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スリットコイルの結束装置および結束方法
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- 【要約】
【課題】スリットコイルのバンド結束を効率的で迅速に実施することができるスリットコイルの結束装置および結束方法を提供する。
【解決手段】スリットコイルの結束装置100は、コイル片1a〜1fの中心空間1sに結束バンド13を挿入し、挿入された結束バンド13を、結束バンド引き出し・切断装置17を用いて、コイル片とコイル片の間隙から半径方向に沿って所定の位置まで引き出し、所定の位置まで引き出された結束バンド13をその位置で切断し、マジックハンド18を用いて、結束バンドの先端同士を結んで横バンド結束する。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリットされて分離され、幅方向に所定の間隔をおいて並べられた複数のコイル片に横バンド結束を行うためのスリットコイルの結束装置であって、前記複数のコイル片の中心空間に結束バンドを挿入する手段と、コイル片の中心空間に挿入された結束バンドを、スリット片とコイル片の間隙から半径方向に沿って所定の位置まで引き出す手段と、所定の位置まで引き出された結束バンドをその位置で切断する手段と、所定の位置で切断された結束バンドの先端同士を結んで横バンド結束する手段を備えたことを特徴とするスリットコイルの結束装置。
【請求項2】
スリットされた後のコイル片を分離し、幅方向に所定の間隔をおいて並べるために、架台と、架台に取り付けられ、分離前のスリットコイルを立てた状態で、その中心空間に挿入される台部材と、前記台部材上をその挿入方向に沿って移動可能に設けられ、分離前のスリットコイルを支持する複数の支持部材と、前記複数の支持部材のうち隣接するもの同士をこれらが分離した状態で拘束する拘束機構と、前記複数の支持部材における他との隣接部分の一部または全部が離隔するように、前記支持部材の少なくとも一つを駆動する駆動機構を具備していることを特徴とする請求項1に記載のスリットコイルの結束装置。
【請求項3】
スリットされて分離され、幅方向に所定の間隔をおいて並べられた複数のコイル片に横バンド結束を行うためのスリットコイルの結束方法であって、前記複数のコイル片の中心空間に結束バンドを挿入する工程と、コイル片の中心空間に挿入された結束バンドを、コイル片とコイル片の間隙から半径方向に沿って所定の位置まで引き出す工程と、所定の位置まで引き出された結束バンドをその位置で切断する工程と、所定の位置で切断された結束バンドの先端同士を結んで横バンド結束する工程を備えたことを特徴とするスリットコイルの結束方法。
【請求項4】
スリットされた後のコイル片を分離し、幅方向に所定の間隔をおいて並べるために、分離前のスリットコイルを立てた状態で、その中心空間に台部材を挿入する工程と、前記台部材上にその挿入方向に沿って移動可能にかつ隣接するもの同士が離隔した状態で拘束されるように設けられた複数の支持部材に前記分離前のスリットコイルを支持させる工程と、これら複数の支持部材の少なくとも一つを駆動して前記複数の支持部材における他との隣接部分の一部または全部を離隔させることにより、その上に支持されているスリットコイルを各コイル片に分離させる工程とを具備していることを特徴とする請求項3に記載のスリットコイルの結束方法。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼帯などの金属帯を巻回したコイルを幅方向に複数条に切断してなるスリットコイルを結束するスリットコイルの結束装置および結束方法に関する。
【背景技術】
【0002】
広幅の鋼帯などの金属帯コイルは、その後の製品に合わせて幅方向に複数条に切断(スリット)されて分離され、狭幅のスリットコイル(コイル片)とされる。その際に、スリットコイル(コイル片)は、ハンドリング過程で弛緩したり、巻きずれが生じたりして、コイルの損傷やハンドリング上の不都合を生じさせないため、スリットされた後、外周方向のバンド結束(縦バンド結束)および内周から外周に向けた半径方向のバンド結束(横バンド結束)によって固定される。
【0003】
そして、上記のようなバンド結束を行う際には、例えば、特許文献1に記載されたコイル結束装置が用いられてきた。
【特許文献1】特開昭56−13312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のコイル結束装置は、広幅コイルのバンド結束を行うことを念頭においたコイル結束装置であり、コイルを1個ずつバンド結束するようになっている。そのため、スリットされた後の狭幅のコイル片をバンド結束する場合でも、多数のコイル片を1条ずつハンドリングしてバンド結束することになり、作業効率が悪かった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、スリットコイル(コイル片)のバンド結束を効率的で迅速に実施することができるスリットコイルの結束装置および結束方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0007】
[1]スリットされて分離され、幅方向に所定の間隔をおいて並べられた複数のコイル片に横バンド結束を行うためのスリットコイルの結束装置であって、前記複数のコイル片の中心空間に結束バンドを挿入する手段と、コイル片の中心空間に挿入された結束バンドを、スリット片とコイル片の間隙から半径方向に沿って所定の位置まで引き出す手段と、所定の位置まで引き出された結束バンドをその位置で切断する手段と、所定の位置で切断された結束バンドの先端同士を結んで横バンド結束する手段を備えたことを特徴とするスリットコイルの結束装置。
【0008】
[2]スリットされたコイルを分離し、幅方向に所定の間隔をおいて並べるために、架台と、架台に取り付けられ、分離前のスリットコイルを立てた状態で、その中心空間に挿入される台部材と、前記台部材上をその挿入方向に沿って移動可能に設けられ、分離前のスリットコイルを支持する複数の支持部材と、前記複数の支持部材のうち隣接するもの同士をこれらが分離した状態で拘束する拘束機構と、前記複数の支持部材における他との隣接部分の一部または全部が離隔するように、前記支持部材の少なくとも一つを駆動する駆動機構を具備していることを特徴とする前記[1]に記載のスリットコイルの結束装置。
【0009】
[3]スリットされて分離され、幅方向に所定の間隔をおいて並べられた複数のコイル片に横バンド結束を行うためのスリットコイルの結束方法であって、前記複数のコイル片の中心空間に結束バンドを挿入する工程と、コイル片の中心空間に挿入された結束バンドを、コイル片とコイル片の間隙から半径方向に沿って所定の位置まで引き出す工程と、所定の位置まで引き出された結束バンドをその位置で切断する工程と、所定の位置で切断された結束バンドの先端同士を結んで横バンド結束する工程を備えたことを特徴とするスリットコイルの結束方法。
【0010】
[4]スリットされた後のコイル片を分離し、幅方向に所定の間隔をおいて並べるために、分離前のスリットコイルを立てた状態で、その中心空間に台部材を挿入する工程と、前記台部材上にその挿入方向に沿って移動可能にかつ隣接するもの同士が離隔した状態で拘束されるように設けられた複数の支持部材に前記分離前のスリットコイルを支持させる工程と、これら複数の支持部材の少なくとも一つを駆動して前記複数の支持部材における他との隣接部分の一部または全部を離隔させることにより、その上に支持されているスリットコイルを各コイル片に分離させる工程とを具備していることを特徴とする前記[3]に記載のスリットコイルの結束方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スリットコイルの横バンド結束を効率的で迅速に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係るスリットコイル結束装置を示す側面図、図2は図1のA−A矢視図、図3は図1の要部を示す斜視図である。このスリットコイル結束装置100は、スリットされて縦バンド結束されたスリットコイル1(コイル片1a〜1f)を幅方向に所定の間隔をおいて分離した後、それぞれのコイル片1a〜1fに横バンド結束を行うようになっており、以下のような構成をとっている。
【0014】
スリットコイル結束装置100は分離前のスリットコイル1を立てた状態で載置する載置台2を有している。載置台2には走行レール3が設けられており、この走行レール3上を本体4が走行するようになっている。この本体4には、本体4から突出して台部材5が油圧機構により昇降可能に取り付けられている。この台部材5は本体4が走行することによりスリットコイル1の中心空間1sに挿入される。
【0015】
台部材5の上面には、図3に示すように、その長手方向(挿入方向)に沿ってガイドレール6が設けられており、ガイドレール6上には6つの支持スライダー(支持部材)7a、7b、7c、7d、7e、7fが台部材5の長手方向に沿ってスライド可能に設けられている。支持スライダー7a〜7fはその隣接するもの同士がワイヤー8で繋がれており、支持スライダー7a〜7fはその隣接するもの同士が所定長離隔した段階でワイヤー8により互いに拘束されるようになっている。図示しているように、これら支持スライダー7a〜7fが一体的に配置され離隔していない初期状態ではワイヤー8はたるんだ状態となっている。支持スライダー7a〜7fの上面はスリットコイル1の中心空間1sの曲率に合わせた曲線になっている。
【0016】
先端に設けられた支持スライダー7aには水平方向に沿って延びるボールネジ9が螺合されている。台部材5にはボールネジ9を回転させるモータ10が取り付けられている。なお、他の支持スライダーは支持スライダー7aがモータ10のよって駆動されて先端方向に移動した際にボールネジ9が挿入可能な孔が形成されている。
【0017】
載置台2において、スリットコイル載置位置を挟んで本体4の反対側には、図1に示すように、本体4をスリットコイル1側へ移動させて台部材5をスリットコイル1の中心空間1sに挿入し、支持スライダー7a〜7fによりスリットコイル1を支持した際に、台部材5を支持する支持台11が設けられている。支持台11上部の受面11aは油圧機構により本体4側と同期して昇降できるようになっている。
【0018】
載置台2のスリットコイル載置位置には、1組の載置ロール12が設けられており、スリットコイル1を載置ロール12上に載置し、必要に応じて、スリットコイル1を回転させて周方向位置を変更できるようになっている。
【0019】
台部材5の本体4近傍の下面には、結束バンド13を収納したバンドリール14と、結束バンド13を把持するピンチロール15が取り付けられている。支持台11上部の受面11aの側面には、結束バンド13の先端を係止するピンチロール16が取り付けられている。バンドリール14から引き出された結束バンド13がピンチロール15を経由してコイル片1a〜1fの中心空間1sに挿入され、その先端がピンチロール16に係止される。なお、ピンチロール15とピンチロール16は同期して昇降できるようになっている。
【0020】
載置台2には、隣接するコイル片の隙間からコイルの半径方向に結束バンド13を所定の位置まで引き出すとともに、その位置で結束バンド13を切断する結束バンド引き出し・切断装置17と、所定の位置で切断された結束バンドについて、各コイル片1a〜1fを挟んで隣り合う先端同士を結んで横バンド結束を行うマジックハンド18が、台部材5の長手方向に沿ってスライド可能に設けられている。
【0021】
載置台2の上方には、台部材5の長手方向に沿って上部レール19が設置されており、上部レール19には、コイル片1a〜1fの間隔を測定するレーザー距離計20と、必要に応じてコイル片1a〜1fの間に挿入される複数の分割用アーム21が、スライド可能に取り付けられている。なお、レーザー距離計20に替えて、カメラ映像を画像処理することで、コイル片1a〜1fの間隔を測定するようにしてもよい。
【0022】
次に、このように構成されるスリットコイル結束装置100の基本動作について、図4のフローチャートと図5〜図16の動作図を参照して説明する。なお、図5〜図16においては、その動作に関係しない部分は省略して描いている。
【0023】
(工程1)まず、図5に示すように、縦バンドをかけた状態のスリットコイル1をクレーン等により載置台2の所定位置(載置ロール12上)に載置する。必要に応じて、載置ロール12を回転させて、横バンド結束する位置が下方になるように、スリットコイル1の周方向位置を変更する。
【0024】
(工程2)次に、図6に示すように、本体4を前進させて、台部材5をスリットコイル1の中心空間1sに挿入する。
【0025】
(工程3)次に、図7に示すように、本体4側および支持台11側の油圧機構により台部材5を上昇させ、スリットコイル1を支持スライダー7a〜7fにより支持する。
【0026】
(工程4)次に、図8に示すように、支持スライダー7a〜7fを互いに離隔させ、それにともなってスリットコイル1をコイル片1a、1b、1c、1d、1e、1fに分離する。
【0027】
(工程5)次に、図9に示すように、バンドリール14から結束バンド13を引き出し、ピンチロール15を経由して、コイル片1a〜1fの中心空間1sに挿入し、その先端をピンチロール16に係止する。そして、図10に示すように、ピンチロール15とピンチロール16を下降させて、結束バンド13をコイル片1a〜1fの内径側に接するように位置させる。
【0028】
(工程6)次に、図11(a)に示すように、レーザー距離計20を走行させてコイル片1a〜1fの間隔を測定して、所定の間隔が開いていることを確認後、結束バンド引き出し・切断装置17を用いて、順次、ピンチロール15とコイル片1aの隙間、隣接するコイル片同士の隙間、コイル片1fとピンチロール16の隙間の計7個所からコイルの半径方向に結束バンド13を所定の位置(コイル片の外径より外側)まで引き出す。その際には、結束バンド引き出し・切断装置17を該当する隙間の位置に配置した後、図11(b)に示すように、立っていた引き出し棒17aを、基部17bを支点にして下方に回動させて、該当する隙間を通過させることにより、結束バンド13を引き出し棒17aの先端に引っ掛けて、所定の位置まで引き出す。
【0029】
(工程7)次に、図12に示すように、結束バンド引き出し・切断装置17に取り付けられているカッター(図示せず)を用いて、結束バンド13を7個所の引き出し位置(コイル片の外径より外側)で切断する。
【0030】
(工程8)次に、図13(a)、(b)に示すように、マジックハンド18を用いて、各コイル片1a〜1fを挟んで隣り合う結束バンド13の先端同士を結んで、各コイル片1a〜1fの横バンド結束を行う。
【0031】
(工程9)次に、図14に示すように、支持スライダー7a〜7fを引き寄せて、コイル片1a〜1fの隙間を詰める。
【0032】
(工程10)次に、図15に示すように、本体4側および支持台11側の油圧機構により台部材5を下降させて、スリットコイル1を載置台2の所定位置(載置ロール12上)に載置する。ここで、さらに、コイル片1a〜1fの周方向の他の個所に横バンド結束を行う場合には、載置ロール12を回転させて、横バンド結束する位置が下方になるように、スリットコイル1の周方向位置を変更した後、上記の工程3〜工程10を繰り返す。
【0033】
(工程11)そして、周方向に必要個所の横バンド結束が終了して、載置台2の載置ロール12上に載置されたスリットコイル1について、図16に示すように、本体4を後退させて、スリットコイル1の中心空間1sから台部材5を引き出す。
【0034】
(工程12)横バンド結束された各コイル片1a〜1fを載置台2からクレーン等によって所定の保管場所に搬送する。
【0035】
以上がこの実施形態に係るスリットコイル結束装置100の基本動作であるが、さらに、応用動作として、横バンド結束された各コイル片を出荷単位毎にまとめて横バンド結束することも可能である。その応用動作について、図17のフローチャートと図18〜図23の動作図を参照して説明する。なお、図18〜図23においては、その動作に関係しない部分は省略して描いている。
【0036】
(工程1〜工程8)前述の基本動作における工程1〜工程8と同様である。これによって、それぞれのコイル片1a〜1fに横バンド結束がなされる。
【0037】
(工程9−1)次に、図18(a)、(b)に示すように、出荷単位のコイル片と他の出荷単位のコイル片との間に分離用アーム21を挿入する。ここでは、コイル片1bとコイル片1cの間と、コイル片1eとコイル片1fの間にそれぞれ分離用アーム21を挿入している。
【0038】
(工程9−2)次に、図19に示すように、分離用アーム21を挿入したまま支持スライダー7a〜7fを引き寄せて、コイル片1a〜1fの隙間を詰める。
【0039】
(工程9−3)次に、工程5〜工程8と同様の動作によって、図20に示すように、コイル片1a〜1fを出荷単位毎にまとめて横バンド結束する。そして、分離用アーム21をコイル片の間から外す。
【0040】
(工程9−4)次に、図21に示すように、さらに支持スライダー7a〜7fを引き寄せて、分離用アーム21により形成されたコイル片間の隙間(コイル片1bとコイル片1cの隙間等)を詰める。
【0041】
(工程10)次に、図22に示すように、本体4側および支持台11側の油圧機構により台部材5を下降させて、スリットコイル1を載置台2の所定位置(載置ロール12上)に載置する。
【0042】
(工程11)そして、図23に示すように、本体4を後退させて、スリットコイル1の中心空間1sから台部材5を引き出す。
【0043】
(工程12)出荷単位毎にまとめて横バンド結束されたコイル片を載置台2からクレーン等によって所定の保管場所に搬送する。
【0044】
このようにして、この実施形態においては、スリットコイルの横バンド結束を効率的で迅速に実施することができる。
【0045】
なお、この実施形態においては、スリットコイル結束装置100が、支持スライダー7a〜7fを備えており、それを用いて、スリットコイル1を幅方向に所定の間隔をおいて分離した後、それぞれのコイル片に横バンド結束を行うようになっていたが、支持スライダー7a〜7fに替えて、クレーン等を用いて、スリットコイル1を幅方向に所定の間隔をおいて分離した後、それぞれのコイル片に横バンド結束を行うようにしてもよい。
- 【公開番号】特開2007−106432(P2007−106432A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【発明の名称】スリットコイルの結束装置および結束方法
- 【出願番号】特願2005−297556(P2005−297556)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
【識別番号】505382098
【氏名又は名称】株式会社JFE甲南スチールセンター
- 【代理人】
【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
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