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自動二輪車用エアバッグ装置
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- 【要約】
【課題】 自動二輪車用のエアバッグ装置であって、乗員の身体を拘束して、乗員に作用する衝撃を有効に緩和する。
【解決手段】 乗員の前方において、車体フレーム1にエアバッグ14を取付け、このエアバッグ14に一端を取付けたバック繋留体18の他端を、車体フレーム1に連結し、このバック繋留体18は、エアバッグ14の膨張展開時に、そのエアバッグ14と共に伸長してエアバッグ14を保持する。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体フレーム(1)に配設され、乗員(R)への衝撃を緩和すべく、略上方に膨張展開可能なエアバッグ(14)を備えた自動二輪車用エアバッグ装置であって、前記エアバッグ(14)を、紐体、帯体等よりなる可撓性のバッグ繋留体(18)を以て車体フレーム(1)に連結し、前記エアバッグ(14)の膨張展開時に、バッグ繋留体(18)がエアバッグ(14)と共に伸長して、そのエアバッグを車体フレーム(1)に保持するようにしたことを特徴とする、自動二輪車用エアバッグ装置。
【請求項2】 前記バッグ繋留体(18)の、車体フレーム(1)への連結部は、座席シート(5)の下であることを特徴とする、前記請求項1記載の自動二輪車用エアバッグ装置。
【請求項3】 前記バック繋留体(18)の車体フレーム(1)への連結部は、その車体フレーム(1)のクロスメンバー(1c)であることを特徴とする、前記請求項1記載の自動二輪車用エアバッグ装置。
【請求項4】 前記バック繋留体(18)は、少なくとも左右一対よりなることを特徴とする前記請求項1記載の自動二輪車用エアバッグ装置。
【請求項5】 前記バック繋留体(18)の車体フレーム(1)への連結部は、前記エアバッグ(14)の後方に位置していることを特徴とする、自動二輪車用エアバッグ装置。
【請求項6】 前記エアバッグ(14)の左右側面と、車体フレーム(1)の左右間には、それぞれ可撓性の案内支持片(26)が連結されていることを特徴とする、自動二輪車用エアバッグ装置。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衝突またはその後の挙動に伴う乗員への衝撃を緩和するための、自動二輪車用エアバッグ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年乗用自動車等の自動車において、衝突に伴う乗員への衝撃を緩和するための一手段として、エアバッグ装置が採用され、その高い衝撃緩和効果が確認されて、広く一般に普及するに至っている。そこで自動二輪車においても乗員への衝撃緩和効果を達成できるエアバッグ装置の開発、実用化が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが自動二輪車の場合には、乗員は車室により囲まれておらず、四方が開放されているため、乗員をエアバッグの膨張展開により拘束しようとすれば、エアバッグの膨張展開時の容積を可及的に大きくする必要があるほか、エアバッグと車体との取付位置や取付強度等に特段の工夫が必要である等の課題がある。
【0004】そこで本発明はかかる課題を解決した、新規な自動二輪車用エアバッグ装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明によれば、車体フレームに配設され、乗員への衝撃を緩和すべく、略上方に膨張展開可能なエアバッグを備えた自動二輪車用エアバッグ装置であって、前記エアバッグを、紐体、帯体等よりなる可撓性のバッグ繋留体を以て車体フレームに連結し、前記エアバッグの膨張展開時に、バッグ繋留体がエアバッグと共に伸長して、そのエアバッグを車体フレームに保持し、これにより衝突時には、エアバッグは乗員の前面に膨張展開して乗員の身体を拘束し、乗員への衝撃を有効に緩和する。
【0006】前記エアバッグ装置において、たとえば前記バッグ繋留体の、車体フレームへの連結部は、座席シートの下にある。
【0007】前記エアバッグ装置において、たとえば前記バック繋留体の車体フレームへの連結部は、その車体フレームのクロスメンバーである。
【0008】前記エアバッグ装置において、たとえば前記バック繋留体は、少なくとも左右一対よりなる。
【0009】前記エアバッグ装置において、たとえば前記バック繋留体の車体フレームへの連結部は、前記エアバッグの後方に位置している。
【0010】前記エアバッグ装置において、たとえばエアバッグの左右側面と、車体フレームの左右間には、それぞれ可撓性の案内支持片が連結されている。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0012】図1〜8を参照して本発明の一実施例について説明するに、図1は、本発明エアバッグ装置を備えた自動二輪車の側面図、図2は、その自動二輪車の平面図、図3は、図1の鎖線で囲まれた3矢視部分の一部省略拡大縦断面図、図4は、図1の4−4線に沿う部分拡大断面図、図5は、図1の5−5線に沿う部分拡大断面図、図6は、図1の6−6線に沿う部分拡大断面図、図7はエアバッグ膨張展開時の、前記自動二輪車の側面図、図8は、エアバッグ膨張展開時の、エアバッグの部分拡大縦断面図である。
【0013】図1,2において、自動二輪車の車体フレーム1の前部に操向自在に支持されるフロントフォーク2には、前車輪Wfが回転自在に支承され、また車体フレーム1の後部に上下に揺動自在に支持されるスイングアーム3には後車輪Wrが支持される。車体フレーム1の前半上部には、燃料タンク4が搭載され、また車体フレーム1後部のシートレール上に、座席シート5が起伏可能に載設される。車体フレーム1は、その大部分が、フロントカウル6およびリヤカウル7により被覆されている。
【0014】前記燃料タンク4の前部と、フロントフォーク2のトップブリッジとの間に形成される空隙部には、本発明エアバッグ装置のエアバッグモジュールMが配設される。
【0015】次にこのエアバッグモジュールMの構造およびその車体フレーム1への取付構造について、主に図3〜6を参照して説明するに、燃料タンク4の前部と、フロントフォーク2のトップブリッジ間において、車体フレーム1の上面には、取付ステー10が固着され、この取付ステー10上には、取付片11を介して合成樹脂材等の軽量材料により帽状に形成されるバッグハウジング12の開口下部が取付けられる。このバッグハウジング12は、エアバッグ14を折り畳んだ状態で収納し得る収納部121 と、この収納部121 の開口上面を閉じる蓋体122 とより帽状に形成され、この蓋体122 の周囲には、その一側の蝶番部123 を除いて、所定値以上の衝撃力が加わると、容易に裂破する脆弱部124 が形成されている。そして後に述べるように(図8参照)、自動二輪車に所定以上の衝撃力が作用したとき、エアバッグ14が膨張展開し、前記脆弱部124 が裂破されて、蓋体122 は蝶番部123 を支点として上方に開放され、エアバッグ14が略上向きに膨張展開できるようになっている。
【0016】前記バッグハウジング12内において、前記取付ステー10には、エアバッグモジュールMが固着されている。このエアバッグモジュールMは、エアバッグ14と、これを膨張展開させるためのガスを発生させるインフレータ16とを備えており、前記エアバッグ14は、その下面に開口部141 を有して袋状に形成され、バッグハウジング12内に折り畳まれて収納され、前記開口部141 に固着した口金15に、前記インフレータ16がエアタイトに固着され、またインフレータ16が直接前記取付ステー10に固着されている。
【0017】前記エアバッグ14の素材は、引張強度の高いポリアミド系の基布に、ガス漏れ防止用のコーテング材を施して構成されており、その適所に内部ガスの排出用ベントホール17が開口されている。またインフレータ16は気体式、固体式、混合性ガス式あるいは空気吸込式等従来公知のものが用いられる。
【0018】前記エアバッグ14の後面の中間部には、紐体、帯状体等よりなる可撓性を有する、一対のバッグ繋留体18,18の一端がそれぞれ連結される。そのバッグ繋留体18は、折畳状態でバッグハウジング12の後壁に開口した引出口19を通して該バッグハウジング12外に引き出され、前記燃料タンク4の左右両側を通ってその自由端は座席シート5の下方に延長され、該座席シート5の前部直下で、車体フレーム1のクロスメンバー1cにボルト等の固着手段により連結される取付片20に結着され、これによりバック繋留体18,18の車体フレーム1への取付強度が高められ、また外観上の体裁もよくなる。
【0019】前記バッグ繋留体18は、折畳み易いように、紐状、帯状、シート状に形成され、エアバッグ14が車体フレーム1から分離しないように十分の引張強度を有し、可撓性のほか、弾性を有する材料により形成するのが好ましく、たとえば、前記エアバッグ14の基布と同一材料により形成してもよい。
【0020】前記燃料タンク4の左右外側面には、前記バッグ繋留体18,18のバッグハウジング12からの延長部を収納するための、左右収納溝22,22が、該燃料タンク4の全長にわたり成形されており、それらの収納溝22,22は、図5に示すように横断面V字状に形成されており、その開口上面は、合成樹脂材等の弾性を保有する材料により形成される蓋体23,23が嵌着され、これによりその開口上面は被覆される。図4に示すように左右蓋体23,23の前端部一側には、ヒンジ部231 ,231 が一体に延長形成されており、このヒンジ部231 ,231 は、燃料タンク4の外壁にヒンジピン24,24によりピボット連結され、一方図6に示すように左右蓋体23,23の後端部一側は、ワイヤ、紐等の可撓性条体25,25を介して燃料タンク4に連結されている。そして通常時には、左右バッグ繋留体18,18の、バッグハウジング12からの延長部は図4〜6実線に示すように左右収納溝22,22内に収納されており、また後述するようにエアバッグ14の膨張展開時には、図4〜6鎖線に示すように左右蓋体23,23が左右方向に開き、左右バッグ繋留体18,18は、収納溝22,22より離れて膨張展開したエアバッグ14と共に伸長する。
【0021】図3に示すように、車体フレーム1の左右には、対をなす左右案内支持片26,26の下端がボルト・ナット等の固着手段27により固着されている。前記案内支持片26,26は、前記バック繋留体18,18と同じく可撓性材料により帯状に形成されてバッグハウジング12内に延びており、その上端がエアバッグ14の左右外面に固着されている。そしてエアバッグ14の膨張展開時には、これと共に伸長してエアバッグ14を車体フレーム1の略上方に膨張展開するように案内する。
【0022】図1に示すように、車体フレーム1の前部には、Gセンサー等の衝撃検知センサーSが設けられ、このセンサーSの検知信号は、前記インフレータ16を動作して、高圧ガスを、エアバッグ14内に噴出する。
【0023】次にこの第一実施例の作用について説明すると、いま自動二輪車が障害物に衝突すると、衝突検知センサーSがこれを検出し、この検出信号をインフレータ16に送信する。これによりインフレータ16が動作して高圧ガスを発生し、このガスが折り畳まれたエアバッグ14に、その開口部141 を通して供給され、エアバッグ14は膨張展開される。この時このエアバッグ14は、図7,8に示すように、略上方に膨張展開する。ところでこのエアバッグ14は、可撓性のバック繋留体18,18により座席シート5下の車体フレーム1に繋留されているので、エアバッグ14の膨張展開時には、このバッグ繋留体18,18は引っ張られ、蓋体23,23を開いて収納溝22,22より外に出て伸長し、エアバッグ14は、図7に示すように乗員Rと対面する位置に保持され、乗員Rを拘束して乗員Rへの衝撃を緩和することができる。またこの場合可撓性の左右案内支持片26,26もエアバッグ14と共に伸長してそのエアバッグ14の上方への膨張展開を案内する。
【0024】その後、エアバッグ14内の高圧ガスは、緩徐にベントホール17よりその外部に排気される。
【0025】ところでエアバッグ14は、可撓性、弾性を有するバッグ繋留体18を介して車体フレーム1に繋がれているため、乗員Rを拘束する位置に膨張展開して乗員への衝撃を有効に緩和することができ、またエアバッグ14の膨張展開時に、エアバッグ14の取付部にかかる引張力や剪断力を緩和することができる。
【0026】次に図9を参照してこの実施例の変型例について説明するに、この変型例では蓋体の、燃料タンクへの取付部の構造において、前記実施例と若干相違しており、図9にはその取付部の断面図が示されており、前記実施例と同一部材には同一符号が付される。
【0027】図9において燃料タンク4の左右両側面には横断面凹状の収納溝22′,22′が形成され、これらの収納溝22′,22′内に、前記バッグ繋留体18,18の延長部が収納される。また左右収納溝22′,22′の底面には、それらの開口上面を開閉する左右蓋体23′,23′が複数の止具28…により固着されている。各蓋体23′は合成樹脂材等の軟質材料により形成されてヒンジ部231 ′が一体に形成されており、このヒンジ部231 ′を支点として燃料タンク4の側方に開閉可能である。
【0028】以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。たとえばエアバッグ繋留体は、シート状、紐状、帯状、フイルム状等の場所をとらずに折畳み易い可撓性材料により形成し、また適度の弾性を有することが望ましい。また単一あるいは複数に形成してもよく、さらに単一素材あるいは複数素材をラミネートして構成してもよい。
【0029】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、乗員の前方で、車体フレームの略上方にエアバッグを膨張展開して乗員を拘束することができ、乗員への衝撃を有効に緩和することができる。またエアバッグの膨張展開時に、該エアバッグにかかる荷重を低減し、その結果エアバッグの取付強度を高めることができる。
- 【公開番号】特開平10−35564
【公開日】平成10年(1998)2月10日
【発明の名称】自動二輪車用エアバッグ装置
- 【出願番号】特願平8−195919
【出願日】平成8年(1996)7月25日
【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健 (外1名)
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