スポンサード リンク
高負荷伝動ベルト
スポンサード リンク
- 【要約】
【課題】 ダイキャスト工法やMIM工法で複雑形状の補強材であっても簡単に成形することができ、かつ軽量化を実現した高負荷伝動ベルトを提供する。
【解決手段】 センターベルトに嵌合係止した複数のブロックからなる高負荷伝動ベルトであり、ブロックは金属製の補強材と、該補強材の側面を樹脂で被覆した構成からなるとともに、ブロックの前面にガイド凸部と背面にガイド穴を設けており、前記補強材には軽量化を目的とした貫通孔もしくは凹部を設けた。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 心線をエラストマー中に埋設した無端のセンターベルトと該センターベルトに嵌合係止した複数のブロックからなる高負荷伝動ベルトにおいて、ブロックは金属製の補強材と、該補強材の少なくともVプーリと当接する側面を樹脂で被覆した構成からなり、前記補強材には軽量化を目的とした空所を設けたことを特徴とする高負荷伝動ベルト。
【請求項2】 ブロックの前面にはガイド凸部を設けて背面には該ガイド凸部が嵌入するガイド穴を設けており、ガイド凸部とガイド穴の両方もしくはいずれか片方の少なくとも表面に潤滑性樹脂層を設けた請求項1記載の高負荷伝動ベルト。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エラストマー製のセンターベルトと耐側圧を補強するブロックからなる高負荷伝動用に供するベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から無段変速装置等の高負荷伝動を要求される用途としてに適用されるベルトとして、ゴム製Vベルト、また、特開昭55−100443号公報のような金属ベルトが提案されている。しかしゴム製Vベルトでは高負荷用のものであっても最大面圧が10kg/cm2 程度であり、それ以上のトルクのかかる用途であるとゴム製Vベルトが高側圧に耐えられず座屈変形してしまう。
【0003】金属ベルトは耐側圧性に優れており、かなりの高側圧に耐えることができるので座屈変形することはないが、一般的に変速プーリは鉄やアルミニウム合金などの金属材料で構成されているために、金属ベルトはプーリとの当接面の焼きつきや摩耗を防止するために、断えずオイルを供給しながら走行させなければならない。そうなるとオイルを供給するための装置を設けなければならないので、ベルトの伝動装置としては大型のものにならざるを得ない。
【0004】そこで、オイルによる潤滑の不要な乾式のベルトであるとともに高負荷にも耐えうるベルトとして心体を埋設したゴムベルトに硬質の樹脂等からなるブロックを固定してベルト幅方向の強度を高め耐久性を向上させたベルトも多数提案されている。
【0005】そのようなブロック固定式のベルトには、例えば特公昭62−7418号公報に開示されるようなブロックの両側面にそれぞれスロット部を設け、そのスロット部にゴム製のベルト挿入したものがある。
【0006】また、他の例として、実開昭63−150136号公報に示すような心線を埋設したゴム製のベルトの両面に上ブロックと下ブロックをそれぞれあてがいボルトやリベット等の止着材で固定したものがある。
【0007】上記各ベルトのブロックは、樹脂のみからなるものや織布、カットファイバーで補強した樹脂、また、繊維材料で補強した硬質の樹脂を補強材とし周囲に比較的軟質の樹脂を被覆したブロックが用いられていた。しかし、ベルトに対する要求負荷が大きくなってくるにつれて、樹脂のみからなるブロックはもちろんのこと、繊維材料で補強した樹脂を用いたとしても、耐側圧性が不足し、伝達性の不足や耐久性の不足によりベルトが座屈してしまうという問題があった。
【0008】そこで、金属材料を補強材として用いることによってブロックの補強効果を増し、耐側圧性に優れたベルトが提案されている(実開昭62−162434号公報)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ブロックの金属製の補強材を成形する方法として、プレス打ち抜き工法、ダイキャスト工法、MIM工法などがあるが、ブロックの形状が多様化しており複雑な形状の補強材を成形する場合にはダイキャスト工法やMIM工法に頼る必要がある。
【0010】プレス成形であると比較的軽量なアルミ合金の成形が可能であるが、ダイキャスト工法では亜鉛合金に限られ、MIM工法ではSUSに材質が限られてしまうため、アルミと比べて比重の高いものとなる。よってブロックの重量も増大してしまいベルトの高速回転時に振動、騒音、遠心張力増大によるベルト切断などの問題が発生する。また、金属製の補強材を用いる場合、センターベルト上でブロックを整列させるためのガイド凸部とガイド穴をそのまま金属が露出した構成としてしまうと摩耗、焼き付きなどの問題がある。
【0011】そこで本発明は、ダイキャスト工法やMIM工法を使って複雑形状の補強材であっても簡単に成形することができ、かつ軽量化を実現し、また、ベルト走行中のブロックの整列がよく、ガイド凸部やガイド穴が早期に摩耗しない高負荷伝動ベルトの提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような目的を達成するために心線をエラストマー中に埋設した無端のセンターベルトと該センターベルトに嵌合係止した複数のブロックからなる高負荷伝動ベルトにおいて、ブロックは金属製の補強材と、該補強材の少なくともVプーリと当接する側面を樹脂で被覆した構成からなり、前記補強材には軽量化を目的とした空所を設けたことを特徴とする。
【0013】また、ブロックの前面にはガイド凸部を設けて背面には該ガイド凸部が嵌入するガイド穴を設けており、ガイド凸部とガイド穴の両方もしくはいずれか片方の少なくとも表面に潤滑性樹脂層を設けることも本発明に含まれる。
【0014】
【作用】本発明では、ブロックを金属製の補強材と、該補強材の少なくともVプーリと当接する側面を樹脂で被覆した構成からなるとともに、ブロックの前面にはガイド凸部を設けて背面には該ガイド凸部が嵌入するガイド穴を設けており、前記補強材には軽量化を目的とした貫通孔もしくは凹部を設けた構成としているので、ブロックが軽量化されており、ベルトの走行中に振動、騒音、遠心張力増大によるベルト切断などの問題の発生を防止できるとともに、ガイド凸部やガイド穴の摩耗も防止でき、走行安定性と耐久性に優れたベルトを得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は本発明の高負荷伝動ベルトの斜視図、図2は図1におけるA−A断面図、図3はブロックの背面斜視図である。
【0016】本発明の高負荷伝動ベルト1は、エラストマー2内に心体3をスパイラル状に埋設してなるセンターベルト4とセンターベルト4の長手方向に複数嵌合配置するブロック5からなる。ブロック5は、上ビーム部6と下ビーム部7をサイドピラ8で連結した構造からなり、該ブロックの両側の側面であるVプーリのV溝対向面5a、5bの一方に開口部9を持つセンターベルト嵌合溝10を有する略コ字形状であり、V溝対向面の5a、5bは傾斜しておりVプーリの溝角度に合わせた角度を持っている。また、ブロック5は左右非対象形状であることからベルト1全体でバランスをとるために、センターベルト4に対して左右交互に嵌合している。
【0017】また、前記開口部9において嵌合溝の幅が狭くなったセンターベルト抜け防止部11、12を形成し、またブロック5の前面13にはガイド凸部14を設けて背面15には該ガイド凸部14が嵌入するガイド穴16を設けており、ガイド凸部14をガイド穴16に嵌入することによってセンターベルト上でベルト走行中にブロック5が乱れずに整列させる効果を有している。
【0018】また、センターベルト4には上面および下面の少なくとも一方に一定ピッチの嵌合凹部もしくは嵌合凸部17を有し、ブロック5の嵌合溝10にも嵌合凸部もしくは嵌合凹部18有しており、センターベルト4の嵌合凹部もしくは嵌合凸部17とブロック5の嵌合溝10の嵌合凸部もしくは嵌合凹部18とが噛み合うことによってブロック5とセンターベルト4がベルト長さ方向には固定されベルト幅方向には脱着可能となっている。
【0019】前記のセンターベルト4を構成するエラストマー2として使用されるものは、NR(天然ゴム)、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、ハイパロン(クロロスルフォン化ポリエチレン)、HNBR(水素化ニトリルゴム)、不飽和カルボン酸金属塩を含有させたHNBR等のゴムの単一材またはこれらのブレンド物からなるゴム配合物やポリウレタン樹脂等でが挙げられる。
【0020】そして、エラストマー2内にスパイラル状に埋設する心体3としては、ポリアミド、ポリエステル、アラミド等の合成繊維、あるいはスチールコード、ガラス繊維コード、カーボン繊維コード等の無機繊維の単体からなるコードやこれらの混紡からなる撚りコード、織物などが用いられる。
【0021】また、ブロック5は金属製の補強材19と該補強材の少なくともVプーリと当接する側面を樹脂20で被覆した構成からなり、補強材19を構成する金属としては亜鉛合金やSUSなどが挙げられ、ダイキャスト工法やMIM工法で所定形状に成形したものである。また、上ビーム部6の前面中央付近にはガイド凸部14が、背面中央付近にはガイド穴16が形成されており、上ビーム部6と下ビーム部7にはそれぞれ複数の貫通孔である空所21が開けられている。
【0022】また、前記空所21は、軽量化のために設けるものであり、必ずしも貫通孔である必要はなく、貫通していない凹部であっても構わない。また、空所21の中に金属よりも軽量な樹脂などの材料が充填された状態も含むものとする。更に、ガイド凸部、ガイド穴も補強材の金属部分の加工で設けるものだけでなく樹脂で補強材に設けてもよい。
【0023】補強材19の少なくとも側面を被覆する樹脂としては、比較的摩擦係数の大きく耐摩耗製に優れ、センターベルト4を構成するエラストマー2と比べると剛性の高い、具体的には硬度90°JIS A以上のエボナイト等の硬質ゴム、硬質ポリウレタン樹脂、液晶樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等の合成樹脂または、これらの樹脂中に、綿糸、ポリアミド繊維やアラミド繊維等の化学繊維、ガラス繊維、金属繊維、カーボン繊維等からなる織布、フィラー、ウィスカー、シリカ、炭酸カルシウムなどの無機材料等を混入した強化樹脂からなる。
【0024】また、樹脂20は補強材19の側面だけに被覆するものに限られず、全面を被覆したり、空所21を埋めるように設けたものも使用できる。
【0025】また、補強材19のガイド凸部14とガイド穴16の表面には、潤滑性樹脂が被覆されている。この潤滑性樹脂としてあげられるのは、ポリテトラフロロエチレン等のフッ素樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、超高分子量ポリエチレンをそのまま使用してもよいし適宜潤滑性を付与するためにオイル、ワックス、二硫化モリブデン、グラファイト、カーボン繊維などの液体や固体の潤滑剤を添加したものでもよい。さらにもともと自己潤滑性を持たない樹脂に上記のような潤滑剤を加えて潤滑性を付与したものでもよい。
【0026】次に、ブロック5のセンターベルト嵌合溝13はセンターベルト4の厚みと略同等に設定しており、開口部9において嵌合溝の幅を狭くしたセンターベルト抜け防止部11、12を形成している。抜け防止部11、12としては他に、溝内側は略垂直に立つ壁面を有し溝外側に下るテーパを有する突起、矩形の突起や溝内側に下るテーパを有する突起でもよい。
【0027】ブロック5の前面13に設けたガイド凸部14と背面15に設けたガイド穴16は、ブロック5をセンターベルト4に組み込んだ状態で嵌まるようになっており、ベルト1をプーリに掛架して走行させているときに、ブロック5がセンターベルト4上で整列し、プーリに進入する際の騒音を抑えることができる。
【0028】また、ブロック5はセンターベルト嵌合溝の開口部9が右側面にあるものと左側面に2種類のブロックを用意し、センターベルト4にブロック5を組み込む際にセンターベルト4の右側から組み込むブロックと左側から組み込むブロックを交互に配置することによって、ベルト全体で重量のバランスがとれるので安定した走行が可能である。
【0029】また、本発明が適用できるのは、上述したような一本のセンターベルトに略コ字形状のブロックを嵌合固定したタイプのベルトだけでなく、図4に示すような二本のセンターベルト30、30をブロック31両側面の嵌合溝32、32に嵌合するようなタイプのベルト33や、図示はしないがセンターベルトの上下にそれぞれ上ブロックと下ブロックを配置して、ボルトやリベットなどの止着材で、上下ブロックとセンターベルトを貫通固定したようなベルトにも適用することができる。
【0030】
【実施例】次に、本発明のベルトを実際に走行させて寿命を測定する試験を行った。センターベルトに略コ字形状のブロックを取付たベルトを用いて行った。実施例1のブロック5は図2に示したブロック5のように上ビーム部6の前面13中央にガイド凸部14、背面15にガイド穴16を設け、このガイド凸部14を挟んで両側に2個づつ計4個の貫通孔である空所21を開け、下ビーム部7には5個の貫通孔である空所21を設けた亜鉛合金ダイキャスト品からなる補強材19と、その補強材19のプーリと当接する側面にフェノール樹脂20を被覆したものを用いた。
【0031】実施例2のブロックは図5および図6に示すように上ビーム部6と下ビーム部7の前面13および背面15に断面長方形の凹部である空所22を設け、カーボンフィラー充填フェノール樹脂でその凹部である空所22を埋めるとともに樹脂でガイド凸部14とガイド穴16を形成したものを用いた。実施例3のブロック5は実施例1で用いたブロック5のガイド凸部15にポリテトラフロロエチレン樹脂を被覆したものを用いた。実施例4では、図4に示すような二本のセンターベルト30、30をI字形状のブロック31の両側面から嵌合したベルトを用い、実施例1と同様にガイド凸部、ガイド穴、貫通孔を設けたブロックを用いた。
【0032】比較例のベルトは実施例1で用いたベルトと同様でブロック5の空所21を設けていないものを用いた。走行条件は駆動側プーリのピッチ径が65mmで回転数が3200rpm、従動側プーリのピッチ径が130mmで回転数が1600rpm、そして雰囲気温度は100℃、負荷は25kwである。それぞれのベルトの重量と寿命に至るまでの走行時間と故障現象を表1に示す。
【0033】
【表1】【0034】表1の結果からわかるように、比較例と比べて実施例1〜4まではベルトの重量も軽く寿命も長くなっている。またガイド凸部にポリテトラフロロエチレン樹脂を被覆した実施例3では、寿命に至る故障現象がセンターベルトの切断であり他の実施例と比べてガイド凸部およびガイド穴の摩耗が少なく長期に渡ってブロックの整列機能が働いていることがわかる。
【0035】
【発明の効果】以上のように本発明の高負荷伝動ベルトは、センターベルトにブロックを係止固定した高負荷伝動ベルトにおいて、ブロックは金属製の補強材と、該補強材の少なくともVプーリと当接する側面を樹脂で被覆した構成からなり、前記補強材には軽量化を目的とした貫通孔もしくは凹部からなる空所を設けた構成としているので、補強材の金属として比較的比重の大きい亜鉛合金やSUSを用いても十分に軽量のベルトとなり、高速走行時にも振動、騒音、遠心張力増大によるベルト切断のような問題が発生しない。
【0036】また、補強材の製造にダイキャスト工法やMIM工法を採れるので複雑な形状の補強材でも容易に成形することができる。また、ブロックの前面にはガイド凸部を設けて背面には該ガイド凸部が嵌入するガイド穴を設けて、ガイド凸部とガイド穴のいずれか片方の少なくとも表面に潤滑性樹脂を被覆することによって、ガイド凸部とガイド穴の摩耗を防止することができ、長期に渡ってブロックの整列効果を維持することができる。
- 【公開番号】特開平10−47439
【公開日】平成10年(1998)2月20日
【発明の名称】高負荷伝動ベルト
【発明者】
【氏名】辻 勝爾
【氏名】高木 晋一
【氏名】菅原 謙次
【氏名】駒井 与四和
- 【出願番号】特願平8−219264
【出願日】平成8年(1996)7月31日
【出願人】
【識別番号】000006068
【氏名又は名称】三ツ星ベルト株式会社
スポンサード リンク
- ★当サイトのどのページも全てリンクフリーです、自由にお使いください
※以下のタグをホームページ中に張り付けると便利です。