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水中又は水上構造物における水中生物付着抑制構造
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- 【要約】
【課題】 水中又は水上構造物の接水面に水中生物が付着しない又は付着しにくくする。
【解決手段】 水中又は水上構造物において、この水中又は水上構造物の接水面にガラス又はセラミックスのタイルを配設する。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 水中又は水上構造物において、該水中又は水上構造物の接水面にガラス又はセラミックス層を形成してなる水中生物付着抑制構造。
【請求項2】 水中又は水上構造物において、該水中又は水上構造物の接水面にガラス又はセラミックスのタイルを配設してなる水中生物付着抑制構造。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水中又は水上構造物、例えば工場の取水口、浮遊体、港や護岸等の接水面に水中生物(フジ壺、海藻類等)を付きにくくする付着抑制構造に関する。
【0002】
【従来の技術】水中又は水上構造物の接水面には、長期間水に接することにより、様々な水中生物が付着して次のような問題を起こす。例えば、工場等の取水口に水中生物が付着した場合、取水口の抵抗を増やし、取水量を低下させたり、水中生物の死骸で取水経路が詰まったり、水中生物の死骸の散乱により周辺水域を汚染してしまう。また、浮遊体に水中生物が付着した場合には游体を沈下させたり、港や護岸等に付着した水中生物は、その死骸により港や護岸水域の水深を浅くしたり、周辺水域の水質を悪化させるなどの問題や、水中又は水上構造物の耐用年数を短くする問題もある。
【0003】このため、水中又は水上構造物の接水面に付着した水中生物を除去する又は付着を抑制するために、従来から様々な試みがなされている。最も単純な方法としては、ダイバーが水中に潜り、人的作業により水中生物を取り除くものがある。また、陸揚げできるものは定期的に陸揚げし、陸上において水中生物が除去される。より継続的な除去が望まれる工場の取水口等では、塩酸等の薬品の注入や水中生物防除性塗料等を塗布したり、接水面又は接水面周辺の水域に通電して、より積極的に接水面への水中生物の付着を抑制する方法もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の水中生物除去作業は、以下の問題点を有している。人的作業により、水中生物を除去する作業では、人件費のほか、手間と労力とが必要で、非効率的なことこのうえない。特に、ダイバーによる水中での除去作業は、その水中又は水上構造物の保守費用を高くする。次に、薬品を用いた水中生物の付着を抑制する方法では、薬品による海洋汚染の問題があり、また通電による抑制では、電気代による保守費用がばかにならない。
【0005】いずれにしても、水中生物の除去又は付着の抑制に対しては、コスト、手間、そして労力の面で改善が強く希望されているのが現状である。そこで、手間、労力を削減する意味から、水中生物の付着後に除去するのではなく、水中又は水上構造物の接水面に水中生物が付着しない又は付着しにくくすることとし、その実現について、コスト抑制と継続的な使用を念頭に検討することにした。
【0006】
【課題を解決するための手段】検討の結果開発したものが、水中又は水上構造物において、この水中又は水上構造物の接水面にガラス又はセラミックス層を形成する水中生物付着抑制構造である。ガラス又はセラミックス層は、それぞれを直接接水面に溶着、生長させて形成することもできるが、コストと汎用性との観点から、水中又は水上構造物の接水面にガラス又はセラミックスのタイルを配設する水中生物付着抑制構造が好ましい。タイルは、釘や楔等、構造的に接水面に固着するほか、ボンドやモルタル等で貼着することもできる。また、配列方向に形成したガイドに、順次タイルを嵌め込んで、前記固着方法を採るとよい。
【0007】水中生物は、コンクリート、鋼材や木材にはよく付着するが、ガラス又はセラミックス(新素材としてのセラミックスのほか、瀬戸物や備前焼のように旧来の焼き物も含む)にはほとんど付着せず、また付着した場合でも比較的剥がれやすい。本発明は、接水面にガラス又はセラミックス層を形成し、水中又は水上構造物の表面だけをガラス又はセラミックスにすることで、接水面への水中生物の付着を防止するのである。ガラス製タイルは大型化が容易であるが陽光を反射する虞があるので、完全に水没した接水面か、反射しても構わない接水面に固着するとよい。これに対し、セラミックス製タイルは大型化が難しいが、固着する接水面を選ばない特質がある。
【0008】接水面全面域にガラス又はセラミックス層を形成するのが理想であるが、現実的には難しく、また既設の水中又は水上構造物では難しい。そこで、ガラス又はセラミックスのタイルを耐水性のボンドやモルタル、コンクリートにより接水面に固着、配列し、接水面を覆うガラス又はセラミックス層を形成する。前記タイルの配設において、隣り合うタイルに隙間を設け、できるだけ各タイルの四囲にボンド等を盛り込むと、接水面に対するタイルの固着が安定するし、この隙間が接水面の伸縮(水中又は水上構造物が構成の場合)する場合の緩衝領域として機能する。このようにタイルの隙間にボンド等を盛り込んだ場合でも、タイルによるガラス又はセラミックス層は接水面の90%を越えて覆うことができ、接水面全域にガラス又はセラミックス層を被覆したのと変わりない付着抑制が実現でき、むしろ施工が簡単でコストも安く抑えることができ、損傷時の修理、保守費用も安く済むのである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につき、図を参照しながら説明する。図1は水上構造物のうち海中に没するコンクリート製柱1の各側面2(接水面)に横長のガラス製タイル3を2列ずつ固着した例を表した一部破断斜視図であり、図2は同柱1の1/4水平断面図である。タイル3は、図1に見られるように互いの間に隙間を設け、図2に見られるように接水面、隣り合うタイルとの隙間にモルタル4を盛り込んで固着している。この例のタイル3の固着方法は、新設だけでなく、既設の水中又は水上構造物の接水面に対しても適用できる。
【0010】各タイルの形状、大きさは特に問わない。しかし、形状については配列を前提として略方形状、特に図1に見られるように長方形状が実際的である。また、大きさについては、タイルの固着を安定させるため、隣り合うタイルに隙間を設ける必要から、接水面を覆うガラス(又はセラミックス)層を広くするには、個々のタイルの面積を広くする方が好ましい。なお、タイルの厚みは本発明の目的とする水中生物の付着抑制の観点からはなんら関係はないが、材料節約の点からは薄く、固着後の構造強度の確保の点からはある程度厚くする方がよい。形成可能であれば中空のタイルであってもよい。この中空のタイルは軽量となるから、浮遊体(ブイ等)のフロートに固着する場合には適している(図8参照)。
【0011】図3は図1相当の柱1の側面2(接水面)にタイル3の両側を挟み込むガイド5を配設し、各ガイド5に横長のガラス製タイル3を2枚ずつ横並びに嵌め込んで固着した例を表した一部破断斜視図であり、図4は同柱1の1/4水平断面図である。この例のタイル3の固着方法では、図4に見られるようにガイド5に嵌め込んだタイル3とガイド5との間に耐水性ボンド6を盛り込んでタイル3を側面2に押圧しており、前記耐水性ボンド6がガイド5とタイル3とに接着するので、タイル3が上記例(図1参照)よりも強固に固着できる利点がある。しかし、予めガイド5を柱1に取り付けておかなければならないので、主に新設の水中又は水上構造物の接水面に適用する。
【0012】図5は取水口7の側面8(接水面)にセラミックス製タイル9を配設した例を表した斜視図である。タイル9の固着方法は、図3の例と同様で耐水性ボンドを利用している。タイル9は、取水口7の側面8の内側だけでなく、側面8の端面にも固着しており、すべて同一の形状、大きさのタイル9を使用している。図6は河川に突き出し、水のしぶきを受けやすい場所に設けられた排水口10にセラミックス製タイル9を配設した例を表した斜視図である。この例の排水口10は常時水に触れるものではないが、河川の水面に近接する排水口10には水中生物が付着することも見られるため、本発明のタイル9の配設が有効となるのである。
【0013】図7は港11の壁面12(接水面)にセラミックス製タイル9(最上段)及びガラス製タイル3(下3段)を配設した例を表した斜視図である。この例では、壁面12が広いため、かなり大きなタイル3,9を配設している。従来は、この広大な壁面12に多くの水中生物が付着して、その水中生物の死骸が港沿岸の水質を悪化させたり、水深を浅くしたりする被害が出ていたが、このタイル3,9の配設により、こうした被害が未然に防げ、港が延命するほか、従来水中生物の除去に要していた対策費が大幅に削減できるのである。
【0014】図8は航路標識となるブイ13のフロート14(接水面)にガラス製タイル15を配設した例の一部破断斜視図である。なお、図8においてはブイ13の内部構造を省略している。フロート14は、従来から水中生物が付着することによる被害が多く、その対策費が高くついた上、除去をするにためにダイバーの手を借りたり、場合によってはブイ13そのものの交換を要していた。そこで、本発明をフロートに適用することにより水中生物の付着を抑制し、前記問題を解決するのである。ブイ13は浮遊物であるため、タイル15はできるだけ軽量の方が好ましい。このため、本例では器形のガラス製タイル15をフロート14に被せるように固着し、内部に空洞16を形成して軽量化を図っている。
【0015】
【発明の効果】本発明の水中生物の付着抑制構造により、水中又は水上構造物の接水面における水中生物の付着がほぼ完全に防止され、仮に付着を許しても、水中又は水上構造物の性能維持のためにその水中生物を除去しなければならないといった保守作業が不要となるので、経済的効果が図りきれない。また、水中生物の付着を抑制できるため、当然その水中生物の死骸が周辺水域に蓄積することがなくなり、環境保護の点においても効果がある。
【0016】従来における水中生物の付着防止策は、いずれもコストや手間が掛かるものであったが、本発明の抑止構造は、作業は施工時の1回切りで済み、材料費、作業費といった延べコストが少なく、極めて費用対効果の高いものとなっている。しかも、新設の水中又は水上構造物だけでなく、既設の水中又は水上構造物にも適用できるので、従来の各種方策よりも適用範囲が広いのが特徴である。
【0017】使用するガラス又はセラミックス製タイルは、接水面に固着するだけなので物理的な損傷の虞が少なく、完成した抑制構造は非常に耐久性の優れたものとなっている。これは、水中生物の付着抑制の効果が、永続的なものであることを意味し、この点においても、従来の方法よりも経済的であることがわかる。このように、本発明はこれまでの各種抑制手段よりも効果が高く、しかしコストが少なくて済み、しかも効果が永続するといった理想的なものとなっているのである。
- 【公開番号】特開平10−50
【公開日】平成10年(1998)1月6日
【発明の名称】水中又は水上構造物における水中生物付着抑制構造
【発明者】
【氏名】片山 敬一
- 【出願番号】特願平8−154429
【出願日】平成8年(1996)6月14日
【出願人】
【識別番号】592060307
【氏名又は名称】海洋建設株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
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