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膨出部形成用アルミニウム合金管
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- 【要約】
【目的】 バルジ加工によりその周壁に複数の膨出部を1直線状に並ぶように形成した場合における膨出部の破断を防止する。膨出部を形成するための作業を簡単にする。コストを安くする。
【構成】 バルジ加工を施して、その周壁に複数の膨出部6を1直線状に同時に形成するのに使用するアルミニウム合金管5である。JIS A6063合金押出型材製管を調質することにより形成する。伸びが40%以上、再結晶集合組織における結晶粒径が60μm以下である。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 バルジ加工を施して、その周壁に複数の膨出部を1直線状に同時に形成するのに使用するアルミニウム合金管であって、JIS A6063合金押出型材製管を調質することにより形成され、伸びが40%以上、再結晶集合組織における結晶粒径が60μm以下となされていることを特徴とする膨出部形成用アルミニウム合金管。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、バルジ加工を施して、その周壁に複数の膨出部を1直線状に同時に形成するのに使用するアルミニウム合金管に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、自動車用吸気マニホルドとして、図1に示すように、一端が開口するとともに他端が蓋によって閉鎖され、かつ周壁に複数の孔(2) が形成されるとともに各孔(2) の周囲に分岐管接続用筒状外方突出部(3) が一体的に設けられたアルミニウム押出型材製主管(1) と、各一端が外方突出部(3) に嵌め合せ状態で接続された複数のアルミニウム展伸材製分岐管(4) とを備えたものが考えられている。このマニホルドにおいて、主管(1) の製造を次のようにして行うことが考えられている。すなわち、アルミニウム押出型材製管(5) の周壁に複数の筒状膨出部(6) を、バルジ加工により1直線状に並ぶように形成した後(図2参照)、各筒状膨出部(6) の先端閉鎖壁(7) に孔をあけ、ついでバーリング加工により上記先端閉鎖壁(7) における孔の周囲の部分を外方に曲げるとともにその先端部を拡管して、分岐管接続用筒状外方突出部(3) を形成するとともに、孔(2) を形成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記主管(1) を製造するための膨出部(6) 付き管(5) の場合には、各膨出部(6) の高さを管(5) の外径の14%以上にする必要があり、アルミニウム押出型材製管(5) の周壁に、このような筒状膨出部(6) を1直線状に並ぶように形成するのは、1度のバルジ加工ではできなかった。なぜならば、加工度が大きくて膨出部(6) に破断が生じるからである。
【0004】この発明の目的は、上記問題を解決した膨出部形成用アルミニウム合金管を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明による膨出部形成用アルミニウム合金管は、バルジ加工を施して、その周壁に複数の膨出部を1直線状に同時に形成するのに使用するアルミニウム合金管であって、JIS A6063合金押出型材製管を調質することにより形成され、伸びが40%以上、再結晶集合組織における結晶粒径が60μm以下となされていることを特徴とするものである。
【0006】上記において、膨出部形成用アルミニウム合金管の伸びを40%以上、再結晶集合組織における結晶粒径を60μm以下としたのは、このようなアルミニウム合金管の周壁に、バルジ加工によって、管の外径の14%以上の高さを有する複数の筒状膨出部を1直線状に並ぶように同時に形成しても、膨出部に破断が生じないからである。
【0007】この発明による膨出部形成用アルミニウム合金管は、たとえばJIS A6063合金押出型材製管に、冷間加工率40%以上の引抜き加工を施した後、350〜420℃の範囲で焼鈍することにより、伸びが40%以上、再結晶集合組織における結晶粒径が60μm以下となるように調質することによって製造される。
【0008】この方法によれば、冷間加工率40%以上の引抜き加工と、これに引き続いて行われる350〜420℃の範囲での焼鈍との2つの工程によって、JIS A6063合金製押出形材管を、上述した効果を奏する伸びが40%以上、再結晶集合組織における結晶粒径が60μm以下のものにすることができる。したがって、その工程数が少なくなって作業が簡単になる。
【0009】上記において、押出型材管に引抜き加工を施すさいの冷間加工率を40%以上としたのは、40%未満であれば、焼鈍を施した後の再結晶集合組織における結晶粒径が60μm以下にならず、伸びも40%未満になるからである。また、引抜き加工後の焼鈍温度を350〜420℃の範囲としたのは、350℃未満では再結晶が起こらず、420℃を越えると結晶粒が粗大化するからである。
【0010】
【実施例】以下、この発明の実施例を、比較例とともに示す。
【0011】JIS A6063合金から、全長330mm、外径69.5mm、肉厚2.4mmである2本の押出管をつくった。また、JIS A6063合金製の4本の押出管に、種々の冷間加工率で引抜き加工を施して上記と同じ寸法の管をつくった。ついで、全ての管を、種々の条件で焼鈍した後、引張り強さ、伸びおよび結晶粒径を測定した。
【0012】その後、全ての管にバルジ加工を施し、各管の周壁に、図2に示すように、4つの管状膨出部(6) をピッチ59mmで1直線状に並ぶように形成した。膨出部(6) 付き管(5) の全長(L) は260mm、外径(D) 70mm、中心軸(O) から膨出部(6) の先端までの距離(W) は52mmであった。そして、各管(5) の膨出部(6) に破断が生じているかどうかを調べた。その結果を、上記冷間加工率、焼鈍条件、引張り強さ、伸びおよび結晶粒径とともに下表に示す。
【0013】
【表1】【0014】
【発明の効果】この発明の膨出部形成用アルミニウム合金管によれば、伸びが40%以上、再結晶集合組織における結晶粒径が60μm以下であるので、このアルミニウム合金管にバルジ加工を施すことによりその周壁に複数の膨出部を1直線状に並ぶように形成した場合にも、膨出部が破断することはない。さらに、1回のバルジ加工により複数の膨出部を同時に形成することができるので、従来の方法に比較して工程数が少なくなり、膨出部を形成するための作業が簡単になる。しかも、素材としてJIS A6063合金製押出形材管を用いているので、コストが安くなる。
- 【公開番号】特開平7−88538
【公開日】平成7年(1995)4月4日
【発明の名称】膨出部形成用アルミニウム合金管
- 【出願番号】特願平5−214252
【出願日】昭和63年(1988)11月29日
【出願人】
【識別番号】000186843
【氏名又は名称】昭和アルミニウム株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助 (外3名)
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