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移植機
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- 【要約】
【目的】 移植機の株間適応性を向上させる。
【構成】 ロータリケース21に動力を伝動するチェン伝動機構15を非円形スプロケットを用いた不等速運動機構に構成すると共に、その増速域を植付爪26の土中運動域に合致させ、植付爪26の全体速度(植付周期)を変えることなく土中運動速度を増速する。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 植付爪の軌跡運動に基づいて移植苗を土中に植付ける移植機において、前記植付爪の動力伝動経路中に、植付爪の軌跡運動に速度変動を生じさせる不等速運動機構を介設すると共に、植付爪の土中運動域を不等速運動機構の増速域に設定したことを特徴とする移植機。
【請求項2】 植付爪の軌跡運動に基づいて苗載台から移植苗を掻取ると共に、掻取った移植苗を土中に植付ける移植機において、前記植付爪の動力伝動経路中に、植付爪の軌跡運動に速度変動を生じさせる不等速運動機構を介設すると共に、植付爪の掻取運動域および土中運動域を不等速運動機構の増速域に設定したことを特徴とする移植機。
【請求項3】 複数の植付爪をロータリケースに設け、該ロータリケースの回転運動に基づいて複数の植付爪を軌跡運動させる移植機において、前記ロータリケースの回転域に、二本の植付爪がそれぞれ掻取運動と植付運動とを同時に行う同時運動域を設定する一方、ロータリケースの動力伝動経路中に、ロータリケースの回転運動に速度変動を生じさせる不等速運動機構を介設し、さらに、前記ロータリケースの同時運動域を不等速運動機構の増速域に設定したことを特徴とする移植機。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、田植機等の移植機に関するものである。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】一般に、この種移植機に設けられる植付爪は、所定の軌跡運動に基づいて苗載台から移植苗を掻取ると共に、掻取った移植苗を土中に植付けるが、その運動速度は、車速変化に拘わらず植付株間が一定となるよう車速に連動し、また、車速に対する相対速度を変更することで植付株間を調節することができるようになっている。ところで、今日では、植え付けた苗の成育条件(日照、通気等)を考慮して植付株間を広げる試みがあるが、植付爪の静止軌跡は、標準的な植付株間を基準にして設定されているため、植付株間を広げるべく植付爪の運動速度(相対速度)を遅くした場合には、植え付けた苗を植付爪が引きずる逆軌跡となってしまい、これを回避するには、植付爪の静止軌跡を見直す等の大掛かりな設計変更が必要であるため、広い株間に容易に対応できないのが実状であった。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実情に鑑み、これらの課題を解決することができる移植機を提供することを目的として創案されたものであって、植付爪の軌跡運動に基づいて移植苗を土中に植付ける移植機において、前記植付爪の動力伝動経路中に、植付爪の軌跡運動に速度変動を生じさせる不等速運動機構を介設すると共に、植付爪の土中運動域を不等速運動機構の増速域に設定したことを特徴とするものである。また、植付爪の軌跡運動に基づいて苗載台から移植苗を掻取ると共に、掻取った移植苗を土中に植付ける移植機において、前記植付爪の動力伝動経路中に、植付爪の軌跡運動に速度変動を生じさせる不等速運動機構を介設すると共に、植付爪の掻取運動域および土中運動域を不等速運動機構の増速域に設定したことを特徴とするものである。また、複数の植付爪をロータリケースに設け、該ロータリケースの回転運動に基づいて複数の植付爪を軌跡運動させる移植機において、前記ロータリケースの回転域に、二本の植付爪がそれぞれ掻取運動と植付運動とを同時に行う同時運動域を設定する一方、ロータリケースの動力伝動経路中に、ロータリケースの回転運動に速度変動を生じさせる不等速運動機構を介設し、さらに、前記ロータリケースの同時運動域を不等速運動機構の増速域に設定したことを特徴とするものである。そして本発明は、この構成によって、移植機の株間適応性を向上させることができるようにしたものである。
【0004】
【実施例】次に、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図面において、1は乗用型田植機の機体後部に昇降リンク機構を介して連結される植付作業部であって、該植付作業部1は、昇降リンク機構に連結される作業部フレーム2、該作業部フレーム2に左右往復動自在に支持される苗載台3、作業部フレーム2に一体的に組付けられる伝動ケースアッシ4、該伝動ケースアッシ4の下部に配設されるフロート5等で構成されるが、これらの基本構成は何れも従来通りである。
【0005】前記伝動ケースアッシ4は、入力シャフト6を備えるドライブケース7、該ドライブケース7から左右に突出する分配ケース8、該分配ケース8から後方に突出する複数のプランタケース9等で構成されている。そして、前記入力シャフト6が入力した動力(株間調節に応じて車速に対する相対速度が変速される機体側PTO動力)は、ベベルギヤ機構10を介して分配ケース8内の分配シャフト11に伝動された後、ドライブケース7に軸承される縦送りシャフト12と、各プランタケース9の先端部に軸承されるプランタシャフト13とにそれぞれチェン伝動機構14、15を介して分配されるようになっている。
【0006】前記縦送りシャフト12に動力が伝動されると、一端部の縦送り駆動カム12aが苗載台3に設けられる縦送り機構(図示せず)の作動レバーを横送りの折り返し点に到達する毎に叩き、この叩き作動に伴う縦送り機構の作動に基づいて苗載台3上のマット苗が所定量縦送りされることになるが、縦送りシャフト12の動力は、他端側に構成される横送り変速機構16を介してスクリュシャフト17にも伝動されるようになっている。
【0007】前記スクリュシャフト17には、スライドブロック18が外嵌状に螺合するが、このスライドブロック18は、スライドバー19を介して苗載台3に一体的に連結されている。つまり、スクリュシャフト17の一方向回転に伴ってスライドブロック18が左右往復移動すると、これに連動して苗載台3が横送りされることになり、このため、苗載台3に載置されるマット苗の下端は、掻取口20aが形成されるエプロン20に沿って摺動するようになっている。
【0008】一方、21は前記プランタシャフト13の一端部もしくは左右両端部に設けられるロータリケースであって、該ロータリケース21は、プランタシャフト13と一体的に回転するが、ケース中心部には、プランタシャフト13に回動自在に支持され、かつプランタケース9側に噛合して回り止めされる太陽ギヤ22が内装されている。この太陽ギヤ22には、一対の中間ギヤ23が180度位相ずれした位置でそれぞれ噛合し、さらに各中間ギヤ23には、遊星ギヤ24がそれぞれ噛合している。
【0009】25は植付爪(プランタビーク)26を備えるプランタアームであって、該プランタアーム25の基端部に一体的に突設される筒状シャフト27は、ロータリケース21の両端部に回動自在に軸承されると共に、前記各遊星ギヤ24にスプライン結合されている。即ち、植付作業を行うべく前記プランタシャフト13を回転させた場合、これに伴ってロータリケース21が回転すると共に、固定された太陽ギヤ22の周囲を公転しながら中間ギヤ23が自転し、さらに中間ギヤ23に噛合する遊星ギヤ24が逆回りに自転することになるため、遊星ギヤ24に一体的に結合されるプランタアーム25は、プランタシャフト13を中心として公転しつつ、筒状シャフト27を中心として逆方向に自転し、而して、プランタアーム25の姿勢は、ロータリケース21の回転に拘わらず常時苗載台3側を向くようになっている。
【0010】また、前記太陽ギヤ22、中間ギヤ23および遊星ギヤ24は何れも偏心ギヤで形成されている。つまり、植付爪26が苗載台3から苗を掻取った後、前方に膨らむ円弧を描きながら土中の植付位置に達し、その後は直線的に上昇する半月状の静止軌跡(走行停止時の先端運動軌跡)を描くように偏芯ギヤの角速度を設定しているが、一方の植付爪26が苗載台3から苗を掻取る時、それと同時に他方の植付爪26が植付けを実行し、また、他方の植付爪26が苗載台3から苗を掻取る時、それと同時に一方の植付爪26が植付けを実行するよう植付爪26の位置設定および軌跡設定が成されており、而してロータリケース21が一回転する毎に二回の植付けが実行されるようになっている。
【0011】さらに、28は前記筒状シャフト27内に軸承されるカムシャフトであって、該カムシャフト28の基端は、ロータリケース21に一体固定されているが、その先端には、プランタアーム25内を臨むカム28aが一体的に形成されている。一方、29は植付爪26の内面に沿って進退自在なプランタフォークであって、該プランタフォーク29の基端側を構成するロッド29aは、弾機30によって常時後退側に付勢されると共に、他端側が前記カム28aに接当する揺動アーム31の一端側に係合されている。そして、ロータリケース21の回転に伴う植付作動に際し、植付爪26が植付位置に達した段階でカム28aの大径部が揺動アーム31の他端側を押圧し、これに連動するプランタフォーク29の前進作動に基づいて植付爪26から苗を押出すようになっている。
【0012】さて、前記分配シャフト11から各プランタシャフト13に動力を伝動するチェン伝動機構15は、分配シャフト11側に一体的に設けられる駆動側スプロケット32と、プランタシャフト13側にプランタクラッチ機構33を介して連結される従動側スプロケット34との間に伝動チェン35を懸回すると共に、伝動チェン35の弛み側をチェンタイト36で押圧するよう構成されるが、前記従動側スプロケット34は、楕円スプロケット等の非円形スプロケット(歯数は従来の円形スプロケットと同じ)で形成されている。即ち、チェン伝動機構15は、植付爪26の軌跡運動に速度変動を生じさせる不等速運動機構を構成しているが、一回転中に発生する二回の増速域は、植付爪26の土中運動域および掻取運動域に合致する一方、減速域は、掻取運動域と土中運動域との間の中間運動域に合致するように設定されており、このため、植付爪26の全体速度(植付周期)を変えることなく、掻取運動速度および土中運動速度を増速すると共に、掻取苗を保持している中間運動域の運動速度を減速するようになっている。
【0013】叙述の如く構成された本発明の実施例において、ロータリケース21に設けられる植付爪26は、ロータリケース21の回転に伴って所定の軌跡運動をし、該軌跡運動に基づいて苗載台3から苗を掻取ると共に、掻取った苗を土中に植付けることになるが、ロータリケース21に動力を伝動するチェン伝動機構15を非円形スプロケットを用いた不等速運動機構に構成すると共に、その増速域を植付爪26の土中運動域に合致させたため、植付爪26の全体速度(植付周期)を変えることなく土中運動速度を増速することが可能になる。従って、図6に示す様に、広い株間(例えば24cm)で作業を行うべく植付爪26の全体速度を遅くしたとしても、土中においては必要な運動速度を確保することができる。つまり、苗を植え付けた後、植付爪26が植付苗を引きずるような従来のランニング軌跡(走行時の先端運動軌跡)を補正して広い株間に対応することが可能になる。
【0014】また、植付爪26が苗載台3から苗を掻取る際にもその運動速度が増速されるため、図7に示す如く、掻取り中における苗載台3の横送り量が従来に比して小さくなり、その結果、マット苗の床土の崩れを最小限にして植付爪26の苗ホールド性を向上させることができる。
【0015】一方、植付爪26が苗を掻取った後、掻取り苗を植付位置まで保持する中間運動域では、その運動速度が減速されるため、掻取り苗に作用する遠心力等が小さくなり、その結果、掻取り苗のバラケや放擲を減少させて植付精度の向上を計ることができる。
【0016】また、植付爪26の動力を伝動するチェン伝動機構15のスプロケットを非円形スプロケットに変更する程度の簡単な構成で実施できるため、植付爪26の軌跡を見直す等の大掛かりな設計変更を行うことを不要にして実施コストを低減できる許りか、非円形スプロケットの角速度設定を変更するだけで様々な株間仕様に対応することが可能になる。
【0017】また、本実施例では、二本の植付爪26で交互に植付けを行うロータリケース21を採用しているが、二本の植付爪26がそれぞれ掻取運動と植付運動とを同時に行う同時運動域を確保し、その同時運動域を不等速運動の増速域に設定したため、複雑な不等速運動機構を用いることなく、掻取運動域および植付運動域を増速できるという利点がある。
【0018】尚、本発明は、前記実施例に限定されないものであることは勿論であって、例えば前記実施例では、二本の植付爪で交互に植付けを行うロータリ式を採用すると共に、その運動を楕円スプロケットを用いて不等速にしているが、一本の植付爪で植付けを行うクランク式を採用したり、その他の不等速運動機構を採用しても実施可能であることは言うまでもない。また、図8および図9に示す第二実施例の様に、円形スプロケットで形成される従動側スプロケット34に一旦動力を伝動した後、その動力を、一対の楕円ギヤ40から成る不等速運動機構を介してプランタシャフト13に伝動するようにしてもよく、そしてこのものでは、非円形スプロケットを用いた場合に発生する可能性がある伝動チェン35の周期的な振れを防止できるうえに、ギヤ同志の噛合いに基づいて円滑かつ確実な動力伝動を行うことができる。またさらに、図10に示す第三実施例の様に、入力シャフト6が入力した動力を中間シャフト41に一旦伝動した後、その動力を、チェン伝動機構14を介して縦送りシャフト12に伝動する一方、一対の楕円ギヤ42から成る不等速運動機構を介して分配シャフト11に伝動するようにしてもよい。即ち、このものでは、分配シャフト11から各プランタシャフト13に動力を分配する以前の段階で植付動力を不等速にするため、複数のチェン伝動機構15を全て不等速運動機構に構成している第一実施例に比して構造の簡略化が計れる許りか、株間仕様の変更が一箇所で行えるという利点がある。
【0019】
【作用効果】以上要するに、本発明は叙述の如く構成されたものであるから、植付爪の軌跡運動に基づいて移植苗を土中に植付けるものであるが、前記植付爪の動力伝動経路中に、植付爪の軌跡運動に速度変動を生じさせる不等速運動機構を介設すると共に、植付爪の土中運動域を不等速運動機構の増速域に設定したため、植付爪の全体速度(植付周期)を変えることなく土中運動速度を増速することが可能になる。従って、植付株間を広げるべく植付爪の全体速度を遅くしたとしても、必要な土中運動速度を確保することができ、この結果、植え付けた苗を植付爪が引きずる不都合を解消して広い株間に対応することができる。
【0020】しかも、植付爪の動力伝動経路中に非円形ギヤ(スプロケット)等の不等速運動機構を介設する程度の簡単な構成で実施できるため、植付爪の軌跡を見直す等の大掛かりな設計変更を行う場合に比して実施コストを安くできる許りか、角速度が異なる不等速運動機構を組込むだけで様々な株間仕様に対応できるという利点もある。
【0021】また、植付爪の土中運動域のみならず、掻取運動域も増速するようにした場合には、掻取り中における苗載台の横送り量が小さくなり、マット苗の床土の崩れを最小限にして植付爪の苗ホールド性を向上させることが可能になる。
【0022】また、複数の植付爪を備えるロータリケース型のものにおいて、ロータリケースの回転域に、二本の植付爪がそれぞれ掻取運動と植付運動とを同時に行う同時運動域を設定し、該同時運動域を不等速運動機構の増速域に設定した場合には、前記掻取運動域および土中運動域の増速を同時に行うことができるため、不等速運動機構の構造を簡略化してコストダウンに貢献できるという利点がある。
- 【公開番号】特開平9−29
【公開日】平成9年(1997)1月7日
【発明の名称】移植機
【発明者】
【氏名】布野 隆
- 【出願番号】特願平7−174447
【出願日】平成7年(1995)6月16日
【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
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