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訓練用地上子
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- 【要約】
【課題】 使用現場で測定の作業を必要とせずに正規の位置に地上子の設置が可能な訓練用地上子を提供する。
【解決手段】 地上子本体1と、当板2との組合せを有している。地上子本体1は、本線の軌道内に設置される地上子の形状を象った定型の外殻であり、内部にATS機能の実行に必要な周波数に共振する共振子を有するものである。当板2は、地上子本体1に保持され、一端をレールR1の側面に当接させて地上子本体1の設置位置をレール間の軌間中心から一定距離ずれた位置に調整するものである。なお、当板2は、地上子本体1に摺動可能に保持されており、使用時には地上子本体1から一定の長さに引き出され、不使用時には地上子本体1の長さの範囲内に引き込まれて収納される。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】 地上子本体と、当板との組合せを有する訓練用地上子であって、地上子本体は、本線の軌道内に設置される地上子の形状を象った定型の外殻であり、内部にATS機能の実行に必要な周波数に共振する共振子を有し、当板は、地上子本体に保持され、一端をレールの側面に当接させて地上子本体の設置位置をレール間の軌間中心から一定距離ずれた位置に調整するものであることを特徴とする訓練用地上子。
【請求項2】 当板は、地上子本体に摺動可能に保持され、使用時には地上子本体から一定の長さに引き出され、不使用時には地上子本体の長さの範囲内に引き込まれるものであることを特徴とする請求項1に記載の訓練用地上子。
【請求項3】 地上子本体は、取付台上に支えて一定の高さ位置に保持され、当板は、地上子本体の下面に取付けられたガイドに沿って摺動可能に保持されているものであり、一端(外端)の上面と他端(内端)の下面とにそれぞれストッパを有し、外端のストッパは、当板の引き込み位置を規制し、内端のストッパは、当板の引き出し位置を規制するものであることを特徴とする請求項2に記載の訓練用地上子。
【請求項4】 当板は、目印線を有し、目印線は、人目を惹く色で当板の板面に表示され、地上子本体から当板を最大限に引き出したときに、地上子本体の外部に露出し、当板が最大限引き出されていることを確認するものであることを特徴とする請求項2に記載の訓練用地上子。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の運転手にATS動作時の緊急停止を体験させる訓練用地上子に関する。
【0002】
【従来の技術】ATS(列車自動停止装置)は、危険区域に列車が接近したときに警報を発し、さらにその区域に侵入した列車のブレーキを自動的にかけて列車を停止させるシステムである。ATS機能として地上子には図4に示すようにコイルL3とコンデンサCとで130kHzに共振した共振子を有している。
【0003】これに対し、列車の車上装置にはコイルL1,L2を疎結合にして常に105kHzで発信する発信器を有し、その発信信号をもって帯域ろ波器BPFを通してリレーMRを動作させている。そして130kHzに共振がとられている地上子が短絡していると、この上を車上装置の車上子が通過しても車上の周波数は変化がないのでリレーMRは落下しないが、地上子が開放されているとコイルL1、L2、L3で結合回路を作り、発信周波数はZiehen現象105kHzは130kHzに変周され、そのため発振電力は帯域ろ波器BPFで阻止され、リレーMRは落下するに至る。ATS−Sは、この落下接点を利用し、自動ブレーキを作用させて列車を停止させる装置である(信号 吉村寛ほか1名 昭和59年 株式会社 交友社発行 P557〜559参照)。
【0004】訓練用地上子は、運転手(訓練生)にATSが動作してブレーキが自動的に作動し、走行車両が緊急停止するときの状態を実体験させるために用いられるものであり、本線に設置されるATS地上子(ATS−S形地上子)のように地上の信号機の条件を車上に伝えることが目的ではないが、地上子にはコイルL3とコンデンサCとで130kHzに共振した共振子を有し、上方を通過する列車の車上装置を制御してブレーキを動作させる機能を有している。
【0005】訓練は引込み線上で行なわれ、軌道の枕木上に訓練用地上子を設置し、およそ20〜30km/hで走行する車両が訓練用地上子上を通過するときに、訓練用地上子の130kHzの発振周波数を車上装置の車上子が感知し、自動的にブレーキが掛かり、運転手は、列車が急停止するときの感覚を体験することができる。
【0006】ところで、ATS−S形地上子を実際に本線の軌道内に設置するときには、車上装置との関係からレール間の軌間中心から210mmの位置に地上子コイルの中心を一致させ、レール踏面から地上子上面までを70mmの高さに設置する必要がある。これは訓練用地上子であっても同じであって、ATS−S形地上子と同じ条件で設置しないと正常に動作をさせることができない。
【0007】訓練用地上子は、本線上の地上子のように定位置に据え付けられるのではなく、必要時に引込み線上に搬入して単に枕木上に置かれるだけではあるが、地上子コイルの中心がレール間の軌間中心から210mmの位置になるように位置決めをして枕木上に載置しなければならない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来、訓練用地上子の位置を正確に規定位置に設置するには、訓練用地上子の使用現場で巻き尺やスケールを用い、一方のレール(左側レール)の側面(腹)からの寸法を計測してコイルの中心がレール間の軌間中心から210mmになるように訓練用地上子の位置決めをしていたため、その測定に手数がかかり、また測定者によって測定誤差が生ずるなどの問題があり、訓練用地上子が誤った位置に設置されたときには、ATS機能が正しく動作しないという問題が生ずる虞があった。
【0009】本発明の目的は、使用現場で測定の作業を必要とせずに正規の位置に地上子の設置が可能な訓練用地上子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明による訓練用地上子においては、地上子本体と、当板との組合せを有する訓練用地上子であって、地上子本体は、本線の軌道内に設置される地上子の形状を象った定型の外殻であり、内部にATS機能の実行に必要な周波数に共振する共振子を有し、当板は、地上子本体に保持され、一端をレールの側面に当接させて地上子本体の設置位置をレール間の軌間中心から一定距離ずれた位置に調整するものである。
【0011】また、当板は、地上子本体に摺動可能に保持され、使用時には地上子本体から一定の長さに引き出され、不使用時には地上子本体の長さの範囲内に引き込まれるものである。
【0012】また、地上子本体は、取付台上に支えて一定の高さ位置に保持され、当板は、地上子本体の下面に取付けられたガイドに沿って摺動可能に保持されているものであり、一端(外端)の上面と他端(内端)の下面とにそれぞれストッパを有し、外端のストッパは、当板の引き込み位置を規制し、内端のストッパは、当板の引き出し位置を規制するものである。
【0013】また、当板は、目印線を有し、目印線は、当板の板面に人目を惹く色で表示され、地上子本体から当板を最大限に引き出したときに、地上子本体の外部に露出し、当板が最大限引き出されていることを確認するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明による訓練用地上子の実施の形態を図によって説明する。図1において、本発明による訓練用地上子は、地上子本体1と、当板2との組合せを有している。地上子本体1は、本線の軌道内に設置される地上子の形状を象った概略矩形状の定型の外殻であり、内部には図4に示すコイルL3とコンデンサCとでATS機能の実行に必要な130kHzに共振した共振子を有する点は従来の訓練用地上子と同じである。
【0015】地上子本体1は、それぞれカラー3を介装した左右一対ずつのボルト4A,4Aおよび4B,4Bによって、取付台5上に規定の高さ位置に保持され、各ボルト4A,4Aおよび4B,4Bにねじ込んだナット6にて取付台5に一体に緊締されている。ちなみに、地上子本体1の高さは、使用するレールの一番高い50Nレールに合わせて70mmの高さを確保して高さ調整を不要としている。
【0016】一方、地上子本体1の下面には、一方の対のボルト・ナット4A,4Bに共締めをしてガイド7が取付けられている。ガイド7は、当板2を摺動可能に保持させるものである。
【0017】当板2は、地上子本体1の軌間内の設置位置をレール間の軌間中心Oから一定距離ずれた位置に調整するものであり、一定の長さを有し、使用時には地上子本体1からその長手方向に沿って一定の長さに引き出され、不使用時には地上子本体1の長さの範囲内に引き込まれるものである。
【0018】当板2の一端(外端)の上面と、他端(内端)の下面とには、それぞれストッパ8A,8Bを有している。外端のストッパ8Aは、当板2の引き込み位置を規制し、内端のストッパ8Bは、当板2の引き出し位置を規制するものである。
【0019】当板2を地上子本体1の外方に一定長さを引き出したときには、その終端で内端のストッパ8Bがガイド7の開口縁に当接して当板2の最大引き出し長さが決定され、軌間内で当板2を最大限に引き出し、当板2の外端(ストッパ8A)を図3に示すように一方のレールR1の側面(腹)に突き当てたときに地上子のコイル中心の位置Xが軌間中心Oから210mmの位置になる。
【0020】逆に当板2を地上子本体1側に引き込んだときには、外端のストッパ8Aが地上子本体1の外端縁に当接して引き込み位置が規制され、当板2は地上子本体1の長さの範囲内に納められる。
【0021】図1において、当板2を最大限に引き出したときに、地上子本体1の端縁から外部に現れる当板2の板面には、人目に注意を惹く色、例えば赤色等を色で表示した目印線9が付されている。目印線9が外部に露出していることで、これを視認して当板2が最大限引き出されていることが確認できる。
【0022】同様に、当板2の先端にも注意を惹く色彩でストッパ線10を付しておけば、引き出された当板2がレールR1の側面(腹)に接触しているかどうかをストッパ線10の色によって確認できる。
【0023】図3において、本発明の訓練用地上子を使用するときには、当板2を地上子本体1の下面に格納した状態で使用現場に搬入し、当板2の外端を一方のレールR1の側面(腹)に向けて引込み線の軌間内の特定の枕木11上で、当板2を最大限に引き出し、その外端のストッパ8AをレールR1の側面(腹)に突き当て、その状態で当板2の延長線上の枕木11上に地上子本体1を設置する。
【0024】これによって、地上子本体1の設置位置は、コイル中心位置Xが軌間中心Oから210mmの正規の位置に自ずから調整される。当板2が最大限に引き出されているかどうかは、目印線9の色が当板2の基部の板面に現れているかどうかによって確認し、当板2の先端がレールR1に接触しているかどうかは、ストッパ線10の色によって確認する。
【0025】訓練用地上子の設置後、当板2はそのままレールに突き当てた状態のままでよいが、あるいは、位置ずれが生じないように地上子本体の下方に引き込んでおいてもよい。
【0026】本発明による訓練用地上子が設置されたレールR1,R2上を走行してきた車両(列車)の車上装置は、訓練用地上子の共振子に反応して確実に動作し、自動ブレーキが掛かり、車両の運転手(訓練生)は、ATSの動作を誤りなく実体験できる。
【0027】
【発明の効果】以上のように本発明によるときには、訓練用地上子の地上子本体に設けた当板をレールの側面(腹)に突き当てるのみで訓練用地上子を正規の位置に設置することができ、従来のように巻き尺などを用いて訓練用地上子お設置位置を計測する必要がなく、また、設置位置に計測誤差による位置ずれが生ずることがなく、簡単に且つ確実に訓練用地上子を正規の位置に設置することができる。
【0028】また、当板を地上子本体に摺動可能に保持させることによって、不使用時には地上子本体の長さの範囲内に引き込んで置くことによって、搬出入時、並びに保管時に嵩張ることがなく、必要時にのみ地上子本体から一定の長さに引き出して使用できる。
【0029】また、当板の最大限に引き出し長さは、ストッパによって規制されるが、さらに最大限に引き出されたときに現れる有色の目印線を当板の板面に付しておくことによって当板の引き出し長さの可否を容易に確認することができる。
- 【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す訓練用地上子の平面図である。
【図2】図1のアーア線断面図である。
【図3】本発明の訓練用地上子の設置例を示す図である。
【図4】ATS−S形地上子の動作説明図である。
【符号の説明】
1 地上子本体
2 当板
3 カラー
4A,4B ボルト
5 取付台
6 ナット
7 ガイド
8A,8B ストッパ
9 目印線
10 ストッパ線
11 枕木
R1,R2 レール
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
- 【公開番号】特開2003−127860(P2003−127860A)
【公開日】平成15年5月8日(2003.5.8)
【発明の名称】訓練用地上子
- 【出願番号】特願2001−325220(P2001−325220)
【出願日】平成13年10月23日(2001.10.23)
【出願人】
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
- 【代理人】
【識別番号】100075306
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 中
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