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木造建築物に用いる制振構造物
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- 【要約】
【課題】木造建築物にも適用でき、小さな面積でも設置可能であり、錘等を必要としない木造建築物に用いる制振構造物を提供すること。
【解決手段】木造建築物の内部に剛性体1を設け、剛性体1の頂部は木造構造物の頂部に支持されると共に、剛性体1の底部は可動支承2を介して基礎4の上面に支持され、また、剛性体1の底部の側部と基礎4の側部との間にはダンパー3が配設されている。剛性体1は、木造構造物の固有揺動周期とは異なる固有揺動周期を有し、ダンパー3により、剛性体1が地震により揺動した際に、剛性体1が木造構造物と衝突するのを防止すると共に、剛性体1の揺動を減衰させる。剛性体1の内部は収容空間となっており、複数の補強板10により仕切られており、収容庫として利用できるように剛性体1には扉が設けられている。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎と、当該基礎の上部に設けられた複数階の木造構造物とを有する木造建築物に用いる制振構造物であって、
内部を収容空間とするために箱体として構成されると共に、頂部と底部とを有する剛性体と、
前記剛性体の前記底部の側部と、前記基礎の側部との間に配設されているダンパーと、
前記剛性体の前記底部の底面に配設されている可動支承とを有し、
前記剛性体は、前記木造建築物の複数階を貫通して配設されると共に、前記木造建築物に対して揺動可能となるように、前記剛性体の前記頂部において前記木造構造物の頂部に支持され、
前記剛性体の底部は、前記基礎の上面に前記可動支承を介して揺動可能に支持されており、
前記ダンパーは、前記剛性体が地震により揺動した際に、前記剛性体が木造構造物と衝突するのを防止すると共に、前記剛性体の揺動を減衰させることを特徴とする木造建築物に用いる制振構造物。
【請求項2】
前記剛性体は、正方形の水平断面形状を有すると共に、前記木造建築物の前記基礎から前記木造建築物の屋根まで延びる壁で囲まれた正方形の水平断面形状を有する空間内に設置されている請求項1記載の木造建築物に用いる制振構造物。
【請求項3】
前記剛性体には、前記剛性体の前記頂部を支点として全方向に揺動可能となるように、前記剛性体の前記頂部の中心位置に鋳鉄製の球座を有するジョイント部が設けられている請求項1記載の木造建築物に用いる制振構造物。
【請求項4】
前記剛性体は、前記収容空間内に複数の収納スペースを形成するために、前記剛性体の内部において間隔を隔てて水平に配設されている1以上の補強板を有すると共に、扉を有し、収容庫として利用可能である請求項1記載の木造建築物に用いる制振構造物。
【請求項5】
前記剛性体は、前記収容空間内に回転式の複数の収納ラックを有し、前記複数階の各階において前記収納ラックのそれぞれから被収容物を取り出すことができるように、前記複数の収容ラックはチェーン駆動により上下方向に移動するように支持されている請求項1記載の木造建築物に用いる制振構造物。
【請求項6】
基礎と、当該基礎の上部に設けられた複数階の木造構造物とを有する木造建築物に用いる制振構造物であって、
内部を収容空間とするために箱体として構成されると共に、頂部と底部とを有する剛性体と、
前記剛性体の前記底部の側部と、前記基礎の側部との間に配設されているダンパーと、
前記剛性体の前記底部の底面に配設されている可動支承とを有し、
前記剛性体は、前記木造建築物の複数階を貫通して配設されると共に、前記木造建築物に対して揺動可能となるように、前記剛性体の前記頂部において前記木造構造物の頂部に支持されると共に、最上階の床にも固定され、
前記剛性体の底部は、前記基礎の上面に前記可動支承を介して揺動可能に支持されており、
前記ダンパーは、前記剛性体が地震により揺動した際に、前記剛性体が木造構造物と衝突するのを防止すると共に、前記剛性体の揺動を減衰させることを特徴とする木造建築物に用いる制振構造物。
【請求項7】
基礎と、当該基礎の上部に設けられた複数階の木造構造物とを有する木造建築物に用いる制振構造物であって、
内部を収容空間とするために箱体として構成され、頂部と底部とを有すると共に、前記複数階毎に設けられた複数の剛性体と、
前記複数の剛性体は、正方形の水平断面形状を有すると共に、前記木造建築物の前記基礎から前記木造建築物の屋根まで延びる壁で囲まれた正方形の水平断面形状を有する空間内に設置されており、
前記各剛性体の前記底部の側部と、前記各剛性体が設けられている各階の床側の前記壁面との間に配設されているダンパーと、
前記各剛性体の前記底部の底面に配設されている可動支承とを有し、
前記複数の剛性体は、前記木造建築物に対して揺動可能となるように、前記剛性体のそれぞれの前記頂部において前記各剛性体が設けられている上階の床に支持され、
前記剛性体のそれぞれの底部は、前記各剛性体が設けられている各階の床面に前記可動支承を介して揺動可能に支持されており、
前記ダンパーは、前記剛性体が地震により揺動した際に、前記剛性体が木造構造物と衝突するのを防止すると共に、前記剛性体の揺動を減衰させることを特徴とする木造建築物に用いる制振構造物。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築物に用いる制振構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の耐震性を向上させるために免震装置を設置し、建築物の固有振動周期を長周期化して建物に作用する地震力を低減させることがおこなわれている。また、動的に地震による建築物の揺動や振動を抑制するものとしては、建築物の揺動方向を検知し、揺動方向と逆の力を建物に与え、地震による影響を減少させる制振装置が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の制振装置は、一般に鉄筋又は鉄骨コンクリート造りの建築物や、鉄骨構造の建築物に用いられる。これは、地震により揺動する非常に重い錘等の応力を受け止めるため建築物自体にある程度の剛性を必要とするためである。従って、建築物自体の高い剛性を確保できない在来の軸組構造やツーバイフォー工法等による木造建築物へ、上記のような制振装置を適用することは困難であるという問題がある。
【0004】
また、建築物に制振装置を設置すると、制振装置がかなりの空間を占有し、居住空間を狭めてしまうという問題がある。
【0005】
さらに、上記の制振装置では、当該装置を構成する錘等の垂直加重が建築物自体に加わるため、建築物の構造を強化しなければならない。しかし、木造建築物において、そのような構造の強化を行うことは建築コストの上昇を招くという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、木造建築物にも適用でき、小さな面積でも設置可能であり、重い錘等を必要としない木造建築物に用いる制振構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る木造建築物に用いる制振構造物は、基礎と、当該基礎の上部に設けられた複数階の木造構造物とを有する木造建築物に用いる制振構造物であって、内部を収容空間とするために箱体として構成されると共に、頂部と底部とを有する剛性体と、前記剛性体の前記底部の側部と、前記基礎の側部との間に配設されているダンパーと、前記剛性体の前記底部の底面に配設されている可動支承とを有し、前記剛性体は、前記木造建築物の複数階を貫通して配設されると共に、前記木造建築物に対して揺動可能となるように、前記剛性体の前記頂部において前記木造構造物の頂部に支持され、前記剛性体の底部は、前記基礎の上面に前記可動支承により揺動可能に支持されており、前記ダンパーは、前記剛性体が地震により揺動した際に、前記剛性体が木造構造物と衝突するのを防止すると共に、前記剛性体の揺動を減衰させることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明に係る木造建築物に用いる制振構造物は、前記剛性体が、正方形の水平断面形状を有すると共に、前記木造建築物の前記基礎から前記木造建築物の屋根まで延びる壁で囲まれた正方形の水平断面形状を有する空間内に設置されていることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明に係る木造建築物に用いる制振構造物は、前記剛性体には、前記剛性体の前記頂部を支点として全方向に揺動可能となるように、前記剛性体の前記頂部の中心位置に鋳鉄製の球座を有するジョイント部が設けられていることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る木造建築物に用いる制振構造物は、前記剛性体が、前記収容空間内に複数の収納スペースを形成するために、前記剛性体の内部において間隔を隔てて水平に配設されている1以上の補強板を有すると共に、扉を有し、収容庫として利用可能であることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る木造建築物に用いる制振構造物は、前記剛性体が、前記収容空間内に回転式の複数の収納ラックを有し、前記複数階の各階において前記収納ラックのそれぞれから被収容物を取り出すことができるように、前記複数の収容ラックはチェーン駆動により上下方向に移動するように支持されていることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係る木造建築物に用いる制振構造物は、基礎と、当該基礎の上部に設けられた複数階の木造構造物とを有する木造建築物に用いる制振構造物であって、内部を収容空間とするために箱体として構成されると共に、頂部と底部とを有する剛性体と、前記剛性体の前記底部の側部と、前記基礎の側部との間に配設されているダンパーと、前記剛性体の前記底部の底面に配設されている可動支承とを有し、前記剛性体は、前記木造建築物の複数階を貫通して配設されると共に、前記木造建築物に対して揺動可能となるように、前記剛性体の前記頂部において前記木造構造物の最上階の床に支持され、前記剛性体の底部は、前記基礎の上面に前記可動支承を介して揺動可能に支持されており、前記ダンパーは、前記剛性体が地震により揺動した際に、前記剛性体が木造構造物と衝突するのを防止すると共に、前記剛性体の揺動を減衰させることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明に係る木造建築物に用いる制振構造物は、基礎と、当該基礎の上部に設けられた複数階の木造構造物とを有する木造建築物に用いる制振構造物であって、内部を収容空間とするために箱体として構成され、頂部と底部とを有すると共に、前記複数階毎に設けられた複数の剛性体と、前記複数の剛性体は、正方形の水平断面形状を有すると共に、前記木造建築物の前記基礎から前記木造建築物の屋根まで延びる壁で囲まれた正方形の水平断面形状を有する空間内に設置されており、前記各剛性体の前記底部の側部と、前記各剛性体が設けられている各階の床側の前記壁面との間に配設されているダンパーと、前記各剛性体の前記底部の底面に配設されている可動支承とを有し、前記複数の剛性体は、前記木造建築物に対して揺動可能となるように、前記剛性体のそれぞれの前記頂部において前記各剛性体が設けられている上階の床に支持され、前記剛性体のそれぞれの底部は、前記各剛性体が設けられている各階の床面に前記可動支承を介して揺動可能に支持されており、前記ダンパーは、前記剛性体が地震により揺動した際に、前記剛性体が木造構造物と衝突するのを防止すると共に、前記剛性体の揺動を減衰させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明は、剛性体の底部側部と基礎の側部との間に配設されているダンパーにより剛性体の揺動が減衰される。このため、木造建築物において最も剛性が高い基礎によって剛性体の揺動を受け止めることができる。従って、建築物自体の高い剛性を確保できない在来の軸組構造やツーバイフォー等による木造建築物にも制振構造物を適用することができる。また、剛性体の頂部は、剛性体の揺動の節に相当するため、当該頂部に加わる水平加重が少ない。また、剛性体は、その底部に設けられている可動支承により支持されているため、剛性体の垂直加重が木造建築物の木造構造物に直接加わらない。従って、木造建築物の構造の強化を最小限度のものにすることができる。さらに、剛性体の内部は収容空間となっているため、この収容空間に収容物を収納することにより、制振構造物として必要となる質量を剛性体の質量に加えて被収容物の質量によって確保することができる。従って、従来の制振装置が備えていた錘等を必要とせず、簡単な構造でかつ低コストで大きな制振効果を得ることができる。また、剛性体の内部を収容空間とすることにより、木造建築物に設けた制振構造物専用のスペースを有効に活用することができ、実質的に木造建築物に占める制振構造物専用の設置スペースを非常に小さいものにすることができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、剛性体が木造建築物の基礎から屋根まで延びる壁で囲まれた空間内に設置されている。この空間の壁により木造建築物の木造構造物部分が強化されると共に、地震により揺動する剛性体が木造建築物の木造構造物部分へ接触することが防止できる。
【0016】
請求項3記載の発明は、剛性体の頂部に球座を有するジョイント部が設けられているため、剛性体が木造建築物の頂部を支点として全方向に円滑に揺動することができる。従って、地震の様々な振動方向に対して適切な剛性体の揺動方向を確保することができ、制振性能を向上させることができる。
【0017】
請求項4記載の発明は、剛性体の内部に1以上の補強板を設けることにより、剛性体が補強されると共に、剛性体の収容空間内に複数の収納スペースが形成される。このため、剛性体の収容空間内に収納物を効率的に収容することが可能となり、この収容物により剛性体全体の重量を十分に確保することができる。また、剛性体に扉が設けられることにより、地震により剛性体が揺動した際にも被収容物が剛性体の収容空間内から飛び出すことが防止される。
【0018】
請求項5記載の発明は、剛性体の収容空間内に回転式の複数の収納ラックを設けることにより、収容効率を高めることができ、また、複数階の各階において全ての収納ラックから被収容物を取り出すことができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、剛性体の頂部が木造構造物の最上階の床にも固定されているため、制振性能を向上させることができる。
【0020】
請求項7記載の発明は、複数の剛性体が各階毎に設けられており、各剛性体は上階の床に支持され、その底部には各階の床側の側壁との間に設けたダンパーと、各階の床との間に設けた可動支承とが設けられている。これにより剛性体を分割して設けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の第1実施形態について、図1乃至図3を参照しつつ、詳細に説明する。本実施形態の木造建築物は、基礎4と基礎4の上部に設けられた3階建ての木造構造物を有し、ツーバイフォー工法によって建築された木造建築物である。木造構造物の平面は長方形であり、剛性体1は、図1に示す縦断面図において、木造建築物の中央に位置するように設置してある。なお、平面視した場合、図2の平面図に示すように、間取りの関係から木造建築物の中央よりずれた位置に設置してある。剛性体1は、木造建築物の基礎4から屋根まで延びる壁12で囲まれた正方形の水平断面形状を有する空間内に設置されている。
【0022】
剛性体1は、その内部を収容空間とするために鋼板を溶接して箱体としたものであり、間隔を隔てて複数の補強板10が水平に配設されている。この補強板10により、剛性体1を補強すると共に剛性体1の収容空間の仕切りとして機能し、剛性体1内部に複数のスペースを形成する(図1参照)。また、剛性体1には扉が設けられており、剛性体1の内部の収納空間に収納物を収納することができる。なお、本実施形態において、剛性体1の水平断面形状は矩形であるが、その形状は問わず、例えば、断面円形の鋼管などを使用してもよい。
【0023】
剛性体1の頂部11は、木造構造物の小屋部にボルトで固定されている。一方、剛性体1の底部には可動支承である滑り支承2が配設されており、剛性体1の底部は、基礎4の上面にこの滑り支承2を介して、フリーな状態になるように、揺動可能に支持されている。剛性体1は、図3に示すように頂部11を支点として、木造構造物に対して揺動可能である。なお、本実施形態においては、頂部11の固定手段としてボルトを用いているが、剛性体1の頂部11の中心位置に鋳鋼製の球座を有するジョイント部を設けることもできる。剛性体1は、このジョイント部により木造構造物に対して全方向に揺動可能に支持されることになる。
【0024】
剛性体1の揺動を減衰させるため、ダンパー3が剛性体1の底部の側部と基礎4の側部との間に配設されている。基礎4の側部とは、図1に示すように、剛性体1の底部の側部と対向する基礎4の立ち上げ部分の側部であり、この基礎4の立ち上げ部分は、上記壁12の直下に位置している。ダンパー3は油圧シリンダーの構造を有し、地震時に剛性体1の揺動を抑制し、木造構造物の揺動を効果的に減衰させる。なお、ダンパー3は、剛性体1の底部だけでなく、剛性体1の高さ方向に複数設置することもできる。この場合、剛性体1と、剛性体1が設置されている空間を区画する壁12との間にダンパー3を複数設け、地震時における耐性体1の揺動を複数のダンパー3で抑制して減衰させる。
【0025】
以下、本実施形態の作用効果を説明する。図3に示すように、地震時には、剛性体1の底部が滑り支承2を介して基礎4の上面に揺動可能に支持されているため、剛性体1の頂部11を支点として振り子のように木造構造物の固有揺動周期とは異なる周期で揺動し、木造構造物の揺動を抑制することができる。即ち、剛性体1の頂部11が木造構造物の構造部材に支持されており、剛性体1が揺動するように、剛性体1の底部は滑り支承2によってフリーな状態で移動可能となっている。このため、木造構造物と剛性体1の固有揺動周期を異ならせることにより、木造構造物に作用する地震力を減衰させることができる。
【0026】
地震力が木造建築物に作用して木造構造物が揺動すると、剛性体1もそれに伴って揺動を開始するが、剛性体1は木造構造物と異なる固有揺動周期を有しており、また、剛性体1の底部は、滑り支承2によりフリーな状態で基礎4の上面に支持されているため、木造構造物の揺動とは同調しない。そして、剛性体1は木造構造物の揺動方向とは逆方向に揺動し、結果的に木造構造物の揺動を抑制する。このため地震動に対して木造建築物の安全性が確保される。
【0027】
剛性体1は、鋼やコンクリート充填鋼管構造(CFT)などの剛性が大きく、ある程度の重量を有するものであることが好ましい。一方、剛性体1を比較的軽量な木製とすることも可能である。これは、剛性体1の内部が収納空間となっているため、剛性体1の質量と被収納物の質量により制振効果を発揮できるからである。また、剛性体1の木造建築物の平面視における設置位置は、木造建築物の幾何学的重心に配設するのが好ましい。しかし、このような設置場所に限定されるものでなく、木造建築物の設計プランや構造型式に応じて最適な位置に設置することも可能である。
【0028】
また、剛性体1は、基本的に基礎4または1階の床面から建物の頂部までの高さを有するものであるが、地下階がある場合は剛性体1を地下階にまで延ばしてもよく、また、地上面の床面までとしてもよい。さらに、建物の頂部から途中の階の床面までの長さとすることも可能である。この場合、剛性体1の固有揺動周期や重量及び木造構造物の固有揺動周期を考慮して剛性体1の長さを設定する。
【0029】
剛性体1を基礎4の上面または床面に設けた滑り支承やローラ支承の可動支承で支持することによって、剛性体1の底部をフリーとする。剛性体1の揺動幅が大きくなって剛性体1が建物本体に衝突するのを防止することができ、また、その揺動を速やかに減衰させるためにダンパー3が配設されている。なお、ダンパー3の代わりに移動拘束体を設置することも可能である。
【0030】
以下、本発明に係る第2実施形態について、図4を参照しつつ説明する。本実施形態は、上記第1実施形態と同様に、3階建ての木造建築物に用いる制振構造物である。上記第1実施形態と同様に、1階から3階までを貫通して連続する剛性体1の頂部11は、小屋部に固定してあるが、剛性体1は、3階の床13にも固定してある。このため、3階の制振性能を向上させることができる。
【0031】
以下、本発明に係る第3実施形態について、図5を参照しつつ説明する。本実施形態の剛性体1は、上記第1及び第2実施形態と異なり、1階から3階まで連続したものでなく、各階毎に独立した複数の剛性体1から構成されている。3階部分の剛性体1の頂部11は小屋部に固定してあり、その剛性体1の底部は3階の床に滑り支承2を介して支持され、またこの剛性体1の底部と3階の床側の壁面との間にダンパー3が配設されている。2階部分の剛性体1の底部は2階の床に固定してあり、その剛性体1の頂部はフリーな状態になっており、その剛性体1の頂部と2階の天井側の壁面との間にはダンパー3が配設されている。1階部分の剛性体1は、基礎4の上面に滑り支承2を介して揺動可能に支持され、その剛性体1の頂部は2階の床に固定されている。
【0032】
以下、本発明に係る第4実施形態について、図6を参照しつつ説明する。本実施形態は、上記第3実施形態と同様に、剛性体1を基礎4から木造構造物の屋根まで連続させず、各階毎に独立した複数の剛性体1を設けたものである。3階部分の剛性体1の頂部は小屋部に、2階部分の剛性体1は3階の床に、1階部分の剛性体1は2階の床に固定されている。また、各剛性体1の底部は滑り支承2を介して揺動可能に各階の床に支持されており、各剛性体1の底部と各階の床側の壁面との間にはダンパー3が配設されている。
【0033】
以下、本発明に係る第5実施形態について、図7を参照しつつ説明する。本実施形態剛性体1は、その内部の収容空間に回転式の収納ラック5を有し、チェーン駆動によって収納容器が上下に移動するものである。このため、木造構造物のどの階においても、全ての被収納物を必要に応じて取り出すことが可能である。
- 【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る木造建築物に用いる制振構造物を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す木造建築物に用いる制振構造物の配置を示す各階の平面図である。
【図3】図1に示す木造建築物に用いる制振構造物であって、地震時における剛性体1の揺動状態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る木造建築物に用いる制振構造物を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る木造建築物に用いる制振構造物を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る木造建築物に用いる制振構造物を示す縦断面図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る木造建築物に用いる制振構造物を示す縦断面図である。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
- 【公開番号】特開2006−177150(P2006−177150A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【発明の名称】木造建築物に用いる制振構造物
- 【出願番号】特願2005−380805(P2005−380805)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】
【識別番号】592040826
【氏名又は名称】住友不動産株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100100136
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 大
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