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泥水連続処理方法および装置
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- 【要約】
【課題】 量的にも質的にも高い処理能力を有し、省スペース化、低コスト化を図ることのできる泥水連続処理方法および装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 泥水連続処理設備20では、第一次薬剤混合工程において、第一次薬剤混合部S1に使用済みの泥水を送り込み、これに泥分を分離・凝集させるための薬剤Aを添加し、攪拌機29でこの泥水を攪拌しつつ下方に送ってオーバーフロー部S2に送り込み、第二次薬剤混合工程では、オーバーフロー部S2から第二次薬剤混合部S3に流れ込んできた泥水に薬剤Bを添加し、これを攪拌機33で攪拌しつつ下方に送ってフロック生成部S4の下部に送り込み、泥分凝集生成工程では、薬剤AおよびBが添加された泥水を攪拌機34で攪拌しつつ上方に送ることによって、フロックFを徐々に生成し、生成したフロックFと分離した水を排出口35から排出シュート36に排出する構成とした。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 掘削工事の安定を保つために用いた使用済みの泥水を第一次薬剤混合部に送り込み、前記泥水を泥分と水とに分離させて前記泥分を凝集させるための第一の薬剤を添加して、これら泥水と第一の薬剤とを攪拌混合する第一次薬剤混合工程と、この泥水を第二次薬剤混合部に送り込み、ここに、前記泥分の凝集をさらに促進させるための第二の薬剤を添加して、これら泥水と第二の薬剤とを攪拌混合する第二次薬剤混合工程と、前記泥水を泥分凝集生成部に送り込み、これを攪拌することによって前記泥分を凝集させた塊を生成する泥分凝集生成工程と、前記泥分の塊をさらに脱水する脱水工程とを備え、前記第一次薬剤混合工程、第二次薬剤工程、泥分凝集生成工程のそれぞれにおいては、泥水を次工程に向けて移動させつつ処理を行う構成となっていることを特徴とする泥水連続処理方法。
【請求項2】 請求項1記載の泥水連続処理方法であって、前記排出した泥分の塊を作液槽内に投入し、前記泥分の塊を泥水状に再分散させるための第三の薬剤と水とを前記作液槽内に投入して攪拌混合することによって、泥水を再生する泥水再生工程を備えていることを特徴とする泥水連続処理方法。
【請求項3】 掘削工事の安定を保つために用いた使用済みの泥水に、該泥水を泥分と水とに分離させて前記泥分を凝集させるための第一の薬剤が添加され、これら泥水と第一の薬剤とが第一の攪拌手段で攪拌混合される第一次薬剤混合部と、前記第一次薬剤混合部で前記第一の薬剤が混合された泥水に、前記泥分の凝集をさらに促進させるための第二の薬剤が添加され、これら泥水と第二の薬剤とが第二の攪拌手段で攪拌混合される第二次薬剤混合部と、前記第二次薬剤混合部で前記第二の薬剤が混合された泥水を第三の攪拌手段で攪拌することによって、前記泥分を凝集させた塊が生成される泥分凝集生成部と、前記泥分凝集生成部で生成された泥分の塊がさらに脱水される脱水部と、を備えるとともに、前記第一次薬剤混合部から前記第二次薬剤混合部を経て前記泥分凝集生成部へと、前記泥水が連続的に処理される構成となっていることを特徴とする泥水連続処理装置。
【請求項4】 請求項3記載の泥水連続処理装置であって、前記第一次薬剤混合部と、前記第二次薬剤混合部と、前記泥分凝集生成部とで、前記泥水の容量がそれぞれ個別に設定されていることを特徴とする泥水連続処理装置。
【請求項5】 請求項3または4記載の泥水連続処理装置であって、前記第一次薬剤混合部は、前記使用済みの泥水が送り込まれる第一の槽と、該第一の槽の内部に、該第一の槽の底面から所定寸法の隙間をあけて配置された仕切によって形成された導入路とを備えて構成され、前記第二次薬剤混合部と前記泥分凝集生成部とが、前記泥水が前記導入路から流れ込む第二の槽に、該第二の槽の底面から所定寸法の隙間をあけて配置された他の仕切によって区切られて形成された構成となっていることを特徴とする泥水連続処理装置。
【請求項6】 請求項4記載の泥水連続処理装置であって、前記仕切が第一の槽の内側面に突出するよう設けられ、前記他の仕切が前記第二の槽の内側面に突出するよう設けられていることを特徴とする泥水連続処理装置。
【請求項7】 請求項3から6のいずれかに記載の泥水連続処理装置であって、前記泥分凝集生成部の排出部には、前記泥分の塊を締め固めるフロック増強部が備えられていることを特徴とする泥水連続処理装置。
【請求項8】 請求項7記載の泥水連続処理装置であって、前記フロック増強部が、前記泥分の塊が上方から下方に自然落下するシュートが備えられ、該シュートの内面に、略水平方向に突出するプレートが備えられた構成となっていることを特徴とする泥水連続処理装置。
【請求項9】 請求項5から8のいずれかに記載の泥水連続処理装置であって、前記仕切と前記他の仕切のいずれか一方または双方が、昇降可能に備えられていることを特徴とする泥水連続処理装置。
【請求項10】 請求項3から9のいずれかに記載の泥水連続処理装置であって、前記第一次薬剤混合部と、前記第二次薬剤混合部と、前記泥分凝集生成部とが、前記脱水部の上方に配置されていることを特徴とする泥水連続処理装置。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば地中連続壁、場所打ちコンクリート杭、シールドトンネル等を構築するに際して、周囲の地山の安定を図るために用いた泥水を処理するときに用いて好適な泥水連続処理方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、地中連続壁、場所打ちコンクリート杭、シールドトンネル等を構築するときには、コンクリートの打設終了までの間、地中に掘削した溝や孔等の地山の壁面が崩壊しないよう、前記溝や孔等に泥水(安定液)を注入する泥水工法が多用されている。このような泥水工法で用いる泥水は、周囲地山の土質や掘削に用いる機械の種類等に応じて、ベントナイト、CMC(ポリマー材料)、分散剤等の薬剤、及び加重材(主に土)等と水とを所定の配合で混合することによって作成している。
【0003】ところで、使用後の泥水は産業廃棄物となるため、所定の処理を行う必要がある。この泥水の処理は、例えば図6に示すような泥水処理設備1で行っており、地盤に掘削した溝や孔2から廃棄泥水槽3に送られた泥水は、薬品混合槽4において、凝集剤薬品槽5から送り込まれる無機系凝集剤および高分子系凝集剤が添加混合される。この後、反応貯泥槽6、濃縮沈殿槽7において、前記各種凝集剤の反応が促進されて泥水中の安定液成分を含んだ泥分が凝集,沈殿し、泥分と水分とが分離される。そして、泥分は貯泥槽8を経てフィルタープレス9等の脱水機に送り込まれ、最終脱水が行われて塊化され、その分離固形物(マッドケーキ)が産業廃棄物として搬出・廃棄されるようになっている。一方、泥水から分離された水は、中和槽10、酸化凝集槽11において、中和、酸化処理されてPH調整が成された後、砂濾過機12で砂濾過されて、所定の水質に浄化処理された後に排水されるようになっている。このように泥水処理設備1では、使用済みの泥水中から泥分を分離・凝集して減容化するとともに、泥水中の水を浄化するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような従来の泥水処理方法および装置には、以下のような問題が存在する。まず、このような泥水処理設備1は大規模なものであるため、施工現場が小規模である場合には、設置スペースの確保ができずに泥水処理設備1を設けられない場合がある。また、泥水処理設備1は、処理工程が非常に複雑であるため、泥水の処理に時間がかかり、この結果工期短縮化の妨げとなる。さらに、泥水は不均質であり、場所によって安定液成分の濃度が異なっているのが現状である。ところが泥水処理設備1では、泥水をポンプで順次送りながら処理していくため、処理中に薬剤の濃度が濃い部分と薄い部分とが発生し、濃い部分では余分な薬剤の添加によるコスト上昇を招き、薄い部分では泥分の凝集・分離処理が充分に行えないといった問題が発生し、薬剤の添加量の管理が非常に困難なものとなっている。
【0005】上記したような問題を解決するため、本出願人は既に特願平8−238238号に示す技術を提案している。この技術では、泥水を所定量だけ処理槽内に入れて、この処理槽内で、凝集剤の添加,攪拌,泥分の塊の生成を行う構成となっており、いわば泥水を「バッチ処理」する構成となっている。
【0006】ところが、このような技術ではコンパクトな構成となって特に小規模な現場では有利となるものの、逆に大規模な現場では泥水の処理能力が不足してしまう場合がある。
【0007】そこで、泥水の処理能力を高めるには、泥水を連続的に処理できる技術が要求される。そのような技術の一つとして、泥水をパイプに通しつつ、このパイプ内で凝集剤の添加,攪拌,泥分の塊の生成を順次行うことも考えられる。この方法は、泥水の種類によっては有効な方法であるが、ベントナイト、ポリマー等を用いた安定液の場合、泥水処理工程においては、例えば凝集剤で泥分を凝集させるため、および泥分と水分とを確実に分離させるためには、それぞれ所定の時間を確保する必要がある。しかし、前記パイプを通す構成の処理方法では、泥分の凝集工程と、泥分と水分との分離工程とで、それぞれの工程で必要な時間を個別に確保するのは現実的に困難である。
【0008】本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、量的にも質的にも高い処理能力を有し、かつ省スペース化、および凝集剤の硬貨を最大限に発揮するなど低コスト化を図ることのできる泥水連続処理方法および装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、掘削工事の安定を保つために用いた使用済みの泥水を第一次薬剤混合部に送り込み、前記泥水を泥分と水とに分離させて前記泥分を凝集させるための第一の薬剤を添加して、これら泥水と第一の薬剤とを攪拌混合する第一次薬剤混合工程と、この泥水を第二次薬剤混合部に送り込み、ここに、前記泥分の凝集をさらに促進させるための第二の薬剤を添加して、これら泥水と第二の薬剤とを攪拌混合する第二次薬剤混合工程と、前記泥水を泥分凝集生成部に送り込み、これを攪拌することによって前記泥分を凝集させた塊を生成する泥分凝集生成工程と、前記泥分の塊をさらに脱水する脱水工程とを備え、前記第一次薬剤混合工程、第二次薬剤工程、泥分凝集生成工程のそれぞれにおいては、泥水を次工程に向けて移動させつつ処理を行う構成となっていることを特徴としている。
【0010】このようにして、第一次薬剤混合工程で使用済みの泥水に第一の薬剤を添加して攪拌混合し、第二次薬剤混合工程で第二の薬剤を添加して攪拌混合し、泥分凝集生成工程で泥分を凝集させた塊を形成し、さらに脱水部で泥分の塊を脱水し、これを回収することによって、泥水を処理することができる。このとき、各工程においては、第一次薬剤混合部、第二次薬剤混合部、泥分凝集生成部内でそれぞれ泥水を攪拌しながら次工程に向けて移動させて、これを次工程に送り込むようにしているので、泥水を連続処理することができる。
【0011】請求項2に係る発明は、請求項1記載の泥水連続処理方法であって、前記排出した泥分の塊を作液槽内に投入し、前記泥分の塊を泥水状に再分散させるための第三の薬剤と水とを前記作液槽内に投入して攪拌混合することによって、泥水を再生する泥水再生工程を備えていることを特徴としている。
【0012】このようにして泥水を再生することによって、泥水を他の現場等で再利用することが可能となる。
【0013】請求項3に係る発明は、掘削工事の安定を保つために用いた使用済みの泥水に、該泥水を泥分と水とに分離させて前記泥分を凝集させるための第一の薬剤が添加され、これら泥水と第一の薬剤とが第一の攪拌手段で攪拌混合される第一次薬剤混合部と、前記第一次薬剤混合部で前記第一の薬剤が混合された泥水に、前記泥分の凝集をさらに促進させるための第二の薬剤が添加され、これら泥水と第二の薬剤とが第二の攪拌手段で攪拌混合される第二次薬剤混合部と、前記第二次薬剤混合部で前記第二の薬剤が混合された泥水を第三の攪拌手段で攪拌することによって、前記泥分を凝集させた塊が生成される泥分凝集生成部と、前記泥分凝集生成部で生成された泥分の塊がさらに脱水される脱水部と、を備えるとともに、前記第一次薬剤混合部から前記第二次薬剤混合部を経て前記泥分凝集生成部へと、前記泥水が連続的に処理される構成となっていることを特徴としている。
【0014】これにより、第一次薬剤混合部で第一の薬剤が添加されて攪拌混合され、第二次薬剤混合部で第二の薬剤が添加されて攪拌混合され、泥分凝集生成部で泥分を凝集させた塊を形成し、さらにこれを脱水部で脱水することによって、使用済みの泥水を処理することができる。
【0015】請求項4に係る発明は、請求項3記載の泥水連続処理装置であって、前記第一次薬剤混合部と、前記第二次薬剤混合部と、前記泥分凝集生成部とで、前記泥水の容量がそれぞれ個別に設定されていることを特徴としている。
【0016】このようにして第一次薬剤混合部と第二次薬剤混合部と泥分凝集生成部とで、泥水の容量を個別に設定することによって、各部における攪拌時間をそれぞれ個別に設定することができる。
【0017】請求項5に係る発明は、請求項3または4記載の泥水連続処理装置であって、前記第一次薬剤混合部は、前記使用済みの泥水が送り込まれる第一の槽と、該第一の槽の内部に、該第一の槽の底面から所定寸法の隙間をあけて配置された仕切によって形成された導入路とを備えて構成され、前記第二次薬剤混合部と前記泥分凝集生成部とが、前記泥水が前記導入路から流れ込む第二の槽に、該第二の槽の底面から所定寸法の隙間をあけて配置された他の仕切によって区切られて形成された構成となっていることを特徴としている。
【0018】これにより、第一の槽の第一次薬剤混合部に送り込まれた泥水は、導入路を経て第二の槽の第二次薬剤混合部に流れ込み、さらにこれに連通した泥水凝集生成部に流れることになる。このようにして、第一次薬剤混合部から第二次薬剤混合部、泥分凝集生成部を経て排出部へと至る泥水の処理経路、つまり泥水の「流れ」を連続的なものとすることができる。しかも、第一の槽を仕切で区切ることによって第一次薬剤混合部と導入路とを形成し、第二の槽を他の仕切で区切ることによって第二次薬剤混合部と泥分凝集生成部とを形成することによって、装置全体をコンパクトなものとすることができる。
【0019】請求項6に係る発明は、請求項4記載の泥水連続処理装置であって、前記仕切が第一の槽の内側面に突出するよう設けられ、前記他の仕切が前記第二の槽の内側面に突出するよう設けられていることを特徴としている。
【0020】このように、仕切および他の仕切を、第一の槽および第二の槽の内側面に突出するよう設けたので、第一次薬剤混合部および泥分凝集生成部内で攪拌される泥水は、仕切および他の仕切によってさらに攪乱されることとなる。
【0021】請求項7に係る発明は、請求項3から6のいずれかに記載の泥水連続処理装置であって、前記泥分凝集生成部の排出部には、前記泥分の塊を締め固めるフロック増強部が備えられていることを特徴としている。
【0022】請求項8に係る発明は、請求項7記載の泥水連続処理装置であって、前記フロック増強部が、前記泥分の塊が上方から下方に自然落下するシュートが備えられ、該シュートの内面に、略水平方向に突出するプレートが備えられた構成となっていることを特徴としている。
【0023】これにより、シュート内を落下する泥分の塊がプレートに当たり、泥分の塊が締め固められて強くなる。
【0024】請求項9に係る発明は、請求項5から8のいずれかに記載の泥水連続処理装置であって、前記仕切と前記他の仕切のいずれか一方または双方が、昇降可能に備えられていることを特徴としている。
【0025】これにより、第一次薬剤混合部、泥分凝集生成部のいずれか一方または双方の容量を変化させることができる。
【0026】請求項10に係る発明は、請求項3から9のいずれかに記載の泥水連続処理装置であって、前記第一次薬剤混合部と、前記第二次薬剤混合部と、前記泥分凝集生成部とが、前記脱水部の上方に配置されていることを特徴としている。
【0027】これにより、装置をコンパクトなものとすることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る泥水連続処理方法および装置の第一ないし第三の実施の形態を、図1ないし図5を参照して説明する。
【0029】[第一の実施の形態]図1および図2に示すように、泥水連続処理設備(泥水連続処理装置)20は、凝集処理部21と、脱水部22とから概略構成されている。凝集処理部21は、平面視矩形の薬剤混合槽(第一の槽)23とフロック生成槽(第二の槽)24とが、隔壁25を挟んで互いに隣接し、一体に設けられた構成となっている。
【0030】薬剤混合槽23には、その内周面のフロック生成槽24に隣接する一角に、平面視略L字状の仕切板(仕切)26が一体に取り付けられている。この仕切板26によって、薬剤混合槽23の内部が、その一部が切り欠かれた平面視略L字状の第一次薬剤混合部S1と、仕切板26によって囲まれたオーバーフロー部(導入路)S2とに区分されている。
【0031】前記仕切板26は、その下端部が薬剤混合槽23の底面23aから所定寸法上方に位置するように設けられており、これによって、第一次薬剤混合部S1とオーバーフロー部S2とは、薬剤混合槽23の底部において互いに連通している。
【0032】前記第一次薬剤混合部S1には、送泥ポンプ27によって使用済みの泥水が送り込まれると共に、定量ポンプ28によって薬剤(第一の薬剤)Aが供給されるようになっている。また、第一次薬剤混合部S1内には、スクリュー29aを備えた攪拌機(第一の攪拌手段)29が備えられており、送泥ポンプ27で送り込まれた泥水と、定量ポンプ28によって供給された薬剤Aとを第一次薬剤混合部S1内で攪拌混合するようになっている。このとき、スクリュー29aは、その攪拌により泥水が第一次薬剤混合部S1内で上方から下方に流れるよう、その翼形状が設定されている。
【0033】また、オーバーフロー部S2には、隔壁25に切り欠きが形成され、これによって仕切板26および薬剤混合槽23の外周部よりも所定寸法低いオーバーフロー口30が形成されている。このオーバーフロー口30からオーバーフロー部S2を通った泥水がオーバーフローし、フロック生成槽24に流れ込むようになっている。
【0034】一方、フロック生成槽24には、オーバーフロー口30に対応した位置に、平面視略L字状の仕切板31が設けられている。この仕切板31によって、フロック生成槽24の内部が、仕切板31で囲まれた第二次薬剤混合部S3と、その一部が切り欠かれて平面視略L字状をなしたフロック生成部(泥分凝集生成部)S4とに区分されている。仕切板31は、その下端部が、フロック生成槽24の底面24aから所定寸法上方に位置するように設けられており、これによって、第二次薬剤混合部S3とフロック生成部S4とがフロック生成槽24の底部において互いに連通した構成となっている。
【0035】第二次薬剤混合部S3内には、定量ポンプ32によって薬剤(第二の薬剤)Bが供給されるようになっている。さらに、この第二次薬剤混合部S3内には、スクリュー33aを備えた攪拌機(第二の攪拌手段)33が備えられ、薬剤Bを泥水に攪拌混合するようになっている。このスクリュー33aでは、第二次薬剤混合部S3内の泥水を上方から下方に送るよう、その翼形状が設定されている。
【0036】また、フロック生成部S4内には、スクリュー34aを備えた攪拌機(第三の攪拌手段)34が備えられており、薬剤A,Bによって水と泥分に分離した泥水を攪拌することによって、泥分の塊であるフロック(塊)Fを生成するようになっている。このスクリュー34aでは、その翼形状は、フロックFの生成を効率よく行えるよう、例えば平板型等とされており、またフロック生成部S4内の泥水を下方から上方に送るように設定されている。
【0037】さらに、フロック生成部S4には、フロック生成槽24の側壁の上部に排出口(排出部)35が設けられ、生成されたフロックFと、分離した水とがここから槽外に排出されるようになっている。
【0038】そして、フロック生成槽24に隣接して、排出口35に連続する排出シュート(フロック増強部、シュート)36が設けられている。この排出シュート36は、下方に延びる筒体からなり、その内部には、水平方向に突出するプレート37が、左右交互に設けられている。そして、フロックFが排出シュート36内を落下するときに、これらプレート37に当たり、これによってフロックFがより一層締め固められるようになっている。
【0039】上記のような凝集処理部21の後工程側に備えられる脱水部22としては、排出シュート36から排出されるフロックFが粗大なものである場合には、ベルトプレス,スクリュープレス,遠心分離機(バッチ式)等の脱水機40等があり、また、粒径調整槽41等でフロックFの粒径を調整し、均質なものとする場合には、フィルタープレスや連続遠心分離機等の脱水機42がある。
【0040】次に、上記構成からなる泥水連続処理設備20における泥水連続処理方法について説明する。
【0041】(第一次薬剤混合工程)これにはまず、送泥ポンプ27で使用済みの泥水を薬剤混合槽23の第一次薬剤混合部S1に上方から送り込む。
【0042】そして、この泥水の流入部分において、定量ポンプ28で薬剤Aを泥水流入量に対して所定の一定比率で添加する。このときに用いる薬剤Aは、泥水中の安定液成分を含んだ泥分を分離・凝集させるためのものであり、例えば無機凝集剤であるポリ塩化アルミニウム、塩化第2鉄、消石灰や天然有機高分子凝集剤等をはじめとするものが好適である。またその添加量は、処理すべき泥水の性状に応じて決定されるのは言うまでもない。
【0043】このようにして第一次薬剤混合部S1に送り込まれた泥水と薬剤Aとは、攪拌機29のスクリュー29aによって攪拌混合され、泥水中の泥分粒子と薬剤Aとが均一に接触し、泥分の分離・凝集反応が発生する。このとき、泥分の凝集反応によって泥水の流動性(粘性)が上昇するため、攪拌機29には動力(トルク)の大きなものを採用するのが望ましい。また、攪拌機29による攪拌は、急速攪拌(スクリュー29aの翼形状にもよるが、一般的なプロペラ型の場合、例えば300〜500rpm)とするのが良い。
【0044】このとき、スクリュー29aによって、泥水と薬剤Aとは第一次薬剤混合部S1内で攪拌されつつ、上方から下方に連続的に送られるようになっている。そして、この第一次薬剤混合部S1における泥水と薬剤Aとの混合時間を例えば30秒以上(好ましくは60〜90秒以上)確保できるよう、第一次薬剤混合部S1の容積を、送泥ポンプ27による泥水の供給量に対して設定しておく。
【0045】このようにして第一次薬剤混合部S1で薬剤Aが添加・混合された泥水は、スクリュー29aによって発生する流れによって、仕切板26の下方の隙間からオーバーフロー部S2の下部に流れ込む。そして、泥水は第一次薬剤混合部S1から連続的に順次送り込まれるので、泥水はオーバーフロー部S2内で順次上方に押し上げられ、オーバーフロー口30からフロック生成槽24の第二次薬剤混合部S3に流入する。
【0046】(第二次薬剤混合工程)第二次薬剤混合部S3に流入した泥水には、定量ポンプ32で薬剤Bが泥水流入量に対して所定の一定比率で添加される。このときに用いる薬剤Bは、例えば合成有機高分子凝集剤、ポリアクリルアミド等をはじめとするものや、第一次薬剤に天然有機高分子凝集剤を用いた場合には凝集を促進させる塩化カルシウム等が好適であり、その添加量は、処理すべき泥水の性状に応じて決定される。
【0047】このようにして第二次薬剤混合部S2に送り込まれた泥水と薬剤Bとは、攪拌機33のスクリュー33aによって攪拌混合され、フロックFの生成が開始される。このときの攪拌機33による攪拌は、泥水と薬剤Bとが均一に混合されれば良いので短時間(例えば10秒以下)で良く、これに合わせて、第二次薬剤混合部S2の容積を送泥ポンプ27からの泥水供給量に対して設定しておく。そして、第二次薬剤混合部S2において、泥水は、上記のように薬剤Bとの混合が図られつつ、スクリュー33aによって発生される流れによって上方から下方に連続的に移動し、最終的に仕切板31の下方の隙間からフロック生成部S4の下部に送り込まれる。
【0048】(泥分凝集生成工程)フロック生成部S4では、その下部に送り込まれた泥水を、攪拌機34のスクリュー34aで攪拌し、これによって、泥水中の泥分と薬剤AおよびBの凝集反応を促進させ、徐々にフロックFの成長を促すと共に水を分離する。
【0049】このとき、スクリュー34aの回転速度を例えば10〜100rpm程度として、泥水を緩速攪拌するようにし、泥分粒子の集合体が攪拌にともなって徐々に成長し、数mmから数10mm程度のフロックFとなるようにする。
【0050】ところで、このフロックFの生成は、スクリュー34aの形状および回転速度によって変化するが、攪拌速度が速いと生成されるフロックFが小さくなり、また攪拌が不十分であるとフロックFの生成(泥分粒子の集合体の大きさ)と水の分離が不十分になるため、処理すべき泥水の性状に合わせてスクリュー34aの形状や回転速度を決定する。
【0051】また、スクリュー34aによって、泥水はフロック生成部S4内で攪拌されつつ、下方から上方に連続的に押し上げられて行くが、フロック生成部S4内での攪拌時間が例えば30秒〜5分程度(好ましくは1〜3分程度)となるよう、フロック生成部S4の容積を、送泥ポンプ27からの泥水供給量に対して設定しておく。
【0052】このようにしてフロック生成部S4において泥水が攪拌されつつ上方に押し上げられていき、泥水からフロックFが生成されると共に水が分離され、これらフロックFと分離した水とは、排出口35からフロック生成槽24の外部に流れ出し、排出シュート36に流れ込む。
【0053】排出シュート36では、フロックFと水とが自然落下し、その途中でプレート37に当たることによって、フロックFが締め固められるとともに、その落下速度が過大にならないようになっている。
【0054】(脱水工程)排出シュート36から排出されたフロックFと水とは、脱水部22に送り込まれ、ベルトプレスやスクリュープレス、遠心分離機等の脱水機40や、粒径調整槽41を経てフィルタープレスや連続式遠心分離機等の脱水機42において、フロックFと水とに分けられると共に、フロックFに含まれる水分がさらに脱水されて脱水ケーキが生成される。そして、脱水ケーキは脱水機40や42の排出口から排出され、また分離した水は排水口から排水される。
【0055】(後工程)上記のようにして使用済みの泥水を泥水連続処理設備20で処理することによって生成された脱水ケーキは、廃棄物として廃棄される。一方、分離した水は、凝集処理部21に戻されたり、あるいは必要に応じて排水処理を行った後、排水する。
【0056】上述した泥水連続処理方法および泥水連続処理設備20では、第一次薬剤混合工程においては、第一次薬剤混合部S1に使用済みの泥水を送り込み、これに泥水を泥分を分離・凝集させるための薬剤Aを添加し、攪拌機29でこの泥水を攪拌しつつ下方に送ってオーバーフロー部S2に送り込み、第二次薬剤混合工程では、オーバーフロー部S2から第二次薬剤混合部S3に流れ込んできた泥水に薬剤Bを添加し、これを攪拌機33で攪拌しつつ下方に送ってフロック生成部S4の下部に送り込み、泥分凝集生成工程では、薬剤AおよびBが添加された泥水を攪拌機34で攪拌しつつ上方に送ることによって、フロックFを徐々に生成し、生成したフロックFと分離した水を排出口35から排出シュート36に排出する構成となっている。
【0057】このようにして、泥水連続処理設備20の凝集処理部21において、泥水中の泥分と水とを分離させてフロックFを生成することによって、泥水を処理することができる。このとき、泥水は、凝集処理部21内において、第一次薬剤混合部S1からオーバーフロー部S2,第二次薬剤混合部S3を経てフロック生成部S4へと、連続的に送られつつ処理されるようになっているので、従来のバッチ式等に比較して非常に高い処理能力を発揮することができ、大規模な現場においても有効に利用することができる。
【0058】しかも、第一次薬剤混合部S1,第二次薬剤混合部S3,フロック生成部S4のそれぞれにおいては、泥水が一方向に移動しつつ薬剤A,Bとの混合あるいはフロックFの生成が徐々になされるので、第一次薬剤混合部S1,第二次薬剤混合部S3,フロック生成部S4を出る時点では、それぞれの処理が確実に終了し、したがって、質的にも高い処理を行ってフロックFの減容化を図ることができる。
【0059】また、第一次薬剤混合部S1,第二次薬剤混合部S3、フロック生成部S4で、送泥ポンプ27による送泥量に対して、それぞれ、泥水を収める部分の容積が個別に設定された構成となっている。これにより、第一次薬剤混合部S1,第二次薬剤混合部S3,フロック生成部S4を泥水が通過するのに要する時間を、個別に設定することができる。したがって、薬剤混合、フロック生成にそれぞれ必要な時間を確保することができ、泥水の処理を確実に行うことができる。
【0060】さらに、オーバーフロー部S2,第二次薬剤混合部S3は、第一次薬剤混合部S1,フロック生成部S4を構成するための薬剤混合槽23,フロック生成槽24の一部を仕切板26,31で仕切ることによって形成されている。これによって、凝集処理部21を非常にコンパクトな構成とすることができる。
【0061】また、第一次薬剤混合部S1からオーバーフロー部S2,第二次薬剤混合部S3を経てフロック生成部S4,脱水部22へと至る泥水の移動が、オーバーフローあるいは仕切板26,31の下方をくぐるようになっているためポンプ等が不要であり、凝集処理部21の構成を非常に簡易でしかもトラブル等の生じにくいものとすることができる。加えて、このような構成の泥水連続処理設備は、例えばヘドロ処理用等、従来からある処理装置等を再利用して製作することも可能である。
【0062】しかも、仕切板26,31は薬剤混合槽23,フロック生成槽24の内側面に突出するよう設けられているので、第一次薬剤混合部S1,フロック生成部S4で攪拌される泥水の流れがさらに攪乱され、効率よく攪拌を行って良好に泥水処理を行うことが可能となる。
【0063】また、フロック生成部S4の排出口35には、フロックFが自然落下する排出シュート36が設けられ、その内面には略水平方向に突出するプレート37が備えられた構成となっている。これにより、排出シュート36内を落下するフロックFがプレート37に当たって締め固められるので、フロックFの減容化を図ることができる。また、フロックFの落下速度を抑えてフロックFが壊れるのを防ぐことができるので、この点においても処理品質を一層高めることができる。
【0064】なお、上記第一の実施の形態において、仕切板26,31を設けたが、この仕切板26,31のいずれか一方または双方を昇降可能とする構成としても良い。これによって、第一次薬剤混合部S1,フロック生成部S4の実質的な容積を容易に変化させることができ、処理すべき泥水の性状等に応じて、薬剤混合時間、フロック生成時間等を適宜変更することができ、この泥水連続処理設備20を、より汎用性に富んだものとすることができる。もちろん、仕切板26,31については、自動的に昇降する構成としても良いし、またコストを重視するならば、手動で昇降する構成としても十分にその機能を果たすことが可能である。
【0065】また、上記第一の実施の形態において、第一次薬剤混合部S1,第二次薬剤混合部S3,フロック生成部S4の各部において、攪拌時間や攪拌速度等について具体的な数値例を挙げたが、もちろんこれに限定されるものではなく、処理すべき泥水の性状や、所望とする処理能力等に応じて適宜決定すればよい。同様に、攪拌機29,33,34の数やスクリュー29a,33a,34aの数や翼形状等についても、薬剤混合やフロック生成を良好に行えるよう、適宜設定すればよい。
【0066】また、フロック増強部として、排出シュート36を備える構成としたが、これはフロックの生成状況によっては備える必要はなく、また備える場合にも、その構成は上記排出シュート36以外のいかなる構成のものを用いても良い。
【0067】さらに、薬剤混合槽23内に第一次薬剤混合部S1とオーバーフロー部S2とを一体に収める構成としたが、これに代えて、例えば第一次薬剤混合部S1で薬剤Aを混合した泥水をパイプ等で第二次薬剤混合部S3に送る構成等、泥水連続処理設備20の各部の構成についても、上記したものに限定する意図はなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で変更することが可能である。
【0068】加えて、用いる薬剤A,Bについても、上記に挙げたものに限る意図はない。
【0069】これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、いかなる構成を採用しても良く、また上記したような構成を適宜選択的に組み合わせたものとしても良いのは言うまでもない。
【0070】[第二の実施の形態]次に、本発明に係る泥水連続処理方法および装置の第二の実施の形態として、脱水機を一体に備える場合の例を示す。なお、以下の説明において、第一の実施の形態と共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
【0071】図3に示すように、泥水連続処理設備(泥水連続処理装置)20’は、第一次薬剤混合部S1,オーバーフロー部S2,第二次薬剤混合部S3,フロック生成部S4を備えた凝集処理部21と、脱水部22’とから構成されている。
【0072】凝集処理部21は、前記第一の実施の形態で示した通りの構成であり、この凝集処理部21は、フレーム50の上段に設置されている。
【0073】脱水部22’は、フレーム50の下段に、スクリュープレス(脱水機)51が備えられた構成となっている。スクリュープレス51には、凝集処理部21の排出シュート36からフロックFが直接投入されるようになっている。そして、この脱水部22’では、駆動源52によって回転駆動されるプレス用スクリュー53で脱水されたフロックFは、排出口54から脱水ケーキF’として排出され、分離した水は、下方の分離水槽55に貯められるようになっている。
【0074】なお、図4に示すものは、上記工程によって泥水を処理したときの実験データを示すものである。
【0075】上述した泥水連続処理設備20’では、第一次薬剤混合部S1,オーバーフロー部S2,第二次薬剤混合部S3,フロック生成部S4を備えた凝集処理部21が、排出シュート36から排出されたフロックFを脱水するスクリュープレス51からなる脱水部22’の上方に配置された構成となっている。これにより、脱水部22’を他の場所に設置する場合に比較し、設備を非常にコンパクトなものとすることができる。
【0076】なお、上記第二の実施の形態において、脱水機としてスクリュープレス51を用いる構成としたが、もちろん、他の種類の脱水機に代えても良い。
【0077】[第三の実施の形態]次に、本発明に係る泥水連続処理方法および装置の第三の実施の形態について説明する。ここでは、処理した泥水を安定液として再利用する場合の例について説明する。なお、以下の説明において、上記第一または第二の実施の形態と共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
【0078】泥水を再利用する場合には、本出願人が既に出願した特願平8−238238号、および特願平8−238239号に記載された技術を用いる。すなわち、第一または第二の実施の形態で示した泥水連続処理設備20,20’(図1〜図3参照)において、第一次薬剤混合部S1で添加する薬剤Aとして、例えば「リハイディL(製品名:クニミネ工業株式会社製)」を用い、第二次薬剤混合部S3で添加する薬剤Bとして、例えば塩化カルシウムなどの無機塩や「リハイディB(製品名:クニミネ工業株式会社製)」を用いる。
【0079】そして、前記第一次薬剤混合工程、第二次薬剤混合工程、フロック生成工程、脱水工程を経て泥水を処理することによって得られた脱水ケーキF’を再生するには、以下のような再生工程を行う。
【0080】図5に示すように、一次攪拌槽(作液槽)60に清水(水)を所定量入れ、ここに前記したようにして処理することによって生成した脱水ケーキF’を投入するとともに、この脱水ケーキF’を泥水状に再分散させるための再生剤(第三の薬剤)C(例えばソーダ灰等の無機炭酸塩や「リハイディC(製品名:クニミネ工業株式会社製)」を添加する。
【0081】そして、一次攪拌槽60内に備えた攪拌用ポンプ61等でこれら清水と脱水ケーキF’と再生剤Cとを攪拌した後、これをポンプ62で二次攪拌槽63に送り込む。
【0082】二次攪拌槽63では、清水と脱水ケーキF’と再生剤Cとを、攪拌装置65で所定時間攪拌し、さらにここで必要に応じ、安定液としての所定の管理基準を外れている場合には、各種安定液材料(薬剤)等を補給することによって泥水の成分を調整する。
【0083】しかる後には、このようにして再生した泥水を二次攪拌槽63から安定液槽66に貯め、この泥水を掘削溝等に満たすことにより、工事中の地盤安定を図ることができる。
【0084】上述した泥水連続処理方法では、泥水連続処理設備20,20’で処理して排出した脱水ケーキF’を一次攪拌槽60内に投入し、脱水ケーキF’を溶かすための再生剤Cと水とを投入し攪拌混合することによって、泥水を再生する泥水再生工程を備えた構成となっている。このようにして、使用済みの泥水中から泥分を分離・凝集させた脱水ケーキF’を再利用して泥水を再生し、これを他の現場等で活用することによって、従来は廃棄していた資源を有効利用することができる。その結果、廃棄物量を削減するとともに、トータルでの泥水の処理・製造コストを抑えることができ、非常に優れた泥水の処理・再利用システムを確立することができる。
【0085】なお、上記第三の実施の形態において、泥水を再利用するため、薬剤A,B,Cとして具体的な薬品名を例に挙げたが、もちろん、同等の効用を示すものであれば、適宜他の薬剤を使用しても良い。
【0086】また、上記第一ないし第三の実施の形態で挙げた泥水連続処理設備20,20’や泥水連続処理方法については、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更を加えても何ら支障はない。
【0087】さらに、本発明の用途は、連壁工事、場所打ち杭工事等、いかなる場合であっても良い。また、処理した泥水の再生あるいは廃棄は、処理すべき泥水の性状に応じて適宜決定すればよい。
【0088】これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、いかなる構成を採用しても良く、また上記したような構成を適宜選択的に組み合わせたものとしても良いのは言うまでもない。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る泥水連続処理方法によれば、使用済みの泥水を第一次薬剤混合部に送り込み、この泥水から泥分を分離・凝集させるための第一の薬剤を添加して、これら泥水と第一の薬剤とを攪拌混合する第一次薬剤混合工程と、この泥水を第二次薬剤混合部に送り込み、泥分の凝集をさらに促進させるための第二の薬剤を添加して、これら泥水と第二の薬剤とを攪拌混合する第二次薬剤混合工程と、泥水を泥分凝集生成部に送り込み、これを攪拌することによって泥分を凝集させた塊を生成する泥分凝集生成工程と、泥分の塊をさらに脱水する脱水工程とを備え、第一次薬剤混合工程、第二次薬剤工程、泥分凝集生成工程のそれぞれにおいては、泥水を次工程に向けて移動させつつ処理を行う構成となっている。
【0090】このようにして、第一次薬剤混合工程で使用済みの泥水に第一の薬剤を添加して攪拌混合し、第二次薬剤混合工程で第二の薬剤を添加して攪拌混合し、泥分凝集生成工程で泥分を凝集させた塊を形成し、さらに脱水工程で水と泥分とを分けて泥分の塊を脱水することによって、泥水を処理することができる。このとき、各工程においては、第一次薬剤混合部、第二次薬剤混合部、泥分凝集生成部内でそれぞれ泥水を順次移動させつつ攪拌し、これを次の工程に送り込むようにしているので、泥水を連続処理することができ、高い処理能力を得て、特に大規模な現場において有効に利用することができる。
【0091】請求項2に係る泥水連続処理方法によれば、排出した泥分の塊を作液槽内に投入し、泥分の塊を溶かすための第三の薬剤と水とを作液槽内に投入して攪拌混合することによって、泥水を再生する泥水再生工程を備えた構成となっている。このようにして、使用済みの泥水中から分離・凝集させた泥分の塊を再利用し、泥水を再生して他の現場で活用することによって、従来は廃棄していた泥水の再生を図ることができる。その結果、廃棄物量の削減を図るとともに、トータルでの泥水の処理・製造コストを抑えることができ、非常に優れた泥水の処理・再利用システムを確立することができる。
【0092】請求項3に係る泥水連続処理装置によれば、使用済みの泥水に、この泥水を泥分と水とに分離させて泥分を凝集させるための第一の薬剤が添加され、これら泥水と第一の薬剤とが第一の攪拌手段で攪拌混合される第一次薬剤混合部と、第一次薬剤混合部で第一の薬剤が混合された泥水に、泥分の凝集をさらに促進させるための第二の薬剤が添加され、これら泥水と第二の薬剤とが第二の攪拌手段で攪拌混合される第二次薬剤混合部と、第二次薬剤混合部で第二の薬剤が混合された泥水を第三の攪拌手段で攪拌することによって、泥分を凝集させた塊が生成される泥分凝集生成部と、を備えるとともに、第一次薬剤混合部から第二次薬剤混合部を経て泥分凝集生成部へと、泥水が連続的に処理される構成となっている。
【0093】これにより、第一次薬剤混合部で第一の薬剤が添加されて攪拌混合され、さらに第二次薬剤混合部で第二の薬剤が添加されて攪拌混合され、泥分凝集生成部で泥分を凝集させた塊を形成することによって、使用済みの泥水を処理することができる。しかも、泥水が、第一次薬剤混合部から第二次薬剤混合部を経て泥分凝集生成部へと連続的に処理される構成となっているので、従来のバッチ式等に比較して泥水の処理能力が非常に高く、大規模な現場などにおいても適したものとなる。それと同時に、第一次薬剤混合部、第二次薬剤混合部、泥分凝集生成部のそれぞれにおいては、各処理を確実に行うことができ、質的にも優れた処理を行うことができる。
【0094】請求項4に係る泥水連続処理装置によれば、第一次薬剤混合部と第二次薬剤混合部と泥分凝集生成部とで、泥水の容量がそれぞれ個別に設定された構成となっている。これにより、第一次薬剤混合部と第二次薬剤混合部と泥分凝集生成部のそれぞれにおける攪拌時間を個別に設定することができ、薬剤と泥水の混合、泥分の凝集等に必要な時間をそれぞれ確保することができる。したがって、量的に十分な処理能力を備えた上に、質的にも十分な処理能力を得ることができる。
【0095】請求項5に係る泥水連続処理装置によれば、第一次薬剤混合部は、第一の槽と、第一の槽の内部に仕切によって形成された導入路とを備えて構成され、第二次薬剤混合部と泥分凝集生成部とが、第二の槽に配置された他の仕切によって区切られて形成された構成となっている。
【0096】これにより、第一の槽の第一次薬剤混合部に送り込まれた泥水は、導入路を経て第二の槽の第二次薬剤混合部に流れ込み、さらにこれに連通した泥水凝集生成部に流れることになる。このようにして、第一次薬剤混合部から第二次薬剤混合部、泥分凝集生成部を経て排出部へと至る泥水の処理経路、つまり泥水の「流れ」を連続的なものとすることができ、前記請求項3の構成を実現することができる。
【0097】しかも、第一の槽を仕切で区切ることによって第一次薬剤混合部と導入路とを形成し、第二の槽を他の仕切で区切ることによって第二次薬剤混合部と泥分凝集生成部とを形成することによって、装置全体をコンパクトなものとすることができる。また、このような構成の装置は槽内にスクリュー等の攪拌手段を備え、さらに薬剤添加用の配管等を行うのみで実現することができ、装置が非常に簡易な構成となるので、低コストで本装置を製作することができる。
【0098】請求項6に係る泥水連続処理装置によれば、仕切が第一の槽の内側面に突出するよう設けられ、他の仕切が第二の槽の内側面に突出するよう設けられた構成となっている。このように、仕切および他の仕切を、第一の槽および第二の槽の内側面に突出するよう設けたので、第一次薬剤混合部および泥分凝集生成部内で攪拌される泥水は、仕切および他の仕切によってさらに攪乱され、より良好に泥水処理がなされる。
【0099】請求項7に係る泥水連続処理装置によれば、泥分凝集生成部の排出部には、泥分の塊を締め固めるフロック増強部が備えられた構成となっている。さらに、請求項8に係る泥水連続処理装置によれば、フロック増強部として、泥分の塊が上方から下方に自然落下するシュートが備えられ、その内面に、略水平方向に突出するプレートが備えられた構成となっている。これにより、フロック増強部において、落下中の泥分の塊がプレート等に当たることによって、泥分の塊が締め固められるので泥分の塊の減容化を図ることができ、しかも泥分の塊の落下速度を抑えて塊が壊れるのを防ぐことができるので、この点においても処理品質を一層高めることができる。
【0100】請求項9に係る泥水連続処理装置によれば、仕切と他の仕切のいずれか一方または双方が、昇降可能に備えられた構成となっている。これにより、第一の槽または第二の槽のいずれか一方または双方の容量を容易に変化させることができ、処理すべき泥水の性状等に応じて、薬剤の混合・攪拌、泥分の塊の生成等、各部における処理時間を適宜変更することができ、本装置を汎用性に富んだものとすることができる。
【0101】請求項10に係る泥水連続処理装置によれば、第一次薬剤混合部と、第二次薬剤混合部と、泥分凝集生成部とが、脱水部の上方に配置された構成となっている。これにより、装置をコンパクトなものとすることができる。
- 【公開番号】特開2000−17984(P2000−17984A)
【公開日】平成12年1月18日(2000.1.18)
【発明の名称】泥水連続処理方法および装置
- 【出願番号】特願平10−186664
【出願日】平成10年7月1日(1998.7.1)
【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外3名)
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