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機械油圧式伝動装置
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- 【要約】
【課題】出力軸の回転速度が大きい場合、油圧モータを駆動する油圧ポンプで使用される動力を最小にして、油圧ポンプにおける余分な動力を別の油圧ポンプと併合して作業機のアクチュエータ等に油圧エネルギーを有効に利用する。
【解決手段】機械油圧式伝動装置にあって、第2のポンプ9と油圧モータ21とを接続する管路12a,14,16,20a,20bに油圧モータ21の回転方向を切り換える第2の切換弁15と第2のポンプ9より作業機アクチュエータ10あるいは第2の切換弁15への連通路12b,14を切り換える第1の切換弁13とを配設し、第1の切換弁13を切り換えて第2のポンプ9と第1のポンプ8の吐出油を合流させて作業機のアクチュエータ10に利用する。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】動力源に連結される入力軸と、入力軸に固着される駆動歯車及びクラッチと、クラッチを介して連結する遊星歯車群と、駆動歯車に連動して駆動され作業機のアクチュエータに接続される第1のポンプと油圧モータを駆動するよう接続される第2のポンプと、油圧モータの主軸に固着され前記遊星歯車群と噛合する歯車とを備え、遊星歯車群よりの出力軸の回転速度が小さい低速ではクラッチを切断するとともに油圧モータからの動力を出力軸に伝え、出力軸の回転速度が大きい高速ではクラッチを接合して動力を出力軸に伝えるとともに、第2のポンプで使用される動力を最小にするようにした機械油圧式伝動装置において、前記第2のポンプと油圧モータとを接続する管路に油圧モータの回転方向を切換える第2の切換弁と第2のポンプより作業機のアクチュエータあるいは第2の切換弁への連通路を切り換える第1の切換弁とを配設し、第1の切換弁を切り換えて第2のポンプと第1のポンプの吐出油を合流させて作業機のアクチュエータに利用するようにしたことを特徴とする機械油圧式伝動装置。
【請求項2】前記第1のポンプを固定容量形ポンプにしたことを特徴とする請求項1に記載の機械油圧式伝動装置。
【請求項3】前記クラッチと第2の切換弁,油圧モータ,歯車,遊星歯車群等からなる油圧式伝動部とをユニット化したことを特徴とする請求項1に記載の機械油圧式伝動装置。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、建設機械等の車両を駆動する機械油圧式伝動装置に関し、特に、油圧ポンプにおける余分な動力を損失することなく、油圧エネルギーを有効に利用するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の機械油圧式伝動装置に関するものとして、第4図に示すものがある。これについて説明するに、この伝動装置は、エンジン(ENG)1等の動力源に入力軸2が連結され、この入力軸2には駆動歯車3が固着され、端部には、クラッチ4を介して遊星歯車群5に連結されている。駆動歯車3は、さらに、歯車6,7を介して可変容量形ポンプ8,9に連動し、ポンプ8,9を回転駆動する。ポンプ8は、配管11により作業機のアクチュエータ10に接続されており、一方、ポンプ9は、配管12c,12d介して油圧モータ21と接続されている。油圧モータ21の主軸21aには、歯車22およびブレーキディスク盤23とが固着されており、この歯車22は、さらに歯車24を介して前記遊星歯車群5噛み合うようになっており、また、ブレーキディスク盤23は、図示しない制御装置を介して作動するブレーキシリンダ25に挟持され、油圧モータ21の主軸21aの回転を停止させるようになっている。遊星歯車群5の出力軸5aは、図示しない建設機械の車輪等に連結され、車体を駆動するようになっている。そして、出力軸5aの回転速度が小さい低速では、図示しない制御部からの信号によりクラッチ4を切断するとともに油圧ポンプ,油圧モータ,遊星歯車群5等からなる油圧式伝動部からの動力を出力軸5aに伝え、出力軸5aの回転速度が大きい高速では、制御部よりの信号によりのクラッチ4を接合し、エンジン1からの動力を直接出力軸5aに伝えるとともに、制御部からの指令によりポンプ9に使用される動力を最小にする一方、ポンプ8では作業機のアクチュエータ10に必要な動力を供給するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来例のものでは、出力軸の回転速度が大きい高速では図示しない制御部よりの信号によりクラッチを接合するとともに、油圧式伝動装置の動力を出力軸に伝えるとともに、制御部からの指令によりポンプによって使用される動力を最小にする一方、他のポンプでは作業機のアクチュエータ等に油圧を供給するようにしているが、油圧モータを駆動する油圧ポンプにおける余分な動力が利用されずに損失されており、油圧エネルギーが有効に利用されていないという問題がある。
【0004】そこで、この発明は、出力軸の回転速度が大きい高速の場合に、油圧モータを駆動する油圧ポンプで使用される動力を最小にして、油圧モータを駆動する油圧ポンプにおける余分な動力を別の油圧ポンプと併合して作業機のアクチュエータ等に供給し、油圧エネルギーを有効に利用して、省エネに役立てる。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の発明では、動力源に連結される入力軸と、入力軸に固着される駆動歯車及びクラッチと、クラッチを介して連結する遊星歯車群と、駆動歯車に連動して駆動され作業機のアクチュエータに接続される第1のポンプと油圧モータを駆動するよう接続される第2のポンプと、油圧モータの主軸に固着され前記遊星歯車群と噛合する歯車とを備え、遊星歯車群よりの出力軸の回転速度が小さい低速ではクラッチを切断するとともに油圧モータからの動力を出力軸に伝え、出力軸の回転速度が大きい高速ではクラッチを接合して動力を出力軸に伝えるとともに、第2のポンプで使用される動力を最小にするようにした機械油圧式伝動装置において、前記第2のポンプと油圧モータとを接続する管路に油圧モータの回転方向を切換える第2の切換弁と第2のポンプより作業機のアクチュエータあるいは第2の切換弁への連通路を切り換える第1の切換弁とを配設し、第1の切換弁を切り換えて第2のポンプと第1のポンプの吐出油を合流させて作業機のアクチュエータに利用する。
【0006】第2の発明では、第1のポンプを固定容量形ポンプにする。
【0007】第3の発明では、クラッチと第2の切換弁,油圧モータ,歯車,遊星歯車群等からなる油圧式伝動部とをユニット化する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明するに、前記従来例と同一構成要素に対しては同一の名称、符号を付して説明する。この実施の形態に関わる機械油圧式伝動装置には、図1に示すように、エンジン(ENG)1等の動力源と、動力源に連結した歯車3,6,7、クラッチ4等で構成する機械式伝動部Mと、動力源に連動する油圧ポンプ8,9、切換弁13,15、油圧モータ21、遊星歯車群5等からなる油圧式伝動部Hとが複合して構成されている。
【0009】エンジン1等の動力源には入力軸2が直結されており、この入力軸2には駆動歯車3が固着され、端部は、クラッチ4を介して遊星歯車群5に連結されている。
【0010】駆動歯車3は、さらに、歯車6,7を介して第1,2の可変容量形ポンプ8,9(以下第1,2のポンプ8,9という)に連動し、第1,2のポンプ8,9を回転駆動する。
【0011】第1のポンプ8は、配管11により作業機のアクチュエータ10に接続されており、一方、第2のポンプ9は、配管12aを介して3ポート2ポジションを有する第1の切換弁13のポートaに接続されている。
【0012】第1の切換弁13のポートbは、配管12bを介して前記作業機のアクチュエータ10に連通する配管11と接続されており、更に、ポートcは、配管14により4ポート3ポジションを有する第2の切換弁15のポートdに接続されている。
【0013】第1の切換弁13がポジションAにあっては、第2のポンプ9は第1の切換弁13のポートa,b,配管12bを介して作業機のアクチュエータ10に連通し、ポジションBにあっては、第2のポンプ9は第1の切換弁13のポートa,c,配管14を介して第2の切換弁15のポートdにそれぞれ切り変わるようになっている。
【0014】第2の切換弁15のポートeは、配管16を介して第2のポンプ9の吸込側でタンク17に連通する管路18に設けたチェック弁19の下流側に接続されている。
【0015】第2の切換弁15のポートf,gは、配管20a,20bを介して固定容量形油圧モータ(以下油圧モータという)21に接続されている。
【0016】第2の切換弁15がポジションC,D,Eに切り換わることにより油圧モータ21は、正転、逆転、停止するようになっている。
【0017】油圧モータ21の主軸21aには、歯車22およびブレーキディスク盤23とが固着されており、この歯車22は、さらに歯車24を介して前記遊星歯車群5に噛み合うようになっており、また、ブレーキディスク盤23は、図示しない制御装置を介して作動するブレーキシリンダ25に挟持され、油圧モータ21の主軸21aの回転を停止させることができるようになっている。
【0018】遊星歯車群5の出力軸5aは、図示しない建設機械の車輪等に連結され、車体を駆動するようになっている。
【0019】次にその作用について説明する。今、エンジン1が駆動されると、入力軸2に固着した駆動歯車3が回転し、歯車6,7を介して第1,2のポンプ8,9が駆動され、タンク17より吸引されて吐出する第1のポンプ8の吐出油は、直接作業機のアクチュエータ10に、また、タンク17よりチェック弁19を介して吸引され吐出する第2のポンプ9の吐出油は、第1の切換弁13がポジションAにあっては、ポートa,b、配管12bを介して、作業機のアクチュエータ10へと合流して供給されるようになっている。
【0020】図示しない建設機械の車体を駆動する場合には、第1の切換弁13をポジションBに、第2の切換弁15をポジションCあるいはEに操作すると、第2のポンプ9の吐出油は、第1,2の切換弁13,15を介して油圧モータ21に供給され、油圧モータ21が正転あるいは逆回転し、油圧モータ21の主軸21aに固着した歯車22に連動する歯車24,遊星歯車群5を介して出力軸5aが回動して、図示しない建設機械の車輪等に連結された車体を駆動する。
【0021】出力軸5aの回転速度が小さい低速の場合では、エンジン1に直結した入力軸2に設けられたクラッチ4を図示しない制御装置により切断し、エンジン1からの直接の動力を出力軸5aに伝えず、第2のポンプ9による油圧モータからの動力のみを伝える。
【0022】そして出力軸5aの回転速度が大きい高速の場合では、入力軸2に設けたクラッチ4を図示しない制御装置により接合し、遊星歯車群5を介してエンジン1からの直接の動力を出力軸5aに動力を伝えるとともに、第2のポンプ9で使用する動力を図示しない制御装置により最小にする。
【0023】第2のポンプ9で使用される動力が最小になった時点で、図示しない制御装置を介して作動するブレーキシリンダ25でブレーキディスク盤23を挟持して、油圧モータ21の出力軸21aの回転を停止させ、油圧モータ21が回転しなくなった状態で、第2の切換弁15をポジションDに、第1の切換弁13をポジションAに切換えると、出力軸5aには油圧モータ21からの動力が伝わらなくなり、エンジン1からの直接の動力が、入力軸2,クラッチ4,遊星歯車装置5を介して出力軸5aに伝えられて、第1,2のポンプ8,9の吐出油は、作業機のアクチュエータ10に合流して供給される。
【0024】出力軸5aを回転する必要がなく、停止して作業する場合は、第1の切換弁13をポジションAに切換えておけば、第1のポンプ8と第2のポンプ9の吐出流量を合流して作業機のアクチュエータ10に利用することができ、また、作業機のアクチュエータ10で使用する流量が少なく、第1のポンプ8で十分な場合には、第1の切換弁13をポジションBに切換えれば、第2のポンプ9は第1の切換弁13のポートa,c、第2の切換弁15のポートd,eを介して第2のポンプ9の吸込側にアンロードされ、不用な動力を節約できる。
【0025】このように、機械油圧式伝動装置において、前記第2のポンプ9と油圧モータ21とを接続する管路に油圧モータ21の回転方向を切換える第2の切換弁15と第2のポンプ9より作業機のアクチュエータ10あるいは第2の切換弁15に切り換える第1の切換弁13とを配設し、出力軸5aの回転速度が大きい高速で、クラッチ4を接合して動力源の動力を直接出力軸5aに伝えるとともに、第2のポンプ9で使用される動力を最小にするとともに、第1の切換弁13を切り換えて第2のポンプ9と第1のポンプ8の吐出油を合流させて作業機のアクチュエータ10等に利用するようにしたので、油圧エネルギーを有効に利用でき、省エネに役立てることができるとともに、作業機のアクチュエータ10用の第1のポンプ8の吐出容量を小さくでき、形状も小型となり、取り付けスペースに余裕ができ、組付け調整が容易になり、コストダウンができる。
【0026】次に、第2図に示す第2の実施に形態は、複数ある可変容量形油圧ポンプの内、吐出容量を可変する必要がないポンプを固定吐出ポンプにしたもので、その他は第1の実施の形態と同じであり、ここでは相違する構成についてのみ説明し、他の構成要素の詳細については省略する。そこで、第2の実施の形態における油圧ポンプは、吐出容量を可変する必要がない作業機用アクチュエータ10等に使用する第1のポンプを固定容量形ポンプ8aにしたものであり、固定容量形ポンプ8aの規格吐出量を越える吐出量においては、第2のポンプ9より必要量を切換弁13を介して合流させるようにしたものであり、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏するとともに、固定容量形ポンプ8aにしたことによる吐出量を変化させる機構がなく簡単になり、安価になる。
【0027】更に、第3図に示す第3の実施に形態は、切換弁15、油モータ21、歯車,遊星歯車群5、クラッチ4等を一体的なユニットUにした構成のみを相違したもので、その他は第1の実施の形態と同じであり、ここでは構成要素の詳細については省略するとともに作用効果についても前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏するとともに、ユニット化したことにより組み立て調整が容易となり、コストダウンが図れる。
【0028】
【発明の効果】第1の発明によれば、出力軸の回転速度が大きい高速で、クラッチを接合して動力源の動力を直接出力軸に伝えるとともに、ポンプで使用される動力を最小にするようにした機械油圧式伝動装置にあって、第2のポンプと油圧モータとを接続する管路に油圧モータの回転方向を切換える第2の切換弁と第2のポンプより作業機のアクチュエータあるいは第2の切換弁への連通路を切り換える第1の切換弁とを配設し、第1の切換弁を切り換えて第2のポンプと第1のポンプの吐出油を合流させて作業機のアクチュエータ等に利用するようにしたので、油圧エネルギーを有効に利用でき、省エネに役立てることができるとともに、作業機のアクチュエータ用の第1のポンプの吐出容量を小さくでき、形状も小型となり取り付けスペースに余裕ができ、組付け調整が容易となり、コストダウンが図れる効果がある。
【0029】第2の発明によれば、第1のポンプを固定容量形油圧ポンプとしたので、吐出量を変化させる機構がなく簡単になり、安価になる。
【0030】第3の発明によれば、クラッチと第2の切換弁,油圧モータ,歯車,遊星歯車群等からなる油圧式伝動部とをユニット化したので、組み立て調整が容易となり、コストダウンが図れる。
- 【公開番号】特開平11−37250
【公開日】平成11年(1999)2月12日
【発明の名称】機械油圧式伝動装置
【発明者】
【氏名】川崎 治彦
【氏名】三田村 正
- 【出願番号】特願平9−208666
【出願日】平成9年(1997)7月17日
【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ工業株式会社
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