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スクータ型自動二輪車
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- 【要約】
【課題】 剛性を向上でき、また、車体カバー内の空間を有効利用して、該空間内に配置した車載部品を保護できるリヤスポイラを備えた自動二輪車を提供する。
【解決手段】 ハンドル5とシート12との間に低床の足載部17を配設し、シート下方の車体フレーム2に、後端部に後輪9を支持したエンジンユニット8を上下揺動自在に配設し、シート12の下方周囲を車体カバー14で覆うとともに該車体カバー14をシート12より後方へ延在させ、該車体カバー14の後端部の上面に斜め後上方へ伸びるリヤスポイラ66を設けたスクータ型自動二輪車1において、上記リヤスポイラを車体フレーム2に固定され、車体カバー14の後端部の上面から斜め後上方へ向かって延在する平面視概略U字状の芯材48と、該芯材48の上方を覆うとともに該芯材48に略沿って斜め後上方へ向かって延在する平面視概略U字状のカバー部67とで構成し、上記シート12より後方の車体カバー内空間に燃料タンク13を配設し、該液体タンクの給油キャップ13aを上記U字状の芯材48およびカバー部67の内側空間に位置させる。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハンドルとシートとの間に低床の足載部を配設し、上記シート下方の車体フレームに後端部に後輪を支持したエンジンユニットを上下揺動自在に配設し、シートの下方周囲を車体カバーにより覆うとともに該車体カバーを上記シートより後方へ延在させ、該車体カバーの後端部の上面に斜め後上方に伸びるリヤスポイラを設けたスクータ型自動二輪車において、上記リヤスポイラを、上記車体フレームに固定され上記車体カバーの後端部の上面から斜め後上方へ向かって延在する平面視概略U字状の芯材と、該芯材の上方を覆うとともに該芯材に略沿って斜め後上方へ向かって延在する平面視概略U字状のカバー部とで構成し、上記シートより後方の車体カバー内空間に液体タンクを配設し、該液体タンクの注油口を上記U字状の芯材およびカバー部の内側空間に位置させたことを特徴とするスクータ型自動二輪車。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シート下方を覆う車体カバーの後端部の上面に斜め後上方に延在するリヤスポイラを備えたスクータ型自動二輪車に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、スクータ型自動二輪車には、スポーツ感覚を得るためにリヤスポイラを設けたものがある。このリヤスポイラは、シートより後方へ延在する車体カバーの上面に、単にカバー部材を取り付けただけのものが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来のスクータ型自動二輪車に設けられたリヤスポイラは、単にカバー部材を取付けただけのものであり、しかもこのカバー部材が平面視概略矩形状に形成されているため剛性が低いという問題がある。
【0004】また上記カバー部材は、シートより後方へ延在する車体カバーの上面の略全域に広がるように配置されているため、該車体カバーの内部空間を有効利用しにくいという問題がある。例えば、給油作業を考慮すると上記リヤスポイラの下方に燃料タンク等の液体タンクを配置することができない等、車載部品の配置に大きな制約を与えているという問題がある。
【0005】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、リヤスポイラの剛性を向上でき、また、車体カバー内の空間を有効利用でき、さらに該空間内に配置した車載部品を外力から保護できるスクータ型自動二輪車を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ハンドルとシートとの間に低床の足載部を配設し、上記シート下方の車体フレームに後端部に後輪を支持したエンジンユニットを上下揺動自在に配設し、シートの下方周囲を車体カバーにより覆うとともに該車体カバーを上記シートより後方へ延在させ、該車体カバーの後端部の上面に斜め後上方に伸びるリヤスポイラを設けたスクータ型自動二輪車において、上記リヤスポイラを、上記車体フレームに固定され上記車体カバーの後端部の上面から斜め後上方へ向かって延在する平面視概略U字状の芯材と、該芯材の上方を覆うとともに該芯材に略沿って斜め後上方へ向かって延在する平面視概略U字状のカバー部とで構成し、上記シートより後方の車体カバー内空間に液体タンクを配設し、該液体タンクの注油口を上記U字状の芯材およびカバー部の内側空間に位置させたことを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1ないし図8は本発明の一実施形態によるスクータ型自動二輪車を説明するための図であり、図1,図2,図3は上記自動二輪車の後部の断面左側面図,左側面図,背面図、図4は上記後部のシートを取り外した状態の平面図、図5,図6は図4のV-V 線断面図,VI-VI 線断面図、図7は図3のVII-VII 線断面図、図8は上記自動二輪車の左側面図である。なお、特記なき限り車両後方から前方を見た状態で説明する。
【0008】図において、1は本実施形態のスクータ型自動二輪車を示している。該自動二輪車1の車体フレーム2はいわゆるアンダーボーン型のものであり、ヘッドパイプ2aに左側面視略L字状のメインフレーム2bの縦辺上端を溶接し、メインフレーム2bの横辺後端に左,右一対のサイドフレーム2cの前端を溶接し、該サイドフレーム2cを後方斜め上方に延長した構造となっている。
【0009】上記ヘッドパイプ2aには、下端で前輪3を軸支する前フォーク4の操向軸4aが左右に操向自在に軸支されている。この操向軸4aの上端には操向ハンドル5のハンドルバー5bの中央にT字状に固着されたハンドル軸5aが固着されている。なお、27はフロントバスケットである。
【0010】上記サイドフレーム2cの略中央付近には、エンジン本体6と伝動ケース7とをユニット化してなるエンジンユニット8が上下に揺動可能に枢支されている。上記伝動ケース7の後端部には後輪9が装着されており、また該後端部と上記サイドフレーム2cの後端部との間には後輪懸架用リヤクッション10が介設されている。
【0011】また、上記左, 右のサイドフレーム2c間にはヘルメット等を収容するための収容ボックス11が配設されている。該ボックス11内には不織布製の内張材60が敷設されており、該内張材60の上縁60aは該ボックス11の開口11aの縁部を覆っている。
【0012】また上記収納ボックス11の上側には該ボックス11の開口11aを開閉するシート12が配設され、また後方には燃料タンク(液体タンク)13が搭載されている。上記シート12の前端部は上記収納ボックス11の前端部11dによって軸支されており、また該シート12の後部に形成されたダンパ部12aは上記収納ボックス11の後部に一体形成されたシート受部11bの前段部11cによって支持されている。そしてこの前段部11cは上記左, 右のサイドフレーム2c間に架設された門形状の支持フレーム2dの上辺部2fによりロック機構64を介して支持されている。またこの支持フレーム2dから延長形成されたブラケット2eに上記燃料タンク13のフランジ部13bがボルト締め固定されている。なお、12hはロック用保持部材である。
【0013】そして上記車体フレーム2, 前フォーク4, 収納ボックス11, および燃料タンク13等の回りは車体カバー14によって囲まれている。この車体カバー14は、上記ヘッドパイプ2aの前側, 後側にそれぞれ配置されたフロントカバー15, レッグシールド16と、上記メインフレーム2bとサイドフレーム2cとの接続部に形成された足載部の上側, 下側にそれぞれ配設されたフートボード(足載部)17, アンダカバー18と、上記収納ボックス11, 燃料タンク13の周囲を囲むサイドカバー19と、これの下方部分を覆う左, 右一対のサイドモール20と、該両サイドモール20の後部間部分を覆うセンタモール21とから構成されている。また車両後端の、上記サイドカバー19, サイドモール20,及びセンタモール21で囲まれた部分は、テールランプユニット49のリヤカバー部50で覆われており、該リヤカバー部50も車体カバーの一部を構成している。
【0014】上記車体カバー14の後端の上部には、該上部から斜め後上方に伸びるリヤスポイラ66が配設されている。このリヤスポイラ66は、サイドフレール2cの後端に固定され、上記車体カバー14の後端上部から斜め後上方へ向かって延在する平面視概略U字状の芯材48と、該芯材48の上部を覆うとともに該芯材48に略沿って斜め後上方へ向かって延在する平面視概略U字状のカバー部67とで構成されている。なお、上記芯材48の下部はリヤカバー部50の上側部分で覆われている。
【0015】上記芯材48は、左, 右のサイドフレーム2cの後端部間に架設された門型ブラケット46の一部を成している。この門型ブラケット46は、板金製の左, 右の支持プレート47同士を丸棒製で門形状の上記芯材48で連結してなり、上記支持プレート47は上記サイドフレーム2cの後部に溶接固定された支持ブラケット2iにボルト47aで締め付け固定されている。また上記芯材48の上辺48a部分には左, 右一対の横断面U字状の取付プレート48bが溶接固定されている。
【0016】上記カバー部67は上記サイドカバー19の後端上部に形成された立ち上げ部19cで構成されている。また上記リヤカバー部50は上記テールランプユニット49の一部をなし、また該ユニット49の一部は後輪9の後縁に沿って下方に伸びるライセンスブラケット部51で構成されている。該ライセンスブラケット部51と上記リヤカバー部50との境界付近が上記支持ブラケット2iにボルト49aで固定されている。
【0017】上記リヤカバー部50のサイド,センタモール20, 21との境界部分には、左, 右一対のフラッシャランプ52とこれの間に位置するテールランプ53とが配設されている。そして上記センタモール21は、サイドモール20に突設されたフランジ部20aにボルト21bで固定されており、さらに該センタモール21の係止爪21aは上記両ランプ52,53のレンズの下部に形成された孔に係止しており、また上記フランジ部20aは上記テールランプユニット49の境界付近にボルト20bで固定されている。
【0018】上記リヤカバー部50は、背面から見ると略台形状をなし、側面から見るとその中央部分が前方に少し湾曲している。また上記リヤカバー部50の上部には略長方形状の開口50aが形成されており、該開口50aによって分離された上辺部(門形状部)50bは上記門型ブラケット46の芯材48の形状に沿う門形状をなしており、かつ該上辺部50bに形成された複数のリブ50cが芯材48の下面に若干の隙間をあけて対向している。上記上辺部50bを把持して車両を起立あるいは移動させる場合には上記リブ50cが芯材48に当接し、該上片部50bの変形が阻止される。
【0019】また上記サイドカバー19は、平面から見て上記収納ボックス11と略同一形状のボックス開口19aを有する筒状のもので、該開口19aの後端中央縁部がボルト19iで、左, 右縁部がボルト19kでそれぞれ上記収納ボックス11のシート受部11b, 前段部11cに固定され、かつその下縁中央付近が上記フートボード17のフランジ部17aに長孔に挿入されたボルト19jで固定されている。
【0020】また上記ボックス開口19aの縁部は内方に折り曲げられており、該折り曲げ部19fに上記シート12のシール材59が略全周にわたって圧接している。このシール材59はシート底板12cのリブ12bに嵌着されており、また19gはシール性を向上させるために上記折り曲げ部19fに突設されたシール凸条であり、19hは上記シール凸条19gに沿って前方に流れてきた雨水等を下方に導く凹溝である。
【0021】また上記サイドカバー19の後端上部には給油開口(液体タンク注油口)19bが形成されており、該開口19bから上記燃料タンク13の給油キャップ13aが外方に突出している。該給油キャップ13aは平面視で上記リヤスポイラ66のU字形の幅方向中心に位置している。なお、65は上記給油口開口19bの下方に配置された油受けである。
【0022】そして上記サイドカバー19の後端上部には、該部分から斜め上方に立ち上がり上記カバー部67を構成する上記立ち上げ部19cが形成されている。この立ち上げ部19cの上縁形状は上記リヤカバー部50の上辺部50bの形状と一致しており、また上記開口50aと一致する開口19dが形成されている。この立ち上げ部19cは、これに突設されたボス部19eを上記芯材48の取付プレート48b内に挿入して上記リヤカバー部50の上片部50bの内面に当接させるとともに、該ボス部19eに該上辺部50bの外側からボルト54を螺挿することにより該リヤカバー部50と結合されている。
【0023】また、上記自動二輪車1の後端部には、リヤキャリア55が車体カバー14の後壁面を構成するリヤカバー部50から後方に延びるように配設されている。このリヤキャリア55は、丸棒を車体前側が開口するU字状に折り曲げてなる荷受け部56の後端付近から前方斜め下方に延び、車体後側が開口するU字状の支持部57とから構成されており、上記リヤスポイラ66より幅狭になっている。この支持部57の前端折り曲げ部57aは、上記リヤカバー部50のテールランプ53上側部分に形成された下側取付穴50dから車体カバー内に挿入され、上記芯材48に固着された下部ブラケット58aにボルト締め固定されている。また上記荷受け部56の前端脚部56aは、上記リヤカバー部50の開口50aの両隣に形成された上記上側取付穴50eから車体カバー内に挿入され、上記芯材48に固着された上部ブラケット58bにボルト締め固定されている。
【0024】このように、本実施形態では、リヤスポイラ66を、車体フレーム2に固定された平面視概略U字状の芯材48と、該芯材48を覆う概略U字状のカバー部67とで構成したので、該リヤスポイラ66の剛性を大幅に向上することができる。
【0025】また本実施形態のリヤスポイラ66では、開口50aを設けることにより上辺部50bを形成したので、該上辺部50bを把持して車両を起立あるいは移動させることができ、取り扱いが容易となる。この場合には芯材48にリブ50cが当接するので、上記車両の起立動作の場合のような大きな荷重にも耐えることができる。
【0026】またリヤスポイラ66を平面視で概略U字形状としたので、リヤスポイラ66を小型にできる。一方、小型であっても側面視では従来の平面視略矩形状のものと同等の存在感があり、デザイン上の効果が大きい。
【0027】また、燃料タンク13を、シート12後方の車体カバー14内空間に配設し、該燃料タンク13の給油キャップ13aを上記U字状の芯材48,カバー部67の内側空間に位置させたので、車体カバー14内のシート後方空間を有効利用して燃料タンク13を無理なく収納することができる。即ち、平面視で、リヤスポイラ66が給油キャップ13aを避けたU字状をなしているので、リヤスポイラ66が燃料タンクを配置する場合の支障になることはない。
【0028】また燃料タンク13のシート後方配置が容易であることからシート12下方の収納ボックス11の容量を増大することができる。
【0029】また、平面から見て上記芯材48,カバー部67からなるリヤスポイラ66のU字状空間内に燃料タンク13を配置したので、該リヤスポイラ66が保護部材として機能し、燃料タンク13を保護することができる。
【0030】
【発明の効果】以上のように、本発明のに係るスクータ型自動二輪車によれば、リヤスポイラを、車体フレームに固定され斜め後上方へ向かって延在する平面視概略U字状の芯材と、該芯材の上方を覆うとともに該芯材に略沿って斜め後上方へ向かって延在する平面視概略U字状のカバー部とで構成したので、リヤスポイラの剛性を大幅に向上できる効果があり、またリヤスポイラを平面視で概略U字状としたので、小型にでき、しかも見掛け上の存在感を確保でき、外観を向上できる効果がある。
【0031】また、シートより後方の車体カバー内空間に液体タンクを配設し、該液体タンクの注油口を平面視で上記U字状の芯材およびカバー部の内側空間に位置させたので、液体タンクをシート後方の車体カバー内空間に無理なく配置でき、シート下方の収納ボックス容量を増大できる効果があり、また液体タンクは平面視でその周囲が剛性の高いリヤスポイラによって囲まれることとなり、該液体タンクをリヤスポイラで保護することができる効果がある。
- 【公開番号】特開平10−1082
【公開日】平成10年(1998)1月6日
【発明の名称】スクータ型自動二輪車
- 【出願番号】特願平9−67638
【出願日】平成2年(1990)3月23日
【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】下市 努
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