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自動二輪車の風防装置
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- 【要約】
【課題】 フロントフォーク4a,4bにスクリーン7が取り付けられた自動二輪車において、スクリーンの空力特性を向上させる。
【解決手段】 自動二輪車のフロントフォーク4a,4bに取り付けられたスクリーン7の前面に、車幅方向に延在しておりその長手方向全長に亘って前方に膨出するアッパガーニッシュ6cを取り付けて、走行時にスクリーン7の表面に沿って上方に流れる空気を、該アッパガーニッシュ6cを越えるときにスクリーン表面から剥離させる。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 自動二輪車の車体フレームに回転自在に取り付けられる前輪懸架装置に取り付ける風防装置であって、走行時に前方からの空気を受ける該風防装置のスクリーンの前面に、該スクリーンの表面に沿って上方に流れる空気をスクリーン表面から剥離させる、前方に膨出した制流リブを、車幅方向に延在するように取り付けたことを特徴とする自動二輪車の風防装置。
【請求項2】 前記制流リブは、前輪懸架装置に取り付けたステーに取り付けられるものであり、該ステーとの協働によりスクリーンを挟みつけて該スクリーンを前輪懸架装置に固定したことを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車の風防装置。
【請求項3】 前記スクリーンは、前輪懸架装置に取り付けられるヘッドライトが当てはまる開口を備えており、該開口とヘッドライトとの間に形成される隙間の周囲に、走行時に受ける前方から空気を開口側に集める集風リブを延在させたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動二輪車の風防装置。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動二輪車の前輪懸架装置に取り付ける風防装置に関する。
【0002】
【従来の技術】操縦者が外気に晒される自動二輪車では、風防等のために車輛前方上部にスクリーンを設けることがある。例えば、フロントカウリングを備える自動二輪車では、該フロントカウリングにスクリーンを取付けたものがあり、また、スクリーンを車輛の前輪懸架装置に取付けたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このようなスクリーンを取り付けると、走行時にスクリーンが空気から受ける抗力や揚力等の力が車体に伝達される。これはスクリーンが大型化するとなおさらである。
【0004】本発明は、自動二輪車の前輪懸架装置に取り付ける風防装置の空力特性を向上させることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、自動二輪車の車体フレームに回転自在に取り付けられる前輪懸架装置に取り付ける風防装置であって、走行時に前方からの空気を受ける該風防装置のスクリーンの前面に、該スクリーンの表面に沿って上方に流れる空気をスクリーン表面から剥離させる、前方に膨出した制流リブを、車幅方向に延在するように取り付けたことを特徴とする。
【0006】スクリーンを前輪懸架装置に取り付けると、走行時にスクリーンが空気から受ける抗力や揚力が前輪懸架装置に直接加わるが、本発明によると、走行時にスクリーン表面に沿って上方に流れる空気が、制流リブを越えるときにスクリーンの表面から剥離し、制流リブの上方のスクリーン表面に沿った領域に渦流等の乱流が生ずる。このようにして乱流域を生じさせると、スクリーンの上端を越えて後方に流れた空気の流れ方向と走行方向とのなす角度が、乱流域を生じさせない場合と比べて小さくなり、いわゆる走行抵抗が低減するなど、抗力や揚力からの影響が低減する。
【0007】また、スクリーンの前面に取り付けられる制流リブを、スクリーンを前輪懸架装置に固定する際に用いる取付具として兼用すれば、部品点数が増加することがない。
【0008】また、スクリーンに形成された開口の周囲に集風リブを延在させれば、該開口部に取り付けられるヘッドライトとスクリーンとの間の隙間を通ってスクリーン後方に流れる空気の量が増加し、スクリーン前後の圧力差がより小さくなる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1から図3を参照して、1は自動二輪車の車体フレームであり、該車体フレーム1の前端に、前輪懸架装置を回転自在に支持するステヤリングヘッド2を取り付けると共に、該ステアリングヘッド2に回転自在に取り付けられる前輪懸架装置のステアリングシャフト(図示せず)の上端にアッパブリッジ3aを、下端にロアブリッジ3bを取り付けた。また両ブリッジ3a,3bの左右に、一対のフロントフォーク4a,4bを取り付けると共に、両フロントフォーク4a,4bの上端をアッパブリッジ3aにより保持した。そしてフロントフォーク4a、4bにステー5を取り付けて、該ステー5とステー5に取り付けるガーニッシュ6とによりスクリーン7を挟み、該スクリーン7を前輪懸架装置に固定した。
【0010】図4に示されるように、ステー5は、取付具(図示せず)を介して各フロントフォーク4a,4bに取り付けられる1対のサイドプレート5a,5bと、両サイドプレート5a,5bの上端を橋絡する車幅方向に延びるアッパプレート5cと、両サイドプレート5a,5bの下端を連結するボトムプレート5dとを備えるものであり、各サイドプレート(集風リブ)5a,5bの前面にサイドガーニッシュ6a,6bをねじ留めすると共に、アッパプレート5cの前面にアッパガーニッシュ(制流リブ)6cをねじ留めする。このとき、各プレート5a〜5cと各ガーニッシュ6a〜6cとでスクリーン7を挟みつけて、スクリーン7を前輪懸架装置に固定する。なお、ステー5は、ボトムプレートにおいてロアブリッジ3bにねじ留め固定されている。
【0011】スクリーン7は、前方に向けて凸形状で、中央部から周辺に向けて滑らかに湾曲しており、ガーニッシュ6a〜6cに囲まれる位置にヘッドライト8のための中央開口7aを備えている。スクリーン7とヘッドライト8との間には隙間Eが形成されており、また、中央開口7aの左右両側斜め下部にはウィンカ9のためのサイド開口7b,7bが形成されている。
【0012】ところで、前輪懸架装置にスクリーン7を取り付けると、走行時、空気の影響によりスクリーン7に加わる抗力および揚力がフロントフォーク4a,4bに直接伝達されるが、本実施形態のように、アッパガーニッシュ6cに、そのほぼ全長に亘って前方に膨出する膨出部(図5参照)L1を備えて、走行時にスクリーン7に前方から当たる空気のうち、アッパガーニッシュ6cを越えて上方に流れる空気をスクリーン7の表面から剥離させるようにすれば、これにより走行抵抗を低減させることができる。
【0013】なお、上記実施形態のアッパガーニッシュ6cは、その膨出部L1のピーク部の上側の斜面に長手方向に亘る窪みを備えるものであるが、アッパガーニッシュ6cの下側から上側に流れる空気の流れをスクリーン表面から剥離させることができる形状であればよいので、図6(A)〜(C)に示されるように、断面形状が例えば三角形にされており尖ったピーク部を備える形状であったり、いわゆる蒲鉾形をはじめとする、断面形状が円弧あるいは楕円弧の外縁を備える形状であったり、断面形状が例えば略四角形をはじめとする多角形であったりしてもよい。
【0014】また、サイドガーニッシュ6a,6bに、ほぼ全長に亘って前方に膨出した膨出部L2を備えて、前方からの空気を車輛の中央側に集風するようにすれば、スクリーン7とヘッドライト8との間の隙間Eを通ってスクリーン7の後方に流れる空気の量が増加し、スクリーン7の前後における圧力差が減少する。スクリーン前後の圧力差が小さくなれば、走行時に搭乗者に加わるいわゆるバックプレッシャや耳障りなざわつき音が減少する。
【0015】なお、サイドガーニッシュ6a,6bの膨出部L2の形状を調製して、集風機能を維持しつつ、車輛の側部に流れる空気をスクリーン7から剥離させるようにしてもよい。具体的には、図5あるいは図6に示される膨出部L1の上側斜面の表面形状を、膨出部L2のピーク部より車側がわの斜面の表面形状として用いるものをその例として挙げることができる。
【0016】また、本実施形態のように、各ガーニッシュ6a〜6cにその裏面側にのみ開口するねじ穴を形成し、該ねじ穴にステー5の裏側から挿入されるねじを螺合させて各ガーニッシュ6a〜6cをステー5に取り付ければ、各ガーニッシュ6a〜6cに備わる膨出部L1,L2の表面形状が損なわれることがなく、所望の空力特性が得られる。
【0017】そして、各ガーニッシュ6a〜6c自体により、空気の流れをスクリーン表面から剥離させたり、車輛中央側に集風したりすれば、部材の取付作業が追加されることがなく、部品点数が増加することもない。また、特にアッパガーニッシュ6cに剥離機能をもたせれば、別部材の取り付けに起因して操縦者の前方の視認性が損なわれるという問題が生ずることがない。さらに、各ガーニッシュ4a〜4cに膨出部L1,L2を備えれば部材の剛性が増し、スクリーンの固定がより堅牢になる。
【0018】
【発明の効果】以上のように、本発明によると、風防装置の存在により生ずる走行抵抗を低減させるなど、抗力や揚力からの影響を低減させることができる。
【0019】また、制流リブを、ステーとの協働によりスクリーンを挟みつけて前輪懸架装置に固定する部材として用いたので、制流リブを取り付けても、部品点数が増加することがない。
【0020】そして、集風リブを取り付けたので、スクリーンとヘッドライトとの間の隙間を通ってスクリーン後方に流れる空気の量が増し、スクリーン前後の圧力差が小さくなる。
- 【公開番号】特開平10−24880
【公開日】平成10年(1998)1月27日
【発明の名称】自動二輪車の風防装置
- 【出願番号】特願平8−180469
【出願日】平成8年(1996)7月10日
【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 欣一 (外2名)
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