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薄板ラインにおける薄板の折れ込みを検出する方法及び装 置
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- 【要約】
【目 的】熱延、冷延、焼鈍、メッキ、塗装等の工程における鋼板の薄板ラインにおいて、薄板の折れ込みの有無及びその発生位置を精度よく、しかも自動的に求め省力化を図る。
【構 成】巻取機の前に設置されるピンチロールのチョックの下部にロードセル3を設け、薄板がピンチロールを通板中の荷重を連続的に計測する。そしてその計測値をマイクロコンピュータ8に出力する。マイクロコンピュータ8はロードセル3からの出力値に基づいて組込まれた判定ソフトにより折れ込み部の有無を判定すると共に、薄板がピンチロールに噛み込み始めてから、折れ込み部有りと判定されるまでの時間から、薄板長さ方向における折れ込み位置を算出し、折れ込み部の有無と共に、CRT9に出力する。生産管理用コンピュータ11は、CRT9に出力されたデータに基づいて切断装置に制御信号を発信し、折れ込み部の切断を行う。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱延、冷延、焼鈍、メッキ、塗装等の工程に設けられる薄板ラインにおいて、薄板が通板する一対のロール、好ましくはピンチロールのうち、少なくとも一方のロールに荷重、変位、加速度或いは圧力等を検出する検出手段を設け、通板時の荷重、変位、加速度或いは圧力等を検出することにより、薄板の折れ込み部の有無を検出する方法。
【請求項2】 折れ込み部の有無は、検出値がしきい値を越えたかどうかで判定される請求項1記載の薄板の折れ込みを検出する方法。
【請求項3】 折れ込み部の有無は、検出値がしきい値を越えた時間で判定される請求項1記載の薄板の折れ込みを検出する方法。
【請求項4】 折れ込み部の有無は、検出値がしきい値を越えた時間と検出値の積分値で判定される請求項1記載の薄板の折れ込みを検出する方法。
【請求項5】 折れ込み部の有無は、検出値がしきい値を越えたピーク数で判定される請求項1記載の薄板の折れ込みを検出する方法。
【請求項6】 折れ込みが発生するまでの時間或いはパルスジェネレータ等のカウント数より薄板の長さ方向における折れ込みの発生位置を算出する請求項1記載の薄板の折れ込みを検出する方法。
【請求項7】 折れ込みの有無と、発生位置が上位計算機に自動にて入力され、該計算機の制御信号により折れ込み部の切除が行われる請求項6記載の薄板の折れ込みを検出する方法。
【請求項8】 熱延、冷延、焼鈍、メッキ、塗装等の工程における薄板ラインに設けられ、薄板が通板する一対のロールのうち、少なくとも一方のロールに荷重、変位、加速度或いは圧力を検出するために設けられる検出手段と、検出手段により検出された検出値より折れ込み部の有無を判定する演算処理手段とよりなる薄板の折れ込みを検出する装置。
【請求項9】 検出手段によって検出された検出値をアナログ若しくはデジダル信号として直接チャート出力するチャート出力装置が上記演算処理手段に代え、或いは演算処理手段と共に設けられる請求項8記載の薄板の折れ込みを検出する装置。
【請求項10】 上記演算処理手段は、折れ込みが発生するまでの時間或いはパルスジェネレータ等のカウント数より薄板の長さ方向における折れ込みの発生位置を算出する請求項8又は9記載の薄板の折れ込みを検出する装置。
【請求項11】 演算処理手段から折れ込みの有無と、その発生位置が入力され、それに基づいて薄板を切除する切除手段を制御する上位計算機が設けられる請求項10記載の薄板の折れ込みを検出する装置。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱延、冷延、焼鈍、メッキ、塗装等の工程に設けられる鋼板または非鉄金属の薄板ラインにおいて、薄板の折れ込みを検出する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来技術】上述する各工程の薄板ラインでは、薄板は一般に伸ばした状態で通板され、工程の最後にコイル状に巻取られるようになっているが、薄板を高速通板させたときなどで、薄板の先端や尾端或いはたるみを生じた箇所が図1のa、b、cで示されるように、ローラ間を通過するとき、折れ込みを生じ、そのまゝ巻取られることがある。折れ込み部分は、別工程で切除されたのち、次工程へ、或いはユーザーに受渡しされるが、折れ込み部分の発生を見逃した場合、次工程で板破断を生じたり、ユーザーからクレームが付くことになる。
【0003】そこで従来は、巻取り時に巻取作業に従事する作業員が折れ込みの有無を検査し、折れ込みがあったときは、折れ込み部分を切除するためにマーク付けなどの処理を行い、さらに見逃しを防ぐため、コイルヤード内のコイルを検査員が巡回検査し、折れ込み部の点検を行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来は上述するように、巻取作業に従事する作業員が先ず、折れ込み部の有無や位置の点検を行っているが、この点検は、作業員の視覚や聴覚に頼っているため、見逃しを発生することがある。この見逃し分を再点検するため、作業員がコイルヤード内を巡回し、コイルの点検を行っているが、多くのコイルを点検せねばならないため、多くの人員と、点検に長時間を要するようになり、また折れ込みの発生形態によっては、外部からの確認が困難なものもあり、やはり見逃しを生ずることがある。
【0005】本発明は、薄板ラインにおいて発生する薄板の折れ込み部の点検の省力化と精度の向上を図ることを目的とする。
【0006】
【課題の解決手段】上記の目的を達成するため、本発明は、熱延、冷延、焼鈍、メッキ、塗装等の工程に設けられる薄板ラインにおいて、薄板が通板する一対のロール、好ましくはピンチロールのうち、少なくとも一方のロールに荷重、変位、加速度或いは圧力等を検出する検出手段を設け、通板時の荷重、変位、加速度或いは圧力等を検出することにより、薄板の折れ込み部の有無を検出するようにしたものである。
【0007】検出手段からは、検出信号がアナログないしデジタル信号として直接チャート出力、若しくは一定周期ごとの測定データとして出力され、作業員による折れ込み部の有無の判定データとして用いられるか、或いは検出信号が演算処理手段に出力され、折れ込み部の有無が判定される。折れ込み部の有無の判定は、採取データを薄板の鋼種やサイズ等により層別し、必要に応じて解析対象範囲を時間やパルスジェネレータ等でカウントした長さで指定し、荷重、変位、加速度或いは圧力等の検出値がしきい値を越えたかどうかで、或いは検出値がしきい値を越えた時間、検出値がしきい値を越えた時間と検出値との積分値、検出値がしきい値を越えたピーク数等で行われる。
【0008】上述の折れ込み部有りと判定された場合、それまでの時間或いはパルスジェネレータ等のカウント数より薄板の長さ方向における折れ込み部の発生位置を算出することができる。上述の判定結果は、作業員によりマニュアルで別工程における切除のための制御装置に入力したり、生産管理用コンピュータに入力することも可能であるが、好ましくは、これら制御装置或いは生産管理用コンピュータに自動的に入力ないし伝送される。
【0009】
【作用】図2は、薄板の折れ込み部検出のため、薄板ラインの巻取機1の前に設置される一対のピンチロール2のうち、下側のピンチロールのチョック下部に検出手段としてのロードセル3を設け、薄板4がピンチロール2を通板中の荷重を連続的に測定するようにした例について示すもので、先端での折れ込みがないときには、図3に示すように、薄板先端がピンチロール2に噛み込んだときにトリガ状の小さなピークが立つ荷重挙動が認められるが、先端での折れ込みがあるときには、図4に示すような荷重挙動の変化が認められる。
【0010】折れ込み部の判定は、ロードセル荷重の出力チャートを見て作業員が行う場合と、演算処理手段により自動的に判定する場合があるが、いづれの場合も採取データを鋼種やサイズごとに層別し、必要に応じて解析対象範囲を時間やパルスジェネレータ等でカウントされた長さで指定し、図5に示すように解析対象範囲内でロードセル荷重がしきい値を越えたとき、図6に示すように解析対象範囲内でロードセル荷重がしきい値を越えた時間の総計、図7に示すように解析対象範囲内でロードセル荷重がしきい値を越えた時間とロードセルの荷重の積分値の和或いは図8に示すように解析対象範囲内でロードセル荷重がしきい値を越えたピーク数の総計等により判定が行われる。
【0011】
【実施例】本発明の一実施例を図9に基づいて説明する。図2に示す薄板ラインのチョック下部にロードセル3をワークサイドとドライブサイドの2カ所に設け、各ロードセル3の検出信号をインターフェイス6を介してチャート出力装置7に出力すると共に、マイクロコンピュータ8に出力し、前者のチャート出力装置7より出力されたデータは、作業員による折れ込み部の有無を判定するためのデータとして用いられ、またマイクロコンピュータ8にも入力されるようになっている。
【0012】マイクロコンピュータ8は、内部にマイクロプロセッサと判定プログラムが記憶されたメモリを有する演算処理手段より構成しており、折れ込み部の有無をロードセル出力値に基づいて図5〜図8のいづれかの判定ロジックにより自動判定する。そして折れ込み部有りと判定した場合には、薄板4がピンチロール2に噛み込み始めて折れ込み有りと判定するまでの時間から薄板長さ方向における折れ込み位置を算出し、折れ込みの有無と共に折れ込み発生位置をCRT9に出力する。CRT9に出力されたデータは更に生産管理用コンピュータ11に伝送され、このコンピュータ11からの制御信号に基づき、別工程で切断装置により折れ込み部の切除作業が行われる。
【0013】
【発明の効果】本発明は以上のように構成され、次のような効果を奏する。請求項1記載の方法によれば、薄板が通板するロールの荷重、変位、加速度或いは圧等を検出し、その挙動変化から薄板の折れ込みの有無を判定するようにしたことにより、従来の検出が作業員の視覚や聴覚に頼っていたものと比べ、検出精度が向上し、見逃しを防ぐことができると共に、判定を作業員が行う場合であっても、従来と比べ少人数で作業することができ、省力化が可能となる。
【0014】請求項2ないし5記載の方法を用いにことにより、折れ込み部の有無を自動判定することができるようになる。請求項6記載の方法によれば、折れ込み部の位置を求めることができる。請求項7記載の方法によれば、折れ込み部の検出から切断までの工程を自動化することができる。
【0015】請求項8記載の装置によれば、請求項1記載の方法と同様、折れ込み部の検出精度が向上すると共に、折れ込み部の検出が自動化され、省力化が可能となる。請求項9記載の装置によれば、折れ込み部の有無をマニュアル或いはマニュアルでも自動的にでも判定することができる。請求項10記載の装置によれば、折れ込み部の有無の判定及び折れ込み部の検出を自動化することができる。
【0016】請求項11記載の装置によれば、請求項7記載の方法と同様、折れ込み部の検出から切断までの工程を自動化することができる。
- 【公開番号】特開平7−80547
【公開日】平成7年(1995)3月28日
【発明の名称】薄板ラインにおける薄板の折れ込みを検出する方法及び装 置
- 【出願番号】特願平5−231154
【出願日】平成5年(1993)9月17日
【出願人】
【識別番号】000004581
【氏名又は名称】日新製鋼株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 晃一
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