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巻取装置とその制御方法
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- 【要約】
【目的】 被圧延材の末端が変形していても巻取り、巻戻しが短時間にスムースにでき、かつ下流側から被圧延材を出入れできる巻取装置とその制御方法を提供する。
【構成】 正転方向及び逆転方向に圧延可能な圧延機に並置され、被圧延材1の巻取り/巻戻しを行うための巻取装置10であって、被圧延材を案内する複数のガイドロール11と、被圧延材を水平に挟持し、正逆転可能かつ上下動可能な上下一対のピンチロール13とを備える。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 正転方向及び逆転方向に圧延可能な圧延機に並置され、被圧延材の巻取り/巻戻しを行うための巻取装置であって、被圧延材を案内する複数のガイドロールと、被圧延材を水平に挟持し、正逆転可能かつ上下動可能な上下一対のピンチロールと、を備えることを特徴とする巻取装置。
【請求項2】 正転方向及び逆転方向に圧延可能な圧延機に並置され、被圧延材の巻取り/巻戻しを行うための巻取装置の制御方法であって、被圧延材を案内する複数のガイドロールと、被圧延材を水平に挟持し、正逆転可能かつ上下動可能な上下一対のピンチロールと、を備え、被圧延材をガイドロールとピンチロールで案内して巻き取り、被圧延材の末端を検出して末端がピンチロールを通過する前に巻き取りを停止し、次いでピンチロールを逆転させて巻き取った被圧延材を巻戻す、ことを特徴とする巻取装置の制御方法。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は被圧延材の巻取り/巻戻しを行う巻取装置とその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造機で鋳造した50〜90mm厚の被圧延材(スラブ)を1.2〜2.5mmの薄板(ストリップ)まで圧延する熱間圧延設備には、種々のものが知られている。図2は、従来の熱間圧延設備の例であり、(A)は完全連続圧延設備、(B)はリバース圧延可能な圧延機(リバースミル、RRM)を用いた圧延設備、(C)は更に巻取装置(CB)を用いた圧延設備を示している。
【0003】完全連続圧延設備(A)では、連続鋳造機で鋳造された50〜90mm厚のスラブが複数の粗圧延機(粗ミル、R1〜R6)で20〜30mm厚の被圧延材(バー)まで圧延され、次いで複数の仕上圧延機(仕上ミル、F1〜F7)で1.2〜2.5mmのストリップに圧延されてダウンコイラDCで巻き取られる。この設備(A)は、多数の装置を必要とし、設備の全長が長く、かつ被圧延材の温度低下が大きい問題点があった。
【0004】(B)の圧延設備では、複数の粗ミルの替わりにリバースミルRRMを用い、スラブを何回も往復動させてバーにし、次いで複数の仕上ミルF1〜F6でストリップに仕上圧延し、ダウンコイラDCで巻き取る。この設備(B)は、複数の粗ミルの替わりに1台のリバースミルRRMで足りるが、リバースミルと仕上ミルの間が圧延で延びたバーのため長くなり、かつこのバーの温度低下が大きい問題点があった。
【0005】(C)の圧延設備では、リバースミルで延びたバーを巻取装置CBで巻き取り、反転して下流側に流すので、リバースミルと仕上ミルの間隔が短くなり、かつ巻き取りによりバーの温度低下が小さい特徴がある。
【0006】図3は、図2(C)の圧延設備を更に改善した本発明に係わる熱間圧延設備である。この図では、連続鋳造機で鋳造された50〜90mm厚のスラブは図の右側から左側に送られ(図2とは逆)、スラブ1は再加熱炉2で加熱され、先ずリバースミルである第1圧延機(第1ミル、F1)に入り、第1ミルによる正逆転圧延で20〜30mm厚まで圧延される。この圧延の際には、巻取装置CB、回転切断装置(クロップシャーCS)、及び第2〜第5ミル(F2〜F5)は作動せず、スラブ及びバーが自由に通過できるようになっている。次いで、長く延びたバーを巻取装置CBで巻き取り、巻取装置を逆転させてクロップシャーCSで先端を切り取り、第1ミルF1と第2〜第5ミル(F2〜F5)を作動させてバーを1.2〜2.5mmのストリップまで圧延する。この熱間圧延設備では、設備全長が更に短くなり、かつバーの温度低下が小さい特徴がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図2に示した従来の巻取装置(コイルボックスCB)は、例えば図4に示すように、20〜30mm厚の被圧延材1(バー)を案内する複数のガイドロール3、正逆転可能かつ上下動可能なサポートロール4、バーの末端をコイルから分離し下流に案内するピーラ5、等を備え、図の右側から供給される被圧延材1をガイドロール3とサポートロール4で案内して左回転(実線の矢印)させて末端まで完全に巻き取り、次いでサポートロール4を逆転させて巻戻し(破線の矢印)、巻き取ったバーの末端(図の二点鎖線)をピーラ5で分離し下流(図で左側)に送るようになっていた。
【0008】しかし、かかる巻取装置では、バーの末端が変形(フィシュテール等)していると、巻戻しの際にピーラ5による末端の分離がスムースにできず、ピーラ等の抵抗によりバーが巻取装置内で弛んでループ状に拡がり、サポートロール4の回転では巻戻しができなくなる問題点があった。また、従来の巻取装置は、バーが上流側から入り下流側に出るので、下流側からバーが出入りする新規の圧延設備(図3)には適用できない問題点があった。
【0009】本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、被圧延材の末端が変形していても巻取り、巻戻しが短時間にスムースにでき、かつ下流側から被圧延材を出入れできる巻取装置とその制御方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、正転方向及び逆転方向に圧延可能な圧延機に並置され、被圧延材の巻取り/巻戻しを行うための巻取装置であって、被圧延材を案内する複数のガイドロールと、被圧延材を水平に挟持し、正逆転可能かつ上下動可能な上下一対のピンチロールと、を備えることを特徴とする巻取装置が提供される。
【0011】また、本発明によれば、正転方向及び逆転方向に圧延可能な圧延機に並置され、被圧延材の巻取り/巻戻しを行うための巻取装置の制御方法であって、被圧延材を案内する複数のガイドロールと、被圧延材を水平に挟持し、正逆転可能かつ上下動可能な上下一対のピンチロールと、を備え、被圧延材をガイドロールとピンチロールで案内して巻き取り、被圧延材の末端を検出して末端がピンチロールを通過する前に巻き取りを停止し、次いでピンチロールを逆転させて巻き取った被圧延材を巻戻す、ことを特徴とする巻取装置の制御方法が提供される。
【0012】
【作用】上記本発明の装置及び方法によれば、被圧延材を水平に挟持し、正逆転可能かつ上下動可能な上下一対のピンチロールを備え、被圧延材の末端を検出して末端がピンチロールを通過する前に巻き取りを停止し、次いでピンチロールを逆転させて巻き取った被圧延材を巻戻すので、巻戻しの際に被圧延材の末端がほとんど抵抗にならず、被圧延材の末端が変形していても巻取り、巻戻しが短時間にスムースにでき、かつ下流側からバーを出入れすることができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照して説明する。図1は、本発明による巻取装置の全体構成図である。本発明による巻取装置は、正転方向及び逆転方向に圧延可能な圧延機(図3参照)に並置され、被圧延材の巻取り/巻戻しを行うようになっている。
【0014】図1において、本発明による巻取装置10は、被圧延材1を案内する複数のガイドロール11と、被圧延材1を水平に挟持し、正逆転可能かつ上下動可能な上下一対のピンチロール13と、を備えている。ピンチロール13は、上下のロールが駆動装置(図示せず)で回転駆動され、かつ上ロールが液圧シリンダ14により下ロールに押付けられている。これにより、上下のロールを回転駆動してその間に挟持した被圧延材1を自由に水平移動させることができる。なお、図1において、12は、正逆転可能かつ上下動可能な一対のサポートロールである。
【0015】次に図1に示した巻取装置10の運転方法及び制御方法を説明する。
■先ず、再加熱炉2(図3参照)で加熱された被圧延材1(スラブ)が、巻取装置10を図1で右から左に通過し、リバースミルである第1ミルF1(図3参照)に入り、第1ミルF1による正逆転圧延で20〜30mm厚まで圧延される。この圧延の際には、巻取装置10のガイドロール11の一部は図1に二点鎖線で示す位置にあり、被圧延材1が自由に通過できるようになっている。
【0016】■次いで、長く延びた被圧延材1(バー)が図1で左から右に送られ、巻取装置10で巻き取られる(図に実線の矢印で示す)。この際、被圧延材1の後端をピンチロール13で駆動して水平に案内し、かつガイドロール11で案内して巻き取るので、被圧延材1の後端が変形していてもピンチロール13の駆動によりスムースに巻き取ることができる。
【0017】■次いで、被圧延材1の末端(この場合は前端)を検出して末端がピンチロール13を通過する前に巻き取りを停止する。被圧延材1の末端の検出は、適当なセンサー、例えば光学式センサーによるのがよい。
■次いで、ピンチロール13を逆転させて巻き取った被圧延材1を巻戻し(図に破線の矢印で示す)、クロップシャーCS(図3参照)で先端を切り取り、第1ミルF1と第2〜第5ミル(F2〜F5)を作動させてバーを1.2〜2.5mmのストリップまで圧延する。被圧延材1の前端はピンチロール13を通過していないため、被圧延材1はピンチロール13で挟持されており、被圧延材1の前端が変形していてもピンチロール13の駆動によりスムースに巻戻すことができる。
【0018】上述したように、本発明の巻取装置とその制御方法によれば、被圧延材1を水平に挟持し、正逆転可能かつ上下動可能な上下一対のピンチロール13を備え、被圧延材1の末端(前端)を検出して末端がピンチロール13を通過する前に巻き取りを停止し、次いでピンチロール13を逆転させて巻き取った被圧延材1を巻戻すので、巻戻しの際に被圧延材1の末端が抵抗にならず、被圧延材1の末端が変形していても巻取り、巻戻しが短時間にスムースにでき、かつ下流側から被圧延材(バー)を出入れすることができる。
【0019】
【発明の効果】従って、本発明の巻取装置とその制御方法は、被圧延材の末端が変形していても巻取り、巻戻しが短時間にスムースにでき、かつ下流側から被圧延材を出入れできる、優れた効果を有する。
- 【公開番号】特開平7−88546
【公開日】平成7年(1995)4月4日
【発明の名称】巻取装置とその制御方法
- 【出願番号】特願平5−237021
【出願日】平成5年(1993)9月24日
【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実 (外2名)
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