電動自転車のバッテリボックス脱着構造
- 【要約】
【目的】 単純な小型部品でバッテリボックスの車体に対するスムーズな脱着と確実な固定を実現することができるとともに、小型化とコスト削減図ることができる電動自転車のバッテリボックス脱着構造を提供すること。
【構成】 バッテリを収納したバッテリボックス32を脱着可能に取り付けて成る電動自転車において、前記バッテリボックス32の下部が部分的に装着されるカップ状のケース34を車体に固設するとともに、該ケース34の一部から板状のガイド部材37を立設せしめ、該ガイド部材37に沿ってバッテリボックス32を摺動させてこれを前記ケース34に対して脱着するよう構成する。本発明によれば、従来の大型の密閉型アウターボックスを廃し、これに代えて小型のケース34と板状のガイド部材37を用いたため、単純な小型部品でバッテリボックスの車体に対するスムーズな脱着と確実な固定を実現することができ、バッテリボックス脱着構造の小型化とコストの削減を図ることができる。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 バッテリを収納したバッテリボックスを脱着可能に取り付けて成る電動自転車において、前記バッテリボックスの下部が部分的に装着されるカップ状のケースを車体に固設するとともに、該ケースの一部から板状のガイド部材を立設せしめ、該ガイド部材に沿ってバッテリボックスを摺動させてこれを前記ケースに対して脱着するよう構成したことを特徴とする電動自転車のバッテリボックス脱着構造。
【請求項2】 前記ケース及びガイド部材はシートチューブ後方の空間に配設され、前記バッテリボックスはガイド部材及びシートチューブに沿って脱着されることを特徴とする請求項1記載の電動自転車のバッテリボックス脱着構造。
【請求項3】 前記ガイド部材はリヤフェンダに沿って前記シートチューブに対して略平行に配され、前記バッテリボックスはこれの後端面に形成されたガイド溝がガイド部材に嵌合することを特徴とする請求項2記載の電動自転車のバッテリボックス脱着構造。
【請求項4】 前記バッテリボックスはこれの前端面に形成されたガイド溝が前記シートチューブに設けられたガイド部材に嵌合することを特徴とする請求項3記載の電動自転車のバッテリボックス脱着構造。
【請求項5】 前記バッテリボックスの装着動作によって解錠し、同バッテリボックスの装着完了と同時に施錠して該バッテリボックスの前記ケースへの装着状態をロックするロック機構を設けたことを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の電動自転車のバッテリボックス脱着構造。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バッテリを収納したバッテリボックスを脱着可能に取り付けて成る電動自転車のバッテリボックス脱着構造に関する。
【0002】
【従来の技術】自走式の電動自転車の他、人力による駆動力を電動モータによる補助動力によって補う電動自転車が提案され、既に実用に供されているが、この種の電動自転車においてはバッテリを車体に搭載することが不可欠となる。
【0003】ところで、バッテリは充電時の利便性を考慮して車体に対して容易に脱着することができる構造とすることが望ましく、又、ライダーの乗降時の邪魔にならない場所に配置されるべきである。
【0004】而して、従来は例えば車体のシートチューブの車体後方位置に開閉蓋付きの略密閉型のアウターボックスを配置し、このアウターボックスに対してバッテリボックスを出し入れする構成が採用されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の構成を採用すると、バッテリ収納構造が二重構造となって大型化し易く、バッテリボックスよりも若干大きなアウターボックスが別部品として必要となるために部品コストが高くなる他、外観デザインの自由度が制限されるという問題が発生する。
【0006】本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、単純な小型部品でバッテリボックスの車体に対するスムーズな脱着と確実な固定を実現することができるとともに、小型化とコストの削減及び外観デザインの自由度の向上を図ることができる電動自転車のバッテリボックス脱着構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、バッテリを収納したバッテリボックスを脱着可能に取り付けて成る電動自転車において、前記バッテリボックスの下部が部分的に装着されるカップ状のケースを車体に固設するとともに、該ケースの一部から板状のガイド部材を立設せしめ、該ガイド部材に沿ってバッテリボックスを摺動させてこれを前記ケースに対して脱着するよう構成したことを特徴とする。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ケース及びガイド部材をシートチューブ後方の空間に配設し、前記バッテリボックスをガイド部材及びシートチューブに沿って脱着することを特徴とする。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記ガイド部材をリヤフェンダに沿って前記シートチューブに対して略平行に配し、前記バッテリボックスをこれの後端面に形成されたガイド溝がガイド部材に嵌合するようにしたことを特徴とする。
【0010】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記バッテリボックスはこれの前端面に形成されたガイド溝が前記シートチューブに設けられたガイド部材に嵌合するようにしたことを特徴とする。
【0011】請求項5記載の発明は、請求項1,2,3又は4記載の発明において、前記バッテリボックスの装着動作によって解錠し、同バッテリボックスの装着完了と同時に施錠して該バッテリボックスの前記ケースへの装着状態をロックするロック機構を設けたことを特徴とする。
【0012】従って、請求項1記載の発明によれば、従来の大型の密閉型アウターボックスを廃し、これに代えて小型のケースと板状のガイド部材を用い、バッテリボックスをガイド部材に沿って摺動させてこれをケースに対して脱着するようにしたため、単純な小型部品でバッテリボックスの車体に対するスムーズな脱着と確実な固定を実現することができ、バッテリボックス脱着構造の小型化とコストの削減を図ることができる。又、バッテリボックスはその大部分が外部に露出してそのまま外観部品を構成し、小型でコンパクトに構成されるため、電動自転車の外観デザインの自由度が高められる。
【0013】請求項2記載の発明によれば、バッテリボックスはシートチューブ後方の空間に装着されるため、その脱着作業が容易化するとともに、該バッテリボックスがライダーの乗降を妨げることがない。
【0014】請求項3記載の発明によれば、バッテリボックスは、その後端面に形成されたガイド溝がガイド部材に嵌合し、又、請求項4記載の発明によれば、バッテリボックスは更にその前端面に形成されたガイドがシートチューブに設けられたガイド部材に嵌合するため、該バッテリボックスのガイド部材及びシートチューブに沿う脱着が一層スムーズになされるとともに、装着後の当該バッテリボックスの固定がより確実に行われる。
【0015】請求項5記載の発明によれば、バッテリボックスの装着動作によってロック機構が解錠され、同バッテリボックスの装着完了と同時にロック機構が旋錠されて該バッテリボックスのケースへ装着状態がロックされるため、バッテリボックスがより確実に固定されてそのガタが小さく抑えられ、走行中の振動によるバッテリボックスの損傷が効果的に防がれる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】図1は本発明に係るバッテリボックス脱着構造を備える電動自転車の側面図、図2は図1のA−A線拡大断面図、図3はバッテリボックスの装着状態を示す電動自転車要部の破断側面図、図4はバッテリボックスの脱着状態を示す電動自転車要部の側面図、図5は図3の矢視B方向の図、図6は図3のC−C線拡大断面図、図7はケースの平面図、図8はガイド部材の正面図、図9は図8のD−D線断面図、図10はロック機構の側断面図、図11は同ロック機構の側面図、図12乃至図16はバッテリボックス脱着時のロック機構の作用を示す断面図である。
【0018】先ず、図1に基づいて電動自転車1の概略構成を説明する。
【0019】図1において、2は車体前方上部に位置するヘッドパイプであり、該ヘッドパイプ2にはハンドルステム3が回動自在に挿通している。そして、ハンドルステム3の上端にはハンドル4が結着され、同ハンドルステム3の下端にはフロントフォーク5が結着されており、該フロントフォーク5の下端部には前輪6が回転自在に軸支されている。尚、前輪6の一部はフロントフェンダ7によって覆われている。
【0020】又、前記ヘッドパイプ2からはダウンチューブ8が車体後方(図1の右方)に向かって斜め下方に延出しており、該ダウンチューブ8の略水平に延びる後端部からはシートチューブ9が車体後方に向かって斜め上方に立設されている。そして、シートチューブ9内にはシートポスト10(図3及び図4参照)が上下動自在に嵌合保持されており、該シートポスト10の上端にはシート11が回動可能に支持されている。尚、シートポスト10はクランプ60により高さ調整可能である。
【0021】ここで、シート11の支持構造を図3及び図4に基づいて説明する。
【0022】即ち、前記シートポスト10の上端にはブラケット12が結着されており、該ブラケット12には、シート11を支持するヒンジ部材13が軸14によって回動自在に支持されるとともに、ピン15が突設されている。そして、ヒンジ部材13にはL字状を成すレバー16が軸17によって回動自在に枢着されており、該レバー16はスプリング18によって一方向に付勢されている。
【0023】而して、シート11の通常の使用状態においては、レバー16の先端フック部16aが前記ピン15に係合してシート11が図3に示す水平状態に保たれている。
【0024】ところで、図1に示すように、車体の略中央下部にはパワーユニット19が板金製の取付ブラケット20を介してダウンチューブ8及びシートチューブ9に支持されている。このパワーユニット19は人力による駆動系と電動モータによる駆動系を並設して構成され、人力と補助動力を合成して出力するものであって、これにはクランク軸21が回転自在に支承されており、該クランク軸21の左右にはクランク22が取り付けられ、各クランク22の端部にはペダル23が軸支されている。尚、ダウンチューブ8とシートチューブ9との接続部周辺と取付ブラケット20及びパワーユニット19の一部は樹脂製のカバー24によって覆われている。又、図1において、61は人力の大きさに応じてモータ動力を制御するためのコントローラである。
【0025】又、ダウンチューブ8とシートチューブ9に溶接された前記取付ブラケット20からは左右一対のチェーンステイ25が車体後方に向かって延設されており、該チェーンステイ25の後端部と前記シートチューブ9の上端部とは左右一対のシートステイ26によって連結されている。そして、チェーンステイ25後端の前記シートステイ26との連結部には後輪27が回転自在に軸支されており、後輪27の一部はリヤフェンダ28によって覆われている。尚、後輪27にはホイールスプロケット29が結着されており、このホイールスプロケット29と前記パワーユニット19に設けられた不図示のドライブスプロケットとの間には無端状のチェーン30が巻装されている。又、前記シートステイ26の途中には、後輪27の回転をロックして盗難を防ぐためのホイールロック31が取り付けられている。尚、シートステイ26の前端は前記クランプ60によって共締めされている。
【0026】而して、本実施の形態に係る電動自転車1においては、シート11の下方であって、シートチューブ9とリヤフェンダ28とで囲まれる空間にバッテリボックス32が脱着可能に装着されている。
【0027】ここで、上記バッテリボックス32の脱着構造の詳細を図2乃至図4に基づいて説明する。
【0028】図2に示すように、バッテリボックス32は左右に2分割された樹脂成型品を接合一体化して矩形ボックス状に成形されており、その内部にはシュリンクパックされた複数の単電池で構成される不図示のNi−Cdバッテリが収納されている。そして、このバッテリボックス32の上部には、図3に示すように、起倒自在なハンドル33が設けられており、該ハンドル33はこれを倒して収納した状態で充電用窓62を覆うよう構成されている。又、図2及び図3に示すように、バッテリボックス32の前端面と後端面には、上下方向に連続して形成された左右のリブ32a,32bによって形成されるガイド溝32c,32dがそれぞれ上下方向に貫設されている。
【0029】一方、図3及び図4に示すように、前記取付ブラケット20の上面のシートチューブ9とリヤフェンダ28で囲まれる空間に臨む部分には、上面が開口するカップ状のケース34がビス35によって内側から取り付けられている。このケース34は樹脂にて一体成型されており、図3に示すように、該ケース34にはバッテリボックス32の下部が部分的に装着される。尚、図3及び図6に示すように、ケース34内には放電端子63が立設されており、前記バッテリボックス32をケース34に収納すると、該バッテリボックス32の底面に埋設された不図示の放電端子がケース34側の前記放電端子63に自動的に接続される。
【0030】又、上記ケース34の前面にはロック機構36が取り付けられており、同ケース34の後端面には車幅方向に長い断面矩形の差し込み孔34aが上下方向に貫設されている。そして、ケース34の差し込み孔34aには、ポリプロピレン(PP)等の軟質樹脂で一体成型された車幅方向に広い板状のガイド部材37の下端部37aが差し込まれており、該ガイド部材37はケース34の後端部からリヤフェンダ28の前面に沿ってシートチューブ9に対して略平行に斜め上方に立設されている。
【0031】上記ガイド部材37は、図4及び図9に示すように、その車幅方向中央部が車体前方に向かって凸状に湾曲しており、その上端部37bは車体後方に向かって折り返されてガイド部を構成している。そして、このガイド部材37の上部は、リヤフェンダ28に溶着された金属製ブラケット38にビス39とナット40によって取り付けられている。
【0032】而して、図4に示すように、シートチューブ9の後方には、底部がケース34によって囲まれ、前後がシートチューブ9とガイド部材37で囲まれ、且つ、上面と左右両側面が開放された空間が形成され、図3に示すように、この空間に前記バッテリボックス32が収納され、前述のようにバッテリボックス32が収納されている状態においては、該バッテリボックス32の下部はケース34に部分的に装着されている。尚、図4に示すように、シートチューブ9の上部後面には金属製のブラケット41が溶着されており、該ブラケット41には樹脂製のガイド部材42が嵌め込まれている。
【0033】次に、前記ロック機構36の構成の詳細を図10及び図11に基づいて説明する。
【0034】ロック機構36は円筒状のボディ43を有しており、該ボディ43の一端外周に形成されたフランジ部43aには2つのネジ孔44が形成され、図11に示すように、同ボディ43の軸方向中間部にはL字状の係合溝45が形成されている。そして、このボディ43内にはシリンダ46が摺動自在に嵌装されており、該シリンダ46は、これとボディ43との間に縮装された大径のスプリング47によって図10の左方(該シリンダ46がボディ43から突出する方向)に付勢されている。又、このシリンダ46内にはキー48を差し込むべき円柱状の錠部材49が嵌着されており、同シリンダ46内には錠部材49によって区画される空間Sが形成されている(図10参照)。
【0035】そして、上記錠部材49の空間Sに臨む端面にはキー48の回動操作に連動して回動する平板状の係止部材50が設けられており、この係止部材50のストッパ部50a(図11参照)は、シリンダ46に形成された溝46aを貫通してボディ43の前記係合溝45に係合している。尚、図10に示すように、係止部材50の中心部には円孔50bが穿設されている。
【0036】又、ボディ43内には、該ボディ43の一端開口部43bから出没する中空状のフック51が摺動自在に収納されており、該フック51の一端フランジ部51aは前記シリンダ46の内周部に摺動自在に嵌合しており、同フック51の他端先端部はボディ43の一端開口部43bに摺動自在に嵌合保持され、その端面はテーパ面51bを構成している。そして、このフック51は、これとスプリングホルダ52との間に縮装された小径のスプリング53によって図10の右方(該フック51がボディ43の開口部43bから突出する方向)に付勢されている。尚、スプリングホルダ52は、その端面が半球状に成形され、この半球状の端面が前記係止部材50の円孔50b部分に当接している。
【0037】而して、以上のように構成されるロック機構36は、図12に示すように、ボディ43のフランジ部43aを前記ケース34の前面に当接せしめ、ケース34に内側から挿通するビス54をボディ43のフランジ部43aに形成された前記ネジ孔44(図10参照)に螺着せしめることによって、ケース34の前面に取り付けられ、そのフック51がケース34内で出没してこれがバッテリボックス32の前面下部に形成された係合溝32aに対して係脱することによって、バッテリボックス32のケース34に対する装着状態がロック或はアンロックされる。
【0038】ところで、図3に示すようにバッテリボックス32が装着されている状態においては、該バッテリボックス32の下部がケース34によって保持されるとともに、同バッテリボックス32の前端面と後端面に各々貫設された前記ガイド溝32c,32dには、図2に示すように、前記ガイド部材42,37がそれぞれ嵌合し、更に、図3及び図12に示すようにロック機構36が施錠状態(ロック状態)にあって、フック51がバッテリボックス32の係合溝32aに係合してバッテリボックス32のケース34への装着状態がロックされているため、該バッテリボックス32が確実に固定されてそのガタが小さく抑えられ、走行中の振動によるバッテリボックス32の損傷が効果的に防がれる。
【0039】尚、ロック機構36が施錠状態にあるときには、シリンダ46がボディ43内に押し込まれており、このとき、フック51はシリンダ46の押圧力をスプリングホルダ52とスプリング53を介して伝達されるためにシリンダ46と共に移動して図示のようにボディ43の開口部43bから突出し、バッテリボックス32の係合溝32aに係合して該バッテリボックス32の装着状態をロックする。そして、このロック状態においては、図11に示す係止部材50のストッパ部50aはボディ43に形成された係合溝45の鍵状部分45aに係合している。
【0040】而して、バッテリの充電のためにバッテリボックス32を取り外すには、先ず、ロック機構36を解錠してバッテリボックス32の装着状態のロックを解除する。即ち、図13に示すようにキー48を錠部材49に差し込んでこれを矢印方向に回動させると、係止部材50が同方向に回動してそのストッパ部50aがボディ43の係合溝45の鍵状部分45aから外れるため、シリンダ46はスプリング47の付勢力によって図14に示すように移動してストッパ部50aが係合溝45の端面に当接するまでボディ43から突出する。すると、スプリング53によって図14の右方に付勢されたフック51はその一端フランジ部51aがシリンダ46に当接しているため、シリンダ46と共に同方向に移動してバッテリボックス32の係合溝32aとの係合が解除される。
【0041】上記ロック機構36の解錠の後、或は以前に図4に示すように、シート11を前方に倒してバッテリボックス32の上方を開放するが、この操作は次のようにしてなされる。
【0042】即ち、図3に示す通常使用状態にあるシート11において、レバー16をスプリング18の付勢力に抗して押し上げてこれを軸17を中心として図3の反時計方向に回動させると、該レバー16の先端フック部16aのピン15との係合が解除され、ヒンジ部材13とこれに支持されたシート11を軸14を中心として反時計方向に回動せしめることができ、図4に示すようにシート11を前方に倒してバッテリボックス32の上方を開放することができる。
【0043】以上のようにしてロック機構36が解錠され、シート11が前方に倒されてバッテリボックス32の上方が開放されると、バッテリボックス32の上部に設けられたハンドル33を起こしてこれを把持し、該バッテリボックス32をガイド部材37に沿って上方に引くことによってこれを容易に取り外すことができるが、このとき、バッテリボックス32の前面に貫設されたガイド溝32cもガイド部材42に嵌合しているため、該バッテリボックス32はガタ付くことなくスムーズに上方に持ち上げられて取り外される。
【0044】而して、本実施の形態においては、図14に示すロック機構36の解錠状態においては、キー48を錠部材49から抜くことができず、従って、ユーザーはバッテリボックス32を取り外した後には、キー48を差したままシリンダ46をボディ43に押し込んだ後にキー48を回してロック機構36を施錠する。すると、キー48を抜くことができるため、バッテリボックス32を取り外してバッテリを充電する際には、ロック機構36は図15に示す施錠状態にある。そして、この施錠状態においては、フック51は単独にスプリング53の付勢力に抗して自由に摺動することができる。
【0045】その後、バッテリの充電が終了してバッテリボックス32を再び装着する際には、図4に示す状態においてバッテリボックス32をガイド部材37に沿って摺動させてこれの下部をケース34に部分的に装着せしめれば良い。
【0046】即ち、バッテリボックス32の後面をガイド部材37の上端ガイド部37bに当てて該バッテリボックス32をガイド部材37に沿って押し下げると、バッテリボックス32の前端面と後端面に貫設されたガイド溝32c,32dがガイド部材42,37にそれぞれ嵌合するため、バッテリボックス32は両ガイド部材42,37にガイドされながらガタなくスムーズに摺動する。
【0047】そして、図16に示すように、バッテリボックス32の下端部がロック機構36のフック51の先端テーパ面51bに当接すると、前述のようにフック51はスプリング53に抗して単独で自由に摺動することができる状態にあるため、楔作用によってフック51がバッテリボックス32から図16において左方の力を受けて同方向に摺動し、バッテリボックス32の装着動作によってロック機構36が解錠され、バッテリボックス32の装着動作はそのまま継続される。そして、バッテリボックス32の係合溝32aの底面32a−1がフック51の底面を通過した時点でフック51に作用する力が開放されるため、該フック51はスプリング53の付勢力によって元の位置に戻って図に示すようにバッテリボックス32の係合溝32aに係合し、ロック機構36は再び施錠状態となってバッテリボックス32のケース34への装着状態をロックする。
【0048】而して、本実施の形態においては、ロック機構36を何ら操作することなくバッテリボックス32を装着するだけで、施錠状態にあるロック機構36がバッテリボックス32の装着動作によって解錠された後に再び施錠されるため、バッテリボックス32の装着作業が極めて単純化される。
【0049】以上のように、本発明に係る脱着構造においては、従来の大型の密閉型アウターボックスを廃し、これに代えて小型のケース34と板状のガイド部材37を用い、バッテリボックス32をガイド部材37に沿って摺動させてこれをケース34に対して脱着するようにしたため、単純な小型部品でバッテリボックス32の車体に対するスムーズな脱着と確実な固定を実現することができ、バッテリボックス脱着構造の小型化とコストの削減を図ることができる。又、バッテリボックス32はその大部分が外部に露出してそのまま外観部品を構成し、小型でコンパクトに構成されるため、電動自転車1の外観デザインの自由度が高められる。
【0050】又、バッテリボックス32はシートチューブ9後方の空間に装着されるため、その脱着作業が容易化するとともに、該バッテリボックス32がライダーの乗降を妨げることがない。
【0051】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、請求項1記載の発明によれば、従来の大型の密閉型アウターボックスを廃し、これに代えて小型のケースと板状のガイド部材を用い、バッテリボックスをガイド部材に沿って摺動させてこれをケースに対して脱着するようにしたため、単純な小型部品でバッテリボックスの車体に対するスムーズな脱着と確実な固定を実現することができ、バッテリボックス脱着構造の小型化とコストの削減を図ることができる。又、バッテリボックスはその大部分が外部に露出してそのまま外観部品を構成し、小型でコンパクトに構成されるため、電動自転車の外観デザインの自由度が高められるという効果が得られる。
【0052】請求項2記載の発明によれば、バッテリボックスはシートチューブ後方の空間に装着されるため、その脱着作業が容易化するとともに、該バッテリボックスがライダーの乗降を妨げることがない。
【0053】請求項3記載の発明によれば、バッテリボックスは、その後端面に形成されたガイド溝がガイド部材に嵌合し、又、請求項4記載の発明によれば、バッテリボックスは更に、その前端面に形成されたガイドがシートチューブに設けられたガイド部材に嵌合するため、該バッテリボックスのガイド部材及びシートチューブに沿う脱着が一層スムーズになされるとともに、装着後の当該バッテリボックスの固定がより確実に行われるという効果が得られる。
【0054】請求項5記載の発明によれば、バッテリボックスの装着動作によってロック機構が解錠され、同バッテリボックスの装着完了と同時にロック機構が旋錠されて該バッテリボックスのケースへ装着状態がロックされるため、バッテリボックスがより確実に固定されてそのガタが小さく抑えられ、摺動によるバッテリボックスの損傷が効果的に防がれるという効果が得られる。
- 【公開番号】特開平10−45075
【公開日】平成10年(1998)2月17日
【発明の名称】電動自転車のバッテリボックス脱着構造
- 【出願番号】特願平8−201422
【出願日】平成8年(1996)7月31日
【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一
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