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ドリルマシンおよび穿孔方法
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- 【要約】
【課題】容易かつ迅速に複数の孔を穿孔することができるようにする。
【解決手段】支持フレーム2によって支持された第1スライドテーブル3と、この第1スライドテーブル3上に装着されドリルロッド7に穿孔力を与えるドリルヘッド5と、第1スライドテーブル3の穿孔方向前方にあって支持フレーム2によって支持された第2スライドテーブル4と、第2スライドテーブル4上に装着されドリルヘッド5の穿孔方向前方にあってドリルロッドを案内する案内装置6とを備えせしめる。第1スライドテーブル3はドリルヘッド5を穿孔方向に対して直交する方向に支持フレーム2に対してスライドさせるように構成し、かつ第2スライドテーブル4はセントラライザー6を穿孔方向に対して直交する方向に支持フレーム2に対してスライドさせるように構成する。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】支持フレームと、この支持フレームによって支持され、ドリルロッドに対して穿孔力を与えるドリルヘッドと、このドリルヘッドより穿孔方向前方にあってドリルロッドを案内する、前記支持フレームによって支持されたドリルロッド案内装置と、前記ドリルヘッドおよび前記ドリルロッド案内装置を個別にまたは同時に、穿孔方向に対して直交する方向に前記支持フレームに対してスライドさせるスライド手段とを備えたことを特徴とするドリルマシン。
【請求項2】支持フレームと、この支持フレームによって支持された第1スライドテーブルと、この第1スライドテーブル上に装着されドリルロッドに穿孔力を与えるドリルヘッドと、前記第1スライドテーブルより穿孔方向前方にあって、前記支持フレームによって支持された第2スライドテーブルと、この第2スライドテーブル上に装着され、前記ドリルヘッドより穿孔方向前方にあってドリルロッドを案内するドリルロッド案内装置とを備えてなり、前記第1スライドテーブルは前記ドリルヘッドを穿孔方向に対して直交する方向に前記支持フレームに対してスライドさせるように構成し、かつ前記第2スライドテーブルは前記ドリルロッド案内装置を穿孔方向に対して直交する方向に前記支持フレームに対してスライドさせるように構成したことを特徴とするドリルマシン。
【請求項3】前記支持フレームは、上下端部の各側方にまたは下端部側方に、マシン背面側に円弧状に張り出す円弧状張出部を有する請求項1または2記載のドリルマシン。
【請求項4】前記支持フレームを所定の傾斜角度に調整しかつ支持するジャッキ装置を備える請求項1〜3のいずれか1項記載のドリルマシン。
【請求項5】支持フレームと、この支持フレームによって支持され、ドリルロッドに対して穿孔力を与えるドリルヘッドと、このドリルヘッドより穿孔方向前方にあってドリルロッドを案内する、前記支持フレームによって支持されたドリルロッド案内装置とを備えたドリルマシンを用いる穿孔方法であって、前記ドリルヘッドおよびドリルロッド案内装置を第1所定位置に位置決めした状態でドリルロッドを用いて第1孔を穿孔する工程、および前記第1所定位置から前記ドリルヘッドおよび前記ドリルロッド案内装置とを個別にまたは同時に、穿孔方向に対して直交する方向に前記支持フレームに対してスライドさせた、第2所定位置に位置決めした状態でドリルロッドを用いて第2孔を穿孔する工程とを含むことを特徴とする穿孔方法。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドリルヘッドおよびドリルロッド案内装置とを個別または同時に穿孔方向に対して直交する方向に支持フレームに対してスライドさせることができ、容易かつ迅速に複数孔の穿孔を行うことができるドリルマシンおよび穿孔方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、落石防護柵工法としてリングネット工法(高エネルギー吸収柵防護工法)が日本に技術導入された。このリングネット工法は、図32に示すように法面N上に複数の支柱100,100…を約10mの間隔で立設し、これら支柱100,100…間にリング状に編まれた金属製のリングネット101を張り渡し固定する方法であり、エネルギー吸収性の高さから特に注目されている。
【0003】特に同工法の支柱は次のようにして立設される。すなわち、先ず図33および図34に示すように、法面上の支柱設置予定位置において、法面Nに対して直交する孔102,102を下側に2個所、法面Nに対して45度をなす孔103を上側に1個所、計3個所穿孔する。これらの孔間隔は約8cmである。次に、各孔にアンカー104,105を打設し、これらのアンカー104,105にアンカープレート106を取り付ける。アンカープレート106はアンカー104,105によって法面に対して固定される。しかる後、支柱100の下端部がピンジョイントを介してアンカープレート106に連結される。他方、支柱100設置予定位置の上側に離間して、ワイヤーロープアンカー107を設けておき、アンカープレート106に連結された支柱100の上端部にワイヤーロープ106の先端部を連結し、このワイヤーロープ106を引っ張って支柱100を所定角度に起こすとともに、ワイヤーロープ106の基端部をワイヤーロープアンカー107に連結して、支柱100が立設される。
【0004】このように、リングネット工法では、非常に狭い間隔で3個所の穿孔を行う必要がある。従来は、図35に示すような、対象地盤面に固定される支持フレーム201A,201Bと、この支持フレーム201A,201Bによって所定角度で支持されたガイドフレーム202と、このガイドフレーム202に沿って穿孔方向に移動自在のキャレッジ203と、このキャレッジ203に取り付けられた、穿孔力供給源たるドリルヘッド204と、このドリルヘッド204に連結され、先端にドリルビット205aを有するドリルロッド205と、ドリルヘッドの穿孔方向側にあってドリルロッドを案内するドリルロッド案内装置206とを備えたドリルマシン200を用い、1孔毎に支持フレーム201A,201Bを組み直しドリルマシン全体200を所定の位置に設置し直しつつ、複数の孔の穿孔を行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる従来のドリルマシンは、狭い間隔で複数の孔を穿孔する場合であっても、わざわざ支持フレームを組み直すなどすることにより、マシン全体を移動させて設置し直す必要があり、その作業が煩雑であるという問題点を有していた。また、そのため穿孔作業ひいては全体の作業が長期化することも問題であった。
【0006】そこで、本発明の主たる課題は、マシン全体の移動および再設置を行わずとも容易かつ迅速に複数の孔を穿孔することができるドリルマシンおよび穿孔方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発明のドリルマシンは、支持フレームと、この支持フレームによって支持され、ドリルロッドに対して穿孔力を与えるドリルヘッドと、このドリルヘッドより穿孔方向前方にあってドリルロッドを案内する、前記支持フレームによって支持されたドリルロッド案内装置と、前記ドリルヘッドおよび前記ドリルロッド案内装置を個別にまたは同時に、穿孔方向に対して直交する方向に前記支持フレームに対してスライドさせるスライド手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】より具体的には、支持フレームと、この支持フレームによって支持された第1スライドテーブルと、この第1スライドテーブル上に装着されドリルロッドに穿孔力を与えるドリルヘッドと、前記第1スライドテーブルより穿孔方向前方にあって、前記支持フレームによって支持された第2スライドテーブルと、この第2スライドテーブル上に装着され、前記ドリルヘッドより穿孔方向前方にあってドリルロッドを案内するドリルロッド案内装置とを備えてなり、前記第1スライドテーブルは前記ドリルヘッドを穿孔方向に対して直交する方向に前記支持フレームに対してスライドさせるように構成し、かつ前記第2スライドテーブルは前記ドリルロッド案内装置を穿孔方向に対して直交する方向に前記支持フレームに対してスライドさせるように構成したことを特徴とするドリルマシンを提案する。
【0009】本発明において、前記支持フレームは、上下端部の各側方にまたは下端部側方に、マシン背面側に円弧状に張り出す円弧状張出部を有するのが好ましい。また、前記支持フレームを所定の傾斜角度に調整しかつ支持するジャッキ装置を備えるのも好ましい。
【0010】他方、本発明に係る穿孔方法は、支持フレームと、この支持フレームによって支持され、ドリルロッドに対して穿孔力を与えるドリルヘッドと、このドリルヘッドより穿孔方向前方にあってドリルロッドを案内する、前記支持フレームによって支持されたドリルロッド案内装置とを備えたドリルマシンを用いる穿孔方法であって、前記ドリルヘッドおよびドリルロッド案内装置を第1所定位置に位置決めした状態でドリルロッドを用いて第1孔を穿孔する工程、および前記第1所定位置から前記ドリルヘッドおよび前記ドリルロッド案内装置とを個別にまたは同時に、穿孔方向に対して直交する方向に前記支持フレームに対してスライドさせた、第2所定位置に位置決めした状態でドリルロッドを用いて第2孔を穿孔する工程とを含むことを特徴とする方法である。
【0011】<作用>本発明のドリルマシンは、ドリルヘッドおよびドリルロッド案内装置を個別にまたは同時に、穿孔方向に対して直交する方向に支持フレームに対してスライドさせるスライド手段とを備えているので、ドリルヘッドおよびドリルロッド案内装置を第1所定位置に位置決めした状態でドリルロッドを用いて第1孔を穿孔した後、その第1所定位置からドリルヘッドおよびドリルロッド案内装置とを個別にまたは同時に、穿孔方向に対して直交する方向に支持フレームに対してスライドさせた、第2所定位置に位置決めした状態でドリルロッドを用いて第2孔を穿孔することができる。したがって、マシン全体の移動および再設置を行わずとも、容易かつ迅速に複数の孔を穿孔することができるまた、本発明のドリルマシンは、ドリルロッド等を支持フレームによって支持する簡易な構造を有し、かつその重さもユニット重量40kg以下で総重量約200kgと軽量とすることができるので、落石防護柵工法のように山の急斜面への搬入・搬出、急斜面における使用を要求される場合に特に好適である。特にユニット単体は人力でも運搬可能である。さらに、製造コストも低くすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳述する。図1〜図5は、本発明に係るドリルマシン例1の右側面図、正面図、背面図、底面図および図1のI−I断面図をそれぞれ示しており、このものは、支持フレーム2と、この支持フレーム2によって支持された第1スライドテーブル3と、この第1スライドテーブル3上に装着されドリルロッド7に穿孔力を与えるドリルヘッド5と、第1スライドテーブル3より穿孔方向前方にあって支持フレーム2によって支持された第2スライドテーブル4と、この第2スライドテーブル4上に装着され、ドリルヘッド5より穿孔方向前方にあってドリルロッド7を案内するドリルロッド案内装置6とを備えている。
【0013】さらに詳しくは、支持フレーム2は、両側のガイドフレーム21,21を穿孔方向前方側のフロントスキッド23および後方側のリヤスキッド22により挟み、各接合部をボルト固定して形成されており、方形状をなしている。図6〜図8はリヤスキッド22を単体で示しており、図9〜図11はフロントスキッド23を単体で示している。各ガイドフレーム21,21は、図12〜図17に示すように、間隔を開けて並ぶ2本のレール部材21A,21Bと、これらレール部材21A,21Bの側面に跨るとともに長手方向に延在して、両部材21A,21Bを所定間隔をもって平行に保持する断面コ字状の保持部材21Cと、補強部材21D…と、上端部においてレール部材21A,21B間に挟まれるように配設された板部材21Eとを備える。さらに図示例のガイドフレームでは、端面を示す図14ならびに図12のII−II断面を示す図15と、上端部を示す図16および下端部を示す図17との対比から判るように、レール部材21A,21B間のスペースSは上端部に配設された板部材21E下面から下方に連続し、ガイドフレーム21下端に突き抜けている。
【0014】本実施形態のドリルマシン1では、かかる左右のガイドフレーム21,21間に跨るようにして、キャレッジ10が配されている。キャレッジ10は、図18〜図20にも示すようにガイドフレーム21,21間に収まる形状のベース10Bを有し、その背面側の4隅にローラ10R…をそれぞれ有するものであり、これらローラ10R…が図5に示すようにガイドフレーム21,21のレール部材21A,21B間にそれぞれ支持される。このため、キャレッジ10はガイドフレーム21,21に沿って移動自在となっている。
【0015】キャレッジ10の上面には、第1スライドテーブル3が装着されている。この第1スライドテーブル3は、穿孔方向に対しして直交する方向に移動自在なようにキャレッジ10上面に支持されており、第1スライドテーブル3の背面には穿孔方向に対して直交する方向に向けて第1ナット3Nが固定されている。またキャレッジ10上面にはその第1ナット3Nに螺合する第1ボルト3Bが横方向に延在しており、この第1ボルト3Bは、両側部において回転自在にかつ長手方向移動が実質的に不可能なように支持されている。この一方の支持部を10Sとして示した。また、第1ボルト3Bは、マシン1の側方にまで突出しており、その突端に第1ハンドル3Hが連結され、この第1ハンドル3Hと支持部10Sとの間に固定用ナット3Sが螺合されている。
【0016】したがって、作業者が第1ハンドル3Hを任意の方向に回転させると、第1ボルト3Bが回転し、これに螺合する第1ナット3Nが第1ボルト3Hの長手方向に沿って移動し、これに伴って第1スライドテーブル3が穿孔方向に対して直交する方向に移動する。また、固定用ナット3Sを第1ボルト3Bの支持部10Sに対して締め付け第1ボルト3Bを固定することで、第1スライドテーブル3を固定することができる。
【0017】キャレッジ10の裏面には、キャレッジ10を前後方向に駆動するための駆動ユニット11が重ねられボルト固定されている。駆動ユニット11は、図21〜図23にも示すように、キャレッジ10のベース10Bよりも若干小さいベース11Bを有し、両側に第1スプロケット群12および第2スプロケット群13を有し、背面にはこれら第1および第2スプロケット群12,13を回転駆動するキャレッジ移動用回転駆動源14を有する。さらに、これら第1および第2スプロケット群12,13にそれぞれ噛み合わせて、フロントスキッド23およびリヤスキッド22間に第1チェーン15および第2チェーン16が張り渡され固定されている。したがって、キャレッジ移動用回転駆動源14を作動させ、第1および第2スプロケット群12,13を回転させると、駆動ユニット11はキャレッジ10を伴って第1および第2チェーン15,16を伝い前後方向に移動し穿孔作業が行える。
【0018】第1スライドテーブル3上には打撃力や回転力などの穿孔力を発生させるドリルヘッド5が装着される。ドリルヘッド5は、並列配置の2つの油圧モータ5M,5Mと、この油圧モータ5M,5Mからの穿孔力を外部に伝える駆動軸5Rとを備える。ドリルロッド7は、先端にドリルビット7aが装着されており、その基端がアダプターADを介してドリルヘッド5の駆動軸5Rに連結されている。
【0019】他方、図9〜図11にも示すように、フロントスキッド23中央部を構成し、かつガイドフレーム21,21間の下端にあって固定状態とされた固定ベース23B上に、第2スライドテーブル4が穿孔方向に対して直交する方向に移動自在に支持されている。第2スライドテーブル4は、基本的に前述した第1スライドテーブル3と同様であり、第2ハンドル4Hを任意の方向に回転させると、第2ナット4Nおよび第2ボルト4Bの螺合関係により穿孔方向に対して直交する方向に移動されるようになっている。また、固定用ナット4Sを第2ボルト4Bの支持部23Sに対して締め付け第2ボルト4Bを固定することで、第2スライドテーブル4を固定することができる。
【0020】そして、この第2スライドテーブル4上にドリルロッド案内装置たるセントラライザー6が装着されている。セントラライザー6は、穿孔時のドリルロッド7の偏心を防止するものであり、ドリルロッドのケーシングチューブ着脱時、ケーシングチューブをクランプする機構を備えさせることもできる。
【0021】以上のように構成されたドリルマシンでは、第1ハンドル3Hを所定方向に回転させて第1スライドテーブル3をドリルヘッド5とともに、穿孔方向に対して直交する方向に支持フレーム2に対してスライドさせることができる。また、第2ハンドル4Hを回転させれば、第2スライドテーブル4をセントラライザ6とともに、穿孔方向に対して直交する方向に支持フレーム2に対してスライドさせることができる。これら各スライドテーブル3,4は、個別にスライドさせたり、同時にスライドさせたりすることができる。
【0022】また本実施形態においては、図1等に示すようにリヤスキッド22の側部部材22Aは、マシン1の上端をなす直線部分L1とマシン1の背面側(ドリルロッド側と反対側)に張り出す円弧状部分R1とを有し、図8にも示すようにこの円弧状部分側の端面に凸部22Fを有し、この凸部22Fがガイドフレーム21の背面の上寄りに形成された固定孔21F(図12参照)に嵌合されている。フロントスキッド23も同様である。すなわち、フロントスキッド23の側部部材23Aは、マシン1の下端をなす直線部分L2とマシン1の背面側に張り出す円弧状部分R2とを有し、図11にも示すようにこの円弧状部分側の端面に凸部23Fを有し、この凸部23Fがガイドフレーム21の背面の下寄りに形成された固定孔21F(図12参照)に嵌合されている。
【0023】このように、リヤスキッド22およびフロントスキッド23の各側部部材22A,23Aを背面側に円弧状に張り出させることによって、図26に示すように、それら円弧状張出部分R1,R2を接地させるように背面を下側にして地盤面に載置しても、キャレッジ10裏面に突出する器具類が接地せず保護される。特に張出部分R1,R2は円弧状をなしているので、背面を下側にして載置した状態で地盤上を引きずるようにしてドリルマシン1を移動させることができる。さらに図示例では、フロントスキッド23の各側部部材23Aの円弧状張出部分R2は、マシン1の下端を始端部としてその上方のガイドフレームまで半円状にかつ背面側に張り出すように延在している。このため、容易かつ円滑に、マシン1を背面下側となるように倒したり引き起こしたりすることができる。また、背面が下側となるように傾けた状態を保持する際にも地盤面に対して良好に接地する。なお、ドリルマシン1を背面側に倒したり引き起こしたりする場合には、ドリルロッド7を外し、キャレッジ10を最前部まで前進させておくのが好ましい。これによりドリルマシン1の重心が前側に位置するようになるので、作業員が一人でも倒したり引き起こしたりすることが可能となる。
【0024】さらに本実施形態においては、ガイドフレーム21,21外面にジャッキ受け部21H,21Hが設けられており、後述の図26等に示すように、このジャッキ受け部21Hに対してマシン1を所定の傾斜角度に調整しかつ支持するスクリュージャッキ装置30が連結される。スクリュージャッキ装置30は、図24および図25に詳しく示すように、先端の接地固定部材31と、これに内装され固定された回転駆動源32と、この回転駆動源32に対して減速機33を介して連結され回転駆動されるボルト軸部材34と、このボルト軸部材34に螺合されたナット部材35とを備える。34Sは、ボルト軸部材34外面の螺旋山を示している。また、ナット部材35は外面に突出する連結部35Aを有し、この連結部35Aにおいてガイドフレーム21のジャッキ受け部21Hに回転自在かつ着脱自在に連結される。
【0025】図26は、左右のガイドフレーム21(一方のみ図示)のジャッキ受け部21Hにスクリュージャッキ装置30が連結され、背面を下側にして法面N上に載置されたドリルマシン1を示しており、この状態ではナット部材35はボルト軸部材34の駆動源側に位置している。ドリルマシン1を引き起こすべく、回転駆動源によってボルト軸部材34を任意の方向に回転させると、これに螺合するナット部材35がマシン1を伴って上下いずれか一方へ移動する。その結果、図27に矢印で示すように、マシン1を引き起こすことができる。所定の傾斜角度においてボルト軸部材34の回転を停止させれば、ドリルマシン1はその傾斜角度に支持される。なお、図示例では、ドリルマシン1の両側にそれぞれ1本のスクリュージャッキ装置30を連結したとしたが、複数本連結しても良い。
【0026】次に、前述のリングネット工法におけるグランドプレート固定用アンカー孔の穿孔への適用例に基づき、上述のドリルマシン1を用いる本発明の穿孔方法について説明する。先ず、対象となる法面の支柱設置予定位置において、法面に対して直交する孔の穿孔予定位置(2個所)PR,PLを結ぶ線に沿って、一方の穿孔予定位置PRから他方の穿孔予定位置PLまでドリルロッド7をスライドしうるようにかつマシン1背面側が法面下側となるようにドリルマシン1を設置する。この状態を図28に示した。なお、ドリルマシン1は分解した状態で最初の穿孔位置に搬入し、当該穿孔位置において組み立てるのが好ましい。
【0027】次に図29に示すように、設置したドリルマシン1において、第1および第2ハンドル3H,4Hをそれぞれ回転させて第1および第2スライドテーブル3,4を移動させ、ドリルヘッド5およびセントラライザー6を、一方の垂直穿孔位置PR上にスライドさせる。ドリルヘッド5およびセントラライザー6を位置決めしたならば固定用ナット3S,4Sをそれぞれ締めて、第1および第2スライドテーブル3,4、ドリルヘッド5およびセントラライザー6を固定する。ドリルヘッド5にドリルロッド7を連結する(前述の設置に際して連結させておいても良い)。しかる後、ドリルヘッド5を作動させ穿孔力をドリルロッド7に与えるとともに、キャレッジ移動用回転駆動源を作動させキャレッジ10を前進させることにより、ドリルヘッド5とともにドリルロッド7を前進させて第1孔P1を穿孔する。穿孔中のドリルロッドを70として示した。第1孔P1の穿孔が完了したならば、キャレッジ移動用回転駆動源の回転駆動方向を反対にし、キャレッジを後退させることにより、ドリルヘッド5とともにドリルロッド7を後退させて、第1孔P1内からドリルロッド7完全に引き抜く(図示せず)。ドリルマシンは図29に示す状態に戻る。
【0028】続いて図30に示すように、ドリルマシン1を移動させずに、第1ハンドル3Hおよび第2ハンドル4Hを回転させて、ドリルヘッド5およびセントラライザー6を、他方の垂直穿孔位置PL上にスライドさせて位置決めし、位置決めが完了したならば固定用ナット3S,4Sをそれぞれ締めて、第1および第2スライドテーブル3,4、ドリルヘッド5およびセントラライザー6を固定する。しかる後、ドリルロッド7に穿孔力を与えかつ前進させて第2孔P2の穿孔を行う。第2孔P2の穿孔が完了したならば、キャレッジ10を後退させることにより、ドリルヘッド5とともにドリルロッド7を後退させ第2孔P2内からドリルロッド7を完全に引き抜く(図示せず)。なお、本第2孔の穿孔に際して、その位置決めに先立って又は位置決めの後にドリルロッド7の着脱を行い、ドリルロッド7を交換することができる。
【0029】続いて、図31に示すように、ガイドフレーム21,21のジャッキ受け部21H,21Hに連結されたスクリュージャッキ装置30,30などによりドリルマシン1を傾斜させ、ドリルロッド7を法面N上側に対して45度をなすようにするとともに、そのドリルロッド7を中央にスライドさせて、穿孔方向が所定の傾斜孔穿孔位置PUに向くようにする。しかる後、ドリルロッド7に穿孔力を与えかつ前進させて第3の孔を穿孔する。穿孔中の削孔ロッドを72として示した。なお本第3の孔の穿孔においては、必要に応じて、ドリルマシン1を傾斜させるのに先立ってドリルマシン1を第3の穿孔位置PUに応じて移動させることもできる。また本第3孔の穿孔に際しても、その位置決めに先立って又は位置決めの後にドリルロッド7の着脱を行い、ドリルロッド7を交換しても良い。
【0030】以上で、支柱1個所に関するアンカープレート用アンカー孔の穿孔が終了する。他の位置のアンカープレート用アンカー孔などを穿孔する場合には、ジャッキ装置30,30などによりドリルマシン1を背面下側となるように倒し、マシン1背面の4隅に張り出す円弧状張出部R1,R2を接地させた状態で法面N上を引きずるようにしてドリルマシン1を移動させることができる(図26参照)。このドリルマシン1の移動にウインチ等を用いることができる。
【0031】<その他>(イ)上記例において、支持フレーム2は、足場などを介してまたは直接に地盤上に設置することができる。足場を利用する場合、支持フレーム2を足場上に設置し、スキッド部材と足場とを足場パイプおよびパイプクランプを利用して結合すると、ドリルマシン1を安定させることができ、安定した穿孔を行うことができる。また、支持フレーム2を地盤上に直接設置する場合は、地盤に簡易アンカーを設け、この簡易アンカーとスキッド部材とを結合すると、より安定した穿孔ができる。
(ロ)また上記例において、第1および第2スライドテーブル3,4のスライド幅は、適宜定めることができるが、例えばリングネット工法への適用を考えると、250〜350cmであるのが好ましい。
(ハ)さらに上記例において、第1および第2スライドテーブル3,4をスライドさせる第1および第2ボルト3B,4Bは、モータなどの適宜の回転駆動装置により回転させるように構成しても良い。
(ニ)上記例において、第1および第2スライドテーブル3,4を適宜の駆動伝達手段により連動するように構成し、同時にかつ同量だけスライドするように構成するのも好ましい。
【0032】
【発明の効果】以上のとおり本発明によれば、マシン全体の移動および再設置を行わずとも容易かつ迅速に複数の孔を穿孔することができるようになる。
- 【公開番号】特開2000−17979(P2000−17979A)
【公開日】平成12年1月18日(2000.1.18)
【発明の名称】ドリルマシンおよび穿孔方法
- 【出願番号】特願平10−189972
【出願日】平成10年7月6日(1998.7.6)
【出願人】
【識別番号】000219358
【氏名又は名称】東亜グラウト工業株式会社
【識別番号】000112923
【氏名又は名称】フロントエンジニアリング株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
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