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インピーダンスボンド短絡防止カバー
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- 【要約】
【課題】 インピーダンスボンドの一次端子への取付けて振動や衝撃を受けても容易には外れることのないインピーダンスボンド短絡防止カバーを提供する。
【解決手段】 インピーダンスボンド短絡防止カバー1は、端子覆部2と、導線覆部3とを一体に有している。端子覆部2と、導線覆部3とは、耐油性、耐候性を有するニトリル系ゴムで作られ、天井4及び両側壁5を有し、下面は開放された鞘である。インピーダンスボンド短絡防止カバー1の全体を一次端子7上に押付けると、この力を受けて端子覆部2の両側壁のフック9a,9bが押し広げられ、一次端子7の端子ボルト13の対は、端子ボルト収納部11内に受け入れられ、端子板8とこの上に重ねられたインピーダンスボンドケーブル導線10の端子12とは、端子覆部2の両側壁間に受け入れられ、フック9a.9bは、復帰して端子板8の底に係止し、さらにインピーダンスボンド導線10は、導線覆部3内に受け入れられインピーダンスボンド短絡防止カバー1は、一次端子7に定着する。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 端子覆部と、導線覆部とを一体に有するインピーダンスボンド短絡防止カバーであって、端子覆部と、導線覆部とは、耐油性、耐候性を有する弾性材料からなる鞘であり、鞘は、天井及び両側壁を有し、下面及び両端は開放され、端子覆部は、インピーダンスボンドのケースから張り出した一次端子の端子板を覆う部分であり、両側壁の下縁の少なくとも一部にフックを有し、フックは、一次端子の端子板に係止させるものであり、導線覆部は、一次端子の端子板に接続されたインピーダンスボンド導線を覆う部分であり、端子覆部内に開口してその一方の側壁に付設されたものであることを特徴とするインピーダンスボンド短絡防止カバー。
【請求項2】 端子ボルト収納部を有し、端子ボルト収納部は、端子覆部の天井一部を立ち上げて形成され、一次端子の端子板と、インピーダンスボンド導線の端子とを固定する端子ボルトを内部に受入れて、端子覆部を一定位置に保持するものであることを特徴とする請求項1に記載のインピーダンスボンド短絡防止カバー。
【請求項3】 端子ボルト収納部は、端子覆部の天井一部から下方に延びる張り出し縁を有し、張り出し縁は、端子ボルトを緊締するナットに支えられて端子覆部の取付位置を安定させるものであることを特徴とする請求項2に記載のインピーダンスボンド短絡防止カバー。
【請求項4】 端子覆部の両側壁に設けられたフックの一方は、導線覆部の開口内に向きあわせに張り出して設けられ、導線覆部の天井を上向きに屈曲させることによって外側に開くものであることを特徴とする請求項1に記載のインピーダンスボンド短絡防止カバー。
【請求項5】 端子覆部の両側壁間は、天井に付設されたリブによってつながれ、リブは、端子覆部の形態を保型し、両フックに弾性強度を与えるものであることを特徴とする請求項1に記載のインピーダンスボンド短絡防止カバー。
【請求項6】 導線覆部は、端子覆部の長さ方向の中央部分に形成され、端子覆部は、左右の鞘部分は、インピーダンスボンドの左右の一次端子のカバーに使い分けるものであることを特徴とする請求項1に記載のインピーダンスボンド短絡防止カバー。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インピーダンスボンドの端子、特に一次端子の露出部分を覆うインピーダンスボンド短絡防止カバーに関する。
【0002】
【従来の技術】インピーダンスボンドは、複軌条式軌道回路の境界点に設けられ、信号電流は隣接軌道回路へ通さないが、電車の帰線電流は通すという電気的接続方法に用いるものであって、その基本構成は、鉄心に巻かれた一次コイルと二次コイルとを有し、一次コイルは、2個に別れ、中性点端子で接続され、各巻線に流れる帰線電流によって生ずる磁束が互いに打ち消すように配置されるものである。
【0003】図4において、一次コイル17、二次コイル18及び鉄心19は、ケース6内に収容され、冷却及び絶縁のため、ケース6内は絶縁油を充填して密封され、ケース6の外壁に設けた一次端子7、中性端子20に一次コイル17の銅板が接続され、二次端子21に二次コイル18の導線が接続される。一次端子7は、ケース6の左右に張り出して設けられ、それぞれの一次端子7とレールとは、インピーダンスボンド導線10を介して接続され、一次端子7とインピーダンス導線10の端子12との接続は、端子ボルト13とナット15との締め付けによって行われる。
【0004】ところが、一次端子7はケース6の外部に露出しており、一次端子7とインピーダンスボンド導線10との接続は、ケース6の外部で行われるために、例えば、保線工事の作業中にレール,配線ケーブルその他の金物が一次端子7とインピーダンスボンド導線10との接続部分に触れ。これが原因で短絡事故を生ずる虞れがある。
【0005】このような事故を防止するため、従来より一次端子の露出部分を覆うインピーダンスボンド短絡防止カバーが用いられたことがあった。従来のインピーダンスボンド短絡防止カバーは、カバーの材質にプラスチックスのような硬質の絶縁材料を用い、このカバーを一次端子と、レール間のインピーダンスボンド導線のビニル被覆に、ネジ止め式取付金具を用いて装着し、端子ボルトの上部は、蝶番によってカバーに設けた蓋の開き閉めができるような構造になっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記構造のインピーダンスボンド短絡防止カバーは、過去20〜30年前に作られ、実際に設置されたのであるが、このようなインピーダンスボンド短絡防止カバーによるときには、ねじ止め式取り付けのため、振動によってねじがゆるみ、あるいは折損し、カバーの取付位置のずれ、あるいは脱落が発生し、また、金属製の蝶番が用いられていたため、経年により蓋の開閉ができなくなるなどの問題があった。
【0007】実際に、昭和40年〜50年代にかけて、多数のインピーダンスボンドに、上記構造の短絡防止カバーが設置されたのであるが、インピーダンスボンドから脱落し、現在まで残っているものは殆どないのが実状である。
【0008】ところが、最近、架線工事中に、インピーダンスボンドの両一次端子が短絡し、これが原因となって、列車を止めるという事故が発生したという事情があって、再びインピーダンスボンド短絡防止カバーを取付ける必要性に注目されるようになった。
【0009】本発明の目的は、ワンタッチで取付け、取外しが可能であり、しかも振動や衝撃を受けても容易に外れることのないインピーダンスボンド短絡防止カバーを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため、本発明によるインピーダンスボンド短絡防止カバーにおいては、端子覆部と、導線覆部とを一体に有するインピーダンスボンド短絡防止カバーであって、端子覆部と、導線覆部とは、耐油性、耐候性を有する弾性材料からなる鞘であり、鞘は、天井及び両側壁を有し、下面および両端は開放され、端子覆部は、インピーダンスボンドのケースから張り出した一次端子の端子板を覆う部分であり、両側壁の下縁の少なくとも一部にフックを有し、フックは、一次端子の端子板に係止させるものであり、導線覆部は、一次端子の端子板に接続されたインピーダンスボンド導線を覆う部分であり、端子覆部内に開口してその一方の側壁に付設されたものである。
【0011】また、端子ボルト収納部を有し、端子ボルト収納部は、端子覆部の天井一部を立ち上げて形成され、一次端子の端子板と、インピーダンスボンド導線の端子とを固定する端子ボルトを内部に受入れて、端子覆部を一定位置に保持するものである。
【0012】また、端子ボルト収納部は、端子覆部の天井一部から下方に延びる張り出し縁を有し、張り出し縁は、端子ボルトを緊締するナットに支えられて端子覆部の取付位置を安定させるものである。
【0013】また、端子覆部の両側壁に設けられたフックの一方は、導線覆部の開口内に向きあわせに張り出して設けられ、導線覆部の天井を上向きに屈曲させることによって外側に開くものである。
【0014】また、端子覆部の両側壁間は、天井に付設されたリブによってつながれ、リブは、端子覆部の形態を保型し、両フックに弾性強度を与えるものである。
【0015】また、導線覆部は、端子覆部の長さ方向の中央部分に形成され、端子覆部は、左右の鞘部分は、インピーダンスボンドの左右の一次端子のカバーに使い分けるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図によって説明する。図1において、本発明によるインピーダンスボンド短絡防止カバー1においては、端子覆部2と、導線覆部3とを一体に有するものである。
【0017】端子覆部2と、導線覆部3とは、例えばニトリル系ゴムのような耐油性、耐候性に優れ、しかも剛性を有する弾性体からなる鞘である。本発明において、鞘は、天井4及び両側壁5を有し、下面および両端が開放された断面門型の構造体である。
【0018】端子覆部2は、インピーダンスボンドのケース6から張り出した一次端子7の端子板8を覆う部分であり、図2に示すように一次端子7の端子板8に係止させるフック9a、9bを両側壁の下縁の一部に向きあわせに有している。なお、端子覆部2の両側壁5a、5bについて、導線覆部3が形成されていない側の側壁5aは、図2(b)に示すように内側に傾いて形成され、両側壁5a、5bの拡開方向の弾性変形に対し、復元力を作用させるようになっている。一【0019】一次端子7は、インピーダンスボンドのケース6から引き出された一次コイルの引き出し線に取付けられた端子板8の上面にインピーダンスボンドケーブル導線10の端子12を重ね、端子板8の下から端子ボルト13を挿し込み、インピーダンスボンドケーブル導線10の端子12上に突き出た端子ボルト13にナット15をねじこんで緊締されているものである。
【0020】導線覆部3は、一次端子7の端子板8に接続されたインピーダンスボンド導線10を覆う部分であり、端子覆部2の長さ方向の中央部分に形成され、端子覆部2内に開口してその一方の側壁5aに付設されたものである。図2において、側壁5bのフック9bは、2分され、導線覆部3の開口内に向きあわせに側壁5bから張り出して設けられたものである。さらに端子覆部2の天井一部には、端子ボルト収納部11を有している。
【0021】端子ボルト収納部11は、端子覆部2の天井一部を立ち上げて形成され、図3に示すように一次端子7の端子板8と、インピーダンスボンド導線10の端子12とを固定する端子ボルト13を内部に受入れるものであり、その上面には、位置決め観察用及び軌道回路試験測定用の小孔22が開口されている。端子ボルト収納部11は、さらに、端子覆部2の天井の下面から一定の範囲に渡って下方に延びる張り出し縁14を有している。
【0022】この張り出し縁14は、その内部に、一定間隔をおいて取り付けられる2本の端子ボルト13と、それぞれの端子ボルト13を緊締するナット15を受け入れるためのものであり、張り出し縁14の形状は、2本の端子ボルト13の配置とナット15の形状をなぞった輪郭に形成されている。
【0023】また、端子覆部の両側壁間は、天井に付設されたリブ16によってつながれている。このリブ16は、端子ボルト収納部11の張り出し縁14を挟んでその両側に形成されたものであり、端子覆部2の形態を保型し、フック9に弾性強度を与えるものである。
【0024】本発明のインピーダンスボンド短絡防止カバー1をインピーダンスボンドの一次端子7に取付けるときには、観察用小孔22を用いて端子ボルト収納部11と、一次端子7の端子ボルト13,13との位置あわせをし、また、導線覆部3をインピーダンスボンドケーブル導線10の伸びる方向に向きを定め、インピーダンスボンド短絡防止カバー1の全体を一次端子7上に押付ける。
【0025】この力を受け、側壁の有する弾性に抗して得端子覆部2の両側壁のフック9a,9b間が押し広げられ、端子ボルト13の対は、端子ボルト収納部11内に受け入れられ、端子板8とこの上に重ねられたインピーダンスボンドケーブル導線10の端子12とは、端子覆部2の両側壁間に受け入れられ、フック9a,9bは、復帰して端子板8の底に係止し、さらに、インピーダンスボンド導線10は、導線覆部3内に受け入れられる。端子覆部2の側壁5bは、弾性に抗して押し広がられ、その復元力によって、端子板8に緊締される。
【0026】本発明のインピーダンスボンド短絡防止カバー1を一次端子7に取付けたときには、端子覆部2の天井4より立ち上がらせて形成した端子ボルト収納部11は、その内部に受け入れられた端子ボルト13の立ち上がり高さ部分に支えられて端子覆部2が一定位置に保持され、端子ボルト収納部11の張り出し縁14は、端子ボルト13を緊締するナット15の外周一部に支えられるため、端子覆部2は、定位置に安定に取付けられる。
【0027】取付後、インピーダンスボンド短絡防止カバー1の取付け部分に振動や衝撃が作用しても材質がこれに耐える強度を有し、フック9a,9bには、インピーダンスボンド短絡防止カバーの材質が有する弾性力が作用して端子板8に確実に係止しているため、簡単には外れない。
【0028】次に、インピーダンスボンド短絡防止カバー1を一次端子7から取り外すときには、端子覆部2の両側壁のフック9a,9b間をひろげ、端子覆部2の全体を上方に持ち上げることによって簡単に取り外すことができる。特に、導線覆部3の天井を上向きに屈曲させることによって導線覆部3が開口された側壁のフック9が容易に外側に開いてインピーダンスボンド短絡防止カバー1を取り外すことができる。
【0029】以上実施形態においては、インピーダンスボンドのケース6から図上右側に延びる側の一次端子7にインピーダンスボンド短絡防止カバー1を取付けた例を示しているが、導線覆部3は、端子覆部2の長さ方向の中央部分に形成されているため、他方のの鞘部分を用いて左側の一次端子に取付けることができる。つまり、本発明インピーダンスボンド短絡防止カバーは、インピーダンスボンドの左右何れの一次端子のカバーにも使い分けることができるものである。
【0030】
【発明の効果】以上のように本発明のインピーダンスボンド短絡防止カバーによるときには、ワンタッチでインピーダンスボンドの一次端子への取付け、取外しを行うことができ、取付け後は、端子板と、インピーダンスボンドケーブル導線の端子を締め付け固定する端子ボルト及びナットに支えられて一次端子に定着し、振動や衝撃を受けても容易には脱落せず、さらに材質に耐油性、耐候性に優れ、剛性を有するニトリル系ゴムを選定使用することによって、長期間の使用に耐えることができる。また、本発明によれば、一次端子に取付けたままで軌道回路試験、測定を行うことができる効果を有する。
- 【公開番号】特開2000−142404(P2000−142404A)
【公開日】平成12年5月23日(2000.5.23)
【発明の名称】インピーダンスボンド短絡防止カバー
- 【出願番号】特願平10−315027
【出願日】平成10年11月5日(1998.11.5)
【出願人】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
- 【代理人】
【識別番号】100075306
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 中
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