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磁気ねじ
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- 【要約】
【課題】 スラスト力、スラスト剛性を大にでき、ナット体とねじ軸との相対位置を保持できる磁気ねじを提供する。
【解決手段】 この磁気ねじは、ねじ軸2 と、このねじ軸2 の外周に間隙をおいて套嵌されたナット体3 とを備え、ねじ軸2 とナット体3 との一方に、ねじ軸2のねじピッチP と対応する螺旋状の磁極10,11 を設け、他方を磁性材料により構成し、ねじピッチP に対するねじ軸2 のねじ山幅の比率を3.75割以上、6.25割以下としたものである。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 ねじ軸と、このねじ軸の外周に間隙をおいて套嵌されたナット体とを備え、ねじ軸とナット体との一方に、ねじ軸のねじピッチと対応する螺旋状の磁極を設け、他方を磁性材料により構成した磁気ねじにおいて、ねじピッチに対するねじ軸のねじ山幅の比率が3.75割以上、6.25割以下であることを特徴とする磁気ねじ。
【請求項2】 ねじ軸と、このねじ軸の外周に間隙をおいて套嵌されたナット体とを備え、ねじ軸とナット体との一方に、ねじ軸のねじピッチと対応する螺旋状の磁極を設け、他方を磁性材料により構成した磁気ねじにおいて、ねじ軸のねじ山高さが1.0mm以上、4.0mm以下であることを特徴とする磁気ねじ。
【請求項3】 ねじ軸がねじ山の両側を傾斜面に構成した台形ねじであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ねじ。
【請求項4】 ナット体に、永久磁石と、この永久磁石を外周から覆い且つ磁性材料からなるカバー体とを備え、カバー体の肉厚を5mmとしたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の磁気ねじ。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械、その他の各種機器の送りねじ等に利用する磁気ねじに関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、工作機械、その他の各種精密機器の送り装置には、滑りねじ又はボールねじを利用したものと、磁気ねじを利用したものとがある。滑りねじ又はボールねじは、ねじ軸とナット体とを備え、このねじ軸とナット体との間のねじ軌道面の滑り接触又はボールによる転がり接触によって、ねじ軸の回転運動をナット体の直線運動に変換するようになっている。。
【0003】また磁気ねじは磁気カップリングと同様の原理を利用したものであって、特開平7−280060号公報に開示されるように、磁性材料からなるねじ軸と、このねじ軸の外周に微小間隙をおいて套嵌されたナット体とを備え、ナット体の内周側に、内周面がねじ軸のねじピッチに対応して螺旋状に着磁された永久磁石を設け、永久磁石とねじ軸との間の磁気カップリングの原理を利用して、ねじ軸の回転運動をナット体の直線運動に変換するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の滑りねじ、ボールねじは、何れもねじ軸、ナット体等が機械的に接触し、この機械的接触を介してねじ軸の回転運動をナット体の直線運動に変換しているため、振動、騒音の発生、高速化の限界、摩耗による発熱等の問題がある。これに対して磁気ねじは、本質的には非接触ねじであるため、振動、騒音の発生等の問題を解消できる利点がある。
【0005】しかし、磁気ねじは、磁気カップリングの原理を利用しているため、滑りねじ、ボールねじに比較してスラスト力、スラスト剛性が低く、またナット体とねじとの相対位置を保持し難い等、未だ解決すべき多くの問題点がある。本発明は、このような従来の課題に鑑み、スラスト力、スラスト剛性を大にでき、ナット体とねじ軸との相対位置を保持できる磁気ねじを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明は、ねじ軸と、このねじ軸の外周に間隙をおいて套嵌されたナット体とを備え、ねじ軸とナット体との一方に、ねじ軸のねじピッチと対応する螺旋状の磁極を設け、他方を磁性材料により構成した磁気ねじにおいて、ねじピッチに対するねじ軸のねじ山幅の比率を3.75割以上、6.25割以下としたものである。
【0007】請求項2に記載の本発明は、ねじ軸と、このねじ軸の外周に間隙をおいて套嵌されたナット体とを備え、ねじ軸とナット体との一方に、ねじ軸のねじピッチと対応する螺旋状の磁極を設け、他方を磁性材料により構成した磁気ねじにおいて、ねじ軸のねじ山高さを1.0mm以上、4.0mm以下としたものである。
【0008】請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の発明において、ねじ軸をねじ山の両側を傾斜面に構成した台形ねじとしたものである。
【0009】請求項4に記載の本発明は、請求項1、2又は3に記載の発明において、ナット体に、永久磁石と、この永久磁石を外周から覆い且つ磁性材料からなるカバー体とを備え、カバー体の肉厚を5mmとしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の磁気ねじ1 の断面構造を示し、図2はその磁気ねじ1 の要部の構造を示す。この磁気ねじ1 は、図1に示すように、磁性材料からなるねじ軸2 と、ねじ軸2 の外周に間隙をおいて套嵌された磁気ナット体3 とを備えている。ねじ軸2 は外周に2条のねじ山4 が同一リード角で等ピッチに螺旋状に形成されている。各ねじ山4 は、図2に示すように、外周側に円筒面状の外周面5 を備え、その外周面5 の両側が傾斜面6 に構成された断面台形状、又は外周面5 の両側が軸方向に対して垂直状に構成された断面角形になっている。従って、ねじ軸2 には、台形ねじ又は角ねじが使用されている。
【0011】磁気ナット体3 は、永久磁石7 と、永久磁石7 を外周から覆うカバー体8 と、カバー体8 の軸方向の両端に嵌合された案内リング9 とを備えている。永久磁石7 は中空円筒状であって、この永久磁石7 の内周面には、ねじ軸2 の2条のねじ山4 に対応するN極10とS極11とが交互にできるように螺旋状に着磁が施されている。なお、永久磁石7 には、保持力の大きいネオジウム磁石が使用されている。
【0012】カバー体8 は、肉厚が5mmの磁性材料により構成されており、永久磁石7 のN極10、S極11間の磁束が通り易く、しかも外周側への漏洩磁束が極力少なくなるように、その磁気抵抗が小さくなっている。カバー体8 には、軸方向の一端側の外周に取り付け用のフランジ部12が一体に形成されている。
【0013】案内リング9 は、ねじ軸2 のねじ山4 と永久磁石7 とを非接触且つ一定の間隔(エアーギャップG)に保つためのもので、ねじ山4 の外周の外周面5 上を軸方向及び周方向に摺動するようになっている。なお、この案内リング9 には、耐摩耗性に優れ、ねじ軸2 との摩擦の少ないポリイミド樹脂系のものが用いられている。
【0014】この磁気ねじ1 は、磁気カップリングと同様な原理で作動する。即ち、図2に示すように、ねじ軸2 と磁気ナット体3 側の永久磁石7 及びカバー体8 との間には、通常、閉ループの磁気回路が構成されている。
【0015】そこで、ねじ軸2 が軸廻りに回転して、永久磁石7 のN極10、S極11の着磁部分をねじ山4 から離そうとする軸方向の力が働くと、磁気カップリングと同様な原理で、元の安定な状態に戻そうとする磁気力が発生する。このため、磁気ナット体3 をねじ軸2 の軸方向に移動可能な部材に固定しておけば、その時の復元力が磁気ナット体3 をねじ軸2 のねじ山4 に沿って移動させるための推力となり、磁気ナット体3 がねじ軸2 に沿って移動する。
【0016】磁気ねじ1 を試作して、その磁束密度及びスラスト力を有限要素法を用いて解析したところ、次の結果が得られた。試作した磁気ねじ1 のねじ山形状並びに寸法は、図2及び表1に示す通りである。
【0017】
【表1】永久磁石7 は所定の着磁幅Fnで螺旋状に着磁されており、通常の円板や直方体状の永久磁石と異なり、厳密な着磁状態を把握することは困難である。このため、本解析で用いる永久磁石7 の着磁幅Fnは、螺旋状の着磁ピッチ、即ちねじピッチP (=5.0mm)の1/2の2.5mmと仮定した。磁気ナット体3 及びねじ軸2 の材料定数は、表2に示す通りである。永久磁石7 としては、保持力の大きいネオジウム磁石を使用した。
【0018】
【表2】上記諸元に基づいて磁気ねじ1 の磁束密度及びスラスト力を有限要素法を用いて解析する。図3は、解析に用いる磁気ねじ1 の軸対称1ピッチモデルのメッシュ図を示す。この解析では、磁気ナット体3 の内周面の螺旋状着磁によるリード角の影響は考慮せず、ねじ軸2 に対して垂直且つリング状にN極10、S極11の磁極が交互に着磁しているものと仮定し、モデル化している。なお、有限要素法を用いた磁場解析には、市販の磁場解析ソフトを利用した。
【0019】図4は、単体の磁気ナット体3 の内周面から1.5mm離れた位置での半径方向の磁束密度を計測した結果を示す。なお、図4において、横軸はねじ軸2 の軸方向の変位、縦軸は磁束密度を示す。この測定に際しては、ホール効果を利用したガウスメーターを用いた。図4の測定結果を見れば、磁気ナット体3 の内部の磁束密度は、軸方向に周期的に変化しており、N極10、S極11の磁極が交互に同程度の強さで着磁しているのが分かる。
【0020】図5は、有限要素法によって磁気ナット体3 の内部の磁束密度を解析した解析結果を示す。なお、図5において、横軸はねじ軸2 の軸方向の変位、縦軸は磁束密度を示す。解析モデルは、図3のメッシュ図に示したモデルのねじ山4 の部分をエアーに置き換えて、N極10、S極11の着磁を3巻き分モデル化したものである。
【0021】永久磁石7 の保持力は、884kA/mとした。測定に使用したガウスプローブの磁場感度領域は、直径12mmであり、解析に使用したメッシュのサイズと比較して大きく、解析で得られる局部的な磁場変動は計測できない。そこで、実験値と解析値とを同等の分解能で比較するために、図5では有限要素解析から得られる各要素毎の磁束密度を利用し、軸方向に隣接する4要素(1.25mmの範囲)の値を平均化した結果を示している。
【0022】図4の実験値と図5の解析値とを比較すれば、磁束分布の形状及び大きさは、両者とも比較的良く一致しており、試作した磁気ねじ1 の永久磁石7 の着磁幅Fn等のモデル化が妥当であることが分かる。
【0023】次に試作した磁気ねじ1 を用いて、図6に示す計測方法でそのスラスト力を測定した。この磁気ねじ1 のスラスト力の計測に際しては、図6に示すように、先ず磁気ねじ1 の磁気ナット体3 側を固定台13に固定し、そのねじ軸2 の一端にダイヤルゲージ14を、他端にロードセル15を介してテイルストック16を夫々セットする。そして、テイルストック16のハンドル17を操作して、テイルストック16側からねじ軸2 に軸方向の強制変位を与えながら、ロードセル15によりスラスト荷重を測定すると同時に、ねじ軸2 の変位をダイヤルゲージ14で測定する。
【0024】図7は、上記方法で計測した磁気ねじ1 のスラスト力と、図3のモデルを用いて解析した結果とを合わせて示す。なお、図7において、横軸はねじ軸2 の軸方向の変位、縦軸はスラスト力を示す。解析結果1は、保持力884kA/mの永久磁石7 を、解析結果2は、保持力844kA/mの永久磁石7 を夫々用いて解析した結果である。
【0025】ねじ軸2 と磁気ナット体3 が相対的にずれている場合のスラスト力の計算モデルは、図3において、磁気ナット体3 の永久磁石7 の着磁の範囲を軸方向に移動し、修正したものを簡易的に用いている。またスラスト力は、永久磁石7 として指定した閉曲面でマックスウエルの応力を積分し、その結果を実際の磁気ナット体3 側の永久磁石7 の巻数(試作の磁気ねじ1 は5回)倍することにより計算している。なお、永久磁石7 のN極10及びS極11の着磁の巻数とスラスト力の関係が略比例していることは、別に試作した磁気ねじ1 及び実験によって確認している。
【0026】この図7を見れば、解析結果1及び解析結果2の解析値は、実験結果と比較して、1.5mm近傍の変位において、最大スラスト力がやや大きいものの、全体的には実験値と良く一致していることが分かる。上記のモデルを用い、ねじ軸2 のねじ山4 の形状がスラスト力に及ぼす影響を解析した。
【0027】図8は、ねじ軸2 のねじ山高さHsを標準値の4.0mmから2.0mm、1.0mm、0.5mmと減少させた場合の4種類の計算結果を示す。ねじ軸2 等のその他の寸法は、全て表1と同一である。なお、図8において、横軸はねじ軸2の軸方向の変位、縦軸はスラスト力を示す。
【0028】図9に、その各ねじ山高さHsとスラスト力との関係の計算結果を示す。この図9は、図8に示す各ねじ山高さHs毎の最大スラス力を求めて、各ねじ山高さHsに対する最大スラスト力の変化の関係を示したものである。なお、図9において、横軸はねじ山高さHs、縦軸はスラスト力を示す。
【0029】この図8及び図9の結果からも分かるように、ねじ山高さHsが異なる各ねじ軸2 とも、その軸方向の変位が1.5mm近傍の時のスラスト力が最大となり、またねじ山高さHsを4.0mmから2.0mmまで半減させても、スラスト力に殆ど影響を及ぼさないことが分かる。またねじ山高さHsが1.0mmの場合にはスラスト力が若干低下するが、4.0mmから2.0mmの場合に比較しても極端な影響を受けないことが分かる。しかし、ねじ山高さHsが1.0mm以下になると、顕著にスラスト力が低下することが分かる。
【0030】このため、ねじ軸2 を設計し製作する場合、ねじ山高さHsを1.0mm以上確保しておけば、スラスト力に対するねじ山高さHsの影響は小さくでき、200(N)以上の最大スラスト力を得ることが可能である。従って、例えば、大きなスラスト力を必要とする部位で使用する磁気ねじ1 の場合には、ねじ山高さHsが2.0mm以上のねじ軸2 を採用すれば、他の寸法等が同一であっても、220(N)を越える最大スラスト力を得ることができ、これによって使用部位に応じた十分なスラスト力を容易に確保できる。
【0031】またねじ山高さHsが1.0mmの場合にも、ねじ山高さHsが2.0mm以上の場合に比較してスラスト力が多少低下するものの、依然として200(N)以上の最大スラスト力を確保できる。このため、最大スラスト力が200(N)を若干越える程度の部位で使用する磁気ねじ1 は、ねじ山高さHsを1.0mmにすることによって、ねじ軸素材を機械加工してねじ軸2 を製作する際の機械加工量が少なくなり、ねじ軸2 を容易且つ安価に製作できる利点がある。
【0032】特にねじ山高さHsを1.0mm程度にすることにより、加工時間を短縮できる他、加工時の周速差を小さくでき、加工工具のチップの破損を少なくし、長寿命化を図ることもできる。図10は、ねじ軸2 のねじ山幅Fsを標準の2.5mmと、この標準から25%増減して3.125mm、1.875mmとした場合の3種類についての計算結果を示す。ねじ軸2 等のその他の寸法は、全て表1と同一である。なお、図10において、横軸はねじ軸2 の軸方向の変位、縦軸はスラスト力を示す。
【0033】図11は、そのねじ山幅Fsとスラスト力との関係の計算結果を示す。この図11は、図10に示す各ねじ山幅Fs毎の最大スラスト力を求めて、各ねじ山幅Fsに対する最大スラスト力の変化の関係を示したものである。なお、図11において、横軸はねじ山幅Fs、縦軸はスラスト力を示す。
【0034】この図10及び図11の結果を見れば、何れのねじ山幅Fsの場合にも、変位量が1.5mm近傍の時に最大スラスト力となることが分かる。またねじピッチPの略半分を着磁幅Fnとし、その着磁幅Fn内でねじ山幅Fsを変える場合には、ねじ山幅Fsを着磁幅Fn、即ちねじピッチP の半分よりも狭くした方がスラスト力を大にできることが分かる。
【0035】これは、次の理由によるものである。即ち、磁気ナット体3 側の永久磁石7 のN極10、S極11とねじ軸2 のねじ山4 との間に軸方向のずれがない場合には、図1に示すように、永久磁石7 のN極10からねじ山4 、ねじ軸2 、ねじ山4 、S極11、カバー体8 を経てN極10に戻る磁気回路が構成され、磁束は軸方向に対して垂直にギャップG を通過する。
【0036】ところが図12及び図13に示すように、磁気ナット体3 側の永久磁石7 のN極10、S極11とねじ軸2 のねじ山4-1,4-2 とが軸方向にずれた場合には、例えばN極10、ねじ山4-1 、ねじ軸2 、ねじ山4-2 、S極11、カバー体8 、N極10の前記磁気回路の他に、N極10、ねじ山4-2 、S極11、カバー体8 、N極10等の磁気回路が構成されることになる。そして、N極10とねじ山4-1 を通る磁束は、磁気ナット体3 とねじ軸2 とのずれを戻す方向の力F1を生じるが、N極10とねじ山4-2 を通る磁束は、磁気ナット体3 とねじ軸2 とのずれを拡大する方向の力F2を生じる。
【0037】そこで、図12のねじ山幅Fsの大きいねじ軸2 と、図13のねじ山幅Fsの小さいねじ軸2 とを比較した場合、図13では図12に比較してN極10とねじ山4-2との間のギャップが大きくなり、その磁気抵抗が大になる。このため、N極10からねじ山4-2 に流れる磁束は、図13の場合の方が図12の場合に比較して少なくなり、これによってねじ山幅Fsを狭くした方がスラスト力を大にできる。
【0038】しかし、ねじ山幅Fsをあまり狭くし過ぎると、N極10とねじ山4-1 、S極11とねじ山4-2 との間の磁気抵抗が大になって漏洩磁束が増加するため、却ってスラスト力が低下することになる。従って、変位が1.5mm程度の時に160(N)程度以上のスラスト力を確保するためには、ねじ軸2 のねじ山幅Fsを3.125mm〜1.875mm程度の範囲とし、ねじピッチP の=5mmに対するねじ軸2 のねじ山幅Fsの比率が3.75割以上で6.25割以下となるようにすることが最適である。
【0039】図14は、ねじ軸2 のねじ山4 の圧力角の有無がスラスト力に与える影響を計算した計算結果を示す。なお、図14において、横軸はねじ軸2 の軸方向の変位、縦軸はスラスト力を示す。この図4の計算結果において、その一方は、ねじ山4 の圧力角を0度とした角ねじの場合であり、また他方は、圧力角を4.7度とした台形ねじの場合である。そして、両者とも、そのねじ山幅Fsは、同一の2.5mmとしている。
【0040】この図14の計算結果からすれば、ねじ山4 の圧力角を0度とした角ねじの場合も、4.7度とした台形ねじの場合にも、変位量が1.5mm程度の時にスラスト力が最大となることが分かる。しかも、両者の最大スラスト力に大きな差異はなく、圧力角のスラスト力に対する影響は非常に小さいことが分かる。
【0041】従って、磁気ねじ1 を設計し製作する場合、ねじ軸2 に圧力角のある台形ねじを採用すれば、ねじ軸2 を転造で製作することが可能になり、ねじ軸2 を容易且つ安価に製作できる利点がある。即ち、ねじ軸2 を量産する場合には、ねじ軸素材をダイスに通して、ねじ軸素材とダイスとの噛み合い運動でねじ軸2 を転造する転造方法を採ることが考えられる。この場合、ねじ山4 の両側に圧力角のある台形ねじを採用すれば、角ねじに比較してねじ山部分の材料の移動が円滑になるので、ねじ軸2 を容易且つ安価に製作できる。
【0042】図8、10及び図14までの結果を、スラスト剛性(スラスト力/変位)の観点で整理すると、変位量が0.5mm以下のスラスト剛性に関しては、ねじ軸2のねじ山幅Fs以外は影響がないことが分かる。従って、ねじ山幅Fsを1.875mmから3.125mmの範囲にすることによって、ねじ山高さHsの大小に関係なく磁気ねじ1 のスラスト剛性を大にでき、この磁気ねじ1 を送りねじとして使用した場合にも、磁気ナット体3 とねじ軸2 との相対位置を容易且つ確実に保持することができる。なお、本発明は、大リード磁気ねじ、多条磁気ねじについても同様に実施することが可能である。
【0043】
【発明の効果】請求項1に記載の本発明によれば、ねじ軸と、このねじ軸の外周に間隙をおいて套嵌されたナット体とを備え、ねじ軸とナット体との一方に、ねじ軸のねじピッチと対応する螺旋状の磁極を設け、他方を磁性材料により構成した磁気ねじにおいて、ねじピッチに対するねじ軸のねじ山幅の比率が3.75割以上、6.25割以下であるため、スラスト力、スラスト剛性を大にでき、ナット体とねじ軸との相対位置を保持できる利点がある。
【0044】請求項2に記載の本発明によれば、ねじ軸と、このねじ軸の外周に間隙をおいて套嵌されたナット体とを備え、ねじ軸とナット体との一方に、ねじ軸のねじピッチと対応する螺旋状の磁極を設け、他方を磁性材料により構成した磁気ねじにおいて、ねじ軸のねじ山高さが1.0mm以上、4.0mm以下であるため、スラスト力、スラスト剛性の低下を防止でき、ナット体とねじ軸との相対位置を保持できると共に、ねじ軸素材を機械加工してねじ軸を製作する場合に、ねじ軸を容易且つ安価に製作できる。
【0045】請求項3に記載の本発明によれば、請求項1又は2に記載の発明において、ねじ軸がねじ山の両側を傾斜面に構成した台形ねじであるため、ねじ軸を転造により容易且つ安価に製作できる。
【0046】請求項4に記載の本発明によれば、請求項1、2又は3に記載の発明において、ナット体に、永久磁石と、この永久磁石を外周から覆い且つ磁性材料からなるカバー体とを備え、カバー体の肉厚を5mmとしているため、カバー体の磁気抵抗が小さくなり、このカバー体を介して永久磁石の磁束が通り易くなると共に、外周側への漏洩磁束を極力を少なくできる。
- 【公開番号】特開平10−47450
【公開日】平成10年(1998)2月20日
【発明の名称】磁気ねじ
【発明者】
【氏名】下河辺 明
【氏名】進士 忠彦
【氏名】橋本 純一
- 【出願番号】特願平8−226044
【出願日】平成8年(1996)8月7日
【出願人】
【識別番号】000167222
【氏名又は名称】光洋機械工業株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】谷藤 孝司
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