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果実切取り器
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- 【要約】
【課題】 元枝をいためることなく果実をその枝から簡単に切り取ったり、もぎ取ったりすることのできる果実切取り器またはもぎ取り器を提供する。
【解決手段】 2つの腕部が後端において弾力的に結合されかつ前端において広がり、各腕部の前端近傍に刃部を有し、該2つの腕部を両者間に働く弾性作用に抗して握って近接させ、両腕部の刃部間に挟んだ果実の枝を両腕部の刃部どうしで切断するように構成した。果実もぎ取り器の場合は、刃部の代わりに果実の枝を挟持する挟持部を設ける。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 2つの腕部が後端において弾力的に結合されかつ前端において広がり、各腕部の前端近傍に刃部を有し、該2つの腕部を両者間に働く弾力に抗して握って近接させ、前記両腕部の刃部間に挟んだ果実の枝を両腕部の刃部どうしで切断することを特徴とする果実切取り器。
【請求項2】 全体がプラスチック材料で一体成形された請求項1に記載の果実切取り器。
【請求項3】 2つの腕の前部に、切り取る果実を一旦保持する凹状の果実保持部が設けられた請求項1または2に記載の果実切取り器。
【請求項4】 2つの腕部の一方の前部に、切り取る果実を一旦保持する凹状の果実保持部が設けられた請求項1または2に記載の果実切取り器。
【請求項5】 2つの腕部が後端において弾力的に結合されかつ前端において広がり、一方の腕部の前端近傍に刃部を有し、他方の腕部の前端近傍で前記一方の腕部の前記刃部に対応する位置に該刃部の受け部を有し、該2つの腕部を両者間に働く弾力に抗して握って近接させ、前記一方の腕部の刃部と他方の腕部の受け部との間に挟んだ果実の枝を前記刃部と受け部との協働により切断することを特徴とする果実切取り器。
【請求項6】 前記他方の腕部の前部に、切り取る果実を一旦保持する凹状の果実保持部を有する請求項5に記載の果実切取り器。
【請求項7】 前記2つの腕部の前部に設けられた果実保持部の下部に、切り取った果実を収納するためのまたは後処理のための作業ステーションに導くためのネットまたは袋を取り付けた請求項3に記載の果実切取り器。
【請求項8】 2つの腕部が後端において弾力的に結合されかつ前端において広がり、該2つの腕部を両者間に働く弾力に抗して握って近接させ、前記両腕部の先端部の間に果実の枝を挟んで該果実を枝ごと元枝からもぎ取ることを特徴とする果実もぎ取り器。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はイチゴやぶどうあるいはりんごなどの果実をその枝から切り取ったりもぎ取ったりするのに有用な果実切取り器または果実もぎ取り器に関する。
【0002】
【従来の技術】毎年秋になると、梨狩り、みかん狩り、ぶどう狩り、りんご狩りなどがレジャーとして盛んであるが、最近はハウス栽培によるイチゴを取るイチゴ狩りも一年を通じて行われている。これらの果実を枝から切り取ったりもぎ取ったりする方法は果実によってそれぞれ異なるが、いずれの場合も果実の付いている元枝をいためないように注意することが重要であり、そのために果樹園の経営者は利用者に対して適切な切り取り方、もぎ取り方を指導するなど様々な努力をしている。中でもイチゴは実の付いている枝がかなり細くて弱いために切り取りには細心の注意が必要になる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】イチゴ狩りを例にとると、従来、イチゴを元枝から切り取るには、実に近い枝の部分を親指と人差し指で挟み持ち、両指の爪でその枝部分を挟み切ってから実を軽く掴んで右か左にねじりながら引っ張ると実が元枝から離れて取れるのであるが、イチゴの枝は爪では切れにくいこともあって、実を引っ張る際に元枝まで一緒に引っ張ってしまい、元枝をいためることがある。ひどい場合にはイチゴの苗まで根こそぎ抜け取れてしまうことがある。りんごの場合は果実を手でつかみ右または左に回すようにねじり枝部分を残すようにして元枝からもぎ取る。いずれにしても子供は扱いが乱暴であったり、細かい配慮に欠けることもあって、果樹園の経営者は頭を痛めるところである。
【0004】その他の果実にしても元枝からの切り取り方、もぎ取り方は違っても同様な問題があったが、これまでその解決案は特に提案されていない。
【0005】本発明は上記の点にかんがみてなされたもので、元枝をいためることなく簡単に果実を元枝から切り取りまたはもぎ取ることができる果実切取り器またはもぎ取り器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達成するために、2つの腕部が後端において弾力的に結合されかつ前端において広がり、各腕部の前端近傍に刃部を有する構成の果実切取り器を提案し、2つの腕部を両者間に働く弾力に抗して握って近づけることにより、両腕部の刃部間に挟んだ果実の枝を両腕部の刃部どうしで切断するように構成した。
【0007】2つの腕部のそれぞれに刃部を設ける代わりに、刃部は一方の腕部だけに設け、他方の腕にはその刃部を受ける受け部を設け、2つの腕部を両者間に働く弾性作用に抗して握ることにより、刃部と受け部との間に挟んだ果実の枝を両者の協働で切断するように構成した。
【0008】またりんごなどのように果実を元枝からもぎ取るものにあっては、2つの腕部が後端において弾力的に結合されかつ前端において広がり、該2つの腕部を両者間に働く弾力に抗して握って近接させ、前記両腕部の先端部の間に果実の枝を挟んで該果実を枝ごと元枝からもぎ取るように構成した。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明を図面に基づいて説明する。
【0010】図1ないし図5は本発明に係る果実切取り器の一実施の形態を示し、図1は果実切取り器の全体を示す平面図、図2はその斜視図、図3は腕部を閉じた状態で示す平面図、図4は正面図、図5(a)および(b)は果実切取り器の使用方法を示す。
【0011】本実施の形態によれば、果実切取り器1は、図1に示すように、プラスチック(たとえばPPS(ポリフェニレン サルファイド)樹脂またはLCP(リキット クリスタル ポリマー)樹脂)材料で一体成形され、左右対称形の2つの腕部1aと1bが後端部1cで一体的に結合されている。各腕部1a、1bの前部には球面の一部に近い形状の面からなる果実保持部2a、2bが形成されており、その最先端にはそれぞれ刃3a、3bが形成され、前部に滑らかに続く後部は板状である。各腕部1a、1bの果実保持部2a、2bの底部には周面が弧状の切欠き4a、4bが形成されている。利用者が両腕部1a、1bの後部を図2に鎖線示すように手100で掴みプラスチックの弾力に抗して握り合わせると、図2および図3に示すような状態になり、前部にほぼ半球状の果実保持空間A(図2参照)ができる。このとき底部には果実が落ちない程度の開口5ができるとともに、両腕部1a、1bの刃3a、3bが図4に示すように重なってその間に物があれば切れる。手の握りをゆるめると両腕部1a、1bはプラスチックの弾力により開いて図1に示す状態にもどる。
【0012】この果実切取り器1を使ってたとえばイチゴ狩りをするには、上述したように、果実切取り器1の後部を手で握り、図3に近い状態まで腕部1aと1bを合わせ近づけ、図5(a)に示すようにイチゴの実10を果実切取り器1の前部にできた果実保持空間Aに入れ込むように果実切取り器1の位置をうまく合わせる。このときイチゴの枝(「つる」ともいう)10aが果実切取り器1の最前端に設けられた刃3a、3bの間に入るようにする。図5(b)に示すように、イチゴの実10が果実保持空間Aに納まり、つる10aが刃3a、3bの間に入った状態でさらに一段握り締めると、果実切取り器1は図3に示す状態になり、刃3aと3bが一部重なってつる10aが切れ、実10が枝から離れて果実保持空間Aに納まる。イチゴのつる10aが刃3aと3bにより切れるので、つる10aを引っ張ることなくイチゴの摘み取りができる。
【0013】図6および図7は本発明に係る果実切取り器の別の実施の形態を示し、図6は果実切取り器の全体を示す斜視図、図7は正面図である。
【0014】本実施形態の果実切取り器1は2つのプラスチック製腕部1aと1bから成り、両腕部1a、1bは後端部でばね性の金属部片2によりある程度開いて結合されている。腕部1aの前部は湾曲状をなしており、その前端に台形状の凸刃3aが形成されている。一方、腕部1bの前部にはほぼ半球状の果実保持部Aが形成されており、その前端で凸刃3aに対応する位置に台形状の凹部3cが形成されている。
【0015】この果実切取り器1を使ってイチゴを取るには、腕部1aと1bを一緒に掴むように握り、イチゴの実を腕部1bの前部に形成された果実保持部Aに納めながらイチゴの枝が凹部3cに入れるように切取り器全体を動かしていき、両方が入ったところで腕部1aと1bをさらに握ると、図7に示すように腕部1aの凸刃3aが腕部1bの凹部3cにはまりこんでイチゴの枝が切れる。その結果イチゴは枝から離れて果実保持部Aにころっと納まる。その後は握っている手をゆるめれば腕部1aと1bは金属部片2のばね作用により図6に示す状態に戻るので果実保持部Aのイチゴを取り出すことができる。この実施形態においてもイチゴの切り取り時に元枝をいためる心配はまったくない。なお本実施形態のように、凸刃3aと協働する凹部3cを凹状としたのでつるが入りやすくなり、使い勝手が良くなる。また比較的奥にあるイチゴを切り取る場合でもイチゴの果実自体が果実保持部Aに納まるので果実切り取り器1を斜めにしても横にしても果実がこぼれ落ちる心配はない。この形態において、凸刃3aと凹部3cの代わりにフラットな切断部にしてもよい。
【0016】図8はさらに別の実施形態を示す。
【0017】この果実切取り器1もプラスチック材料で一体成形され、腕部1aと腕部1bは後端部1cで一体に結合されている。腕部1aと腕部1bのそれぞれ前部は湾曲状をなしており、前端にはそれぞれ刃3aと3bが一体成形で形成されている。
【0018】イチゴの切り取りにあたっては、イチゴが柔らかくて傷つきやすい点を考慮し、まず腕部1bの前部に形成された湾曲状部分にイチゴを乗せ、つるを刃3bに乗せるようにして両腕部1aと1bを握る。その結果、腕部1bは図8に鎖線で示したような位置に動いて腕部1aに接近し、イチゴの枝は刃3aと3bとで挟まれて切れる。手の握りをゆるめると腕部1aと1bはそれ自身の弾力で元の位置に戻るのでイチゴを取り出すことができる。
【0019】この形態のものをりんごのもぎ取りに使う場合には、りんごはイチゴと違って大きくて重いので図9に示すような底なしのネットを取り付けて下に流すようにするのが使い勝手がよい。
【0020】図9は図1〜4に示した形態の果実切取り器1に果実収納用のネットを取り付けたものを示す。
【0021】この実施形態においては、果実切取り器1の前部の外周に果実収納用のネット20が取り付けられるが、ネット20の口は果実切取り器1の腕部1aと1bが図1に示すように広がる程度の大きさとすることが必要である。図1に示すような状態で摘み取ったイチゴは、手の握りをゆるめることによって腕部1aと腕部1bが広がり、果実保持部Aの底部の開口5が広がるので、そこからネット20の中に落ち込む。このように果実切取り器1にネット20を取り付けることによって切り取ったイチゴをその都度カゴなどに移し入れる必要がなくなる。
【0022】上記の実施例はいずれも果実切り取り器を人が手で使うことを前提に説明したが、人の代わりにロボットのような機械が果実の摘み取りを自動的に行う場合であっても機械に設けられたハンドの先端に同様な機構を取り付けることにより元枝を痛めない切り取りやもぎ取りが可能になるが、このような場合には、図9に示す実施形態のネットは底なしの長い袋状とし、ネットの先をたとえば果実選別機のような後処理のための作業ステーションに連結することにより選別作業の自動化、さらにその後の箱詰め作業まで自動化できる。ネットの代わりに果実を傷つけない柔らかい紙または布の袋を用いてもよい。
【0023】本発明の果実切取り器においては果実が直に付いている枝を切り取る刃の存在が重要である。上記の実施の形態では、2枚の刃を重ね合わせて切る形態(図1〜図4)と、1枚の刃を平坦な部分に押し当てて切る形態(図6および図7)を例示したが、そのほかいかなる形態でもよい。
【0024】また本発明による果実切取り器の基本的な構造は、2つの腕部を一端において弾性的に結合してV字状に開くようにし、手の握りによって2つの腕部を弾性作用に抗して近づけて両腕部先端に設けた刃により果実の枝を切り、握りをゆるめると2つの腕部が再びV字状に広がるようにした点である。腕部の前部に設ける果実保持部は必ずしも必要なものではないが、あると便利であることは言うまでもない。
【0025】本発明による果実切取り器はプラスチック材料を用いて一体成形するのが製造上からもコスト的にも好都合であるが、金属板を用いてもよい。
【0026】本発明による果実切取り器は基本的な構造を変えることなく、イチゴ以外の果実や野菜、たとえばぶどう、トマト、みかんなどにも使える。
【0027】果実の中でもりんごやなしのように枝の切り取りではなく、もぎ取りをするものにあっては、両腕部の先端部に刃は必要ではなく、枝を強く挟む挟持部が必要になる。
【0028】
【発明の効果】本発明による果実切取り器または果実もぎ取り器を用いれば元枝を少しもいためることなく果実を容易に切り取るまたはもぎ取ることができるので、イチゴ狩りやぶどう狩りあるいはりんご狩りのように素人や子供が果実を切り取ったり、もぎ取ったりする際に利用すると有効である。
- 【公開番号】特開平10−4744
【公開日】平成10年(1998)1月13日
【発明の名称】果実切取り器
【発明者】
【氏名】杉山 弘昭
- 【出願番号】特願平8−159559
【出願日】平成8年(1996)6月20日
【出願人】
【識別番号】391025040
【氏名又は名称】杉山 弘昭
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 弘男
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