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ダイコンの増収方法
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- 【要約】
【課題】ダイコンの収量を容易に向上させること。
【解決手段】ジベレリン生合成阻害型植物生長調節剤を、抽根後期又は根肥大期にあるダイコン植物に茎葉散布することを特徴とするダイコンの増収方法。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】ジベレリン生合成阻害型植物生長調節剤を、根部2次肥大生長初期又は中期にあるダイコン植物に茎葉散布することを特徴とするダイコンの増収方法。
【請求項2】ジベレリン生合成阻害型植物生長調節剤がトリアゾール系化合物、イソニコチンアニリド系化合物またはピリミジン系化合物であることを特徴とする請求項1記載のダイコンの増収方法。
【請求項3】トリアゾール系化合物が(E)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オールもしくはその塩、または(2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オールもしくはその塩、あるいはイソニコチンアニリド系化合物が4’−クロロ−2’−(α−ヒドロキシベンジル)イソニコチンアニリドもしくはその塩であることを特徴とする請求項2記載のダイコンの増収方法。
【請求項4】(E)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オールまたはその塩を、根部2次肥大生長初期又は中期にあるダイコン植物に茎葉散布することを特徴とするダイコンの増収方法。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はダイコンの増収方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ダイコンを増収させる場合、窒素、燐酸、カリ等の肥料の施用、育種法による多収性優良品種の選抜が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、肥料の施用の場合、肥料の効果を最大限発揮させるには適切な量を植物の各生育時期に応じて分けて施用する必要があり、さらに栽培土壌に適合した適切な管理も必須である。また育種法による多収性優良品種の選抜の場合、数年間という長い期間がかかり、しかもその間において多くの労力を必要とするが、必ずしも飛躍的な増収は期待でない。仮に優良品種が出ても、栽培地域によって適応性が異なるために広範囲な地域において該品種を利用することは容易でない。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような状況下で、本発明者らは鋭意検討を行った結果、ある種の生理作用を示す植物生長調節剤を、特定な時期のダイコン植物に茎葉散布することによって、容易にダイコンの収量を著しく向上させることができることを見い出し本発明を完成させた。すなわち、本発明は、ジベレリン生合成阻害型植物生長調節剤を、根部2次肥大生長初期又は中期にあるダイコン植物に茎葉散布することを特徴とするダイコンの増収方法(以下、本発明方法と記す。)を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、さらに詳細に本発明を説明する。本発明の対象となる植物は、ダイコン植物である。ここでいう「ダイコン植物」とは、Raphanus属に属する植物を意味し、例えば、Raphanus sativus var. radicula PERS.、Raphanus sativus var. niger PERS. 、Raphanus sativus var.major L.、Raphanus sativus var. hortensis BACKER. 等をあげることができる。
【0006】本発明で用いられる薬剤は、「ジベレリン生合成阻害型植物生長調節剤」である。ジベレリン生合成阻害型植物生長調節剤は、例えば、植物の草丈の伸長を抑制する等の典型的な作用を示すものであり、代表的な化合物としては、例えば、(E)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オール(特開昭56−25105号公報に記載される化合物)もしくはその塩、(2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール(特開昭53−28170号公報に記載される化合物)もしくはその塩、(E)−1−シクロヘキシル−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オール(特開昭55−111477号公報に記載される化合物)もしくはその塩、rel−(1R,2R,6S,7R,8R,11S)−5−(4−クロロフェニル)−3,4,5,9,10−ペンタアザテトラシクロ[5.4.1.O2,6 .O8,11]ドデカ−3,9−ジエン(Short Review of Herbicides & PGRs,1990,保土ケ谷化学(株)出版,第316頁に記載の化合物)もしくはその塩等のトリアゾール系化合物や4’−クロロ−2’−(α−ヒドロキシベンジル)イソニコチンアニリド(Short Review of Herbicides & PGRs,1990,保土ケ谷化学(株)出版,第306頁に記載の化合物)等のイソニコチンアニリド系化合物や(RS)−2−メチル−1−ピリミジン−5−イル−1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)プロパン−1−オール(米国特許第4002628号及びShort Review of Herbicides & PGRs,1990,保土ケ谷化学(株)出版,第318頁に記載される化合物)もしくはその塩、α−シクロプロピル−4−メトキシ−α−(ピリミジン−5−イル)−ベンジルアルコール(英国特許第1218623号及びShort Review of Herbicides & PGRs,1990,保土ケ谷化学(株)出版,第318頁に記載される化合物)もしくはその塩等のピリミジン系化合物等があげられる。これら薬剤は一種単独でも二種以上の混合物であってもよい。もちろん、光学活性な異性体を有する化合物においては、植物生長調節活性を有する光学活性な異性体を用いることもできる。
【0007】上記のようなジベレリン生合成阻害型植物生長調節剤は、通常、液体担体、固体担体、界面活性剤、その他の製剤用補助剤を用いて乳剤、液剤、水和剤、懸濁剤等に製剤して用いられる。これらの製剤には、有効成分が重量比で、通常、約0.00001〜約99.9%含有される。
【0008】用いられる液体担体としては、例えば、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素、イソプロパノール、エチレングリコール、セロソルブ等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、大豆油、綿実油等の植物油、ジメチルスオルホキシド、アセトニトリル、液状複合肥料、水等をあげることができる。固体担体としては、例えば、カオリンクレー、アタパルジャイトクレー、ベントナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石、クルミ殻粉、尿素、硫酸アンモニウム、化成肥料、合成含水酸化珪素等の微粉末あるいは粒状物があげられる。
【0009】乳化、分散、湿潤、展開、結合、崩壊性調節、有効成分安定化、流動性改良、防錆等の目的で使用される界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性および両性イオン性のいずれのものをも使用しうるが、通常は非イオン性および/または陰イオン性のものが使用される。代表的な非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等をあげることができる。また代表的な陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキル(アリール)スルホン酸塩、ジアルキルスルホこはく酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩等があげられる。
【0010】その他の製剤用補助剤としては、リグニンスルホン酸塩、アルギン酸塩、ポリビニールアルコール、アラビアガム、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PAP(酸性リン酸イソプロピル)等を挙げることができる。
【0011】このようにして製剤されたジベレリン生合成阻害型植物生長調節剤の処理濃度や処理量は、該植物生長調節剤の種類等によりことなるが、通常、有効成分が約0.01〜約1000ppmの溶液を、有効成分量として約0.01〜約50000g/ha、好ましくはトリアゾール系化合物の場合には、約0.01〜約5000g/ha、イソニコチンアニリド系化合物の場合には、約0.1〜約50000g/ha、ピリミジン系化合物の場合には、約0.01〜約5000g/haの割合で施用する。もちろん、ジベレリン生合成阻害型植物生長調節剤を処理する場合には、本発明の効果を妨げない範囲において、肥料、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、その他の植物生長調節剤との混合も可能である。
【0012】つぎに、本発明における薬剤散布時期、すなわち「根部2次肥大生長初期又は中期」について説明する。本発明では、上記のような植物生長調節剤を、根部2次肥大生長初期又は中期にあるダイコン植物に茎葉散布することが必須である。ダイコン植物は、肥大した根と胚軸が食用に用いられる。該植物では、地上部の生育とともに根の肥大が収量の決定に重要である。ダイコンの根部は、一般的に、表皮、皮層、内皮、中心柱から成り立つ初生組織の分化が種子発芽後約4日で完成する。ひき続き中心柱に形成層ができ、それがやがて輪状に連なり、形成層輪を形作り二次組織の分化、発達が起こる。この形成層輪は内側に木部柔細胞と木部導管を形成し、根部の1次肥大生長が開始する。発芽後約28〜30日程度から一部の木部柔細胞は活発な分裂機能を回復し、分裂組織を形成して細胞数が増加し、二次分裂組織による根部の肥大が開始し、2次肥大生長初期となる。二次分裂組織の柔細胞は活発に分裂と生長を続けて、肥大根の成熟を促しつつ肥大していき、2次肥大生長中期となる。やがて成熟しきった肥大根では、柔細胞の分裂能力は著しく衰え、細胞膜は肥厚し、かつ木化するようになり、2次肥大生長末期となる。本発明でいう根部2次肥大生長初期又は中期の期間は、天候、品種、栽培条件等によっても異なるが一般的には種子発芽後、約28日〜約60日程度の間である。具体的には、天候、栽培条件等によっても異なるが、例えば、春ダイコンである「春福」では、播種期が9月中旬から10月中旬で、根部2次肥大生長初期又は中期が10月下旬から1月上旬で、収穫期が2月中旬から3月中旬であり、「二年子」・「時無」では、播種期が9月下旬から1月上旬で、根部2次肥大生長初期又は中期が11月上旬から3月上旬で、収穫期が3月中旬から5月中旬であり、「亀戸」では、播種期が10月上旬から2月下旬で、根部2次肥大生長初期又は中期が11月上旬から4月下旬で、収穫期が2月中旬から5月下旬であり、夏ダイコンである「早生みの」・「春蒔みの」では、播種期が4月上旬から5月中旬で、根部2次肥大生長初期又は中期が5月上旬から7月上旬で、収穫期が6月上旬から7月中旬であり、「黒葉みの」・「晩生みの」では、播種期が5月下旬から8月上旬で、根部2次肥大生長初期又は中期が6月下旬から9月下旬で、収穫期が7月下旬から10月上旬であり、秋ダイコンである「みの早生」では、播種期が8月上旬から9月上旬で、根部2次肥大生長初期又は中期が9月上旬から10月下旬で、収穫期が9月下旬から11月上旬であり、「宮重」・「練馬」・「阿波晩生」・「白上り」・「聖護院」では、播種期が8月中旬から9月中旬で、根部2次肥大生長初期又は中期が9月中旬から11月下旬で、収穫期が10月下旬から12月上旬であり、冬ダイコンである「大蔵」・「三浦」・「晩生聖護院」では、播種期が9月上旬から9月下旬で、根部2次肥大生長初期又は中期が10月上旬から12月上旬で、収穫期が12月下旬から3月中旬である。
【0013】本発明の薬剤処理方法は、噴霧、散粉等による茎葉散布である。
【0014】
【実施例】以下、本発明を製剤例および試験例によってさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。まず、製剤例を示す。これらの製剤例中、部は重量部を表すものである。
【0015】製剤例1 (乳剤)
(E)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オール(以下、化合物Aと記す。)5部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル10部およびシクロヘキサノン50部にキシレンを加えて全体を100部とし、攪拌混合することにより乳剤を得る。
【0016】製剤例2 (水和剤)
(2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール(以下、化合物Bと記す。) 10部、ラウリル硫酸ナトリウム5部および芳香族スルホン酸塩のホルマリン縮合物2部にカオリンクレーを加えて全体を100部とし、ジュースミキサーでよく混合した後ジェットミルで微粉砕することにより水和剤を得る。次に、試験例を示す。
【0017】試験例1圃場においてダイコン(品種、耐病総太り)を栽培し、根部2次肥大生長初期(発芽後28日)に、製剤例2に準じて水和剤に調製した化合物Aの10ppm溶液を、200L/haの薬剤処理量で茎葉散布した。発芽から64日間栽培した後、収量を調査した。収量は、1区4平方メートル中の連続した10株について根部重量を調査し、一株当たりの平均値を求めた。収量の調査結果を表1に示す。なお、本試験は1区3反復にて行った。収量は3反復の平均値を求め、対照区(無処理区)を100%とした相対値で示した。表1から明らかなように本発明区では対照区(無処理区)と比較して、きわめて高い増収効果を示した。
【0018】
【表1】【0019】試験例2化合物Aの薬剤散布時期を、根部2次肥大生長初期(発芽後28日)の代わりに、根部2次肥大生長中期(発芽後41日)としたこと以外は試験例1と同様な方法によって試験した。その結果を表2に示す。表2から明らかなように本発明区では対照区(無処理区)と比較して、きわめて高い増収効果を示した。
【0020】
【表2】【0021】試験例3薬剤処理濃度10ppmの代わりに50ppmを用いること以外は試験例2と同様な方法によって試験した。その結果を表3に示す。表3から明らかなように本発明区では対照区(無処理区)と比較して、きわめて高い増収効果を示した。
【0022】
【表3】【0023】試験例4化合物A〔薬剤処理濃度(ppm):10〕の代わりに化合物B〔薬剤処理濃度(ppm):100〕を用いること以外は試験例2と同様な方法によって試験した。その結果、同様な増収効果が認められた。
【0024】
【発明の効果】本発明により、容易にダイコンの収量を著しく向上させることが可能になった。
- 【公開番号】特開平9−37650
【公開日】平成9年(1997)2月10日
【発明の名称】ダイコンの増収方法
【発明者】
【氏名】柴田 秀之
【氏名】大内 誠悟
【氏名】西川 章
- 【出願番号】特願平7−197401
【出願日】平成7年(1995)8月2日
【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学工業株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆 (外1名)
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