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コイル処理ライン入側自動減速制御装置
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- 【要約】
【目的】 プロセスライン入側におけるコイル尾端自動減速において、残長計算の精度を上げる。
【構成】 コイル残長を正確に把握するためにコイル残長数を測定する装置として、板厚が識別可能な分解能を有しコイル側面を撮影するテレビカメラとその画像を処理する事により残捲数を測定する。更にコイル内径と外径、残捲数とからコイル残長を計算し、現在の通板速度と減速率から計算される減速開始残長とを比較して減速タイミングを決定する。
【効果】 本発明によれば減速タイミング精度向上により、早期に減速を開始する必要がなくなりコイル処理の生産性が向上する。またループ量を少く設定することができ、コイル処理設備をコンパクトにできる。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 コイルから鋼帯を巻き戻し連続的に処理を行う設備において、巻き戻しながらコイルの残り巻き数を測定する装置と、コイルの残長を計算する演算装置と、減速目標位置で減速を完了するための減速位置制御装置と、ライン速度を制御する制御装置とからなることを特徴とするコイル処理ライン入側自動減速制御装置。
【請求項2】 コイルの残り巻き数を測定する装置として、コイル側面の板厚が識別可能な分解能を持つテレビカメラと画像処理装置を用いることを特徴とする請求項1記載のコイル処理ライン入側自動減速制御装置。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コイルを巻き戻し、酸洗,圧延,焼鈍,表面処理等を行うプロセスラインに関わり、特に、入側のコイルを巻き戻す設備の自動減速に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プロセスラインの入側における最も1般的なコイル自動減速方法としては、通板しているあるロールの回転数と、そのロール直径と、巻き戻しをしているリールの回転数から現在のコイル径を求め、予め判明しているコイル内径および通板材の板厚からコイル残長を計算し、減速長さを見込んで減速を開始するものである。しかしながら、この従来方法では、ロールスリップや磨耗によりコイルの残長計算に誤差を生じ、また、コイルの内巻付近に板厚が異なるオフゲージ(規格外の板厚)部分を巻込んでいる場合には更に誤差を大きくする問題を有し、正確なタイミングでの減速が困難であった。
【0003】そこで、該問題点を解決するために、特開昭60−96318号公報で示される装置では、予めコイルの全巻き数を測定しリールの巻き戻し回転数から残り巻き数を計算しているが、巻き戻し前のコイル径が大きい状態で測定するため、レーザ発光器,受光器のトラバース設備が必要で設備構成が複雑になるという欠点があった。
【0004】また、特公平4−71826号公報で示される装置では、巻き戻し中のコイルの側面をテレビカメラで撮影し、画像処理によりコイル外径を測定し予め判明している板厚からコイルの残り巻き数を計算しているが、ロールスリップ等の誤差は防止できるものの、オフゲージの誤差までは計算に含めておらず正確に残長を計測するのは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来法では、コイルの残長を正確に把握することが困難であり、そのため、コイル尾端部のオーバーランを回避する必要性から、早期に減速して生産性を犠牲にするだけでなく、低速通板可能な余剰能力を持つルーパー設備を備えるなど、非効率的な操業,設備装備を余儀無くされていた。
【0006】本発明の目的は、かかるコイル処理ライン入側自動減速制御装置における残長計算精度不良による各種のライントラブル発生が防止できる機構を完成して、効率的な操業,設備装備の効果を十分に発揮できる装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、課題を解決すべく鋭意検討した結果、従来方法の問題点は、コイルの外径を測定し、そこから板厚により残り巻き数を計算して残長を計算しているため、板厚変動があった場合に対応できていないことを知見した。そこで、本発明は、板厚変動による誤差を防止するため、残り巻き数を直接測定する。すなわち本発明の要旨とするところは、(1)コイルから鋼帯を巻き戻し連続的に処理を行う設備において、巻き戻しながらコイルの残り巻き数を測定する装置と、コイルの残長を計算する演算装置と、減速目標位置で減速を完了するための減速位置制御装置と、ライン速度を制御する制御装置とからなることを特徴とするコイル処理ライン入側自動減速制御装置;
(2)コイルの残り巻き数を測定する装置として、コイル側面の板厚が識別可能な分解能を持つテレビカメラと画像処理装置を用いることを特徴とする前記(1)項記載のコイル処理ライン入側自動減速制御装置;にある。
【0008】
【作用】コイル残り巻数を測定し該残り巻数に基づいてコイル残長を計算するので、板厚のオフゲ−ジやコイル内板間の隙間によりコイル径/コイル残長の関係がばらついても、このばらつきの影響がないコイル残長が得られる。その結果本発明によれば、減速完了時のコイルの残長のバラツキが少なくなるため、低速走行時間が短くなり生産性が向上するだけでなく、ルーパーの過剰能力を削減できることから効率的な設備装備が可能になる。
【0009】
【実施例】図1に本発明の一実施例を示す。ル−ル2に装着されたコイル1は巻き戻されている。前述の従来の最も一般的な方法では、回転数を検出するパルスジェネレーター5が設置されているロール4の回転数とロールの径により通板速度を求め、リール2に設置されているパルスジェネレーター3によって測定された回転数により通板中のコイル1の外径が計算される。さらに、現在通板中の鋼帯の板厚は、上位の計算機(図示しない)から与えられており、径と板厚から残り巻き数を求め残長を計算している。しかしながら、上述のようにコイル外径が一定の場合でも、オフゲージ等の板厚の異なる部分が内巻に含まれる場合は残長が大きく変化する。
【0010】従って、図1に示す実施例では、テレビカメラ6によりコイル1の側面の画像を取り込み、画像処理装置8により2値化処理を行い、板厚による陰影を数えることによりコイル1の残り巻き数と外径を測定する。図2は、テレビカメラ(CCDカメラ)によりコイル側面を撮影している図であり、テレビ画面の横方向の走査線1本を取り出した信号例12を同図に併記する。該信号12には、板の部分13と板間の隙間部14でレベルの差があり、これを2値化して板の明るい部分を数えれば巻き数を求めることができ、これを残長演算装置9が行なう。
【0011】画像処理装置8は、次の画像処理および演算を行なう:A1. 画面中心を通るラインおよびその前後の数ラインの画像信号をデジタル変換して、これにより得た数ライン分の画像デ−タの輝度ヒストグラムを演算し、このヒストグラムに基づいて2値化しきい値を設定する;
A2. 前記数ライン分の画像デ−タを該2値化しきい値で2値信号(「1」:黒(隙間部),「0」:白(板部)なる2値画像デ−タ)に変換する;
A3. 2値信号の、2次元平面上の連続する「1」の塊それぞれの中心位置(前記ラインの延びる方向x:図2のカメラ出力12の横軸)xiを算出する。このxiは、隙間部14の横方向幅中心の位置である;
A4:隣り合う中心位置間の距離(x方向)を算出し、同一距離の出現回数をカウントする(距離ヒストグラムの作成);
A5:出現回数が最大の距離(距離ヒストグラム上のピ−ク位置)を、板厚と決定する;
A6:コイル1の最外周面の位置を、A3で得たxiより決定し、リ−ル2の外周半径(固定値)とリ−ル2に対するテレビカメラ6の位置関係(固定)から、リ−ル2に巻回されているコイル1の巻厚(コイル1外径−リ−ル2外径)を算出する;
A6:A5で得た板厚と、A6で得た巻厚を、残長演算装置9に与える。
【0012】残長演算装置9は、画像処理装置8が板厚と巻厚を与える毎に、それらにより残長Lr(リ−ル2に巻回されている鋼板の延べ長さ)を算出し、これを減速位置制御装置10に与える。減速位置制御装置10は、常に、減速が開始されるべき残長Ls(参照値)を、上位計算機より設定されたカット長および従来より大幅に短くなった余裕長を残して、現在の通板速度から指定の速度に減速が完了するように計算しており、現在の残長Lrが減速開始残長Lsよりも小さくなった時点で減速信号を出す。該減速信号を受けたライン制御装置11は指定の減速率で指定の速度まで減速する。
【0013】なお、リ−ル2に、リールの拡縮用シリンダーがある場合には、そのストロークにより正確なリ−ル外径を検出し、これを画像処理装置8に与える。
【0014】コイル巻き戻し開始直後など、それほど正確な残長計算を必要としない場合には、本発明の適用においてテレビカメラ6によるコイル1の側面の画像取り込み範囲を内径部分に限定し装置をコンパクトにすることができる。この場合、コイル1が小さくなりテレビカメラ6の画像の中にコイル1の外径部が入るまでは残長の計測ができないが、従来法による残長計算を併用すれば、特に問題とならない。また、装置の故障等によるトラブルを防止するため、残長演算装置9は常に従来法によるバックアップ(従来法による残長計算と、これと、上述の板厚と巻厚に基づいて算出した残長との比較)を行い、異常値が出たときには、信頼性が高い方を採用する。すなわち残長演算装置9は更に、回転数を検出するパルスジェネレーター5が設置されているロール4の回転数とロールの径により通板速度を求め、リール2に設置されているパルスジェネレーター3によって測定された回転数により通板中のコイル1の外径を計算し、さらに、上位の計算機(図示せず)から与えられている現在通板中板厚と、該計算した外径から残り巻き数を求め残長Lpを計算している。加えて、LrおよびLpの変化速度(変化率)を算出している。そして、LrとLpとを比較して、両者の差が設定範囲内であるとLrを減速位置制御装置10に与える。両者の差が設定範囲を外れると、上位の計算機から与えられている板厚と画像処理装置8が与える板厚を比較して、前者に対して後者の相違が大きいと、カメラ計測エラ−を報知しLpを減速位置制御装置10に与える。また、Lpの変化速度が上位の計算機から与えられているコイル巻き戻し速度(鋼板送り出し速度)に対するLpの変化速度の偏差が大きいと、カメラ計測エラ−を報知しLpを減速位置制御装置10に与える。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、コイルの残り巻き数から残長が正確に測定でき、減速完了時のコイルの残長のバラツキが少なくなるため、低速走行時間が短くなり生産性が向上するだけでなく、ルーパーの過剰能力を削減できることから効率的な設備装備を可能にする。
- 【公開番号】特開平7−88550
【公開日】平成7年(1995)4月4日
【発明の名称】コイル処理ライン入側自動減速制御装置
- 【出願番号】特願平5−238646
【出願日】平成5年(1993)9月27日
【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】杉信 興
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