自己診断機能付地上子
- 【要約】
【課題】 地上子のQ値が低下して正規の共振回路に異常が発生したときに、地上子から地上信号機に列車絶対停止指令を発信する。
【解決手段】 正規の共振回路2,3と、自己診断回路4と、非常用の共振回路20とを有している。正規の共振回路は、123kHzに共振して地上信号機の停止現示に連動させる第1の共振回路2と、103kHzに共振して地上信号機の進行現示に連動させる第2の共振回路3である。自己診断回路4は、地上子の正規の共振回路の故障を検知して信号を出力して非常用の共振回路を動作させるとともに正規の共振回路を開放する。非常用の共振回路20は、自己診断回路4からの指令を受けて列車絶対停止指令を信号機に発信する。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常用共振回路を有する自己診断機能付地上子であって、
非常用共振回路非常用共振回路は、地上子の正規の共振回路の故障の故障検知信号を受けて回路を構成し、正規の共振回路に代えて列車絶対停止指令を発信するものであることを特徴とする自己診断機能付地上子。
【請求項2】
正規の共振回路と、自己診断回路と、非常用の共振回路とを有する自己診断機能付地上子であって、
正規の共振回路は、123kHzに共振して地上信号機の停止現示に連動させる第1の共振回路と、103kHzに共振して地上信号機の進行現示に連動させる第2の共振回路であり、
自己診断回路は、地上子の正規の共振回路の故障を検知して信号を出力して非常用の共振回路を動作させるとともに正規の共振回路を開放するものであり、
非常用の共振回路は、自己診断回路からの指令を受けて列車絶対停止指令を信号機に発信するものであることを特徴とする自己診断機能付地上子。
【請求項3】
第3の共振回路の同調コイルL3は、正規の共振回路の同調コイルLが巻かれたコアにバイファイラ巻きされ、第3の共振回路は、正規の共振回路とともに地上子に内蔵されているものであることを特徴とする請求項2に記載の自己診断機能付地上子。
【請求項4】
自己診断回路は、正規の共振回路の出力側に結線され、
第3の共振回路は、自己診断回路の故障検知指令を受けて動作する故障検知出力リレーの接点を通じて構成されるものであることを特徴とする請求項2に記載の自己診断機能付地上子。
【請求項5】
自己診断回路の電源回路に、正方向電流を検知して動作する有極リレーが付設され、地上子制御リレーの電源回路に有極リレーの励磁によって構成する接点と、ディレー回路が接続され、
地上子制御リレーは、第1の共振回路と、第2の共振回路との切り替え用であり、
ディレー回路は、有極リレーの接点を通じて予め定められた一定時間経過後も通電状態が保持されているときに地上子制御リレーに通電してこれを動作させるものであることを特徴とする請求項2に記載の自己診断機能付地上子。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道線路の軌道内に設置された地上子の機能、特に地上子共振回路の共振周波数及びQ値の低下を検知する自己診断機能付地上子に関する。
【背景技術】
【0002】
地上子は、自動列車停止装置(ATS)、自動列車制御装置(ATC)、自動列車運転装置(ATO)あるいは車内警報などの地上装置である。これらの装置はいずれも地上信号機の条件を示す地上の部分(地上装置)と地上の条件を車上に取上げ所要の動作を行う車上の部分(車上装置)とからなっている。
【0003】
車上装置は、一定の周波数で発信する車上子を備えている。図7にATS地上子の構成を示す。図7において、地上子1は、同調コイルL1,2と、コンデンサC1とによって構成される第1の共振回路2或いは、同調コイルL1,2と、コンデンサC1、C2とによって構成される第2の共振回路3とを有するものであり、第1の共振回路2と、第2の共振回路3とは、スイッチによって切替えられる。スイッチは、地上子制御リレーQRの扛上接点QRUである。
【0004】
接点QRUがオフ(落下)のときには、第1の共振回路2が構成されて123kHzに共振し、接点QRUがオン(扛上)のときには、第2の共振回路が構成されて103kHzに共振する。第2の共振回路3は、地上信号機の進行(青)現示に連動し、103kHzの共振回路が構成された地上子1上を列車が通過しても列車の車上装置19はなんの動作も行なわない。
【0005】
一方、第1の共振回路2は、地上信号機の停止(赤)現示に連動し、123kHzに共振する共振回路が構成された地上子1上を列車が通過すると、車上装置(車上子)19が地上子1に電磁結合して車上装置19の発振周波数105kHzは、Ziehen現象により123kHzに変周され、リレー(図示略)が動作して自動的にブレーキがかけられ、列車を停止させる。
【0006】
他の目的に用いられる地上子についても、車上装置の制御機器が異なるだけで、基本的にその動作は同じである。このように地上子は、列車運行に重要な役割を果たしており、地上子を車上から発信される特定の周波数に感応させるには、地上子の共振周波数が正規の周波数に保たれ、Q値は基準値以上に保たれていなければならない。
【0007】
従来、地上子の共振周波数のQ値の測定は、地上子試験器を用いて行われていた。地上子試験器は、測定コイルと本体との2つの部分で構成された携帯用の機器である。その使用に際しては、作業員が本体を収容したケースのバンドを肩にかけ、測定コイルを手に提げて鉄道線路内の地上子の設置現場に携行し、現場において、本体をケースから取出し、測定コイルの脚を起立させてこれを地上子上に配置し、本体とコイルとをケーブルで結線して地上子の共振周波数のQ値の測定を行なっていた。
【0008】
しかし、地上子試験器を携帯して定期的或いは不定期に現場に出向いて測定の作業を行うことは、作業者に負担を強いるだけでなく、不測の事態で地上子に故障その他の異常事態が発生したときにも、現場で地上子を測定しない限り異常事態を発見できない。そもそも、地上子試験器を地上子の設置現場に持ち込んで作業員が測定するというシステム自体に問題があるといわなければならない。
【0009】
このような問題を解決するため、地上子内に自己診断回路を装備して地上子のQ値を常時監視し、地上子に異常が生じたときに故障情報を自動的に外部に出力する自己診断機能付地上子が開発された(特許文献1参照)。
【0010】
特許文献1に記載された自己診断機能付地上子の自己診断回路は、地上子に内蔵された共振回路の共振周波数およびQ値を常時監視し、共振回路の共振周波数またはQ値が基準値を下回ったときに地上子の故障検知信号を自動的に出力するものであり、自己診断回路は、掃引周波数発振部と、故障検知部とを有し、掃引周波数発振部は、地上子共振回路の共振周波数を含む掃引周波数を繰返し地上子共振回路に印加するものであり、地上子共振回路は、掃引周波数と、地上子の共振周波数との一致信号を故障検知部に出力し、故障検知部は、一致信号の電圧レベルを、下限限界値として予め定められた基準値と比較し、一致信号の電圧レベルが基準値を下回ったときに地上子の故障検知信号を出力するものである。
【0011】
地上子に自己診断機能を付加することによって、従来のように、地上子試験器を測定現場に持ち込んで測定を行なう手数は一切不用になり、鉄道線路の軌道内に設置された数多くの地上子の共振回路の共振周波数およびそのQ値を常時監視し、地上子の機能低下を検知したときには、その故障情報を自動的に出力することによって、地上での地上子測定管理やメンテナンスを従来に比して大幅に省力化することが可能となる。
【0012】
ところで、特許文献1に記載された自己診断機能付地上子では地上子に内蔵した自己診断回路によって常時地上子のQ値が監視され、Q値に異常が発生した時にはその情報は集中監視室に伝えられて作業員が現場に直行して復旧するシステムになっていたが、もし、Q値の異常発生が集中監視室に報じられ、作業員が現場に直行するまでの間に、Q値の低下が原因で、信号機が進行表示が出されたままになっては危険である。
【特許文献1】特開2002−37071
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
解決しようとする問題点は、地上子のQ値を常時監視し、異常発生時にQ値の低下の情報を集中監視室に伝えるだけでは、必ずしも列車通行の安全性を確保できない点である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、地上子に内蔵された正規の共振回路のほかに非常用の共振回路が組み込まれ、地上子のQ値が低下して正規の共振回路に異常が発生したときには、非常用の共振回路が働いて地上子から列車絶対停止指令(123kHz)の発信を可能としたことを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明による自己診断機能付地上子は、正規の共振回路のほかに非常用の共振回路が組み込まれているため、正規の共振回路に異常が発生して列車を検知できない異常事態が発生しても、地上子から列車絶対停止指令(123kHz)を発信して危険を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
地上子に内蔵された正規の共振回路に異常が発生して列車を検知できない異常事態が発生しても、地上子から列車絶対停止指令(123kHz)を発信して危険を回避するという目的を地上子内に組み込まれた非常用の共振回路を動作させ、非常用の共振回路から列車絶対停止信号を発信することによって実現した。
【実施例1】
【0017】
以下に本発明をATS地上子に適用した例についてその実施の形態を図によって説明する。図1は、自己診断機能付きATS地上子の基本構成を示す図である。図4に自己診断回路4の具体例を示す。図1において、本発明によるATS地上子1は、自己診断回路4を有している。
【0018】
自己診断回路4は、ATS地上子1の列車進行現示時および列車停止現示時において、地上子1に内蔵された共振回路の共振周波数やQ値を監視し、共振周波数が変動し、あるいはQ値が予め定められた基準値を下回ったときに、故障情報として地上子1の故障検知信号を出力するものであり、掃引周波数発振部5と、故障検知部6とからなるものである。
【0019】
掃引周波数発振部5は、地上子共振回路の共振周波数を含む掃引周波数を繰返し、地上子1に印加するものである。地上子1は、掃引周波数発振部5が発した掃引周波数と、地上子1の共振周波数との一致信号を故障検知部6に出力する。故障検知部6は、地上子1から出力された掃引周波数と、地上子の共振周波数との一致信号の電圧レベル値を下限限界値として予め定められた基準値(例えば85以下)を示す基準電圧と比較し、一致信号の電圧レベルが基準電圧を下回ったときに地上子1の故障情報を出力するものである。
【0020】
図2に本発明による自己診断機能付地上子の基本構成を示す。図2において、本発明に適用するATS地上子1は、図7に示したATS地上子と同じである。すなわち、同調コイルL1,2と、コンデンサC1とによって構成される第1の共振回路2と、同調コイルL1,2と、コンデンサC1,C2とによって構成される第2の共振回路3とを有し、第1の共振回路2と、第2の共振回路3とは、地上子制御リレーQRの扛上接点QRUによって切替えられ、接点QRUが落下のときには、第1の共振回路2が構成されて123kHzに共振し、接点QRUが扛上のときには、第2の共振回路3が構成されて103kHzに共振する。以下の説明において、地上子制御リレーQRの扛上接点をQR1U、落下接点をQR1Dとして区別する。
【0021】
第1の共振回路2は、地上信号機の停止(赤)現示に連動し、第2の共振回路3は、地上信号機の進行(青)現示に連動している。したがって、123kHzの第1の共振回路2が構成された地上子1上を列車が通過すると、車上装置がブレーキを動作させて列車を停止させるが、103kHzの第2の共振回路3が構成された地上子1上を列車が通過しても列車の車上装置はなんの動作も行なわない。
【0022】
本発明においては、第1の共振回路2と、第2の共振回路3とが正規の共振回路であり、地上子内には、正規の共振回路2,3のほかに非常用として第3の共振回路20が内蔵され、第3の共振回路20の同調コイルL3は、図3(a)、(b)に示すように正規の共振回路の同調コイルL1,2が巻かれた巻枠23にバイファイラ巻きされている。
【0023】
第3の共振回路20の同調コイルL3は、123kHzに共振し、列車絶対停止指令を発して地上信号機に停止(赤)現示させるものである。正規の共振回路2,3の出力側には、自己診断回路4が結線され、自己診断回路4の出力指令を受けて動作する故障検知出力リレーFIRの落下接点(FIR1)が第3の共振回路20に結線され、集中監視室につながる監視回路21には、故障検知出力リレーFIRの落下接点(FIR2)が接続されている。
【0024】
図4において、掃引周波数発振部5は、掃引発振器7と、電圧制御発振器8とからなっている。
【0025】
図5において、掃引発振器7は、三角波の掃引パルスP1を発振させるものであり、この例では+7.9Vと+4.3Vの帯域幅内で、700msの周期で連続的に反復変化する掃引パルスP1を発振させる例を示している。電圧制御発振器8は、掃引発振器7から発信された掃引波に制御されて+7.9Vと+4.3Vの帯域幅内で、700msの周期で、80kHz〜150kHz間で連続的に反復変化する掃引周波数の信号P2を発振し、その掃引周波数の信号P2を地上子1の共振回路に供給するものである。
【0026】
この例では、設定した発振周波数の帯域幅80kHz〜150kHzは、地上子1の共振周波数である123kHz及び103kHzを含む範囲に設定されたものである。本発明において、地上子1の共振回路2または3からは、電圧制御発振器8から供給された掃引周波数の信号P2と、地上子1の第1の共振回路2の共振周波数123kHzまたは第2の共振回路3の共振周波数103kHzとの一致信号が故障検知部6に出力される。
【0027】
故障検知部6は、コンパレータ9と、故障検知出力回路10とを有している。掃引周波数の信号と、地上子1の共振周波数の信号である第1の共振回路2の共振周波数123kHzまたは第2の共振回路3の共振周波数103kHzとの一致信号P3は、まず、増幅器11で増幅され、次に電圧レベル変換器12にて電圧信号に変換され、地上子制御リレーQRの接点(扛上接点QR1U又は落下接点QR1D)の切り換えによってコンパレータ9に入力され、個別に予め定められた基準値と比較される。
【0028】
増幅器11は、地上子共振回路の共振周波数を選択増幅するものである。したがって、この実施形態においては、第1の共振回路2の共振周波数123kHzまたは第2の共振回路3の共振周波数103kHzを選択的に増幅する。この結果、掃引周波数の信号と、地上子1の共振周波数の信号である第1の共振回路2の共振周波数123kHzまたは第2の共振回路3の共振周波数103kHzとの一致信号P3が選択的に増幅され、選択増幅された掃引周波数の信号と、地上子の共振周波数との一致信号は、電圧信号に変換されてコンパレータ9に入力される。
【0029】
コンパレータ9は、地上子1の第1の共振回路2の共振周波数の電圧レベルと、基準電圧とを比較する第1のコンパレータ9Aと、第2の共振回路3の共振周波数の電圧レベルと予め定められた基準電圧とを比較する第2のコンパレータ9Bとからなり、一致信号P3は、地上子制御リレーQRの扛上接点QR1Uを通じて第1のコンパレータ9Aに入力され、第2のコンパレータ9Bには、地上子制御リレーQRの落下接点QR1Dを通じて入力される。
【0030】
基準電圧は、下限限界値として予め定められた基準値を決定する電圧であり、各コンパレータ9A,9Bにおいて、一致信号は、基準電圧と比較され、一致信号の電圧値が基準電圧を上回ったときに、正常検知信号として出力され、OR回路13からさらに、モノマルチバイブレータ14を通して故障検知出力回路10に入力される。コンパレータ9に入力される一致信号P3は、図5に示すように例えば700msの間に、共振周波数の電圧レベルに比例した大きさの2個のパルスを含むパルス信号である。
【0031】
この一致信号P3の電圧レベルが基準電圧以上のときには、コンパレータ9から信号が出力されるが、コンパレータ9に入力された一致信号の電圧レベルが基準電圧以下のときには、コンパレータ9からは信号が出力されない。
【0032】
コンパレータ9から出力された一致信号P3(パルス信号)は、モノマルチバイブレータ14に入力され、モノマルチバイブレータ14は、コンパレータ9から出力されるパルス信号を矩形波に変換し、その矩形波を正常検知信号P4として故障検知出力回路10に入力する。
【0033】
故障検知出力回路10に正常検知信号が入力されないときには、共振回路の共振周波数が変動したか、或いは、地上子の共振周波数のQ値が基準値を下回ったかのいずれかであり、故障検知出力回路10は、地上子1の機能が低下したものと判断し、地上子1の第1の共振回路2または第2の共振回路3の何れの共振回路の機能が低下したかを特定して地上子の故障検知信号を出力する(出力信号が「0」になる)。
【0034】
すなわち、自己診断回路4が地上子の故障を検知すると、出力が「0」となり、故障検知出力リレーが消磁してその接点FIRUを落下させ、正規の共振回路を開放すると同時に接点FIRDの落下によって非常用である第3の共振回路20を構成し、列車絶対停止信号を発信して地上信号機に停止(赤)を現示させる。
【0035】
また、集中監視回路21には、故障検知出力リレーFIRの扛上接点FIRUが接続されており、その接点FIRUの落下によって、集中監視室には、地上信号機の異常が報知される。なお、図2中、IRは、自己診断回路のイニシャルリセットリレーである。
【0036】
正規の共振回路2,3には、イニシャルリセットリレーIRの扛上接点IRUが故障検知リレーFIRの扛上接点FIRUと並列に結線され、非常用の第3の共振回路29にはその落下接点FIRDが接続されている。地上信号機に発生した異常事態が解消された後、地上子制御リレーの電源を再投入すると、回路の容量C、抵抗Rによって定められる時定数による一定時間経過後、イニシャルリセットリレーIRが動作し、非常用の第3の共振回路20を開放し、正規の共振回路2,3を構成して地上子の機能を復旧させる。
【0037】
本発明において、自己診断回路4の電源には、既存の地上子制御リレーQRの電源回路15を利用する。もっとも、図7に示すように、地上子1においては、地上子制御リレーQRの電源回路15には、電源リレーの接点HR1Uが介装され、電源リレーの接点HR1Uを扛上させて地上子制御リレーQRに電源を供給するようになっている。
【0038】
したがって、電源リレーの接点HR1Uが落下したときには、地上子制御リレーQRの電源回路15が遮断されるため、このままでは地上子制御リレーQRの電源回路15を利用して自己診断回路4に電源を供給できない。
【0039】
このため、本発明においては、電源リレーの接点の扛上、落下の何れにおいても自己診断回路4への電源供給が可能な回路構成を用いている。図6において、ブリッジダイオード16を有する自己診断回路4の電源回路24に、正方向電流を検知して動作する有極リレーQRPRを付設し、地上子制御リレーの電源回路15に有極リレーQRPRの励磁によって構成する接点(扛上接点QRPR)と、ディレー回路22とを結線している。
【0040】
また、電源回路の正端子B24側配線と、負端子C24側配線にそれぞれ電源リレーの接点(第1接点HR1、第2接点HR2)が接続され、電源リレーの第1接点HR1の扛上接点HR1Uが電源の正端子B24に接続され、第2接点HR2の扛上接点HR2Uが電源の負端子C24に接続されている。
【0041】
さらに電源リレーの第1接点HR1の落下接点HR1Dを電源の負端子C24に接続し、第2接点HR2の落下接点HR2Dを電源の正端子B24に接続している。
【0042】
したがって、電源リレーを動作させたときには、その第1接点HR1および第2接点HR2の扛上接点HR1U、HR2Uによって地上子制御リレーQR及び自己診断回路4の電源回路24が構成され、同時に有極リレーQRPRが動作し、その接点QRPRDが扛上し、ディレー回路22に通電され、予め定められた一定時間(例えば0.5秒)経過後も通電状態が保持されているときには、地上子制御リレーQRが動作する。
【0043】
逆に電源リレーを遮断したときには、電源リレーの第1接点HR1および第2接点HR2の落下接点HR1D、HR2Dによって自己診断回路4の電源回路24が構成されるが、有極リレーQRPRは動作しないため、地上子制御リレーQRには電源は供給されない。
【0044】
本発明において、有極リレーを用いたのは、地上子制御リレーQRへの逆方向電流を阻止するために例えばダイオードを使用したときに生ずる問題点を解消するためである。
【0045】
すなわち、地上子制御リレーQRへの逆方向電流を阻止するために例えばダイオードを使用したときには、ダイオードが故障のときに、逆方向電流の入力で地上子制御リレーが動作してその接点が扛上し、信号が進行現示(フェールアウト)になるという問題が生ずるが、本発明においては、有極リレーQRPRを使用し、その接点が一定時間異常継続したときに扛上しているときにはじめて地上子制御リレーQRを動作させるため、フェールアウトがなく、また、地上子上を走行する列車の振動によって、たとえ、有極リレーQRPRが誤動作したとしてもその影響を受けることがない。
【0046】
また、本発明において、掃引周波数発振部5と、地上子共振回路2または3との間の配線にコンデンサ18を介在させて両者を高インピーダンスで結合させている。自己診断回路4への供給電圧は非常に微弱であり、地上子1の共振時以外は、5mVP−P以下であるが、万一自己診断回路4に不具合が生じても掃引周波数発振部5と、地上子共振回路2または3との間の配線が高インピーダンスで結合されているため、自己診断回路4の不具合が地上子1の機能に影響を与えることがない。
【0047】
以上実施形態では、地上信号機の停止現示に連動した第1の共振回路と、地上信号機の進行現示に連動した第2の共振回路とを有するATS地上子に適用した例を説明したが、他の目的に使用される1以上の共振回路を備えた地上子についても全く同様に適用することができる。
- 【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】自己診断回路の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態の構成を示す図である。
【図3】(a)は、バイファイラ巻きの例を示す図、(b)は、(a)のA−A線断面拡大図である。
【図4】自己診断回路の構成を示す図である。
【図5】各部の信号の波形図である。
【図6】自己診断回路の電源回路を示す図である。
【図7】車上子と地上子との構成を示す図である。
- 【公開番号】特開2005−170271(P2005−170271A)
【公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【発明の名称】自己診断機能付地上子
- 【出願番号】特願2003−414769(P2003−414769)
【出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
- 【代理人】
【識別番号】100075306
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 中
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