脱着式バッテリボックスのロック機構
- 【要約】
【目的】 キー操作を要することなく、バッテリボックスを片手で容易に装着することができるようにした脱着式バッテリボックスのロック機構を提供すること。
【構成】 脱着式バッテリボックス32のロック機構36において、フック51をシリンダ46に対して移動可能に支持するとともに、突出方向に付勢し、該フック51の先端部にテーパ面51bを形成することによって、施錠状態におけるバッテリボックス32の装着動作によって解錠し、同バッテリボックス32の装着完了と同時に施錠するようにする。本発明によれば、バッテリボックス32を取り外した後にロック機構36を施錠状態にしておけば、以後のバッテリボックス32の装着時にはその装着動作によってロック機構36が自動的に解錠されて該バッテリボックス32が装着され、このバッテリボックス32の装着が終了すると同時に施錠されるために面倒なキー操作が不要となり、バッテリボックス32を片手で容易に装着することができる。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 キー操作によってボディ内を可動なシリンダと、該シリンダの動作に追従して前記ボディから出没することによってバッテリボックスの係合溝に係脱するフックを含んで構成される脱着式バッテリボックスのロック機構において、前記フックを前記シリンダに対して移動可能に支持するとともに、突出方向に付勢し、該フックの先端部にテーパ面を形成することによって、施錠状態における前記バッテリボックスの装着動作によって解錠し、同バッテリボックスの装着完了と同時に施錠するようにしたことを特徴とする脱着式バッテリボックスのロック機構。
【請求項2】 施錠状態においてのみ前記キーを前記シリンダから抜くことができるよう構成したことを特徴とする請求項1記載の脱着式バッテリボックスのロック機構。
【請求項3】 前記キーを前記脱着式バッテリボックスを備える電動自転車に設けられたホイールロックにも共用するとともに、該ホイールロックが施錠状態にあるときのみキーをホイールロックのシリンダから抜くことができるよう構成したことを特徴とする請求項2記載の脱着式バッテリボックスのロック機構。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バッテリを収納した脱着式バッテリボックスのロック機構に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電動自転車が提案されて既に実用に供されているが、この電動自転車は人力による駆動力を電動モータによる補助動力によって補うものであって、これにはバッテリの搭載が不可欠である。
【0003】ところで、バッテリは充電時の利便性を考慮して車体に対して容易に脱着することができる構造とすることが望ましく、又、ライダーの乗降時の邪魔にならない場所に配置されるべきである。
【0004】而して、斯かる電動自転車の中にはバッテリをバッテリボックス内に収納し、バッテリボックスを車体に対して脱着可能に装着するようにしたものが知られているが、この種の電動自転車にあっては、バッテリボックスの盗難防止のために該バッテリボックスの装着状態をロックするためのロック機構が設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のロック機構においては、バッテリボックスを取り外す解錠時のみならず、同バッテリボックスを装着する施錠時にもキー操作が必要であり、バッテリボックスの装着又は取り外しの少なくとも一方においては両手による作業が不可欠であったため、該バッテリボックスの脱着作業が面倒であり、特にバッテリボックスをワンタッチで容易に装着することができないという問題があった。
【0006】本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、キー操作を要することなく、バッテリボックスを片手で容易に脱着することができるようにした脱着式バッテリボックスのロック機構を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、キー操作によってボディ内を可動なシリンダと、該シリンダの動作に追従して前記ボディから出没することによってバッテリボックスの係合溝に係脱するフックを含んで構成される脱着式バッテリボックスのロック機構において、前記フックを前記シリンダに対して移動可能に支持するとともに、突出方向に付勢し、該フックの先端部にテーパ面を形成することによって、施錠状態における前記バッテリボックスの装着動作によって解錠し、同バッテリボックスの装着完了と同時に施錠するようにしたことを特徴とする。
【0008】又、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、施錠状態においてのみ前記キーを前記シリンダから抜くことができるよう構成したことを特徴とする。
【0009】更に、請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記キーを前記脱着式バッテリボックスを備える電動自転車に設けられたホイールロックにも共用するとともに、該ホイールロックが施錠状態にあるときのみキーをホイールロックのシリンダから抜くことができるよう構成したことを特徴とする。
【0010】従って、請求項1記載の発明によれば、バッテリボックスを取り外した後にロック機構を施錠状態にしておけば、以後のバッテリボックスの装着時にはその装着動作によってロック機構が自動的に解錠されて該バッテリボックスが装着され、このバッテリボックスの装着が終了すると同時に施錠されるために面倒なキー操作が不要となり、バッテリボックスを片手で容易に装着することができる。
【0011】又、請求項2記載の発明によれば、例えばバッテリの充電のためにバッテリボックスを取り外した後にキーを抜くにはロック機構を施錠状態とする必要があるため、請求項1記載の発明と同様にそれ以後のバッテリボックスの装着をワンタッチで容易に行うことができるとともに、バッテリボックスのロック忘れを確実に防ぐことができる。
【0012】更に、請求項3記載の発明によれば、ホイールロックを施錠しないとキーを抜くことができないためにバッテリボックスを取り外すことができず、従って、バッテリ充電時の電動自転車の盗難が防がれ、又、バッテリボックスのロック機構を施錠しないとキーを抜いてホイールロックを解錠することができないため、バッテリボックスのロック忘れを確実に防ぐことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】図1は本発明に係るロック機構を備える電動自転車の側面図、図2は図1のA−A線拡大断面図、図3はバッテリボックスの装着状態を示す電動自転車要部の破断側面図、図4はバッテリボックスの脱着状態を示す電動自転車要部の側面図、図5は本発明に係るロック機構の側断面図、図6は同ロック機構の側面図、図7乃至図11はバッテリボックス脱着時のロック機構の作用を示す断面図である。
【0015】先ず、図1に基づいて電動自転車1の概略構成を説明する。
【0016】図1において、2は車体前方上部に位置するヘッドパイプであり、該ヘッドパイプ2にはハンドルステム3が回動自在に挿通している。そして、ハンドルステム3の上端にはハンドル4が結着され、同ハンドルステム3の下端にはフロントフォーク5が結着されており、該フロントフォーク5の下端部には前輪6が回転自在に軸支されている。尚、前輪6の一部はフロントフェンダ7によって覆われている。
【0017】又、前記ヘッドパイプ2からはダウンチューブ8が車体後方(図1の右方)に向かって斜め下方に延出しており、該ダウンチューブ8の略水平に延びる後端部からはシートチューブ9が車体後方に向かって斜め上方に立設されている。そして、シートチューブ9内にはシートポスト10(図3及び図4参照)が上下動自在に嵌合保持されており、該シートポスト10の上端にはシート11が回動可能に支持されている。ここで、シート11の支持構造を図3及び図4に基づいて説明する。
【0018】即ち、前記シートポスト10の上端にはブラケット12が結着されており、該ブラケット12には、シート11を支持するヒンジ部材13が軸14によって回動自在に支持されるとともに、ピン15が突設されている。そして、ヒンジ部材13にはL字状を成すレバー16が軸17によって回動自在に枢着されており、該レバー16はスプリング18によって一方向に付勢されている。
【0019】而して、シート11の通常の使用状態においては、レバー16の先端フック部16aが前記ピン15に係合してシート11が図3に示す水平状態に保たれている。
【0020】ところで、図1に示すように、車体の略中央下部にはパワーユニット19が板金製の取付ブラケット20を介してダウンチューブ8及びシートチューブ9に支持されている。このパワーユニット19は人力による駆動系と電動モータによる駆動系を並設して構成され、これにはクランク軸21が回転自在に支承されており、該クランク軸21の左右にはクランク22が取り付けられ、各クランク22の端部にはペダル23が軸支されている。尚、ダウンチューブ8とシートチューブ9との接続部周辺と取付ブラケット20及びパワーユニット19の一部は樹脂製のカバー24によって覆われている。
【0021】又、前記取付ブラケット20からは左右一対のチェーンステイ25が車体後方に向かって延設されており、該チェーンステイ25の後端部と前記シートチューブ9の上端部とは左右一対のシートステイ26によって連結されている。そして、チェーンステイ25後端の前記シートステイ26との連結部には後輪27が回転自在に軸支されており、後輪27の一部はリヤフェンダ28によって覆われている。尚、後輪27にはホイールスプロケット29が結着されており、このホイールスプロケット29と前記パワーユニット19に設けられた不図示のドライブスプロケットとの間には無端状のチェーン30が巻装されている。又、前記シートステイ26の途中には、後輪27の回転をロックして盗難を防ぐためのホイールロック31が取り付けられている。尚、図2に示すように、ホイールロック31にはこれを施錠するためのロック機構55が設けられており、該ロック機構55のシリンダ56には後述のキー48(図5及び図6参照)を差し込むべきキー溝56aが開口している。
【0022】而して、本実施の形態に係る電動自転車1においては、シート11の下方であって、シートチューブ9とリヤフェンダ28とで囲まれる空間にバッテリボックス32が脱着可能に装着されている。
【0023】ここで、上記バッテリボックス32の脱着構造の詳細を図2乃至図4に基づいて説明する。
【0024】図2に示すように、バッテリボックス32は左右に2分割された樹脂成型品を接合一体化して矩形ボックス状に成形されており、その内部にはシュリンクパックされた複数の単電池で構成される不図示のNi−Cdバッテリが収納されている。そして、このバッテリボックス32の上部には、図3に示すように、起倒自在なハンドル33が設けられている。又、図2に示すように、バッテリボックス32の前端面と後端面には、左右のリブ32a,32bによって形成されるガイド溝32c,32dがそれぞれ上下方向に貫設されている。
【0025】一方、図3及び図4に示すように、前記取付ブラケット20の上面のシートチューブ9とリヤフェンダ28で囲まれる空間に臨む部分には、上面が開口するカップ状のケース34がビス35によって内側から取り付けられている。このケース34は樹脂にて一体成型されており、図3に示すように、該ケース34にはバッテリボックス32の下部が部分的に装着される。
【0026】又、上記ケース34の前面にはロック機構36が取り付けられており、同ケース34の後端面には車幅方向に長い断面矩形の差し込み孔34aが上下方向に貫設されている。そして、ケース34の差し込み孔34aには、ポリプロピレン(PP)等の軟質樹脂で一体成型された車幅方向に広い板状のガイド部材37の下端部37aが差し込まれており、該ガイド部材37はケース34の後端部からリヤフェンダ28の前面に沿ってシートチューブ9に対して略平行に斜め上方に立設されている。
【0027】上記ガイド部材37は、図4に示すように、その車幅方向中央部が車体前方に向かって凸状に湾曲しており、その上端部37bは車体後方に向かって折り返されてガイド部を構成している。そして、このガイド部材37の上部は、リヤフェンダ28に溶着された金属製ブラケット38にビス39とナット40によって取り付けられている。
【0028】而して、図4に示すように、シートチューブ9の後方には、底部がケース34によって囲まれ、前後がシートチューブ9とガイド部材37で囲まれ、且つ、上面と左右両側面が開放された空間が形成され、図3に示すように、この空間に前記バッテリボックス32が収納され、前述のようにバッテリボックス32が収納されている状態においては、該バッテリボックス32の下部はケース34に部分的に装着されている。尚、図4に示すように、シートチューブ9の上部後面には金属製のブラケット41が溶着されており、該ブラケット41には樹脂製のガイド部材42が嵌め込まれている。
【0029】次に、本発明に係る前記ロック機構36の構成の詳細を図5及び図6に基づいて説明する。
【0030】ロック機構36は円筒状のボディ43を有しており、該ボディ43の一端外周に形成されたフランジ部43aには2つのネジ孔44が形成され、図6に示すように、同ボディ43の軸方向中間部にはL字状の係合溝45が形成されている。そして、このボディ43内にはシリンダ46が摺動自在に嵌装されており、該シリンダ46は、これとボディ43との間に縮装された大径のスプリング47によって図5の左方(該シリンダ46がボディ43から突出する方向)に付勢されている。又、このシリンダ46内にはキー48を差し込むべき円柱状の錠部材49が嵌着されており、同シリンダ46内には錠部材49によって区画される空間Sが形成されている(図5参照)。
【0031】そして、上記錠部材49の空間Sに臨む端面にはキー48の回動操作に連動して回動する平板状の係止部材50が設けられており、この係止部材50のストッパ部50a(図6参照)は、シリンダ46に形成された溝46aを貫通してボディ43の前記係合溝45に係合している。尚、図5に示すように、係止部材50の中心部には円孔50bが穿設されている。
【0032】又、ボディ43内には、該ボディ43の一端開口部43bから出没する中空状のフック51が摺動自在に収納されており、該フック51の一端フランジ部51aは前記シリンダ46の内周部に摺動自在に嵌合しており、同フック51の他端先端部はボディ43の一端開口部43bに摺動自在に嵌合保持され、その端面はテーパ面51bを構成している。そして、このフック51は、これとスプリングホルダ52との間に縮装された小径のスプリング53によって図5の右方(該フック51がボディ43の開口部43bから突出する方向)に付勢されている。尚、スプリングホルダ52は、その端面が半球状に成形され、この半球状の端面が前記係止部材50の円孔50b部分に当接している。
【0033】而して、以上のように構成されるロック機構36は、図7に示すように、ボディ43のフランジ部43aを前記ケース34の前面に当接せしめ、ケース34に内側から挿通するビス54をボディ43のフランジ部43aに形成された前記ネジ孔44(図5参照)に螺着せしめることによって、ケース34の前面に取り付けられ、そのフック51がケース34内で出没してこれがバッテリボックス32の前面下部に形成された係合溝32aに対して係脱することによって、バッテリボックス32のケース34に対する装着状態がロック或はアンロックされる。
【0034】ところで、図3に示すようにバッテリボックス32が装着されている状態においては、該バッテリボックス32の下部がケース34によって保持されるとともに、同バッテリボックス32の前端面と後端面に各々貫設された前記ガイド溝32c,32dには、図2に示すように、前記ガイド部材42,37がそれぞれ嵌合し、更に、図3及び図7に示すようにロック機構36が施錠状態(ロック状態)にあって、フック51がバッテリボックス32の係合溝32aに係合してバッテリボックス32のケース34への装着状態がロックされているため、該バッテリボックス32が確実に固定されてそのガタが小さく抑えられ、振動によるバッテリボックス32の損傷が効果的に防がれる。
【0035】尚、ロック機構36が施錠状態にあるときには、シリンダ46がボディ43内に押し込まれており、このとき、フック51はシリンダ46の押圧力をスプリングホルダ52とスプリング53を介して伝達されるためにシリンダ46と共に移動して図示のようにボディ43の開口部43bから突出し、バッテリボックス32の係合溝32aに係合して該バッテリボックス32の装着状態をロックする。そして、このロック状態においては、図6に示す係止部材50のストッパ部50aはボディ43に形成された係合溝45の鍵状部分45aに係合している。
【0036】而して、バッテリの充電のためにバッテリボックス32を取り外すには、先ず、ロック機構36を解錠してバッテリボックス32の装着状態のロックを解除する。即ち、図8に示すようにキー48を錠部材49に差し込んでこれを矢印方向に回動させる。ここで、キー48は前記ホイールロック31にも共用され、これはホイールロック31を施錠状態としなければシリンダ56のキー溝56a(図2参照)から抜くことができない。
【0037】前述のようにキー48を図8の矢印方向に回すと、係止部材50が同方向に回動してそのストッパ部50aがボディ43の係合溝45の鍵状部分45aから外れるため、シリンダ46はスプリング47の付勢力によって図9に示すように移動してボディ43から突出する。すると、スプリング53によって図9の右方に付勢されたフック51はその一端フランジ部51aがシリンダ46に当接しているため、シリンダ46と共に同方向に移動してバッテリボックス32の係合溝32aとの係合が解除される。
【0038】上記ロック機構36の解錠の後、或は以前に図4に示すように、シート11を前方に倒してバッテリボックス32の上方を開放するが、この操作は次のようにしてなされる。
【0039】即ち、図3に示す通常使用状態にあるシート11において、レバー16をスプリング18の付勢力に抗して押し上げてこれを軸17を中心として図3の反時計方向に回動させると、該レバー16の先端フック部16aのピン15との係合が解除され、ヒンジ部材13とこれに支持されたシート11を軸14を中心として反時計方向に回動せしめることができ、図4に示すようにシート11を前方に倒してバッテリボックス32の上方を開放することができる。
【0040】以上のようにしてロック機構36が解錠され、シート11が前方に倒されてバッテリボックス32の上方が開放されると、バッテリボックス32の上部に設けられたハンドル33を起こしてこれを把持し、該バッテリボックス32をガイド部材37に沿って上方に引くことによってこれを容易に取り外すことができるが、このとき、バッテリボックス32の前面に貫設されたガイド溝32cもガイド部材42に嵌合しているため、該バッテリボックス32はガタ付くことなくスムーズに上方に持ち上げられて取り外される。
【0041】而して、本実施の形態においては、図9に示すロック機構36の解錠状態においては、キー48を錠部材49から抜くことができず、従って、ユーザーはバッテリボックス32を取り外した後には、キー48を差したままシリンダ46をボディ43に押し込んだ後にキー48を回してロック機構36を施錠する。すると、キー48を抜くことができるため、バッテリボックス32を取り外してバッテリを充電する際には、ロック機構36は図10に示す施錠状態にある。そして、この施錠状態においては、フック51は単独にスプリング53の付勢力に抗して自由に摺動することができる。
【0042】その後、バッテリの充電が終了してバッテリボックス32を再び装着する際には、図4に示す状態においてバッテリボックス32をガイド部材37に沿って摺動させてこれの下部をケース34に部分的に装着せしめれば良い。
【0043】即ち、バッテリボックス32の後面をガイド部材37の上端ガイド部37bに当てて該バッテリボックス32をガイド部材37に沿って押し下げると、バッテリボックス32の前端面と後端面に貫設されたガイド溝32c,32dがガイド部材42,37にそれぞれ嵌合するため、バッテリボックス32は両ガイド部材42,37にガイドされながらガタなくスムーズに摺動する。
【0044】そして、図11に示すように、バッテリボックス32の下端部がロック機構36のフック51の先端テーパ面51bに当接すると、前述のようにフック51はスプリング53に抗して単独で自由に摺動することができる状態にあるため、楔作用によってフック51がバッテリボックス32から図11において左方の力を受けて同方向に摺動し、バッテリボックス32の装着動作によってロック機構36が解錠され、バッテリボックス32の装着動作はそのまま継続される。そして、バッテリボックス32の係合溝32aの底面32a−1がフック51の底面を通過した時点でフック51に作用する力が開放されるため、該フック51はスプリング53の付勢力によって元の位置に戻って図に示すようにバッテリボックス32の係合溝32aに係合し、ロック機構36は再び施錠状態となってバッテリボックス32のケース34への装着状態をロックする。
【0045】而して、本実施の形態においては、ロック機構36を何ら操作することなくバッテリボックス32を装着するだけで、施錠状態にあるロック機構36がバッテリボックス32の装着動作によって解錠された後に再び施錠されるため、バッテリボックス32の装着作業にキー48の操作が不要となってバッテリボックス32を片手で容易に装着することができ、その装着作業が極めて単純化される。
【0046】又、本実施の形態においては、バッテリの充電のためにバッテリボックス32を取り外した後にキー48を抜くにはロック機構36を施錠状態とする必要があるため、前述と同様にそれ以後のバッテリボックス32の装着をワンタッチで容易に行うことができるとともに、バッテリボックス32のロック忘れを確実に防ぐことができる。
【0047】更に、本実施の形態では、ホイールロック31を施錠しないとキー48を抜くことができないためにバッテリボックス32を取り外すことができず、従って、バッテリ充電時の電動自転車1の盗難が防がれ、又、バッテリボックス32のロック機構36を施錠しないとキー48を抜いてホイールロック31を解錠することができないため、バッテリボックス32のロック忘れを確実に防ぐことができる。
【0048】ところで、図1に示すように、後輪27のスポークに例えば磁石60を取り付け、前記ホイールロック31に内蔵された不図示のセンサーによって磁石60の磁気を検出することによって後輪27の回転数を検出するようにすれば、電動自転車1の車速を直接高精度に検出することができる。
【0049】尚、以上はロック機構を特に電動自転車に搭載される脱着式バッテリボックスに適用した例について述べたが、本発明はその他任意の脱着式バッテリボックスに対して適用可能である。
【0050】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明によれば、キー操作によってボディ内を可動なシリンダと、該シリンダの動作に追従して前記ボディから出没することによってバッテリボックスの係合溝に係脱するフックを含んで構成される脱着式バッテリボックスのロック機構において、前記フックを前記シリンダに対して移動可能に支持するとともに、突出方向に付勢し、該フックの先端部にテーパ面を形成することによって、施錠状態における前記バッテリボックスの装着動作によって解錠し、同バッテリボックスの装着完了と同時に施錠するようにしたため、キー操作を要することなく、バッテリボックスを片手で容易に装着することができるという効果が得られる。
- 【公開番号】特開平10−45076
【公開日】平成10年(1998)2月17日
【発明の名称】脱着式バッテリボックスのロック機構
- 【出願番号】特願平8−201630
【出願日】平成8年(1996)7月31日
【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一
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