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廃棄物焼却炉からのダイオキシン類生成抑制方法
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- 【要約】
【課題】 焼却炉において廃棄物の焼却の際、炉から排出された燃焼排ガスが煙道を通って集塵機に送られるまでの間に、煙道中において燃焼排ガス中に残存する塩化水素により再合成されるダイオキシン類の発生を抑制する。
【解決手段】 焼却炉内に500μm以下の粒径のカルシウム化合物を供給し、焼却炉から排出された排ガスが集塵機に至る煙道中において前記カルシウム化合物を排ガスと反応させ、煙道を流れる排ガスに生ずるダイオキシン類の再合成を抑制する。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 焼却炉において廃棄物を焼却し、その燃焼排ガスを煙道を通って集塵機に導き、前記集塵機において前記燃焼排ガス中のダストを捕集するに際し、前記焼却炉内に、500μm以下の粒径のカルシウム化合物を供給し、前記焼却炉から前記集塵機に至る煙道中において、前記焼却炉から排出された燃焼排ガスと反応させ、前記焼却炉から排出され煙道を流れる前記燃焼排ガスに生ずるダイオキシン類の再合成を抑制することを特徴とする、廃棄物焼却炉からのダイオキシン類生成抑制方法。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、廃棄物の焼却炉から排出された燃焼排ガス中に含有されている、有害なダイオキシン類の生成を抑制するための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、産業廃棄物および一般家庭から排出された廃棄物を焼却するための焼却炉において、廃棄物の焼却時に発生した燃焼排ガスは、煙道を通って集塵機に導かれ、ダスト類が捕集された後、大気中に放散される。
【0003】このような、焼却炉において廃棄物の焼却時に発生した燃焼排ガス中には、ポリ塩化ジベンゾダイオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン等の、微量ではあるが強い毒性を有するダイオキシン類が含有されており、これらのダイオキシン類の生成を抑制することが大きな課題になっている。
【0004】ダイオキシン類の生成を抑制するために、次のような方法が知られている。
(1) 焼却炉において廃棄物を焼却するに際し、厚生省が定めたガイドラインに示されている、燃焼温度(Temperature)と、ガス滞留時間(Time)と、燃焼時におけるガスの乱流条件(Turbulence)の、いわゆる3Tを適切に調整する燃焼条件の制御を行い、焼却炉内におけるダイオキシン類の発生を抑制する(以下、先行技術1という)。
(2) 特開平6−66417 号公報に開示されているように、焼却炉内に廃棄物と共に、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム化合物を投入し、燃焼炉内においてこれを燃焼させ、ダイオキシン類の発生原因となる塩化水素ガス等と反応させ、焼却炉出口における塩化水素濃度を一定値以下に保つことにより、焼却内におけるダイオキシン類の発生を抑制する(以下、先行技術2という)。
【0005】また、焼却炉から排出される排ガス中から塩化水素を除去する手段として、特公昭61−24606 号公報には、焼却炉内で不活性粒子よりなる流動層を形成して廃棄物を焼却するに際し、焼却炉内に粒径約2〜5mmの粒体を80重量%以上含有する粒状ドロマイトを添加し、排ガス中の塩化水素を除去する方法(以下、先行技術3という)が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】先行技術1の燃焼条件の制御および先行技術2の焼却炉内への炭酸カルシウムの投入によれば、焼却炉出口における燃焼排ガス中のダイオキシン類含有量を低減させることができる。
【0007】しかしながら、上記の方法により焼却炉内におけるダイオキシン類の生成を抑制しても、焼却炉のガス排出口から排出された燃焼排ガスが、煙道を通って集塵機に送られ集塵されるまでの間に、集塵機に至る煙道中において、燃焼排ガス中に残存するCl、HCl 等によりダイオキシン類が再合成し、ダイオキシン類の濃度が増加する問題が生ずる。
【0008】また、先行技術3には、粒径約2〜5mmの粒体を含有する粒状ドロマイトを添加することによって、燃焼排ガス中の塩化水素を除去することが開示されているが、ダイオキシン類との関係については示されていない。
【0009】従って、この発明の目的は、上述した問題を解決し、焼却炉のガス排出口から排出された燃焼排ガスが、煙道を通って集塵機に送られ集塵されるまでの間に、集塵機に至る煙道中において、ダイオキシン類の再合成を抑制することができる方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した観点から、焼却炉から排出された燃焼排ガスが集塵機に至る煙道中において、ダイオキシン類が再合成することを抑制し得る方法を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、焼却炉内に500μm以下の粒径のカルシウム化合物を供給すれば、供給されたカルシウム化合物は焼却炉から集塵機に至る煙道中において、焼却炉から排出された燃焼排ガスと反応し、煙道を流れる燃焼排ガスに生ずるダイオキシン類の再合成を抑制し得ることを知見した。
【0011】この発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、焼却炉において廃棄物を焼却し、その燃焼排ガスを煙道を通って集塵機に導き、前記集塵機において前記燃焼排ガス中のダストを捕集するに際し、前記焼却炉内に、500μm以下の粒径のカルシウム化合物を供給し、前記焼却炉から前記集塵機に至る煙道中において、前記焼却炉から排出された燃焼排ガスと反応させ、前記焼却炉から排出され煙道を流れる前記燃焼排ガスに生ずるダイオキシン類の再合成を抑制することに特徴を有するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】この発明においては、焼却炉において廃棄物を焼却するに際し、その燃焼条件、即ち、厚生省が定めたガイドラインに示されている、燃焼温度、ガス滞留時間およびガス乱流条件を適切に制御して行い、焼却炉内におけるダイオキシン類の発生を抑制すると共に、焼却炉内に粒径が500μm以下の、石灰石、消石灰等のカルシウム化合物を供給する。
【0013】供給された粒径500μm以下の微粒のカルシウム化合物は、焼却炉から燃焼排ガスと共に煙道中に排出され、煙道を流れる排ガス中に存在するダイオキシン類生成の原因となる塩化水素(HCl) を、下記反応によって無害の塩化カルシウム(CaCl2) に変える。
【0014】CaCO3 →CaO+CO2Ca(OH)2 →CaO+H2 OCaO+2HCl→CaCl2 +H2 Oこのようにして生成した無害の塩化カルシウム(CaCl2) は、集塵機によって集塵され除去される。従って、焼却炉から排出された燃焼排ガスが、煙道を通り集塵機に至るまでの間において、ダイオキシン類の再合成されることが的確に抑制される。
【0015】焼却炉内に供給されるカルシウム化合物の粒径が500μm超であると、供給されたカルシウム化合物のほとんどが焼却炉内に滞留し、煙道部に飛散しないため、煙道中における燃焼排ガスとの反応が生じなくなる。従って、焼却炉内に供給されるカルシウム化合物の粒径は500μm以下であることが必要である。なお、製造上または取扱上の観点から、カルシウム化合物の粒径は100μm以上であることが好ましい。
【0016】カルシウム化合物の供給量は、Ca/( 1/2Cl)モル比で2以上とすることが望ましい。焼却すべき廃棄物中に硫黄分が含有されている場合には、硫黄との下記反応によるカルシウム化合物の消費を考慮し、このときのカルシウム化合物の供給量を、Ca/( 1/2Cl+S)モル比で2以上とすることが望ましい。
【0017】CaO+SO2 →CaSO4上記何れの場合も、モル比が大きくなり過ぎると、供給するカルシウムの量が多くなり過ぎて不経済になる。従って、Ca/( 1/2Cl)モル比またはCa/( 1/2Cl+S)モル比の上限は10以下とすることが望ましい。
【0018】焼却炉内へのカルシウム化合物の供給は、焼却すべき廃棄物中に予め混入しておき、廃棄物と共に供給しても、または、廃棄物とは別個に供給してもよい。
【0019】
【実施例】次に、この発明を実施例により説明する。図1は、この発明の方法に使用した試験装置を示す概念図である。焼却炉1に設けられた分散板2上には流動媒体として珪砂が充填されており、珪砂は、分散板2の下方より吹き込まれる空気によって流動化している。3は焼却炉1内への廃棄物の供給装置、4は焼却炉1内へのカルシウム化合物の供給装置である。
【0020】焼却炉1内に供給装置3によって供給された廃棄物は、流動媒体によって攪拌乾燥されそして燃焼する。燃焼排ガスは、焼却炉1内を通過して、ガス排出口5から煙道6内に排出され、集塵機であるバグフィルター7内にその流入口8から吹き込まれる。バグフィルター7で集塵された排ガスは、排出口9から排出され大気中に放散される。
【0021】上述した焼却炉1内に、供給装置3によって廃棄物を供給し、前述したダイオキシン類の発生が抑制される燃焼条件によって焼却すると共に、この発明の方法により、供給装置5からカルシウム化合物として粒径500μm以下の石灰石を、Ca/( 1/2Cl+S)モル比が5となる量で供給した。そのときの、焼却炉1のガス排出口5、バグフィルター7のガス流入口8およびガス排出口9における、ダイオキシン類の毒性等価濃度(International - TEQ )を調査し、調査結果を表1に示した。
【0022】比較のために、供給装置5からカルシウム化合物として粒径1000〜2000μmの石灰石を供給した場合、および、カルシウム化合物を供給しなかった場合における、焼却炉1のガス排出口5、バグフィルター7のガス流入口8およびガス排出口9における、ダイオキシン類の毒性等価濃度を調査し、調査結果を表1に併せて示した。
【0023】
【表1】【0024】表1から明らかなように、カルシウム化合物として粒径1000〜2000μmの石灰石を供給した場合、および、カルシウム化合物を供給しなかった場合には、バグフィルター7のガス流入口8およびガス排出口9における、ダイオキシン類の毒性等価濃度が高く、焼却炉1のガス排出口5から排出された燃焼排ガスに、バグフィルター7に至る煙道6内において、ダイオキシン類の再合成が生じていた。
【0025】これに対し、本発明の方法により、カルシウム化合物として粒径500μm以下の石灰石を供給した場合には、バグフィルター7のガス流入口8およびガス排出口9における、ダイオキシン類の毒性等価濃度は格段に低く、煙道6内におけるダイオキシン類の再合成を抑制することができた。
【0026】なお、焼却炉1のガス排出口5における燃焼排ガス中の塩化水素濃度は、比較例の粒径1000〜2000μmの石灰石を供給した場合よりも、本発明例の粒径500μm以下の石灰石を供給した場合の方が高く、焼却炉のガス排出口における塩化水素濃度と、焼却炉から集塵機に至る煙道中におけるダイオキシン類の濃度とは必ずしも相関関係にないことがわかる。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、この発明の方法によれば、焼却炉のガス排出口から排出された燃焼排ガスが、煙道を通って集塵機に送られ集塵されるまでの間に、集塵機に至る煙道中において、ダイオキシン類の再合成が抑制され、ダイオキシン類の濃度を低減することができる、工業上有用な効果がもたらされる。
- 【公開番号】特開平10−9550
【公開日】平成10年(1998)1月16日
【発明の名称】廃棄物焼却炉からのダイオキシン類生成抑制方法
【発明者】
【氏名】松井 聰
【氏名】岩崎 敏彦
【氏名】横山 隆
【氏名】木村 正信
【氏名】鈴木 康夫
- 【出願番号】特願平8−156766
【出願日】平成8年(1996)6月18日
【出願人】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】潮谷 奈津夫
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