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リフォーム受注支援システムおよびリフォーム受注支援方法
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- 【要約】
【課題】 リフォーム提供サービスのコストを低減する。
【解決手段】 リフォーム依頼入力部12は、多数のリフォーム依頼主から収集された定価制リフォーム価格基準に基づくリフォーム依頼を入力する。リフォーム施工要求生成部14は、前記依頼に対応し、施工業者に定価制施工価格基準に基づくスルーパス施工要求を生成する。その要求には、各リフォーム依頼個別の見積りを含まない。定価制リフォーム価格基準と定価制施工価格基準は、施工件数が増えたときのリフォーム施工費用の収束値に基づいて設定される。リフォーム施工要求生成部14は、一の施工業者に対し、リフォーム施工費用の収束が得られる施工費用収束範囲の数の施工要求を生成する。その際、多数のリフォーム依頼を複数の施工業者に振り分けるリフォーム依頼振分部16の指示に従う。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 多数のリフォーム依頼主から収集されたリフォーム依頼であって、単位リフォーム規模あたりのリフォーム提供価格が固定された定価制リフォーム価格基準に基づいたリフォーム依頼の情報を入力するリフォーム依頼入力部と、リフォーム依頼に対応して、施工業者に対する施工要求として、単位リフォーム規模あたりの施工依頼価格が固定された定価制施工価格基準に基づいた、各リフォーム依頼毎の個別の見積りを含まないスルーパス施工要求を生成するリフォーム施工要求生成部と、を含み、前記単位リフォーム規模あたりのリフォーム提供価格は、前記単位リフォーム規模あたりの施工依頼価格に応じて設定されており、前記単位リフォーム規模あたりの施工依頼価格は、施工件数を増大したときのリフォーム施工費用の収束値に基づいて設定されており、前記リフォーム施工要求生成部は、一の施工業者に対して、リフォーム施工費用の収束が得られる施工費用収束範囲の数の施工要求を生成することを特徴とするリフォーム受注支援システム。
【請求項2】 請求項1に記載のリフォーム受注支援システムにおいて、多数のリフォーム依頼主からの多数のリフォーム依頼を複数の施工業者に振り分けるリフォーム依頼振分部を含み、前記リフォーム依頼振分部は、前記複数の施工業者のそれぞれに前記施工費用収束範囲の数の施工要求が行き渡るように前記多数のリフォーム依頼を振り分けることを特徴とするリフォーム受注支援システム。
【請求項3】 請求項2に記載のリフォーム受注支援システムにおいて、前記リフォーム依頼振分部は、前記複数の施工業者のそれぞれに対する現在のリフォーム依頼振分状態を取得する振分状態取得部と、前記現在のリフォーム依頼振分状態を提示するとともに、入力されたリフォーム依頼に対応する施工業者の選択を要求する施工業者選択要求部と、前記施工業者選択要求部の要求に応答する選択業者の選択を受け付ける施工業者選択受付部と、を含むことを特徴とするリフォーム受注支援システム。
【請求項4】 請求項2に記載のリフォーム受注支援システムにおいて、前記リフォーム依頼振分部は、前記複数の施工業者のそれぞれに対する現在のリフォーム依頼振分状態を取得する振分状態取得部と、前記リフォーム依頼振分状態に基づいて、入力されたリフォーム依頼に対応する施工業者を決定する施工業者決定部と、を含み、前記施工業者決定部は、前記複数の施工業者のそれぞれが前記施工費用収束範囲の数の施工要求を確保するように定められた施工業者決定基準に従って施工業者を決定することを特徴とするリフォーム受注支援システム。
【請求項5】 多数のリフォーム依頼主から収集されたリフォーム依頼であって、単位リフォーム規模あたりのリフォーム提供価格が固定された定価制リフォーム価格基準に基づいたリフォーム依頼の情報を入力するリフォーム依頼入力ステップと、リフォーム依頼に対応して、施工業者に対する施工要求として、単位リフォーム規模あたりの施工依頼価格が固定された定価制施工価格基準に基づいた、各リフォーム依頼毎の個別の見積りを含まないスルーパス施工要求を生成するリフォーム施工要求生成ステップと、を含み、前記単位リフォーム規模あたりのリフォーム提供価格は、前記単位リフォーム規模あたりの施工依頼価格に応じて設定されており、前記単位リフォーム規模あたりの施工依頼価格は、施工件数を増大したときのリフォーム施工費用の収束値に基づいて設定されており、前記リフォーム施工要求生成ステップでは、リフォーム施工費用の収束が得られる施工費用収束範囲の数の施工要求を生成することを特徴とするリフォーム受注支援方法。
【請求項6】 請求項5に記載のリフォーム受注支援方法において、多数のリフォーム依頼主からの多数のリフォーム依頼を複数の施工業者に振り分けるリフォーム依頼振分ステップを含み、前記リフォーム依頼振分ステップでは、前記複数の施工業者のそれぞれに前記施工費用収束範囲の数の施工要求が行き渡るように前記多数のリフォーム依頼を振り分けることを特徴とするリフォーム受注支援方法。
【請求項7】 請求項6に記載のリフォーム受注支援方法において、前記リフォーム依頼振分ステップは、前記複数の施工業者のそれぞれに対する現在のリフォーム依頼振分状態を取得する振分状態取得ステップと、前記現在のリフォーム依頼振分状態を提示するとともに、入力されたリフォーム依頼に対応する施工業者の選択を要求する施工業者選択要求ステップと、前記施工業者選択要求部の要求に応答する選択業者の選択を受け付ける施工業者選択受付ステップと、を含むことを特徴とするリフォーム受注支援方法。
【請求項8】 請求項6に記載のリフォーム受注支援方法において、前記リフォーム依頼振分ステップは、前記複数の施工業者のそれぞれに対する現在のリフォーム依頼振分状態を取得する振分状態取得ステップと、前記リフォーム依頼振分状態に基づいて、入力されたリフォーム依頼に対応する施工業者を決定する施工業者決定ステップと、を含み、前記施工業者決定ステップでは、前記複数の施工業者のそれぞれが前記施工費用収束範囲の数の施工要求を確保するように定められた施工業者決定基準に従って施工業者を決定することを特徴とするリフォーム受注支援方法。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リフォーム依頼主からリフォーム依頼を受けつけて施工業者に施工を指示するシステムに関し、特に、低価格でリフォームサービスを提供できるシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように家屋は築年数の経過に伴って老朽化する。家が古くなったときの対応としては、新築とリフォーム(改築)が考えられる。リフォームには、新築と比べて費用が安いという利点がある。また、新築同様のリフォームが可能となり、耐震補強技術も向上している。しかし、従来のリフォームは、新築に比べれば安価であるものの、それでもかなりの費用がかかる。リフォームの受注を促進するためには、新築との価格差を増大することが求められる。
【0003】図1は、従来の一般的なリフォーム受注形式を示している。不動産会社等の受注会社は、リフォーム依頼主から依頼を受けると、まずリフォームの設計および見積りを行なう。設計および見積りは依頼主に提示され、そして依頼主と受注会社で打合せによる調整が行なわれ、リフォームの施工が決定される。これを受けて、受注会社は、設計書と見積書を付けた施工依頼(施工要求)を施工業者に出す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来は、依頼主と施工業者の間にたつ受注会社は、一件一件の依頼に対してリフォーム設計を行ない、見積りをつくり、依頼主との調整を行なう。こうした見積り等の作業は、リフォーム提供費用を押し上げる要因になっている。
【0005】新築の場合には、同じ仕様の家屋の大量供給によって、見積り等のコストを削減できる場合がある。しかし、リフォームについては、ベースになる家屋が異なるために、一件一件の専用設計と、それに基づく見積りの作成が必要とされており、これが上述のようにリフォーム費用を増大させてしまう。
【0006】本発明は上記背景の下でなされたものであり、その目的は、見積り等の作業を大幅に削減または排除して、低価格でリフォームサービスを提供できるシステムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明では、リフォーム依頼主へのリフォーム提供価格に、例えば坪単価いくらというような定価制を採用する。また施工業者への施工依頼価格にも定価制を採用する。定価制の採用により、リフォーム依頼毎に個別の見積り等を受注段階でつくる作業を大幅に削減または廃止できる。
【0008】ただし、リフォームへの定価制の採用には一つの問題が生じ得る。すなわち、リフォームのベースになる家屋が常に異なるので、実際の施工費用のばらつきが大きく、実際の施工費用と定価制の施工依頼価格とのバランスがとれない。
【0009】こうした問題を回避するために、本発明では、一件一件の施工費用のばらつきが大きくても、施工件数を増大すると、施工費用が平均化されて一定の値へと収束することに着目する。そして、この収束値に基づいて、施工業者の利益が確保される施工依頼価格を設定し、さらに、施工依頼価格に応じてリフォーム提供価格を設定する。各施工業者に対しては、上記施工費用の収束が得られるだけの数の施工要求を発生する。これにより、定価制の問題を回避でき、かつ定価制の採用によって見積り等の作業が大幅に削減または廃止され、その結果、低価格でリフォームサービスを提供できる。
【0010】元々、新築と異なり、リフォームは、ベースになる家屋によって施工費用が大きく異なるので、リフォームを定価制にしようとする発想は見られなかった。本発明は、そのような従来の考えにとらわれず、施工費用の収束を利用して、定価制に伴う問題を回避可能とし、定価制による見積り等のコスト低減のメリットを活かして、低価格のリフォームサービスの提供を実現する。
【0011】本発明によれば、上記の定価制のリフォーム受注に有用に用いられるリフォーム受注支援システムおよび方法が提供される。
【0012】本発明の一態様はリフォーム受注支援システムである。この支援システムは、多数のリフォーム依頼主から収集されたリフォーム依頼であって、単位リフォーム規模あたりのリフォーム提供価格が固定された定価制リフォーム価格基準に基づいたリフォーム依頼の情報を入力するリフォーム依頼入力部と、リフォーム依頼に対応して、施工業者に対する施工要求として、単位リフォーム規模あたりの施工依頼価格が固定された定価制施工価格基準に基づいた、各リフォーム依頼毎の個別の見積りを含まないスルーパス施工要求を生成するリフォーム施工要求生成部と、を含み、前記単位リフォーム規模あたりのリフォーム提供価格は、前記単位リフォーム規模あたりの施工依頼価格に応じて設定されており、前記単位リフォーム規模あたりの施工依頼価格は、施工件数を増大したときのリフォーム施工費用の収束値に基づいて設定されており、前記リフォーム施工要求生成部は、一の施工業者に対して、リフォーム施工費用の収束が得られる施工費用収束範囲の数の施工要求を生成する。
【0013】好ましくは、本発明のシステムは、多数のリフォーム依頼主からの多数のリフォーム依頼を複数の施工業者に振り分けるリフォーム依頼振分部を含み、前記リフォーム依頼振分部は、前記複数の施工業者のそれぞれに前記施工費用収束範囲の数の施工要求が行き渡るように前記多数のリフォーム依頼を振り分ける。本発明のシステムは、複数の施工業者に施工費用収束範囲の数の施工要求を分配することができ、定価制のリフォームサービスの提供に有用に利用できる。
【0014】好ましくは、前記リフォーム依頼振分部は、前記複数の施工業者のそれぞれに対する現在のリフォーム依頼振分状態を取得する振分状態取得部と、前記現在のリフォーム依頼振分状態を提示するとともに、入力されたリフォーム依頼に対応する施工業者の選択を要求する施工業者選択要求部と、前記施工業者選択要求部の要求に応答する選択業者の選択を受け付ける施工業者選択受付部と、を含む。本発明のシステムは、現在のリフォーム依頼の振分状態を提示することによって、各施工業者への施工費用収束範囲の数の施工要求の分配を促すことができ、定価制のリフォームサービスの提供に有用に利用できる。
【0015】別の態様では、前記リフォーム依頼振分部は、前記複数の施工業者のそれぞれに対する現在のリフォーム依頼振分状態を取得する振分状態取得部と、前記リフォーム依頼振分状態に基づいて、入力されたリフォーム依頼に対応する施工業者を決定する施工業者決定部と、を含み、前記施工業者決定部は、前記複数の施工業者のそれぞれが前記施工費用収束範囲の数の施工要求を確保するように定められた施工業者決定基準に従って施工業者を決定する。本発明のシステムは、施工業者決定基準に従った施工業者の自動的な決定により、各施工業者への施工費用収束範囲の数の施工要求を分配することができ、定価制のリフォームサービスの提供に有用に利用できる。
【0016】本発明の別の態様は、リフォーム受注支援方法である。この支援方法は、多数のリフォーム依頼主から収集されたリフォーム依頼であって、単位リフォーム規模あたりのリフォーム提供価格が固定された定価制リフォーム価格基準に基づいたリフォーム依頼の情報を入力するリフォーム依頼入力ステップと、リフォーム依頼に対応して、施工業者に対する施工要求として、単位リフォーム規模あたりの施工依頼価格が固定された定価制施工価格基準に基づいた、各リフォーム依頼毎の個別の見積りを含まないスルーパス施工要求を生成するリフォーム施工要求生成ステップと、を含み、前記単位リフォーム規模あたりのリフォーム提供価格は、前記単位リフォーム規模あたりの施工依頼価格に応じて設定されており、前記単位リフォーム規模あたりの施工依頼価格は、施工件数を増大したときのリフォーム施工費用の収束値に基づいて設定されており、前記リフォーム施工要求生成ステップでは、リフォーム施工費用の収束が得られる施工費用収束範囲の数の施工要求を生成する。
【0017】好ましくは、本発明のリフォーム受注支援方法は、多数のリフォーム依頼主からの多数のリフォーム依頼を複数の施工業者に振り分けるリフォーム依頼振分ステップを含み、前記リフォーム依頼振分ステップでは、前記複数の施工業者のそれぞれに前記施工費用収束範囲の数の施工要求が行き渡るように前記多数のリフォーム依頼を振り分ける。
【0018】好ましくは、前記リフォーム依頼振分ステップは、前記複数の施工業者のそれぞれに対する現在のリフォーム依頼振分状態を取得する振分状態取得ステップと、前記現在のリフォーム依頼振分状態を提示するとともに、入力されたリフォーム依頼に対応する施工業者の選択を要求する施工業者選択要求ステップと、前記施工業者選択要求部の要求に応答する選択業者の選択を受け付ける施工業者選択受付ステップと、を含む。
【0019】別の態様では、前記リフォーム依頼振分ステップは、前記複数の施工業者のそれぞれに対する現在のリフォーム依頼振分状態を取得する振分状態取得ステップと、前記リフォーム依頼振分状態に基づいて、入力されたリフォーム依頼に対応する施工業者を決定する施工業者決定ステップと、を含み、前記施工業者決定ステップでは、前記複数の施工業者のそれぞれが前記施工費用収束範囲の数の施工要求を確保するように定められた施工業者決定基準に従って施工業者を決定する。これら方法の態様によっても、上述した装置の態様と同様の利点が得られる。
【0020】なお、本発明において、リフォームは、家屋の全部でもよく、一部でもよい。また、本発明では、一件一件の家屋に合わせた特別の見積りを不要とすることは意図しているが、上記定価制リフォーム価格基準に基づいて容易に作成される見積りまで不要とすることは、意図していない。すなわち、こうした定価制の下での見積りは当然につくられてもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図2は、本発明におけるリフォーム提供サービスの全体概要を示している。不動産会社等のリフォーム受注会社1は、多数のリフォーム依頼主2からリフォーム依頼を収集する。リフォーム依頼に対するリフォーム提供価格には定価制が採用されており、リフォーム提供価格は、単位リフォーム規模あたりのリフォーム提供価格が固定された定価制リフォーム価格基準から算出される。本実施の形態では、単位リフォーム規模として「坪(3.3平方メートル)を用いる。したがって、定価制リフォーム価格基準は、坪あたりの価格(例えば坪単価20万円)である。
【0022】リフォーム受注会社1は、各リフォーム依頼を請け負う施工業者3を指定し、指定された施工業者3に施工要求を送る。本実施の形態では、施工要求についても定価制が採用されている。すなわち、施工依頼価格は、単位リフォーム規模あたりの施工依頼価格が固定された定価制施工価格基準にしたがって算出される。施工依頼価格についても、単位リフォーム規模として「坪」が用いられる。
【0023】リフォーム受注会社1は、リフォーム依頼を受けたとき、そのリフォーム依頼のための専用の設計、見積りといった作業はしない。この点に関し、従来のリフォームサービスであれば、リフォーム対象の家屋に合わせた設計と見積り、それらに必要な調整が、受注会社の手によって進められる。本発明では、定価制を採用する代わりに、従来の専用設計、見積り等の作業が廃止される。リフォーム受注会社1は、基本的にはリフォーム依頼を請け負う施工業者を指定するだけである。リフォーム依頼は、指定された施工業者にそのまま受け渡される。
【0024】このように、本発明では、リフォーム依頼がそのまま施工業者に受け渡されることから、施工業者に対する施工要求を「スルーパス施工要求」と呼ぶ。上記より明らかなように、スルーパス施工要求には、リフォーム受注会社によってつくられた設計書や見積りは付されない。施工業者では、スルーパス施工要求を受け取ると、リフォームの設計を行ない、その設計に従って依頼対象の家屋を実際にリフォームする。
【0025】定価制の主な利点は、受注段階での設計、見積りおよび関連作業の削減または廃止によるコスト低減である。一方で、定価制には以下のような不利な点がある。大量生産の新築と異なり、リフォームは、既存の家屋をベースにして行なわれる。リフォーム対象の家屋は一件一件異なるので、リフォームに実際にかかる施工費用(実施工費用)は常に異なる。実施工費用が、定価制で定まる施工依頼費用に見合わない可能性がある。こうした事情により、一件一件が特注扱いされるリフォームは、本来は定価制に向かないと考えられる。
【0026】本発明は、リフォームに定価制を採用する時の問題を以下のようにして回避する。
【0027】図3において、横軸は、施工件数であり、縦軸は、一坪当たりの実施工費用の平均値(全施工件数の総坪数で実施工費用の総計を割った値)である。図中の曲線は、実施工費用の平均値がとり得る範囲を示している。
【0028】施工件数が少ないときは、実施工費用の平均値のとり得る範囲が広い。そのため、定価制の下では施工業者が損をする可能性もある。しかし、施工件数が多くなると、実施工費用の平均値のとり得る範囲が狭まり、施工費用が収束する。施工費用の収束値は図中にXで示されている。また、施工費用の範囲が一定の値以下になる範囲(施工件数Y以上)を、本発明では施工件数収束範囲という。
【0029】そして、施工費用の収束値Xに基づいて、施工依頼価格の坪単価が設定される。具体的には、施工費用の収束値Xに施工業者の必要な利益を加えた値である。さらに、施工依頼価格の坪単価に応じて、リフォーム提供価格の坪単価が定められる。具体的には、施工依頼価格の坪単価に対して、リフォーム依頼の収集および施工業者への安定供給などに要するコスト(広告費なども含む)が加算される。結果的に、リフォーム提供価格の坪単価は、例えば20万円に設定される。
【0030】リフォームサービスの提供にあたっては、リフォーム受注会社1は、上記の価格設定の下で、施工件数収束範囲(図3参照)の件数の施工要求を各施工業者に発する。これにより、定価制の下でも適切なリフォームサービスを提供できる。そして受注会社の事前設計作業等の削減によって、リフォーム提供価格を大幅に削減できる。
【0031】図4は、本発明の特徴的なリフォーム提供サービスに好適に用いられるリフォーム受注支援システムを示している。リフォーム受注支援システム10は、図1のリフォーム受注会社に用いられる。リフォーム受注支援システム10は、リフォーム依頼を入力して、入力した依頼に対応する施工要求を出力するために用いられる。
【0032】リフォーム受注支援支援システム10は、その主用構成として、リフォーム依頼入力部12、リフォーム施工要求生成部14およびリフォーム依頼振分部16を含む。
【0033】リフォーム依頼入力部12には、入力装置18を用いてリフォーム依頼が入力される。リフォーム依頼は、依頼主名、住所、リフォーム規模等を含む。入力装置18は例えばキーボードである。オペレータは、書類、電話、ファクシミリなどにより入手したリフォーム依頼を、キーボードを用いて入力する。入力装置18はスキャナ等の読取り装置を含んでもよい。また、通信装置が入力装置18として機能し、外部から通信でリフォーム依頼を取り込んでもよい。リフォーム依頼は、受注会社の支店から受けとってもよく、依頼主から直接受け取ってもよい。前述のように、本実施の形態において、リフォーム依頼は、定価制リフォーム価格基準に基づく依頼である。
【0034】入力されたリフォーム依頼は、リフォーム依頼記憶部20に記録されるとともに、リフォーム依頼振分部16に渡される。リフォーム依頼記憶部20は、施工要求記録部24とともにリフォーム受注データベース26を構成している。
【0035】リフォーム施工要求生成部14は、施工業者に対する施工要求として、本発明のスルーパス施工要求を生成する。スルーパス施工要求は、上述したように、定価制施工価格基準に基づいた要求であり、各依頼毎の特別の設計や見積りは添付されない。
【0036】スルーパス施工要求は出力装置22を用いて出力される。出力装置22は例えばプリンタであり、所定の用紙を用いてスルーパス施工要求の書類が印刷される。出力装置22はディスプレイを含み、オペレータがディスプレイを見て手作業で施工要求書類をつくってもよい。また通信装置が出力装置22として機能し、施工業者へ直接または間接的に通信でスルーパス施工要求を送ってもよい。
【0037】複数の施工業者のうちで各リフォーム依頼を請け負う施工業者は、以下に説明するように、リフォーム依頼振分部16によって決定される。リフォーム施工要求生成部14は、リフォーム依頼振分部16の決定に従い、決定された施工業者に対するスルーパス施工要求を生成する。
【0038】リフォーム依頼振分部16には、リフォーム依頼入力部12に入力された多数のリフォーム依頼の情報が渡される。一つ一つのリフォーム依頼が入力される度に、そのリフォーム依頼を請け負う施工業者が、リフォーム依頼振分部16により指定される。これにより、順次入力される多数のリフォーム依頼が複数の施工業者へと振り分けられる。このとき、以下の構成により、各施工業者に対して、図3の施工費用収束範囲に入る数のリフォーム依頼が割り当てられる。
【0039】リフォーム依頼振分部16は、その主要構成として、振分状態取得部32、施工業者選択要求部34、施工業者選択受付部36および施工業者情報記憶部38を含む。
【0040】振分状態取得部32は、施工要求記録部24に記録された施工要求の記録を参照して、各施工業者に対する現在のリフォーム依頼の振分状態を求める。施工業者選択要求部34は、リフォーム依頼の振分状態をオペレータに提示して、入力されたリフォーム依頼を請け負う施工業者の選択をオペレータに要求する。振分状態の提示と施工業者の選択要求は、ディスプレイ上で行なわれる。
【0041】図5は、リフォーム依頼の振分状態を示す画面の例である。振分目標数は、各施工業者に対する施工要求の目標数である。振分目標数は、図3に示した施工費用収束範囲の中に、すなわち収束最低数Y以上の適当な数に設定される。また振分目標数は、施工業者の規模に応じて適当に異なって設定されてもよい。振分目標数は予め設定され、施工業者情報記憶部38に記憶されている。施工業者選択要求部34は、各施工業者の振分目標数を施工業者情報記憶部38から読み出す。
【0042】適当な期間毎の目標数、例えば月別の目標数を用いてもよい。この場合、各月へと振分目標数が割り当てられ、それらの合計が上記の振分目標数となる。好ましくは、年間のリフォーム受注数の一般的な変動を考慮して、目標数が月によって異なって設定される。
【0043】振分数実績は、施工業者へ既に出された施工要求の数である。この情報が、振分状態取得部32によって施工要求記録部24を参照して求められる。目標達成度は、目標振分数の達成度合いであり、ここでは、目標振分数に対する振分実績数の比率(%)が用いられる。目標達成度は振分状態取得部32または施工業者選択要求部34により算出される。
【0044】さらに、図5に示されるように、振分状態の画面には、施工業者の所在地およびテリトリーが表示される。テリトリーは、施工業者が施工を請け負う地域的範囲であり、一般には施工業者の所在地を中心とした適当な範囲である。これら情報も、施工業者情報記憶部38から読み出される。なお、施工業者の数が多い場合には、リフォーム依頼を参照して、依頼対象がテリトリーに入る施工業者のみが画面に表示されてもよい。
【0045】図5に示される振分状態は本発明の一例である。図5と異なる画面が用いられてもよいことはもちろんである。各施工業者への振分の状況が提示されればよい。好ましくは、上記の目標達成度のように、本施工費用収束範囲の件数に対する振分実績の状況が提示される。
【0046】図4に戻り、オペレータは、施工業者の選択要求に応えて、リフォーム依頼を受け渡す施工業者を選択する。本実施の形態では、図5の画面に示される選択業者の中から一の業者が、キーボードおよびポインティングデバイスを用いて選択される。オペレータは、目標達成度が低く、リフォーム依頼の住所がテリトリー内に入る施工業者を選択する。この選択が、リフォーム依頼振分部16の施工業者選択受付部36により受けつけられる。そして、この選択によって、リフォーム依頼を請け負う施工業者が決定される。
【0047】決定された施工業者は、リフォーム依頼の情報とともにリフォーム施工要求生成部14に通知される。これを受けて、リフォーム施工要求生成部14は、スルーパス施工要求を生成する。
【0048】次に、図6は、もう一つの実施形態に係るリフォーム受注支援システムを示している。本実施の形態では、リフォーム依頼振分部40の構成が図2と異なる。図2のシステムでは、リフォーム依頼振分部16は、オペレータへの問い合わせを利用して、リフォーム依頼に応じる施工業者の決定をオペレータに委ねている。本実施の形態では、リフォーム依頼振分部40が自動的に施工業者を決定する。その他の構成は図2と同様であるので、それら構成の説明は省略する。
【0049】リフォーム依頼振分部40は、振分状態取得部42、施工業者決定部44および施工業者情報記憶部46を含む。振分状態取得部42は、施工要求記録部24の記憶している情報を参照して、複数の施工業者のそれぞれに対する現在のリフォーム依頼振分状態、すなわち現在までの施工要求発生数を取得する。
【0050】施工業者決定部44は、振分状態取得部42が取得したリフォーム依頼振分状態に基づいて、入力されたリフォーム依頼に対応する施工業者を決定する。施工業者決定部44は、施工業者決定基準に従って施工業者を決定する。施工業者決定基準は、施工業者情報記憶部46に記憶されており、以下に例示するように、各施工業者が上述の施工費用収束範囲の数の施工要求を確保するように定められている。
【0051】図7は、施工業者決定基準の例を示している。複数の施工業者のそれぞれのために図7のテーブルが設定されている。この例では、施工業者の決定に、振分目標達成度と、各施工業者のテリトリーが用いられる。振分目標達成度は、目標振分数の達成度合いであり、ここでは、目標振分数に対する振分実績数の比率(%)が用いられる。目標振分数は、図5を参照して説明したように、施工費用収束範囲の中に、すなわち収束最低数Y以上の適当な数に設定される。月別等のより細かな目標数が用いられてもよい。テリトリーは、施工業者が施工を請け負う地域的範囲であり、一般的に施工業者の所在地を中心とした適当な範囲である。
【0052】図7に示されるように、振分目標達成度は、3つのランクに分けられている。それら3つのランクにそれぞれ対応して、3種類のテリトリーが設定されている。達成度が最も高いAランクには標準テリトリーが対応し、2番目のBランクには一次拡大テリトリーが対応し、最も低いCランクには二次拡大テリトリーが設定されている。標準テリトリー、一次拡大テリトリー、二次拡大テリトリーの順でテリトリーが大きくなる。
【0053】リフォーム依頼が入力されると、施工業者決定部44は、施工業者決定基準に示される振分目標数と、振分状態取得部42が取得した振分状況情報に基づき、各施工業者の振分目標達成度を算出し、振分目標達成度に対応するテリトリーを求める。例えば、図7を参照すると、施工業者Nの振分目標達成度がBランクに属する場合には、一次拡大テリトリーが選択される。なお、目標達成度は振分状態取得部42で予め算出されてもよい。
【0054】施工業者決定部44は、各施工業者のテリトリー内にリフォーム依頼の住所が含まれるか否かを判定する。そして、施工業者決定部44は、リフォーム依頼の住所を含むテリトリーをもつ施工業者を選択し、その施工業者を、リフォーム依頼を請け負う業者として決定する。
【0055】複数の施工業者のテリトリーが重なっているために、リフォーム依頼の住所が複数の施工業者のテリトリーに含まれることがある。この場合は、目標達成度が最も低い施工業者が選択される。
【0056】このように本実施の形態では、図3に示した施工費用収束範囲に基づいた目標の達成度が低い施工業者に優先してリフォーム依頼を割り当てるように、施工業者決定基準が設定されている。これにより、施工費用収束範囲に入る施工要求を各施工業者のために確保するようにリフォーム依頼を振り分けていくことができる。
【0057】特に本実施の形態では、目標達成度に応じて各施工業者のテリトリーを変更し、すなわち目標達成度が低い施工業者のテリトリーを拡大しており、これにより、目標達成度の低い施工業者への施工要求件数の増大が適切に促進される。各施工業者は、目標達成度が高いうちは(他の施工業者と比較して相対的に高いうちは)狭いテリトリーで効率良く仕事をするとともに、目標達成度が低下したときにはテリトリーを広げて件数を増やすことができ、こうした利点を自動振分処理により得ることができる。
【0058】なお、図7の施工業者決定基準は一例であり、これに限定されない。例えば、目標達成度としては、比率以外のパラメータが用いられてもよい。また、目標達成度のランクは3つでなくてもよく、また目標達成度に応じてテリトリーが連続的に変更されてもよい。また、目標達成度に応じたテリトリーの大きさの変更は行なわなくてもよく、この場合には本実施の形態の利点が部分的に得られる。
【0059】また、図7のシステムでは、施工業者が自動的に決定されている。しかし、この自動処理では、システム側で完全に施工業者を決定しなくてもよい。例えば、システム側で決めた施工業者がオペレータに提示され、オペレータの確認が求められてもよい。こうした半自動的な処理も、図7で説明した自動処理に含まれる。
【0060】以上、本発明の好適な実施の形態を説明した。本発明によれば、定価制のリフォーム提供サービスに好適に用いられるリフォーム受注システムおよび受注方法が提供され、特に、実施工費用のばらつきに関する定価制の問題を回避できる技術を提供でき、その結果、受注会社の設計、見積り等のコストの削減により、リフォーム提供価格を低減することができる。
【0061】図2のシステムは、現在のリフォーム依頼の振分状態を提示することによって、各施工業者への施工費用収束範囲の数の施工要求の分配を促すことができ、定価制のリフォーム提供サービスの運営に有用に利用できる。
【0062】また図6のシステムは、施工業者決定基準に従った施工業者の自動的な決定により、各施工業者への施工費用収束範囲の数の施工要求を分配することができ、定価制のリフォーム提供サービスの運営に有用に利用できる。
【0063】また図6のシステムでは、施工業者の自動決定において、施工費用収束範囲に基づいた振分目標の達成度に応じて施工業者のテリトリーを変更することにより、さらに適当なリフォーム依頼の振分が実現される。
【0064】本実施の形態は、発明の範囲内で当業者により変形可能なことはもちろんである。例えば、本実施の形態では単位リフォーム規模として「坪」を用いているが、それ以外の単位が用いられてもよい。またリフォーム提供価格に用いる単位と施工依頼価格に用いる単位が異なっていてもよい。また単位リフォーム規模は、1件、数件、または所定の地域といった大きな規模でもよい。
【0065】本発明のリフォーム対象は、家屋全部でなくてもよく、家屋の一部でもよい。またリフォームには、耐震補強を含めることが適当であり、本発明では、コスト削減によって定価制サービスの下で耐震補強も提供するように図れる。
【0066】またリフォーム依頼価格基準においては、単位リフォーム規模当たりのリフォーム提供価格は複数種類でもよい。例えば、複数のリフォームグレードに応じて複数の坪単価が設定される。これに応じて、坪当たりの施工依頼価格も複数になる。
【0067】また本発明では、リフォーム受注会社による見積り作成は不要と説明した。これは、一件一件の家屋の仕様に応じた設計に基づく見積りを行なわなくてもよい、という意味である。定価制の下での坪数に応じた見積り作成等は行なわれてよいことはもちろんである。
【0068】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれば、コスト削減により、低価格でリフォームサービスを提供できる。
- 【公開番号】特開2002−63417(P2002−63417A)
【公開日】平成14年2月28日(2002.2.28)
【発明の名称】リフォーム受注支援システムおよびリフォーム受注支援方法
- 【出願番号】特願2000−251107(P2000−251107)
【出願日】平成12年8月22日(2000.8.22)
【出願人】
【識別番号】592040826
【氏名又は名称】住友不動産株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司 (外1名)
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