旋回テーブル装置
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- 【要約】
【課題】グリース等の潤滑剤を使用しないで、回動するテーブルを円滑に支持できる旋回テーブル装置を提供することである。
【解決手段】テーブル部1aの下側の軸部1bに歯切りしたピニオン2と、リニアソレノイド3で直線駆動されるラック4との噛み合いで回動されるテーブル1のラジアル方向を、樹脂皮膜9aが形成されたすべり軸受9で支持部材5に支持するとともに、テーブル1のアキシアル方向を、支持部材5とテーブル部1a下面との間で軸部1bの周りに配列した、表面が樹脂で形成された複数のボール7で支持することにより、グリース等の潤滑剤を使用しないで、テーブル1を円滑に支持できるようにした。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータで垂直軸の回りに回動されるテーブルを、下側で支持部材に支持する旋回テーブル装置において、前記テーブルの下側に軸部を設けて、この軸部のラジアル方向を少なくともすべり面が樹脂で形成されたすべり軸受で支持し、前記支持部材とテーブル下面との間で、少なくとも表面が樹脂で形成された複数のボールを前記軸部の周りに配列して、前記テーブルのアキシアル方向をこれらの複数のボールで支持するようにしたことを特徴とする旋回テーブル装置。
【請求項2】
前記支持部材を薄板のプレス成形品とし、この支持部材に、前記複数のボールを配列する環状溝をプレス成形で形成した請求項1に記載の旋回テーブル装置。
【請求項3】
アクチュエータで垂直軸の回りに回動されるテーブルを、下側で支持部材に支持する旋回テーブル装置において、前記テーブルの下側に軸部を設けて、この軸部のラジアル方向を少なくともすべり面が樹脂で形成されたすべり軸受で支持し、前記支持部材とテーブル下面との間で、少なくとも摺動面が樹脂で形成されたスラストワッシャを前記軸部の周りに嵌挿して、前記テーブルのアキシアル方向をこのスラストワッシャで支持するようにしたことを特徴とする旋回テーブル装置。
【請求項4】
前記支持部材を薄板のプレス成形品とし、この支持部材に、前記スラストワッシャを嵌めこむ環状溝をプレス成形で形成した請求項3に記載の旋回テーブル装置。
【請求項5】
前記すべり軸受のすべり面を形成する樹脂、および、前記ボールの表面または前記スラストワッシャの摺動面を形成する樹脂が、耐熱樹脂である請求項1乃至4のいずれかに記載の旋回テーブル装置。
【請求項6】
前記テーブルの軸部を、前記支持部材に抜け止めする手段を設けた請求項1乃至5のいずれかに記載の旋回テーブル装置。
【請求項7】
前記アクチュエータを水平方向に直線駆動するものとし、このアクチュエータの直線運動を、ラックとピニオンの噛み合いで、前記テーブルの回動運動に変換するようにした請求項1乃至6のいずれかに記載の旋回テーブル装置。
【請求項8】
前記ピニオンを、前記テーブルの軸部の外周に形成した請求項7に記載の旋回テーブル装置。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テーブル上に搭載された物体を回転位置決めする旋回テーブル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータで垂直軸の回りに回動されるテーブルを、下側で支持部材に支持する旋回テーブル装置は、ロボット、半導体製造装置、精密機械、工作機械等の各種機械装置に適用され、テーブル上に搭載されたワーク等の物体の回転位置決めに使用されている。この種の旋回テーブル装置では、回動されるテーブルの支持部材への支持に転がり軸受が用いられ、特に、1つの軸受でラジアル荷重とアキシアル荷重を受けることができるクロスローラ軸受が多く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−341076号公報(第3頁、第8図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の旋回テーブル装置に用いられるクロスローラ軸受等の転がり軸受は、軌道輪と転動体間の潤滑をするために、グリース等の潤滑剤を必要とする。しかしながら、旋回テーブル装置が適用される機械装置によっては、グリース等の潤滑剤の僅かな飛散や、温度上昇によるその蒸気の発生を嫌う使用環境等のために、これらの潤滑剤を使用できない場合がある。
【0005】
そこで、この発明の課題は、グリース等の潤滑剤を使用しないで、回動するテーブルを円滑に支持できる旋回テーブル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明は、アクチュエータで垂直軸の回りに回動されるテーブルを、下側で支持部材に支持する旋回テーブル装置において、前記テーブルの下側に軸部を設けて、この軸部のラジアル方向を少なくともすべり面が樹脂で形成されたすべり軸受で支持し、前記支持部材とテーブル下面との間で、少なくとも表面が樹脂で形成された複数のボールを前記軸部の周りに配列して、前記テーブルのアキシアル方向をこれらの複数のボールで支持する構成を採用した。
【0007】
すなわち、テーブルのラジアル方向を、その下側の軸部に摺接され、少なくともすべり面が樹脂で形成されたすべり軸受で支持するとともに、テーブルのアキシアル方向を、支持部材とテーブル下面との間で軸部の周りに配列した、少なくとも表面が樹脂で形成された複数のボールで支持することにより、グリース等の潤滑剤を使用しないで、回動するテーブルを円滑に支持できるようにした。
【0008】
前記支持部材を薄板のプレス成形品とし、この支持部材に、前記複数のボールを配列する環状溝をプレス成形で形成することにより、支持部材を安価に製造することができる。
【0009】
また、この発明は、アクチュエータで垂直軸の回りに回動されるテーブルを、下側で支持部材に支持する旋回テーブル装置において、前記テーブルの下側に軸部を設けて、この軸部のラジアル方向を少なくともすべり面が樹脂で形成されたすべり軸受で支持し、前記支持部材とテーブル下面との間で、少なくとも摺動面が樹脂で形成されたスラストワッシャを前記軸部の周りに嵌挿して、前記テーブルのアキシアル方向をこのスラストワッシャで支持する構成も採用した。
【0010】
すなわち、テーブルのラジアル方向を、その下側の軸部に摺接され、少なくともすべり面が樹脂で形成されたすべり軸受で支持するとともに、テーブルのアキシアル方向を、支持部材とテーブル下面との間で軸部の周りに嵌挿した、少なくとも摺動面が樹脂で形成されたスラストワッシャで支持することにより、グリース等の潤滑剤を使用しないで、回動するテーブルを円滑に支持できるようにした。
【0011】
前記支持部材を薄板のプレス成形品とし、この支持部材に、前記スラストワッシャを嵌めこむ環状溝をプレス成形で形成することにより、支持部材を安価に製造することができる。
【0012】
前記すべり軸受のすべり面を形成する樹脂、および、前記ボールの表面または前記スラストワッシャの摺動面を形成する樹脂を耐熱樹脂とすることにより、温度上昇のある使用環境にも旋回テーブル装置を適用することができる。耐熱樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、PTFE等のフッ素樹脂等を用いることができる。
【0013】
上記耐熱樹脂は、固体潤滑剤や補強材を適宜配合した樹脂組成物であることが望ましく、例えばPTFE、グラファイト、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤を15〜40質量%、およびガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ等の鉱物繊維等の補強材を3〜30質量%程度を配合した耐熱樹脂組成物であることが好ましい。固体潤滑剤は耐熱樹脂の摩擦係数を効果的に低くして、テーブルをスムーズに回動させる。また、補強材は荷重によるクリープ変形を防止する。
【0014】
前記テーブルの軸部を、前記支持部材に抜け止めする手段を設けることにより、大きな振動等によるテーブルの抜け落ちを防止することができる。
【0015】
前記アクチュエータを水平方向に直線駆動するものとし、このアクチュエータの直線運動を、ラックとピニオンの噛み合いで、前記テーブルの回動運動に変換するものとすることにより、旋回テーブル装置を高さ寸法がコンパクトなものとすることができる。
【0016】
前記ピニオンを、前記テーブルの軸部の外周に形成することにより、部品点数を減らすことができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明の旋回テーブル装置は、回動するテーブルのラジアル方向を、その下側の軸部に摺接され、少なくともすべり面が樹脂で形成されたすべり軸受で支持するとともに、テーブルのアキシアル方向を、支持部材とテーブル下面との間で軸部の周りに配列した、少なくとも表面が樹脂で形成された複数のボール、または、支持部材とテーブル下面との間で軸部の周りに嵌挿した、少なくとも摺動面が樹脂で形成されたスラストワッシャで支持するようにしたので、グリース等の潤滑剤を使用しないで、回動するテーブルを円滑に支持できる。
【0018】
前記支持部材を薄板のプレス成形品とし、この支持部材に、複数のボールまたはスラストワッシャを配置する環状溝をプレス成形で形成することにより、支持部材を安価に製造することができる。
【0019】
前記すべり軸受のすべり面を形成する樹脂、および、ボールの表面またはスラストワッシャの摺動面を形成する樹脂を耐熱樹脂とすることにより、温度上昇のある使用環境にも旋回テーブル装置を適用することができる。
【0020】
前記テーブルの軸部を、支持部材に抜け止めする手段を設けることにより、大きな振動等によるテーブルの抜け落ちを防止することができる。
【0021】
前記アクチュエータを水平方向に直線駆動するものとし、このアクチュエータの直線運動を、ラックとピニオンの噛み合いで、テーブルの回動運動に変換するものとすることにより、旋回テーブル装置を高さ寸法がコンパクトなものとすることができる。
【0022】
前記ピニオンを、テーブルの軸部の外周に形成することにより、部品点数を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図1乃至図6に基づき、この発明の実施形態を説明する。図1および図2は、第1の実施形態を示す。この旋回テーブル装置は、図1に示すように、薄鋼鈑のプレス成形品であるテーブル1が、テーブル部1aの下側に形成された軸部1bの外周にピニオン2を歯切りされており、アクチュエータとしてのリニアソレノイド3で水平方向に直線駆動されるラック4とピニオン2の噛み合いで、同じく薄鋼鈑のプレス成形品である支持部材5に支持されたテーブル1が、両方向に回動されるようになっている。
【0024】
前記支持部材5は、テーブル1の軸部1bが通される孔の周りに環状溝6が形成され、この環状溝6にアキシアル方向を支持する複数のボール7が配列されている。各ボール7は耐熱樹脂であるPPS(PTFE20質量%、グラファイト10質量%を含む)で形成され、環状溝6の底とテーブル部1aの下面には、ボール7の転走面8a、8bが凹状に形成されている。図2(a)に示すように、ボール7は総ボール状態で環状溝6内に配列されている。
【0025】
前記支持部材5の環状溝6の内周縦壁部の内周側には、テーブル1の軸部1bをラジアル方向に支持するリング状のすべり軸受9が圧入されている。このすべり軸受9は、鋼製リングの内周面に耐熱樹脂であるフッ素樹脂(PTFEに炭素繊維5質量%、無機化合物の粉末5質量%を含む)の被膜9aを形成してすべり面としたものである。
【0026】
また、前記テーブル1の軸部1bの外周には、支持部材5を環状溝6の底で上方へ押さえて抜け止めする環状の押さえ板10が圧入されている。なお、環状溝6の底面との間にすべりを生じる押さえ板10の上面には、PTFE等のフッ素樹脂の皮膜10aが形成されている。
【0027】
図2(b)は、前記ボール7の配列方法の変形例を示す。この変形例では、複数のボール7がリテーナ11で間隔を開けて環状溝6内に配列されている。
【0028】
図3および図4は、第2の実施形態を示す。この旋回テーブル装置は基本的な構成は第1の実施形態のものと同じであり、図3に示すように、テーブル1のアキシアル方向の支持形態のみが異なる。この実施形態では、プレス成形で形成された支持部材5の環状溝6に、テーブル部1aの下面と摺接するスラストワッシャ12がはめ込まれている。このスラストワッシャ12は耐熱樹脂であるPPSで形成されており、図4(a)、(b)に示すように、下面側が台形状に形成され、上面は平坦に形成されて、全面でテーブル部1aの下面と摺接するようになっている。
【0029】
前記支持部材5の環状溝6の内周縦壁部の内周側には、テーブル1の軸部1bをラジアル方向に支持するリング状のすべり軸受9が圧入されている。このすべり軸受9は、鋼製リングの内周面に耐熱樹脂であるフッ素樹脂の被膜9aを形成してすべり面としたものである。なお、このリング状のすべり軸受9は、スラストワッシャ12と一体化したものでもよい。
【0030】
図5および図6は、前記スラストワッシャ12の変形例である。図5(a)、(b)に示す変形例は、上面に120°の位相で、テーブル部1aの下面と摺接する凸段差12aを設け、テーブル1の摺動抵抗を低減する工夫をしたものである。図6(a)、(b)に示す変形例は、さらに、各凸段差12aの摺接面に、テーブル1との摺動で生じる摩耗粉を入れ込む溝12bを設け、摩耗粉の他部への分散を防止する工夫をしたものである。
【0031】
上述した実施形態では、ボールやスラストワッシャの全体を樹脂で形成したが、ボールの表面やスラストワッシャの摺動面のみを樹脂で形成してもよい。逆に、すべり軸受については全体を樹脂で形成してもよい。これらのすべり軸受、ボールおよびスラストワッシャ用の樹脂としては、PTFE等のフッ素樹脂やPPSのほかに、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等を用いることもできる。
【0032】
また、テーブルと支持部材は、実施形態のような薄板のプレス成形品に限定されることはなく、切削加工や鍛造等で形成したものとしてもよい。さらに、テーブルを回動させるアクチュエータも、実施形態のリニアソレノイドに限定されることはなく、他の直動アクチュエータや、サーボモータ、ステッピングモータ等の回転アクチュエータを用いることもできる。
- 【公開番号】特開2005−69871(P2005−69871A)
【公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【発明の名称】旋回テーブル装置
【発明者】
【氏名】清水 隆弘
【氏名】伊藤 紀男
- 【出願番号】特願2003−300093(P2003−300093)
【出願日】平成15年8月25日(2003.8.25)
【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
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