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自転車のブレーキ装置付き発電装置
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- 【要約】
【課題】 装置全体がコンパクトで、制動性能が良く、発電装置が故障するおそれが少なく、制動音も少なくなる自転車のブレーキ装置付き発電装置を提供すること。
【解決手段】 ハブ内蔵型の自転車用発電装置において、発電装置を内蔵したハブ体3の片側に発電装置を外部と隔離する隔離パネル16を設け、この隔離パネル16の外側のハブ体胴部の内周にブレーキドラム19を一体的に嵌合し、このドラム19の内側に2個のブレーキシュー20,21を設け、これらのブレーキシュー20,21の外周に制動用ライニング22を固着すると共に、ブレーキシュー20,21を拡開するカム機構を設け、このカム機構によりブレーキシュー20,21を拡開することによってハブ体3を制動するようにする。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 自転車用車輪のハブ体の内周に磁石を円周方向に並べて設けると共に、ハブ軸の外周に前記磁石に対向するようにコイルを固定して設けたハブ内蔵型の自転車用発電装置において、発電装置を内蔵した前記ハブ体の片側に前記発電装置を外部と隔離する隔離パネルを設け、この隔離パネルの外側のハブ体胴部の内周にブレーキドラムを一体的に嵌合し、このドラムの内側にブレーキシューを設け、このブレーキシューの外周に制動用ライニングを固着すると共に、前記ブレーキシューを拡開するカム機構を設け、このカム機構により前記ブレーキシューを拡開することによってハブ体を制動するようにしたことを特徴とする自転車のブレーキ装置付き発電装置。
【請求項2】 請求項1記載の自転車用車輪のハブ体を、自転車用前輪のハブ体にしたことを特徴とする自転車のブレーキ装置付き発電装置。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブレーキを内蔵した自転車用ハブ発電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ブレーキを内蔵した自転車用ハブ一体式発電装置の従来装置としては、例えば、実公昭57−51178号のように、後輪用の外締め式バンドブレーキ内に発電機を配設して回転表示灯に送電するようにしたバンドブレーキと発電機を一体的に組み合わせたものが提案されている。また、特開平8−72767号のように、車輪のハブに固定しハブと一体に回転するドラムに一体的に形成した放熱キャップの内周にマグネットを配列して設けると共に、ハブ軸に固定したカバーにコイルを設けてなる内拡式ブレーキ付き発電装置も提案されている。さらに、前輪用ブレーキとしては、リムに当接してブレーキを掛けるキャリパーブレーキが多用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上のような従来のブレーキ付き発電装置には、次のような問題点がある。
(1)雨天時は、内部に水が入りやすいので、ブレーキ性能が低下する。
(2)外径が大きく、また後輪取付け式のため配線が長くなり、コストアップを来す。
(3)ブレーキ部と発電部が近接しているので、ブレーキ時の発熱が発電部に伝わり、発電装置として故障が起こりやすい。
(4)ブレーキ部と発電部が近接しているので、ブレーキ時のライニング摩耗粉や埃が発電部に付着し、発電装置として故障が起こりやすい。
また、前輪用ブレーキとしてのキャリパーブレーキは、摺動面が露出しているので、雨降り時にブレーキが濡れるため、雨天時にはブレーキ性能が大きく低下するという問題点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述の問題点を解決するため本発明においては、自転車用車輪のハブ体の内周に磁石を円周方向に並べて設けると共に、ハブ軸の外周に前記磁石に対向するようにコイルを固定して設けたハブ内蔵型の自転車用発電装置において、発電装置を内蔵した前記ハブ体の片側に前記発電装置を外部と隔離する隔離パネルを設け、この隔離パネルの外側のハブ体胴部の内周にブレーキドラムを一体的に嵌合し、このドラムの内側にブレーキシューを設け、このブレーキシューの外周に制動用ライニングを固着すると共に、前記ブレーキシューを拡開するカム機構を設け、このカム機構により前記ブレーキシューを拡開することによってハブ体を制動するようにして自転車のブレーキ装置付き発電装置を構成する。
【0005】また前記した第1発明の自転車用車輪のハブ体を、自転車用前輪のハブ体にしてもよい。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、図面について本発明の実施の形態を説明する。図中1(図2参照)は自転車の前ホーク、2はこの前ホーク1に支持される前輪軸、3は軸受4を介して前輪軸2に対して回転自在に設けた中空円筒状のハブ体、5はハブ体3の内周の奥(図2の右側)に設けた中空円筒状の導体ヨーク、6はこの導体ヨーク5の内周に円周方向に並べて設けた複数個の磁石である。
【0007】また7は磁石6の内側の前輪軸2に固定した円筒状の固定子の胴部、8はこの胴部7を外包する筒状のカバー、9はカバー8の外周に設けた複数個のコイル、10はコイル9をカバーするヨーク、11はコイル9より引き出したリード線で、前記した胴部7、カバー8、コイル9、ヨーク10によって発電機の固定子を形成し、前記したハブ体3、導体ヨーク5、磁石6によって発電機の回転子を形成している。なお図2の12,13は固定子の両側に設けた側板、14はワッシャー、15はロックナットである。
【0008】本実施例においては、発電装置を内蔵した前記ハブ体3の片側(図2の左側)に前記発電装置を外部と隔離する隔離パネル16を設ける。すなわち隔離パネル16は中心孔16aを有する円板状に形成し、この隔離パネル16の外周面をハブ体3の内周面に圧入し、中心孔16a内に軸受17を挿入すると共に、軸受17のインナーレースと前輪軸2との間にスリーブ18を介挿し、ロックナット15によって抜け止めする。
【0009】また隔離パネル16の外側(図2の左側)のハブ体3の胴部の内周にブレーキドラム19を一体的に嵌合し、このドラム19の内側に2個のブレーキシュー20,21(図3参照)を設け、これらのブレーキシュー20,21の外周にそれぞれ制動用ライニング22を固着する。20a,21aはブレーキシュー20,21のプレート、20b,21bは円弧状板であり、20c,21cはブレーキシュー20,21の下端部に連結したカム受けである。
【0010】また23はハブ体3の開放側を遮蔽するように前輪軸2に中心孔を嵌合して設けたベースプレートで、このベースプレート23は図1に示すように円板状の基板部の下部より一側方(図1では右側方)へ向けてアーム部23aが突設されている。24は前輪軸2に嵌合したカラーであり、ベースプレート23はこのカラー24と外側のロックナット15によって前輪軸2に固定されている。
【0011】またベースプレート23の上縁部にはアンカーピン25の基部を固着してあり、このアンカーピン25は前記した2個のブレーキシュー20,21の上端部間に介挿され、両ブレーキシュー20,21の端部を支承するようになっている。
【0012】またベースプレート23の下縁部にはカム軸受26が設けてあり、このカム軸受26に対してカム27が回転できるように枢支されており、このカム27は前記した各ブレーキシュー20,21の下端部に連結されているカム受け20c,21c間に位置している。
【0013】また28,29(図3参照)は、前記ブレーキシュー20,21間にそれぞれ張設したリターンスプリングであり、図2に示す30はベースプレート23の外周縁部とハブ体3の開口側端縁との間をシールするためにベースプレート23に固定して設けた薄板製のカバーである。
【0014】また前記したカム27の軸部27aの外側部にはレバー31の基部がナット32を介して固定されており、このレバー31の遊端部にはワイヤ止め具33(図2参照)がナット34により操作ワイヤを締結できるように設けられている。また前記したベースプレート23のアーム部23aの端部には操作ワイヤのアウタワイヤ取り付け用のねじ35が設けられている。23bはベースプレート23のアーム部23aの端部に設けた取り付け孔である。
【0015】本発明装置は上述のように構成したから、これを自転車の前輪(又は後輪)に装着して走行すると、前輪の回転と共にハブ体3が回転する。ハブ体3が回転すると、このハブ体3に固着した導体ヨーク5、磁石6よりなる発電機の回転子が、前輪軸2に固定した胴部7、カバー8、コイル9、ヨーク10よりなる発電機の固定子のまわりを回転するため、コイル9に誘起電力が発生して、この電流がリード線11より外部に供給される。
【0016】またこの自転車の走行中にブレーキをかけると、ブレーキレバー(図示せず)に接続した操作ワイヤ(図示せず)のインナワイヤ36(図1の一点鎖線)が図1の矢印Bの方向へ引かれる結果、レバー31を介してカム27が図3の矢印Cのように回転して、両側のブレーキシュー20,21をそれぞれ外方へ押しひろげることによって、左右のブレーキライニング22をブレーキドラム19の内面に押し付けて制動する。
【0017】
【発明の効果】上述のように本発明においては、ブレーキ装置と発電装置とをいずれもハブ体の内部に一体的に設けたから、装置全体がコンパクトになると共に、部品点数も削減されるのでコストの低下がはかれる。
【0018】本発明装置のブレーキ装置部は、ハブ体の内部にあるため、雨降り時においても、内部に水が入りにくいから、制動性能が低下するおそれがなくなる。
【0019】本発明装置の発電装置部は、ブレーキ装置部と隔離パネルによって確実に遮蔽されているため、制動時におけるライニングの摩耗粉や埃によって発電装置に悪影響を与えるおそれがなくなる。すなわち発電装置の故障が起こりにくくなる。
【0020】本発明装置のブレーキドラムは、熱容量の大きいハブ体と一体であるから、制動時にブレーキドラムに伝わる摩擦熱の放散性がよくなり、制動性能が向上すると共に、制動音も少なくなるという効果が得られる。
【0021】また請求項2に示すように、本発明装置を前輪に設ければ、後輪に取り付けた場合と比較して配線が短くなって、コストも低下するという効果が得られる。
- 【公開番号】特開平10−1081
【公開日】平成10年(1998)1月6日
【発明の名称】自転車のブレーキ装置付き発電装置
- 【出願番号】特願平8−152126
【出願日】平成8年(1996)6月13日
【出願人】
【識別番号】000112978
【氏名又は名称】ブリヂストンサイクル株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外4名)
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