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耐震補強壁
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- 【要約】
【課題】既存建物の既存壁の内装材等を除去し、柱、桁、土台等を露出することなく耐震補強を実現することができる耐震補強壁を提供すること。
【解決手段】既存建物の柱41に並設すると共に既存外壁材44を介して複数の定着手段20により該柱に結合した添え柱11と、該既存建物の桁42に並設すると共に既存外壁材44を介して複数の定着手段20により該桁に結合した添え桁12と、該既存建物の土台43に並設すると共に既存外壁材44を介して複数の定着手段20により該土台に結合した添え土台13と、該添え柱、該添え桁、該添え土台に結合した筋交14、15と、該添え柱、該添え桁、該添え土台、該筋交の外側に設けた外壁材30とを有する。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 既存建物の柱に並設すると共に既存外壁材を介して複数の定着手段により該柱に結合した添え柱と、該既存建物の桁に並設すると共に既存外壁材を介して複数の定着手段により該桁に結合した添え桁と、該既存建物の土台に並設すると共に既存外壁材を介して複数の定着手段により該土台に結合した添え土台と、該添え柱、該添え桁、該添え土台に結合した筋交又は/及び板状部材と、該添え柱、該添え桁、該添え土台、該筋交又は/及び板状部材の外側に設けた外壁材とを有する耐震補強壁。
【請求項2】 前記添え柱、添え桁、添え土台及び筋交により区画された空間に緩衝部材を設けた請求項1記載の耐震補強壁。
【請求項3】 添え柱、添え桁、添え土台を既存建築物の柱、桁、土台に夫々並設しつつ既存外壁材を介して複数の定着手段により結合し、さらに、筋交又は/及び板状部材を該添え柱、該添え桁、該添え土台に結合又は/及び固定し、最後に、該添え柱、該添え桁、該添え土台、該筋交又は/及び板状部材の外側に外壁材を設ける耐震補強壁の施工方法。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、既存建築物の既存壁を利用して構築する耐震補強壁に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、既存建築物の改築(リフォーム)において、建築物の耐震補強の要請が高まっている。こうした場合の耐震補強は、壁の内装材を除去し、柱、桁、土台等を露出し、耐震補強を実現するための筋交、プレート、アングル材等をこれら柱等に付加するなどの施工方法が採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の施工方法では内装材を除去する必要があるため、当該施工期間、内装のリフォーム作業を行うことができず、改築作業の施工期間の短縮を図ることができないという問題点があった。
【0004】また、内装材を除去する代わりに外壁材を除去すると、除去されたモルタル等の外壁材は再利用することが不可能であるため、産業廃棄物として処分する必要があり、該処分費用が必要になるという問題点があった。さらに、寒冷地におけるリフォーム作業において外壁材を除去すると、冬期施工期間中、居住不能になるという問題点があった。
【0005】本発明は、既存建物の柱、桁、土台等を露出することなく耐震性能に優れた耐震補強を実現することができる耐震補強壁を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項1記載の耐震補強壁は、既存建物の柱に並設すると共に既存外壁材を介して複数の定着手段により該柱に結合した添え柱と、該既存建物の桁に並設すると共に既存外壁材を介して複数の定着手段により該桁に結合した添え桁と、該既存建物の土台に並設すると共に既存外壁材を介して複数の定着手段により該土台に結合した添え土台と、該添え柱、該添え桁、該添え土台に結合した筋交又は/及び板状部材と、該添え柱、該添え桁、該添え土台、該筋交又は/及び板状部材の外側に設けた外壁材とを有するというものである。
【0007】上記既存外壁材は、既存外壁材表面の浮動部分又は取外可能部分等、既存外壁材の一部を除去したものを含む。本発明の他の技術的特徴は、請求項2乃至請求項3に記載されており、さらに詳しくは下記実施の形態において説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に係る実施の形態の耐震補強壁を図1乃至図2を用いて説明する。
【0009】符号1は、耐震補強壁であり、主に、添え柱11、添え桁12、添え土台13、筋交14、15及び外壁材30から構成されている。この耐震補強壁1は、既存建築物の既存外壁40の外側に設けられている。
【0010】添え柱11は、既存建築物の柱41に並設されている。この添え柱11と柱41は、既存建築物の既存外壁材44を介して、定着手段である複数のボルト20により結合されている。
【0011】同様に、添え桁12は既存建築物の桁42に、また、添え土台13は既存建築物の土台43に既存外壁材44を介して複数のボルト20により結合されている。本実施の形態においては、既存外壁材44は、ラス板45と、リシン、ラスモル、構造用合板、防水紙等から成る外装材46から構成されているが、当該構成に限定されるものではなく、サイディング材等他の構成の外壁材であってもよい。尚、ボルト20は千鳥状に配設されているが、当該配設態様に限定されない。
【0012】筋交14、15の上端は、筋交固定手段である金属製のプレート16を用いて添え柱11及び添え桁12に、また、下端は添え柱11及び添え土台13に、釘17により結合されている。これら筋交14、15は、プレート16により結合されているため、夫々、圧縮/引張筋交として機能する。尚、符号18は、釘19により両筋交15、15を結合するための連結用金属製プレートである。また、本実施の形態においては、筋交14、15という交差型の2本の筋交を用いているが、筋交14一本のみでもよい。
【0013】さらに、添え柱11、添え桁12、添え土台13、筋交14、15により区画された空間35には、断熱及び防音等を目的とし熱的又は音響的な緩衝材であるグラスウール36を貼り込む。この緩衝材の構成は、単一の材質を用いる必要はなく、例えば、複層構造等であってもよく、また、緩衝材の材質としては、グラスウールに限られるものではなく、例えば、ウレタンフォーム等の他の公知の材料も含まれる。
【0014】耐震補強壁1の外壁材30は、本実施の形態において、サイディング材31及び防水紙32から構成されている。この外壁材の構成は、例えば、リシン、ラスモル、構造用合板、防水紙等から成る他の構成の外壁材であってもよく、公知の外壁材の全てが含まれる。
【0015】上記耐震補強壁1の施工方法を説明する。まず、施工に先立ち、既存建築物の構造計算を行った上で耐震補強壁1を形成する既存建築物の柱、桁、土台を決定する。そして、施工方法として最初に、添え柱11、添え桁12、添え土台13を既存建築物の柱41、桁42、土台43に既存外壁材44を介して複数の定着手段20により結合する。
【0016】さらに、筋交14、15を添え柱11、添え桁12、添え土台13に筋交固定手段16、17により固定し、最後に、添え柱11、添え桁12、添え土台13、筋交14、15の外側に外壁材30を設ける。
【0017】本実施の形態の耐震補強壁は、複数の定着手段を用いることにより水平力の集中が回避されるという利点がある。即ち、筋交により添え柱、添え桁、添え土台に分散された地震による水平力は、これら添え柱等に設けた複数の定着手段に対するせん断力に変換され、既存建築物の柱、桁、土台の広範囲に分散される。このため、既存建築物の柱と桁、又は、柱と土台の接合部(多くは、既存建築物の筋交が設けられており、また、老朽化により脆くなっている。)に応力が集中することが回避される。
【0018】従って、この耐震補強壁は、単に新たな筋交を設けて補強したというものではなく、定着手段に対するせん断力への変換により、既存建築物の柱、桁、土台の接合部の応力集中による破壊を防止することができる。故に、単に新たな筋交を設けた場合と比較して、構造計算上の耐震性能の向上ではなく実質的な意味における耐震性能の向上を図ることができる。
【0019】さらに、本実施の耐震補強壁は、内装材の除去工程を必要としないため、当該施工期間において内装のリフォーム作業を同時に進行することができ、改築施工期間の短縮を図ることができるという利点がある。さらに、既存の外壁材をも除去する必要がないため、当該外壁材が産業廃棄物化することを回避することができる。
【0020】さらに、既存外壁材を除去せず、一方、耐震補強壁の外壁材が新設されるため防音/断熱性能が向上する。また、耐震補強壁内部に緩衝材を設けた場合には、さらに防音/断熱性能が向上する。さらに、耐震補強壁に筋交を用いた場合には、この筋交が外壁材に対する胴縁の機能も有するため、資材を節約することができる。
【0021】さらに、耐震補強壁により外壁が外側に移動するため、出窓等の配設が容易になり、実質的な居住空間の拡大を図ることも可能となる。
【0022】本実施の形態においては、定着手段としてボルト20を用いたが、これは、釘、螺子等でも代用可能である。さらに、添え柱、添え桁、添え土台、筋交の材質は、木質系材料に限定されず、合成樹脂や金属等の他の材質であっても良い。
【0023】さらに、上記実施の形態では、筋交14、15を用いたが、これら筋交の代わりに構造用合板等の板状部材を添え柱、添え桁、添え土台に釘打、接着剤により取付けてもよい。尚、添え柱の間隔が広い場合には、外壁材を取付けるための胴縁が必要となる場合がある。
【0024】本実施の形態においては、既存外壁材に一切の加工を施さずに耐震補強壁を構成したが、既存外壁材の種類によっては、既存外壁材表面の浮動部分又は取外可能部分等、既存外壁材の一部を除去してもよい。例えば、既存外壁材のサイディング材を除去し、当該サイディング材を耐震補強壁の外壁材として再利用することも可能である。
- 【公開番号】特開2002−38725(P2002−38725A)
【公開日】平成14年2月6日(2002.2.6)
【発明の名称】耐震補強壁
- 【出願番号】特願2000−259917(P2000−259917)
【出願日】平成12年7月27日(2000.7.27)
【出願人】
【識別番号】592040826
【氏名又は名称】住友不動産株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
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