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接ぎ木苗の養生方法及びその養生装置
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- 【要約】
[課題] 接ぎ木苗の活着率を極めて簡単な方法によって向上させる。
[解決手段] 恒温恒湿の循環空気環境下で接ぎ木苗(A)を養生する方法において、湿度略100%の循環空気環境下で接ぎ木苗(A)を養生する。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 恒温恒湿の循環空気環境下で接ぎ木苗を養生する方法において、湿度略100%の循環空気環境下で接ぎ木苗を養生するようにしたことを特徴とする接ぎ木苗の養生方法。
【請求項2】 接ぎ木苗を養生する恒温恒湿の循環空気室を形成すると共に、前記循環空気室内の湿度を略100%に調節維持可能に設けたことを特徴とする接ぎ木苗の養生装置。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はキュウリなどウリ科野菜の苗にあって、機械的に斜め合せ接ぎされた後の接ぎ木苗を恒温恒湿の循環空気室内で養生する接ぎ木の養生方法及びその養生装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】この種ウリ科野菜の苗を機械の自動化によって接ぎ木しようとした場合、台木子葉下で斜めに削り取った切り口に穂木の斜め切り口を接合させる斜め合せ接ぎが能率面から実用的に用いられている。しかし乍らこのような斜め合せ接ぎによる接ぎ木苗の場合、接ぎ木後恒温恒湿の循環空気室内で一定期間育苗される間の活着率が統計的に略70%と極めて低いものであった。
【0003】
【課題を解決するための手段】したがって本発明は、恒温恒湿の循環空気環境下で接ぎ木苗を養生する方法において、湿度略100%の循環空気環境下で接ぎ木苗を養生するもので、例えば従来の湿度90〜95%の環境条件下のものに比べ湿度略100%とすることによって活着率を略97%以上まで向上させることができて、機械化に適したこの斜め合せ接ぎ木苗の活着を促進させて機械化による高能率な接ぎ木苗栽培を可能にできる。
【0004】また、循環空気室内の温度や湿度の制御を容易に可能とさせる養生装置を用いて、適正且つ高能率な接ぎ木苗の養生を容易に可能にできるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係る接ぎ木養生装置の断面説明図であり、養生装置(1)は外部に断熱パネル(2)を、またこの内側に多数の空気流出孔(3)を有する多孔隔壁板(4)を配設して、パネル(2)と隔壁板(4)間に恒温恒湿空気の流れるダクト状風路(5)を形成すると共に、隔壁板(4)の内側に接ぎ木苗(A)の養生を行う循環空気室(6)を形成し、キャスタ(7)でもって移動自在な養生台車(8)を空気室(6)に収容し、該台車(8)の多段棚(9)に載置する苗トレイ(10)の接ぎ木苗(A)を空気室(6)の恒温恒湿の循環空気環境下で養生するように構成している。
【0006】また、養生装置(1)は前記風路(5)に恒温恒湿の空気を送り出す空調装置(11)のクーリングコイル(12)及び加熱器(13)と、加湿器(14)などを内部に配設すると共に、パネル(2)外側に空調装置(11)の室外ユニット(15)を配設し、前記風路(5)及び流出孔(3)を介し空気室(6)に流入する恒温恒湿空気を空気室(6)上方の循環ファン(16)を介し空調装置(11)・加湿器(14)に戻して循環させるように構成している。
【0007】さらに、前記隔壁板(4)下端に空気流出孔(3)の空気吹出し量より多量の空気を吹出す空気吹出し口(16)を開設すると共に、該口(16)に空気吹出し量を調節する風量弁(17a)などからなる風量調節器(17)を設け、前記流出孔(3)から台車(8)の各苗(A)に略水平方向より吹出す空気量を少なくし風速を遅くする状態に調整して、接ぎ木苗(A)の水分の蒸発を小さなものとさせるように構成している。つまり前記吹出し口(16)に設ける風量弁(17a)の風量調節によって流出孔(3)からの風速を制御するもので、風路(5)の入口側に風量弁(17a)を設ける構成でも良い。
【0008】そして図3にも示す如く、養生装置(1)は空気室(6)の温度・湿度・風速をそれぞれ検出する温度センサ(18)・湿度センサ(19)・風速センサ(20)を内部に設けると共に、これらの目標値を設定する温度設定器(21)・湿度設定器(22)・風速設定器(23)と、空気室(6)内の養生期間を計測する期間タイマ(24)とを外部の制御盤(25)に設け、これら各センサ(18)(19)(20)及び各設定器(21)(22)(23)及びタイマ(24)をコントローラ(26)に入力接続させると共に、前記空調装置(11)・加湿器(14)・風量調節器(17)及び警報器(27)にコントローラ(26)を出力接続させて、空気室(6)内の温度・湿度・風速などの一定制御を行うように構成している。
【0009】ところで、図2に示す如く、前記空気室(6)で養生される接ぎ木苗(A)は、子葉下で斜めに切断した台木(a)の軸に、穂木(b)の斜めに切断した軸を合せ接ぎさせたもので、台木(a)の斜め切り口と、穂木(b)の斜め切り口とをクリップ(28)によって密着状に接合保持させたものである。
【0010】而してこのような恒温恒湿の空気環境下で接ぎ木苗(A)を養生する場合湿度が大きく活着率に影響することが各種実験より得られたもので、接ぎ木苗(A)を同一条件とし、風速(0.1m/s程度以下)及び温度(28℃)を一定とし湿度のみを従来の95%より略100%厳密には97〜100%としたときの活着率の測定結果を表1に示す。
【0011】なおキュウリ苗にあって、風速0.1m/s以下程度、温度28℃で、従来湿度95%で養生が行われている場合の測定結果は次の通りである。(但し、台木(a)と穂木(b)の切り口のゆ着割合80%以上のときを活着と判定する。)
【0012】
【表1】【0013】この結果、風速0.1m/s程度以下、温度28℃、湿度略100%で7日間養生し、養生装置(1)より出庫して4日以上経過したものが、活着率97%以上となって極めて有効で、従来の養生条件の活着率略70%に比べ著しくこの接ぎ木苗(A)の活着率を向上させることができる。
【0014】したがって図4のフローチャートにも示す如く、本願における接ぎ木苗(A)の空気室(6)における養生環境条件は、風速を0.1m/s以下程度・温度28℃・湿度100%を最適として選定し、養生作業を行うもので、前記流出孔(3)から接ぎ木苗(A)に吹出す空気の風速が設定値(0.1m/s以下程度)より小或いは大のとき前記風量弁(17a)を閉或いは開に制御して適正風速を保ち、また温度が28℃より以下或いは以上のとき空調装置(11)を制御して適正温度28℃を保ち、さらに湿度が100%より以下のときには加湿器(13)を制御して適正湿度略100%を保った常に一定の環境条件下で養生が行われると共に、空気室(6)での養生期間7日が経過するとその出庫を行うものである。
【0015】このように機械の自動化に適した斜め合せ接ぎによる接ぎ木苗(A)を従来の湿度95%から湿度略100%に変更させるだけで、活着率を略70%から略97%以上に大巾に高めることが可能となって、この著しい能率向上化を図ることができる。
【0016】
【発明の効果】以上実施例から明らかなように本発明は、恒温恒湿の循環空気環境下で接ぎ木苗(A)を養生する方法において、湿度略100%の循環空気環境下で接ぎ木苗(A)を養生するものであるから、例えば通常湿度90〜95%の環境条件下のものに比べ湿度略100%とすることによって活着率を略97%以上まで大巾に向上させることができて、機械化に適したこの斜め合せ接ぎ木苗(A)の活着を促進させることができ、したがって機械化による高能率な接ぎ木苗栽培を可能とすることができるものである。
【0017】また、循環空気室(6)内の温度や湿度の制御を容易に可能とさせる養生装置(1)を用いて、適正且つ高能率な接ぎ木苗(A)の養生を容易に可能とすることができるなど顕著な効果を奏する。
- 【公開番号】特開平9−23762
【公開日】平成9年(1997)1月28日
【発明の名称】接ぎ木苗の養生方法及びその養生装置
【発明者】
【氏名】古 賀 治 夫
- 【出願番号】特願平7−199127
【出願日】平成7年(1995)7月11日
【出願人】
【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 忠治
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