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自動2輪車の収納装置
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- 【要約】
【課題】 レックシールドに設けられた収納部を大型化しつつ、乗降性を向上させる。
【解決手段】 レックシールド10の後部に設けられた収納部20の後壁22に車体前方に向かって窪んでいる凹部23を設ける。これにより、収納部20を大型化しても、乗員30の膝34が後壁22に当たらずに乗り降りすることができるようになり、乗降性が向上する。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】シートと、その前方に足を揃えて乗せるようにした低床式のフロアと、膝の前方を覆うように上下方向へ延びるレックシールドと、このレックシールド後部に形成された収納部とを備えた自動2輪車の収納装置において、前記収納部の後壁は、平面視において車体前方に向かって窪んでいる凹部を備えることを特徴とする自動2輪車の収納装置。
【請求項2】前記収納部の後壁は、乗員の着座中心位置を中心点とする略円弧状形状であることを特徴とする請求項1記載の自動2輪車の収納装置。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は低床式の自動2輪車の収納装置に係り、特にその容量の増加と良好な乗降性を確保した収納装置に関する。
【0002】
【従来の技術】このような自動2輪車の収納装置として、特開平4−189689号公報があり、これには図5に示すように、車体前方にレックシールド10を備え、このレックシールド10の後部に収納部20が設けられた自動2輪車が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図5のような収納部20を大型化して、その容量を増やそうとする場合、その後壁22が後方へ向かって凸状に湾曲しているため、乗員30の膝34が乗降時に後壁22と干渉してしまい、乗降の邪魔になる場合がある。
【0004】特に小柄な人、例えば女性などはシート40の前方に着座する傾向があり、この場合、中央部が後方へ最も突出する後壁22が乗り降りをしにくくすることがある。そこで、本願発明は、上記課題を解決することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため請求項1に係る自動2輪車の収納装置は、シートと、その前方に足を揃えて乗せるようにした低床式のフロアと、膝の前方を覆うように上下方向へ延びるレックシールドと、このレックシールド後部に形成された収納部とを備えた自動2輪車の収納装置において、前記収納部の後壁は、平面視において車体前方に向かって窪んでいる凹部を備えることを特徴とする。
【0006】請求項2に係る自動2輪車の収納装置は、前記収納部の後壁は、乗員の着座中心位置を中心点とする略円弧状形状であることを特徴とする。
【0007】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、収納部の後壁に、車体前方に向かって窪んでいる凹部を形成したので、収納部を大型化して容量を増加させても、乗車スペースを大きく取ることができ、後壁が乗降時の膝の動きに対して邪魔にならない。このため、小柄な乗員がシート前方に着座する場合でも、乗降をスムーズに行うことができ、乗り降りが良好となる。
【0008】請求項2に係る発明によれば、収納部の後壁を、乗員の着座中心位置を中心点とする略円弧状形状に形成したので、乗員が乗降する際における膝の移動軌跡と、後壁の円弧状形状が略一致するので、後壁が乗降時に膝と干渉しないようにしつつ、収納部の容量を最大限に増加させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図1乃至図3に基づいて本発明の実施形態を説明する。図2は本発明が適用された低床式の自動2輪車であるスクータ型車両の左側面図である。
【0010】この図からも明らかなように、自動2輪車はその前方に乗員30の足32に走行風が直接あたらないようにするレックシールド10を備え、その上部にヘッドパイプ8(図1参照)を介してハンドル12が取付けられている。
【0011】レックシールド10の後方にはヘッドパイプ8を覆うヘッドパイプカバー11が設けられ、このヘッドパイプカバー11の外側には、収納部20が形成されている。この収納部20の上方にあたるヘッドパイプカバー11の中間部には、買い物袋B(図3参照)等を掛け止めするためのフック13が設けられている。
【0012】レックシールド10の下部にはハンドル12を左右方向に動かすのに連動して左右に動く可動フェンダ16が設けられ、その下方に前輪14が設けられている。
【0013】車体中間部にはステップフロア15が設けられ、走行中には乗員30は左右の足32を揃えて乗せることができ、乗降時には左右の足32を揃えたまま乗降できるようになっている。
【0014】ステップフロア15の後方には、後輪17を備えたパワーユニット18が上下揺動自在に枢支され、その上方には後部カバー19が設けられている。この後部カバー19上部にはシート40が取付けられている。
【0015】図1は膝34と収納部20との関係を示す平面図(図2における収納部20の1−1線矢示断面を示す図)であり、図3は、買い物袋Bをフック13に掛け止めした状態の収納部20近傍を斜め後方から示す斜視図である。
【0016】これらの図から明らかなように、レックシールド10の後部には前方カバー9、ヘッドパイプカバー11、左右の側壁24、後壁22及び底壁28により、その上部が開口している収納部20が構成されている。
【0017】シート40上の着座中心位置Xは、比較的小柄な体格の人、例えば女性等がシート40に着座した場合の乗員30の尻部の中心位置であり、着座中心位置Yは予めシート40に設定された標準的体格の人がシート40に着座した場合の乗員30の尻部の中心位置である。なお、符号32は乗員30の足を、符号34は膝を示している。
【0018】後壁22の上端部には、前方に向かって湾曲状に窪んでいる凹部23が形成され、この凹部23の湾曲は着座中心位置XやYを中心点として膝34を円弧状に移動させたときの軌跡に略沿うように形成されており、このため、凹部23の最も前方へ窪んだ部分23aは前後方向への車体中心線と略一致するようになっている。
【0019】凹部23の下方は後方へ張り出した凸部22aとなっており、この凸部22aの前方側には大きな収納空間が形成されている。また、凹部23の最も前方へ窪んだ部分23aとヘッドパイプカバー11で、収納部20の上部は左収納部21Lと右収納部21Rとに略区分されている。
【0020】図3にも明らかなように、フック13に買い物袋B等を掛け止めした場合、凹部23は買い物袋Bの少なくとも上部がちょうど納まる形状になっている。
【0021】次の本実施形態の作用を説明する。図1にも明らかなように、本実施形態においては、収納部20の後壁22の上端部、すなわち膝34の前方にあたる位置に、車体前方に向かって窪む凹部23を形成した。
【0022】このため、収納部20の容量を大きくするために収納部20を大型化しても、乗員30が乗降する際に後壁22と膝34とが干渉することがなく、左右の足32を揃えたまま乗降することができ、乗降性が向上する。
【0023】また、シート40をヘッドパイプ8へ近接させることができ、着座中心位置を比較的前方へ設定できる。
【0024】しかも、この凹部23の湾曲は、着座中心位置XやYがその中心となるように形成したので、乗降する際の乗員30の膝34の移動軌跡と凹部23の形状が略一致する。
【0025】このため、収納部20の左右収納部21L、21R及び凸部22a前方の容積を最大限まで大きくすることができ、この結果、収納部20の全体容積を最大限に大きくすることができる。
【0026】また、ヘッドパイプカバー11の収納部20より上方位置にフック13を設けたので、フック13に買い物袋B等を掛け止めした場合、この買い物袋Bの少なくとも上部がちょうど凹部23に納まることになり、買い物袋Bの位置が安定する。
【0027】このため、多少車両が左右に揺れても、買い物袋Bが左右に揺れて凹部23の外側へ抜け出すことが少なくなる。
【0028】しかも、可動フェンダ16を採用した場合でも、乗員30はシート40の前方に着座することができるので、可動フェンダ16の動きが見通し易くなり、可動フェンダ16を小型化することができる。
【0029】なお、本願発明は上記実施形態に限定されず種々に変更可能であり、例えば、後壁22と買い物袋Bを上方から示す図4のように、後壁22の中央付近近傍のみに凹部23を形成し、その両側を平坦部23bとすることも可能である。
【0030】また、収納部20の上部を開口することなく、蓋等を設けることにより閉空間とすることも可能である。
【0031】さらに、可動フェンダ16を固定フェンダとすることもでき、収納部20上方のフック13は省略することも可能である。また、凸部22aを設けずに、凹部23を後壁22の上端部だけでなく、後壁22の上下方向全体にわたって形成することも可能である。
- 【公開番号】特開平10−16849
【公開日】平成10年(1998)1月20日
【発明の名称】自動2輪車の収納装置
- 【出願番号】特願平8−171965
【出願日】平成8年(1996)7月2日
【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 清光
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