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防塵プレート付きスクータ型車両
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- 【要約】
【課題】 構造が複雑化したり、また大型化することなく、エアクリーナやVベルト伝達機構への泥水・粉塵等の侵入を確実に防止できる防塵プレート付きスクータ型車両を提供すること。
【解決手段】 本発明に係る防塵プレート付きスクータ型車両は、ハンドルとシートとの間に低床な足載せ台を有し、このシート下方にエアクリーナを備えたユニットスイング式エンジンを車体フレームに対して揺動可能に配設し、前記エンジンとシートとの間を車体カバーで覆ったスクータ型車両において、前記車体カバーの前下部にエンジン前方を覆う防塵プレートを設け、前記防塵プレートを可撓性材料で成形している。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハンドルとシートとの間に低床な足載せ台を有し、このシート下方にエアクリーナを備えたユニットスイング式エンジンを車体フレームに対して揺動可能に配設し、前記エンジンとシートとの間を車体カバーで覆ったスクータ型車両において、前記車体カバーの前下部にエンジン前方を覆う防塵プレートを設け、前記防塵プレートを可撓性材料で成形したことを特徴とする防塵プレート付きスクータ型車両。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ユニットスイング式エンジンをシート下方の車体フレームに揺動可能に支持するスクータ型車両における防塵構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】スクータ型車両は、ハンドルを回動可能に支持するヘッドパイプと、ヘッドパイプから一度斜め下方に車体後方に向けて延びた後、屈曲して車両後方に延びるダウンチューブと、先端がダウンチューブに連結され、ダウンチューブから車体後方に略水平に延びたあと、車両上方に向けて立ち上がり、さらに屈曲して車両後方に延びる左右一対の後部フレームとから成る車体フレームを有し、前記後部フレームの前記立上がり部分に、上方にエアクリーナを備え、内部にVベルト伝達機構を備えたユニットスイング式エンジンの先端を揺動可能に支持し、このエンジン上方にシートを配置して構成されており、シート下縁からエンジン上部にかけては車体カバーで覆われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したように構成されたスクータ型車両は、そのシート下縁からエンジン上部にかけてが車体カバーで覆われているので、エンジン上部及びエアクリーナの周囲が車体カバーの内側に位置しているが、車体カバーは下方が開放されているので、走行中前輪が巻き上げた泥水や粉塵等が、足載せ台の下方を通って該車体カバー内に侵入し、エアクリーナ及びスイングユニット式エンジンのVベルト伝達機構内へ、この泥水や粉塵等が侵入する恐れがある。これを解決するために、エアクリーナやVベルト伝達機構の外気吸入口をラビリンス構造にする等して、防塵対策を施すことが考えられるが、この様にすると、構造の複雑化や大型化を招く。特に該エンジンは揺動するため、大型化による他部品との干渉が問題となる。また、この様にしても、車体カバー内には、泥水や粉塵等が舞っているので防塵効果が確実とは言えない。本発明は、上記した問題を解決し、構造が複雑化したり、また大型化することなく、エアクリーナやVベルト伝達機構への泥水・粉塵等の侵入を確実に防止できる防塵プレート付きスクータ型車両を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、本発明に係る防塵プレート付きスクータ型車両は、ハンドルとシートとの間に低床な足載せ台を有し、このシート下方にエアクリーナを備えたユニットスイング式エンジンを車体フレームに対して揺動可能に配設し、前記エンジンとシートとの間を車体カバーで覆ったスクータ型車両において、前記車体カバーの前下部にエンジン前方を覆う防塵プレートを設け、前記防塵プレートを可撓性材料で成形したことを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る防塵プレート付きスクータ型車両を添付図面に示した一実施例を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る車体フレームを採用したスクータ型自動二輪車の概略左側面図、図2は、図1に示したスクータ型車両の車体カバーを外した状態での概略左側面図、図3は、図1に示したスクータ型車両の車体フレーム及び車体カバーの一部の概略上面図を各々示している。
【0006】(車両全体の簡単な説明)図中1は、ハンドル3とシート5との間に低床な足載せ台7で下方が画定された足載せ空間Sを形成したスクータ型車両を示している。このスクータ型車両は、シート5にドライバーシート部5aとタンデムシート部5bを形成し、二人乗車が可能とされている。このスクータ型車両1は、ヘッドパイプ9と、ヘッドパイプ9から下方に延びた後、車体後方に向けて屈曲する一本の管材から成るダウンチューブ11と、先端がダウンチューブ11に連結され、車体後方に向けて略水平にのび、途中で一度立ち上がった後、さらに屈曲して車体後方に向けて延びる二つの管材から成る左右一対の後部フレーム13とから成る車体フレーム15を有する。前記ヘッドパイプ9は、上端にハンドル3が設けられた操舵軸17を回動自在に支持しており、操舵軸17の下端には、前輪19を回転可能に支持する左右一対のフロントフォーク21が固定されている。
【0007】(ダウンチューブと後部フレームとの取付部分の説明)前記ダウンチューブ11は、その後端が、左右一対の後部フレーム13を連結する前部クロスパイプ23に溶接等の適当な手段で固定され、また、その屈曲している部分11a(以下、屈曲部11aと称する。)には、後部フレーム13を接続するための取付ブラケット25が下方に延びるように取り付けられている。この取付ブラケット25は、平らな板金を平面視コ字状にプレス加工したもので、図4(a)に示すように略三角形状の左右の側板25R,25Lとこれらの側板25R,25Lを連結する連結板25Mから成り、その側板25R,25Lの端縁がダウンチューブ11の屈曲部全体に渡って固定されている。また、前記取付ブラケット25の左右の側板25R,25Lには、後部フレーム13が貫通し得る寸法の開口27が穿設されている。また、左方の側板25Lには、さらに後述するシートロック機構41の解除ワイヤ43が通過する案内孔28も穿設されている。前記左右一対の後部フレーム13は、各々ダウンチューブ11の屈曲部11aを越えて車両前方まで延びており、その前部が各々車体内側、即ち、前記取付ブラケット25の両側板25R,25L側に向けて屈曲され、各々対応する側板25R,25Lに穿設された開口27に挿入された後、前記取付ブラケット25に溶接等の適当な手段で固定されている(図4(b),(c)参照、図4(b)、(c)は各々、ダウンチューブと後部フレームとの連結部分の拡大側面図及び拡大上面図である。)。このように、ダウンチューブ11の屈曲部11aに下方に延びる取付ブラケット25を設け、この取付ブラケット25に後部フレーム13を連結することにより、ダウンチューブ11の屈曲部11aに係る曲げ応力を分散することができる。また、前記取付ブラケット25の側板25R,25Lを図4(a)に示すように略三角形状に形成し、図4(b)に示すようにダウンチューブ11の屈曲部11a全体に渡って溶接等で取り付けることにより、取付ブラケット25自体がダウンチューブ11aの補強部材としても作用する。さらに、取付ブラケット25を下方に延長し、係る延長部に後部フレーム13を取り付けているので、図1に示すように足載せ台7を狭めることはない。
【0008】(後部フレームに関する説明)この左右の後部フレーム13は、前記前部クロスパイプ23、中部クロスパイプ29、及び後部クロスプレート31により三カ所で相互に連結され、その剛性が保持されている。尚、図2に示すように、左右の後部フレーム13は左右対称形状ではなく、中間の立ち上がる部分では、右側の後部フレーム13Rが左側の後部フレーム13Lより側面視下方を通るように形成されており、これにより、この中間の立ち上がる部分において、車両右前方から見た時の左右の後部フレームの間の間隔が広くなる。この左右一対の後部フレーム13の立ち上がっている部分には、ユニットスイング式エンジン35がリンク機構を介して揺動可能に取り付けられている。このユニットスイング式エンジン35は、その後部に後輪33を支持し、また、その後端部が車体左側に設けられた後輪権が装置37を介して後部フレーム13の後部に支持されている。図15はユニットスイング式エンジン35の概略上面図である。図面に示すように、前記ユニットスイング式エンジン35は、エンジン35cと、このエンジン35cの動力を後輪33に伝達するVベルト(図示せず)を収容した伝動ケース35dとを一体化したもので、伝動ケース35dは、その側面全体が保護カバー35bで覆われている。また、前記保護カバー35bは、その前部が伝動ケース35dの前端よりさらに車両前方に突出するように形成されており、該突出部35eから、保護カバー35bと伝動ケース35dとの間の空間に冷却風を取り入れ、伝動ケース35dに形成されたVベルト冷却風吸込口35aを介してVベルト(図示せず)の冷却が行えるようにしている。また、図面に示すように、エンジン35cの排気孔に連結された排気管は車体右側に向かって延び、その後部にマフラ装置38が連結されている。伝動ケース35dの上にはエアクリーナ36が設けられており、このエアクリーナ36はその前端に車体斜め前方に向いた吸込口36aが設けられ、また、この吸込口36aの車体内側を覆うように吸込口保護カバー36bが設けられている。このエアクリーナ36に吸い込まれた空気はキャブレタ装置35fを介してエンジン35cの吸気口からエンジン35cに送られる。尚、図中34は後輪33の上部を覆うリアフェンダを示しており、このリアフェンダ34は、伝動ケース35dとマフラ装置38とで支持されている。このリアフェンダ34の後部には車幅方向に延びる泥除けフラップ34a,34bが設けられており、この泥除けフラップ34a,34bにより後輪33に付着した泥等が、後輪33の側面から伝動ケース35dの上部空間に侵入することが防止できるように構成されている。
【0009】(後部フレームと収納ボックスとの関係)後部フレーム13の前記後部クロスプレート31は、板金を車両前面視コ字状にプレス加工したもので、図3、図5、及び図6に示すように、左右の側板31R,31Lと、これら側板31R,31Lを連結する支持板31aとから成り、後部フレーム13から車体上方に立ち上がるように、両側板31R,31Lの端部が後部フレーム13の上面に溶接されている(尚、図5は、後部フレームにおける後部クロスプレート付近の拡大側面図、図6は、車体カバー及びシートを外した状態での車両後部の拡大上面図である。)。また、前記後部クロスプレート31の両側板31R,31Lの前部には車両内側に向けて折り曲げられた支持部31bが各々形成されている。後部フレーム13における中部クロスパイプ29の上部中央付近にはコ字状の板材から成る取付ブラケット29aが溶接等の適当な手段で固定されており(図2及び図3参照)、この取付ブラケット29a及び前記後部クロスプレート31の支持板31a上には、収納ボックス39がボルト等の適当な手段で固定され、前記収納ボックス39は、シート5の荷重受けとして機能している。また、前記収納ボックス39は、取付時に後部クロスプレート31における前記左右の支持部31b上に載る脚部39aを備え、これにより、後部クロスプレート31の前側支持板31bでも支持されている(図3、図5、及び図6参照)。前記収納ボックス39は図2に示すように、上面に開口39bを有し、上方に開放された箱形形状であり、その下部が左右一対の後部フレーム13間に落ち込むヘルメット等の収納部39cになっている。また、収納ボックス39はその開口39bの前端でシート5の前端を回動可能に支持することで、シート5を収納部39cの蓋部材としても機能させる。
【0010】(シートロック機構に関する説明)後部フレーム13における前記後部クロスプレート31の下側には、前記シート5を、閉じた状態で施錠し得るシートロック機構41が設けられている。このロック機構41は、後部クロスプレート31における後側の支持板31aの下側に位置し、シート5を閉めた時に、後側支持板31aに形成された開口32から挿入するシート5の裏面に設けられたロックバー5cを前記後側支持板31aの下側でロックするように構成されている。また、このロック機構41は、車体前部に設けられた解除スイッチの操作により解除ワイヤ43を介して解錠できるように構成されている。前記解除スイッチはヘッドパイプ9に固定され車体カバー(レッグシールド63)から露出しているメインスイッチに設けられ、不図示のキーによって操作できるように構成されている。前記解除ワイヤ43は、ヘッドパイプ9及びダウンチューブ11の周囲を巻回しながら車体下方に向かって延び、ダウンチューブ11の屈曲部11aに設けられた取付ブラケット25の左板25Lに形成された案内孔28を左板25Lの外側から内側に向かって通過し、その後、右板25Rに貫通連結された右側の後部フレーム13Rの前側開放端から後部フレーム13R内に入り、後部フレーム13R内を通って、後部フレーム13Rの後側開放端から後部フレーム13Rの外に出て、前記後部クロスプレート31に設けられたロック機構まで延びている(図2、図3及び図6参照)。これにより、解除ワイヤ43のほとんどの部分が後部フレーム13内を通って延びるようになるのでワイヤ切断等の悪戯を防止できるようになり、収納部39cに収納された荷物等の盗難防止性をさらに高めることができるようになる。また、後部フレーム13を管材で構成し、さらにこの後部フレーム13をダウンチューブ11に設けられた取付ブラケット25に貫通接続しているので、悪戯防止のために後部フレーム13に解除ワイヤ43(必要に応じてその他のワイヤ類)を通すに際して、後部フレーム13に孔開け加工を施す必要がなく、従って、後部フレームの剛性を保持したまま、容易に、後部フレーム13をワイヤの通路として使用することが可能になっている。
【0011】(後部フレームにおける後部クロスプレートと他の構成部材との関係)また、図2、図5、及び図6に示すように左右一対の後部フレーム13間における前記収納ボックス39の後方には燃料タンク44が配置されている。後部フレーム13における前記後部クロスプレート31には、略U字状の保護フレーム45の両端部が、燃料タンク45を覆うように取り付けられており、これにより、燃料タンク44は、前記保護フレーム45により後部が、また、前記後部クロスプレート31により前方が保護されている。前記後部クロスプレート31における保護フレーム45の取り付け面には、燃料タンク44の合面フランジ44aが共締めされている。さらに、図6に示すように、前記後部クロスプレート31における後側支持板31aの車幅方向両端部には、略U字状のスタンディングハンドル47が取付ボルト47aの位置で取り付けられており、このスタンディングハンドル47は、その中間部分で保護フレーム45にも固定されている。
【0012】(防塵プレートに関する説明)また、図2に示すように、左側の後部フレーム13における立上がり部分の略中間部分には、車体幅方向に延びるブラケット49が取り付けられており、このブラケット49には、可撓性の防塵プレート51が取り付けられている。図7に、車両における防塵プレートの取り付け部分の部分拡大図を、又、図8に前記防塵プレートの概略正面図を各々示す。図8に示すように、防塵プレート51の上端には、車体正面から見て右側に二本、左側に一本の取付用帯状体51a,51b,51cが各々一体に成形されており、防塵プレート51における各取付用帯状体51a,51b,51cの下方には各々対応する取付孔51d,51e,51fが穿設されている。また、各取付用帯状体51a,51b,51cは各々先端に、前記取付孔51d,51e,51fの直径より大きい幅の係止部が一体に形成されている。これにより、取付ブラケット49に形成された取付孔49a,49b,49c,49dに各帯状体51a,51b,51cを通した後、各帯状体51a,51b,51cの先端部を防塵プレート51自身の取付孔51d,51e,51fに通すことで防塵プレート51は取付ブラケット49に着脱可能に取り付けられる。また、図1、2及び図7に示すように前記取付ブラケット49は、左側の後部フレーム13Lから一度車体後方に向かって延び、その後部が車幅方向に屈曲され、後述するフフロアカバー65の足掛け部65aの下方を通る。この取付ブラケット49に取り付けられた防塵プレート51は、ユニットスイング式エンジン35における伝動ケース35dの前側部を覆い、伝動ケース35dのVベルト冷却風吸込孔35aに冷却風を取り込むための保護カバー35bの空気取入用突出部35eや、エンジン35の上方に設けられたエアクリーナ36の吸込口36aの粉塵や跳ね水等の吸い込みを防止できるような形状に形成されている。防塵プレート51は、取付ブラケット49に取り付けられた時に、好ましくは、その復元力によりエンジン35の表面と接触するようにされ、これにより、エンジン35が走行中に揺動した場合でも、エンジン35の動きに追従して常にエンジン35の表面と接触した状態を保ち、防塵、防水効果をより一層高めることが可能になる。この防塵プレート51は、可撓性部材で形成されているため、隙間の少ない空間でも適当に変形して設けることが可能であり、また、着脱も簡単であるため定期的に取り外して洗浄することが可能である。また、一体に形成された帯状体51a,51b,51cと帯状体の下方に穿設された取付孔51d,51e,51fとでブラケットに取り付けるように構成しているので、特別な固定部材がなくても容易に取り付けることが可能である。尚、前述したようにエアクリーナ36は、独自に吸入口保護カバー36bを備えているが、この防塵プレート51を設けることにより、特に車両前側部からの泥はね等による泥の吸込やその他の粉塵の吸込の防止効果をより一層高めることができるようになる。
【0013】(車体カバーに関する説明)以上説明したように構成されたスクータ型車両1における車体フレーム15は、図1に示すようにその周囲が車体カバー60によって覆われている。車体カバー60は、ヘッドパイプ9の前方を覆うフロントカバー61と、ヘッドパイプ9の後方とダウンチューブ11の後方を覆い、足載せ空間Sの前端を画定すると共に、その下部で足載せ台7の一部を構成するレッグシールド63と、レッグシールド63の下端に連なり左右一対の後部フレーム13における略水平な前側部分の上方を覆い、足載せ空間Sの下端を画定し、前記レッグシールド63と共に足載せ台7を構成するフロアカバー65と、フロアカバー65の両側縁から下方に延び、フロアカバー65の下方の空間の側部を覆う左右一対のアンダーカバー66と、フロアカバー65の後端部からシート5の前部の下方を覆うように上方に向かってシートの前部下端まで立上がり、足載せ空間Sの後端を画定するシート前下カバー67と、シート前下カバー67の後端からシート5とエンジン35との間の領域を覆うように車体後方に向かって延びる左右一対のサイドカバー69等とから構成されている。
【0014】(フロントカバー及びレッグシールドに関する説明)前記フロントカバー61は、前輪19の上方を覆う位置まで車両前方に延び、その先端部は、車体前方に向かって平面視先細になるように成形されており、ヘッドパイプ9等に固定されたレッグシールド63に固定される。このフロントカバー61の先端部には、工具等の小物類を収納できる収納部61aが形成されており、この収納部61aには、閉じた時にフロントカバー61の表面と面一になる蓋部材61bが開閉可能に設けられている。尚、この収納部61aは、工具等の小物類を収納するだけでなく、フラッシャ62のバルブ交換等にも利用できるように構成され得る(図1参照)。また、レッグシールド63は、ハンドル3の下方から一度車両斜め前方に向かって傾斜しながら下方に延び、ヘッドパイプ9に対するダウンチューブ11の取付け部分に対応する高さ付近で側面視略く字状に湾曲して斜め後方に向かって傾斜しながらさらに下方に延び、ダウンチューブ11に取り付けられた後部フレーム用取付ブラケット25の両側を通過してフロアカバー65の前端部に至る板材63bの中央部63aをヘッドパイプ9及びダウンチューブ11の形状に合わせて凸状に後方に膨らませた形状に成形され、その上部がヘッドパイプ9に固定されたブラケット9aにボルト64bの位置で固定され、かつ、その下部が後部フレーム13に固定されたブラケット(図示せず)に固定されており、フロントカバー63と最中状に組み合わされて、前記フロントカバー63にボルト64aの位置で固定される(図9及図10(a)参照、図9はレッグシールド63を車体後方から見た図、図10(a)は図9におけるA−A断面図である。)。図9に示すように、前記凸状に膨らんだ凸状部63aの上部は、ヘッドパイプ9に対応してレッグシールド63の略全域にわたって形成されており、また、そのダウンチューブ11に対応する下部は、幅広の上部から下方に向けて先細になる形状に成形され、その両側部に比較的幅広の平面部63bが形成され、この平面部63bは足載せ台7の一部を形成する。これにより、足載せ空間におけるダウンチューブ11を挟んだ左右の空間が車体前方に向かって広がり、運転者がシートに着座した時にダウンチューブ11を挟んだ左右の空間に足を伸ばせるようにしている。
【0015】(フロントトランクに関する説明)このレッグシールド63における凸状部63aの上部にはフロントトランク70が形成されている。フロントトランク70は、車幅方向に広い浅い凹部71と、この凹部71の底面71aに形成された左右の収納凹部73,74とから成る。前記左右の収納凹部73,74は、ヘッドパイプ9を避けるようにヘッドパイプ9の両側の位置し、凹部71の底面71aから車両前方に向かって深く凹んでいる。図10(b)は、車体カバーのフロントトランクに対応する部分の部分断面図、図10(c)は、図10(b)におけるB−B断面図を各々示している。図面に示すように、車体左側の収納凹部71には、ヘッドパイプ9側の側壁74aに沿ってP型ロック部材75の収納部76が形成されている。前記P型ロック部材は車両駐車時に車輪の回り止めをして盗難防止を図るロック部材である。この収納部76は、P型ロック部材75のアーム部75aを収納するアーム収納空間76aと、アーム収納空間76aの前端壁76bの下方をさらに車両前方に凹ませた、P型ロック部材75のシリンダ部75bを収納するシリンダ収納空間76cとから成る。このロック部材収納部76の前端壁76bには、ロック部材75のアーム部75aを把持する二つの把持爪から成るロック部材把持手段77が一体に成形されている。尚、このロック部材把持手段77は、必ずしも本実施例のように一体成形である必要はなく、例えば、図10(d)に示すロック部材把持手段90のように、断面C字状の変形可能な把持部90と、径の大きい変形可能な係止部を先端に備えた取付部90bとから成る、フロントトランク70と別体に形成されたものでもよい。尚、図10(d)中、符号91は、フロントトランクにおけるロック部材収納部の前端壁である。上記した構成により、使用者が、P型ロック部材75を、そのシリンダ部75bが車両前方に向くように立てた状態で、左側フロントトランク74のヘッドパイプ側の側壁74aに沿って挿入すると、P型ロック部材75は、ロック部材把持手段77により把持されてロック部材収納部76に収納把持される。ロック部材75は、収納時にロック把持手段77により把持されるので、ロック部材75が車両走行中にバタツクことはない。また、ロック部材収納部76は、レッグシールド63のヘッドパイプ9への取付部分に近いヘッドパイプ9側の側壁74aに沿って形成されているので剛性が高く、補強部材を設けたり材質を変更する等してフロントトランクの剛性を高める必要なしに、P型ロック部材75のような重量物を収納することが可能である。また、このレッグシールド63における凹部71には、蓋部材78が開閉可能に取り付けられている。この蓋部材78は、閉めた状態でレッグシールド63の凸状部63aの表面と面一になって、当該凸状部63aの一部を構成する形状に成形されており(図1参照)、その下端が凹部71の下端に位置する左右一対の蝶番部71bにより回動可能に支持されている。前記蓋部材78にはシリンダ錠80が設けられており、フロントトランク70における前記シリンダ錠80に対応する部分には、下方に向かって延びる係止部79と、シリンダ支持部79aとが一体に成形されている。前記シリンダ支持部79aは、蓋部材78を閉めたときにシリンダ錠80の側部をガイドするように略U字状の形に形成されている。これにより、蓋部材78を閉めた後、不図示のキー操作でシリンダ錠80を回転させるとシリンダ錠80のフックが前記係止部79に係止して蓋部材78が施錠される。また、例えば、施錠後に他人が蓋部材78を無理矢理左右方向にずらしてシリンダ錠80のフックを係止部79から外そうとしても、蓋部材78を閉めた状態で、シリンダ支持部79aがシリンダ錠80の側部をガイドしているため蓋部材78を左右方向にずらすことができずシリンダ錠80のフックを係止部79aから外すことはできない。このようにフロントトランク70の蓋部材78を施錠できるように構成することによって、フロントトランク704内の収納物の盗難防止性を高めることができ、P型ロック部材75を常設することが可能になる。尚、前記フロントトランク73,74に収納すべきロック部材は、上記したP型ロック部材75に限定されるものではなく、従って、ロック部材収納部76も、例えば、多関節式のサイクルロック等、様々な種類のロック部材に応じた形状に形成され得る。また、ロック部材把持手段77も収納するロック部材に応じた形状に形成され得る。
【0016】(フロアカバーに関する説明)前記フロアカバー65は、前記レッグシールド63の後端から、後部フレーム13における前側の略水平に延びる部分の上方に沿って車体後方に延び、その後部は、後部フレーム13における立ち上がり部分を避けるようにU字状に切り欠かれ、左右に分かれてさらに車両後方に延びている(図3参照)。図11は、フロアカバー65の後部とシート前下カバー67とを車両斜め前方から見た部分拡大図を示している。図11、図1、及び図3に示すように、このフロアカバー65における左右に分かれた後端部には、各々側面視台形状に突出した足掛け部65aが成形されている。この足掛け部65aはシート5におけるタンデムシート5bに着座した搭いる。この足掛け部65aはシート5におけるタンデムシート5bに着座した搭乗者が足を掛けるために使用される。フロアカバー65は、その中央部分に左右一対の後部フレーム13間に落ち込むバッテリ収納ケース65bが一体に成形されており、この収納ケース65bの周囲にはカバー81をはめ込む浅い凹部65c(以下、カバー装着部65cと称する。)が成形されている。尚、この浅い凹部65cには、図示していないがリード線等の策配溝が形成され得る。前記カバー81は、後述するシート前下カバー67のメンテナンス用開口67aを閉鎖する上部閉鎖部81aと、前記収納ケース65bを閉鎖する下部閉鎖部81bとを一体に成形した側面視略逆L字状に成形されており(図12参照、図12(a),(b)は各々カバー81の上面図、及び側面図である。)、取り付けた状態で、フロアカバー65及びシート前下カバー67の表面と面一になって、それらのカバー65,67の表面の一部を構成するような形状に成形されている(図1及び図3参照)。また、このカバー81の裏面における収納ケース65bに対応する部分には、斜め後方に向かって傾斜された変形可能な保持用リブ81cが複数枚一体に成形されており、カバー81を取り付けた時に、前記保持用リブ81cがバッテリ収納ケース65bに収納されたバッテリ82の上面に押し当てられて変形し、その復元力によってバッテリの収納物を収納ケース65b内に固定できるように構成されている(図13参照、図13(a),(b)は、各々カバーを取り付ける前の状態、及びカバーを取り付けた後の状態を示すカバー及びロアケースの概念図である。)。この保持用リブ81cは変形し易いように斜めに傾斜して成形されるのが好ましいが、必ずしも本実施例のように斜め後方に傾斜させる必要はなく、斜め側方又は斜め前方に傾斜させてもよい。また、保持用リブ81cは、例えば、弾性部材等の他の保持手段に変更することも可能である。本実施例のように保持用リブ81cが斜め後方に傾斜するような形状であると、成形時に図12(b)の矢印A方向に型抜きができるので、二つの型で成形することが可能になり、製造上好ましい。
【0017】(足置き面と足置きマットに関する説明)上記したように構成されたレッグシールド63における平面部63bと、フロアカバー65には、その上面に各々、足置きマット8を装着するための浅い凹部63c及び65dが成形されており、一枚の足置きマット8が係るマット装着用凹部63c,65dに装着される。この足置きマット8は、足置き台7上の足置き面全体を覆っている。
【0018】(シート前下カバーのメンテナンス用開口に関する説明)図11に示すように、シート前下カバー67の中央部に形成されたメンテナンス用開口67aは、エンジンヘッドより広く形成され、カバー81を外すだけで、プラグ交換等のメンテナンス作業を容易に行えるようにしている。また、前記したように左右一対の後部フレーム13は、その右側の後部フレーム13Rの中間の立ち上がり部分が左側の後部フレーム13Lの中間の立上がり部分より側面視後方を通るように構成されているので、メンテナンス時に後部フレーム13が邪魔になることがなく、メンテナンス作業が非常に行い易い。
【0019】(シート前下カバーの空気取入面に関する説明)また、シート前下カバー67は、図11に示すように、シート5の前部の下方を覆うように略U字状に湾曲されており、その両側部は、一度車幅方向に向けて屈曲され、さらにその後、再度車両後方に向けて屈曲され、車両前方を向く面67b(以下、この面を空気取入面67bと称する。)を形成している。図14は、シート前下カバーの側面図を示している。この空気取入面67bは、フロアカバー65の左右の後端部に設けられた足掛け部65a(即ち、足置き面)に繋がり、そこからフロアカバー65の形状に沿って一度斜め上方に向けて後方に延び、その後斜め上方に車両前方に向かって延びるように鋭角に湾曲してシート5の下端に至るような形状に成形されている。また、この左右の空気取入面67bにおける前記斜め上方に車両前方に向かって延びる部分には、各々二つの空気取入孔83及び85が穿設されている。前記左右の空気取入面67bは左右の後部フレーム13の外側に位置し、かつ空気取入面67bに穿設された空気取入孔83及び85は、エンジン35及びエアクリーナ36より上方に位置する(図1参照)。これにより、車両走行中に前記空気取入孔83及び85から、リアカバー69で囲まれた空間内に取り入れられる走行風は、前記収納ボックス39における左右の後部フレーム13間に落ち込む収納部39bとリアカバー69との間を通過して後方に流れて、エンジン35によって暖められた空気を車両方向に逃がすように作用する。また、前記空気取入孔83及び85は、各々エアクリーナ36より上方に位置しているので、これら空気取入孔83及び85から取り入れた走行風がエアクリーナ36の吸入口36aに悪影響を及ぼすことはない。上記シート前下カバー67は、その両側部を段付き形状にして車両前方を向く空気取入面67bを形成し、この空気取入面67bが、カバー組立時に足置き面に繋がるようにしているので、足置き空間Sを、シート前下カバー67の中央を挟んで左右後方に広くとれる。
【0020】(車体カバーの材質に関する説明)以上説明したように構成した車体カバー60は、好ましくはフロントカバー61、レッグシールド63、及びリアカバー69が塗装カバーで構成され、また、フロアカバー65及びシート前下カバー67が着色樹脂で構成され得る。このようにフロアカバー65及びシート前下カバー67を着色樹脂で構成すると、シート前下カバー67の両側部の空気取入面67bが足置き面からシート5の下端まで延びているので、運転者や搭乗者の足によって傷つきやすい足置き空間Sの後方全体を傷つきにくい着色樹脂によって覆えるようになり(図1参照)、使用時の車体の傷つきが少なくなる。
【0021】(実施例効果)以上説明した本実施例によれば、防塵プレート51の上端に、右側に二本、左側に一本の取付用帯状体51a,51b,51cを各々一体に成形し、かつ各取付用帯状体51a,51b,51cの下方には各々対応する取付孔51d,51e,51fが穿設して、取付ブラケット49に形成された取付孔49a,49b,49c,49dに各帯状体51a,51b,51cを通した後、各帯状体51,51b,51cの先端部を防塵プレート51自身の取付孔51d,51e,51fに通すことで防塵プレート51を取り付けられるように構成しているので、取付が容易で、また、既存の車両にも容易に取り付けることができるという効果を奏する。また、本実施例では、防塵プレート51を、可撓性部材で形成されているため、隙間の少ない空間でも適当に変形して設けることが可能であり、また、着脱も簡単であるため定期的に取り外して洗浄することが可能である。さらに、本実施例では、エンジン35及びエアクリーナ36は各々独自に吸込口保護カバー35b,36bを備えているが、防塵プレート51により泥はね等による泥の吸込やその他の粉塵の吸込の防止効果をより一層高めることができるようになる。
【0022】(その他の適用)本実施例では、防塵プレート51に帯状部材を一体に設け、かつ帯状部材の下方に帯状部材を通す取付孔を形成しているが、防塵プレートの構造は本実施例に限定されることなく、任意の形状でよいことはもちろんである。さらに、本実施例では、後部フレームの立上がり部分に車幅方向に延びる取付ブラケットを設け、この取付ブラケットに防塵プレートを取り付けるように構成されているが、防塵ブラケットを取り付ける部分は取付ブラケットに限定されるものではなく、取り付けた状態でエンジン前部下方を覆うことのできる部分であれば任意の位置に取り付けることができる。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように構成された本発明に係る防塵プレート付きスクータ型車両によれば、ハンドルとシートとの間に低床な足載せ台を有し、このシート下方にエアクリーナを備えたユニットスイング式エンジンを車体フレームに対して揺動可能に配設し、前記エンジンとシートとの間を車体カバーで覆ったスクータ型車両において、前記車体カバーの前下部にエンジン前方を覆う防塵プレートを設け、前記防塵プレートを可撓性材料で成形しているので、車体カバー内への泥・水・粉塵等の侵入そのものを阻止でき、エアクリーナやVベルト伝達機構への侵入を確実に防止することができるという効果を奏する。また、前記防塵プレートを可撓性材料で構成しているので他の構成部品との干渉を問題とせずに、最適な位置に防塵プレートを設けることが可能になるという効果を奏する。
- 【公開番号】特開平10−7059
【公開日】平成10年(1998)1月13日
【発明の名称】防塵プレート付きスクータ型車両
- 【出願番号】特願平8−158705
【出願日】平成8年(1996)6月19日
【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 茂 (外1名)
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