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加熱手段を備えたホースの編組装置
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- 【要約】
【課題】 内管と補強糸または補強層間の接着を確実に行うことが出来ると共に、効率良く製造でき、柔軟で、かつ高耐久性のあるホースの生産性の向上を図ることが出来る加熱手段を備えたホースの編組装置を提供する。
【解決手段】 押出機から押出された熱可塑性樹脂材料から成る内管または接着樹脂層まで被覆したホース1は、ガイドローラ2を介して編組装置3内に供給され、編組装置3内には、補強糸4を巻取った複数個のボビン6と、内管または接着樹脂層まで被覆したホース1に補強糸4を編組するブレーディングダイス7とが内装され、また内管または接着樹脂層まで被覆したホース1に補強糸4を編組する前工程には、内管または接着樹脂まで被覆したホース1の表面層を連続的に加熱する加熱手段8が設けられている。

- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも内管と、補強糸から成る補強層を有し、少なくとも該内管の外周面が熱可塑性樹脂材料から成るホースの製造に用いられ、該内管の外周面に、補強糸を編組するホースの編組装置において、前記編組装置のブレーディングダイスに、内管に補強糸を編組する直前工程で内管の表面層を連続的に加熱する加熱手段を設けたことを特徴とする加熱手段を備えたホースの編組装置。
【請求項2】 前記加熱手段が、補強糸を編組する直前に内管表面層を溶融状態まで加熱する加熱装置である請求項1に記載の加熱手段を備えたホースの編組装置。
【請求項3】 前記加熱手段が、内管表面層を予熱する予熱装置と、補強糸を編組する直前に内管表面層を溶融状態まで加熱する加熱装置とから成る請求項1に記載の加熱手段を備えたホースの編組装置。
【請求項4】 前記予熱装置が、内管表面層に熱風を吹き付けて予熱を行う熱風循環予熱方式である請求項1または請求項3に記載の加熱手段を備えたホースの編組装置。
【請求項5】 前記ブレーディングダイスに設けた加熱装置が、ブレーディングダイスの内管挿通部に取り付けられ、かつ内管の外表面層に接触し、内管の軸方向に進退移動する加熱治具である請求項1,請求項2,請求項3または請求項4に記載の加熱手段を備えたホースの編組装置。
【請求項6】 前記ブレーディングダイスに設けた加熱装置が、ブレーディングダイスの外周面に取り付けられ、かつブレーディングダイス全体を加熱する一体的に取付けられたバンドヒータである請求項1,請求項2,請求項3または請求項4に記載の加熱手段を備えたホースの編組装置。
【請求項7】 前記ブレーディングダイスに設けた加熱装置が、ブレーディングダイスの内部に埋設され、かつブレーディングダイス全体を加熱する加熱用ヒータである請求項1,請求項2,請求項3または請求項4に記載の加熱手段を備えたホースの編組装置。
【請求項8】 少なくとも内管と、補強糸から成る2層以上の補強層を有し、該補強層間に熱可塑性樹脂材料から成る接着樹脂層を有するホースの製造に用いられ、該接着樹脂層の外周面に、補強糸を編組するホースの編組装置において、前記編組装置のブレーディングダイスに、接着樹脂層に補強糸を編組する直前工程で接着樹脂層の表面層を連続的に加熱する加熱手段を設けたことを特徴とする加熱手段を備えたホースの編組装置。
【請求項9】 前記加熱手段が、補強糸を編組する直前に内管表面層または接着樹脂層を溶融状態まで加熱する加熱装置である請求項8に記載の加熱手段を備えたホースの編組装置。
【請求項10】 前記加熱手段が、内管表面層または接着樹脂層を予熱する予熱装置と、補強糸を編組する直前に内管表面層または接着樹脂層を溶融状態まで加熱する加熱装置とから成る請求項8または請求項9に記載の加熱手段を備えたホースの編組装置。
【請求項11】 前記予熱装置が、内管表面層または接着樹脂層に熱風を吹き付けて予熱を行う熱風循環予熱方式である請求項8または請求項10に記載の加熱手段を備えたホースの編組装置。
【請求項12】 前記ブレーディングダイスに設けた加熱装置が、ブレーディングダイスの内管挿通部に取り付けられ、かつ内管の外表面層または接着樹脂層に接触し、内管の軸方向に進退移動する加熱治具である請求項8,請求項9,請求項10または請求項11に記載の加熱手段を備えたホースの編組装置。
【請求項13】 前記ブレーディングダイスに設けた加熱装置が、ブレーディングダイスの外周面に取り付けられ、かつブレーディングダイス全体を加熱する一体的に取付けられたバンドヒータである請求項8,請求項9,請求項10または請求項11に記載の加熱手段を備えたホースの編組装置。
【請求項14】 前記ブレーディングダイスに設けた加熱装置が、ブレーディングダイスの内部に埋設され、かつブレーディングダイス全体を加熱する加熱用ヒータである請求項8,請求項9,請求項10または請求項11に記載の加熱手段を備えたホースの編組装置。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、加熱手段を備えたホースの編組装置に係わり、更に詳しくは少なくとも内管と、補強糸から成る補強層を有するホースの製造において、少なくとも前記内管の外周面および補強層間の接着層が熱可塑性樹脂組成物や熱可塑性エラストマー組成物等の熱可塑性樹脂材料(以下、単に熱可塑性樹脂材料と言う)から成る内管と、該内管の外周面に編組する補強糸との接着性及び補強糸から成る2層以上の補強層相互の接着性を良好にし、柔軟、かつ高耐久性を有するホースを製造することが出来る加熱手段を備えたホースの編組装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高圧ホースとしては、例えば、少なくとも内管の外周面が熱可塑性樹脂材料から成る内管と、内管の外周面に補強糸を編組した少なくとも一層以上から成る補強層と、その表面をカバーする外管とから構成されている。ところで、上記のようなホースにおいて、少なくとも内管の外周面が熱可塑性樹脂材料から成る内管と、その外周面に編組する補強糸との接着性及び2層以上の補強層相互の接着性は、ホースの柔軟性、かつ耐久性に重大な影響を与え、接着性が悪いと内管と補強糸とが剥離したり補強層相互が剥離し、ホースの性能に影響を与えるものである。
【0003】従来、熱可塑性樹脂材料から成る内管の外周面に補強糸を編組したり、また補強層を2層以上に構成する場合、溶剤系の接着剤を使用して、内管の外周面に補強糸を編組したり、また補強層間を接着していた。また、溶剤系接着剤以外を使用する場合としては、赤外線、遠赤外線、近赤外線、超音波、高周波加熱、誘電加熱等を使用して、熱可塑性樹脂材料から成る内管や2層以上の補強層間に配置された熱可塑性樹脂材料から成る接着樹脂層をホース成形後にオーブン等の加熱装置により外管の外表面から加熱し、内管と補強糸や補強層間の接着を行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、溶剤系接着剤を使用する場合には、■.溶剤揮散による安全衛生上の問題や、公害の問題が発生し易い、■.実用強度達成の為の熟成期間が、少なくとも1〜2日間必要とし、生産性の向上を図ることが難しい、等の問題がある。
【0005】また、後者の加熱装置を用いる方法の場合には、■.構成部品に、寸法変化や劣化等の増長が起こり易く、品質影響度が高い(目標物の表層のみを加熱するのに無理がある)、■.設置スペースに制約がある、■.高価で大掛かりな設備となる、等の問題がある。従って、上記従来の内管と補強糸の接着や、補強層間の接着方法においては種々の問題を具備するものであった。
【0006】この発明は、かかる従来の課題に着目して案出されたもので、溶剤系接着剤や高価な設備を用いることなく、内管と補強糸または補強層間の接着を確実に行うことが出来ると共に、効率良く製造でき、柔軟で、かつ高耐久性のあるホースの生産性の向上を図ることが出来る加熱手段を備えたホースの編組装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するためのこの発明の第1の態様は、少なくとも内管と、補強糸から成る補強層を有し、少なくとも該内管の外周面が熱可塑性樹脂材料から成るホースの製造に用いられ、該内管の外周面に、補強糸を編組するホースの編組装置において、前記編組装置のブレーディングダイスに、内管に補強糸を編組する直前工程で内管の表面層を連続的に加熱する加熱手段を設けたことを要旨とするものである。
【0008】また、この発明の第2の態様は、少なくとも内管と、補強糸から成る2層以上の補強層を有し、該補強層間に熱可塑性樹脂材料から成る接着樹脂層を有するホースの製造に用いられ、該接着樹脂層の外周面に、補強糸を編組するホースの編組装置において、前記編組装置のブレーディングダイスに、接着樹脂層に補強糸を編組する直前工程で接着樹脂層の表面層を連続的に加熱する加熱手段を設けたことを要旨とするものである。
【0009】上記この発明の第1の態様および第2の態様のいずれにおいても、前記加熱手段が、補強糸を編組する直前に内管表面層または接着樹脂層を溶融状態まで加熱する加熱装置であり、また加熱手段を、内管表面層または接着樹脂層を予熱する予熱装置と、補強糸を編組する直前に内管表面層または接着樹脂層を溶融状態まで加熱する加熱装置とで構成することも可能である。
【0010】また、前記予熱装置は、内管表面層または接着樹脂層に熱風を吹き付けて予熱を行う熱風循環予熱方式である。また、前記ブレーディングダイスに設けた加熱装置は、内管の外表面層または接着樹脂層に接触し、かつ内管の軸方向に進退移動する機構を有するものである。更に、内管の外表面層または接着樹脂層に接触する機構により、熱可塑性樹脂材料から成る内管の外表面層または接着樹脂層の表面を熱伝導により、最小の熱量で溶融状態に至るまで効率よく加熱することができる。また、最小の熱量で加熱するため、省エネルギーであり、かつ熱可塑性樹脂材料等ホースを構成する材料の熱劣化等の影響を最小に抑えることが可能である。
【0011】また、内管の軸方向に進退移動する機構により、編組装置によって補強糸が巻き付けられる位置、即ち編組点と表面の溶融部との距離を調整できるため、加熱温度、編組速度とともに編組点での熱可塑性樹脂材料の溶融状態を制御でき、熱可塑性樹脂材料の種類、性状に応じた最適な編組、加熱、接着状態を得ることができる。
【0012】前記加熱装置と編組点との距離、加熱温度、編組速度等の編組、加熱、接着条件は、前述の通り、熱可塑性樹脂材料の種類、性状および生産速度等の条件に応じて適宜設定すればよいが、加熱装置と編組点との距離は50cm以下、加熱温度は熱可塑性樹脂材料の溶融温度以上、編組速度は0.1m/分以上とするのが好ましい。
【0013】加熱装置の加熱機構は、上記の要件を満たすものであれば、いずれでもよく、ブレーディングダイスの内管挿通部に取り付ける、加熱治具で構成したり、ブレーディングダイスの外周面に取り付けられ、ブレーディングダイス全体を加熱する一体的に取り付けられたバンドヒータで構成したり、更にブレーディングダイスの内部に埋設され、ブレーディングダイス全体を加熱する加熱用ヒータで構成することも可能である。
【0014】更に、加熱装置の外周面と、ブレーディングダイスの外周面との少なくとも一方は、断熱機構あるいは冷却機構を設け、加熱装置から発生する熱で編組装置の他の機構および編組前の補強糸が極度に加熱されることを防ぐのが好ましい。この発明は上記のように構成され、少なくとも内管の外周面層が押出機から押出された熱可塑性樹脂材料から成る内管の外周面層と、補強糸上に押出機から押出された熱可塑性樹脂材料から成る接着樹脂層との少なくとも一方に、編組装置により補強糸を編組する前工程で、内管の外周表面層と接着樹脂層との表面層との少なくとも一方を溶融状態まで加熱する。
【0015】このような状態で補強層を編組することにより、従来のような溶剤系接着剤や赤外線、超音波等の高価な設備を用いることなく接着性能を高めることが出来、内管と補強糸または補強層間の接着を確実に行うことが出来ると共に、効率良く製造でき、柔軟で、かつ高耐久性のあるホースの生産性の向上を図ることが出来るものである。
【0016】この発明の編組装置により、製造されるホースに用いられる熱可塑性樹脂材料とは、一般に用いられる熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマー、それらの組成物であって、特に限定されるものではないが、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂およびその組成物、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーおよびその組成物、更に、これらの熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマー中に加硫ゴム組成物を含むゴム組成物が粒子状に分散した熱可塑性エラストマー組成物等が例示される。
【0017】更に、この発明の編組装置により、製造されるホースの内管に用いられる材料は熱可塑性樹脂材料に限定されるものではなく、少なくとも内管の外周面が熱可塑性樹脂材料から成るホースであればよい。即ち、所謂加硫ゴム組成物の内管上にそれと接着する熱可塑性樹脂材料を押出成形した構成のホースであっても本発明の編組装置により接着一体化したホースを製造することができる。
【0018】また、この発明の編組装置により製造されるホースの補強層を構成する繊維材料は、一般に用いられるビニロン繊維,レーヨン繊維,ポリエステル繊維,ナイロン繊維,芳香族ポリアミド繊維等で製造された補強糸である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を第1の態様を例に説明する。図1は、この発明の第1実施形態を示すホースの縦型編組装置の概略構成図を示し、図示しない押出機から押出された熱可塑性樹脂材料から成る内管または接着樹脂層まで被覆したホース1は、ガイドローラ2を介して編組装置3内に供給され、編組装置3内で補強糸4が編組されて引取装置5により引き取られて次工程へ供給されるようになっている。
【0020】前記編組装置3内には、補強糸4を巻取った複数個のボビン6と、内管または接着樹脂層まで被覆したホース1に補強糸4を編組するブレーディングダイス7とが内装され、また内管または接着樹脂層まで被覆したホース1に補強糸4を編組する前工程には、内管または接着樹脂層まで被覆したホース1の表面層を連続的に加熱する加熱手段8が設けられている。
【0021】前記加熱手段8は、図1及び図2に示すように、内管表面層を予熱する予熱装置9と、補強糸4を編組する直前に内管表面層を溶融状態まで加熱する前記ブレーディングダイス7に設けた加熱装置10とで構成されるものである。なお、内管表面層を予熱する予熱装置9を用いずに、加熱装置10で内管表面層を直接溶融状態まで加熱することも可能である。
【0022】前記予熱装置9は、図2に示すように、加熱装置10の前工程に内管または接着樹脂層まで被覆したホース1を覆う所定の長さの筒状体11で構成され、この筒状体11の一部に、図示しない熱風供給装置からの熱風を送り込む熱風供給管11aが接続され、前記内管または接着樹脂層まで被覆したホース1の表面層に循環する熱風を吹き付けて予熱を行う熱風循環予熱方式となっている。
【0023】なお、熱風の温度は、内管または接着樹脂層まで被覆したホース1を構成する熱可塑性樹脂の溶融温度により任意に設定するものである。また前記ブレーディングダイス7に設けた加熱装置10は、図2及び図3に示すように、ブレーディングダイス7の内管挿通部7aに、内管または接着樹脂層まで被覆したホース1の外表面層1aに接触し、かつ内管または接着樹脂層まで被覆したホース1の軸方向(X−X方向)に進退移動する加熱治具12により構成されている。
【0024】即ち、加熱治具12の内管挿通部7aに挿入する部分の内径部は内管または接着樹脂層まで被覆したホース1の外径寸法と同径に形成され、内管または接着樹脂層まで被覆したホース1は常に加熱治具12に接触して移動するものである。前記加熱治具12は、図示しない加熱ヒータに接続されて一定の温度に加熱され、前記内管または接着樹脂層まで被覆したホース1への補強糸4の編組点Pの移動に伴って内管または接着樹脂層まで被覆したホース1の軸方向に移動出来るように構成されている。
【0025】また、図4はブレーディングダイス7に設ける加熱装置10の第2実施形態を示すもので、この実施形態における加熱装置10は、ブレーディングダイス7の外周面7bに、ブレーディングダイス7全体を加熱するバンドヒータ13が一体的に取付けられている。なお、バンドヒータ13は、図示しない加熱手段に接続されている。従って、この実施形態は、加熱装置を備えた一体型のブレーディングダイス7となっている。
【0026】また、図5はブレーディングダイス7に設ける加熱装置10の第3実施形態を示すもので、この実施形態における加熱装置10は、ブレーディングダイス7を鋳物により製造する場合に、そのブレーディングダイス7内部に加熱用ヒータ14を一体的に埋設して構成したもので、ブレーディングダイス7の全体を加熱するように構成したものである。
【0027】従って、この実施形態も、上記第2実施形態と同様に、加熱装置を備えた一体型のブレーディングダイス7となっている。以上のように、この発明の各実施形態では、少なくとも内管の外周面が押出形成された熱可塑性樹脂材料から成る内管または接着樹脂層まで被覆したホース1の外周面に、編組装置3で補強糸4を編組する場合、内管または接着樹脂層まで被覆したホース1の外表面層1aのみを予熱装置9により予め予熱して軟化させておき、次いで加熱装置10で、軟化した外表面層1aを溶融した状態にした直後に、複数個のボビン6から引出した補強糸4で編組すると、補強糸4は、溶融している外表面層1a内に埋設されて一体化し、このようにして編組した内管または接着樹脂層まで被覆したホース1を引取装置5により引き取って、更に次工程の外管被覆工程で外管を一体的に成形するものである。
【0028】なお、予熱装置9を用いずに加熱装置10により内管または接着樹脂層まで被覆したホース1の外表面層1aを直接溶融した状態にした直後に、補強糸4で編組することも可能であり、また補強糸4から成る補強層を複数層形成する場合にも、中間層を介在させて行うことから中間層を加熱装置10により加熱溶融させた状態で補強層4を編組することにより接着剤等を用いることなく一体的に成形することが出来るものである。
【0029】以上のように、少なくとも内管の外周面が押出機から押出された可塑性樹脂材料から成る内管または接着樹脂層まで被覆したホース1の外周面層に、編組装置3により補強糸4を編組する前工程で、内管または接着樹脂層まで被覆したホース1の外周表面層1aを溶融状態まで加熱し、このような状態で補強層を編組することにより、従来のような溶剤系接着剤や赤外線、超音波等の高価な設備を用いることなく接着性能を高めることが出来る。
【0030】またこれはこの発明の第2の態様である2層以上の補助層を形成する場合にも適用でき、接着樹脂層を加熱し、補強糸を編組することにより、内管または接着樹脂層まで被覆したホース1と補強糸4または補強層間の接着を確実に行うことが出来ると共に、効率良く製造でき、柔軟で、かつ高耐久性のあるホースの生産性の向上を図ることが出来るものである。なお、上記の実施形態では、縦型の編組装置について説明したが、横型の編組装置についても適用は可能である。
【0031】
【実施例】次に、ホース製造についての実施例を挙げ、この発明の編組装置の使用例および効果を具体的に説明する。ただし、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
(1)内管形成熱可塑性ポリエステルエラストマー(ハイトレル5557:東レ・デュポン社製:融点208℃)を内管内層とし、熱可塑性ポリエステルエラストマー(ハイトレル2551:東レ・デュポン社製:融点164℃)を内管外層とし、樹脂押出機および2層共押出ヘッドを用い、内径9.5mm、内管内層の厚さ1.0mm、内管外層の厚さ0.1mmの寸法で中空状に押出し、内管を形成した。
(2)補強層第1層編組図1、図2および図3に示す編組装置を用い、前記内管の外周面を溶融状態まで加熱し、更にそれと連続して前記内管の上にポリエステル繊維より成る補強層を編組し、補強層を形成するとともに、内管と補強層との接着を得た。編組条件は下記の通りである。
【0032】予熱装置は熱風循環方式であり、熱風温度を120℃に調整した。予熱装置出口でのホース内管の外表面の温度は100℃であった。ブレーディングダイスに取り付けた加熱治具のホース内管との接触する距離は20mmとし、また、加熱治具の出口から編組点までの距離は10mmとした。ブレーディングダイスに取り付けた加熱治具は、温度200℃となるように調整し、編組速度を1.0m/分とした。加熱治具出口でのホース内管の外表面の温度は180℃であった。また、ホース内管の外表面が溶融状態であることを目視確認した。(熱可塑性樹脂材料の融点は164℃である。)なお、予熱装置の通過時間は42秒、加熱治具の通過時間は1.2秒、加熱治具を出て編組されるまでの時間は0.6秒である。
(3)接着樹脂層形成熱可塑性ポリエステルエラストマー(ハイトレル2551:東レ・デュポン社製:融点164℃)を用い、樹脂押出機およびクロスヘッドを用い、厚さ0.1mmの寸法で、接着樹脂層を形成した。
(4)補強層第2編組補強層第1層編組の工程と同様の編組装置および編組条件で、前記接着樹脂層の外周面を溶融状態まで加熱し、更にそれと連続して前記接着樹脂層の上にポリエステル繊維より成る補強層を編組し、補強層を形成するとともに、接着樹脂層を介して補強層第1層と補強層第2層との接着を得た。
(5)外管形成熱可塑性ポリエステルエラストマー(ハイトレル2551:東レ・デュポン社製:融点164℃)を外管内層とし、熱可塑性ポリエステルエラストマー(ハイトレル4777:東レ・デュポン社製:融点200℃)を外管外層とし、2連の樹脂押出機およびクロスヘッドを用い、外管内層と外管外層を連続して押出し、外管内層の厚さ0.1mm、外管外層の厚さ1.0mmの寸法で、外管を形成した。
(6)ホースの評価以上(1)〜(5)の工程によって製造したホースの内径測定による寸法安定性の評価および高温衝撃圧力試験によるホース耐久性の評価を実施した。
【0033】なお、高温衝撃圧力試験は、SAE J188 TYPE1に準拠し、温度120℃、圧力27.5MPa、目標耐久回数20万回で行った。寸法安定性は、内径9.3mmで規格寸法内であり、良好であった。ホース耐久性は、目標耐久回数まで破壊することなく走行し、また、事後の確認でも異常は認められず、良好であった。
(7)比較例本実施例に対する比較例として、接着樹脂の代わりにウレタン系常温湿気硬化型接着剤(タイライト7411:ロード・ファーイースト社製)を用いたこと、及び加熱装置のない編組装置を用いたこと以外は本実施例と同様の構成で製造したホース(比較例1)および本実施例と同様の構成であるが、加熱装置のない編組装置を用い、外管形成後に200℃のオーブンで30分間熱処理して加熱接着させたホース(比較例2)を製造し、前記(6)と同様の評価を実施した。
【0034】比較例1は、従来のホースであり、寸法安定性、ホース耐久性ともに良好であったが、接着剤を使用しているため、溶剤揮散や熟成期間の問題があった。比較例2は、寸法安定性が悪く、内径が8.2mmと、規格外となる程に極端な内径変化を起こしていた。また、ホース耐久性も悪く、構成材料の熱劣化に起因し、5万回走行でホース本体が破壊した。これらのホースの評価結果から、本発明の編組装置を用いることによる、ホース製造上の優位性および製造されたホースの優位性が明らかとなった。
【0035】
【発明の効果】この発明は、上記のように編組装置のブレーディングダイスに、内管に補強糸を編組する前工程で内管の表面層を連続的に加熱する加熱手段を設けたので、以下のような優れた効果を奏するものである。
■.従来のような溶剤系接着剤や赤外線、超音波等の高価な設備を用いることなく接着性能を高めることが出来、この結果、安全衛生や、公害等の問題を解決でき、また構成材料の熱劣化等の影響が少ないため高品質のホースを製造出来る。
■.柔軟性、かつ高耐久性のホースを従来と同様の生産工数で製造出来、生産性の向上を図ることが出来る。
■.工程の連続製造化が可能であり、工程内の仕掛りが減少し、リードタイムの短縮化に寄与することが出来る。
■.編組装置の多様化に対して、安価で、かつ簡単に対応が可能である。
- 【公開番号】特開平10−89550
【公開日】平成10年(1998)4月10日
【発明の名称】加熱手段を備えたホースの編組装置
【発明者】
【氏名】丸山 利夫
【氏名】小沢 修
【氏名】佐藤 孝志
【氏名】添田 善弘
【氏名】田中 勝啓
【氏名】河守 裕二
- 【出願番号】特願平8−247605
【出願日】平成8年(1996)9月19日
【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
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