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密閉容器への物品収納装置
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- 【要約】
【課題】高度に有害な放射能やその他の有害危険物、さらにはそれらによって汚染された廃棄物等を、人間の呼吸雰囲気に全く晒すこと無く簡便に短時間に容器に収納する。
【解決手段】密閉容器への物品収納装置は、気密空間1に設けた物品通過用の開口部1aと、この気密空間1の開口部1aに気密空間1の外側から着脱自在に嵌め込まれ、同開口部1aに気密に連結される密閉容器2の開口部2aと、気密空間1の開口部1aと密閉容器2の開口部2aとに気密空間1の内側から着脱自在に嵌め込まれ、それぞれそれらの開口部1a、2aを気密に閉じる気密空間1側の蓋4及び容器側の蓋6とを有する。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密空間(1)にある物品を、同空間(1)から密閉容器(2)に収納する装置であって、気密空間(1)に設けた物品通過用の開口部(1a)と、この気密空間(1)の開口部(1a)に気密空間(1)の外側から着脱自在に嵌め込まれ、同開口部(1a)に気密に連結される密閉容器(2)の開口部(2a)と、それぞれ気密空間(1)の開口部(1a)と密閉容器(2)の開口部(2a)とに気密空間(1)の内側から着脱自在に嵌め込まれ、それらの開口部(1a)、(2a)を気密に閉じる気密空間(1)側の蓋(4)及び容器側の蓋(6)とを有することを特徴とする密閉容器への物品収納装置。
【請求項2】
気密空間(1)側の開口部(1a)の蓋(4)と密閉容器(2)側の開口部(2a)の蓋(6)とを重ねた状態で着脱自在に保持する保持機構(10)を有することを特徴とする請求項1に記載の密閉容器への物品収納装置。
【請求項3】
前記蓋(4)と蓋(6)との着脱自在な保持機構(10)は、一方の蓋(4)に設けた磁石(21)と他方の蓋(6)に設けた磁性体(12)との磁力の相互作用により着脱自在に保持するものであることを特徴とする請求項2に記載の密閉容器への物品収納装置。
【請求項4】
気密空間(1)の開口部(1a)に密閉容器(2)の開口部(2a)を着脱自在に連結し、保持する保持機構(9)を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の密閉容器への物品収納装置。
【請求項5】
気密空間(1)の開口部(1a)と密閉容器(2)の開口部(2a)との保持機構(9)が一方の開口部(1a)の蓋枠(5)に設けた磁石(21)と他方の開口部(2a)の蓋枠(7)に設けた磁性体(11)との磁力の相互作用により着脱自在に保持するものであることを特徴とする請求項4に記載の密閉容器への物品収納装置。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部に対して気密状態に維持された空間にある物品を、同空間から密閉容器に収納する装置に関し、例えば放射能や微生物により汚染された廃棄物を、外部に対して気密状態に維持された空間から外気に晒さずに密閉容器に収納する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の物品収納装置が要求される第1の例をあげると、放射性同位元素を取り扱う実験装置類がある。このような装置類は、排気設備が設けられれ常に内部が負圧に維持されたフード内に設置されている。その実験装置類の操作は、実験者がゴム手袋を着装し、フードのシャッタを少し開け、そこから手を入れて操作を行っている。実験により不要となる物品や実験サンプルなどの廃棄物が発生した場合は、フード内でビニル袋に入れ、そのビニル袋の口を封じた後、短時間ながらフードから一時的にフード外に出し、予めフード近傍に置いてある廃棄物容器にすばやく入れ、蓋をして密閉するというような方法が一般的である。
【0003】
第2の例をあげると、原子力発電所などの原子力施設で保守点検作業等により発生する放射性廃棄物は、搬出エリアを汚染レベルに応じて数段設け、順次汚染レベルを下げながら搬出している。すなわち、放射能汚染レベルの最も高い作業エリアをエリア1とすれば、それより汚染レベルの低いエリアを隣接して設け、これをエリア2とし、さらにレベルが低いエリア3を隣接させるというようにエリアを汚染レベルにより順次配列している。そして最終的には放射線管理区域でも通常人が立ち入ることのできる汚染のほとんど無いエリアに接続し、エリア1、エリア2、エリア3、汚染の無いエリアの順で搬出を行う。搬出にあたり各エリアで表面を拭いたり、ビニルシートや袋などで梱包するなどし、表面の汚染レベルを順次下げながら搬出し、汚染の無いエリアに予め準備したドラム缶等の密閉容器に収納するという方法が一般的に行われている。
【0004】
第3の例として、プルトニウムなど極僅かな量でも人間の呼吸雰囲気に漏れると問題となるような場合において用いられている方法を説明する。プルトニウムは通常グローブボックスと呼ばれる気密容器内で取り扱われるが、このグローブボックス内で発生する廃棄物は「バッグアウト」という方法で搬出されている。これはグローブボックスの適切な場所に設けられた搬出ポートと呼ばれる部分に、予め取り付けられている底付きの筒状ビニルバッグに廃棄物を挿入し、グローブボックスから突出させ、高周波ウエルダーでビニルバッグを溶着し、溶着部をハサミなどで切断して切り離し、廃棄物容器に収納する方法である。
【0005】
しかしながら、前述した3つの例においては、それぞれ次のような技術的な問題点がある。
まず、第1の例で述べた方法による廃棄物の搬出では、フード内でビニル袋に入れ口を封じたとはいえ、この操作自体がビニル袋表面を汚染させる可能性も高く、たとえ短時間とはいえフード外の汚染の無いエリアに搬出することはプルトニウムやその他の高度に有害なものを取り扱う場合、採り入れられる方法ではない。
【0006】
第2の例で述べた方法による廃棄物搬出においては、エリア1からエリア2、エリア2からエリア3、あるいはエリア3から汚染の無いエリアへの搬出を行うにあたり、予めそれぞれのエリアに搬出する前に、その表面の放射能汚染が搬出先のエリアを汚染させないよう、表面の除染を行う必要がある。さらに、新しいビニル袋に入れ口を封じるなどの処置を行い、放射線測定器で表面に汚染がないことを確認し搬出するという作業を、エリアの段数ほど行わなければならずその手間は非常に多大なものを要する。
【0007】
第3の例で述べたものは、予めビニルバッグに入る大きさまで廃棄物を切断し、分解する必要があること、溶着、切り離しの繰り返しによりビニルバッグが残り少なくなった場合「バッグ交換」の方法で新しいものに交換する必要があることなどから、廃棄物搬出の効率は悪く、多くの時間と手間を要する。さらにはバッグアウトやバッグ交換は初心者に対する教育が必要であり、定常的にバッグアウトを行う作業者でも毎回細心の注意が必要で熟練も必要とされている。また、バッグが何らかの理由で破損した場合、周辺にプルトニウム汚染を拡散して内部被ばくを起こしてしまう危険性が常にあることなど解決すべき課題は多い。
【0008】
【特許文献1】2002−510788号公報
【特許文献2】特開平11−502030号公報
【特許文献3】特開平8−50075号公報
【特許文献4】特開平5−288894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記のような廃棄物等を或る外部に対して気密状態に維持された空間(以下、「気密空間」と言う。)から密閉容器に取り出して収納し、密閉するのに際し、プルトニウム等のごく僅かであっても多量の内部被ばくに至るような高度に有害な放射能やその他の有害危険物、さらにはそれらによって汚染された廃棄物等を、人間の呼吸雰囲気に全く晒すこと無く簡便に短時間に容器に収納できる装置を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、前記の目的を達成するため、放射能等の汚染が存在する気密空間1と人間が呼吸する外部空間とを隔離したまま気密空間1と密閉容器2との開口部1a、2aを結合、分離できるようにした。例えば、プルトニウムを取り扱う隔離雰囲気で発生する廃棄物を、外部環境と完全に隔離したまま、廃棄物をドラム缶などの密閉された廃棄物容器に収納することを可能にする。
【0011】
すなわち、本発明による密閉容器への物品収納装置は、気密空間1に設けた物品通過用の開口部1aと、この気密空間1の開口部1aに気密空間1の外側から着脱自在に嵌め込まれ、同開口部1aに気密に連結される密閉容器2の開口部2aと、気密空間1の開口部1aと密閉容器2の開口部2aとに気密空間1の内側から着脱自在に嵌め込まれ、それぞれそれらの開口部1a、2aを気密に閉じる気密空間1側の蓋4及び容器側の蓋6とを有する。
【0012】
このような本発明による密閉容器への物品収納装置では、密閉容器2の開口部2aを気密空間1の開口部1aに気密に連結出来るので、気密空間1にある汚染した物品を、その開口部1aから密閉容器2の開口部2aを通して密閉容器2の中に収納することが出来る。その後、気密空間1の内側から容器側の蓋6で密閉容器2の開口部2aを気密に閉じ、さらに気密空間1側の蓋4で気密空間1の開口部1aを気密に閉じる。これにより、汚染が外部に漏れることなく、汚染した物品を気密空間1から密閉容器2に移して収納し、密閉することが出来る。その後、密閉容器2の開口部2aを気密空間1の開口部1aから分離し、密閉容器2を気密空間1から外して移動させることが出来る。
【0013】
特に、気密空間1側の開口部1aの蓋4と密閉容器2側の開口部2aの蓋6とを重ねた状態で着脱自在に保持する保持機構10を有することにより、気密空間1側の開口部1aと密閉容器2側の開口部2aとをそれぞれ蓋4と蓋6で閉じたとき、それらの蓋4と蓋6の外部に露出する面を気密空間1の中で重ねておけるので、その面が汚染されることを防げる。このような蓋4と蓋6との着脱自在な保持機構10は、一方の蓋4に設けた磁石21と他方の蓋6に設けた磁性体12との磁力の相互作用により着脱自在に保持するものがある。
【0014】
さらに、気密空間1の開口部1aに密閉容器2の開口部2aを着脱自在に連結し、保持する保持機構9を有すると、作業中に気密空間1の開口部1aと密閉容器2の開口部2aとが外れずにすみ、蓋4と蓋6で閉じた後は、保持機構9を解除して分離することが出来る。このような気密空間1の開口部1aと密閉容器2の開口部2aとの保持機構9としては、一方の開口部1aの蓋枠5に設けた磁石21と他方の開口部2aの蓋枠7に設けた磁性体11との磁力の相互作用により着脱自在に保持するものがある。
【発明の効果】
【0015】
以上説明した通り、本発明による密閉容器への物品収納装置では、密閉容器2の気密空間1への連結、汚染した物品の密閉容器2への収納、密閉容器2の開口部2aと気密空間1の開口部1aを蓋4、蓋6で閉じ、最後に密閉容器2の気密空間1からから分離という一連の手順を外部に汚染等を漏らすことなく簡便に行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明では、密閉容器2の開口部2aを気密空間1の開口部1aに気密に連結した状態でそれら開口部1a、開口部2aの蓋4と蓋6を気密空間1側で開閉出来るようにし、前記の目的を達成した。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例をあげて詳細に説明する。
【0017】
本発明では前述したように、放射能汚染区域等で発生した廃棄物を専用の廃棄物容器に収納するものである。この場合、汚染空間と清浄空間が隔離されたままこれを実施できることが特徴である。ここでは、汚染されているため、外部から気密に隔離されている空間を気密空間とし、発生する汚染された廃棄物等の物品をドラム缶等の密閉可能な密閉容器に収納することを例として以下に説明する。気密空間は常時負圧に維持され、その中から汚染された塵等が外部に漏れないようにしてある。
【0018】
図1(a)と図2(a)は気密空間1と密閉容器2とが結合された状態であり、汚染されている気密空間1から廃棄物等の物品を密閉容器2に収納することができる状態を示している。これらの図に示すように、気密空間1の床に開口部1aを設け、ここに密閉容器2の開口部2aを連結して取り付けることが出来るよう設計されている。密閉容器2は、昇降機能を持つ昇降装置のテーブル3により昇降される。もちろん、密閉容器2を気密空間1に横向きに連結するのが都合が良い場合は、気密空間1の壁側に開口部1aを設けることも出来る。
【0019】
図1(a)と図2(a)は、気密空間1の開口部1aを閉じる蓋4と密閉容器2の開口部2aを閉じる蓋6とを重ねて外した状態を示しており、外した蓋4および蓋6は後に述べるように磁石で結合した状態で気密空間1側に外される。この双方の蓋4と蓋6が重ねた状態で結合されて持ち上げられ、気密空間1側に取り外されることにより、密閉容器2の内部と気密空間1の内部とがそれられの開口部2a、1aを通して連通する。また、蓋4の下面と蓋6の上面とが重ね合わせられるため、それらの面には気密空間1の汚染は及ばない。
【0020】
密閉容器2の開口部2aと気密空間1の開口部1aの周囲にはそれぞれ蓋枠5、7が設けられ、これら蓋枠5と蓋枠7とは、後述するように磁石で結合して連結される。すなわち、蓋枠5は気密空間1の床の開口部に取り付けられ、前記蓋4と機械的に結合可能な構造をしている。また、蓋枠7は密閉容器2上部縁に取り付けられており、前記蓋6と機械的に結合可能な構造をしている。
【0021】
気密空間1から密閉容器2に廃棄物等の物品が移動、収納され、密閉容器2が満杯になったとき、蓋4と蓋6を結合した状態のまま、それらを開口部1aの蓋枠5と、開口部2aの蓋枠7に嵌め込み、何れかの方向に60°回転させ、蓋4と蓋枠5および蓋6と蓋枠7とがそれぞれ機械的に結合される。気密空間1の開口部1aを閉じる蓋4の上面には、回転操作を行いやすくするためのハンドル8が設けられている。蓋4と蓋枠5及び蓋6と蓋枠7の連結機構の詳細は後述する。
【0022】
次に、蓋4と蓋6および蓋枠5と蓋枠7の磁石による結合を解放し、分離させ、テーブル3を下げると第1図(b)と図2(b)の状態となる。この状態では、蓋6で密閉容器2の開口部2aが閉じられ、気密空間1の開口部1aが蓋4で閉じられると共に、密閉容器2が気密空間1から分離される。これにより、物品を収納し、蓋6で密閉された密閉容器2が所定の廃棄物保管設備に運搬可能な状態となる。蓋4と蓋6とが分離されるまでの間、蓋4の下面と蓋6の上面とが重ね合わせられるため、それらの面は気密空間1の空気に晒されておらず、それ故それらの面は汚染されておらず、外気に晒されても汚染を拡散することは無い。
【0023】
図3は結合、分離を行う蓋4、6および蓋枠5、7部分の断面を拡大して示した図である。また図5は、図1(a)を拡大して示した図である。これらの図を用いて蓋4、6および蓋枠5、7部分をさらに詳しく説明する。なお、図3には、ハンドル8は記載していない。
【0024】
気密空間1の開口部1aの周囲に取り付けられた蓋枠5の外側に保持機構9が組み込まれている。この保持機構9は、磁石により気密空間1の蓋枠5の下面に密閉容器の蓋枠7の上面を吸着し、保持するものであり、密閉容器2の蓋枠7には鉄板等の磁性体11が埋め込まれている。他方、気密空間1の開口部1aを塞ぐ蓋4にも同様の保持機構10が組み込まれ、これに対応して密閉容器2の蓋6に鉄板等の磁性体12が取り付けられている。これら保持機構9、10の詳細については後に詳述する。なお、蓋4に設けられた保持機構10はカバー19で覆われている。
【0025】
気密空間1の開口部1aの周囲に設けた蓋枠5の内周には、その円周方向に部分的に設けた凸部14を有し、蓋4の外周にも、その円周方向に部分的に設けた凸部13を有している。図5から明らかな通り、蓋枠5の内周に設けた凸部14は、蓋枠5の内周に120゜間隔で三つ設けられ、その凸部14の長さは蓋枠5の内周の周方向に60゜弱の長さにわたっている。蓋4の外周に部分的に設けた凸部13もまた、蓋4の外周に120゜間隔で三つ設けられ、その凸部13の長さは蓋4の外周の周方向に60゜弱の長さにわたっている。
【0026】
同様に、密閉容器2の開口部2aの周囲に設けた蓋枠7の内周には、その円周方向に部分的に設けた凸部16を有し、蓋6の外周にも、その円周方向に部分的に設けた凸部15を有している。図5から明らかな通り、蓋枠7の内周に設けた凸部16は、蓋枠7の内周に120゜間隔で三つ設けられ、その凸部16の長さは蓋枠7の内周の周方向に60゜弱の長さにわたっている。蓋6の外周に部分的に設けた凸部15もまた、蓋6の外周に120゜間隔で三つ設けられ、その凸部15の長さは蓋6の外周の周方向に60゜弱の長さにわたっている。
【0027】
蓋4と蓋6とは、予めそれらの凸部13、15の位置が上下に一致するように重ね合わせられて吸着、保持する。また、蓋枠5と蓋枠7も、予めそれらの凸部14、16の位置が上下に一致するように連結、保持する。こうして吸着、保持された蓋4と蓋6とを、蓋枠5と蓋枠7とが結合された開口部に1a、2aに挿入するに当たり、前記凸部13、15が、蓋枠5、7の凸部14、16の無い部分に位置するように挿入する。このとき、蓋4と6の凸部13、15は、蓋枠5、7の凸部14、16より奥に挿入される。次に、結合された蓋4と6を、何れかの方向に60°回転させることにより、蓋4と6の凸部13、15は、蓋枠5、7の凸部14、16の有る位置に移動し、係合することにより、蓋4は蓋枠5と、蓋6は蓋枠7と機械的に結合する。
【0028】
気密空間1の開口部1aを塞ぐ蓋4と密閉容器2の開口部2aを塞ぐ蓋6は、前述した通り重ね合わせられ、保持機構10により吸着、保持されるが、そのとき、図3及び図6(b)に示すように、双方の蓋4、6を円周方向に固定するため、互いに嵌合される突起17と穴18が設けられている。蓋4と蓋6とを重ね合わせ、保持機構10により吸着、保持した状態でハンドル8(図5参照)により回転するとき、回転抵抗によりズレが生じ、前記凸部13、15の位置が変わるのを防止し、蓋4、6が不用意に分離することを防止する。
【0029】
第4図(a)と(b)は、保持機構9、10の一例として、永久磁石を用いた保持機構の構造と動作を示す概念図である。例えば、図4にされた例示保持機構9、10では、全体として横向きの筒形の磁性体からなるヨーク22の中に、部分円柱形の永久磁石である磁石21が横向きに嵌め込まれ、この磁石21が外部のレバー操作等により少なくとも90゜回転されるようになっている。ヨーク22は両側に2分割されており、そのヨーク22の両側部分の間には、その上下に非磁性体23が挿入されている。この保持機構9、10の本体側は、気密空間1の蓋4や蓋枠5に設けられている。他方、密閉容器2の蓋6や蓋枠7の保持機構9、10の本体側と対応する位置には鉄板等の磁性体11、12が埋め込まれている。
【0030】
図4(a)に示すように、磁石21の磁極S、Nがヨーク22の中で横向きになっているとき、ヨーク22に沿って磁極S、Nの上下に磁路が形成されるが、ヨーク22の上下の部分では非磁性体23により磁路が絶縁されるため、磁路はヨーク22の上下端でそれぞれヨーク22の上下に漏れる。従って、ヨーク22の下端側では、密閉容器2の蓋6や蓋枠7に埋め込まれた磁性体11、12を通って磁路が形成され、同磁性体11、12がヨーク22を介して磁石21に吸引される。これに対し、図4(b)に示すように、磁石21の磁極S、Nがヨーク22の中で縦向きになっているとき、ヨーク22に沿って磁極S、Nの両側に磁路が形成されるが、この磁路は磁石21の両側にあるヨーク22に沿ってのみ形成され、ヨーク22の外には殆ど漏れない。従って、密閉容器2の蓋6や蓋枠7に埋め込まれた磁性体11は磁石21に吸引されない。
【0031】
このように保持機構9、10は、気密空間1の開口部1aの蓋4や蓋枠5に設けた磁石21と密閉容器2の蓋6や蓋枠7に設けた磁性体11、12との磁力の相互作用により蓋6や蓋枠7を着脱自在に保持するものがある。前記の保持機構9、10の例では、磁石21として回転操作される永久磁石を使用したが、磁石として電気の通電と通電停止により、励磁、解磁される固定された電磁石を用いても良い。
【0032】
次に、第6図を参照しながら、この物品収納装置の操作方法について説明する。なお、図中ハンドル8は記載していない。
第6図(a)は図1(a)、図2(a)及び図5に示した状態を示した図である。すなわち、気密空間1の蓋枠5と密閉容器2の蓋枠7とが重ね合わせられ、且つ蓋枠5に組み込まれた前述の保持機構9により気密に吸着、保持されていると共に、気密空間1の蓋4と密閉容器2の蓋6が重ね合わせられ、且つ前述した保持機構10により吸着、保持された状態である。図5に示すように、気密空間1の蓋枠5と密閉容器2の蓋枠7の凸部14、16は、予めその位置が上下に一致するように密閉容器2を気密空間1に位置合わせて連結する。
【0033】
蓋4と蓋6は、予めそれらの凸部13、15が一致するように重ね合わせる。この状態で、蓋4と蓋6の凸部13、15を気密空間1の蓋枠5と密閉容器2の蓋枠7の凸部14、16が無い部分に位置を合わせる。この位置で重ね合わせた蓋4、6を蓋枠5、7に挿入し、蓋4、6の凸部13、15を蓋枠5、7の凸部14、16より下になるまで嵌合する。その後、重ね合わせた蓋4、6を何れかの方向に60°回転させ、その凸部13、15を蓋枠5、7の凸部14、16の下にスライドさせる。これにより、蓋4、6は蓋枠5、7と第6図(b)のごとく連結される。
【0034】
この状態から保持機構9、10の磁石21(図4参照)を90゜回転させる操作をすることにより、保持機構9、10による保持が解除され、蓋4と6および蓋枠5と7は切り離される。これにより、第6図cのように密閉容器2が気密空間1から分離され、密閉容器2を搬送、移動することが可能になる。
これとは逆に、次の新しい空の密閉容器2の開口部2aを気密空間1の床の開口部1aに結合するときは、分離するのと逆の手順で操作をすればよい。
【0035】
第7図は密閉容器2の一例を示す図であり、同図(a)は一部分解した状態、同図(b)は、組み立てた状態である。密閉容器2はその中に挿入可能な内容器20を有する二重構造の容器であり、図示の例では、内容器20に蓋枠7が取り付けられている。この蓋枠7は、密閉容器2に取り付けても差し支えない。前述したように、密閉容器2の蓋6は、この蓋枠7に嵌め込んで固定される。蓋6をした内容器20は、密閉容器2に嵌め込んで収納された後、蓋6の上にさらに保護蓋25が被せられる。
【0036】
このような物品収納装置は、構造を簡易化すると共に、結合、分離の操作を保持機構9、10の操作と蓋4、6の回転という単純、迅速、かつ異なる種類の操作により誤操作が起こらないようにしている。なお且つ、数多く使用する密閉容器2側の構造を簡易なものとすることにより、その価格を安価なものとすることが出来る。さらに、放射性廃棄物を収納した長期間の保管においても、結合は機械的結合であるから信頼性も高い。
【0037】
なお、前述の例では、気密空間1が汚染された隔離空間とし、そこから汚染された廃棄物を密閉容器2に移動し、封缶することを例として説明した。本発明はこれとは逆に、気密空間1が細密な回路パターンを形成するため、塵等の汚染を防止するためのクリーンルームであり、その中から製品を密閉容器2に取り出す装置としても使用出来ることはもちろんである。
- 【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例としての気密空間の底部と密閉容器との結合及び分離状態を示す斜視図である。
【図2】同実施例としての気密空間の底部と密閉容器との結合及び分離状態を示す縦断側面図である。
【図3】同実施例としての気密空間の底部と密閉容器との結合状態を示す要部拡大縦断側面図である。
【図4】同実施例としての保持機構の部分の要部拡大縦断側面図である。
【図5】同実施例としての気密空間の底部と密閉容器との結合及び分離状態を示す要部拡大斜視図である。
【図6】同実施例としての保持機構の動作を示す要部拡大縦断側面図である。
【図7】同実施例としての密閉容器の構造の例を示す分解及び組立状態の縦断側面図である。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
- 【公開番号】特開2007−137477(P2007−137477A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【発明の名称】密閉容器への物品収納装置
- 【出願番号】特願2005−333982(P2005−333982)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】
【識別番号】391051360
【氏名又は名称】千代田メインテナンス株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100081927
【弁理士】
【氏名又は名称】北條 和由
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