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アルキル化薬感受性を上昇させる方法
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- 【要約】
【課題】アルキル化薬に対する哺乳動物細胞の感受性を上昇させる方法を提供する。
【解決手段】本発明は、哺乳動物のAlkBホモログの発現または活性を阻害することにより、アルキル化薬に対する感受性を上昇させる方法を提供する。また本発明は、該AlkBホモログの発現または活性を阻害する化合物を含むアルキル化薬併用剤を提供する。また本発明は、該AlkBホモログの発現または活性を測定することにより、アルキル化薬に対する感受性を上昇させる化合物をスクリーニングする方法を提供する。本発明により、癌治療等におけるアルキル化薬の効果を高めることが可能である。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子の発現または該遺伝子がコードする蛋白質の活性を阻害する工程を含む、アルキル化薬に対する哺乳動物細胞の感受性を上昇させる方法。
【請求項2】
哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子がABH2またはABH3である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子の発現をRNAiにより阻害する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
哺乳動物細胞が癌細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子の発現または該遺伝子がコードする蛋白質の活性を阻害する化合物を有効成分として含む、アルキル化薬併用剤。
【請求項6】
哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子がABH2またはABH3である、請求項5に記載のアルキル化薬併用剤。
【請求項7】
該化合物が、siRNAまたはsiRNAを発現するベクターである、請求項5に記載のアルキル化薬併用剤。
【請求項8】
アルキル化薬に対する哺乳動物細胞の感受性を上昇させる候補化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)被験化合物の存在下、哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子の発現または該遺伝子がコードする蛋白質の活性を測定する工程、
(b)対照に比べて該発現または活性を阻害する化合物を選択する工程、を含む方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法により選択された化合物を薬学的に許容される担体と混合する工程を含む、アルキル化薬併用剤の製造方法。
- 【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルキル化薬に対する感受性を上昇させるための方法および薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルキル化薬は環境中に多く存在し、また、一般的な癌治療で多く使われている化合物である。アルキル化薬は細胞内のDNAおよびRNAに直接作用し、塩基部分を修飾して、ゲノムの変異や翻訳異常を引き起こす事が知られている。その結果、哺乳動物では癌化、神経変性、老化を引き起こす。また、全く違う作用として、アルキル化薬は癌細胞を急速に死滅させる。このことからアルキル化薬は抗癌剤として広く使われているが、重篤な副作用があり、アルキル化薬耐性癌も知られている。
【0003】
アルキル化薬によってダメージを受けたゲノムDNAは、DNA glycosylaseやalkyltransferaseにより修復される。ヒトでは、DNAグリコシラーゼ(DNA glycosylase)としてMYH、OGG1遺伝子が、アルキルトランスフェラーゼ(alkyltransferase)としてMGMT遺伝子の存在が知られている [Nakabeppu, Y. (2001) Prog Nucleic Acid Res Mol Biol. 68:75-94; Margison, G.P. and Santibanez-Koref, M.F. (2002) Bioessays. 24:255-66; Gerson, S.L. (2002) J Clin Oncol. 20:2388-99]。これらの遺伝子をノックアウトした細胞においては、アルキル化薬に対する感受性が増すことが知られている。特に、MGMT遺伝子は癌細胞での発現が高く、アルキル化薬耐性癌細胞での高い発現が報告されている [Margison, G.P. and Santibanez-Koref, M.F. (2002) Bioessays. 24:255-66; Gerson, S.L. (2002) J Clin Oncol. 20:2388-99]。このことから、アルキル化薬とMGMT阻害剤を併用することにより、より低濃度でアルキル化薬の効果が示され、アルキル化薬耐性癌においてもアルキル化薬の効果が確認できている [Margison, G.P. and Santibanez-Koref, M.F. (2002) Bioessays. 24:255-66; Gerson, S.L. (2002) J Clin Oncol. 20:2388-99]。実際に、MGMTの特異的阻害剤であるO6-benzylguanineは、アルキル化薬であるBCNU(N,N'-bis(2-chloroethyl)-N-nitrosourea)およびtemozolomideとの併用薬として、臨床試験のPhase Iで7件、Phase IIで4件、Phase IIIで1件開発されている [Gerson, S.L. (2002) J Clin Oncol. 20:2388-99]。
【0004】
【非特許文献1】
Nakabeppu Y. (2001) Regulation of intracellular localization of human MTH1, OGG1, and MYH proteins for repair of oxidative DNA damage. Prog Nucleic Acid Res Mol Biol. 68:75-94.
【非特許文献2】
Margison GP, Santibanez-Koref MF. (2002) O6-alkylguanine-DNA alkyltransferase: role in carcinogenesis and chemotherapy. Bioessays. 24:255-66.
【非特許文献3】
Gerson SL. (2002) Clinical relevance of MGMT in the treatment of cancer. J Clin Oncol. 20:2388-99.
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はアルキル化薬に対する感受性を上昇させるための方法および薬剤を提供する。また本発明は、アルキル化薬に対する感受性を上昇させる候補化合物のスクリーニング方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
ごく最近、大腸菌のalkB遺伝子が新しいタイプのアルキル化DNAの修復酵素であることが報告された [Begley, T.J. and Samson, L.D. (2003) Trends Biochem Sci. 28:2-5; Falnes, P.O. et al. (2002) Nature. 419:178-82; Trewick, S.C. et al. (2002) Nature. 419:174-8]。alkBは2-オキソグルタル酸(2-oxoglutarate)と二価の鉄イオン存在下でDNAおよびRNA中の1-メチルアデニン(1-methyladenine)と3-メチルシトシン(3-methylcytosine)からメチル基を取り除き、正常な塩基へと修復する酵素である。alkBホモローグは哺乳動物から細菌まで多くの生物で広く分布している。ヒトホモローグはABH、ABH2、ABH3遺伝子が存在する事がデータベースにより判明しており、この3つの遺伝子のうち、ABH2、ABH3はalkBと同様の酵素活性を示す事が報告されている [Duncan, T. et al. (2002) Proc Natl Acad Sci U S A. 99:16660-5]。また、ABH2は効率的に二重鎖DNA中のメチル基を取り除き、ABH3はRNAも良く基質にする [Aas, P.A. et al. (2003) Nature.421:859-63]。細胞内局在はABH2が核にのみ存在し、ABH3は核、細胞質のどちらにも拡散して存在する [Duncan, T. et al. (2002) Proc Natl Acad Sci U S A. 99:16660-5]。ABH2、ABH3ともに癌細胞で発現しており、過剰発現はアルキル化薬耐性を示すと考えられている。
【0007】
このような観点から本発明者らは、ABH2およひABH3を含む哺乳動物のalkBホモログは、アルキル化薬併用剤として非常に有望な分子ターゲットであると考えた。そこで、哺乳動物細胞において実際にalkBホモログを阻害する事により、アルキル化薬に対する感受性を示すかについて解析を行った。その結果、alkBホモログの発現を抑制することによって、細胞のアルキル化薬に対する感受性は有意に上昇することが判明した。すなわち哺乳動物のalkBホモログの発現または活性を抑制または阻害する化合物はアルキル化薬に対する感受性を上昇させるために有用であり、該化合物は、例えば癌治療などにおいてアルキル化薬と併用することによって、治療効果を高めるために用いることができる。また、alkBホモログの発現または活性を抑制または阻害する化合物をスクリーニングすることによって、新たなアルキル化薬併用剤を開発することも可能である。
【0008】
すなわち本発明は、アルキル化薬に対する感受性を上昇させるための方法、アルキル化薬に対する感受性を上昇させるアルキル化薬併用剤、およびアルキル化薬に対する感受性を上昇させる候補化合物のスクリーニング方法等に関し、より具体的には、
(1)哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子の発現または該遺伝子がコードする蛋白質の活性を阻害する工程を含む、アルキル化薬に対する哺乳動物細胞の感受性を上昇させる方法、
(2)哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子がABH2またはABH3である、(1)に記載の方法、
(3)哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子の発現をRNAiにより阻害する、(1)に記載の方法、
(4)哺乳動物細胞が癌細胞である、(1)に記載の方法、
(5)哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子の発現または該遺伝子がコードする蛋白質の活性を阻害する化合物を有効成分として含む、アルキル化薬併用剤、
(6)哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子がABH2またはABH3である、(5)に記載のアルキル化薬併用剤、
(7)該化合物が、siRNAまたはsiRNAを発現するベクターである、(5)に記載のアルキル化薬併用剤、
(8)アルキル化薬に対する哺乳動物細胞の感受性を上昇させる候補化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)被験化合物の存在下、哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子の発現または該遺伝子がコードする蛋白質の活性を測定する工程、
(b)対照に比べて該発現または活性を阻害する化合物を選択する工程、を含む方法、
(9)(8)に記載の方法により選択された化合物を薬学的に許容される担体と混合する工程を含む、アルキル化薬併用剤の製造方法、に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子の発現または該遺伝子がコードする蛋白質の活性を阻害する工程を含む、アルキル化薬に対する哺乳動物細胞の感受性を上昇させる方法に関する。本発明者らは、哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子を標的として、アルキル化薬に対する感受性を上昇させることに初めて成功した。アルキル化薬は、一般に強い抗腫瘍効果を有しており、DNAおよび/またはRNAをアルキル化して癌細胞を死滅させる。このとき、本発明に従いAlkBホモログの発現または活性を阻害することにより、このアルキル化薬の効果を高めることが可能である。
【0010】
本発明において哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子(以下、単に「AlkBホモログ遺伝子」とも記載する)とは、2-オキソグルタル酸(αケトグルタル酸)および二価の鉄イオン[Fe(II)]依存的オキシゲナーゼであって、DNAおよび/またはRNA中の1-メチルアデニン(1-methyladenine)および/または3-メチルシトシン(3-methylcytosine)からメチル基を取り除く活性を有する蛋白質をコードする核酸を言う。哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子は、好ましくは大腸菌AlkB変異株を相補する。すなわち、大腸菌AlkB変異株に該遺伝子を導入した場合に、アルキル化薬に対する感受性を低下させる。相補は大腸菌AlkB変異株と比べた場合に有意であればよく、完全(野生型と同じまで)に回復させなくても部分的な相補であってもよい。
【0011】
哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子としては、ABH遺伝子ファミリーが同定されている。ABH遺伝子ファミリーにはABH(Wei YF et al., Nucl. Acids Res. 1996. 24:931-37; Genbank accession X91992 (protein: CAA63047), AC008044 (protein: AAF01478, Q13686), BC025787 (protein: AAH25787)、ABH2(Genbank accession XM_058581 (protein: XP_058581))、およびABH3(Genbank accession NM_139178 (protein: NP_631917))が知られている。これら各遺伝子の塩基配列に関する情報は、当業者においては、GenBank等の公共の遺伝子データベースから容易に取得することができる。ABHマウスホモログとしては、Genbank accession XM_127049 (protein: XP_127049)、ABH2のラットホモログとしては、Genbank accession XM_222273 (protein: XP_222273)、マウスホモログとしては、Genbank accession XM_132383 (protein: XP_132383)、およびAK079195 (protein: BAC37576) などが挙げられる。ABH3マウスホモログとしては、Genbank accession XM_130317 (protein: XP_130317) が挙げられる。哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子として、好ましくは、ABH2遺伝子およびABH3遺伝子、およびそれらのカウンターパートが挙げられる。
【0012】
より具体的には、哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子には、ヒトABH(配列番号:1)、ヒトABH2(配列番号:3)、およびヒトABH3(配列番号:5)、並びに他の生物におけるそれらのカウンターパート(多型および変異体を含む)などが含まれる。一般に哺乳動物の遺伝子には、塩基配列中の多型等により、同一の遺伝子であっても複数の種類の配列が存在する場合がある。この多型とは、一塩基の置換、欠失、挿入変異からなる一塩基多型 (SNPs) に限定されず、連続する数塩基の置換、欠失、挿入変異も含まれる。従って、上記に示したABH、ABH2、およびABH3の塩基配列は例示にすぎず、必ずしもこれらの配列に限定されない。哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子には、具体的には以下のような蛋白質であって、2-オキソグルタル酸および二価の鉄イオン存在下でDNAおよび/またはRNA中の1-メチルアデニンおよび/または3-メチルシトシンからメチル基を取り除く活性を有する蛋白質をコードする遺伝子が含まれる。
(a)配列番号:2、4、または6の100残基以上の連続する部分アミノ酸配列と70%以上の同一性を有する蛋白質;
(b)配列番号:2、4、または6の100残基以上の連続する部分アミノ酸配列において、30%以内のアミノ酸を置換、欠失、および/または付加したアミノ酸配列を含む蛋白質;
(c)配列番号:1、3、または5の塩基配列またはその相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸がコードする蛋白質。
これらの蛋白質には、天然に存在する各哺乳動物のAlkBホモログ蛋白質(多型、機能を維持したバリアントなどを含む)が含まれ得る。
【0013】
アミノ酸配列の同一性は、比較したい2つの蛋白質のアミノ酸配列全長を、アミノ酸が一致するように適宜ギャップを挿入して整列させ、一致するアミノ酸の割合として算出することができる。アミノ酸の整列(アライメント)は、所望のコンピュータプログラムを利用することができ、例えばCLUSTAL W(Higgins, D. et al. (1994) Nucleic Acids Res. 22:4673-4680)、BLAST(National Center for Biothchnology Information)などを用いることができる。ギャップはミスマッチしたアミノ酸と同様に扱い、アライメントの全範囲のアミノ酸数(ギャップを含む)のうち、両者の配列で一致したアミノ酸数の割合として同一性が決定される。但し、両方の配列の同じ位置に共にギャップを入れた場合には、そのギャップは計算から除外する。アミノ酸配列の同一性は、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。また(a)および(b)における100残基以上の連続する部分アミノ酸配列は、好ましくは120残基以上、より好ましくは150残基以上、より好ましくは200残基以上、より好ましくは250残基以上、より好ましくは配列番号:2、4、または6の全長である。
【0014】
例えばBLASTによりアミノ酸配列の同一性を決定する場合は、文献「Altschul, S. F. et al., 1990, J. Mol. Biol. 215: 403-410」に記載の方法に従って実施することができる。具体的には、塩基配列の同一性を決定するにはblastnプログラム、アミノ酸配列の同一性を決定するにはblastxプログラムを用い、例えばNCBI(National Center for Biothchnology Information)のBLASTのウェブページにおいて"Low complexity"などのフィルターの設定は全てOFFにして計算を行う(Altschul, S.F. et al. (1993) Nature Genet. 3:266-272; Madden, T.L. et al. (1996) Meth. Enzymol. 266:131-141; Altschul, S.F. et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402; Zhang, J. & Madden, T.L. (1997) Genome Res. 7:649-656)。パラメータの設定は、例えばopen gapのコストはヌクレオチドは5で蛋白質は11、extend gapのコストはヌクレオチドは2で蛋白質は1、nucleotide mismatchのペナルティーは-3、nucleotide matchの報酬は1、expect valueは10、wordsizeはヌクレオチドは11で蛋白質は2、Dropoff (X) for blast extensions in bitsはblastnでは20で他のプログラムでは7、X dropoff value for gapped alignment (in bits)はblastn以外では15、final X dropoff value for gapped alignment (in bits)はblastnでは50で他のプログラムでは25 にする。アミノ酸配列の比較においては、スコアのためのマトリックスとしてBLOSUM62を用いることができる。2つの配列の比較を行うblast2sequencesプログラム(Tatiana A et al. (1999) FEMS Microbiol Lett. 174:247-250)により、2配列のアライメントを作成し、配列の同一性を決定することができる。
【0015】
また、上記(b)の蛋白質においては、連続する部分アミノ酸配列において置換、欠失、および/または付加されるアミノ酸の総数は、好ましくは27%以内、より好ましくは25%以内、より好ましくは20%以内、より好ましくは18%以内、より好ましくは15%以内、より好ましくは12%以内、より好ましくは10%以内である(但しアミノ酸数に換算して1未満の端数は切り捨てる)。置換、欠失、および付加は任意に組み合わせてよい。
【0016】
アミノ酸の置換においては、性質の似たアミノ酸に置換されている蛋白質は、もとの蛋白質の活性が維持されている可能性が高いと考えられる。このような置換を保存的置換という。アミノ酸の保存的置換は、当業者にはよく知られている。保存的置換に相当するアミノ酸のグループとしては、例えば、塩基性アミノ酸(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性アミノ酸 (例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性アミノ酸 (例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性アミノ酸 (例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐アミノ酸 (例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族アミノ酸 (例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)などが挙げられる。本発明において標的となる蛋白質は、配列番号:2、4、または6のアミノ酸を保存的置換したアミノ酸配列からなる蛋白質であってもよい。
【0017】
上記の配列番号:1、3、または5の塩基配列とのハイブリダイゼーションにおいては、この塩基配列またはその相補鎖、あるいはその一部をプローブとして、対象とする配列に対してハイブリダイゼーションを行い、ストリンジェントな条件下で洗浄後にプローブが対象とする配列に有意にハイブリダイズしているかを確認する。プローブとしては、配列番号:1、3、または5の連続した15塩基以上、好ましくは18塩基以上、さらに好ましくは20塩基以上、さらに好ましくは30塩基以上、さらに好ましくは50塩基以上、さらに好ましくは100塩基以上を用いる。もしプローブに配列番号:1、3、または5、あるいはそれらの相補鎖以外の配列が含まれる場合には、ネガティブコントロールとしてその配列だけをプローブにして同様にハイブリダイゼーションを行い、同様の条件下で洗浄後にそのプローブが対象とする配列に有意にハイブリダイズしないことを確認すればよい。ハイブリダイゼーションは、ニトロセルロース膜またはナイロン膜などを用いて慣用の方法にて実施することができる。上記のストリンジェントな条件を具体的に例示すれば、例えば6×SSC、0.5%(W/V) SDS、100μg/ml 変性サケ精子DNA、5×デンハルト溶液(1×デンハルト溶液は0.2%ポリビニールピロリドン、0.2%牛血清アルブミン、および0.2%フィコールを含む)を含む溶液中、42℃、好ましくは50℃、より好ましくは60℃、さらに好ましくは65℃で一晩ハイブリダイゼーションを行い、ハイブリダイゼーション後の洗浄を、ハイブリダイゼーションと同じ温度にて、4×SSC、0.5% SDS、20分を3回の洗浄を行う条件である。より好ましくはハイブリダイゼーション後の洗浄を、ハイブリダイゼーションと同じ温度にて 4×SSC、0.5% SDS、20分を2回、2×SSC、0.5% SDS、20分を1回の洗浄を行う条件である。より好ましくはハイブリダイゼーション後の洗浄を、ハイブリダイゼーションと同じ温度にて 4×SSC、0.5% SDS、20分を2回、続いて 1×SSC、0.5% SDS、20分を1回行う条件である。より好ましくはハイブリダイゼーション後の洗浄を、ハイブリダイゼーションと同じ温度にて 2×SSC、0.5% SDS、20分を1回、続いて 1×SSC、0.5% SDS、20分を1回、続いて 0.5×SSC、0.5% SDS、20分を1回行う条件である。
【0018】
ハイブリダイゼーションにより所望の哺乳動物から遺伝子を単離する場合は、例えば本明細書に例示した哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子(例えば配列番号:1、3、または5)の塩基配列またはその相補鎖、あるいはその一部をプローブとして、単離したい生物から作製したcDNAライブラリーをスクリーニングする。本発明においては、このようにして得た天然の遺伝子がコードするAlkBホモログ遺伝子を標的とすることができる。AlkBホモログを同定するための材料は特に制限されない。好ましくは、哺乳動物のゲノムDNAまたはcDNAである。具体的には、特にマウス、ラット、ヤギなどの所望の哺乳動物、サルなどの霊長類、およびヒトなどが挙げられる。
【0019】
本発明において標的となるAlkBホモログ蛋白質は、2-オキソグルタル酸および二価の鉄イオン存在下でDNAおよび/またはRNA中の1-メチルアデニンおよび/または3-メチルシトシンからメチル基を取り除く活性を有している。メチル基の除去活性は、後述の方法によりアッセイすることができる。
【0020】
上記のAlkBホモログ遺伝子を発現する細胞において、この遺伝子の発現を阻害することによって、この細胞のアルキル化薬に対する感受性を上昇させることができる。このとき用いられるアルキル化薬は、細胞内のDNAまたはRNAをアルキル化して1-メチルアデニンおよび/または3-メチルシトシンを生成する化合物である。このようなアルキル化薬としては、例えばメタンスルホン酸メチル(MMS)などのSN2型のアルキル化薬など数多くが知られている。MMS以外にも、シクロフォスファミドおよびカムルシチンを例示することができる。さらに、臨床で用いられているメルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、ブスルファン、セムスチン、ダカルバジン、ナイトロミン、ニムスチン、およびラニムスチンなども例示できるが、これらに制限されない。アルキル化薬の投与の工程とAlkBホモログの発現または活性の抑制の工程の順序は特に制限されず、アルキル化薬を細胞に添加する前、同時、または後でAlkBホモログの発現または活性を抑制してよい。アルキル化薬に対する細胞の感受性は、例えば細胞の生存を測定することにより決定することができる。細胞生存率の測定には、例えばMTTアッセイ法、または生細胞数測定試薬SF(ナカライテスク)などを利用することができる。
【0021】
AlkBホモログ遺伝子の発現の抑制は、該遺伝子のmRNAレベルおよび/または蛋白質レベルの抑制であってよい。AlkBホモログ遺伝子の発現を抑制する化合物としては、例えば、該遺伝子に対してRNAi(RNA interferance;RNA干渉)効果を有するRNAを好適に挙げることができる。一般的にRNAiとは、標的遺伝子のmRNA配列の一部と相同な配列からなるセンスRNAおよびこれと相補的な配列からなるアンチセンスRNAを含むRNAを細胞内に導入または発現させることにより、標的遺伝子mRNAの破壊を誘導し、標的遺伝子の発現が阻害される現象を言う(Genes Dev. 2001, 15:188-200; Elbashir, SM et al. (2001) Nature 411:494-498)。RNAi効果を持つ2本鎖RNAが細胞内に導入されると、DICERといわれる酵素(RNase III核酸分解酵素ファミリーの一種)が2本鎖RNAと接触し、2本鎖RNAがsmall interfering RNA(siRNA)と呼ばれる小さな断片に分解される。本発明においてsiRNAは、このような細胞内プロセッシングにより生成したRNAに加え、RNAiにより標的遺伝子の発現を阻害するために人工的に合成または発現させたRNA分子もsiRNAと総称する。本発明におけるRNAi効果を有するRNAには、これらのsiRNAが含まれる。siRNAにより、インビボにおいて標的遺伝子の発現を抑制することができる(Anton P. et al., Nature Vol. 418 38-39 2002; David L. et al., Nature genetics Vol. 32 107-108, 2002)。
【0022】
ある標的遺伝子に対するsiRNAは、通常、この遺伝子の転写配列(mRNA配列)における連続する15塩基以上の配列(より好ましくは16塩基以上、17塩基以上、18塩基以上、または19塩基以上の配列)、およびその相補配列を含み、これらの配列がハイブリダイズして2本鎖を形成するRNAである。好ましくは、連続する19〜30塩基、より好ましくは20〜25塩基の配列、より好ましくは21〜23塩基の配列またはその相補配列を片方の鎖に含み、これと相補対を形成するようなもう一方の鎖を含むRNAである。しかし、より長い配列を含むRNAであっても、細胞において、RNAi効果を有するsiRNAへ分解されることが期待されるため、RNAの長さは特に制限されない。また、標的遺伝子のmRNAの全長もしくはほぼ全長の領域に対応する長鎖二本鎖RNAを、例えば、予めDICERで分解させ、その分解産物を利用することも可能である。この分解産物には、RNAi効果を有するRNA分子 (siRNA) が含まれることが期待される。この方法によれば、RNAi効果を有することが期待されるmRNA上の領域を、特に選択しなくともよい。即ち、標的遺伝子のRNAi効果を有する配列は、必ずしも正確に規定される必要はないであろう。
【0023】
通常、末端に数塩基のオーバーハングを有する2本鎖RNAは、RNAi効果が高いことが知られている。本発明において用いるsiRNAは、必須ではないが、末端(好ましくは3'末端)に数塩基のオーバーハングを有することが望ましい。このオーバーハングを形成する塩基の長さは特に制限されないが、好ましくは、2塩基のオーバーハングである。本発明においては例えば、TT(チミンが2個)、UU(ウラシルが2個)、その他の塩基のオーバーハングを有する2本鎖RNA(最も好ましくは19塩基対の2本鎖RNA部分と2塩基(TT)のオーバーハングを有する分子)を好適に用いることができる。本発明のsiRNAには、このようにオーバーハングを形成する塩基がDNAであるような分子も含まれる。
【0024】
また、siRNAにおいて塩基対を形成する2つの鎖は、スペーサーを介して連結されていてもよい。すなわち、このスペーサーがループを形成して、その前後のRNA配列同士がアニールして2本鎖を形成するRNAも好適に用いることができる。スペーサーの長さに制限はないが、例えば3〜23塩基としてよい。
【0025】
また、上記のsiRNAを発現し得るベクターもまた、本発明において使用することができる。即ち本発明は、RNAi効果を持つRNAを発現し得るベクターの使用に関する。上記RNAを発現し得るベクターは、例えば2本鎖からなるsiRNAの一方の鎖と他方の鎖が別々に発現するように、それぞれ別々のプロモーターと連結した核酸であってよい。あるいは選択的スプライシング等により1つのプロモーターから2種のRNAが転写されるようにしてもよい。あるいは、センス鎖とアンチセンス鎖がスペーサー(ループを形成する)を介して連結された一本鎖RNAを発現するベクターであってもよい。このベクターから発現したRNAは、RNAi効果を持つRNAステムを形成して標的遺伝子の発現を抑制する。ステムの長さは上記のsiRNAと同様であるが、例えば19〜29塩基としてよい。スペーサーの長さに制限はないが、例えば3〜23塩基としてよい。5'および/または3'に数塩基のオーバーハングを有していても、いなくてもよい。これらのベクターは、当業者においては、一般的な遺伝子工学技術により、容易に作製することができる(Brummelkamp TR et al. (2002) Science 296: 550-553; Lee NS et al. (2001) Nature Biotechnology 19: 500-505; Miyagishi M & Taira K (2002) Nature Biotechnology 19: 497-500; Paddison PJ et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99: 1443-1448; Paul CP et al. (2002) Nature Biotechnology 19: 505-508; Sui G et al. (2002) Proc Natl Acad Sci USA 99(8): 5515-5520; Proc Natl Acad Sci USA 99: 14943-14945, 2002; Paddison, PJ et al. (2002) Genes Dev. 16:948-958)。より具体的には、目的のRNA配列をコードするDNAを公知の種々の発現ベクターへ適宜挿入することによって構築することが可能である。プロモーターとしては、RNAポリメラーゼIIIプロモーターなどを好適に用いることができる。具体的には、例えばU6 Pol IIIプロモーター、およびH1 RNAプロモーター(H1 RNAはRNasePを構成する一成分である)などが利用できる。
【0026】
以下に、好ましいsiRNAの一例を例示するが、本発明において用いられるsiRNAはこれらに限定されない。まず、標的遺伝子の開始コドンから、50塩基以上、好ましくは60塩基以上、より好ましくは70塩基以上下流の転写配列領域を選択する。該領域から、好ましくはAA配列を見つけ、該AAに続く17〜20ヌクレオチド(例えばAAに続く19ヌクレオチド)を選択する。AAの次の塩基は特に制限はないが、GまたはCである配列が好適には選択される。ここで、選択する配列のGC含量は、20〜80%であることが好ましく、より好ましくは30〜70%、より好ましくは35〜65%である。また、選択した配列は、siRNAを投与する組織で発現する遺伝子の中で、標的遺伝子に特異的な配列であることが好ましい。例えば、公共の遺伝子配列データベースで選択配列をqueryにして検索し、投与個体の遺伝子の中で標的遺伝子以外に同一の配列を転写配列に持つ遺伝子が存在しないことを確認することが好ましい。また配列は、標的遺伝子の蛋白質コード配列(CDS)内から選択することが好ましい。このようにして選択された配列の初めのAAを除く配列を含む配列(好ましくは、3'にUUまたはTTが付加されている)、およびその相補配列(好ましくは3'にUUまたはTTを有する)は、好適なsiRNAとなる。またAAに続く配列を探す代わりに、CAに続く配列を上記と同様に探してもよい。あるいはAAまたはCA以外の配列であってもよい。複数種作製されたsiRNAから、最適なRNAi効果を有するRNAを適宜選択することも可能である。好適なsiRNAの具体例として、実施例に示されたRNAを例示することができる。即ち、配列番号:7および8の1〜19番目の配列を含むsiRNA、配列番号:9および10の1〜19番目の配列を含むsiRNA、配列番号:11および12の1〜19番目の配列を含むsiRNA(各RNAの3'にTTまたはUUなどの塩基を付加してもよい)は好適に使用される。同様に、配列番号:13および14、15および16、17および18のそれぞれのペアにおいて1〜19番目の配列を含むsiRNA(各RNAの3'にTTまたはUUなどの塩基を付加してもよい)は好適に使用される。
【0027】
RNAi効果を有するRNAは、当業者においては標的遺伝子の塩基配列を基に、適宜作製することができる。標的となるAlkBホモログ遺伝子の塩基配列は、上述のように公共の遺伝子データベースから容易に取得することができるし、ヒトAlkBホモログ遺伝子の塩基配列(配列番号:1、3、または5)をプローブに、哺乳動物のcDNAライブラリーをスクリーニングしたり、あるいはヒトAlkBホモログ遺伝子の塩基配列を基に作製したプライマーを基にRT-PCRにより取得することができる。得られた遺伝子の塩基配列を基に、上記の説明に従ってsiRNAを設計することができる。
【0028】
標的となる遺伝子の配列は、必ずしも遺伝子全長の塩基配列が判明している必要はない。siRNAとして選択可能な任意の連続するRNA領域(例えば、20〜30塩基)が判明していればよい。従って、EST(Expressed Sequence Tag)等のようにmRNAの一部は判明しているが、全長が判明していない遺伝子断片からも、該断片の塩基配列を基に本発明のsiRNAを作製することが可能である。以下に、GenBankデータベースにおいて、ヒトABH2およびABH3と高い相同性を示したEST配列のアクセッションナンバーを記載した。但し、これらは多数存在するEST配列のうちの一例に過ぎず、当業者においては、適切なEST断片に関する情報を公共のデータベースから容易に取得することができる。これらの各ESTに対応するmRNAにおける、連続するRNA領域の一部を一方の鎖とするRNAi効果を有するRNAを用いてAlkBホモログ遺伝子の発現を阻害してもよい。
【0029】
(a) ABH2
BU857344、BM713799、BU621636、CB306784、BU535633、BU858046、CA425782、BU621592、AL528750、BU539036、BF812735、AW245078、AW246209、BI822466、BM790974、BM852409、AI201794、BE222844、AI078333、AI374763、BI488628、AA602382、AW129633、AI865555、BQ920902、AI885651、AW206726、AW005870、AA782579、BG831183、BU542852、BG057635、AW971683、BE253917、AW952528、AI040632、H09745、AI124006、BM701520、AI138654、BQ013942、BE742854、AI253156、W73383、AI198796、AA931459、AI283026、BG116821、BE328465、AW731884、CB115208、BQ227530、AI278638、BF683378、BF591258、AI421482、AI417338、AI073924、BF183208、BM799140、AI675781、BU623121、BQ014087、AW071763、AW001162、AA550952、BE894785、D60111、BF751508、CB115574、BF686043、BI861887、AA256089、T79631、T79716、BM785502、BI666861、BI861994、BM546765、AW952001、BI767047、BF766222、BG751427、AI269764、BG284978、BE255140、CB118993、BI045022、AW005663、AI589576、AI284851、CB115220、AA333965、AI784306、AA911501、N92173、AI183736、AA865002、AW169802、BE857214
【0030】
(b) ABH3
BI860137、BX406644、AL570007、AL570007、BE250119、BE249876、AL571973、AL551946、BG283085、BF724816、BM824362、BM792655、BE293567、BG282971、BE789024、BE293665、BM545966、BF037645、BQ272207、AL543545、BM561898、AL551979、BX390609、AA169457、AL546752、BM981193、BM985113、AL554302、BX406645、BM999346、CB048424、BI918447、BM694348、BU602469、AL577048、BQ939674、BM704858、BE408144、BU179848、BI258292、BQ233246、BG772137、BM548608、BE274419、BU553708、BI823026、BU838356、AA172190、BM917712、BU631845、BE792222、CA445168、BU730492、BQ017150、BM971930、BM681387、BE891036、BE892721、BF062547、BE791860、BQ181579、BM011189、BU788104、BI222582、BF026256、BI908985、BE887345、AI636076、BU784435、BI561482、BG831972、BF933573、BE260229、BI917188、BQ375282、BE296128、BF886167、BX361668、BQ375283、BX089006、BF823012、BE937862、BG823846、BQ375279、BI833740、AI916587、AI656885、BQ576341、BG187465、AW001947、BG191648、BG825625、BG370227、AA932508、AW451472、AI370748、AW247495、BM675933、BF763881、BE269759、AW860831
【0031】
合成したsiRNAを臨床に使用する場合、siRNAは修飾することができる。例えば、ヌクレアーゼ分解に対する感受性を減らし、効果を持続させるためにホスホロチオエート型のRNAを使用することができる。siRNAのリン酸エステルをホスホロチオエートに置換してもRNAi効果は変わらず、安定性が増す事が報告されている。また、siRNAのウリジンおよび、シチジンをそれぞれ2'-fluoro-2'-deoxyuridineおよび、2'-fluoro-2'-deoxycytidinに変換する事によりRNAi効果は変わらず、ヌクレアーゼに耐性になることが知られている [Harborth J. et al. (2003) Nucleic Acid Drug Dev. 13:83-105]。従って、このようなRNA類似体からなるsiRNAは、臨床に適している。本発明のsiRNAには、このようなRNAの類似体も含まれる。
【0032】
また、AlkBホモログ遺伝子の発現を抑制するために、例えば以下の(a)または(b)の核酸を用いることも可能である。
(a)AlkBホモログ遺伝子の転写産物、またはその一部に対するアンチセンス核酸
(b)AlkBホモログ遺伝子の転写産物を特異的に開裂するリボザイム
特定の内在性遺伝子の発現を阻害(抑制)する方法としては、アンチセンス技術を利用する方法が当業者によく知られている。アンチセンス核酸が標的遺伝子の発現を阻害する作用としては、以下のような複数の要因が存在する。すなわち、三重鎖形成による転写開始阻害、RNAポリメラーゼによって局部的に開状ループ構造が作られた部位とのハイブリッド形成による転写阻害、合成の進みつつあるRNAとのハイブリッド形成による転写阻害、イントロンとエキソンとの接合点におけるハイブリッド形成によるスプライシング阻害、スプライソソーム形成部位とのハイブリッド形成によるスプライシング阻害、mRNAとのハイブリッド形成による核から細胞質への移行阻害、キャッピング部位やポリ(A)付加部位とのハイブリッド形成によるスプライシング阻害、翻訳開始因子結合部位とのハイブリッド形成による翻訳開始阻害、開始コドン近傍のリボソーム結合部位とのハイブリッド形成による翻訳阻害、mRNAの翻訳領域やポリソーム結合部位とのハイブリッド形成によるペプチド鎖の伸長阻害、および核酸と蛋白質との相互作用部位とのハイブリッド形成による遺伝子発現阻害などである。このようにアンチセンス核酸は、転写、スプライシングまたは翻訳など様々な過程を阻害することで、標的遺伝子の発現を阻害する(平島および井上著、新生化学実験講座2 核酸IV遺伝子の複製と発現、日本生化学会編、東京化学同人、1993年、 p.319-347)。
【0033】
本発明で用いられるアンチセンス核酸は、上記のいずれの作用によりAlkBホモログ遺伝子の発現を阻害してもよい。アンチセンス核酸としては、AlkBホモログ遺伝子の転写される配列の連続した13ヌクレオチド以上、好ましくは14ヌクレオチド以上、さらに好ましくは15ヌクレオチド以上に対するアンチセンス配列を含む核酸であってよい。例えば、初期転写配列中のエクソン−イントロン境界、イントロン−エクソン境界、翻訳開始コドンを含む領域、5'端近傍の非翻訳領域、または成熟mRNA中の蛋白質コード配列(CDS)の連続した13ヌクレオチド以上、好ましくは14ヌクレオチド以上、さらに好ましくは15ヌクレオチド以上に対するアンチセンス配列を含む核酸などが好ましい。また臨床応用を考慮する場合、使用されるアンチセンス核酸は、通常、合成オリゴマーである。アンチセンス核酸はDNAであってよく、さらに修飾されていてもよい。例えば、ヌクレアーゼ分解に対する感受性を減らし、且つアンチセンス核酸としての活性を維持するために、リン酸エステル結合部のO(酸素)をS(硫黄)に置換したSオリゴ(ホスホロチオエート型オリゴヌクレオチド)の利用が一般に知られている。このSオリゴは現在ではアンチセンス薬として、直接患部に注入される臨床試験が行なわれている。本発明においてもこのSオリゴを好適に使用することができる。アンチセンス核酸の配列は、標的遺伝子またはその一部と相補的な配列であることが好ましいが、遺伝子の発現を有効に抑制できる限り、完全に相補的でなくてもよい。転写されたRNAは、標的遺伝子の転写産物に対して好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相補性を有する。アンチセンス核酸を用いて標的遺伝子の発現を効果的に抑制するには、アンチセンス核酸の長さは、好ましくは17塩基以上であり、より好ましくは20塩基以上、より好ましくは25塩基以上、より好ましくは30塩基以上、より好ましくは40塩基以上、より好ましくは50塩基以上であり、さらに好ましくは100塩基以上である。アンチセンスRNAは細胞内で発現させることもできる。標的細胞で活性を持つプロモーターの下流に目的のRNAをコードする核酸を連結したベクターを作製し、これを細胞に導入すればよい。
【0034】
ベクターとしては、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターなどのウイルスベクターやリポソームなどの非ウイルスベクターなどが利用できる。リポソーム以外の非ウイルスベクターとしては、高分子キャリアが知られており、生体内で安定に存在し、血流中を安定に循環しうる核酸医薬のデリバリーシステムとして、ポリエチレングリコール-ポリカチオンブロック共重合体と核酸医薬の自己会合により形成される高分子ナノミセルが挙げられる [Harada A. & Kataoka K. Science, 283, 65-67 (1999); Katayose S. & Kataoka K. Bioconjugate Chemistry, 8(5), 702-707 (1997)]。そしてこの改良型である、ポリエチレングリコール-ポリアスパラギン酸(PEG-PAsp)ブロック共重合体とリン酸カルシウムから形成される無機-有機複合ナノ組織体であるリン酸カルシウムミセル [Kakizawa Y. & Kataoka K. Langmuir, 18(2), 4539-4543 (2002)] や、ジスルフィド架橋を内核に導入し、血中安定性を向上させた高分子ナノミセル [Kakizawa Y., Harada A. & Kataoka K. J. Amer. Chem. Soc., 121(48), 11247-11248 (1999)]、さらにこれらのデリバティブはsiRNAや核酸のキャリアとして有効であると考えられる。また、他の高分子キャリアとしてバイオコンジュゲート型キャリアが挙げられる [Asayama S. et al. Bioconjugate Chemistry, 9(4), 476-481 (1998); Park J-U. et al. Prep. Biochem. & Biotechnol., 29(4), 353-370 (1999)]。これらのベクター系または遺伝子導入用の担体を利用して、ex vivo法やin vivo法などにより患者へ投与を行う遺伝子治療が可能となる。
【0035】
また、AlkBホモログ遺伝子の発現の阻害は、リボザイム、またはリボザイムをコードするベクターを利用して行うことも可能である。リボザイムとは触媒活性を有するRNA分子を指す。リボザイムには種々の活性を有するものが存在し、RNAを部位特異的に切断するリボザイムの設計も可能である。リボザイムには、グループIイントロン型やRNase Pに含まれるM1 RNAのように400ヌクレオチド以上の大きさのものもあるが、ハンマーヘッド型(Rossi et al. (1991) Pharmac. Ther. 50: 245-254)やヘアピン型(Hampel et al. (1990) Nucl. Acids Res. 18: 299-304, and U.S. Pat. No. 5,254,678)と呼ばれる40ヌクレオチド程度の活性ドメインを有するものもある(小泉誠および大塚栄子、蛋白質核酸酵素、1990年、35、2191)。
【0036】
例えば、ハンマーヘッド型リボザイムの自己切断ドメインは、G13U14C15という配列のC15の3'側を切断するが、その活性にはU14とA9との塩基対形成が重要とされ、C15の代わりにA15またはU15でも切断され得ることが示されている(Koizumi, M.ら著、FEBS Lett、 1988年、228、228.)。基質結合部位が標的部位近傍のRNA配列と相補的なリボザイムを設計すれば、標的RNA中のUC、UUまたはUAという配列を認識する制限酵素的なRNA切断リボザイムが作出できる(Koizumi, M.ら著、FEBS Lett, 1988年、239, 285.、小泉誠および大塚栄子、蛋白質核酸酵素、1990年、35, 2191.、Koizumi, M.ら著、Nucl Acids Res、 1989年、17, 7059.)。
【0037】
また、ヘアピン型リボザイムも本発明の目的に有用である。このリボザイムは、例えばタバコリングスポットウイルスのサテライトRNAのマイナス鎖に見出される(Buzayan, JM., Nature, 1986年、323, 349.)。ヘアピン型リボザイムからも、標的特異的なRNA切断リボザイムを作出できることが示されている(Kikuchi, Y. & Sasaki, N., Nucl Acids Res, 1991, 19, 6751.、菊池洋, 化学と生物, 1992, 30, 112.)。このように、リボザイムを用いて標的遺伝子の転写産物を特異的に切断することで、該遺伝子の発現を阻害することができる。
【0038】
さらに本発明においては、AlkBホモログ遺伝子によってコードされる蛋白質(本明細書では、「AlkBホモログ蛋白質」とも言う)の機能を抑制する化合物を用いることも許される。好ましい態様においては、AlkBホモログ遺伝子によってコードされる蛋白質の機能を抑制する化合物は、以下の(a)または(b)に記載の化合物である。これらの化合物は、AlkBホモログ蛋白質の機能もしくは活性を阻害する(低下させる)ことにより、細胞のアルキル化薬に対する感受性を上昇させる。
(a)AlkBホモログ蛋白質に結合する抗体
(b)AlkBホモログ蛋白質に結合する低分子化合物
【0039】
AlkBホモログ蛋白質に結合する抗体は、当業者に公知の方法により調製することが可能である。ポリクローナル抗体であれば、例えば、次のようにして得ることができる。天然もしくは組換えAlkBホモログ蛋白質、あるいはGSTとの融合蛋白質として大腸菌等の微生物において発現させたリコンビナントであるAlkBホモログ蛋白質、またはその部分ペプチドをウサギ等の小動物に免疫し血清を得る。これを、例えば、硫安沈殿、プロテインA、プロテインGカラム、DEAEイオン交換クロマトグラフィー、AlkBホモログ蛋白質や合成ペプチドをカップリングしたアフィニティーカラム等により精製することにより調製する。また、モノクローナル抗体であれば、例えば、AlkBホモログ蛋白質若しくはその部分ペプチドをマウスなどの小動物に免疫を行い、同マウスより脾臓を摘出し、これをすりつぶして細胞を分離し、該細胞とマウスミエローマ細胞とをポリエチレングリコール等の試薬を用いて融合させ、これによりできた融合細胞(ハイブリドーマ)の中から、AlkBホモログ蛋白質に結合する抗体を産生するクローンを選択する。次いで、得られたハイブリドーマをマウス腹腔内に移植し、同マウスより腹水を回収し、得られたモノクローナル抗体を、例えば、硫安沈殿、プロテインA、プロテインGカラム、DEAEイオン交換クロマトグラフィー、AlkBホモログ蛋白質やその部分ペプチドをカップリングしたアフィニティーカラム等により精製することで、調製することが可能である。抗体取得の感作抗原として使用されるAlkBホモログ蛋白質は、その由来となる動物種に制限されないが、哺乳動物、例えばマウス、ヒト由来の蛋白質が好ましく、特にヒト由来の蛋白質が好ましい。
【0040】
本発明の抗体は、AlkBホモログ蛋白質に結合し得るものであれば特に制限されず、上記ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のほかに、ヒト抗体、遺伝子組み換えによるヒト型化抗体、さらに抗体可変領域を含む断片(Fab, Fc, F(ab')2, scFv等を含む)、および抗体修飾物等も含まれる。
【0041】
本発明において、感作抗原として使用される蛋白質は、完全な蛋白質の他に該蛋白質の部分ペプチドであってもよい。蛋白質の部分ペプチドとしては、例えば、蛋白質のアミノ基(N)末端断片やカルボキシ(C)末端断片が挙げられる。本明細書における「抗体」とは通常、蛋白質の全長又は断片に反応する抗体を意味する。
【0042】
また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して上記ハイブリドーマを得る他に、ヒトリンパ球、例えばEBウィルスに感染したヒトリンパ球をin vitroで蛋白質、蛋白質発現細胞又はその溶解物で感作し、感作リンパ球をヒト由来の永久分裂能を有するミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、蛋白質への結合活性を有する所望のヒト抗体を産生するハイブリドーマを得ることもできる。本発明の抗体を人体に投与する目的(抗体治療)で使用する場合には、免疫原性を低下させるため、ヒト抗体やヒト型抗体が好ましい。
【0043】
また、AlkBホモログ遺伝子の発現もしくは該遺伝子によってコードされる蛋白質の機能(活性)を抑制する化合物としては、天然または人工の化合物のいずれであってもよい。例えば、1-メチルアデニンアナログおよび3-メチルシトシンアナログであって、AlkBホモログと相互作用するが分解されない化合物を好適に用いることができる。また、2-オキソグルタル酸類縁体である N-oxalylglycine、N-oxalyl-4S-alanine、N-oxalyl-4R-alanine、2-thiono(N-oxalylglycine)、および 2-mercaptoglutarate はAlkBの阻害剤として知られている(Welford R. W. et al. (2003) J Biol Chem. 278:10157-61)。これらの化合物および他の2-オキソグルタル酸類縁体を用いて、AlkBホモログ蛋白質の活性を阻害することも考えられる。それ以外にも、例えば、有機化合物、無機化合物、核酸、蛋白質、ペプチド、糖などの単一化合物、あるいは、化合物ライブラリー、遺伝子ライブラリーの発現産物、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物等もしくは該抽出物から単離精製される化合物であってよい。
【0044】
また本発明は、哺乳動物細胞のアルキル化薬に対する感受性を上昇させる候補化合物のスクリーニング方法を提供する。その一つの態様は、AlkBホモログ蛋白質またはその部分ペプチドと被検化合物との結合を指標とする方法である。通常、AlkBホモログ蛋白質またはその部分ペプチドと結合する化合物は、AlkBホモログ蛋白質の機能を阻害する効果を有することが期待される。
【0045】
この方法においては、まず、AlkBホモログ遺伝子によってコードされる蛋白質またはその部分ペプチドと被検化合物を接触させる。AlkBホモログ蛋白質またはその部分ペプチドは、被検化合物との結合を検出するための指標に応じて、例えば、AlkBホモログ蛋白質またはその部分ペプチドの精製された形態、細胞内または細胞外に発現した形態、あるいはアフィニティーカラムまたはその他の担体に結合した形態であり得る。この方法に用いる被検化合物は必要に応じて適宜標識して用いることができる。標識としては、例えば、放射標識、蛍光標識等を挙げることができる。次いで、AlkBホモログ遺伝子によってコードされる蛋白質またはその部分ペプチドと被検化合物との結合を検出する。AlkBホモログ蛋白質またはその部分ペプチドと被検化合物との結合は、例えば、AlkBホモログ蛋白質またはその部分ペプチドに結合した被検化合物に付加された標識によって検出することができる。また、細胞内または細胞外に発現しているAlkBホモログ蛋白質またはその部分ペプチドへの被検化合物の結合により生じる該蛋白質の活性の変化を指標として検出することも可能である。次いで、AlkBホモログ遺伝子によってコードされる蛋白質またはその部分ペプチドと結合する被検化合物を選択する。
【0046】
スクリーニングに用いる被検化合物としては、特に制限はない。例えば、天然化合物、有機化合物、無機化合物、核酸、蛋白質、ペプチド、糖などの単一化合物、並びに、化合物ライブラリー、遺伝子ライブラリーの発現産物、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物、人工作出化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
本発明のスクリーニング方法に別の態様は、AlkBホモログ蛋白質と基質との結合を阻害する化合物をスクリーニングする方法である。AlkBホモログ蛋白質はDNAおよび/またはRNAを基質として、基質中に含まれる1-メチルアデニンおよび/または3-メチルシトシンを除去する。そこで、被検化合物の存在下でAlkBホモログ蛋白質と基質とを接触させ、両者の結合を検出する。被検化合物の非存在下または低用量の存在下(対照)に比べ、AlkBホモログ蛋白質と基質との結合を抑制する化合物を選択する。このような化合物は、AlkBホモログ蛋白質の活性を阻害する化合物となり、アルキル化薬に対する感受性を上昇させる薬剤として使用することができる。
【0048】
本発明のスクリーニング方法の別の態様においては、AlkBホモログ遺伝子の発現を抑制する化合物がスクリーニングされる。この方法では、まずAlkBホモログ遺伝子を発現する細胞もしくは細胞抽出液と、被検化合物を接触させる。このような細胞としては、内因的にAlkBホモログ遺伝子を発現している細胞を好適に利用することができる。スクリーニングに用いられる細胞としては、例えば、MCF7 (乳癌)、A549 (肺癌)、U2OS (骨肉腫)、C33A (子宮頚癌)、HT1080(繊維肉腫)、PA-1(卵巣の奇形癌)、Tera2(胎生期癌)、T24(膀胱癌)、K562(慢性骨髄性白血病)、Molt4(急性リンパ芽球性白血病)、A172(神経膠芽細胞腫)、HeLa(子宮頚癌)等の各種腫瘍細胞、および所望の正常細胞などが挙げられる。
【0049】
AlkBホモログ遺伝子を発現する細胞への被検化合物の接触は、通常、AlkBホモログ遺伝子を発現する細胞の培養液に被検化合物を添加することによって行うが、この方法に限定されない。被検化合物が蛋白質等の場合には、該蛋白質を発現するDNAベクターを該細胞へ導入することにより、細胞に接触させることができる。
【0050】
次いで本方法においては、AlkBホモログ遺伝子の発現を測定する。ここで遺伝子の発現には、転写および翻訳の双方が含まれる。すなわち、mRNAを検出してもよいし、蛋白質を検出してもよい。遺伝子の発現レベルの測定は、当業者に公知の方法によって行うことができる。例えば、AlkBホモログ遺伝子を発現する細胞からmRNAを定法に従って抽出し、ノーザンハイブリダイゼーション法またはRT-PCR法を実施することによって、該遺伝子の転写レベルの測定を行うことができる。また、蛋白質の検出により遺伝子の翻訳レベルの測定を行う場合は、AlkBホモログ遺伝子を発現する細胞から蛋白質画分を回収し、AlkBホモログ蛋白質の発現をSDS-PAGE等の電気泳動法で検出することができる。さらに、AlkBホモログ蛋白質に対する抗体を用いて、ウェスタンブロッティング法を実施することにより、該蛋白質の発現を検出し、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うことも可能である。AlkBホモログ蛋白質の検出に用いる抗体としては、検出可能な抗体であれば、特に制限はないが、例えばモノクローナル抗体、またはポリクローナル抗体のいずれでも利用することができる。
【0051】
本方法においては更に、被検化合物の非存在下または低用量の存在下において測定した場合(対照)と比較して、該発現レベルを低下させる化合物を選択する。このようにして選択された化合物は、アルキル化薬に対する感受性を上昇させる作用を有することが期待される。該化合物は、アルキル化薬併用剤として有用であり、例えばアルキル化制癌剤(抗癌剤)の効果を増強する併用剤となることが期待される。
【0052】
本発明の方法の更に別の態様においては、本発明のAlkBホモログ遺伝子の発現量を低下させる化合物は、レポーター遺伝子を利用してスクリーニングすることができる。このようなスクリーニング方法は具体的には、(a)被検化合物の存在下、哺乳動物のAlkBホモログ遺伝子の内因的プロモーターの活性を測定する工程、(b)対照に比べて、該活性を低下させる化合物を選択する工程、を含む方法である。このためには、まずAlkBホモログ遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合したDNAを含む細胞または細胞抽出液と、被検化合物を接触させる。ここで「機能的に結合した」とは、AlkBホモログ遺伝子の転写調節領域に転写因子が結合することにより、レポーター遺伝子の発現が誘導されるように、AlkBホモログ遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが結合していることをいう。例えば、レポーター遺伝子は、そのコード配列をAlkBホモログ遺伝子の翻訳開始配列の下流にインフレームで結合させればよい。AlkBホモログ遺伝子のcDNA塩基配列に基づいて、当業者においては、ゲノム中に存在するAlkBホモログ遺伝子の転写調節領域を周知の方法により取得することが可能である。また、AlkBホモログ遺伝子のコード領域をレポーター遺伝子のそれと置換したノックイン動物またはノックイン細胞を作製すれば、AlkBホモログ遺伝子のプロモーター活性に応じてレポーター遺伝子を発現させることができるので、これを利用してスクリーニングを行うことも可能である。被検化合物存在下でレポーター遺伝子の発現レベルを測定し、被検化合物の非存在下または低用量の存在下において測定した場合(対照)と比較して発現レベルを低下させる化合物を選択する。このようにして選択された化合物は、アルキル化薬併用剤のための候補化合物となる。
【0053】
本方法に用いるレポーター遺伝子としては、その発現が検出可能であれば特に制限されず、例えば、CAT遺伝子、lacZ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、およびGFP遺伝子等が挙げられる。AlkBホモログ遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した核酸を含む細胞として、例えば、AlkBホモログ遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した核酸を含むベクターが導入された細胞等が挙げられる。上記ベクターは、当業者においては一般的な遺伝子工学技術によって作製することができる。ベクターの細胞への導入は、一般的な方法、例えば、リン酸カルシウム沈殿法、電気パルス穿孔法、リポフェタミン法、マイクロインジェクション法等によって実施することができる。AlkBホモログ遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した核酸を含む細胞には、染色体に該核酸が組み込まれた細胞も含まれる。染色体へのDNAの組み込みは、当業者に一般的に用いられる方法、例えば、相同組み換えを利用した遺伝子導入法により行うことができる。
【0054】
また、AlkBホモログ遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有する核酸を含む細胞抽出液を用いてスクリーニングを行う場合は、例えば、市販の試験管内転写翻訳キットに含まれる細胞抽出液に、AlkBホモログ遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有する核酸を添加したものを用いることができる。
【0055】
スクリーニングにおいて被検化合物は、細胞または細胞抽出液に添加することにより行うことができるが、これらの方法に限定されない。被検化合物が蛋白質の場合には、例えば、該蛋白質を発現するベクターを、該細胞へ導入することにより接触を行うことも可能である。レポーター遺伝子の発現レベルは、該レポーター遺伝子の種類に応じて、当業者に公知の方法により測定することができる。例えば、レポーター遺伝子がCAT遺伝子である場合には、該遺伝子産物によるクロラムフェニコールのアセチル化を検出することによって、レポーター遺伝子の発現量を測定することができる。レポーター遺伝子がlacZ遺伝子である場合には、該遺伝子発現産物の触媒作用による色素化合物の発色を検出することにより、また、ルシフェラーゼ遺伝子である場合には、該遺伝子発現産物の触媒作用による蛍光化合物の蛍光を検出することにより、さらに、GFP遺伝子である場合には、GFP蛋白質による蛍光を検出することにより、レポーター遺伝子の発現量を測定することができる。
【0056】
本発明のスクリーニング方法の別の態様においては、AlkBホモログ遺伝子によってコードされる蛋白質の活性を指標として化合物をスクリーニングする。まずAlkBホモログ遺伝子によってコードされる蛋白質、または該蛋白質を発現する細胞もしくは細胞抽出液と、被検化合物を接触させる。次いで、該蛋白質の活性を測定する。次いで、被検化合物の非存在下または低用量の存在下において測定した場合と比較して、AlkBホモログ蛋白質の活性を低下させる化合物を選択する。AlkBホモログ蛋白質は、細胞が内因的に発現した蛋白質であってもよく、あるいは外来性のAlkBホモログ遺伝子が導入され、そこから発現した蛋白質であってもよい。外来性のAlkBホモログ遺伝子を発現する細胞は、通常、該遺伝子を含む発現ベクターを宿主細胞へ導入することにより作製することができる。この発現ベクターは、当業者においては一般的な遺伝子工学技術によって作製することができる。このスクリーニングに使用するAlkBホモログ蛋白質は、変異を含まない全長蛋白質であることが好ましいが、該蛋白質と同等の活性を有するものであれば、一部のアミノ酸配列が置換および/または欠失する蛋白質であってもよい。また、他の蛋白質との融合蛋白質であってもよい。
【0057】
AlkBホモログ蛋白質の活性としては、例えばDNAおよび/またはRNA中の1-メチルアデニンおよび/または3-メチルシトシンからメチル基を取り除く活性が挙げられる。この活性を測定するには、例えば N-[3H]methyl-N-nitrosourea等によりDNAおよびRNAを、放射線ラベルしたメチル基で修飾する。この基質にAlkBホモローグタンパク質を反応させ、DNAおよび、RNAをエタノール沈殿し、液体シンチレションカウンターで放射線活性を測定 [Aas P. A. et al. (2003) Nature. 421:859-63.]、または、逆相カラムを用いて高速液体クロマトグラフィーにより分析することにより活性を定量することができる [Falnes P. O. et al. (2002) Nature. 419:178-82.、 Trewick S. C. (2002) Nature. 419:174-8.]。
【0058】
または、メチルスルホン酸メチル等のアルキル化剤で処理したDNAおよび、RNAを基質にAlkBホモローグタンパク質を反応させる。反応したDNAおよびRNAを酸性下、90℃から180℃で熱処理し、1-メチルアデニンおよび、3‐メチルシトシンを遊離させ、逆相カラムまたは、イオン交換カラムを用いて高速液体クロマトグラフィーにより分析することによってアッセイしてもよい。[Falnes P. O. et al. (2002) Nature. 419:178-82.、 Trewick S. C. (2002) Nature. 419:174-8.]
【0059】
あるいは、メチルスルホン酸メチル等のアルキル化剤で処理したDNAおよび、RNAを基質にAlkBホモローグタンパク質を反応させ、消費される酸素を酸素電極により測定する方法 [Trewick S. C. (2002) Nature. 419:174-8.]、メチルスルホン酸メチル等のアルキル化剤で処理したDNAまたはRNAを基質にAlkBホモローグタンパク質を反応させ、生成されるホルムアルデヒドをナッシュ試薬と反応させ、蛍光を測定する方法 [Falnes P. O. et al. (2002) Nature. 419:178-82.]、メチルスルホン酸メチル等のアルキル化剤で処理したDNAまたはRNAを基質に放射線ラベルした2-オキソグルタル酸とともにAlkBホモローグタンパク質を反応させ、生成される放射線ラベルさせた二酸化炭素を液体シンチレションカウンターで測定する方法 [Welford R. W. et al. (2003) J Biol Chem. 278:10157-61.] などを例示することもできる。
【0060】
またAlkBホモログ蛋白質の活性としては、大腸菌AlkB変異株を相補する機能が挙げられる。大腸菌のalkB変異株はアルキル化剤 (メタンスルホン酸メチル) に対して低濃度で感受性を示す。この大腸菌をAlkBホモローグ遺伝子で形質転換する事により、アルキル化剤耐性を回復する。メタンスルホン酸メチルに対する耐性を指標に相補遺伝子をスクリーニングすることができる。 [Wei Y. F et al. (1995) J Bacteriol. 177:5009-15.]
【0061】
また本発明は、AlkBホモログ遺伝子の発現またはAlkBホモログ蛋白質の活性を阻害する化合物、およびアルキル化薬を含むキットに関する。このようなキットは、細胞または生体にアルキル化薬を投与する際に用いられる。AlkBホモログの発現または活性を阻害する化合物をアルキル化薬と併用することによって、アルキル化薬に対する感受性を上昇させることができる。各薬剤は、適宜薬学的に許容される担体と組み合わせることができる。
【0062】
また本発明は、AlkBホモログの発現または活性を阻害する化合物を含むアルキル化薬増感剤およびアルキル化薬併用剤に関する。これらの薬剤は例えば医薬組成物として製剤化することができる。本発明のアルキル化薬併用剤は、アルキル化薬と併用することにより、アルキル化薬の効果を増強するために有用である。特に、癌治療において、アルキル化薬による制癌効果を高めるために用いることができる。医薬組成物として製剤化する場合は、まず本発明の上記スクリーニング方法によって、AlkBホモログの発現または活性を阻害する化合物を選択する。次いで、選択された化合物を薬学上許容される担体と混合する。これら薬学上許容される担体として、例えば界面活性剤、賦形剤、着色料、着香料、保存料、安定剤、緩衝剤、懸濁剤、等張化剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤等が挙げられるが、これらに制限されず、その他常用の担体を適宜使用することができる。
【0063】
本発明の薬剤の製剤化にあたっては、常法に従い、必要に応じて上記担体を添加することができる。具体的には、軽質無水ケイ酸、乳糖、結晶セルロース、マンニトール、デンプン、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、白糖、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等を挙げることができる。
【0064】
上記薬剤の剤型の種類としては、例えば経口剤として錠剤、粉末剤、丸剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、軟・硬カプセル剤、フィルムコーティング剤、ペレット剤、舌下剤、ペースト剤等、非経口剤として注射剤、坐剤、経皮剤、軟膏剤、硬膏剤、外用液剤等が挙げられ、当業者においては投与経路や投与対象等に応じた最適の剤型を選ぶことができる。また、AlkBホモログの発現または活性を阻害する蛋白質または核酸(siRNAまたはアンチセンスなど)を発現するベクターを生体内に投与する場合は、レトロウイルス、アデノウイルス、センダイウイルスなどのウイルスベクターやリポソームなどの非ウイルスベクターを利用することができる。リポソーム以外の非ウイルスベクターとしては、高分子キャリアが知られており、生体内で安定に存在し、血流中を安定に循環しうる核酸医薬のデリバリーシステムとして、ポリエチレングリコール-ポリカチオンブロック共重合体と核酸医薬の自己会合により形成される高分子ナノミセルが挙げられる [Harada A. & Kataoka K. Science, 283, 65-67 (1999); Katayose S. & Kataoka K. Bioconjugate Chemistry, 8(5), 702-707 (1997)]。そしてこの改良型である、ポリエチレングリコール-ポリアスパラギン酸(PEG-PAsp)ブロック共重合体とリン酸カルシウムから形成される無機-有機複合ナノ組織体であるリン酸カルシウムミセル [Kakizawa Y. & Kataoka K. Langmuir, 18(2), 4539-4543 (2002)] や、ジスルフィド架橋を内核に導入し、血中安定性を向上させた高分子ナノミセル [Kakizawa Y., Harada A. & Kataoka K. J. Amer. Chem. Soc., 121(48), 11247-11248 (1999)]、さらにこれらのデリバティブはsiRNAや核酸のキャリアとして有効であると考えられる。また、他の高分子キャリアとしてバイオコンジュゲート型キャリアが挙げられる [Asayama S. et al. Bioconjugate Chemistry, 9(4), 476-481 (1998); Park J-U. et al. Prep. Biochem. & Biotechnol., 29(4), 353-370 (1999)]。投与方法としては、例えばin vivo法およびex vivo法を挙げることができる。本発明の薬剤または医薬組成物の投与量は、剤型の種類、投与方法、患者の年齢や体重、患者の症状等を考慮して、最終的には医師の判断により適宜決定することができる。
【0065】
【実施例】
本明細書に記載した発明は、当業者であれば様々な改変を容易に思いつくことが可能であろうが、それらの態様は本発明の範囲に含まれる。なお本明細書に引用された文献は、本明細書の一部として組み込まれる。以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0066】
[実施例1]
本実施例では、ヒト細胞においてAlkBホモログ遺伝子の発現を抑制することにより、アルキル化薬に対する感受性を上昇させる方法を例示する。
【0067】
[細胞培養、トランスフェクッション]
ヒト細胞として、HeLa (ヒト子宮頸部癌細胞) およびA549 (ヒト肺癌細胞)を使用した。すべてのヒト細胞は10% 牛胎児血清、50 μg/mlゲンタマイシンを含むDulbecco's modified Eagle's mediumで37℃、5% CO2条件下で培養した。AlkBホモログ遺伝子の発現抑制には、siRNAを利用した。siRNAの合成は株式会社ファスマックにおいて行った。siRNAのトランスフェクッションを行う24時間前に、24ウエルプレートに細胞を播種し、20−50%コンフレントの状態でトランスフェクッションを行った。それぞれの細胞へのsiRNA(各20 pmol)のトランスフェクッションは、Oligofectoamine (Invitrogen)および、Lipofectoamine2000 (Invitrogen)を使用し、マニュアルに従い行った。コントロールのsiRNA(NS)としては、uucuccgaacgugucacgudTdT(配列番号:19)およびacgugacacguucggagaadTdT(配列番号:20)からなる2本鎖ポリヌクレオチドを用いた。
【0068】
[mRNAの定量]
siRNAのトランスフェクッション後、48時間の細胞から、RNeasy Mini Kit (Qiagen)を用いて、全RNAを抽出した。定量的PCRは、ABI PRISM 7000 Sequence Detection System (Applied Biosystems)を用いて行った。ABH2遺伝子(配列番号:3)(XM_058581)、ABH3遺伝子(配列番号:5)(NM_139178)および、β-アクチン遺伝子のRT-PCR用プライマーおよび、TaqManプローブは、Applied Biosystemsより購入した。RT-PCR反応はTaqMan One-Step RT-PCR Master Mix Reagents Kit (Applied Biosysytems)を使い、そのマニュアルに従い行った。β-アクチンを標準として用いて、定量比較した。
【0069】
[アルキル化薬感受性試験]
アルキル化薬としてメタンスルホン酸メチル、シクロフォスファミド、カルムシチンを使用した。siRNAトランスフェクッション24時間後にそれぞれの薬剤を添加し、更に24時間後の細胞を生細胞数測定試薬SF (ナカライテスク) によって測定した。
【0070】
実験に用いたsiRNAの配列を以下に示した。
【0071】[結果]
ABH2およびABH3遺伝子発現を抑制したときに、癌細胞がアルキル化薬に感受性を示すかどうか、ABH2およびABH3遺伝子に対するsiRNAを用いて実験を行った。まず、ヒト子宮頚部癌細胞であるHeLa細胞を用いてABH2、ABH3のsiRNAによりABH2とABH3の遺伝子発現抑制効果を調べた。その結果、上記に記載したABH2およびABH3に対する全てのsiRNAで発現が抑制された。以下、ABH2およびABH3において、それぞれ配列番号:7、8、および配列番号:13、14で示したRNAからなるsiRNAを用いて実験を行った。このsiRNAにより、ABH2は4%、ABH3は2%にまで遺伝子発現が抑制された (図1)。ヒト肺癌細胞であるA549細胞においても、同様にsiRNAを処理したところABH2は14%、ABH3は8%にまで遺伝子発現を抑制した (図2)。ABH2、ABH3遺伝子の発現を抑制しても、HeLa細胞およびA549細胞の生育増殖には影響はなかった。
【0072】
ABH2、ABH3の siRNA処理したHeLa細胞およびA549細胞におけるアルキル化薬感受性を調べた。アルキル化薬として、DNAおよびRNAを効率的にメチル化する化合物として知られているメタンスルホン酸メチル (MMS)を用いて、生細胞数を測定する事により感受性を調べた。その結果、図3で示すようにABH2、ABH3の発現をそれぞれ抑制したときに、HeLa細胞およびA549細胞いずれにおいてもNS (コントロールとして用いた2本鎖RNAで発現抑制を示さない) と比較して、MMSに対して感受性が増す事が確認できた。
【0073】
MMS以外に臨床で抗癌剤として使用されているアルキル化薬に対する影響を調べた。抗癌剤としてはシクロフォスファミド、カルムシチンを使用した。IC50値で比較した結果を表1に示した。HeLa細胞において、MMSのIC50値はNSと比較して、1/3程度の値を示し、シクロフォスファミドやカルムシチンにおいてもNSより低いIC50値を示す事が確かめられた。また、A549細胞においても同様の結果を得た。
以上の結果より、ABH2、ABH3はアルキル化薬との併用剤としての全く新しいターゲットであり、ABH2、ABH3のsiRNAはアルキル化薬との有用な併用剤となる事が証明された。
【0074】
【表1】 種々のアルキル化薬に対する感受性
【0075】
【発明の効果】
本発明により、細胞のアルキル化薬に対する感受性を上昇させることが可能になった。アルキル化薬は癌治療等において広く用いられており、本発明の方法により、癌治療におけるアルキル化薬の効果を高めることが可能である。哺乳動物のAlkBホモログの発現または活性を阻害する化合物は、アルキル化薬併用剤として極めて有用である。
【0076】
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A new gene (alkB) of Escherichia coli that controls sensitivity to methyl methane sulfonate.
J Bacteriol. 1983. 153(3):1301-7.
【0077】
【配列表】
- 【公開番号】特開2007−2(P2007−2A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【発明の名称】アルキル化薬感受性を上昇させる方法
【発明者】
【氏名】高木 基樹
【氏名】嶋本 顕
【氏名】古市 泰宏
- 【出願番号】特願2003−197918(P2003−197918)
【出願日】平成15年7月16日(2003.7.16)
【出願人】
【識別番号】502028430
【氏名又は名称】株式会社ジーンケア研究所
- 【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
【識別番号】100108774
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 一憲
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