きく、加減速時に多大なトルクが必要とされるため、アンワンダ12とベルト13との間で滑りを生じ、巻取側の速度との間に速度差が発生することがある。この場合、加速時にはアンワインダ12からの送り出し量の不足からシート切れが生じるため、シート材の除去作業や通紙などの作業が必要であった。。また、逆に減速時には送り出し量の過多からタルミが生じるため、巻きジワが発生し、品質の低下をもたらしていた。
【0004】これに対応するため、従来は、オペレータが、シート材の張りを見て、ここでは図示しない操作デスクに取り付けられた調整抵抗器を操作し巻取側の速度に応じアンワインダの速度を調整することでシート材に張りやタルミが生じないようにしていた。しかし、この方式ではオペレータが操作デスクに張り付いていなければならず、また操作に熟練を要するため、作業効率が悪いだけでなく、その調整を誤った場合、シート材の切れや巻きジワの発生という製品の品質低下を招いていた。
【0005】そこで本発明は、上記問題点を解消し、作業効率を改善し品質低下を防止するリワインダ制御装置を実現することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、アンワインダ上のシート材を、ベルトを介して巻き戻すためのリワインダ制御装置において、ベルトを駆動する第1の電動機と、ベルトの速度基準を発生する速度基準発生手段と、ベルトの速度変化を検出する速度変化検出手段と、速度基準に従い第1の電動機を制御するアンワインダサーフェス制御手段と、アンワインダに含まれるスプールを介してアンワインダを駆動する第2の電動機と、シート材を含むアンワインダの慣性モーメントを算出するアンワインダ慣性モーメント演算手段と、速度変化およびアンワインダの慣性モーメントから第2の電動機に与えるべきトルク基準値を算出するトルク基準演算手段と、トルク基準値に従い第2の電動機を制御するアンワインダセンター制御手段を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
【作用】本発明によるリワインダ制御装置は、加減速時に過不足となるアンワインダのトルクを、その時のアンワインダの慣性モーメントとベルトの速度変化とから算出し、アンワインダに与えるものである。
【0008】これにより、作業効率を改善し、シート材の切れや巻きジワの発生という品質低下を防止するリワインダ制御装置を提供することができる。
【0009】
【実施例】以下、図1、図2を参照しながら本発明の実施例を説明する。
【0010】図1、図2はそれぞれ本発明の一実施例を示すブロック図及び側面図である。
【0011】図2に示すように、アンワインダサーフェス電動機15の他にアンワインダセンター電動機16がスプール14に接続され、後述するように加減速時に不足するトルクをアンワインダ12に伝える。
【0012】図1に示すように速度基準発生器1からの速度基準vは、アンワインダサーフェス制御装置8に与えられる。アンワインダ慣性モーメント演算器6には、アンワインダ径算出器2からシート材10を含むアンワインダ12の径d、シート幅設定器3からシート幅w、シート密度設定器4からシート密度δおよびスプール14のスプール径ds ならびにスプール14のスプール分慣性モーメント定数GDs 2 が与えられる。また、速度基準発生器1からの速度基準vは、速度変化検出器17に入力され、その速度変化dv/dtが検出される。アンワインダ慣性モーメント演算器6で演算された慣性モーメントGDt 2 と速度変化検出器17で検出された速度変化dv/dtとが、トルク基準演算器7に入力され、トルク基準Tt が計算され、アンワインダセンター制御装置9に与えられる。以下、詳細に説明する。
【0013】まず、速度基準発生器1からの速度基準vは、アンワインダサーフェス制御装置8を介してアンワインダサーフェス電動機15に伝えられ、図2に示すようにアンワインダサーフェス電動機15によってベルト13が速度制御される。その結果シート材10は速度基準vで搬送されることになる。しかし加減速時にはベルト駆動だけではトルクが過不足となりやすく、ベルト13とアンワインダ12との間で滑りが生じる。そこで、加減速時に過不足となるトルクに相当するトルク基準Tt が、アンワインダセンター制御装置9を介しアンワインダセンター電動機16に伝えられる。このトルクはスプール14を介してアンワインダ12に与えられる。これによって滑りは軽減される。
【0014】以下にこのトルクTt の演算方法を、アンワインダ慣性モーメント演算器6およびトルク基準演算器7の動作を参照しながら説明する。
【0015】まずアンワインダ慣性モーメント演算器6の動作を説明する。アンワインダ12の慣性モーメントGDt 2 は、スプール分慣性モーメントGDs 2 とシート材10に対応するモーメントつまりコイル分に対応するコイル分慣性モーメントGDc 2 とに分けられる。スプール分慣性モーメントGDs 2 は、スプール14自体の径が一定であるため定数として扱うことができる。
【0016】一方、コイル分慣性モーメントGDc 2 は、コイル分慣性モーメントGDc 2の単位を [kg・m 2 ]とし、シート材10を含むアンワインダ12の径dの単位を[m ]、スプール14の径ds の単位を[m]、シート幅wの単位を[mm]、シート密度δの単位を[g/cm3 ]とすれば、 GDc 2 =1/8・π・w・δ・(d4 −ds 4 ) ……(1)
と表せる。
【0017】従って、アンワインダ12全体の慣性モーメントGDt 2 は GDt 2 =GDc 2 +GDs 2 =1/8・π・w・δ・(d4 −ds 4 )+GDs 2 ……(2)
となり、以上の演算がアンワインダ慣性モーメント演算器6で求められる。
【0018】次にアンワインダ慣性モーメント演算器6で求めた慣性モーメントGDt 2 からトルク基準Tt を求める方法をトルク基準演算器7の動作を参照しながら説明する。
【0019】まず加速度トルクTの一般式は、Tを加減速トルクとしてその単位を[kg・m]と、GD2 を慣性能率としてその単位を[kg・m 2 ]と、Dを回転体の直径としてその単位を[m ]と、dv/dtを加減速度としてその単位を[mpm/sec ]とすれば、以下のように表せる。
【0020】
T={GD2 /(120×9.8)}×(1/D)×(dv/dt)…(3)
従って、アンワインダ12全体のトルク基準Tt は、この(3)式に、先ほどの(2)式を代入すると求められる。即ち、 Tt ={GDt 2 /(120×9.8)}×(1/D)×(dv/dt)
={(GDc 2 +GDs 2 )/(120×9.8)}×(1/D)× (dv/dt)
={(1/8)・π・w・δ・(d4 −ds 4 )+GDs 2 }× {(1/(120×9.8)}×(1/D)×(dv/dt)…(4)
のように求まる。このトルク基準Tt をアンワインダセンター制御装置9に与えることで、加減速時に過不足となっていたトルクを補うことができ、その結果滑りを軽減できる。
【0021】なお、外乱などによりアンワインダ12とベルト13との間で一旦滑りが生じた場合、アンワインダセンター電動機16はトルク制御されているため、そのままでは暴走する恐れがある。そのため、アンワインダセンター制御装置9には、トルク基準Tt の他に速度制限として、速度基準発生器1からの速度基準v即ち巻取側の速度を与えることで、アンワインダセンター電動機16の速度が速度基準v以上に上がらないようにしている。
【0022】
【発明の効果】本発明によって、作業効率を改善しシート切れや巻きジワを防止しうるリワインダ制御装置を実現できる。
- 【公開番号】特開平7−80546
【公開日】平成7年(1995)3月28日
【発明の名称】リワインダ制御装置
- 【出願番号】特願平5−228670
【出願日】平成5年(1993)9月14日
【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
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